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JPH08134593A - 耐海水腐食性と耐硫化水素腐食性に優れた高強度オーステナイト合金 - Google Patents

耐海水腐食性と耐硫化水素腐食性に優れた高強度オーステナイト合金

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Publication number
JPH08134593A
JPH08134593A JP27469194A JP27469194A JPH08134593A JP H08134593 A JPH08134593 A JP H08134593A JP 27469194 A JP27469194 A JP 27469194A JP 27469194 A JP27469194 A JP 27469194A JP H08134593 A JPH08134593 A JP H08134593A
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JP
Japan
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corrosion resistance
hydrogen sulfide
seawater
alloy
less
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JP27469194A
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Masakatsu Ueda
昌克 植田
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】耐海水腐食性、耐硫化水素腐食性および溶体化
のままで高強度を備えたオーステナイト合金。 【構成】重量%で、Si:0.05〜1.0 、Mn: 1.5〜10、C
r:20〜30、Ni:20〜40、Al:0.01〜0.5 、0.25<N≦
0.6、Cu:0.2 〜2.5 を含有し、さらにV:0.02〜1.0
およびNb:0.04〜1.0 の1種以上と、Mo:0.2 〜4およ
びW:0.2 〜8の1種以上を含み、希土類元素:0〜0.
1 、Y:0〜0.20、Mg:0〜0.10およびCa:0〜0.10
で、残部はFeと不可避不純物からなり、不純物中のC、
P、Sはそれぞれ0.05、0.03、0.01以下で、〔Cr+3.3
(Mo+ 0.5W) +16N〕≧40;〔Cr+3.3(Mo+ 0.5W)
+2Ni〕≧70; 0.2%耐力=〔50+17.8×(4C+2N+
V+2Nb) 〕≧60、ただし、 0.2%耐力(単位:ksi)は
溶体化ままでの値の合金。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、硫化水素を含有する石
油、天然ガスを生産または輸送する際に、外面が海水に
曝される用途などに用いるのに好適な、耐海水腐食性と
耐硫化水素腐食性を有する高強度オーステナイト合金に
関する。
【0002】
【従来の技術】耐海水腐食性は、材料表面の不働態皮膜
(Cr酸化物) の安定性で決まる。そして、皮膜破壊がお
こったとき、Mo、W、N等が不働態皮膜の修復を促進す
ると言われており、PREW (Pitting Resistance Equ
ivalent including W )が大きいほど耐食性が良好であ
ることがわかっている(CORROSION/93, NACE Internati
onal,Paper No.125 1993 、参照。以下、文献1と記
す)。なお、PREWは下記の式で定義されている。
【0003】 PREW=〔Cr+3.3(Mo+ 0.5W) +16N〕 耐硫化水素腐食性に関しては、200 ℃以下の環境下では
応力腐食割れが重大な腐食問題で、Niを含有するNi−Cr
−Mo−Fe合金が高い耐食性を有する。その理由は、材
料表面にNi硫化物がまず生成し、次に、Ni硫化物で硫化
水素が遮断されるので、Ni硫化物の下にCr酸化物が生成
する、このCr酸化物皮膜が破壊されたとき、Moがその
修復を促進する、という現象にあると考えられている
(CORROSION/84, NACE International,Paper No.206 1
984 、参照。以下、文献2と記す)。
【0004】特開昭57−134544号公報、特開昭57−2071
42号〜同−207144号公報、特開昭57−207147号公報、特
開昭57−207148号公報に示される油井用合金では、使用
環境の温度条件に応じて耐応力腐食割れを付与するため
に、有効成分 (Ni、Cr、Mo、W) の範囲を限定し、さら
にCu、Coを添加して耐食性を高めているが、N、Vおよ
びNbが無添加であるため、耐海水腐食性や強度の点で問
題がある。
【0005】特開昭57−134544号公報、特開昭57−2037
35号〜同−203737号公報に示される油井用合金において
は、高強度を得るため通常の冷間加工仕上げや析出硬化
の手法が用いられている。特開昭57−203735号〜同−20
3737号公報に示される合金は高Nではあるが、Vおよび
Nbが無添加であるため、強度レベルが不十分となること
がある。また、特開昭57−134544号公報等では、耐食性
の指標としてNiを考慮していない。
【0006】特開昭57−203738号公報、特開昭57−2037
39号公報に示される油井用合金においては、VおよびNb
は添加されているがNが無添加であるため、耐海水腐食
性に問題がある。
【0007】特開昭57−207149号公報、特開昭57−2071
50号公報に示される油井用合金は、Nを0.05〜0.25%、
Nbおよび/またはVを 0.5〜4%で含有させ、さらに冷
間加工仕上げや析出硬化法により、耐応力腐食性と高強
度を付与するものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来の油井管では、油
井管の内部を流れる腐食流体(H2S、CO2 、Cl- 等) を考
慮して、また、海水環境での耐食材料でも、酸素−Cl-
環境における耐食性に基づいて、それぞれ合金設計がな
されてきた。しかし、最近の海底油井で使用される油井
管では、外面が海水に曝され、内面が生産流体に接す
る。さらに、溶接を考慮すると、溶体化のままで高強度
が得られることが必要となる。
【0009】本発明の目的は、耐海水腐食性、耐硫化水
素腐食性および溶体化のままで高強度を備えたオーステ
ナイト合金を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、次の高
強度オーステナイト合金にある。
【0011】重量%で、Si:0.05〜1.0 %、Mn: 1.5〜
10%、 Cr:20〜30%、 Ni:20〜40%、Al:0.01〜0.
5 %、N:0.25%を超え 0.6%以下、Cu:0.2 〜2.5
%、V:0.02〜1.0 %およびNb:0.04〜1.0 %のうち1
種または2種、Mo:0.2 〜4%およびW:0.2 〜8%の
うち1種または2種、を含み、希土類元素が0〜0.1
%、Yが0〜0.20%、Mgが0〜0.10%およびCaが0〜0.
10%で、残部はFeと不可避不純物からなり、不純物中の
Cは0.05%以下、Pは0.03%以下、Sは0.01%以下であ
り、かつ、下記式〜の条件を満足することを特徴と
する耐海水腐食性と耐硫化水素腐食性に優れた高強度オ
ーステナイト合金。
【0012】 〔Cr+3.3(Mo+ 0.5W) +16N〕≧40 ・・・・・・・・・・ 〔Cr+3.3(Mo+ 0.5W) +2Ni〕≧70 ・・・・・・・・・・ 0.2%耐力=〔50+17.8× (4C+2N+V+2Nb) 〕≧60・・・ ただし、 0.2%耐力(単位:ksi)は溶体化ままでの値で
あり、〜式中の元素記号は、その元素の含有量 (重
量%) を表す。
【0013】本発明の基となった新知見は、次のとおり
である。
【0014】耐海水腐食性:上記式は耐海水腐食性に
係わる指標である。文献1に示されているとおり、海水
中では局部腐食が最も重要な腐食問題であり、式を満
足させることで海水中での耐食性を確保することができ
る。
【0015】耐硫化水素腐食性:上記式は耐硫化水素
腐食性に係わる指標である。硫化水素含有環境では、文
献2に示されているように応力腐食割れが最も重要な腐
食問題であり、外層にNiの硫化物を、内層にCr−O皮膜
をそれぞれ生成させることで、耐食性を保持することが
できる。また、Mo、W、Cuは内層のCr−O皮膜の修復力
を著しく向上させる。
【0016】前述のように、特開昭57−134544号公報等
の発明では、Niを耐食性の指標には入れていない。本発
明者らは、高NのNi含有合金の硫化水素環境での耐応力
腐食割れ性に及ぼす成分元素の影響を検討し、(イ)Nは
耐応力腐食割れ性にほとんど影響を及ぼさないこと、
(ロ)Niも耐食性の指標に入れるべきであること、(ハ)Cr、
MoおよびWも耐応力腐食割れ性を向上させること、を見
いだした。すなわち、式を満足させると150 ℃の硫化
水素環境で応力腐食割れが生じなくなる。
【0017】高強度:上記式は溶体化ままでの強度に
係わる指標である。通常のオーステナイト合金は、溶体
化ままの状態では、0.2 %耐力が約35kg/mm2(50ksi) 程
度で強度が低い。冷間加工して高強度化された通常合金
は、溶接すれば強度が非常に低下するため、強度部材と
はなり得ない。Nに加えてさらにVおよび/またはNbを
添加して式を満足させると、固溶強化、析出強化およ
び細粒化効果により溶体化ままで高強度を得ることがで
きる。
【0018】Cu添加:Cuの添加は、硫化水素環境、特に
3程度の低 pH環境での硫化水素および海水環境での耐
食性を向上させることができる。
【0019】その他の合金成分の添加:一定量の希土類
元素、Y、Mg、およびCaのうちの1種または2種以上を
含有させると、熱間加工性がさらに一段と改善される。
【0020】
【作用】本発明合金の化学組成および特定成分の含有量
のバランスを、前述のように限定した理由を以下に説明
する。
【0021】Si:0.05〜1.0 % Siは脱酸のために必要な成分である。その効果を得るた
めには、Si含有量の下限は 0.05 %とする必要がある。
一方、その含有量が 1.0%を超えると熱間加工性が劣化
するようになることから、その上限を 1.0%とした。
【0022】Mn: 1.5〜10% Mnは本来、脱酸剤であるが、Nの固溶度を上げる元素で
あるので積極的に添加する。この効果を得るにはMn含有
量は1.5 %以上とする必要がある。一方、10%を超える
と応力腐食割れを生じるようになる。よって、Mn含有量
の範囲は 1.5〜10%と定めた。
【0023】Cr:20〜30% Crは、Ni、N、MoおよびWとの共存下で耐海水腐食性お
よび耐硫化水素腐食性( 主に耐応力腐食割れ性 )を向上
させる成分であるが、熱間加工性を阻害する成分でもあ
る。しかし、その含有量を20%未満としても熱間加工性
が改善されるようになるものでもなく、逆に所望の耐海
水腐食性および耐硫化水素腐食性を確保するためには、
MoやWの含有量をそれだけ増加させなければならず、経
済性を損なうため、Cr含有量の下限値は20%と定めた。
一方、Crが30%を超えると、いくらS含有量を低減させ
ても熱間加工性の劣化を避けることができないことか
ら、その上限値は30%と定めた。
【0024】Ni:20〜40% Niには耐硫化水素腐食性を向上させる作用があるが、そ
の含有量が20%未満では所望の優れた耐硫化水素腐食性
を確保することができない。一方、40%を超えても耐硫
化水素腐食性をさらに一段と向上させる効果は現れな
い。よって、経済性をも考慮して、Ni含有量の範囲は20
〜40%と定めた。
【0025】Al:0.01〜0.5 % Alは脱酸のために必要である。その効果を得るためにAl
含有量の下限を0.01%とする。一方、Alの含有量が 0.5
%を超えると熱間加工性が劣化する。従って、Alの適正
含有量は0.01〜0.5 %である。
【0026】N:0.25%を超え 0.6%以下 Nは、耐海水腐食性を著しく向上させると共に、固溶強
化作用により合金の強度を向上させる作用がある。しか
し、N含有量が0.25%以下では所望の高強度を得ること
ができない。一方、0.6 %を超えると窒素が十分固溶せ
ず、Cr窒化物を形成して合金の耐食性を劣化させるよう
になる。よって、N含有量の範囲は0.25%を超え
0.60%までと定めた。
【0027】Cu:0.2 〜2.5 % Cuには、特に酸性(pH3程度)の硫化水素および海水環
境下での耐食性を向上させる作用がある。0.2 %未満で
はその効果がない。一方、Cuが 2.5%を超えると熱間加
工性が劣化するため、その上限は 2.5%とした。
【0028】本発明合金では加えてさらに、次のVおよ
び/またはNbを含有させることができる。
【0029】V:0.02〜1.0 %、Nb:0.04〜1.0 % これらには、固溶強化、析出強化および細粒化効果によ
り、溶体化ままでの強度を向上させる効果があるので、
1種または2種複合で含有させる。Vが0.02%未満では
上記の効果が得られない。Nbが0.04%未満の場合も同様
である。一方、V、Nbとも 1.0%を超えると鋼の延性お
よび靱性が低下し、かつ熱間加工性も劣化するようにな
る。
【0030】Mo:0.2 〜4 %、W:0.2 〜8 % 前記のように、これらの成分には、N、NiおよびCrとの
共存で耐海水腐食性と耐硫化水素腐食性を改善する作用
がある。しかし、MoもWもともにその含有量が0.2 %未
満では効果が小さい。一方、Mo含有量が4%、W含有量
が8%をそれぞれ超えると、温度が 150℃以下の硫化水
素環境では、さらに一段の耐食性改善効果は現れない。
よって、経済性も考慮して、これらを含有させる場合の
上限はMoで4%、Wで8%とした。
【0031】本発明合金は、これまでに述べた成分の
外、残部がFeおよび不可避不純物からなるものであって
もよい。不可避不純物の代表的なものは、C、Pおよび
Sであり、これらは下記の許容上限値以下で、可及的に
少ない方がよい。
【0032】Cは耐応力腐食割れ性を悪化させる不可避
不純物である。その含有量が0.05%を超えると粒界に応
力腐食割れが生じやすくなる。さらにNbおよび/または
Vが存在する場合には、それらの粗大な炭化物を生成さ
せると共に、粒界に連続した炭化物を生じさせるため、
粒界に応力腐食割れが生じやすくなる。よって、C含有
量の上限は0.05%とした。
【0033】P:0.03%以下 不可避不純物としてのPには、その含有量が0.03%を超
えると硫化水素環境での耐応力腐食割れ性を悪化させる
作用があるので、上限値は0.03%と定めた。
【0034】S:0.01%以下 不可避不純物としてのSには、その含有量が0.01%を超
えると熱間加工性を劣化させる作用があるので、その上
限値を0.01%として熱間加工性の劣化を防止する必要が
ある。このように、S成分には含有量が多くなると熱間
加工性を劣化させる作用があるが、その含有量を0.0007
%まで低減すると、熱間加工性が一段と改善されるよう
になることから、厳しい条件での熱間加工性を必要とす
る場合には、S含有量を0.0007%以下とするのが望まし
い。
【0035】本発明合金は、これまでに述べて成分に加
えてさらに、次の希土類元素、Y、MgおよびCaのうちか
ら選ばれた1種または2種以上を含有することができ
る。これらの任意添加成分の作用効果と望ましい含有量
は下記のとおりである。
【0036】希土類元素、Y、MgおよびCa:これらの成
分には、熱間加工性をさらに改善する作用があるので、
厳しい条件で熱間加工性が行われる場合に、必要に応じ
て含有させる。熱間加工性の改善効果を積極的に得たい
場合のそれぞれの含有量の望ましい下限は 0.001%であ
る。
【0037】一方、希土類元素は 0.1%、Yは 0.2%、
Mgは0.10%、Caは0.10%をそれぞれ超えると上記の効果
は飽和する。
【0038】本発明合金は、上記の化学組成に加え、下
記式〜で示される成分含有量のバランス条件を満足
するものでなければならない。
【0039】 〔Cr+3.3(Mo+ 0.5W) +16N〕≧40 ・・・・・・・・・・ 〔Cr+3.3(Mo+ 0.5W) +2Ni〕≧70 ・・・・・・・・・・ 0.2%耐力=〔50+17.8× (4C+2N+V+2Nb) 〕≧60・・・ ただし、 0.2%耐力(単位:ksi)は溶体化ままでの値。
【0040】式の左辺値が40未満であると、所望の耐
海水腐食性を確保することができない。式の左辺値が
70未満であると、所望の耐硫化水素腐食性を確保するこ
とができない。式の左辺値が60未満であると、溶体化
ままでの望ましい 0.2%耐力(60ksi以上) が得られな
い。
【0041】なお、この本発明合金において、不可避不
純物としてB、Sn、As、Sb、Bi、PbおよびZnをそれぞれ
0.1%以下の範囲で含有しても、本発明合金の上記特性
は何ら損なわれるものではない。
【0042】
【実施例】表1、表2および表3に示す化学組成の鋼を
通常の電気炉で溶解し、さらに窒素含有量と脱硫の制御
の目的でAr−酸素脱炭炉(AOD炉)を使用して溶製し
た後、直径 500mmφのインゴットに鋳造した。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】次いでこれらのインゴットを温度1200℃で
熱間鍛造し、直径 150mmφのビレットを製造した。この
とき、熱間加工性を評価する目的でビレットに割れの発
生があるか否かを観察し、引き続いて前記ビレットから
熱間押出加工により直径60mmφ×肉厚5mmの管を製造し
た。さらに、これらの管に1100℃の溶体化処理を施し
た。
【0047】このようにして得た管から、試験片を加工
し、耐海水腐食性、耐硫化水素腐食性および引張試験を
行った。以下に、各試験条件と試験片の寸法を示す。
【0048】(A) 引張試験 試験温度:常温 試験片 : 4.0mmφで平行部長さ20mm (B) 耐海水腐食性試験 ASTM G48に従った塩化第2鉄試験 試験温度:60℃ 試験片 :30mm角、厚さ3mm (C) 耐硫化水素腐食性 試験溶液:20%NaCl+ 0.5%CH3COOH 、10atmH2S+10at
mCO2 試験温度:150 ℃ 浸漬時間:720 時間 付加応力:実0.2 %耐力の100 % 試験片 :幅10mm×厚さ2mm×長さ75mm (中央部に0.25
mmのUノッチ) これらの試験結果と熱間加工性の評価結果を表3に併せ
て示す。なお、割れおよび孔食が生じなかったものを
○、生じたものを×で示した。
【0049】表3に示す結果から、本発明で定める化学
組成、およびさらに式およびを満足している本発明
合金は、耐海水腐食性および耐硫化水素腐食性を兼ね備
えていることが明らかである。一方、化学組成または式
およびが本発明で定める範囲外の比較合金では、い
ずれも十分な耐食性を示さないことがわかる。さらに式
も満足する本発明合金では、溶体化ままで 0.2%耐力
が60 ksi以上となり、所望の高強度が得られることが明
らかである。
【0050】
【発明の効果】本発明合金は、外面が海水に曝され、内
面が硫化水素等の腐食性流体に接する油井管用などとし
て好適な、耐食性と溶体化ままで高強度(0.2%耐力が60
ksi 以上)とを有するオーステナイト合金である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、Si:0.05〜1.0 %、Mn: 1.5〜
    10%、Cr:20〜30%、Ni:20〜40%、Al: 0.01〜0.5
    %、N:0.25%を超え 0.6%以下、Cu:0.2〜2.5 %を
    含有し、さらにV:0.02〜1.0 %およびNb:0.04〜1.0
    %のうち1種または2種、Mo:0.2 〜4%およびW:0.
    2 〜8%のうち1種または2種を含み、希土類元素:0
    〜0.1 %、Y:0〜0.20%、Mg:0〜0.10%およびCa:
    0〜0.10%で、残部はFeと不可避不純物からなり、不純
    物中のCは0.05%以下、Pは0.03%以下、Sは0.01%以
    下であり、かつ下記式〜の条件を満足することを特
    徴とする耐海水腐食性と耐硫化水素腐食性に優れた高強
    度オーステナイト合金。 〔Cr+3.3(Mo+ 0.5W) +16N〕≧40 ・・・・・・・・・・ 〔Cr+3.3(Mo+ 0.5W) +2Ni〕≧70 ・・・・・・・・・・ 0.2%耐力=〔50+17.8×(4C+2N+V+2Nb) 〕≧60・・・ ただし、 0.2%耐力(単位:ksi)は溶体化ままでの値。
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