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JPH08174245A - 肉盛方法 - Google Patents

肉盛方法

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Publication number
JPH08174245A
JPH08174245A JP6316777A JP31677794A JPH08174245A JP H08174245 A JPH08174245 A JP H08174245A JP 6316777 A JP6316777 A JP 6316777A JP 31677794 A JP31677794 A JP 31677794A JP H08174245 A JPH08174245 A JP H08174245A
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JP
Japan
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build
layer
overlay
angle
welding
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JP6316777A
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Akio Sato
彰生 佐藤
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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  • Laser Beam Processing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】肉盛層の幅方向の厚さを調整可能として、肉盛
層を形成する母材表面が水平でない場合でも必要形状の
肉盛層を得ることのできる肉盛方法を提供する。 【構成】高エネルギー熱源を用いて長手方向に肉盛する
方法であって、母材上に供給された肉盛材に高エネルギ
ー熱源を照射する際、長手方向に対して斜めに高エネル
ギー熱源をオシレート(往復動)させることを特徴とす
る。加工進行方向に対して斜めに高エネルギー熱源をオ
シレートさせるので、加工される肉盛層の幅方向におい
て照射時期に時間差が生まれる。水平でない母材面に肉
盛する場合、肉盛層の幅方向のうち高い部分が低い部分
より先に高エネルギー熱源が照射されるように、加工進
行方向に対して斜めにオシレートさせれば、水平でない
母材面に必要形状の肉盛層を形成することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高エネルギー熱源を用
いる肉盛方法に関する。本発明の肉盛方法は、例えば自
動車エンジン用のバルブシートの表面を耐摩耗合金処理
する際に好適に利用することができる。
【0002】
【従来の技術】従来、母材の表面加工処理として、耐摩
耗性、耐熱性、耐食性等を向上させる目的で、これらの
特性に優れた材料をアルミニウム系等の母材表面に肉盛
する技術が利用されている。例えば、特開平2−246
37号公報には、アルミニウム系母材へ耐熱性、耐摩耗
性、耐食性等に優れた銅系肉盛合金材料をレーザービー
ムを照射することにより肉盛する技術が開示されてい
る。この肉盛方法は、アルミニウム系母材の肉盛位置に
銅系肉盛合金粉末を供給し、母材を加工進行方向に移動
させながら、母材に供給された銅系肉盛合金粉末にレー
ザービームを加工進行方向と垂直な方向にオシレート
(往復動)しつつ照射するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、高エネルギ
ー熱源が照射された肉盛材は溶融して母材上に溶着する
わけだが、母材面が水平でない場合、溶融した肉盛材は
重力により低い方へ垂れ下がる。ここで、従来方法のよ
うに加工される肉盛層の長手方向に対して垂直な方向
(肉盛層の幅方向)に高エネルギー熱源をオシレートさ
せた場合、肉盛層の幅方向において肉盛材はほぼ同時期
に照射されて溶融し、凝固する。このため、上記従来方
法で水平でない母材面に肉盛した場合、溶融した肉盛材
は母材上を低い方に多く偏在してしまい、必要形状の肉
盛層を得ることが困難であった。
【0004】この場合、肉盛層を形成する母材面が水平
となるように母材を傾けた状態で、該母材面に肉盛材料
を供給して高エネルギー熱源を照射させる方法も考えら
れるが、母材が自動車エンジン用のシリンダヘッドのよ
うに大型部品の場合は、母材面が水平となるように母材
を正確に傾けること、及び母材を傾けながら加工進行方
向に移動させることは極めて困難である。
【0005】本発明は上記実情に鑑みてなされたもので
あり、肉盛層の幅方向の厚さを調整可能として、肉盛層
の幅方向において母材表面が水平でない場合でも必要形
状の肉盛層を得ることのできる肉盛方法を提供すること
を解決すべき技術課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の肉盛方法は、高エネルギー熱源を用いて長手方向に
肉盛する方法であって、母材上に供給された肉盛材に前
記高エネルギー熱源を照射する際、前記長手方向に対し
て斜めに高エネルギー熱源をオシレート(往復動)させ
ることを特徴とするものである。
【0007】
【作用】母材上に供給された肉盛材に高エネルギー熱源
を照射する際、従来の肉盛方法のように、加工される肉
盛層の長手方向(加工進行方向)に対して垂直な方向に
高エネルギー熱源をオシレートさせた場合は、加工され
る肉盛層の幅方向(加工進行方向に対して垂直な方向)
において照射時期がほぼ同一となる。これに対し、本発
明の肉盛方法は、加工進行方向に対して斜めに高エネル
ギー熱源をオシレートさせるので、加工される肉盛層の
幅方向において照射時期に時間差が生まれる。例えば、
加工進行方向を前後方向とし、この加工進行方向と垂直
な左右方向に対して時計回りに角度θだけ傾いた方向に
高エネルギー熱源をオシレートさせた場合、肉盛層の幅
方向のうち左側の部分は右側の部分より先に照射される
こととなる。
【0008】ここで、水平でない母材面に本発明方法に
より肉盛する場合を考える。例えば上記肉盛層の幅方向
のうち左側の部分が高く右側の部分が低くなるように傾
いた母材面に肉盛する場合、上記例のように加工進行方
向と垂直な左右方向に対して時計回りに角度θだけ傾い
た方向に高エネルギー熱源をオシレートさせると、肉盛
層の幅方向のうち左側の部分は右側の部分より先に照射
される。このとき、加工進行方向に対して先行する左側
のオシレート端は常に初期温度の母材に照射されるが、
右側のオシレート端は先行のオシレート入熱の後を追い
かけるため、加工進行方向に対し垂直な断面で母材の入
熱分布をみた場合、右側の方が入熱が大きくなる。した
がって、母材面が高い左側は、右側に比べて温度上昇が
少なくなり、右側より速く凝固を開始する。また、溶融
プールはオシレート入熱に沿って形成されるため、加工
進行方向に対し垂直な断面で凝固の様子を観察すると、
まず左側が凝固し遅れて右側が凝固する。このため、母
材面が高い左側は、溶融プールができてすぐに凝固する
ことになり、重力方向にひっぱられる影響が小さくな
る。このように、母材面が高い左側での溶着が改善さ
れ、母材面が傾いている場合でも、必要形状の肉盛層を
得ることが可能となる。
【0009】
【実施例】以下、実施例により具体的に説明する。 (実施例1)図1に模式的に示すように本実施例は、ア
ルミニウム合金(JIS規格のAC2B、AC4Cなど
のアルミ合金鋳物)よりなる自動車エンジン用シリンダ
ヘッド1のポート1aの周囲のバルブシート部2に高エ
ネルギー熱源を用いて肉盛するものである。なお、肉盛
材Mとしては、アルミニウム系母材との溶着性に優れる
Cu基自溶性合金(組成:Cu−16Ni−8Co−7
Mo−6Fe−1.5Cr−3Si)を用いる。
【0010】本実施例に係る装置は、図示しないレーザ
発生装置から照射されるレーザービームLを収束させる
凸レンズ3と、凸レンズ3を通ったレーザービームLを
処理面に向かって反射させるオシレートミラー4と、オ
シレートミラー4により反射されるレーザービームLが
所定の方向に一定幅でオシレート(往復振動)するよう
にオシレートミラー4を操作するガルバノモータ5と、
処理面に肉盛材Mを供給する肉盛材供給装置6と、処理
面にシールドガス(アルゴンガス)を供給するシールド
ガス供給装置7とを備えている。なお、シリンダヘッド
1は、図示しない回転テーブルにより、バルブシート部
2を水平に維持しつつ回転駆動可能とされている。
【0011】シリンダヘッド1のポート1a付近の部分
拡大断面図を図2に示す。シリンダヘッド1のポート1
a付近には、内周側凸壁部11及び外周側凸壁部12が
設けられ、両凸壁部11及び12間に溝部13が形成さ
れている。溝部13の内壁面は、内周側から順に、粉末
受け面13a、肉盛層形状制御面13b、肉盛層形成面
13c、ビーム逃がし面13dとされている。なお、粉
末受け面13a及びビーム逃がし面13dはそれぞれ水
平面から75度の角度で仰傾しており、肉盛層形状制御
面13b及び肉盛層形成面13cはそれぞれ水平面から
45度の角度で仰傾している。また、粉末受け面13a
及びビーム逃がし面13dの幅はそれぞれ2.9mmで
あり、肉盛層形状制御面13b及び肉盛層形成面13c
の幅はそれぞれ2.6mmである。
【0012】上記装置を用いて、以下の条件で、シリン
ダヘッド1を回転させながら肉盛層形成面13cの長手
方向(周方向)に順にCu基自溶性合金よりなる肉盛材
Mを肉盛して肉盛層8を形成した。なお、オシレート角
度θとは、バルブシート部2の斜視図を図3に模式的に
示すように、形成する肉盛層の長手方向(加工進行方
向)と垂直な肉盛層の幅方向に対するオシレート方向の
角度を示す。本実施例では、肉盛層の長手方向(加工進
行方向)と垂直な肉盛層の幅方向に対して反時計回りに
角度θ傾けた方向がオシレート方向である。また、ビー
ム照射位置Aとは、図2に示すように、ビーム逃がし面
13dの最上端部をオシレートビーム基準位置とした場
合、この基準位置から実際のオシレートビーム位置まで
の移動量を示す。また、加工部の回転直径とは、オシレ
ートビーム位置の中心とポート1aの中心との距離の2
倍の値を示す。
【0013】オシレート振幅 :4.5mm オシレート角度θ :45度 ビーム照射位置A :0.5mm 加工部の回転直径 :30.5mm エネルギー熱源 :CO2 レーザ低時マルチモード 出力 :3.5kW(加工点での実出
力) 加工部での回転速度 :1300mm/min シールドガス供給量 :20L/min (比較例1)オシレート角度θを0度、すなわち形成さ
れる肉盛層の長手方向(加工進行方向)に対して垂直な
方向(半径方向)にオシレートすること、及び出力が
3.0kWであること以外は、上記実施例1と同様にし
て肉盛した。
【0014】(評価)上記実施例1及び比較例1で得ら
れた肉盛層8の形状を評価した結果を表1に示す。な
お、肉盛層8の傾斜角度Bとは、図2に示すように、肉
盛層8の両側の窪んだ部分の底を結んだ線と水平面との
なす角度を示す。また、寸法Cは、図2に点線で示すバ
ルブシート部2の仕上げ形状面と肉盛層8表面とが最も
接近する部分の距離を示す。
【0015】
【表1】 また、実施例1及び比較例1で得られた肉盛層8の切断
面の実体写真を図4(a)及び図4(b)にそれぞれ示
す。なお、図4(a)及び図4(b)中、白い線はバル
ブシート部2の仕上げ形状面を示す。
【0016】これらの結果から明らかなように、オシレ
ート角度θを45度とした本実施例1に係る肉盛層は、
オシレート角度θを0度とした比較例1に係る肉盛層と
比べて、水平面に対してより傾斜した形状となり、傾斜
角度B及び寸法Cともに大きかった。このような効果が
得られた理由は、以下のように考えられる。図5(a)
に示すように、オシレート角度θを0度とした比較例1
では、母材としてのシリンダヘッド1に与えられる入熱
分布は左右対称で、そのときの溶融プール及び凝固開始
面も加工進行方向にに対し対称形をなす。したがって、
加工進行方向と垂直な断面で凝固の様子をみると、ほぼ
全体が同時に凝固し始めるため、母材面の高い外側の端
では重力の影響で下向きに溶融プールが崩れ、結果とし
て外端に溶着できなくなる。これに対し、図5(b)に
示すように、オシレート角度θを45度とした実施例1
では、入熱分布が非対称となり、母材面の低い内側への
入熱が増加する。すなわち、加工進行方向に対し先行す
る外側のオシレート端は常に初期温度の母材に照射され
るが、母材面の低い内側のオシレート端は先行のオシレ
ート入熱の後を追いかけるため、加工進行方向に対し垂
直な断面で母材の入熱分布をみた場合、内側の方が入熱
が大きくなる。したがって、母材面が高い外側は、右側
に比べて温度上昇が少なくなり、右側より速く凝固を開
始する。また、溶融プールはオシレート入熱に沿って形
成されるため、加工進行方向に対し垂直な断面で凝固の
様子を観察すると、まず母材面の高い外側が先に凝固し
遅れて内側が凝固する。このため、母材面が高い外側は
溶融プールができてすぐに凝固することになり、重力方
向にひっぱられる影響が小さくなる。したがって、外端
での溶着位置は溶融プールの外端とほぼ同じ位置とな
る。このように、母材面が高い外側での溶着が改善さ
れ、母材面が傾いている場合でも、必要形状の肉盛層を
得ることが可能となる。
【0017】(オシレート角度θと肉盛層の傾斜角度B
との関係)また、上記実施例1において、オシレート角
度θを0〜50度の範囲で種々変更して、形成される肉
盛層8の傾斜角度Bを調べた。その結果を図6に示す。
図6から明らかなように、オシレート角度θを大きくす
るほど傾斜角度Bも大きくなり、オシレート角度θ=0
度に対して、θ>5度では肉盛層8の傾斜角度Bが30
%以上向上した。なお、オシレート角度θが60度を越
えると、その効果が飽和し、オシレート角の効果はなく
なる。これより、オシレート角度θは5〜60度とする
ことが好ましく、5〜45度とすることがより好まし
い。
【0018】(実施例2)図7に示すように、上記溝部
13の肉盛層形状制御面13bを水平としてこの肉盛層
形状制御面13bの幅を1.9mm、粉末受け面13a
の幅を4.8mmとし、かつ、ビーム照射位置Aを0.
28mmとすること以外は上記実施例1と同様に肉盛し
た。
【0019】(評価)上記実施例2で得られた肉盛層8
の形状を評価した結果、バルブシート部2の仕上げ形状
面と肉盛層8表面とが最も接近する部分の距離である寸
法Cは0.3mmであった。また、得られた肉盛層8の
切断面の実体写真を図8に示す。なお、図8中、黒い線
はバルブシート部2の仕上げ形状面を示す。
【0020】これらの結果から、肉盛層形状制御面13
bの水平面からの角度(仰角)D(図2参照)を45度
とした上記実施例1と比較すれば若干肉盛層8の形状が
劣るが、オシレート角度θを0度とした比較例1に係る
肉盛層と比べて、水平面に対してより傾斜した形状とな
り、寸法Cも大きかった。 (ビーム照射位置Aと肉盛層の寸法Cとの関係)また、
上記実施例1及び実施例2において、ビーム照射位置A
を0〜1.0mmの範囲で種々変更して、形成される肉
盛層8について寸法Cを測定した。その結果を図9に示
す。なお、図9中、実線が実施例1の測定結果を示し、
点線が実施例2の測定結果を示す。
【0021】図9から明らかなように、肉盛層形状制御
面13bの水平面からの角度Dを0度とした実施例2に
おいては、肉盛形状が内外ともに不安定な溶着状態とな
るため、ビーム照射位置Aが0.28〜0.38mmの
範囲であれば寸法Cを0.2mm以上とすることがで
き、ビーム照射位置Aのズレ裕度範囲は±0.05mm
であった。これに対し、肉盛層形状制御面13bの水平
面からの角度Dを45度とした実施例1においては、寸
法Cが0.2mm以上を確保できるビーム照射位置Aの
範囲が0.28〜0.83mmと広く、ビーム照射位置
Aのズレ裕度範囲は約±0.3mmであった。これは、
肉盛層形状制御面13bが水平面に対して仰傾している
ことにより、肉盛層8の形状制御効果が発揮されたため
である。なお、実際の加工では、ビーム照射位置Aのズ
レが±0.25mm程度が要求されるため、肉盛層形状
制御面13bを水平面に対して仰傾させることは有効で
あることがわかる。
【0022】このような効果が得られる理由は以下のよ
うに考えることができる。すなわち、母材としてのアル
ミニウム合金は表面に酸化膜があるため、この膜が破壊
されないと母材と肉盛材との金属接合は起こらない。レ
ーザ肉盛法では、肉盛材料中に自溶性元素であるB、S
iを用いことにより上記酸化膜を破壊するとともに、肉
盛材料のベース材料にCuを用いることにより母材との
過度の反応を抑えている。しかし、基本的に溶着時のヌ
レは他の肉盛法と比べて良い法ではない。つまり、実施
例2のように肉盛層形状制御面13bの水平面からの角
度Dが0度であり、この水平な肉盛層形状制御面13b
上に溶着させる場合、溶融プールを左右に動かす力はな
く、またアルミ酸化膜の存在により溶融プールが左右に
広がることはなく、したがって溶融プールは玉状になり
易い。これに対し、実施例1のように肉盛層形状制御面
13bの水平面からの角度Dが45度であり、この傾斜
した肉盛層形状制御面13b上に溶着させる場合、溶融
プールが重力で流れようとするため、凝固時に溶着しな
がら尾を引くイメージで低い方に動き、溶着端部のヌレ
が極端に改善される。なお、このような作用は、後述す
るように、肉盛層形状制御面13bの水平面からの角度
Dを10度以上にしたときに起こった。
【0023】(肉盛層形状制御面の角度とビーム照射位
置Aのズレ裕度範囲との関係)さらに上記実施例1にお
いて、肉盛層形状制御面13bが水平面となす角度Dを
種々変更して、ビーム照射位置Aのズレ裕度範囲を調べ
た。その結果を図10に示す。図10から明らかなよう
に、肉盛層形状制御面13bが水平面となす角度Dを1
0〜75度の範囲とすれば、ビーム照射位置Aのズレ裕
度範囲を±0.25mm以上とすることができ、好まし
いことがわかる。
【0024】また、バルブフェース部やバルブシート部
のようにリング状の部位を周方向に肉盛加工する場合、
肉盛始め部と肉盛終わり部とをラップさせなくてはなら
ないが、上記実施例2のように肉盛層形状制御面13b
を水平面に対して所定の角度仰傾させることにより、以
下の点で有利となる。すなわち、肉盛層形状制御面13
bを水平面に対して所定の角度仰傾させることにより、
肉盛の溶着面が大きくなるため、肉盛層8の品質(肉盛
形状、肉盛量及び母材希釈量等)がラップ部分とそれ以
外の部分とで差がなくなる。また、肉盛層形状制御面1
3bを水平面に対して所定の角度仰傾させることによ
り、上記したようにビーム照射位置Aのズレ裕度範囲が
広がり、このため肉盛層8の断面形状が安定するため、
ラップ部における割れの発生を抑えることができる。
【0025】なお、溝13の形状については、上記実施
例1及び実施例2に示したものに限らず、種々変更する
ことが可能である。溝13の粉末受け面13a、肉盛層
形状制御面13b、肉盛層形成面13c及びビーム逃が
し面13dが水平面となす角度をそれぞれ変更可能であ
ることは勿論である。また、図11に示すように、肉盛
層形状制御面13bを角度一定とせずに円弧面として、
加工コストを節約することもできる。なおこの場合、肉
盛層形状制御面13bが水平面となす角度Dは、図11
に示すように、肉盛層8の溶着端81における肉盛層形
状制御面13bが水平面となす角度となる。
【0026】また、上記実施例1及び実施例2では、オ
シレートビームLの照射点を固定し、ワークとしてのシ
リンダヘッド1を回転移動させる例について説明した
が、シリンダヘッド1を固定し、オシレートビームLの
照射点を処理面の加工進行方向に移動させる場合も適用
可能である。
【0027】
【発明の効果】以上詳述したように本発明の肉盛方法
は、加工進行方向に対して斜めに高エネルギー熱源をオ
シレートさせることにより、加工される肉盛層の幅方向
において照射時期に時間差を発生させて肉盛層の幅方向
の厚さを調整可能としたものであるから、水平でない母
材面に肉盛する場合、肉盛層の幅方向のうち高い部分が
低い部分より先に高エネルギー熱源が照射されるよう
に、加工進行方向に対して斜めにオシレートさせれば、
水平でない母材面に必要形状の肉盛層を形成することが
できる。したがって、シリンダヘッドのように大型のワ
ークの傾斜面に対して肉盛加工する際に、ワークを傾け
ることなく必要形状の肉盛層を容易に得ることができ、
生産性及び生産コストの向上に貢献する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で用いた装置の構成を示す概略
説明図である。
【図2】実施例1の溝部の形状を示す断面図である。
【図3】オシレート角度θを説明する図である。
【図4】肉盛層の断面形状及び金属組織を示す実体写真
であり、(a)が実施例1で得られた肉盛層を、(b)
が比較例1で得られた肉盛層を示す。
【図5】母材面に溶融プールや肉盛層ができる様子を説
明する模式図であり、(a)がオシレート角度θを0度
とした比較例1に係るもの、(b)がオシレート角度θ
を45度とした実施例1に係るものである。
【図6】オシレート角度θと肉盛層の傾斜角度Bとの関
係を示すグラフである。
【図7】実施例2の溝部の形状を示す断面図である。
【図8】実施例2で得られた肉盛層の断面形状及び金属
組織を示す実体写真である。
【図9】ビーム照射位置Aと寸法Cとの関係を示すグラ
フである。
【図10】肉盛層形状制御面が水平面となす角度Dとビ
ーム照射位置Aのズレ裕度範囲との関係を示すグラフで
ある。
【図11】溝部のその他の態様を示す断面図である。
【符号の説明】
1はシリンダヘッド、2はバルブシート部、3は凸レン
ズ、4はオシレートミラー、5はガルバノモータ、13
は溝部、13bは肉盛層形状制御面、13cは肉盛層形
成面、Lはレーザービーム、Mは肉盛材、Aはビーム照
射位置、Bは肉盛層の傾斜角度、Cはバルブシート部2
の仕上げ形状面と肉盛層8表面とが最も接近する部分の
寸法を示す。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年2月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8
【補正方法】変更
【補正内容】
【図8】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高エネルギー熱源を用いて長手方向に肉
    盛する方法であって、母材上に供給された肉盛材に前記
    高エネルギー熱源を照射する際、前記長手方向に対して
    斜めに高エネルギー熱源をオシレート(往復動)させる
    ことを特徴とする肉盛方法。
JP31677794A 1994-12-20 1994-12-20 肉盛方法 Expired - Fee Related JP3173705B2 (ja)

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