JPH08174267A - アーク溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents
アーク溶接用フラックス入りワイヤInfo
- Publication number
- JPH08174267A JPH08174267A JP32338794A JP32338794A JPH08174267A JP H08174267 A JPH08174267 A JP H08174267A JP 32338794 A JP32338794 A JP 32338794A JP 32338794 A JP32338794 A JP 32338794A JP H08174267 A JPH08174267 A JP H08174267A
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- JP
- Japan
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- wire
- flux
- welding
- cored wire
- steel
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は、主として490MPa級以上の高
張力鋼の溶接に際しても、予熱を必要としないか、また
は予熱を低減でき、かつ耐低温割れ性が極めて優れた溶
接部を得ることができるアーク溶接用フラックス入りワ
イヤを提供する。 【構成】 チタニヤ系フラックス入りワイヤにおいて、
所定量のVを鋼製外皮と充填フラックスの一方または両
方に添加したことを特徴とする鋼溶接部の耐低温割れ性
を改善するアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
張力鋼の溶接に際しても、予熱を必要としないか、また
は予熱を低減でき、かつ耐低温割れ性が極めて優れた溶
接部を得ることができるアーク溶接用フラックス入りワ
イヤを提供する。 【構成】 チタニヤ系フラックス入りワイヤにおいて、
所定量のVを鋼製外皮と充填フラックスの一方または両
方に添加したことを特徴とする鋼溶接部の耐低温割れ性
を改善するアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、490N/mm2 級以
上の高張力鋼を対象とし、鋼溶接部の耐低温割れ性を改
善するアーク溶接用フラックス入りワイヤに関するもの
である。
上の高張力鋼を対象とし、鋼溶接部の耐低温割れ性を改
善するアーク溶接用フラックス入りワイヤに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】船舶や建築の大型化に伴い、鋼材の軽量
化のために高張力鋼材の使用が増加している。高張力鋼
は、降伏点並びに引張強さを高めるために少量の合金元
素を含ませてあるため、高張力鋼をアーク溶接する場
合、溶接低温割れがよく発生することが知られている。
化のために高張力鋼材の使用が増加している。高張力鋼
は、降伏点並びに引張強さを高めるために少量の合金元
素を含ませてあるため、高張力鋼をアーク溶接する場
合、溶接低温割れがよく発生することが知られている。
【0003】低温割れの原因としては、溶接部の硬化、
拡散性水素量、溶接部材の拘束度などの要因があるが、
特に拡散性水素量の影響が大きいことが知られている。
このように、溶接金属に水素が多い場合に発生する低温
割れは、溶接金属部の組織と水素量で決まるものであ
り、特に、最近のように高強度・高靱性鋼の溶接におい
ては、ワイヤ中に強度・靱性を向上させるために焼入れ
性元素を含有させており、母材熱影響部より溶接部に割
れが発生しがちである。
拡散性水素量、溶接部材の拘束度などの要因があるが、
特に拡散性水素量の影響が大きいことが知られている。
このように、溶接金属に水素が多い場合に発生する低温
割れは、溶接金属部の組織と水素量で決まるものであ
り、特に、最近のように高強度・高靱性鋼の溶接におい
ては、ワイヤ中に強度・靱性を向上させるために焼入れ
性元素を含有させており、母材熱影響部より溶接部に割
れが発生しがちである。
【0004】溶接割れを防止ないしは軽減する手段とし
て、いくつかの方法が見出されているが、この中で、従
来から最も一般的に用いられ、かつ溶接割れに最も効果
があるとされているのが、母材を予熱または後熱する方
法である。この方法は、溶接部の冷却速度を緩やかにし
て、溶接部の組織にマルテンサイトが生成するのを少な
くする効果と、溶接部の拡散性水素の放出時間を長くし
て水素脆化を抑制する効果、および残留応力の発生を緩
和する効果がある。これらの効果を達成するための予熱
温度は、母材の成分、母材の板厚、強度および溶接材料
の組成等によって異なるが、590N/mm2 級高張力
鋼の溶接では、一般に100℃前後が採用され、高いも
のでは200℃にも達している。このように高い予熱温
度は、溶接作業を著しく困難にする上に、溶接施工費の
急増を招く原因となり、予熱を必要としないか、または
予熱温度を低減できる耐割れ性の極めて優れたフラック
ス入りワイヤの開発が要望されている。
て、いくつかの方法が見出されているが、この中で、従
来から最も一般的に用いられ、かつ溶接割れに最も効果
があるとされているのが、母材を予熱または後熱する方
法である。この方法は、溶接部の冷却速度を緩やかにし
て、溶接部の組織にマルテンサイトが生成するのを少な
くする効果と、溶接部の拡散性水素の放出時間を長くし
て水素脆化を抑制する効果、および残留応力の発生を緩
和する効果がある。これらの効果を達成するための予熱
温度は、母材の成分、母材の板厚、強度および溶接材料
の組成等によって異なるが、590N/mm2 級高張力
鋼の溶接では、一般に100℃前後が採用され、高いも
のでは200℃にも達している。このように高い予熱温
度は、溶接作業を著しく困難にする上に、溶接施工費の
急増を招く原因となり、予熱を必要としないか、または
予熱温度を低減できる耐割れ性の極めて優れたフラック
ス入りワイヤの開発が要望されている。
【0005】極厚鋼板を予熱しないで溶接割れを防ぐ方
法として、溶接材料自体の拡散性水素量を低減する方法
がある。しかし、溶接材料の拡散性水素量を低減して
も、大気中の水蒸気が高温多湿時には溶接時に大気中の
水分を巻込んで水素を増加させる原因となる。Vを含有
させたフラックス入りワイヤとしては、例えば特開平3
−146295号公報には、特定重量%のC、Si、M
nとNb、Ta、B、V、Crの1種以上含有させ、ワ
イヤのポテンシャル水素量を特定することにより、ピッ
ト、ブローホール等の溶接欠陥の発生を低減できる金属
粉系フラックス入ワイヤが提案されているが、耐低温割
れ性の改善には至っていない。また、特開昭61−67
593号公報や特開昭61−135499号公報には、
Vを特定量添加することにより、降伏比を高め、かつ靱
性を向上させる鋼ワイヤが提案されているが、耐低温割
れ性の改善には至っていない。
法として、溶接材料自体の拡散性水素量を低減する方法
がある。しかし、溶接材料の拡散性水素量を低減して
も、大気中の水蒸気が高温多湿時には溶接時に大気中の
水分を巻込んで水素を増加させる原因となる。Vを含有
させたフラックス入りワイヤとしては、例えば特開平3
−146295号公報には、特定重量%のC、Si、M
nとNb、Ta、B、V、Crの1種以上含有させ、ワ
イヤのポテンシャル水素量を特定することにより、ピッ
ト、ブローホール等の溶接欠陥の発生を低減できる金属
粉系フラックス入ワイヤが提案されているが、耐低温割
れ性の改善には至っていない。また、特開昭61−67
593号公報や特開昭61−135499号公報には、
Vを特定量添加することにより、降伏比を高め、かつ靱
性を向上させる鋼ワイヤが提案されているが、耐低温割
れ性の改善には至っていない。
【0006】一方、特開昭62−101394号公報や
特開昭62−114795号公報には、Cr−Mo系低
合金耐熱鋼溶接用鋼ワイヤが提案されているが、Vの添
加は高温におけるクリープ特性を改善させるのが目的で
あり、やはり耐低温割れ性を向上させるものではない。
従って、これらの技術には予熱なしの施工あるいは予熱
温度の低減効果を期待できない。
特開昭62−114795号公報には、Cr−Mo系低
合金耐熱鋼溶接用鋼ワイヤが提案されているが、Vの添
加は高温におけるクリープ特性を改善させるのが目的で
あり、やはり耐低温割れ性を向上させるものではない。
従って、これらの技術には予熱なしの施工あるいは予熱
温度の低減効果を期待できない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の問題点を解決するためになされたものであって、主
として490N/mm2 級以上の高張力鋼の溶接に際し
ても、予熱を必要としないか、あるいは予熱温度を低減
できる耐割れ性の極めて優れたアーク溶接用フラックス
入りワイヤを提供することを目的とするものである。
術の問題点を解決するためになされたものであって、主
として490N/mm2 級以上の高張力鋼の溶接に際し
ても、予熱を必要としないか、あるいは予熱温度を低減
できる耐割れ性の極めて優れたアーク溶接用フラックス
入りワイヤを提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために、拡散性水素量を低減する方法以外で
予熱温度を低減しても低温割れが防止できるフラックス
入りワイヤを開発すべく研究を重ねた結果、従来Cr−
Mo鋼用溶接材料で主に高温強度特性を向上させるため
に添加使用されているVに着目し、溶接金属中に特定量
含有させることによって溶接金属中の水素を吸蔵させ、
かつ微細炭化物を生成して溶接金属中の炭素を固定する
ことによって炭素による割れ感受性を低下させることが
でき、これにより耐割れ性が向上するとともに、強度を
も確保できるという知見を得るに至った。
を達成するために、拡散性水素量を低減する方法以外で
予熱温度を低減しても低温割れが防止できるフラックス
入りワイヤを開発すべく研究を重ねた結果、従来Cr−
Mo鋼用溶接材料で主に高温強度特性を向上させるため
に添加使用されているVに着目し、溶接金属中に特定量
含有させることによって溶接金属中の水素を吸蔵させ、
かつ微細炭化物を生成して溶接金属中の炭素を固定する
ことによって炭素による割れ感受性を低下させることが
でき、これにより耐割れ性が向上するとともに、強度を
も確保できるという知見を得るに至った。
【0009】本発明は、上記知見に基いてなされたもの
であり、その要旨とするところは、鋼製外皮にワイヤ全
重量に対してTiO2 :2.5〜6.5%、TiO2 以
外のアーク安定剤およびスラグ生成剤:0.5〜4.5
%、脱酸剤:1.0〜4.0%を含有するチタニヤ系フ
ラックスを充填してなるマグ溶接フラックス入りワイヤ
において、鋼製外皮と充填フラックスの一方または両方
にワイヤ全重量に対してV:0.05〜0.25%を含
有したことを特徴とする鋼溶接部の耐低温割れ性を改善
するアーク溶接用フラックス入りワイヤにある。
であり、その要旨とするところは、鋼製外皮にワイヤ全
重量に対してTiO2 :2.5〜6.5%、TiO2 以
外のアーク安定剤およびスラグ生成剤:0.5〜4.5
%、脱酸剤:1.0〜4.0%を含有するチタニヤ系フ
ラックスを充填してなるマグ溶接フラックス入りワイヤ
において、鋼製外皮と充填フラックスの一方または両方
にワイヤ全重量に対してV:0.05〜0.25%を含
有したことを特徴とする鋼溶接部の耐低温割れ性を改善
するアーク溶接用フラックス入りワイヤにある。
【0010】ここで、充填フラックス中に添加するVと
は、金属バナジウム、フェロバナジウムなどの合金、化
合物さらにこれらの混合物、混合粉末を示すものであ
る。
は、金属バナジウム、フェロバナジウムなどの合金、化
合物さらにこれらの混合物、混合粉末を示すものであ
る。
【0011】
【作用】以下に本発明を詳細に説明する。軟鋼外皮を用
いた590N/mm2 級チタニヤ系ワイヤに充填フラッ
クス中にワイヤ全重量に対してVを0.002〜0.5
%の範囲で添加した1.2mmφに仕上げた10種類の
試作ワイヤを用い、溶接金属の耐割れ性を調査するU形
溶接割れ試験(JIS Z 3157)を行った。鋼材
は、JIS規格のSM570の板厚50mmを用い、シ
ールドガス:CO2 、ワイヤ突出長さ:20mm、溶接
電流:270A、アーク電圧:30V、溶接入熱:16
kJ/cm、気温:30℃、相対湿度:80%の条件で
実施し、割れ停止に必要な予熱温度を求めた。
いた590N/mm2 級チタニヤ系ワイヤに充填フラッ
クス中にワイヤ全重量に対してVを0.002〜0.5
%の範囲で添加した1.2mmφに仕上げた10種類の
試作ワイヤを用い、溶接金属の耐割れ性を調査するU形
溶接割れ試験(JIS Z 3157)を行った。鋼材
は、JIS規格のSM570の板厚50mmを用い、シ
ールドガス:CO2 、ワイヤ突出長さ:20mm、溶接
電流:270A、アーク電圧:30V、溶接入熱:16
kJ/cm、気温:30℃、相対湿度:80%の条件で
実施し、割れ停止に必要な予熱温度を求めた。
【0012】図1より明らかな如く、V量が0.05重
量%未満のワイヤの割れ停止に必要な予熱温度は100
〜125℃である。一方、V量が0.05〜0.25重
量%のワイヤの割れ停止に必要な予熱温度は、溶接金属
中の水素の吸蔵作用と微細炭化物を生成して溶接金属中
の炭素を固定することの相乗作用によって50℃以下と
なり、特にワイヤ中のV量が0.07〜0.20重量%
近傍のワイヤは格段に優れた耐割れ性が得られた。しか
し、V量が0.25重量%を超えたワイヤは微細炭化物
の生成が期待できず、逆に強度が高くなり過ぎるため、
割れ停止に必要な予熱温度は100〜150℃である。
量%未満のワイヤの割れ停止に必要な予熱温度は100
〜125℃である。一方、V量が0.05〜0.25重
量%のワイヤの割れ停止に必要な予熱温度は、溶接金属
中の水素の吸蔵作用と微細炭化物を生成して溶接金属中
の炭素を固定することの相乗作用によって50℃以下と
なり、特にワイヤ中のV量が0.07〜0.20重量%
近傍のワイヤは格段に優れた耐割れ性が得られた。しか
し、V量が0.25重量%を超えたワイヤは微細炭化物
の生成が期待できず、逆に強度が高くなり過ぎるため、
割れ停止に必要な予熱温度は100〜150℃である。
【0013】鋼製外皮および充填フラックスの一方ある
いは両方から添加する場合、Vはワイヤ全重量に対して
0.05〜0.25%範囲内であれば任意の割合で選定
できる。本発明では上記特性を踏まえ、各成分の含有率
を以下のように定めた。 TiO2 :2.5〜6.5% TiO2 はアークの安定性およびスラグ被包性を高め、
全姿勢溶接性を良好にする上でも不可欠の成分であり、
2.5%未満ではその効果が得られない。しかし、6.
5%を超えるとスラグ粘性が高くなり過ぎてビード形状
が悪化し、さらには溶接金属中に過剰の還元Tiが歩留
って、機械的性質(特に靱性)が低下する。従って、T
iO2 は2.5〜6.5%の範囲とする。
いは両方から添加する場合、Vはワイヤ全重量に対して
0.05〜0.25%範囲内であれば任意の割合で選定
できる。本発明では上記特性を踏まえ、各成分の含有率
を以下のように定めた。 TiO2 :2.5〜6.5% TiO2 はアークの安定性およびスラグ被包性を高め、
全姿勢溶接性を良好にする上でも不可欠の成分であり、
2.5%未満ではその効果が得られない。しかし、6.
5%を超えるとスラグ粘性が高くなり過ぎてビード形状
が悪化し、さらには溶接金属中に過剰の還元Tiが歩留
って、機械的性質(特に靱性)が低下する。従って、T
iO2 は2.5〜6.5%の範囲とする。
【0014】TiO2 以外のアーク安定剤およびスラグ
生成剤:0.5〜4.5% TiO2 を主体とする本発明ワイヤにおいては、アーク
を安定化してスパッタ発生量を低減させるためにこれら
の添加が必要である。ここでいうアーク安定剤として
は、Li、Na、K等のアルカリ金属およびその化合物
が挙げられる。スラグ形成剤は、ビード形状を改善する
ために溶着速度の低下を来さない範囲で添加する必要が
ある。TiO2 以外のアーク安定剤およびスラグ生成剤
が0.5%未満ではビード形状の改善効果は認められ
ず、また4.5%を超えるとスラグ量が増大してスラグ
巻込み等の欠陥を生じたり、溶接能率が低下したりす
る。従って、アーク安定剤およびスラグ生成剤は0.5
〜4.5%とする。なお、スラグ生成剤としては、Si
O2 、ZrO2 、Al2 O3 、MnO、MgO等の酸化
物、CaF2 、BaF2 、LiF等の弗化物およびCa
CO3 、BaCO3 等の炭酸塩が使用できる。
生成剤:0.5〜4.5% TiO2 を主体とする本発明ワイヤにおいては、アーク
を安定化してスパッタ発生量を低減させるためにこれら
の添加が必要である。ここでいうアーク安定剤として
は、Li、Na、K等のアルカリ金属およびその化合物
が挙げられる。スラグ形成剤は、ビード形状を改善する
ために溶着速度の低下を来さない範囲で添加する必要が
ある。TiO2 以外のアーク安定剤およびスラグ生成剤
が0.5%未満ではビード形状の改善効果は認められ
ず、また4.5%を超えるとスラグ量が増大してスラグ
巻込み等の欠陥を生じたり、溶接能率が低下したりす
る。従って、アーク安定剤およびスラグ生成剤は0.5
〜4.5%とする。なお、スラグ生成剤としては、Si
O2 、ZrO2 、Al2 O3 、MnO、MgO等の酸化
物、CaF2 、BaF2 、LiF等の弗化物およびCa
CO3 、BaCO3 等の炭酸塩が使用できる。
【0015】脱酸剤:1.0〜4.0% 脱酸剤は、脱酸を促進させ、溶接金属中の内部欠陥を防
止するとともに、目標とする溶接金属強度を確保するた
めに必要である。添加量が1.0%未満では必要強度の
確保が困難であるとともに、脱酸不足により溶接金属に
内部欠陥が発生する。一方、4.0%を超えて添加する
と溶接金属が硬化して靱性が低下する。従って、脱酸剤
の添加量は1.0〜4.0%の範囲とする。脱酸剤とし
ては、Si、Mn、Al、Ti、Mg等の金属、合金お
よび化合物が使用できる。
止するとともに、目標とする溶接金属強度を確保するた
めに必要である。添加量が1.0%未満では必要強度の
確保が困難であるとともに、脱酸不足により溶接金属に
内部欠陥が発生する。一方、4.0%を超えて添加する
と溶接金属が硬化して靱性が低下する。従って、脱酸剤
の添加量は1.0〜4.0%の範囲とする。脱酸剤とし
ては、Si、Mn、Al、Ti、Mg等の金属、合金お
よび化合物が使用できる。
【0016】以上が本発明ワイヤの必須成分であるが、
溶接能率の向上を目的として鉄粉を、強度の向上を目的
としてNi、Cr、Moを、さらに低温靱性の向上を目
的としてBを添加することもできる。さらに、本発明に
係わるワイヤのフラックス充填率は8〜20%とするこ
とが望ましい。その理由は、充填率が20%を超えると
伸線時に断線トラブルが多発して生産性が悪くなるから
であり、また8%より少なくなるとアークの安定性が損
なわれるからである。
溶接能率の向上を目的として鉄粉を、強度の向上を目的
としてNi、Cr、Moを、さらに低温靱性の向上を目
的としてBを添加することもできる。さらに、本発明に
係わるワイヤのフラックス充填率は8〜20%とするこ
とが望ましい。その理由は、充填率が20%を超えると
伸線時に断線トラブルが多発して生産性が悪くなるから
であり、また8%より少なくなるとアークの安定性が損
なわれるからである。
【0017】ワイヤの断面形状については何等の制限も
なく、2mm以下の細径の場合は比較的単純な円筒状の
ものが一般的である。また、シームレスワイヤにおいて
は表面にCu等のめっき処理を施すことも有効である。
なく、2mm以下の細径の場合は比較的単純な円筒状の
ものが一般的である。また、シームレスワイヤにおいて
は表面にCu等のめっき処理を施すことも有効である。
【0018】
【実施例】表1に本実施例ワイヤに用いた鋼製外皮を示
す。また表2、表3(表2のつづき−1)、表4(表2
のつづき−2)、表5(表2のつづき−3)、表6(表
22のつづき−4)および表7(表2のつづき−5)に
実施例ワイヤのフラックス組成を示す。ワイヤ径はいず
れも1.2mmである。
す。また表2、表3(表2のつづき−1)、表4(表2
のつづき−2)、表5(表2のつづき−3)、表6(表
22のつづき−4)および表7(表2のつづき−5)に
実施例ワイヤのフラックス組成を示す。ワイヤ径はいず
れも1.2mmである。
【0019】これらのワイヤによる溶接金属の耐割れ性
を調査するU形溶接割れ試験(JIS Z 3157)
を行った。鋼材は、ワイヤの強度によってJIS規格の
590N/mm2 級および780N/mm2 級の板厚5
0mmを選択した。溶接条件は、溶接電流:270A、
電圧:30V、ワイヤ突出長さ:20mm、シールドガ
ス:CO2 、溶接入熱:16kJ/cm、気温:30
℃、相対湿度:80%の条件で実施し、割れ停止に必要
な予熱温度を求めた。
を調査するU形溶接割れ試験(JIS Z 3157)
を行った。鋼材は、ワイヤの強度によってJIS規格の
590N/mm2 級および780N/mm2 級の板厚5
0mmを選択した。溶接条件は、溶接電流:270A、
電圧:30V、ワイヤ突出長さ:20mm、シールドガ
ス:CO2 、溶接入熱:16kJ/cm、気温:30
℃、相対湿度:80%の条件で実施し、割れ停止に必要
な予熱温度を求めた。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】
【表3】
【0023】
【表4】
【0024】
【表5】
【0025】
【表6】
【0026】
【表7】
【0027】本発明ワイヤによる溶接割れ停止予熱温度
は、適正なV量が含有されているため、590N/mm
2 級ワイヤおよび780N/mm2 級ワイヤともに50
℃以下であり、特にワイヤ全体のV量が0.07〜0.
20%近傍のワイヤNo.1、3、4、6およびNo.
7、10、11は溶接割れ停止温度が30℃まで低下し
ており、非常に良好な耐低温割れ性を有している。
は、適正なV量が含有されているため、590N/mm
2 級ワイヤおよび780N/mm2 級ワイヤともに50
℃以下であり、特にワイヤ全体のV量が0.07〜0.
20%近傍のワイヤNo.1、3、4、6およびNo.
7、10、11は溶接割れ停止温度が30℃まで低下し
ており、非常に良好な耐低温割れ性を有している。
【0028】比較ワイヤNo.12、16は、ワイヤ中
にVを含有してない通常のワイヤであり、溶接割れ停止
予熱温度は125℃以上であった。No.14、15、
17、19はバナジウムが多すぎるため溶接割れ停止予
熱温度は100℃以上であった。No.13、18は鋼
製外皮と充填フラックスからVを含有しているが、その
添加量が少な過ぎるため溶接割れ停止予熱温度は100
℃以上であった。
にVを含有してない通常のワイヤであり、溶接割れ停止
予熱温度は125℃以上であった。No.14、15、
17、19はバナジウムが多すぎるため溶接割れ停止予
熱温度は100℃以上であった。No.13、18は鋼
製外皮と充填フラックスからVを含有しているが、その
添加量が少な過ぎるため溶接割れ停止予熱温度は100
℃以上であった。
【0029】
【発明の効果】以上のように、本発明フラックス入りワ
イヤによれは、従来の高張力鋼用フラックス入りワイヤ
と比較して耐低温割れ性を著しく向上させたものであ
り、これは従来の高張力鋼用フラックス入りワイヤでは
到底達成し得ないもので、各種産業の発展に貢献すると
ころ極めて大である。
イヤによれは、従来の高張力鋼用フラックス入りワイヤ
と比較して耐低温割れ性を著しく向上させたものであ
り、これは従来の高張力鋼用フラックス入りワイヤでは
到底達成し得ないもので、各種産業の発展に貢献すると
ころ極めて大である。
【図1】充填フラックス中のV量と割れ停止予熱温度と
の関係を示す図である。
の関係を示す図である。
Claims (1)
- 【請求項1】 鋼製外皮にワイヤ全重量に対してTiO
2 :2.5〜6.5%、TiO2 以外のアーク安定剤お
よびスラグ生成剤:0.5〜4.5%、脱酸剤:1.0
〜4.0%を含有するチタニヤ系フラックスを充填して
なるマグ溶接フラックス入りワイヤにおいて、鋼製外皮
と充填フラックスの一方または両方にワイヤ全重量に対
してV:0.05〜0.25%を含有したことを特徴と
する鋼溶接部の耐低温割れ性を改善するアーク溶接用フ
ラックス入りワイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32338794A JP3208556B2 (ja) | 1994-12-26 | 1994-12-26 | アーク溶接用フラックス入りワイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32338794A JP3208556B2 (ja) | 1994-12-26 | 1994-12-26 | アーク溶接用フラックス入りワイヤ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08174267A true JPH08174267A (ja) | 1996-07-09 |
JP3208556B2 JP3208556B2 (ja) | 2001-09-17 |
Family
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