JPH08159904A - 圧力変換器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】簡易な手段により従来型の圧力変換器を耐食性
および耐摩耗性の高いものにする。 【構成】先端にダイアフラム７およびこのダイアフラム
７に生じた歪を検出する歪ゲージ８を備えた圧力変換器
１において、少なくとも前記ダイアフラム７を含む部分
に対して樹脂製のゴム系弾性キャップ材２を取り付けて
当該ダイアフラム７部分を被包する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、気体圧や液体の圧力を
電気量に変換するための圧力変換器に係り、特に耐食性
および耐摩擦性に優れた圧力変換器に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、気体圧や液体圧を測定するた
めの機器として圧力変換器が知られている。この圧力変
換器は、管路または流路内を流れる気体や液体の圧力分
布や圧力変化を検出するために、管路または流路に対し
て変換器先端の受圧部たるダイアフラムを向けて配設
し、作用圧力によるダイアフラムの変形を歪ゲージなど
の圧力検出素子により測定して電圧、電流に変換するも
のである。この場合、圧力検出方法としては、前記のよ
うに、圧力を一定面積のダイアフラムにより受け、ダイ
アフラムに生じた歪を歪ゲージで検出する直接的方法
と、ダイヤフラムに生じた変形を起歪部に伝える構造と
し、この起歪部に生じた歪を歪ゲージにより検出する間
接的方法とがある。これらの検出方法は、直接的か間接
的かの違いをあっても圧力によって生じた材料の変形歪
ゲージにより測定する点において変わりはない。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前記圧力変換器をたと
えば薬液注入装置における注入材流路部に配設した場合
などにおいて、注入液としてたとえば水ガラスを主剤と
し、反応剤として重硫酸ソーダ、硫酸、硫酸マグネシウ
ム、硫酸アルミニウムなどの硫酸系反応剤を用いる場合
などは、前記圧力変換器の圧力検出素子部に腐食が発生
し易い。

【０００４】従来は、前記ダイアフラムの材料として、
ステンレスＳＵＳ６３０などの耐腐食性の材料を用いる
ことにより対処していたが、注入材流路部の洗浄などを
頻繁に繰り返すうちに、間歇的に空気と接触することと
なり、たとえステンレス材であっても徐々に腐食が発生
するという問題が発生していた。前記ダイアフラムは変
形性を重視するため、肉厚０．数mmの金属板を使用して
おり、腐食が進行するとすぐに孔があいて使用不能にな
るため、度々、圧力変換器の交換を余儀無くされてい
た。

【０００５】また、前記ダイアフラム外面に対して耐食
性被膜を形成して耐久性を高めたものも近年開発されて
いるが、非常に高価であるとともに、注入材としてセメ
ント系グラウト材などを用いる場合には、セメント粒子
の衝突や接触により前記耐食性被膜が摩耗しまたは削ら
れて傷ができ、この傷部分から腐食が始まるため、幾分
耐久性は延びるものの到底業界の要求に答えるものとは
なっていない。

【０００６】そこで、本発明の主たる課題は、簡易な手
段により従来型の圧力変換器を耐食性および耐摩耗性の
高いものにすることができるとともに、コスト的にも安
価である圧力変換器を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明は、先端に受圧部および圧力検出素子を備え
た圧力変換器において、少なくとも前記受圧部に対して
樹脂製キャップ材を取り付けて当該受圧部を被包したこ
とを特徴とするものである。

【０００８】この場合、前記樹脂製キャップ材の材質と
しては、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ブタジエン系合
成ゴム、オレフィン系合成ゴム、ポリウレタンゴム、塩
化ゴムなどの合成ゴム系弾性材とするのが望ましい。ま
た、前記受圧部に対する樹脂製キャップ材の取り付けに
当っては、シリコーン系接着剤、塩化ゴム系接着剤、ブ
タジエン系合成ゴム接着剤、オレフィン系合成ゴム接着
剤、ポリウレタン系接着剤から選ばれる接着剤を用いる
ことが望ましい。

【０００９】

【作用】本発明においては、圧力変換器の受圧部に対し
て樹脂、好ましくはゴム状弾性材によるキャップ材を取
付けて当該受圧部を被包する。したがって、既存の圧力
変換器に対して予め用意した前記キャップ材を取り付け
ることにより、簡単に硫酸系薬液などの腐食性流体から
保護することができる。

【００１０】また、従来のように、受圧部を樹脂コーテ
ィングする場合には、セメント粒子などによる激しい摩
耗により耐久性に問題があったが、好ましくはゴム状弾
性材とすることにより耐摩耗性が格段に向上し長期の使
用に耐えることができるようになる。また、弾性係数の
小さい合成ゴム系弾性材を使用することにより、受圧部
たるダイアフラムに対して、変形を阻害するなどの悪影
響を与えないため、たとえ微圧の測定であっても本来の
測定精度を維持することができる。

【００１１】

【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて詳述する。
図１において、圧力変換器１は、先端部側より受圧部た
るダイアフラム７と、前記ダイアフラム７を支持する円
筒形の保持部３、取付ネジ部４、ケース部５、アダプタ
６、ケーブル１０により構成される。

【００１２】一般に、電気抵抗変化形の圧力変換器とし
ては、抵抗線歪ゲージ型、Ｓｉ半導体を短冊状に切出し
成形加工したバルク形半導体型、Ｓｉ半導体単結晶のウ
エハ上に選択拡散法により作られた拡散形半導体型の３
種類がある。いずれも圧力を受ける受圧部分にダイアフ
ラム７が設けられ、このダイアフラム７の歪を検出する
歪ゲージのタイプによって前記３種類に分類されてい
る。なお、圧力変換器としては、他に静電容量形、電磁
誘導形、自己発電形のものがあるが本発明の範囲からは
除かれる。

【００１３】前記ダイアフラム７には、流体または気体
の作用圧によって変形し歪が発生する。ダイヤフラム７
の裏側には、詳細には図２に示すように歪ゲージ８が配
置され、前記ダイアフラム７に発生した歪を検出するよ
うになっている。前記ダイアフラム７の材質としては、
一般にりん青銅、ステンレス鋼、ベリリウム鋼、Ni-Spa
n-C が用いられる。特に、耐酸性を考慮する場合には、
前記ステンレス鋼が好適に用いられる。なお、前記ダイ
アフラム７に生じた変位を前記保持部３（この場合には
起歪部となる。）に伝え、この起歪部３に生じる歪を検
出する間接法の場合には、この起歪部３に対して歪ゲー
ジ８が配置される。

【００１４】ここで、前記歪ゲージ８の配置例を具体的
に説明すると、前記ダイアフラム７は等分布荷重を受け
る周辺固定の金属薄板であり、ダイアフラム７の直径方
向の応力線図は、半径方向応力σ_r とした場合、ダイヤ
フラム中央部と周辺部のほぼ６：４の部分で応力の極性
（±）が反転するため、この特性を利用して中央部に２
ヵ所、周辺部の２ヵ所に半導体歪ゲージ８を配置し、こ
れをホイトストンブリッジ回路に構成することにより４
枚ゲージ法の圧力変換器とすることができる。

【００１５】また、中央部に１ヵ所、周辺部に１ヵ所半
導体歪ゲージを配置し２枚ゲージ法のホイストンブリッ
ジを有する圧力変換器とする場合などは、より高出力、
高安定な特性を実現することができる。

【００１６】次いで、前記取付ネジ部４は、流路部の側
壁Ｓなどに対して圧力変換器１を取り付けるためのネジ
部であり、側壁Ｓに形成されたネジ孔に対して前記取付
部４を螺入することにより圧力変換器１を側壁Ｓなどに
対して取り付けることができるようになっている。

【００１７】また、前記ケース部５の内部には、図２に
示すように、中継端子板９が設けられており、前記ダイ
アフラム７に貼着された歪ゲージ８のリード線が前記中
継端子板９の端子に対して接続されており、この端子に
アダプタ６を介して接続された電線ケーブル１０が接続
されている。

【００１８】前記ダイアフラム７は、変形性能を上げる
ために、厚みが０．数mmの金属板が用いられており、腐
食が進行するとすぐに孔が形成されて使用不能となる。
したがって、本発明においては、前記ダイアフラム７お
よび保持部３に対して、これを被包する樹脂製キャップ
材２を取り付けている。この樹脂製キャップ材２は、詳
細には図３に示されるように、有底筒体状のキャップ材
であり、嵌着に当たっては、樹脂系接着剤を十分に塗布
し、中間に隙間が形成されないように密着して嵌着させ
る。嵌着後は前記ダイヤフラム７の変形を阻害すること
なく、ダイアフラム７の変形に追随して変形する。この
場合、前記樹脂接着剤としては、好ましくは硬化後も弾
性を失わない材料、具体的にはシリコーン系接着剤、塩
化ゴム系接着剤、ブタジエン系合成ゴム接着剤、オレフ
ィン系合成ゴム接着剤、ポリウレタン系接着などの合成
ゴム弾性を有する接着剤を用いるのが望ましい。

【００１９】他方、前記樹脂製キャップ材２の材質とし
ては、種々のものを使用することができる。たとえばフ
ェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹
脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル、塩化ビニル
樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチ
レン、ポリエチレン、ポリアミド、三ふっ化エチレン樹
脂、四ふっ化エチレン樹脂、ポリプロピレン、アセター
ル樹脂、ポリカーボネート、シリコーンゴム、フッ素ゴ
ム、ブタジエン系合成ゴム、オレフィン系合成ゴム、多
硫化系合成ゴム、ポリウレタンゴム、塩化ゴムなどの樹
脂のうち適宜の材料を使用することができる。

【００２０】注入薬液種類との関係で、特に耐酸性の高
い性質が要求される場合には、これらの内、フェノール
樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル、塩化ビニ
ル樹脂、ポリエチレン、三ふっ化エチレン樹脂、シリコ
ーンゴム、四ふっ化エチレン樹脂、ポリプロピレン、ア
セタール樹脂、ポリカーボネート、フッ素ゴム、ブタジ
エン系合成ゴム、オレフィン系合成ゴム、ポリウレタン
ゴム、塩化ゴムなどが選定される。

【００２１】さらに、セメント系グラウト材を使用する
場合や、反応材としてセメント、スラグを用いる場合な
どのように注入材中に微細粒子が混入しているため、特
に耐摩耗性が要求される場合には、これらの内、シリコ
ーンゴム、四ふっ化エチレン樹脂、ポリプロピレン、ア
セタール樹脂、ポリカーボネート、フッ素ゴム、ブタジ
エン系合成ゴム、オレフィン系合成ゴム、ポリウレタン
ゴム、塩化ゴムなどが選定される。

【００２２】さらに、ダイアフラム７の変位に対する影
響や装着性・追随性を考慮するならば、これらの内、シ
リコーンゴム、フッ素ゴム、ブタジエン系合成ゴム、オ
レフィン系合成ゴム、ポリウレタンゴム、塩化ゴムなど
の合成ゴム系弾性材が好適に選定される。

【００２３】前記樹脂製キャップ材２の底部の肉厚ｔ
は、０．１〜４mm、好ましくは０．２〜２mmとされる。
また図示の形状例では、キャップ材２の口部周囲に取付
ネジ部４の下側端面に当接する厚肉のストッパー部２ａ
が形成されているとともに、特に微粒子衝突による摩耗
が大きい底部の外側周囲には半円状に厚みを増して保護
部２ｂが形成されている。

【００２４】

【発明の効果】以上詳説のとおり、本発明によれば、簡
易な手段により従来型の圧力変換器を耐食性および耐摩
耗性の高いものにすることができる。また、コスト的に
も非常に安価で済むなどの利点を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る圧力変換器の側面図である。

【図２】本発明に係る圧力変換器の一部切欠き斜視図で
ある。

【図３】樹脂性キャップ材の断面図である。

【符号の説明】

１…圧力変換器、２…樹脂製キャップ材、３…保護部、
４…取付ネジ部、５…ケース部、６…アダプタ、７…ダ
イアフラム。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】先端に受圧部および圧力検出素子を備えた
   圧力変換器において、 少なくとも前記受圧部に対して樹脂製キャップ材を取り
   付けて当該受圧部を被包したことを特徴とする圧力変換
   器。
2. 【請求項２】前記樹脂製キャップ材の材質が合成ゴム系
   弾性材である請求項１記載の圧力変換器。
3. 【請求項３】前記樹脂製キャップ材の材質がシリコーン
   ゴム、フッ素ゴム、ブタジエン系合成ゴム、オレフィン
   系合成ゴム、ポリウレタンゴム、塩化ゴムである請求項
   ２記載の圧力変換器。
4. 【請求項４】前記受圧部に対する樹脂製キャップ材の取
   り付けに当り、シリコーン系接着剤、塩化ゴム系接着
   剤、ブタジエン系合成ゴム接着剤、オレフィン系合成ゴ
   ム接着剤、ポリウレタン系接着剤の群から選ばれる接着
   剤を用いた請求項１〜３記載の圧力変換器。