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JPH08174315A - 工作機械の主軸における工具ホルダの仮保持装置 - Google Patents

工作機械の主軸における工具ホルダの仮保持装置

Info

Publication number
JPH08174315A
JPH08174315A JP17631995A JP17631995A JPH08174315A JP H08174315 A JPH08174315 A JP H08174315A JP 17631995 A JP17631995 A JP 17631995A JP 17631995 A JP17631995 A JP 17631995A JP H08174315 A JPH08174315 A JP H08174315A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
collet
tool
tool holder
spindle
temporary holding
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP17631995A
Other languages
English (en)
Inventor
Mikio Takeuchi
三貴男 竹内
Taro Kawazoe
太郎 川添
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Seiki Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Seiki Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Seiki Co Ltd filed Critical Hitachi Seiki Co Ltd
Priority to JP17631995A priority Critical patent/JPH08174315A/ja
Publication of JPH08174315A publication Critical patent/JPH08174315A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 工具アンクランプ装置の駆動と自動工具交換
装置の動作とを連動させる必要がなく、主軸の内部構造
が簡素な工具ホルダの仮保持装置を得る。 【解決手段】 コレット2の他端側の内周面に形成され
たテーパ状の被係合部2cと、コレット2の他方側に設
けられ主軸軸線方向に進退移動自在であるとともに被係
合部2cと係合するテーパ状の係合部8aを一端側の外
周面に有する係合部材8と、この係合部材8をコレット
2に当接させるように係合部材2cを介してコレット2
を常時一側に付勢する付勢手段9とから構成し、ドロー
バ5が工具アンクランプ装置により一側へ移動したと
き、係合部材8の付勢手段9による一側への付勢力で工
具ホルダTを仮保持させるようにしたことを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主軸の一端に形成
された工具挿着穴に挿入された工具ホルダを他端側に引
っ張ることによりクランプする工具クランプ・アンクラ
ンプ手段において、工具交換の際に、前記工具ホルダの
引っ張りを解除して工具ホルダを仮保持状態にし、主軸
からの工具ホルダの引き抜き動作で前記仮保持を解除し
て工具ホルダを取り外すことができるようにした工作機
械の主軸における工具ホルダの仮保持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】工作機械において主軸に工具を取り付け
た工具ホルダを挿着するには、主軸の工具挿着部に工具
ホルダを挿入し、コレット等により工具ホルダに固定さ
れたプルスタッドと係合させ、ばねで付勢されたドロー
バにより工具ホルダを引っ張ってクランプすることによ
り行っている。また、工具交換の際には工具アンクラン
プ装置のドローバ押圧部材で前記ドローバを押すことに
より、工具ホルダの引っ張りを解除して工具ホルダをア
ンクランプ状態にしている。このような機構は、コレッ
ト式引っ張り機構やボール式引っ張り機構として公知で
ある。
【0003】ところで、主軸と工具貯蔵マガジンとの間
で工具ホルダの工具交換を行う自動工具交換装置(AT
C)を有する工作機械においては、ATCのアームが主
軸の一端に挿着された工具ホルダを係合したときに工具
アンクランプ装置を駆動させて工具ホルダをアンクラン
プ状態にしている。そこで、従来より、工具アンクラン
プ装置の駆動とATCの動作をそれぞれ独立させ、AT
Cのアームが主軸側に移動して工具ホルダを把持し、主
軸より離れる方向に工具ホルダを引き抜く動作を行うま
での間に工具アンクランプ装置を駆動させてドローバに
よる工具ホルダの引っ張りを解除している。また、最近
の工作機械は重切削化,高速回転化の傾向にある。しか
し、このような工作機械においては、工具ホルダのテー
パ部とテーパ状の工具挿着穴とが強固に食い付き、工具
ホルダを前記工具挿着穴から離脱させるために大きな力
で工具ホルダを後方から押してやらねばならなかった。
そのため、工具のクランプ・アンクランプ動作とATC
のアームの進退動作とを連動させて行う工具着脱装置に
関する技術が、特開昭63−2639号公報や特開平3
−149150号公報などに開示されている。
【0004】しかしながら、前記した特開昭63−26
39号公報はカムの力を油圧力に変換して連動を行うも
のであり、また、特開平3−149150号公報はカム
の力を揺動杵によるメカニカルな機構で連動を行うもの
であるため、機構も複雑化するとともに経済的にも高価
なものになるという問題点を生じていた。また、特開昭
63−105854号公報や実開昭62−138513
号公報には、主軸軸線方向と直交する方向より仮保持力
を与える仮保持装置に関する技術が開示されている。し
かし、上記した従来の仮保持装置においては、仮保持力
が工具ホルダを後方より押圧するためのエネルギの一部
を吸収してしまい、さらに、工具ホルダを主軸内に保持
する力を必要とする。そのために、特開昭63−105
854号公報,実開昭62−138513号公報に記載
の技術では、大きな力で工具ホルダを後方より押圧する
と工具ホルダが主軸の工具挿着穴から飛び出すおそれが
あった。このような工具の飛び出しは、主軸軸線に直交
する方向から大きな力で工具ホルダを保持する保持機構
を設けることにより防止できるが、主軸内に前記したよ
うな保持機構を組み込むことは構造上非常に困難である
という問題がある。さらに、工具ホルダやプルスタッド
などを特殊な形状に加工しなければならず、汎用性にも
欠けるという不具合も生じた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の問題点
に鑑みてなされたもので、第1に工具アンクランプ装置
の駆動と自動工具交換装置の動作とを連動させる必要が
ない、プルスタッドをコレットで引っ張った後にコレッ
トをロックさせる、いわゆるソリッドツールロック機構
方式のものに適用可能な工具ホルダの仮保持装置を提供
すること、第2に、前記保持機構が不要で主軸の構造を
簡素にすることができ、大きな力で工具ホルダを後方か
ら押しても工具ホルダが主軸から飛び出すことのない工
具ホルダの仮保持装置を提供すること、第3に工具ホル
ダやプルスタッドなどを特殊な形状に加工する必要がな
く、汎用性に優れた工具ホルダの仮保持装置を提供する
ことを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明の工作機械の主軸における工具ホルダの仮保持
装置は、主軸の貫通穴内に進退移動自在に設けられ、主
軸の一端に形成された工具挿着穴に挿入された工具ホル
ダのプルスタッドと係合する係合爪を一端側に有し、半
径方向に前記係合爪を開閉することにより前記プルスタ
ッドを係合または非係合する工具ホルダのコレットと、
主軸の貫通穴内に進退移動自在に設けられ、前記コレッ
トを介して前記プルスタッドを他側に引っ張ることによ
り前記工具ホルダをクランプするドローバと、このドロ
ーバを他側に付勢するドローバ付勢手段と、前記貫通穴
内に設けられ、前記コレットの進退移動により前記係合
爪を開閉させるカム部材と、前記ドローバの一端に設け
られ、前記コレットと係合するとともに前記コレットを
進退移動させて前記係合爪を前記カム部材に沿って開閉
させる開閉部材と、ドローバ押圧部材により他端側から
ドローバを押してドローバを一側に移動させ、前記工具
ホルダをアンクランプ状態にする工具アンクランプ装置
とからなる工具ホルダの仮保持装置であって、前記コレ
ットの他端側の内周面に形成されたテーパ状の被係合部
と、前記コレットの他方側に設けられ、主軸軸線方向に
進退移動自在であるとともに前記被係合部と係合するテ
ーパ状の係合部を一端側の外周面に有する係合部材と、
この係合部材を前記コレットに当接させるように前記係
合部材を介して前記コレットを常時一側に付勢する付勢
手段とからなり、前記ドローバが前記工具アンクランプ
装置により一側へ移動したとき、前記係合部材の付勢手
段による一側への付勢力で前記工具ホルダを仮保持させ
ることを特徴とする。
【0007】また、前記工具アンクランプ装置は、前記
ドローバ付勢手段が前記ドローバを介して前記工具ホル
ダを他側に引っ張りクランプすること妨げない工具クラ
ンプ位置と、前記ドローバによる前記工具ホルダの引っ
張りを解除して前記工具ホルダを仮保持状態にする仮保
持位置と、前記ドローバを一側に移動させ前記プルスタ
ッドを強制的に押圧する工具アンクランプ位置の三位置
間で前記ドローバ押圧部材を移動できるように構成して
もよい。また、この工具アンクランプ装置は、シリンダ
本体内に進退移動自在に嵌入された第1ピストンおよび
第2ピストンと、この2個のピストンがシリンダ本体の
内部を仕切ることによって形成される第1シリンダ室,
第2シリンダ室および第3シリンダ室と、この第1ない
し第3シリンダ室の各々に設けられ、前記各ピストンを
押圧して移動させるための圧力流体が出入りする圧力流
体の出入口と、前記ピストンが所定ストローク移動した
ときに、各ピストンの移動を規制するストッパと、各ピ
ストンが前記所定ストローク移動することにより段階的
に進退移動するドローバ押圧部材と、前記各シリンダ室
に供給する所定圧力の圧力流体を発生する圧力流体発生
装置と、この圧力流体発生装置により発生された圧力流
体を所定の前記シリンダ室に分配する圧力流体の切換弁
とからなり、前記各シリンダ室において前記各ピストン
が前記圧力流体により押圧力を付与される部分の受圧面
積を一側から順にA1 ,A2 ,A3 ,A4 とすると、前
記受圧面積はA1 <A 2 <A3 <A4 なる関係にあり、
前記切換弁は、第1シリンダ室に常時圧力流体を供給し
た状態で、ポートの切換により、第3シリンダ室に圧力
流体を供給しながら第2シリンダ室からは排出流体を排
出する動作、第2および第3シリンダ室の双方から排出
流体を排出する動作、第2および第3シリンダ室の双方
に圧力流体を供給する動作を行うこととしてもよい。さ
らに、前記コレットの内周面に係合凸部を形成するとと
もに前記開閉部材の一端側に前記係合凸部と係合できる
被係合部を形成し、前記ドローバが前記仮保持位置から
前記工具アンクランプ位置に移動するときに、前記係合
凸部と前記被係合部とを係合させて前記ドローバの移動
とともに前記コレットが一側に移動できるように構成し
てもよい。
【0008】また、前記コレットは、前記開閉部材の先
端および前記プルスタッドと当接可能な凸部を内周面に
有し、かつ、工具ホルダの引き抜き動作時においてコレ
ット内の中立位置で待機するドローバと干渉することな
くコレットが前記一側位置まで移動することができるよ
うに形成してもよい。
【0009】
【作用】工具ホルダは主軸の一端に形成された工具挿着
穴に挿入される。ドローバはコイルばね等の付勢手段に
より他側に付勢されて主軸の貫通穴内を他側に移動する
が、このとき、ドローバの一端に設けられた開閉部材と
コレットが係合して前記コレットを他側に移動させる。
コレットはカム部材に沿って移動しながら係合爪を閉じ
るとともに、コレットの係合爪が工具ホルダのプルスタ
ッドを係合して工具ホルダを他側に引っ張り、工具ホル
ダをクランプする。
【0010】工具を交換のために主軸を離脱させる場合
には、工具アンクランプ装置が駆動してドローバ押圧部
材でドローバを一側に移動させる。このことによりドロ
ーバによる工具ホルダの引っ張りを解除する。コレット
の被係合部には付勢手段により係合部材の係合部が押し
つけられているので、係合部のコレットは移動すること
ができず、すなわち、開閉動作を行うことができず、従
って工具ホルダを付勢手段の付勢力で仮保持する。AT
Cのアームなどで工具ホルダを係合して工具ホルダを工
具挿着穴から引き抜くと、テーパ状になっている前記被
係合部と係合部との間に滑りが生じ、係合部材が付勢手
段の付勢力に抗して他側に押し戻されるので、被係合部
と係合との係合が外れて工具ホルダの仮保持が解除され
る。また、工具ホルダが工具挿着穴から取り外された後
も、前記付勢手段により係合部材はコレットを一側に付
勢しているので、コレットは係合爪を開いたままの状態
で保持される。
【0011】工具ホルダを主軸に挿入する場合には、工
具挿着穴に工具ホルダを挿入することにより工具ホルダ
に押されてドローバ,開閉部材およびコレットが他側に
移動することができるので、工具ホルダを工具挿着穴に
挿入する動作だけでコレットの被係合部と係合部材の係
合部とが係合し、工具ホルダを仮保持することができ
る。このように、仮保持状態ではATC側が主軸側の工
具クランプ・アンクランプ装置との信号の授受を必要と
せず、ATC自体のタイミングのみで工具交換動作を行
えるので、工具交換時間の短縮が図れる。また、工具ク
ランプ位置,仮保持位置,工具アンクランプ位置の三位
置間でドローバ押圧部材を移動できるようにしたもの
は、仮保持位置からもう一段階ドローバを一側に移動さ
せて開閉部材または工具ホルダを押すことにより、強制
的に工具ホルダを離脱させることができるので、特に仮
保持力が強い場合に有効である。
【0012】なお、この工具アンクランプ装置を、二つ
のピストンがシリンダ内部を仕切ることによって形成さ
れる各シリンダ室において前記各ピストンが前記圧力流
体により押圧力を付与される部分の受圧面積A1
2 ,A3 ,A4 とし、これら受圧面積の関係をA1
2 <A3 <A4 となるようにし、かつ、シリンダ本体
の一側に位置する第1シリンダ室に常時圧力流体を供給
したまま、ポートの切換により、第3シリンダ室に圧力
流体を供給しながら第2シリンダ室からは排出流体を排
出する動作、第2および第3シリンダ室の双方から排出
流体を排出する動作、第2および第3シリンダ室の双方
に圧力流体を供給する動作を行う切換弁を設けることに
より、第3シリンダ室,第2シリンダ室の順で圧力流体
を供給することによりドローバ押圧部材は他側位置から
中立位置,一側位置へと段階的に移動し、反対に、第2
シリンダ室,第3シリンダ室の順で流体を排出すると、
ドローバ押圧部材は一側位置から中立位置,他側位置へ
と段階的にスムースに移動する。
【0013】さらに、コレットの内周面に係合凸部を、
開閉部材の一端側に被係合部を設けたものは、主軸の一
端に工具ホルダが挿着されていない場合においても、ド
ローバが仮保持位置から工具アンクランプ位置へ移動す
れば両者が係合してコレットを一側へ移動させ、コレッ
トの係合爪を開放させて工具ホルダを受入れ可能な状態
にすることができる。
【0014】また、コレットの内周面にプルスタッドお
よびコレット開閉部の両方に当接可能な凸部を形成し、
ドローバを中立位置で待機させたままでコレットが一側
位置へドローバと干渉することなく移動できるようにす
ることにより、工具ホルダを工具挿着穴に挿入するだけ
で前記凸部にプルスタッドが当接してコレットを後退さ
せ仮保持状態にするので、ドローバをいわゆるフリーの
状態にする必要がなくなり、工具アンクランプ装置や主
軸の構成を簡素なものにすることができる。なお、工具
アンクランプ装置を請求項5のように構成すれば、一側
位置から中立位置に移動する場合および他側位置から中
立位置に移動する場合のいずれにおいてもドローバ押圧
部材を確実かつ迅速に中立位置に位置決め停止させるこ
とができるようになり、工具ホルダのクランプ・アンク
ランプ動作や仮保持動作を安定的なものにすることがで
きる。また、工具アンクランプ装置の構成も簡素なもの
にすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な一実施例を
図面に従って説明する。図1ないし図5は本発明の工具
ホルダの仮保持装置の一実施例にかかり、その構成およ
び作用の説明図である。各図において(イ)は主軸の先
端部分を、(ロ)は主軸の後端部分および工具アンクラ
ンプ装置を示している。なお、この実施例では、自動工
具交換装置を備えた工作機械を主軸軸線が水平になるよ
うに主軸を支持する横形工作機械として説明している
が、本発明は、主軸軸線が垂直になるように主軸を支持
する立形工作機械にも適用できることはいうまでもな
い。図示しない主軸頭に回転自在に支持された主軸1の
先端には、工具を取り付けた工具ホルダTを挿着する工
具挿着穴1bが形成され、この工具挿着穴1bの後方に
は、工具ホルダTの端部に突出して設けられたプルスタ
ッドTaと係合して引っ張り、クランプして工具ホルダ
Tを工具挿着穴1bに挿着する工具クランプ・アンクラ
ンプ手段が設けられている。
【0016】この工具クランプ・アンクランプ手段は、
主軸1の貫通穴1a内に進退移動自在に設けられ、半径
方向に開閉してプルスタッドTaと係合できる係合爪2
dを先端に有するコレット2と、貫通穴1aの内壁面に
凸出して形成され、コレット2の進退動作にともなって
コレット2の係合爪2dを開閉させるカム部材3と、貫
通穴1a内でドローバ支持部材6により進退移動自在に
支持されたドローバ5と、このドローバ5の先端に形成
されドローバ5とともに進退移動自在であるとともに、
外径減少部の外周面に形成された傾斜部4cがコレット
2の後端部の傾斜穴部2eと係合することによりコレッ
ト2を移動させるコレット開閉部4と、ドローバ支持部
材6とドローバ5の後端部に外嵌されたばね受け部材1
1との間の貫通穴1a内に設けられ、ばね受け部材11
を介してドローバ5を後方側に付勢する皿ばねやコイル
ばね等のドローバ付勢手段10とからなっている。ドロ
ーバ5の後端には規制部材としてのストッパ5aが設け
られ、ばね受け部材11はこのストッパ5aに当接する
ことによりドローバ付勢手段10の付勢力をドローバ5
に伝達している。ドローバ5がドローバ付勢手段10の
付勢力により後方側に移動すると、コレット開閉部4の
傾斜部4cがコレット2の傾斜穴部2eと係合してコレ
ット2を引っ張り、後方側に移動させる。コレット2の
係合爪2dは、コレット2が後方側へ移動することによ
りカム部材3の形状に沿って閉じられるので、係合爪2
dがプルスタッドTaと係合して工具ホルダTを後方側
に引っ張ることにより、工具ホルダTをクランプ状態に
する。
【0017】なお、符号2aはコレット2の内周面に突
設形成された係合凸部である。工具ホルダTを主軸1に
挿着している場合には、プルスタッドTaがコレット2
の係合爪2dと係合しているので、工具ホルダTを引き
抜けばコレット2も工具ホルダTに追随して係合爪2d
を開きながら前進することができる。しかしながら、工
具ホルダTを主軸1に挿着していない場合には、ドロー
バ5とともに後退した位置にあるコレット2を前進させ
て係合爪2dを開かせ、工具ホルダTを受入れ可能な状
態にする必要がある。そこで、この実施例では、コレッ
ト2の内周面に係合凸部2aを形成するとともに、この
係合凸部2aと係合できる被係合部としての先端係合部
4aをコレット開閉部4の先端側に設けている。そし
て、ドローバ5が前進したときに、係合凸部2aに先端
係合部4aが係合することにより、コレット2を前進さ
せることができるようになっている。また、符号3cは
カム部材3の前方側に設けられたカムで、コレット2の
先端がこのカム3cに係合することにより、強制的に係
合爪2dが開放されるようになっている。
【0018】ドローバ5によるプルスタッドTaの引っ
張りを解除し、工具ホルダTを交換可能な状態するため
の工具アンクランプ装置12は、主軸1の後方側に設け
られている。この工具アンクランプ装置12は、工作機
械の主軸ヘッド後部に設けられたシリンダ本体13と、
このシリンダ本体13を挿通して設けられ、主軸軸線方
向に進退移動自在な摺動部材14と、この摺動部材14
の中心を挿通するように設けられたドローバ押圧部材と
しての第2押圧部材16とからなっている。そして、工
具アンクランプ装置12が駆動して第2押圧部材16で
ドローバ5を押して前進させると、コレット開閉部4の
傾斜部4cと傾斜穴部2eとの係合が解除されるので、
ドローバ5による工具ホルダTのクランプが解除され
る。
【0019】次に、ドローバ5によるコレット2および
工具ホルダTの引っ張りが解除されても、コレット2が
移動しないように規制して工具ホルダTを保持するコレ
ット保持手段の構成を説明する。コレット保持手段7は
コレット2の後方側に設けられていて、コレット2の後
端側の内周面に形成されたテーパ状の被係合部2cと、
ドローバ支持部材6の先端部に形成された穴6a内に進
退移動自在に収納され、先端外周面が被係合部2cと係
脱可能なテーパ状の係合部8aとして形成されたスリー
ブ8と、穴6aに嵌装されスリーブ8を常時コレット2
側に付勢する付勢手段としてのばね9とからなってい
る。
【0020】ドローバ付勢手段10の付勢力によりコレ
ット開閉部4を介してコレット2が後方に引っ張られる
と、コレット2がカム部材3に沿って移動し工具ホルダ
TのプルスタッドTaと係合して引っ張る。そして、コ
レット2の後端の傾斜穴部2eを傾斜部4cで押圧する
ことにより、コレット2の後端側の外周面に形成された
傾斜面2fをカム部材3の後端に形成された傾斜面3a
に押しつけ、この傾斜角による分力でコレットを固定
し、工具ホルダTをクランプ状態にする。また、摺動部
材14にはばね押圧部材としての第1押圧部材15が設
けられている。そして、この第1押圧部材15は、第2
押圧部材16がドローバ5の後端に当接するよりも若干
早くばね受け部材11に当接するようになっている。工
具交換の際に、工具アンクランプ装置12が駆動して摺
動部材14が前進すると、ばね受け部材11はドローバ
5に進退移動自在に外嵌されているので、第1押圧部材
15がばね受け部材11を押してドローバ5に沿って前
進させ、ばね受け部材11をストッパ5aから離間させ
てドローバ5からドローバ付勢手段10の付勢力を解除
する。
【0021】すなわち、図1(ロ)において、ストッパ
5aに当接しているばね受け部材11の端面から摺動部
材14とともに最後退状態にある第1押圧部材15の先
端との距離L1 と、ドローバ5の後端と第2押圧部材1
6の先端との距離L2 との関係がL1 <L2 となるよう
になっている。そのため、工具アンクランプ装置12が
駆動して摺動部材14が前進すると、第2押圧部材16
よりも先に第1押圧部材15がばね受け部材11に当接
してばね受け部材11を押し、ばね受け部材11をドロ
ーバ5に沿って前進させてドローバ付勢手段10による
ドローバ5の付勢力を解除し、ドローバ5をいわゆるフ
リーの状態にする。また、ばね受け部材11をドローバ
5に沿って前進させることにより、ストッパ5aとばね
受け部材11との間には隙間S(図2(ロ)参照)がで
きるので、この隙間S分だけドローバ5は僅かな力で前
進することができるようになるわけである。
【0022】第1押圧部材15にばね受け部材11が、
第2押圧部材16にドローバ5が押されてドローバ5が
前進し、コレット開閉部4の傾斜部4cが傾斜穴部2e
と離れる(図2(イ)参照)。これにより、ドローバ5
によるプルスタッドTaの引っ張りが解除される。しか
しながら、スリーブ8の係合部8aがコレット2の被係
合部2cをばね9の付勢力で押しているので、コレット
2は前進することができない。従って、工具ホルダTは
コレット2に係合されたまま仮保持されることになる。
なお、この仮保持力の大きさは、スリーブ8をコレット
2に押し付けるばね9の付勢力の大きさに影響される
が、重量の重い大型の工具を取り付けることのある主軸
1においては大きいばね定数のものを、重量の軽い比較
的小型の工具を取り付ける主軸1においては小さいばね
定数のものを用いればよい。
【0023】係合部8aと被係合部2cとが係合するこ
とによる工具ホルダTの仮保持は、工具ホルダTを前方
側に引っ張ることにより解除することができる。ATC
のアーム20(図3参照)などで工具ホルダTの把持用
のV溝を把持して工具ホルダTを前方側に引き抜くと、
プルスタッドTaに係合爪2dが係合しているコレット
2が前進する。これにより、被係合部2cと係合部8a
との間に滑りが生じ、被係合部2cの斜面に沿ってスリ
ーブ8がばね9の付勢力に抗して後方側に押し戻され
る。また、コレット2の傾斜面2fとカム部材3の傾斜
面3aとの係合が外れ、傾斜面2fはカム部材3の内径
部3bに位置することになる。すなわち、コレット2は
把持部2d側を開いた状態となり、被係合部2cと係合
部8aとの係合が解除されて工具ホルダTの仮保持が解
除される。しかし、コレット2はスリーブ8を介してば
ね9により前方側に付勢されているので、工具ホルダT
が取り外された後もコレット2は後退することなく、係
合爪2dを開いたままの状態で保持される。なお、次の
工具ホルダTを主軸1に挿着しない場合には、ドローバ
5を後退させればコレット2も後退して図1(イ)に示
す状態になる。
【0024】このように、この実施例において仮保持装
置は、工具ホルダTを工具挿着穴1bに挿入するだけで
工具ホルダTを仮保持することができるようになってい
る。仮保持装置をこの実施例のように構成することによ
り、工具ホルダTを主軸1から取り外すときのみなら
ず、主軸1に工具ホルダTを挿着するために、工具挿着
穴1bに工具ホルダTを挿入した際にも仮保持状態にす
ることができるので、工具の交換時間をさらに短縮でき
るという効果がある。また、コレット開閉部4の先端に
は、先端係合部4aから前方側に伸びる当接部4bが形
成されている。この当接部4bは、工具挿着部1bに挿
着された工具ホルダTのプルスタッドTaと当接して、
工具ホルダTを押すことにより工具ホルダTの仮保持を
強制的に解除するものである。
【0025】次に、工具アンクランプ装置12の構成を
説明する。この実施例において工具アンクランプ装置1
2は、ドローバ5と当接しない位置、すなわち、ドロー
バ5がプルスタッドTaをドローバ付勢手段10の付勢
力で引っ張ってクランプする工具クランプ位置(後退位
置),ドローバ5による工具ホルダTの引っ張りを解除
しばね9の付勢力でスリーブ8がコレット2を押して工
具ホルダTを仮保持状態にする仮保持位置(中立位
置),およびドローバ5をもう一段階前進させて工具ホ
ルダTのクランプを解除する工具アンクランプ位置(前
進位置)の三位置間で第1押圧部材15および第2押圧
部材16を移動させることができるようになっている。
勿論、ATCアームの引き抜き動作だけでコレット2の
仮保持を解除することができるものであれば、上記のよ
うな第2押圧部材16を3位置間で移動させることので
きる工具アンクランプ装置12は特に設ける必要はな
い。このような場合は、ドローバ5とともにコレット開
閉部4を前進させて傾斜部4cとコレット2の傾斜穴部
2eとを離間させることができる程度のストロークを有
する公知の工具アンクランプ装置であればよい。
【0026】工具アンクランプ装置12は、摺動部材1
4を段階的に移動させるための二つのピストン14a,
14bを有している。すなわち、シリンダ本体13内の
主軸側に形成された第1シリンダ室13a内の摺動部材
14の後端側に形成された小径部には、第1ピストン1
4aが摺動部材14に沿って進退移動自在に外嵌され、
この第1ピストン14aよりも前方側には、摺動部材1
4の外周面を削成して第2ピストン14bが形成されて
いる。第1ピストン14aの一側には、第1シリンダ室
13a内で第1ピストン14aとともに進退移動する円
筒状の第3ピストン17が設けられている。第3ピスト
ン17の内径部には第2シリンダ室17aが形成されて
いる。第2ピストン14bはこの第3ピストン17内の
第2シリンダ室17aに進退移動自在に嵌入されてい
る。第1シリンダ室13aの後端側,中間部位,先端側
にはそれぞれ油路21a,21b,21cが開設され、
この油路21a,21b,21cから圧力流体としての
圧油を供給して、第1ピストン14aおよび第2ピスト
ン14bを段階的に動かすことにより、第1押圧部材1
5および第2押圧部材16を前記した三位置間で移動さ
せることができる。尚、符号17bは第3ピストン17
の内外径間を貫通するように形成された穴で、油路21
bから供給された圧油が、この穴17bを通って第1お
よび第2ピストン14a,14bの間に供給できるよう
になっている。
【0027】また、図において符号22a,22b,2
2cは、摺動部材14が最前進位置,中立位置または最
後退位置のいずれにあるかを検出するためのリミットス
イッチである。リミットスイッチ22a,22bは、固
定部であるシリンダ本体13に取り付けられたブラケッ
ト23に主軸軸線と平行に前後に配置されている。リミ
ットスイッチ22a,22bを押してオン(またはオ
フ)状態にする操作桿25は、リミットスイッチ22
a,22bの間に設けられ、摺動部材14に取り付けら
れて摺動部材14とともに進退移動できるようになって
いる。そして、摺動部材14が最後退位置まで移動する
と操作桿25が一方のリミットスイッチ22aを押して
オン(またはオフ)の状態にし、摺動部材14が最前進
位置まで移動すると操作桿25が他方のリミットスイッ
チ22bを押してオン(またはオフ)の状態にする。
【0028】一方、リミットスイッチ22cは摺動部材
14が中立位置まで移動したことを検出するもので、ブ
ラケット23から下方に延びるブラケット24に取り付
けられている。このリミットスイッチ22cを押してオ
ン(またはオフ)の状態にする駒26は、シリンダ本体
13の後方から延出する第2押圧部材16の他端側に取
り付けられている。摺動部材14が最後退位置から中立
位置まで移動すると、駒26がリミットスイッチ22c
を押してオン(またはオフ)の状態にする。なお、摺動
部材14が最前進位置まで移動すると、リミットスイッ
チ22b,リミットスイッチ22cを押すことになる。
リミットスイッチ22cが押されてオン(またはオフ)
の状態になったときが中立位置(仮保持位置)であり、
リミットスイッチ22cのみが押されて仮保持位置信号
を出力しているときには、ATCはATC独自のタイミ
ングのみで工具交換を行うことができる。すなわち、仮
保持状態にあるときには、ATCはいつでも工具交換動
作を行うことができるわけである。
【0029】次に上記構成の本発明の作用を図1ないし
図4に従って説明する。図1は工具ホルダTをクランプ
した状態を示すものである。主軸挿着部1bに挿入され
た工具ホルダTは、コレット2の係合爪2dがプルスタ
ッドTaに係合し、ドローバ付勢手段10の付勢力によ
りドローバ5およびコレット開閉部4を介して後方へ引
っ張られてクランプされている。このとき、摺動部材1
4は最後退位置にあって、操作桿25はリミットスイッ
チ22aを押してオン(またはオフ)の状態にしてい
る。
【0030】図2は、工具ホルダTを仮保持した状態を
示す図である。工具交換を行う際には、主軸1を所定の
回転角度位置で停止させ、ATCの動作とは別個に工具
アンクランプ装置12を駆動させる。第1シリンダ室1
3aの一方の室に油路21aから圧油が供給されること
により、第1ピストン14aは第3ピストン17の端面
が第1シリンダ室13aの先端面に当接するまで前進す
る。摺動部材14は、第1ピストン14aに押されて中
立位置まで前進する。このとき、駒26がリミットスイ
ッチ22cを押してオン(またはオフ)の状態となる。
このリミットスイッチ22Cより、仮保持状態であると
の信号が出力されているときには、ATCは独自のタイ
ミングのみで工具ホルダTの引き抜き,挿入動作をいつ
でも行うことが可能となる。
【0031】摺動部材14が中立位置まで前進すると、
まず第1押圧部材15がばね受け部材11に当接してば
ね受け部材11を押し、ドローバ5に沿って移動させ
る。ばね受け部材11はドローバ5に沿って前進し、ス
トッパ5aから離間するので、ドローバ付勢手段10に
よるドローバ5の付勢力が解除されてドローバ5はフリ
ーの状態になる。一方、第2押圧部材16は、第1押圧
部材15よりも僅かに遅れてドローバ5の後端に当接
し、ドローバ5を押して前進させる。これから後は、ド
ローバ5とばね受け部材11は一体になって前進する
が、この際のストッパ5aとばね受け部材11との間の
隙間Sの寸法は、L1 −L2 (L1 ,L2 については図
1参照)で維持されている。ドローバ5の前進により、
コレット開閉部4の傾斜部4cとコレット2の傾斜穴部
2eとの係合が解除される。これにより、コレット開閉
部4による引っ張り力は解除されるが、コレット2はコ
レット保持手段7のばね9によるスリーブ8の押圧によ
り移動することができないので、工具ホルダTはコレッ
ト2に係合されたまま仮保持されることになる。
【0032】図3は、工具ホルダTの仮保持が解除され
工具ホルダTが工具挿着穴1bより離脱する状態を示す
図である。ATCのアーム20が主軸1の前方まで旋回
してきて把持溝で工具ホルダTを係合し、工具ホルダT
を工具挿着穴1bから抜き取るべく前方側に引っ張る
と、被係合部2cと係合部8aとの間に滑りが生じてス
リーブ8が後退し、コレット2の被係合部2cとスリー
ブ8の係合部8aとの係合が外れて工具ホルダTの仮保
持状態が解除される。コレット2は工具ホルダTに引っ
張られて係合爪2dを開きながら前進する。ATCの前
方に工具ホルダTを引き抜く動作と同時に油路21bに
圧油を供給し、第2ピストン14bを前進させる。ドロ
ーバ5が第2ピストン14bにより前進させられ、プル
スタッドTaを当接部4bが押し出す。ATCが工具ホ
ルダTを離脱させ、次動作に移行したとき、油路21b
への圧油の供給を停止する。ドローバ付勢手段10の付
勢力により、第1押圧部材15,第2押圧部材16は後
退し、ドローバ5と第2押圧部材16との間には所定の
隙間が生じる。この状態で、次工具ホルダTが工具挿入
部1bに挿入されるのを待つ。
【0033】なお、コレット2とスリーブ8とが係合す
ることによる工具ホルダTの仮保持力が大きいような場
合には、この実施例で示すように、油穴21bから第1
ピストン14aと第2ピストン14bの間に圧油を供給
することにより摺動部材14を中立位置から最前進位置
まで移動させ、ドローバ5を前進させてコレット開閉部
4の当接部4bで工具ホルダTを強制的に押し出すよう
にして仮保持を解除するようにすればよい。ATCのア
ーム20が工具ホルダTを離脱させ、次動作に移行した
とき、油路21bへの圧油の供給を停止する。ドローバ
付勢手段10の付勢力により、第1押圧部材15,第2
押圧部材16は後退し、ドローバ5と第2押圧部材16
との間には所定の隙間が生じる。この状態で、次の工具
ホルダTが工具挿入穴1bに挿入されるのを待つ。
【0034】図4は、工具ホルダTを主軸1から取り外
した状態を示す図である。この状態において摺動部材1
4は最前進位置から中立位置まで後退していて、ドロー
バ5の後端と第2押圧部材16の先端との間には隙間
S′が生じている。この状態が挿入時の仮保持可能状態
であり、リミットスイッチ24cのみが押されていて、
信号を出力していることで検知できる。ATCは、この
状態で、工具ホルダTを工具挿着穴1bに挿入すると、
プルスタッドTaの端面がコレット開閉部4の当接部4
bに当接してコレット開閉部4およびドローバ5を後方
に押す。すなわち、コレット開閉部4およびドローバ5
は、前記した隙間S′分だけ後退することが可能であ
る。コレット開閉部4およびドローバ5が後退すると、
コレット2が係合爪2dでプルスタッドTaを係合しな
がら後退し、被係合部2cと係合部8aとが係合して図
2に示す仮保持状態になる。ATCは、ATC独自のタ
イミングで工具ホルダTの係合を解除して次の動作に移
行する。
【0035】工具ホルダTを仮保持状態にした後は、油
路21aへの圧油の供給を停止し、油路21cに圧油を
供給し、第2ピストン14bを後退させる。このよう
に、工具アンクランプ装置1を駆動して摺動部材14を
最後退位置まで移動させ、ドローバ5およびコレット開
閉部4で工具ホルダTのプルスタッドTaを引っ張って
図1に示すクランプ状態にする。図5は、主軸1に工具
ホルダTを挿着しない場合における係合凸部2aと先端
係合部4aの作用を説明する図である。主軸2に工具ホ
ルダTを挿着していない状態において、ドローバ5が仮
保持位置(図2で示す位置)から工具アンクランプ位置
(図4で示す位置)まで前進すると、係合凸部2aに先
端係合部4aが係合し、コレット開閉部4がコレット2
を押すので、コレット2が前進して係合爪2dを開放す
ることができるようになっている。
【0036】次に、仮保持装置および工具アンクランプ
装置の他の実施例を図6ないし図11に従って説明す
る。なお、上記の第1実施例と同一部位,同一部材には
同一の符号を付して詳しい説明は省略する。この実施例
においてコレット2′の係合爪2d′と傾斜穴部2e′
との間の内周面には、凸部2a′が形成されている。こ
の凸部2a′は、コレット2′が係合爪2d′を開放状
態にして前進位置に位置している状態において、工具挿
着穴1bに挿入された工具ホルダTのプルスタッドTa
と当接できるとともに、コレット2′が工具ホルダTを
クランプするために後退位置に位置している状態におい
てプルスタッドTaの先端が係合爪2d′と凸部2a′
との間に位置するようになっている(図8および図6参
照)。また、この凸部2a′はドローバ5の先端に設け
られたコレット開閉部4の先端部4aとも当接可能で、
ドローバ5が中立位置から前進位置まで移動する間にコ
レット開閉部4の先端部4aが凸部2a′に当接してコ
レット2′を押すことにより、コレット開閉部4ととも
にコレット2′を前進位置に移動させることができるよ
うになっている。
【0037】一方、凸部2a′と傾斜穴部2e′との間
のコレット2′の内周面は、上記の第1実施例と異なり
平坦状に形成され、中立位置の前後でコレット開閉部4
とコレット2′とが干渉しないようになっている。すな
わち、中立位置で待機するコレット開閉部4と干渉する
ことなく、工具ホルダTの引き抜き動作とともにコレッ
ト2′のみが前進位置へ移動することができ、かつ、工
具挿着穴1bへの工具ホルダTの挿入動作によりコレッ
ト2′が後退して仮保持状態にすることができるように
なっている。コレット2′をこのように構成することに
より、ドローバ5を中立位置に位置させた状態で工具ホ
ルダTを工具挿着穴1bから引き抜き、または工具挿着
穴1bに挿入する動作だけで工具ホルダTを仮保持させ
ることができるので、工具アンクランプ装置や主軸の構
成を簡素なものにすることができるという特徴がある。
【0038】符号3c′は、上記の第1実施例の場合と
同様にカム3の前方に形成されたカムで、ドローバ5に
より強制的に前方側へ押し出されたコレット2′、ある
いは、工具ホルダTの引き抜き動作により前進したコレ
ット2′の先端が、このカム3c′に係合することによ
り、係合爪2d′を開いた状態で保持できるようになっ
ている。なお、この実施例においてカム3c′は、コレ
ット2′の先端部が挿入される入口近傍の傾斜角が上記
第1実施例のカム3c(図1参照)よりも緩やかになる
ように形成されていて、カム3c′とコレット2′の先
端部が係合することによる係合爪2d′の開閉を比較的
軽い力で行うようにすることができるようになってい
る。そして、工具挿着穴1bに工具ホルダTを挿入して
プルスタッドTaで凸部2a′を押すことにより、コレ
ット2′とカム3c′との間に滑りが生じて、係合爪2
d′を閉じながらコレット2′が後退する。
【0039】次に、この実施例における仮保持機構につ
いて説明する。この実施例における仮保持機構は、上記
の第1実施例とほぼ同じであるが、カム3とドローバ支
持部材6との間にスリーブ8′と係合するストッパ部8
b′が設けられていて、スリーブ8′の前進位置が規制
されるようになっている点で異なる。上記の第1実施例
では、コレット2が最前進位置に位置したときにおいて
スリーブ8が後方から押すことによりコレット2の後退
を規制していたが、この実施例ではコレット2′の先端
と係合して係合爪2d′を開放した状態で保持できるカ
ム3c′を設けているので、コレット2′を常時後方側
から付勢している必要がない。このように構成すること
により、工具ホルダTを手動で挿入する際にもばね9の
付勢力に抗してコレット2′を後方側に押す必要がない
ので、手動でも楽に工具ホルダTを工具挿着穴1bに挿
入して仮保持させることができる。
【0040】次に、この実施例における工具アンクラン
プ装置の構成を説明する。この実施例において工具アン
クランプ装置29は、ピストンロッドである押圧部材3
2をドローバ5と当接しない位置、すなわち、ドローバ
5がプルスタッドTaをドローバ付勢手段の付勢力によ
り引っ張ってクランプする工具クランプ位置(後退位
置),ドローバ5による工具ホルダTの引っ張りを解除
しばね9の付勢力でスリーブ8′が工具ホルダTを仮保
持状態にする仮保持位置(中立位置),およびドローバ
5をもう一段階前進させてコレット2′を強制的に前進
させ、カム3c′とコレット2′の先端部とを係合させ
てコレット2′を開放状態に保持させる工具アンクラン
プ位置(前進位置)の三位置間で移動させることができ
る点で上記の第1実施例と同様である。
【0041】工具アンクランプ装置29は、押圧部材3
2を段階的に移動させるための二つのピストン31a,
31bを有している。図に示すように、第1ピストン3
1aはシリンダ本体30内に形成された大径穴部35
に、第2ピストン31bは小径穴部37に摺動自在に嵌
入されている。そして、シリンダ本体30の大径穴部3
5および小径穴部37が第1ピストン31aおよび第2
ピストン31bに仕切られて、主軸1側から順に第1シ
リンダ室30a,第2シリンダ室30b,第3シリンダ
室30cが形成されている。また、押圧部材32の後端
部は小径部として形成され、この小径部に第1ピストン
31aが押圧部材32に沿って進退移動自在に外嵌され
ている。この第1ピストン31aよりも前方側には、押
圧部材32と一体的に第2ピストン31bが形成されて
いる。第1シリンダ室30a,第2シリンダ室30b,
第3シリンダ室30cにはそれぞれ油路33a,33
b,33cが開設され、この油路33a,33b,33
cから圧油を供給して、第1ピストン31aおよび第2
ピストン31bを段階的に動かすことにより、押圧部材
32を前記した三位置間で移動させることができるよう
になっている。
【0042】ところで、この実施例において工具アンク
ランプ装置29は、第2ピストン31bが第1シリンダ
室30a内の圧油により押圧力を付与される部分の受圧
面積をA1 ,第2ピストン31bが第2シリンダ室30
b内の圧油により押圧力を付与される部分の受圧面積を
2 ,第1ピストン31aが第2シリンダ室30b内の
圧油により押圧力を付与される部分の受圧面積をA3
1ピストン31aが第3シリンダ室30c内の圧油によ
り押圧力を付与される部分の受圧面積をA4 とした場合
に、これら受圧面積A1 〜A4 の関係がA1 <A2 <A
3 <A4 と、シリンダ30の後端に向かうにともなって
順次大きくなるようになっている。特に、第1ピストン
31aには、第2シリンダ室30bで圧油により押圧力
を付与される部分の受圧面積A3 が第3シリンダ室30
cにおける受圧面積A4 よりも小さくなるようにするた
めに穴39が穿設され、この穴39に第2ピストン31
bの後方に形成された段付き部36が嵌合している。そ
して、穴39の内周面と段付き部36との外周面との間
から圧油が穴39内に浸入しないようにするために、押
圧部材32と同心状の穴39の内周面にはパッキン,X
リング,Oリング等のシール部材39aが嵌装されてい
る。なお、穴39の深さは、第2ピストン31bが中立
位置から前進位置に移動した際にも段付き部36との嵌
合状態を保持できるように、中立位置から前進位置に移
動する第2ピストン31bのストロークよりも大きいも
のでなければならない。
【0043】このように構成することにより、各シリン
ダ室30a,30b,30cの各々に圧力pの圧油を供
給すると、上記A1 〜A4 の値を如何に選択しても、圧
油により押圧力を付与される部分の受圧面積がA1 <A
2 <A3 <A4 なる関係に有り限り、(pA1 −pA2
+pA3 )<pA4 なる関係式が常に成立する(pA 2
については力の作用方向が逆なので、符号がマイナスと
なる)。 従って、第1シリンダ室30aに圧力pの圧
油を常時供給した状態で、第3シリンダ室30cのみに
圧力pの圧油を供給すると、第1ピストン31aが第2
ピストン31bおよび押圧部材32を押しながら中立位
置まで前進し、第2シリンダ室30b,第3シリンダ室
30cの双方に圧油を供給すると、上記の関係式より第
1ピストン31aの位置が保持されたままで第2ピスト
ン31bの前端が第1シリンダ室30aの内壁に当接す
るまで前進する。また、第1シリンダ室30aと第3シ
リンダ室30cに圧油を供給したままで第2シリンダ室
30bから圧油を排出すると、第2ピストン31bは中
立位置まで後退し、第3シリンダ30cに供給された圧
油により中立位置まで前進して停止している第1ピスト
ン31aに当接して停止する。
【0044】なお、シリンダ本体30の後方に突出する
第1ピストンロッド31aのピストンロッドの後端部に
はストッパ34が設けられていて、第1ピストン31a
はこのストッパ34がシリンダ本体30の端面に当接す
ることにより中立位置で停止されるようになっている。
勿論、このようなストッパ34を設けず、シリンダ本体
30の内壁に第1ピストン31aを当接させることによ
り前進位置を規制することもできるが、ストッパ34を
前記ピストンロッドに螺入して前後位置調整可能にする
ことにより、第1ピストン31aのストロークを簡単に
調整できるようになるという特徴がある。ドローバ5の
後端部にはドローバ5とともに進退移動する円板体28
が取り付けられ、工具アンクランプ装置29の固定部に
はブラケット27aを介して近接スイッチや光電スイッ
チ等の検知手段27が取り付けられている。この検知手
段27は、工具挿着穴1bに工具ホルダTが挿入されド
ローバ5に引っ張られてクランプされている状態におい
て円板体28の外周面に対向するように配置されてい
て、工具ホルダTをクランプしたときに前記外周面を検
知してクランプ状態確認信号を出力するようになってい
る。
【0045】押圧部材32を後退位置,中立位置,前進
位置の三位置間で段階的に進退移動させるためには、第
3シリンダ室30c,第2シリンダ室30bの順で圧油
を供給し、また、第2シリンダ室30b,第3シリンダ
室30cの順で圧油を排出することができるようにしな
ければならない。そのためには、油路33b,33cの
それぞれに弁を設け、各弁を個別に開閉させて圧油の供
給または排出を行うようにしてもよいが、以下に説明す
るような切換弁を設けることにより、単一の切換弁で押
圧部材32を上記三位置間で段階的に進退移動させるこ
とができるようになる。
【0046】図11は上記工具アンクランプ装置29の
シリンダ本体30に圧油を供給するための三位置切換弁
(以下、切換弁と記載)の概略説明図である。切換弁4
0は、ソレノイドSOL1,SOL2の励磁によりAポ
ート,Bポートへの圧油の供給方向の切り換えを行える
ようになっている。この実施例において第1シリンダ室
30aは油圧供給源41に油路33aを介して直接接続
されていて、常時一定圧力の圧油が供給されている。従
って、この三位置弁40により第2シリンダ室30bお
よび第3シリンダ室30cに供給または排出される圧油
の切換動作が行われる。すなわち、ソレノイドSOL1
およびソレノイドSOL2が非作動状態では、Aポー
ト,BポートがともにTポートに接続された状態(図に
示す状態)になっていて、油路33aを介して第1シリ
ンダ室30aのみに圧油が供給されるようになってい
る。また、第2シリンダ室30bおよび第3シリンダ室
30c内の排出油は、油路33b,33cを経てタンク
42側へ排出されるようになっているので、第1シリン
ダ室30aの圧油の押圧力により第1および第2ピスト
ン31a,31bが後退して押圧部材32は後退状態に
なる。
【0047】切換弁40のソレノイドSOL1が励磁す
ると、AポートとTポート,BポートとPポートが接続
される。これにより、第2シリンダ室30bの排出油が
タンク42側へ排出されるとともに第3シリンダ室30
cに圧油が供給される。第1シリンダ室30aの受圧面
積A1 より第3シリンダ室30cの受圧面積A4 の方が
大きいので、第1ピストン31aが前進する。第1ピス
トン31aはストッパ34がシリンダ本体30の端面に
当接するまで前進するので、押圧部材32は中立位置に
位置する。次に、ソレノイドSOL2が励磁してAポー
ト,BポートにPポートが接続される状態に切り換えら
れると、第1ないし第3シリンダ室30a,30b,3
0cの全てに圧油が供給されることになる。第1シリン
ダ室30a側の受圧面積A 1 よりも第2シリンダ室30
b側の受圧面積A2 の方が大きいので、第1ピストン3
1aが中立位置に維持されたまま第2ピストン31aの
みが前進し、押圧部材32が前進位置に移動することに
なる。
【0048】次に、この実施例における仮保持機構およ
び工具アンクランプ装置29の作用を、図6ないし図1
1に従って説明する。図7に示すように、工具交換を行
う際には、主軸1を所定の回転角度位置(主軸オリエン
テーション位置)で停止させ、ATCの動作とは別個に
工具アンクランプ装置29を駆動させる。第1シリンダ
室30aに圧油を供給したままで切換弁40のソレノイ
ドSOL1(図11参照)を励磁させ、第3シリンダ室
30cに圧油を供給すると、第1ピストン31aが第2
ピストン31bを押しながらストッパ34がシリンダカ
バーに当接するまで前進するので、押圧部材32は中立
位置に移動して停止する。これにより、押圧部材32の
先端部32aがドローバ5の後端に当接してドローバ5
を押し、ドローバ5が工具ホルダTの引張を解除した仮
保持状態になるので、ATCは独自のタイミングのみで
工具ホルダTの引き抜き,挿入動作をいつでも行うこと
が可能となる。なお、このときドローバ5の先端のコレ
ット開閉部4は、コレット2′の凸部2a′と傾斜穴部
2e′の間に待機していて、コレット2′が仮保持位置
から前進位置まで移動してもコレット2′と干渉しない
ようになっている。
【0049】図8は、工具ホルダTの仮保持が解除され
工具ホルダTが工具挿着穴1bより離脱するときの状態
を示す図である。図示しないATCのアームが主軸1の
前方まで旋回してきて把持溝で工具ホルダTと係合し、
工具ホルダTを工具挿着穴1bから抜き取るべく前方側
に引っ張ると、プルスタッドTaによりコレット2が前
進するとともに、カム3c′によって係合爪2d側が拡
開される。そして、コレット2の被係合部2cとスリー
ブ8の係合部8aとの係合が外れて工具ホルダTの仮保
持状態が解除される。なお、ATCによる工具ホルダT
の引き抜き動作と同時にソレノイドSOL2を励磁させ
てAポート,Bポートの双方に圧油を供給し、第2ピス
トン31bを前進させてもよい。これにより、押圧部材
32が前進位置に位置して中立位置にあるドローバ5を
押すので(図9参照)、コレット開閉部4が凸部2aを
介してプルスタッドTaを押し、工具ホルダTを工具挿
着穴1bから強制的に押し出すことができる。ATCが
工具ホルダTを離脱させ、次動作に移行したときに、第
2シリンダ室30bへの圧油の供給を停止する。これに
より、押圧部材32が第2ピストン31bの後退動作と
ともに中立位置まで後退するので、ドローバ5もドロー
バ付勢手段10の付勢力により中立位置まで後退する。
コレット2′は、その先端がカム3c′と係合して係合
爪2d′を開放した状態で保持される。この状態で、次
の工具ホルダTが工具挿着穴1bに挿入されるのを待
つ。
【0050】図10は工具ホルダTを主軸1から取り外
した状態を示す図である。この状態において押圧部材3
2およびドローバ5は中立位置まで後退していて、工具
ホルダTの挿入動作だけで仮保持可能な状態である。A
TCは、この状態で、工具ホルダTをいつでも工具挿着
穴1bに挿入することができ、この挿入動作によりプル
スタッドTaの端面が凸部2aに当接してコレット2を
後方側に押す。このとき、コレット開閉部4はコレット
2と干渉しない中立位置に位置しているので、コレット
2が仮保持状態になるまで後退しても、コレット2とコ
レット開閉部4が干渉することがない。コレット2が後
退すると、コレット2の係合爪2dがプルスタッドTa
に係合しながら後退し、被係合部2cと係合部8aとが
係合して図7に示す仮保持状態になる。ATCは、AT
C独自のタイミングで工具ホルダTの係合を解除して次
の動作に移行する。
【0051】工具ホルダTを仮保持状態にした後は、ソ
レノイドSOL1およびソレノイドSOL2を非励磁に
してAポート,BポートをTポートに接続し、第2シリ
ンダ室30b,第3シリンダ室30cの排油をタンク4
2に排出する。第1シリンダ室30aへの圧油の供給に
より、第1ピストン31aおよび第2ピストン31bを
中立位置から後退させる。このように、工具アンクラン
プ装置29を駆動して押圧部材32を後退位置まで移動
させ、ドローバ5およびコレット開閉部4で工具ホルダ
TのプルスタッドTaを引っ張って図6に示すクランプ
状態にする。なお、主軸1に工具ホルダTを挿着しない
場合においては、押圧部材32は後退位置にあるので、
ドローバ5が付勢手段10によりコレット2′を後方側
へ引っ張っている。手動動作により工具ホルダTを主軸
1に挿着するには、手動操作で切換弁40を動作させ
る。すなわち、まずソレノイドSOL2を励磁させ押圧
部材32を前進位置に位置させ、ドローバ5によりコレ
ット2′を前進させて係合爪2d′を開放させる。この
後、ソレノイドSOL1を励磁させてドローバ5を中立
位置まで後退させ待機させる(図10で示す状態)。こ
の状態で工具挿着穴1bに工具ホルダTを挿入すれば、
凸部2a′にプルスタッドTaが当接してコレット2′
を後退させるので仮保持状態になる。この後、ソレノイ
ドSOL1,SOL2を非励磁状態にすれば、ドローバ
5が後退して工具ホルダTを引っ張りクランプする。
【0052】この実施例にように、押圧部材を前進位
置,中立位置,後退位置の三位置間で前進方向,後退方
向のいずれの方向からでも押圧部材を位置決め停止させ
ることのできる三位置シリンダを使用するとともに、後
退方向へのシリンダ室に常時圧油を供給し、他のシリン
ダ室への圧油の供給を切換弁で行えば、ドローバを前進
位置から中立位置に移動させるだけで仮保持が可能な状
態になり、コレット,仮保持機構および制御手段を簡素
なものにすることができるという特徴がある。また、ド
ローバの進退動作をスムースかつ迅速なものにすること
ができるので、工具交換時間をより短縮することができ
るという特徴もある。
【0053】
【発明の効果】本発明は、上述したように構成されてい
るので、自動工具交換装置の動作と工具アンクランプ装
置の駆動とを連動される必要がない。すなわち、工具ホ
ルダを主軸から離脱させる際には、ATCのアームが工
具ホルダTを把持するまでの間にドローバによる工具ホ
ルダの引っ張りを解除することができる。また、工具挿
着穴に工具ホルダを挿入して主軸に挿着するときには、
工具アンクランプ装置の作動を確認することなく工具ホ
ルダを仮保持させることができ、挿入後ただちにATC
のアームを主軸側の工具交換位置から移動させることが
できるので、工具交換時間の短縮を図ることができる。
また、本発明の工具ホルダの仮保持装置は、ソリッドツ
ールロック機構方式のものにも適用することができ、工
具ホルダやプルスタッド等を特殊形状に加工する必要が
ないので、汎用性にも優れている。さらに、後方から大
きな力で工具ホルダを押しても工具ホルダが主軸から飛
び出すということがなく、工具ホルダの飛び出しを防止
するための保持機構も不要であるので、主軸の内部構造
を簡素にすることができる。
【0054】コレットの内周面にプルスタッドおよびコ
レット開閉部の両方に当接可能な凸部を形成し、ドロー
バを中立位置で待機させたままでコレットが一側位置へ
ドローバと干渉することなく移動できるようにすること
により、工具ホルダを工具挿着穴に挿入するだけで前記
凸部にプルスタッドが当接してコレットを後退させ仮保
持状態にするので、仮保持機構や工具アンクランプ装置
の構成を簡素なものにすることができる。なお、工具ア
ンクランプ装置を請求項3のように構成することによ
り、一側位置から中立位置に移動する場合および他側位
置から中立位置に移動する場合のいずれにおいてもドロ
ーバ押圧部材を安定的に中立位置に位置決め停止させる
ことができるようになるので、工具ホルダのクランプ・
アンクランプ動作や仮保持動作を安定的なものにするこ
とができる。また、工具アンクランプ装置の構成も簡素
なものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例にかかり、(イ)は工具ホ
ルダをクランプした状態における主軸先端部の断面図、
(ロ)は(イ)の状態における工具アンクランプ装置お
よび主軸後端部の断面図である。
【図2】本発明の第1実施例にかかり、(イ)は工具ホ
ルダを仮保持した状態における主軸先端部の断面図、
(ロ)は(イ)の状態における工具アンクランプ装置お
よび主軸後端部の断面図である。
【図3】本発明の第1実施例にかかり、(イ)は工具ホ
ルダの仮保持を解除して工具ホルダを工具挿着穴から抜
脱する状態における主軸先端部の断面図、(ロ)は
(イ)の状態における工具アンクランプ装置および主軸
後端部の断面図である。
【図4】本発明の第1実施例にかかり、(イ)は工具ホ
ルダを抜脱した状態における主軸先端部の断面図、
(ロ)は(イ)の状態における工具アンクランプ装置お
よび主軸後端部の断面図である。
【図5】コレットの内周面に形成された係合凸部とコレ
ット開閉部に形成された先端係合部の作用を説明する図
である。
【図6】本発明の第2実施例にかかり、(イ)は工具ホ
ルダをクランプした状態における主軸先端部の断面図、
(ロ)はドローバ押圧部材を後退位置に位置させた状態
を示す工具アンクランプ装置および主軸後端部の断面図
である。
【図7】本発明の第2実施例にかかり、(イ)は工具ホ
ルダを仮保持した状態における主軸先端部の断面図、
(ロ)はドローバ押圧部材を中立位置に位置させた状態
を示す工具アンクランプ装置および主軸後端部の断面図
である。
【図8】本発明の第2実施例にかかり、(イ)は工具ホ
ルダの仮保持を解除して工具ホルダを工具挿着穴から抜
脱する状態における主軸先端部の断面図、(ロ)は
(イ)の状態における工具アンクランプ装置および主軸
後端部の断面図である。
【図9】本発明の第2実施例にかかり、(イ)は工具ホ
ルダを抜脱してコレットを前進位置に位置させた状態を
示す主軸先端部の断面図、(ロ)はドローバ押圧部材を
中立位置から前進させてコレットを前進位置に移動させ
た状態を示す工具アンクランプ装置および主軸後端部の
断面図である。
【図10】工具ホルダ抜脱後におけるコレットと、中立
位置で待機するコレット開閉部の状態を示す主軸先端部
の断面図である。
【図11】第2実施例における工具アンクランプ装置に
かかり、切換弁の概略説明図である。
【符号の説明】
T 工具ホルダ Ta プルスタッド 1 主軸 1a 貫通穴 1b 工具挿着穴 2 コレット 2a 係合凸部 2c 被係合部 2d 係合爪 4 コレット開閉部 4a 先端係合部(被係合部) 4b 当接部 5 ドローバ 5a ストッパ(規制部材) 7 コレット保持手段(保持手段) 8 スリーブ(係合部材) 8a 係合部 9 ばね(付勢手段) 10 ドローバ付勢手段 11 ばね受け部材 12,29 工具アンクランプ装置 14 摺動部材 14a,31a 第1ピストン 14b,31b 第2ピストン 15 第1押圧部材(ばね押圧部材) 16 第2押圧部材(ドローバ押圧部
材) 17 第3ピストン 17a 第2シリンダ室 20 アーム 22a,b,c リミットスイッチ 40 切換弁

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主軸(1)の貫通穴(1a)内に進退移
    動自在に設けられ、主軸の一端に形成された工具挿着穴
    (1b)に挿入された工具ホルダ(T)のプルスタッド
    (Ta)と係合する係合爪(2d)を一端側に有し、半
    径方向に前記係合爪を開閉することにより前記プルスタ
    ッドを係合または非係合する工具ホルダのコレット
    (2)と、主軸の貫通穴内に進退移動自在に設けられ、
    前記コレットを介して前記プルスタッドを他側に引っ張
    ることにより前記工具ホルダをクランプするドローバ
    と、このドローバを他側に付勢するドローバ付勢手段
    (10)と、前記貫通穴内に設けられ、前記コレットの
    進退移動により前記係合爪を開閉させるカム部材(3)
    と、前記ドローバの一端に設けられ、前記コレットと係
    合するとともに前記コレットを進退移動させて前記係合
    爪を前記カム部材に沿って開閉させる開閉部材(4)
    と、ドローバ押圧部材(16)により他端側からドロー
    バを押してドローバを一側に移動させ、前記工具ホルダ
    をアンクランプ状態にする工具アンクランプ装置とから
    なる工具ホルダの仮保持装置であって、 前記コレットの他端側の内周面に形成されたテーパ状の
    被係合部(2c)と、前記コレットの他方側に設けら
    れ、主軸軸線方向に進退移動自在であるとともに前記被
    係合部と係合するテーパ状の係合部(8a)を一端側の
    外周面に有する係合部材(8)と、 この係合部材を前記コレットに当接させるように前記係
    合部材を介して前記コレットを常時一側に付勢する付勢
    手段(9)とからなり、 前記ドローバが前記工具アンクランプ装置により一側へ
    移動したとき、前記係合部材の付勢手段による一側への
    付勢力で前記工具ホルダを仮保持させることを特徴とす
    る工作機械の主軸における工具ホルダの仮保持装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の工具ホルダの仮保持装
    置において、 前記工具アンクランプ装置(12)は、前記ドローバ付
    勢手段が前記ドローバを介して前記工具ホルダを他側に
    引っ張りクランプすること妨げない工具クランプ位置
    と、前記ドローバによる前記工具ホルダの引っ張りを解
    除して前記工具ホルダを仮保持状態にする仮保持位置
    と、前記ドローバを一側に移動させ前記プルスタッドを
    強制的に押圧する工具アンクランプ位置の三位置間で前
    記ドローバ押圧部材を移動できるようにしたことを特徴
    とする工作機械の主軸における工具ホルダの仮保持装
    置。
  3. 【請求項3】 前記工具アンクランプ装置(29)は、
    シリンダ本体(30)内に進退移動自在に嵌入された第
    1ピストン(31a)および第2ピストン(31b)
    と、 この2個のピストンがシリンダ本体の内部を仕切ること
    によって形成される第1シリンダ室(30a),第2シ
    リンダ室(30b)および第3シリンダ室(30c)
    と、 この第1ないし第3シリンダ室の各々に設けられ、前記
    各ピストンを押圧して移動させるための圧力流体が出入
    りする圧力流体の出入口と、 前記ピストンが所定ストローク移動したときに、各ピス
    トンの移動を規制するストッパと、 各ピストンが前記所定ストローク移動することにより段
    階的に進退移動するドローバ押圧部材(32)と、 前記各シリンダ室に供給する所定圧力の圧力流体を発生
    する圧力流体発生装置(41)と、 この圧力流体発生装置により発生された圧力流体を所定
    の前記シリンダ室に分配する圧力流体の切換弁(40)
    とからなり、 前記各シリンダ室において前記各ピストンが前記圧力流
    体により押圧力を付与される部分の受圧面積を一側から
    順にA1 ,A2 ,A3 ,A4 とした場合に、前記受圧面
    積はA1 <A2 <A3 <A4 なる関係にあり、 前記切換弁は、第1シリンダ室に常時圧力流体を供給し
    た状態で、ポートの切換により、第3シリンダ室に圧力
    流体を供給しながら第2シリンダ室からは排出流体を排
    出する動作、第2および第3シリンダ室の双方から排出
    流体を排出する動作、第2および第3シリンダ室の双方
    に圧力流体を供給する動作を行うこと、 を特徴とする請求項2に記載の工具ホルダの仮保持装
    置。
  4. 【請求項4】 前記コレット(2)の内周面に係合凸部
    (2a)を形成するとともに前記開閉部材(4)の一端
    側に前記係合凸部と係合できる被係合部(4a)を形成
    し、前記ドローバが前記仮保持位置から前記工具アンク
    ランプ位置に移動するときに、前記係合凸部と前記被係
    合部とを係合させて前記ドローバの移動とともに前記コ
    レットが一側に移動できるようにしたことを特徴とする
    請求項1または請求項2のいずれかに記載の工作機械の
    主軸における工具ホルダの仮保持装置。
  5. 【請求項5】 前記コレット(2′)は、前記開閉部材
    (4)の先端および前記プルスタッド(Ta)と当接可
    能な凸部(2a′)を内周面に有し、かつ、工具ホルダ
    (T)の引き抜き動作時においてコレット(2′)内の
    中立位置で待機するドローバ(5)と干渉することなく
    前記コレットが前記一側位置まで移動することができる
    こと、 を特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載
    の工作機械の主軸における工具ホルダの仮保持装置。
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