JPH08165744A - 構造部材の補強構造 - Google Patents
構造部材の補強構造Info
- Publication number
- JPH08165744A JPH08165744A JP7130133A JP13013395A JPH08165744A JP H08165744 A JPH08165744 A JP H08165744A JP 7130133 A JP7130133 A JP 7130133A JP 13013395 A JP13013395 A JP 13013395A JP H08165744 A JPH08165744 A JP H08165744A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- section
- reinforcing
- structural member
- steel pipe
- cross
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Rod-Shaped Construction Members (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 H形断面部材からなる構造部材について、圧
縮側フランジの局部座屈に対する急激な崩壊や横座屈が
防止でき、塑性変形能力が高く、かつ補強部をダクト等
として空間の有効利用が可能な補強構造を提供する。 【構成】 H形断面梁としてのH形鋼1のウェブ4の両
面中央部に、補強部材として半割りの鋼管55を溶接
し、閉断面部分を形成する。鋼管55はH形鋼1の中立
軸上に長手方向に沿って取り付けてあり、通常の荷重状
態では鋼管55はほとんど荷重を負担しない。圧縮側フ
ランジの座屈による構造部材圧縮側の耐力減少に伴い、
梁全体の中立軸が引張側にずれて行き、耐力劣化分を補
強部材としての鋼管55が順次分担し、急激な耐荷能力
の低下を防止する。また、閉断面の補強部により、部材
のねじり剛性を大幅に増し、横座屈に対しても有効であ
る。さらに、この閉断面の補強部の内部を配線や空調用
のダクトに利用することもできる。
縮側フランジの局部座屈に対する急激な崩壊や横座屈が
防止でき、塑性変形能力が高く、かつ補強部をダクト等
として空間の有効利用が可能な補強構造を提供する。 【構成】 H形断面梁としてのH形鋼1のウェブ4の両
面中央部に、補強部材として半割りの鋼管55を溶接
し、閉断面部分を形成する。鋼管55はH形鋼1の中立
軸上に長手方向に沿って取り付けてあり、通常の荷重状
態では鋼管55はほとんど荷重を負担しない。圧縮側フ
ランジの座屈による構造部材圧縮側の耐力減少に伴い、
梁全体の中立軸が引張側にずれて行き、耐力劣化分を補
強部材としての鋼管55が順次分担し、急激な耐荷能力
の低下を防止する。また、閉断面の補強部により、部材
のねじり剛性を大幅に増し、横座屈に対しても有効であ
る。さらに、この閉断面の補強部の内部を配線や空調用
のダクトに利用することもできる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、主として梁、あるい
は曲げが支配的な柱に用いられる構造部材としてのH形
鋼等のH形断面部材(梁の場合、実際にはHを横向きに
したI形断面が普通であるが、説明の都合上、それらを
含めてH形断面部材と呼ぶ。以下の説明においても同
様)について、圧縮側フランジの座屈に伴う耐荷能力の
劣化を防ぐための補強を施した構造部材の補強構造に関
するものである。
は曲げが支配的な柱に用いられる構造部材としてのH形
鋼等のH形断面部材(梁の場合、実際にはHを横向きに
したI形断面が普通であるが、説明の都合上、それらを
含めてH形断面部材と呼ぶ。以下の説明においても同
様)について、圧縮側フランジの座屈に伴う耐荷能力の
劣化を防ぐための補強を施した構造部材の補強構造に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】H形断面梁等の構造部材においては、圧
縮側フランジの座屈により部材の耐荷能力が急激に低下
するという問題がある。この問題に対しては、大きな曲
げモーメントを受ける部分にスティフナーあるいは補強
リブを設けて補剛したり、部材として座屈を生じる恐れ
がある場合に、剛性を上げるための補強リブ等を設ける
ことが一般に行われている。
縮側フランジの座屈により部材の耐荷能力が急激に低下
するという問題がある。この問題に対しては、大きな曲
げモーメントを受ける部分にスティフナーあるいは補強
リブを設けて補剛したり、部材として座屈を生じる恐れ
がある場合に、剛性を上げるための補強リブ等を設ける
ことが一般に行われている。
【0003】また、一般に、梁は曲げを受ける主軸まわ
りの剛性に比べ、横方向の剛性が小さく、横座屈(横倒
れ座屈)する危険がある。そのため、設計では、主梁に
対し、これと直交するつなぎ梁等で横倒れしないよう拘
束する。
りの剛性に比べ、横方向の剛性が小さく、横座屈(横倒
れ座屈)する危険がある。そのため、設計では、主梁に
対し、これと直交するつなぎ梁等で横倒れしないよう拘
束する。
【0004】さらに、耐震設計上、部材の塑性化とその
後の変形能力を維持する必要がある場合には、梁が横座
屈して耐力劣化しないよう、相当密につなぎ梁等の横座
屈止めを配置しなければならない。
後の変形能力を維持する必要がある場合には、梁が横座
屈して耐力劣化しないよう、相当密につなぎ梁等の横座
屈止めを配置しなければならない。
【0005】こうして配置されるつなぎ梁や材端部の火
打ち材は、架構を極めて煩雑にし、設計上問題の多いと
ころである。
打ち材は、架構を極めて煩雑にし、設計上問題の多いと
ころである。
【0006】一方、特開昭59−61645号公報に
は、梁の曲げ耐力を向上させることを目的として、大き
な曲げ剛性を必要とする部分のみ、H形断面部材等の上
下フランジ間に溝形断面部材を嵌合し、ボルトで合着し
たり、フランジとウェブとの隅角部に山形断面部材を合
着し、構造部材の外形寸法を増すことなく、構造部材の
強度を高めた増強梁の構成方法が開示されている。
は、梁の曲げ耐力を向上させることを目的として、大き
な曲げ剛性を必要とする部分のみ、H形断面部材等の上
下フランジ間に溝形断面部材を嵌合し、ボルトで合着し
たり、フランジとウェブとの隅角部に山形断面部材を合
着し、構造部材の外形寸法を増すことなく、構造部材の
強度を高めた増強梁の構成方法が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】特開昭59−6164
5号公報に記載された発明他、従来の構造部材に対する
補強の考え方は、梁等、構造部材の曲げ耐力を向上させ
るものであり、また補強リブによる座屈補剛も行われる
が、これは補強リブを所要間隔で設け、座屈長さを短く
することで、強度向上を図ったものである。
5号公報に記載された発明他、従来の構造部材に対する
補強の考え方は、梁等、構造部材の曲げ耐力を向上させ
るものであり、また補強リブによる座屈補剛も行われる
が、これは補強リブを所要間隔で設け、座屈長さを短く
することで、強度向上を図ったものである。
【0008】しかし、従来の座屈補剛は、大変形により
一旦座屈が生じると、構造部材としての耐力が急激に劣
化し、構造的に成り立たなくなってしまう場合もあり、
構造部材を安定的に変形させ、その塑性変形能力を積極
的に活用するという考え方によるものではない。
一旦座屈が生じると、構造部材としての耐力が急激に劣
化し、構造的に成り立たなくなってしまう場合もあり、
構造部材を安定的に変形させ、その塑性変形能力を積極
的に活用するという考え方によるものではない。
【0009】例えば、H形鋼梁についてみた場合、塑性
化が進展する領域では圧縮側フランジの剛性低下が著し
く、圧縮フランジの局部座屈変形が拡大するとともに、
それがウェブに波及し、梁全体として曲げねじれ変形を
伴い、横座屈破壊する。従って、梁が塑性化する領域に
あっては、ウェブに添接した補剛部材により、ウェブが
健全化するとともに、補剛部材が弾性を持続すること
で、それ程大きくない補剛部材でも梁本体の横座屈を防
止するのに十分な剛性が期待でき、さらにはフランジの
局部座屈変形に伴う耐力劣化を補いつつ、安定した変形
性能を確保することができる。
化が進展する領域では圧縮側フランジの剛性低下が著し
く、圧縮フランジの局部座屈変形が拡大するとともに、
それがウェブに波及し、梁全体として曲げねじれ変形を
伴い、横座屈破壊する。従って、梁が塑性化する領域に
あっては、ウェブに添接した補剛部材により、ウェブが
健全化するとともに、補剛部材が弾性を持続すること
で、それ程大きくない補剛部材でも梁本体の横座屈を防
止するのに十分な剛性が期待でき、さらにはフランジの
局部座屈変形に伴う耐力劣化を補いつつ、安定した変形
性能を確保することができる。
【0010】本願発明は従来技術における上述のような
問題点を解決し、H形断面部材からなる構造部材につい
て、圧縮側フランジの局部座屈に対する急激な崩壊や横
座屈が防止でき、塑性変形能力が高く、かつ補強部をダ
クト等として空間の有効利用が可能な補強構造を提供す
ることを目的としたものである。
問題点を解決し、H形断面部材からなる構造部材につい
て、圧縮側フランジの局部座屈に対する急激な崩壊や横
座屈が防止でき、塑性変形能力が高く、かつ補強部をダ
クト等として空間の有効利用が可能な補強構造を提供す
ることを目的としたものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本願発明は、ウェブの両
端にフランジを有する構造部材としてのH形断面部材に
ついて、部材断面の中立軸またはその近傍に、中立軸方
向に延びる所定のねじり剛性を有する中空管状の補強部
を設け、圧縮側フランジの変形の進行に伴い中立軸近傍
に生じる応力の一部を、徐々にこの中空管状の補強部で
受け持たせるようにしたものである。
端にフランジを有する構造部材としてのH形断面部材に
ついて、部材断面の中立軸またはその近傍に、中立軸方
向に延びる所定のねじり剛性を有する中空管状の補強部
を設け、圧縮側フランジの変形の進行に伴い中立軸近傍
に生じる応力の一部を、徐々にこの中空管状の補強部で
受け持たせるようにしたものである。
【0012】圧縮側フランジの変形及び耐力減少に伴
い、H形断面部材の実質的な中立軸が引張側にずれて行
き、その耐力劣化分を補強部が順次分担し、圧縮側フラ
ンジの座屈に伴う耐力の低下を補うことができる。
い、H形断面部材の実質的な中立軸が引張側にずれて行
き、その耐力劣化分を補強部が順次分担し、圧縮側フラ
ンジの座屈に伴う耐力の低下を補うことができる。
【0013】中空管状の補強部はH形断面部材の全長に
わたって設ける場合と、圧縮側フランジが座屈を生ずる
可能性のある範囲近傍にのみ部分的に設ける場合とがあ
る。
わたって設ける場合と、圧縮側フランジが座屈を生ずる
可能性のある範囲近傍にのみ部分的に設ける場合とがあ
る。
【0014】補強部の形態としては、補強部材としての
所定のねじり剛性を有する半割り鋼管部材を、H形断面
部材のウェブの両面または片面に添接するもの、中空管
状の補強部をH形断面部材と一体に成形するもの、補強
部としての鋼管部材の上下にT形鋼のウェブ先端を溶接
してH形断面部材とするもの等、いくつかのケースが考
えられる。
所定のねじり剛性を有する半割り鋼管部材を、H形断面
部材のウェブの両面または片面に添接するもの、中空管
状の補強部をH形断面部材と一体に成形するもの、補強
部としての鋼管部材の上下にT形鋼のウェブ先端を溶接
してH形断面部材とするもの等、いくつかのケースが考
えられる。
【0015】これらの本願発明における補強部は、圧縮
側フランジの座屈に対する補強効果に加え、ねじり剛性
が比較的小さい開断面のH形鋼構造部材については、部
材断面の中立軸近傍に閉断面部を形成することで、ねじ
り剛性の大幅な向上が可能となり、横座屈を防止する効
果も大きい。
側フランジの座屈に対する補強効果に加え、ねじり剛性
が比較的小さい開断面のH形鋼構造部材については、部
材断面の中立軸近傍に閉断面部を形成することで、ねじ
り剛性の大幅な向上が可能となり、横座屈を防止する効
果も大きい。
【0016】また、閉断面を形成する半割り鋼管や鋼管
部材からなる中空管状の補強部を配管または配線用のダ
クトとして兼用したり、さらにその所定位置にダクト用
の接続口を設ける等して空間の有効利用を図ることも可
能である。
部材からなる中空管状の補強部を配管または配線用のダ
クトとして兼用したり、さらにその所定位置にダクト用
の接続口を設ける等して空間の有効利用を図ることも可
能である。
【0017】
【実施例】次に、本願発明の実施例を図面に基づいて説
明する。
明する。
【0018】図1は本願発明の一実施例を示したもの
で、本実施例はH形断面梁としてのH形鋼1のウェブ4
の両面中央部に、補強部材として半割りの鋼管55を溶
接し、ねじりに弱い開断面部材の断面の一部に閉断面部
分を形成したものである。
で、本実施例はH形断面梁としてのH形鋼1のウェブ4
の両面中央部に、補強部材として半割りの鋼管55を溶
接し、ねじりに弱い開断面部材の断面の一部に閉断面部
分を形成したものである。
【0019】半割りの鋼管55は、H形鋼1の中立軸上
にその長手方向に沿って、ウェブ4の両面に取り付けて
あり、通常の荷重状態ではこの鋼管55はほとんど荷重
を負担しない。
にその長手方向に沿って、ウェブ4の両面に取り付けて
あり、通常の荷重状態ではこの鋼管55はほとんど荷重
を負担しない。
【0020】圧縮側フランジの座屈による構造部材圧縮
側の耐力減少に伴い、梁全体の中立軸が引張側にずれて
行き、耐力劣化分を補強部材としての鋼管55が順次分
担して行く。
側の耐力減少に伴い、梁全体の中立軸が引張側にずれて
行き、耐力劣化分を補強部材としての鋼管55が順次分
担して行く。
【0021】これにより、上下フランジ2,3の圧縮側
フランジの座屈による急激な耐荷能力の低下を防止して
いる。また、材端部等におけるフランジの局部座屈に対
する補強効果に加え、部材のねじり剛性を大幅に増し、
横座屈に対しても有効である。
フランジの座屈による急激な耐荷能力の低下を防止して
いる。また、材端部等におけるフランジの局部座屈に対
する補強効果に加え、部材のねじり剛性を大幅に増し、
横座屈に対しても有効である。
【0022】なお、本実施例では鋼管55の端部が柱1
0に当接し、梁端部における下フランジ3の座屈変形
(あるいは梁長手方向中央部における上フランジ2の座
屈変形)によって増大する鋼管55長手方向の応力を柱
10に直接伝達する形になっている。
0に当接し、梁端部における下フランジ3の座屈変形
(あるいは梁長手方向中央部における上フランジ2の座
屈変形)によって増大する鋼管55長手方向の応力を柱
10に直接伝達する形になっている。
【0023】図2は、図1の実施例に対応する半割り鋼
管55を用いた場合のねじり剛性の増加に関する解析モ
デル図である。
管55を用いた場合のねじり剛性の増加に関する解析モ
デル図である。
【0024】図2(a) は、モデルに設定したH形鋼であ
り、h/b=3、b/tf =10、tf /tw =2とし
て計算した(ただし、bはフランジ幅、hは高さ、tw
はウェブ厚、tf はフランジ厚である)。図2(b) は、
ケース1として、d/b=1、d/td =10の条件を
満たす補強部材を用いた場合(ただし、dは半割りの薄
板管体の外径、td は薄板管体の板厚)である。図2
(c) は、同様にケース2として、d/b=1.2、d/
td =10の条件を満たす補強部材を用いた場合であ
る。材質は全て同じものとする。
り、h/b=3、b/tf =10、tf /tw =2とし
て計算した(ただし、bはフランジ幅、hは高さ、tw
はウェブ厚、tf はフランジ厚である)。図2(b) は、
ケース1として、d/b=1、d/td =10の条件を
満たす補強部材を用いた場合(ただし、dは半割りの薄
板管体の外径、td は薄板管体の板厚)である。図2
(c) は、同様にケース2として、d/b=1.2、d/
td =10の条件を満たす補強部材を用いた場合であ
る。材質は全て同じものとする。
【0025】以上の条件の下に計算すると、ケース1お
よびケース2における各断面のねじり定数は、それぞれ
補強部材がない場合の約50倍、約100倍となる。ま
た、大スパンの梁の弾性横座屈荷重は、概略ねじり剛性
の平方根に比例するので、ケース1、ケース2で、それ
ぞれ補強前のI形断面に比べ約7倍、約10倍となる。
よびケース2における各断面のねじり定数は、それぞれ
補強部材がない場合の約50倍、約100倍となる。ま
た、大スパンの梁の弾性横座屈荷重は、概略ねじり剛性
の平方根に比例するので、ケース1、ケース2で、それ
ぞれ補強前のI形断面に比べ約7倍、約10倍となる。
【0026】図3は、補強部材としての半割り鋼管55
の効果を確認するための実験に用いた試験体及び試験方
法を、図4は試験結果を示したものである。
の効果を確認するための実験に用いた試験体及び試験方
法を、図4は試験結果を示したものである。
【0027】この実験は梁の曲げ実験であり、試験体と
しては、高さ300mm、フランジ幅100mm、ウェブ厚
6mm、フランジ厚10mm、長さ3000mm、部材の降伏
点σy =40.5kg/mm2 のH形鋼を用いた。このH形
鋼1の断面中立軸に関し、ウェブ4の両側に補強部材と
して、直径89.1mm、厚さ3.2mmの半割り鋼管55
を水平に溶接した。この試験体の両端に曲げモーメント
Mを作用させ、上下フランジ2,3の横方向変形u1 、
u2 を求めた。
しては、高さ300mm、フランジ幅100mm、ウェブ厚
6mm、フランジ厚10mm、長さ3000mm、部材の降伏
点σy =40.5kg/mm2 のH形鋼を用いた。このH形
鋼1の断面中立軸に関し、ウェブ4の両側に補強部材と
して、直径89.1mm、厚さ3.2mmの半割り鋼管55
を水平に溶接した。この試験体の両端に曲げモーメント
Mを作用させ、上下フランジ2,3の横方向変形u1 、
u2 を求めた。
【0028】なお、図4のグラフにおいて、縦軸は曲げ
モーメントMを全塑性モーメントMp で無次元化し、横
軸は横方向変形uをフランジ幅bで割って無次元化して
いる。
モーメントMを全塑性モーメントMp で無次元化し、横
軸は横方向変形uをフランジ幅bで割って無次元化して
いる。
【0029】A1 、A2 で示される実線がそれぞれ本発
明の補強を行った場合の曲げモーメントと横座屈に伴う
上下フランジ2,3の横方向変形の関係であり、B1 、
B2で示される破線が無補強の場合の曲げモーメント
と、横座屈に伴う上下フランジ2,3の横方向変形の関
係である。
明の補強を行った場合の曲げモーメントと横座屈に伴う
上下フランジ2,3の横方向変形の関係であり、B1 、
B2で示される破線が無補強の場合の曲げモーメント
と、横座屈に伴う上下フランジ2,3の横方向変形の関
係である。
【0030】半割り鋼管55で両面から補強したことに
より、元の断面に比べねじり剛性が25倍強になり、図
に示されるように、無補強の場合には塑性モーメントの
0.5倍程度で弾性座屈したものが、塑性モーメント近
傍まで横座屈しなかった。また、ねじり剛性の小さな無
補強梁では加力初期から横方向への変形が生じたのに対
し、本発明の補強梁では最大荷重近くまで横振れせず、
極めて安定している。上フランジ2と下フランジ3の横
変形から、補強梁では無補強梁に比べ、ねじれ難い様子
がわかる。
より、元の断面に比べねじり剛性が25倍強になり、図
に示されるように、無補強の場合には塑性モーメントの
0.5倍程度で弾性座屈したものが、塑性モーメント近
傍まで横座屈しなかった。また、ねじり剛性の小さな無
補強梁では加力初期から横方向への変形が生じたのに対
し、本発明の補強梁では最大荷重近くまで横振れせず、
極めて安定している。上フランジ2と下フランジ3の横
変形から、補強梁では無補強梁に比べ、ねじれ難い様子
がわかる。
【0031】図5〜図7は、他の実施例として、閉断面
を形成する溝状断面の補強部材65の内部を空調等のダ
クトに兼用できるようにした場合の実施例を示したもの
である。図6は図5のG−G断面、図7は図5のH−H
断面に相当する。
を形成する溝状断面の補強部材65の内部を空調等のダ
クトに兼用できるようにした場合の実施例を示したもの
である。図6は図5のG−G断面、図7は図5のH−H
断面に相当する。
【0032】補強部材65はH形鋼1の全長またはかな
りの部分に取り付けることが望ましい。本実施例におい
て、補強部材65はボルト66によりH形鋼1のウェブ
4に固定されている。図中、67はH形鋼1に設けた貫
通穴、68は補強部材65に設けたダクト用の接続口で
ある。
りの部分に取り付けることが望ましい。本実施例におい
て、補強部材65はボルト66によりH形鋼1のウェブ
4に固定されている。図中、67はH形鋼1に設けた貫
通穴、68は補強部材65に設けたダクト用の接続口で
ある。
【0033】図8及び図9は図1の実施例の変形例に相
当する。図1の実施例ではH形鋼1に対し半割り鋼管5
5を溶接していたのに対し、図8の実施例では、補強部
としての丸鋼管状部75と上下に設けたT字状部72,
73とで略H字形の構造部材71を一体成形することに
より、さらに断面の合理化を図ったものである。機能的
には図1の場合と略同じであり、同様の形状は、丸鋼管
の上下にT形鋼のウェブ先端を溶接することによっても
得られる。
当する。図1の実施例ではH形鋼1に対し半割り鋼管5
5を溶接していたのに対し、図8の実施例では、補強部
としての丸鋼管状部75と上下に設けたT字状部72,
73とで略H字形の構造部材71を一体成形することに
より、さらに断面の合理化を図ったものである。機能的
には図1の場合と略同じであり、同様の形状は、丸鋼管
の上下にT形鋼のウェブ先端を溶接することによっても
得られる。
【0034】図8の実施例では補強部の断面が円形であ
るのに対し、図9の実施例では角形に近い形状となって
いる(角鋼管状部75’)。
るのに対し、図9の実施例では角形に近い形状となって
いる(角鋼管状部75’)。
【0035】図10〜図12は、図5〜図7の実施例と
同様、補強部を空調等のダクトに兼用できるようにした
場合の実施例を示したもので、構造部材は図8の丸鋼管
状部75とT字状部72,73からなる構造部材71に
相当する。図11は図10のI−I断面、図12は図1
0のJ−J断面に相当し、図中、76は所定間隔で設け
た補強リブ、77は補強部としての丸鋼管状部75に対
し、直角な方向に設けた接続口である。
同様、補強部を空調等のダクトに兼用できるようにした
場合の実施例を示したもので、構造部材は図8の丸鋼管
状部75とT字状部72,73からなる構造部材71に
相当する。図11は図10のI−I断面、図12は図1
0のJ−J断面に相当し、図中、76は所定間隔で設け
た補強リブ、77は補強部としての丸鋼管状部75に対
し、直角な方向に設けた接続口である。
【0036】
【発明の効果】 H形断面部材における圧縮側フランジの局部座屈に
対し、中立軸またはその近傍に設けた中空管状の補強部
が耐荷能力の低下分を負担し、構造部材全体としての崩
壊を有効に防止することができる。
対し、中立軸またはその近傍に設けた中空管状の補強部
が耐荷能力の低下分を負担し、構造部材全体としての崩
壊を有効に防止することができる。
【0037】 補強部は構造部材の中立軸またはその
近傍に設けることで、初期の応力変形状態にはほとんど
関与せず、設計を複雑にすることがない。
近傍に設けることで、初期の応力変形状態にはほとんど
関与せず、設計を複雑にすることがない。
【0038】 H形断面部材の部材端部に適用した場
合等においては、圧縮側フランジの座屈に伴う耐荷能力
の低下を補うとともに、部材端部における塑性変形能力
を発揮させることができる。
合等においては、圧縮側フランジの座屈に伴う耐荷能力
の低下を補うとともに、部材端部における塑性変形能力
を発揮させることができる。
【0039】 開断面部材であるH形断面部材の中立
軸近傍に閉断面を形成する補強部が形成されることで、
上記効果に加えてねじり剛性を増大させることができ、
横座屈防止効果も得られる。
軸近傍に閉断面を形成する補強部が形成されることで、
上記効果に加えてねじり剛性を増大させることができ、
横座屈防止効果も得られる。
【0040】 補強部によって形成される閉断面をダ
クトに兼用し、空間の有効利用を図ることも可能であ
る。
クトに兼用し、空間の有効利用を図ることも可能であ
る。
【図1】 本願発明をH形断面梁に適用した場合の一実
施例を示す斜視図である。
施例を示す斜視図である。
【図2】 (a) 〜(c) は半割り鋼管を補強部材として用
いた場合のねじり剛性の増加に関する解析モデル図であ
る。
いた場合のねじり剛性の増加に関する解析モデル図であ
る。
【図3】 (a) は実験に用いた試験体を示す正面図、
(b) はその側面図である。
(b) はその側面図である。
【図4】 図3の試験体についての試験結果を示すグラ
フである。
フである。
【図5】 本願発明の他の実施例を示す正面図である。
【図6】 図5のG−G断面図である。
【図7】 図5のH−H断面図である。
【図8】 図1の実施例の変形例として、一体成形の場
合の一実施例を示す構造部材の側面図である。
合の一実施例を示す構造部材の側面図である。
【図9】 一体成形の場合の他の実施例を示す構造部材
の側面図である。
の側面図である。
【図10】 補強部をダクトに兼用した場合の実施例を
示す正面図である。
示す正面図である。
【図11】 図10のI−I断面図である。
【図12】 図10のJ−J断面図である。
1…H形鋼、2…上フランジ、3…下フランジ、4…ウ
ェブ、10…柱、55…半割り鋼管、65…補強部材、
66…ボルト、67…貫通穴、68…ダクト用接続口、
71…構造部材、72,73…T字状部、75…丸鋼管
状部、75’…角鋼管状部75’
ェブ、10…柱、55…半割り鋼管、65…補強部材、
66…ボルト、67…貫通穴、68…ダクト用接続口、
71…構造部材、72,73…T字状部、75…丸鋼管
状部、75’…角鋼管状部75’
Claims (8)
- 【請求項1】 ウェブの両端にフランジを有する構造部
材としてのH形断面部材の部材断面の中立軸またはその
近傍に、中立軸方向に延びる所定のねじり剛性を有する
中空管状の補強部を設け、圧縮側フランジの変形の進行
に伴い前記中立軸近傍に生じる応力の一部を、徐々に前
記補強部で受け持たせるようにしたことを特徴とする構
造部材の補強構造。 - 【請求項2】 前記補強部は、前記圧縮側フランジが座
屈を生ずる可能性のある範囲近傍にのみ部分的に設けて
ある請求項1記載の構造部材の補強構造。 - 【請求項3】 前記補強部は、前記H形断面部材の部材
断面の中立軸またはその近傍に、前記中立軸と平行また
はほぼ平行に、H形断面部材の全長にわたって設けてあ
る請求項1記載の構造部材の補強構造。 - 【請求項4】 前記補強部が配管または配線用のダクト
を兼ねている請求項3記載の構造部材の補強構造。 - 【請求項5】 前記補強部の所定位置にはダクト用の接
続口が設けられている請求項4記載の構造部材の補強構
造。 - 【請求項6】 前記補強部は、補強部材としての所定の
ねじり剛性を有する半割りの鋼管部材からなり、前記ウ
ェブの両面または片面に添接されている請求項1、2、
3、4または5記載の構造部材の補強構造。 - 【請求項7】 前記補強部は、前記H形断面部材と一体
に成形されている請求項1、2、3、4または5記載の
構造部材の補強構造。 - 【請求項8】 構造部材としての前記H形断面部材は、
補強部としての鋼管部材の上下にT形鋼のウェブ先端を
溶接したものである請求項1、2、3、4または5記載
の構造部材の補強構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7130133A JP2750098B2 (ja) | 1991-02-05 | 1995-05-29 | H形断面梁の補強構造 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1410591 | 1991-02-05 | ||
JP3-14105 | 1991-02-05 | ||
JP7130133A JP2750098B2 (ja) | 1991-02-05 | 1995-05-29 | H形断面梁の補強構造 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP04504070 Division |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08165744A true JPH08165744A (ja) | 1996-06-25 |
JP2750098B2 JP2750098B2 (ja) | 1998-05-13 |
Family
ID=26350008
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7130133A Expired - Lifetime JP2750098B2 (ja) | 1991-02-05 | 1995-05-29 | H形断面梁の補強構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2750098B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012225057A (ja) * | 2011-04-20 | 2012-11-15 | Yoshihiro Kizu | 基礎杭兼用土留用鋼材 |
KR101251429B1 (ko) * | 2012-08-08 | 2013-04-05 | 채일수 | 내화구조 및 소화기능을 가진 친환경 하이브리드 강재빔 |
KR101579269B1 (ko) * | 2014-09-02 | 2015-12-21 | 서정표 | 탈부착형 보강부재 및 이를 이용한 보강구조체 |
JP2017150189A (ja) * | 2016-02-23 | 2017-08-31 | 新日鐵住金株式会社 | H形断面部材の座屈補剛構造と鉄骨構造 |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012255298A (ja) * | 2011-06-09 | 2012-12-27 | Sumitomo Metal Ind Ltd | H形鋼部材 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5082817U (ja) * | 1973-12-01 | 1975-07-16 | ||
JPS5893111U (ja) * | 1981-12-17 | 1983-06-24 | 住友金属工業株式会社 | 軽量h形鋼梁 |
-
1995
- 1995-05-29 JP JP7130133A patent/JP2750098B2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5082817U (ja) * | 1973-12-01 | 1975-07-16 | ||
JPS5893111U (ja) * | 1981-12-17 | 1983-06-24 | 住友金属工業株式会社 | 軽量h形鋼梁 |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012225057A (ja) * | 2011-04-20 | 2012-11-15 | Yoshihiro Kizu | 基礎杭兼用土留用鋼材 |
KR101251429B1 (ko) * | 2012-08-08 | 2013-04-05 | 채일수 | 내화구조 및 소화기능을 가진 친환경 하이브리드 강재빔 |
KR101579269B1 (ko) * | 2014-09-02 | 2015-12-21 | 서정표 | 탈부착형 보강부재 및 이를 이용한 보강구조체 |
JP2017150189A (ja) * | 2016-02-23 | 2017-08-31 | 新日鐵住金株式会社 | H形断面部材の座屈補剛構造と鉄骨構造 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2750098B2 (ja) | 1998-05-13 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US6854795B2 (en) | Automotive side sill reinforcement structure | |
JP3226273B2 (ja) | 自動車の軽金属ボディのための桁部材 | |
US9514907B2 (en) | Member-to-member fuse connection | |
JP5808593B2 (ja) | 鉄骨有孔梁の補強構造 | |
JP3451328B2 (ja) | エネルギ吸収機構を備えた柱梁接合部 | |
JP2002070326A (ja) | 鉄骨構造材の補強構造 | |
JPH08165744A (ja) | 構造部材の補強構造 | |
JPH05331963A (ja) | 構造部材の横座屈補剛構造 | |
JPH0617507A (ja) | 構造部材の補強構造及び補強金具 | |
DE4213130A1 (de) | Traegerteil fuer eine leichtmetallkarosserie eines kraftfahrzeugs | |
US12091879B1 (en) | Beam-column moment connection structure | |
JPH07229204A (ja) | 座屈拘束筋かい部材 | |
JPH05331964A (ja) | 鋼梁の開口部補剛構造 | |
JP4664998B2 (ja) | 接合金物 | |
JPH0544356A (ja) | 制振構造体 | |
JP4829714B2 (ja) | スチールハウスの制震壁構造 | |
KR101719154B1 (ko) | 거더 구조 및 거더 제조방법 | |
JP2022052974A (ja) | 梁接合構造及び梁接合構造の設計方法 | |
WO1992014007A1 (en) | Reinforcing structure for construction members | |
JP3639552B2 (ja) | ラーメン架構用制振構造 | |
JP2007063953A (ja) | ブレース取付構造 | |
JPH05125794A (ja) | 充填型鋼管コンクリート柱 | |
JPH0718780A (ja) | 高靱性構造部材 | |
JP2021021287A (ja) | 耐荷材 | |
JP2000248685A (ja) | 鉄骨構造物の梁部材 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 19980203 |