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JPH08120145A - 含ふっ素エラストマー成形物、絶縁電線および絶縁チューブ - Google Patents

含ふっ素エラストマー成形物、絶縁電線および絶縁チューブ

Info

Publication number
JPH08120145A
JPH08120145A JP26284894A JP26284894A JPH08120145A JP H08120145 A JPH08120145 A JP H08120145A JP 26284894 A JP26284894 A JP 26284894A JP 26284894 A JP26284894 A JP 26284894A JP H08120145 A JPH08120145 A JP H08120145A
Authority
JP
Japan
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fluorine
containing elastomer
heat
weight
fluoroelastomer
Prior art date
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Application number
JP26284894A
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Inventor
Hiroshi Hayami
宏 早味
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority to JP26284894A priority Critical patent/JP3555628B2/ja
Publication of JPH08120145A publication Critical patent/JPH08120145A/ja
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐熱性にすぐれるとともに柔軟性にもすぐれ
た絶縁電線や絶縁チューブを形成しうる、新規な含ふっ
素エラストマー成形物と、絶縁電線および絶縁チューブ
を提供する。 【構成】 含ふっ素エラストマー成形物は、ふっ化ビニ
リデン−四ふっ化エチレン−六ふっ化プロピレンの3元
系の含ふっ素エラストマーに、熱溶融性含ふっ素樹脂を
配合してポリオール加硫させた。絶縁電線は、導体の表
面に、上記含ふっ素エラストマー成形物からなる絶縁被
覆を形成した。絶縁チューブは、上記含ふっ素エラスト
マー成形物からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、耐熱性および柔軟性
にすぐれた新規な含ふっ素エラストマー成形物に関し、
より詳細には、絶縁電線、絶縁チューブに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】たとえば自動車のエンジンルーム内等の
電気配線に使用される絶縁電線には、高度な耐熱性と柔
軟性が要求される。すなわちエンジンルーム内は高温に
なるため、絶縁電線は、絶縁被覆が高温で劣化する等し
て絶縁破壊を起こすおそれがないように、高度な耐熱性
を有する必要がある。また、近年の電子制御システムの
高性能化にともなって、エンジンルーム内の配線量は年
々増加する傾向にあるため、限られたスペース内での配
線の引回しが容易となるように、上記絶縁電線は、柔軟
性にすぐれることも要求される。
【0003】そこで、上記の要求を満たす、耐熱性にす
ぐれかつ柔軟性にもすぐれた絶縁電線が種々検討された
結果、含ふっ素エラストマー、とくにふっ化ビニリデン
−四ふっ化エチレン−六ふっ化プロピレン共重合体を加
硫させた絶縁被覆を有する絶縁電線が、近年、盛んに用
いられている。上記3元系の含ふっ素エラストマーから
なる絶縁被覆を有する絶縁電線は、200℃程度の高温
の雰囲下で連続使用が可能であるという優れた耐熱性を
有する上、柔軟性にもすぐれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし近時、エンジン
の高出力化にともなってエンジンルーム内の温度がさら
に高温化しつつあるため、上記従来の含ふっ素エラスト
マーからなる絶縁被覆を有する絶縁電線では、その要求
に十分に対応しきれなくなってきているのが現状であ
る。
【0005】上記の問題は、電線の接続部等を被覆して
絶縁するための絶縁チューブについても同様である。な
お、含ふっ素エラストマーよりも耐熱性にすぐれた絶縁
被覆を形成しうる材料としては、四ふっ化エチレン樹脂
(PTFE)や四ふっ化エチレン−パーフルオロアルキ
ルビニルエーテル共重合体(PFA)等のふっ素樹脂が
知られているが、これらのふっ素樹脂からなる絶縁被覆
を有する絶縁電線は、先のものに比べて柔軟性が不十分
であり、配線の引回しが容易でないため、とくにエンジ
ンルーム内等の限られたスペースでの局所配線に適さな
いという問題がある。
【0006】この発明の目的は、耐熱性にすぐれるとと
もに柔軟性にもすぐれた絶縁電線や絶縁チューブを形成
しうる、新規な含ふっ素エラストマー成形物と、それを
用いた、耐熱性にすぐれるとともに柔軟性にもすぐれる
ため、自動車のエンジンルーム内等において好適に使用
される絶縁電線および絶縁チューブを提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段および作用】上記課題を解
決するため、発明者らはまず、前記3元系の含ふっ素エ
ラストマーに、熱溶融性のふっ素樹脂を配合することを
検討した。この技術は、ふっ化ビニリデン−三ふっ化塩
化エチレン共重合ゴム、ふっ化ビニリデン−六ふっ化プ
ロピレン共重合ゴム等の2元系の含ふっ素エラストマー
の改質方法として一般的な技術であるが、今般、発明者
らが検討したところ、上記3元系の含ふっ素エラストマ
ーにおいても有効であり、含ふっ素エラストマーの柔軟
性を維持しつつ、その耐熱性を向上できることが明らか
となった。しかし、かかる改質処理を施した含ふっ素エ
ラストマーであっても、その加硫方法によっては、耐熱
性向上の効果が十分に得られない場合が生じることが判
明した。
【0008】そこで発明者らはつぎに、上記3元系の含
ふっ素エラストマーの加硫方法について、さらに検討し
た。その結果、たとえば放射線(電子線)架橋やパーオ
キサイド加硫、アミン加硫等の加硫方法では、熱溶融性
のふっ素樹脂の配合による耐熱性向上効果が十分に得ら
れず、多価アルコール系加硫剤を用いた、いわゆるポリ
オール加硫によってのみ、含ふっ素エラストマーの加硫
後の耐熱性を著しく向上できることを見出し、この発明
を完成するに至った。
【0009】すなわちこの発明の含ふっ素エラストマー
成形物は、ふっ化ビニリデン、四ふっ化エチレンおよび
六ふっ化プロピレンの3種を主な繰り返し単位とする含
ふっ素エラストマーに、熱溶融性ふっ素樹脂を配合して
ポリオール加硫させてなることを特徴とするものであ
る。またこの発明の絶縁電線は、導体表面に、上記この
発明の含ふっ素エラストマー成形物からなる絶縁被覆が
形成されたものであり、この発明の絶縁チューブは、上
記この発明の含ふっ素エラストマー成形物からなるもの
である。
【0010】まず、この発明の含ふっ素エラストマー成
形物について説明する。この発明の含ふっ素エラストマ
ー成形物の主要成分たる含ふっ素エラストマーとして
は、前記のように、ふっ化ビニリデン、六ふっ化プロピ
レンおよび四ふっ化エチレンの3種を主な繰り返し単位
とするものが使用される。かかる含ふっ素エラストマー
の代表例としては、前述した、ふっ化ビニリデン−四ふ
っ化エチレン−六ふっ化プロピレン共重合体があげられ
るが、上記3種の繰り返し単位に、さらに適当な第4の
繰り返し単位を加えた4元系の含ふっ素エラストマーも
使用可能である。
【0011】上記含ふっ素エラストマーの物性値は、と
くに限定されないが、耐熱性等の観点から、エラストマ
ー中のふっ素含量は、67〜71重量%であるのが好ま
しく、67〜69重量%であるのがさらに好ましい。ま
た押し出し加工性の点からは、その流動性の尺度である
(分子量の尺度でもある)ムーニー粘度が、30〜12
0ML1+4 (100℃)であるのが好ましく、50〜9
0ML1+4 (100℃)であるのがさらに好ましい。
【0012】上記含ふっ素エラストマーに配合される熱
溶融性ふっ素樹脂としては、従来公知の種々の熱溶融性
ふっ素樹脂がいずれも使用可能である。具体的には、こ
れに限定されないがたとえば、エチレン−四ふっ化エチ
レン共重合体(ETFE)や、この共重合体にさらにふ
っ化オレフィン等の適当な繰り返し単位を加えた多元系
の共重合体等の、エチレンと四ふっ化エチレンとを主な
繰り返し単位とする共重合体が最も好適に使用される
他、四ふっ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエ
ーテル共重合体(PFA)、四ふっ化エチレン−六ふっ
化プロピレン共重合体(FEP)、ポリふっ化ビニリデ
ン(PVdF)、ふっ化ビニリデン−ふっ化オレフィン
共重合体(ふっ化ビニリデン−六ふっ化プロピレン共重
合体等)等を使用することもできる。これらはそれぞれ
単独で使用される他、2種以上を併用することもでき
る。
【0013】かかる熱溶融性ふっ素樹脂を含ふっ素エラ
ストマーに配合する方法としては、下記の2方法が好適
に採用される。 粉末状の熱溶融性ふっ素樹脂を、含ふっ素エラスト
マーとともに、熱溶融性ふっ素樹脂の融点未満の温度条
件下で、オープンロールミキサー、バンバリーミキサ
ー、加圧ニーダ等の既知の混合装置を用いて機械的に混
合する。 含ふっ素エラストマーと熱溶融性ふっ素樹脂とを、
熱溶融性ふっ素樹脂の融点より高い温度にて、上記オー
プンロールミキサー等の既知の混合装置を用いて溶融、
混合する。
【0014】このうち前者の、の方法における、熱溶
融性ふっ素樹脂の粉末の配合量は、含ふっ素エラストマ
ー100重量部に対して、5〜30重量部の範囲に限定
される。熱溶融性ふっ素樹脂の粉末の配合量が上記範囲
未満では、耐熱性向上の効果が得られず、逆に上記範囲
を超えた場合には、加硫初期の機械的特性、耐熱性、柔
軟性および加硫前の組成物の成形加工性(押し出し性
等)が悪化する。なお、熱溶融性ふっ素樹脂の粉末の配
合量は、上記範囲内でもとくに10〜30重量部である
のが好ましい。
【0015】上記熱溶融性ふっ素樹脂の粉末の粒径は、
とくに限定されないが、10〜100μm程度が好まし
く、10〜50μm程度がさらに好ましい。粒径が上記
範囲を外れた場合には、熱溶融性ふっ素樹脂の粉末が、
含ふっ素エラストマーに均一に分散されず、耐熱性向上
の効果が十分に得られなくなるおそれがある他、柔軟性
や、加硫前の組成物の成形加工性が悪化するおそれもあ
る。
【0016】前者のの場合、両者の混合時には、後述
する多価アルコール系加硫剤、加硫促進剤、受酸剤等の
各種添加剤を同時に混合でき、その混合温度は、前述し
たように熱溶融性ふっ素樹脂の融点未満に限定される
が、加硫反応の開始と進行を防止するためには、上記範
囲内でもとくに、室温ないし100℃程度で混合するの
が好ましく、室温ないし50℃程度で混合するのがさら
に好ましい。
【0017】一方、の方法においては、含ふっ素エラ
ストマーと熱溶融性ふっ素樹脂を、重量比で95/5〜
50/50の割合で配合する必要がある。両者の配合割
合が、上記範囲よりも含ふっ素エラストマーの多い側に
外れた場合には、耐熱性向上の効果が得られない。また
逆に両者の配合割合が、上記範囲よりも熱溶融性ふっ素
樹脂の多い側に外れた場合には、加硫初期の機械的特
性、耐熱性、柔軟性および加硫前の組成物の成形加工性
が悪化する。なお、両者の配合割合は、上記範囲内でも
とくに95/5〜60/40であるのが好ましく、90
/10〜70/30であるのがさらに好ましい。
【0018】両者の混合温度は、前記のように熱溶融性
ふっ素樹脂の融点より高い温度であればよく、その範囲
はとくに限定されないが、熱溶融性ふっ素樹脂の融点よ
り10〜30℃程度高い温度であるのが好ましく、20
℃程度高い温度であるのがさらに好ましい。この場合、
後述する多価アルコール系加硫剤、加硫促進剤、受酸剤
等の各種添加剤は、加硫反応の開始と進行を防止するた
めに、両者を溶融混練して一体化した後の混合物に対し
て、次工程で、室温ないし100℃程度、より好ましく
は室温ないし50℃程度の比較的低温条件下で混合する
のがよい。
【0019】含ふっ素エラストマーを加硫させるための
加硫剤としては、前記のように多価アルコール系加硫剤
が使用される。これ以外の加硫剤を用いた加硫方法で
は、十分な耐熱性が得られない。かかる多価アルコール
系加硫剤としては、ポリオール加硫用として従来公知
の、種々の多価アルコール系加硫剤が、いずれも使用可
能である。具体例としては、これに限定されないが、た
とえば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン〔ビスフェノールA〕、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)パーフロロプロパン〔ビスフェノールA
F〕、レゾルシン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼ
ン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒド
ロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、
4,4′−ジヒドロキシビフェニル、4,4′−ジヒド
ロキシスチルベン、2,6−ジヒドロキシアントラセ
ン、ハイドロキノン、カテコール、2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)ブタン〔ビスフェノールB、4,
4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)吉草酸、2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)テトラフロロジクロロ
プロパン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホ
ン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルケトン、トリ
(4−ヒドロキシフェニル)メタン、3,3′,5,
5′−テトラクロロビスフェノールA、3,3′,5,
5′−テトラブロモビスフェノールA等があげられる。
これらはそれぞれ単独で使用される他、2種以上を併用
することもできる。
【0020】中でも、加硫後の耐熱性を考慮すると、分
子中にふっ素原子を有する多価アルコール、とくにビス
フェノールAFが好適に使用される。上記多価アルコー
ル系加硫剤の配合量は、熱溶融性ふっ素樹脂を粉末で配
合する系(前記の系)では、含ふっ素エラストマー1
00重量部に対して0.1〜10重量部であるのが好ま
しく、0.5〜5重量部であるのがさらに好ましい。ま
た、含ふっ素エラストマーと熱溶融性ふっ素樹脂とを溶
融、混合する系(前記の系)では、両者の混合物10
0重量部に対して0.1〜10重量部であるのが好まし
く、0.5〜5重量部であるのがさらに好ましい。
【0021】上記多価アルコール系加硫剤の加硫を促進
するための加硫促進剤や、あるいは加硫時に生じる酸性
物質の受容体としての受酸剤等を配合してもよい。加硫
促進剤としては、種々のホスホニウム塩または4級アン
モニウム塩が使用され、中でも4級アンモニウム塩、と
くに、一般式(1) :
【0022】
【化1】
【0023】〔式中Rは炭素数1〜24のアルキル基を
示し、Xはハロゲン原子を示す〕で表される1,8−ジ
アザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセン誘導体の
ハロゲン化物が好適に使用される。かかる4級アンモニ
ウム塩の具体例としては、これに限定されないが、たと
えば下記式(1-1) :
【0024】
【化2】
【0025】で表される8−メチル−1,8−ジアザビ
シクロ(5,4,0)−7−ウンデセニウムアイオダイ
ド(MDUI)があげられる。加硫促進剤の配合量は、
含ふっ素エラストマー100重量部に対して0.01〜
1重量部であるのが好ましく、0.1〜1重量部である
のがさらに好ましい。受酸剤としては、酸化マグネシウ
ム、酸化鉛、水酸化カルシウム、亜鉛華と二塩基性亜り
ん酸鉛の組み合わせ等があげられる。これらはそれぞれ
単独で使用される他、2種以上を併用することもでき
る。
【0026】受酸剤の配合量は、含ふっ素エラストマー
100重量部に対して1〜20重量部であるのが好まし
く、5〜10重量部であるのがさらに好ましい。さらに
上記各種添加剤に加えて、充填剤、可塑剤、加工助剤等
の従来公知の種々の添加剤を、適宜の割合で配合するこ
とができる。この発明の含ふっ素エラストマー成形物
は、含ふっ素エラストマーに、熱溶融性ふっ素樹脂と上
記の各成分とを配合した含ふっ素エラストマー組成物
を、所定の形状に成形した後、所定時間、加熱、加圧し
てポリオール加硫させることで製造される。
【0027】ポリオール加硫の条件はとくに限定されな
いが、170〜200℃、2〜5kg/cm2 の加熱、
加圧条件下で、5〜20分程度が好ましい。つぎに、こ
の発明の絶縁電線について説明する。この発明の絶縁電
線は、導体の表面に、上記この発明の含ふっ素エラスト
マー成形物からなる絶縁被覆を形成したものである。
【0028】導体としては、銅、軟銅、銀、ニッケルめ
っき軟銅、すずめっき軟銅等の従来公知の導体材料から
なるものが、いずれも使用可能である。この発明の絶縁
電線を製造するにはまず、押出成形等の既知の成形加工
方法によって、導体の表面に、この発明の含ふっ素エラ
ストマー成形物の原料である、含ふっ素エラストマー
に、熱溶融性ふっ素樹脂と上記の各成分とを配合した含
ふっ素エラストマー組成物を被覆する。
【0029】この際の成形加工温度はとくに限定されな
いが、含ふっ素エラストマー組成物の加硫反応の開始と
進行を防止するために、150℃以下であるのが好まし
い。つぎに、上記のようにして導体の表面に被覆された
含ふっ素エラストマー組成物を、たとえば加硫釜等を用
いて、170〜200℃、2〜5kg/cm2 程度の加
熱、加圧条件下で、5〜20分程度加硫させると、この
発明の含ふっ素エラストマー成形物からなる絶縁被覆が
形成されて、この発明の絶縁電線が製造される。
【0030】絶縁被覆の厚みはとくに限定されず、絶縁
電線の規格等に合わせた厚みにすればよい。つぎに、こ
の発明の絶縁チューブについて説明する。この発明の絶
縁チューブは、前記この発明の含ふっ素エラストマー成
形物の原料である、含ふっ素エラストマーに、熱溶融性
ふっ素樹脂と上記の各成分とを配合した含ふっ素エラス
トマー組成物をチューブ状に形成して加硫させたもので
ある。絶縁チューブとしては、単に電線等に被せるチュ
ーブと、被せた後、加熱すると熱収縮して電線の周囲に
フィットする熱収縮性チューブとがあるが、この発明の
構成は、この何れにも適用することができる。
【0031】このうち前者の、単に電線等に被せる絶縁
チューブを製造するには、前述した押出成形等の既知の
成形加工方法によって、含ふっ素エラストマー組成物を
所定の径を有するチューブ状に成形した後、やはり前述
した加硫釜等を用いて加硫させればよい。また後者の、
熱収縮性の絶縁チューブを製造するには、まず前述した
押出成形等の既知の成形加工方法によって、含ふっ素エ
ラストマー組成物を、熱収縮後の径を有するチューブ状
に成形した後、加硫する。つぎにこのチューブを、熱溶
融性ふっ素樹脂の融点以上、融点+20℃以下程度の温
度範囲内で加熱しつつ、その内部に圧縮空気を送り込む
等してチューブを所定の径に膨らませた後、速やかに水
冷する等すればよい。
【0032】
【実施例】以下にこの発明を、実施例、比較例に基づい
て説明する。 《含ふっ素エラストマー成形物》 実施例1 含ふっ素エラストマーであるふっ化ビニリデン−四ふっ
化エチレン−六ふっ化プロピレン共重合体〔ふっ素含量
68重量%、ムーニー粘度90ML1+4 (100℃)、
ダイキン工業(株)製〕100重量部に対して、熱溶融
性ふっ素樹脂である四ふっ化エチレン−六ふっ化プロピ
レン共重合体(FEP)の粉末〔融点245℃、平均粒
径20μm、ダイキン工業(株)製〕10重量部と、下
記の各成分とを配合し、オープンロールミキサーを用い
て室温ないし50℃で混合して、含ふっ素エラストマー
組成物を作製した。
【0033】 (成分) (重量部) ・加硫剤:ビスフェノールAF 2 ・加硫促進剤(4級アンモニウム塩):MDUI 0.2 ・受酸剤:酸化マグネシウム 5 水酸化カルシウム 5 つぎに上記含ふっ素エラストマー組成物を、熱プレス成
形機を使用して、設定温度170℃、設定圧力20kg
/mm2 、加圧時間10分の条件で、厚み1.0mmの
シート状に成形するとともにポリオール加硫して、シー
ト状の含ふっ素エラストマー成形物を得た。 実施例2,3、比較例1 FEPの粉末の配合量を20重量部(実施例2)、30
重量部(実施例3)および50重量部(比較例1)とし
たこと以外は実施例1と同様にして含ふっ素エラストマ
ー組成物を作製し、実施例1と同条件(ただし比較例1
は加圧時間20分)で成形し、ポリオール加硫して、シ
ート状の含ふっ素エラストマー成形物を得た。 比較例2 FEPの粉末を配合しなかったこと以外は実施例1と同
様にして含ふっ素エラストマー組成物を作製し、実施例
1と同条件で成形し、ポリオール加硫して、シート状の
含ふっ素エラストマー成形物を得た。 実施例4 FEPの粉末に代えて、四ふっ化エチレン−パーフロロ
アルキルビニルエーテル共重合体(PFA)の粉末〔融
点309℃、平均粒径25μm、ダイキン工業(株)
製〕20重量部を配合したこと以外は実施例1と同様に
して含ふっ素エラストマー組成物を作製し、実施例1と
同条件で成形し、ポリオール加硫して、シート状の含ふ
っ素エラストマー成形物を得た。 実施例5 FEPの粉末に代えて、エチレン−四ふっ化エチレン−
ふっ化オレフィン共重合体(ETFE系共重合体)の粉
末〔融点224℃、平均粒径35μm、ダイキン工業
(株)製〕30重量部を配合したこと以外は実施例1と
同様にして含ふっ素エラストマー組成物を作製し、実施
例1と同条件で成形し、ポリオール加硫して、シート状
の含ふっ素エラストマー成形物を得た。 比較例3 含ふっ素エラストマーであるふっ化ビニリデン−四ふっ
化エチレン−六ふっ化プロピレン共重合体〔ふっ素含量
68重量%、ムーニー粘度90ML1+4 (100℃)、
ダイキン工業(株)製〕100重量部に対して、熱溶融
性ふっ素樹脂であるFEPの粉末20重量部と、下記の
各成分とを配合し、オープンロールミキサーを用いて5
0℃で混合して含ふっ素エラストマー組成物を作製し
た。
【0034】 (成分) (重量部) ・架橋剤:トリアリルイソシアヌレート 2 ・受酸剤:酸化マグネシウム 5 つぎに上記含ふっ素エラストマー組成物を、熱プレス成
形機を使用して、設定温度170℃、設定圧力20kg
/mm2 、加圧時間10分の条件で、厚み1.0mmの
シート状に成形した後、加速電圧2MeVの電子線を照
射(照射線量100kGy)して電子線架橋して、シー
ト状の含ふっ素エラストマー成形物を得た。 比較例4 FEPの粉末を配合しなかったこと以外は比較例3と同
様にして含ふっ素エラストマー組成物を作製し、比較例
3と同条件で成形し、電子線架橋して、シート状の含ふ
っ素エラストマー成形物を得た。 比較例5 含ふっ素エラストマーであるふっ化ビニリデン−四ふっ
化エチレン−六ふっ化プロピレン共重合体〔ふっ素含量
68重量%、ムーニー粘度90ML1+4 (100℃)、
ダイキン工業(株)製〕100重量部に対して、熱溶融
性ふっ素樹脂であるPFAの粉末20重量部と、下記の
各成分とを配合し、オープンロールミキサーを用いて5
0℃で混合して含ふっ素エラストマー組成物を作製し
た。
【0035】 (成分) (重量部) ・加硫剤:ジクミルパーオキシド 1 ・共加硫剤:トリアリルイソシアヌレート 2 つぎに上記含ふっ素エラストマー組成物を、熱プレス成
形機を使用して、設定温度170℃、設定圧力20kg
/mm2 、加圧時間20分の条件で、厚み1.0mmの
シート状に成形するとともにパーオキサイド加硫して、
シート状の含ふっ素エラストマー成形物を得た。 比較例6 PFAの粉末を配合しなかったこと以外は比較例5と同
様にして含ふっ素エラストマー組成物を作製し、比較例
5と同条件(ただし加圧時間10分)で成形し、パーオ
キサイド加硫して、シート状の含ふっ素エラストマー成
形物を得た。
【0036】上記各実施例、比較例で得られたシート状
の含ふっ素エラストマー成形物について、以下の各試験
を行い、その特性を評価した。 初期物理特性試験I 上記シート状の含ふっ素エラストマー成形物を打ち抜い
て、JIS K 6301「加硫ゴム物理試験方法」の
第3項「引張試験」に規定されたダンベル状の試験片
(3号形)を作製し、上記「引張試験」に所載の試験方
法に則って、各試験片の引張強さ〔kg/mm2 〕およ
び破断伸び〔%〕を測定した。さらに柔軟性評価のた
め、上記試験片の、2%伸び時の引張応力を測定し、そ
れを50倍してセカントモジュラス〔kg/mm2 〕と
した。 熱老化後物理特性試験I 上記初期物理特性試験Iにて作製したのと同じ試験片
を、287℃のギヤオーブン中で、168時間熱老化さ
せた後、上記と同様にして、各試験片の引張強さ〔kg
/mm2 〕および破断伸び〔%〕を測定した。
【0037】以上の結果を表1に示す。なお表中の比較
例2′は、比較例2において、シート状の含ふっ素エラ
ストマー成形物を製造する際の加圧時間を20分とした
ものの測定結果である。
【0038】
【表1】
【0039】表1の、同じポリオール加硫型の含ふっ素
エラストマー成形物である実施例1〜5、比較例1,
2,2′を比較すると、熱溶融性ふっ素樹脂であるFE
Pの粉末を配合しなかった比較例2,2′は、上記FE
Pの粉末を配合した実施例1〜3に比べて熱老化後の引
張強さの低下が大きく、耐熱性が不十分であることがわ
かった。
【0040】またFEPの粉末を30重量部を超えて配
合した比較例1は、FEPの粉末の配合量が5〜30重
量部の範囲内である上記実施例1〜3に比べて、初期の
引張強さや破断伸びが著しく小さいことから、強度なら
びに柔軟性に問題のあることがわかった。このため、熱
老化試験を断念した。これに対し、FEPの粉末を5〜
30重量部の範囲で配合した実施例1〜3はいずれも、
比較例1に比べて初期の引張強さや破断伸びが大きく、
またセカントモジュラスは比較例2,2′並みに小さい
ことから、強度ならびに柔軟性にすぐれていることがわ
かった。また上記実施例1〜3はいずれも、比較例2,
2′に比べて熱老化後の引張強さおよび破断伸びの低下
が小さいことから、耐熱性にもすぐれていることがわか
った。
【0041】また、FEPの粉末に代えてPFAの粉末
を上記の範囲で配合した実施例4、およびETFE系共
重合体の粉末を上記の範囲で配合した実施例5も、同様
に強度ならびに柔軟性にすぐれるとともに、耐熱性にす
ぐれていることがわかった。中でもETFE系共重合体
の粉末を上記の範囲で配合した実施例5は、熱老化後の
引張強さの低下が小さいことから、とくに耐熱性にすぐ
れていることがわかった。
【0042】また上記各実施例、比較例と、電子線架橋
型の含ふっ素エラストマー成形物である比較例3,4と
を比較すると、FEPの粉末を配合した比較例3は、熱
老化後の引張強さの低下が大きく、またFEPの粉末を
配合しなかった比較例4は、熱老化後の破断伸びの低下
が大きいことから、いずれも耐熱性が不十分であること
がわかった。
【0043】さらに、パーオキサイド加硫型の含ふっ素
エラストマー成形物である比較例5,6はいずれも、熱
老化後の引張強さおよび破断伸びの低下が著しく、測定
できなかった。このことから上記両比較例はいずれも、
耐熱性に問題のあることがわかった。 実施例6 含ふっ素エラストマーであるふっ化ビニリデン−四ふっ
化エチレン−六ふっ化プロピレン共重合体〔ふっ素含量
68重量%、ムーニー粘度90ML1+4 (100℃)、
ダイキン工業(株)製〕と、熱溶融性ふっ素樹脂である
前記ETFE系共重合体〔融点224℃、メルトフロー
レート30(297℃)、ダイキン工業(株)製〕と
を、重量比で90/10の割合で配合し、オープンロー
ルミキサーを用いて244℃で溶融、混合した後、この
混合物100重量部に対して下記の各成分を配合し、オ
ープンロールミキサーを用いて室温ないし100℃で混
合して含ふっ素エラストマー組成物を作製した。
【0044】 (成分) (重量部) ・加硫剤:ビスフェノールAF 2 ・加硫促進剤(4級アンモニウム塩):MDUI 0.2 ・受酸剤:酸化マグネシウム 5 水酸化カルシウム 5 つぎに上記含ふっ素エラストマー組成物を、熱プレス成
形機を使用して、設定温度170℃、設定圧力20kg
/mm2 、加圧時間10分の条件で、厚み1.0mmの
シート状に成形するとともにポリオール加硫して、シー
ト状の含ふっ素エラストマー成形物を得た。 実施例7,8、比較例7 ふっ化ビニリデン−四ふっ化エチレン−六ふっ化プロピ
レン共重合体と、ETFE系共重合体との配合割合(重
量比)を、80/20(実施例7)、60/40(実施
例8)および40/60(比較例7)としたこと以外は
実施例6と同様にして含ふっ素エラストマー組成物を作
製し、実施例6と同条件で成形し、ポリオール加硫し
て、シート状の含ふっ素エラストマー成形物を得た。 実施例9 ETFE系共重合体に代えてFEP〔融点245℃、メ
ルトフローレート20(372℃)、ダイキン工業
(株)製〕を使用し、ふっ化ビニリデン−四ふっ化エチ
レン−六ふっ化プロピレン共重合体と上記FEPとを、
重量比で80/20の割合で配合し、オープンロールミ
キサーを用いて265℃で溶融混合したこと以外は実施
例6と同様にして含ふっ素エラストマー組成物を作製
し、実施例6と同条件で成形し、ポリオール加硫して、
シート状の含ふっ素エラストマー成形物を得た。 実施例10 ETFE系共重合体に代えて、四ふっ化エチレン−六ふ
っ化プロピレン系共重合体(FEP系共重合体)〔融点
268℃、メルトフローレート25(372℃)、ダイ
キン工業(株)製〕を使用し、ふっ化ビニリデン−四ふ
っ化エチレン−六ふっ化プロピレン共重合体と上記FE
P系共重合体とを、重量比で70/30の割合で配合
し、オープンロールミキサーを用いて288℃で溶融混
合したこと以外は実施例6と同様にして含ふっ素エラス
トマー組成物を作製し、実施例6と同条件で成形し、ポ
リオール加硫して、シート状の含ふっ素エラストマー成
形物を得た。 比較例8 含ふっ素エラストマーであるふっ化ビニリデン−四ふっ
化エチレン−六ふっ化プロピレン共重合体〔ふっ素含量
68重量%、ムーニー粘度90ML1+4 (100℃)、
ダイキン工業(株)製〕と、熱溶融性ふっ素樹脂である
FEP〔融点245℃、メルトフローレート20(37
2℃)、ダイキン工業(株)製〕とを、重量比で80/
20の割合で配合し、オープンロールミキサーを用いて
270℃で溶融、混合した後、この混合物100重量部
に対して架橋剤であるトリアリルイソシアヌレート2重
量部を配合し、オープンロールミキサーを用いて室温で
混合して含ふっ素エラストマー組成物を作製した。
【0045】つぎに上記含ふっ素エラストマー組成物
を、熱プレス成形機を使用して、設定温度170℃、設
定圧力20kg/mm2 、加圧時間10分の条件で、厚
み1.0mmのシート状に成形した後、加速電圧2Me
Vの電子線を照射(照射線量100kGy)して電子線
架橋し、シート状の含ふっ素エラストマー成形物を得
た。 比較例9 含ふっ素エラストマーであるふっ化ビニリデン−四ふっ
化エチレン−六ふっ化プロピレン共重合体〔ふっ素含量
68重量%、ムーニー粘度90ML1+4 (100℃)、
ダイキン工業(株)製〕と、熱溶融性ふっ素樹脂である
ETFE系共重合体〔融点224℃、メルトフローレー
ト30(297℃)、ダイキン工業(株)製〕とを、重
量比で70/30の割合で配合し、オープンロールミキ
サーを用いて240℃で溶融、混合した後、この混合物
100重量部に対して下記の各成分を配合し、オープン
ロールミキサーを用いて室温で混合して含ふっ素エラス
トマー組成物を作製した。
【0046】 (成分) (重量部) ・加硫剤:ジクミルパーオキシド 1 ・共加硫剤:トリアリルイソシアヌレート 2 ・加硫促進助剤:亜鉛華 5 つぎに上記含ふっ素エラストマー組成物を、熱プレス成
形機を使用して、設定温度170℃、設定圧力20kg
/mm2 、加圧時間10分の条件で、厚み1.0mmの
シート状に成形するとともにパーオキサイド加硫して、
シート状の含ふっ素エラストマー成形物を得た。 比較例10 熱溶融性ふっ素樹脂であるETFE系共重合体〔融点2
24℃、メルトフローレート30(297℃)、ダイキ
ン工業(株)製〕100重量部と、架橋剤であるトリア
リルイソシアヌレート2重量部とを、280℃に設定し
た二軸混合装置(30mmφ、L/D=21)を用いて
溶融、混合して含ふっ素樹脂組成物を作製した。
【0047】つぎに上記含ふっ素樹脂組成物を、熱プレ
ス成形機を使用して、設定温度260℃、設定圧力20
kg/mm2 、加圧時間10分の条件で、厚み1.0m
mのシート状に成形した後、加速電圧2MeVの電子線
を照射(照射線量100kGy)して電子線架橋し、シ
ート状の含ふっ素樹脂成形物を得た。上記各実施例、比
較例で得られた含ふっ素エラストマー成形物、含ふっ素
樹脂成形物について、前記の各試験Iを行い、その特性
を評価した。
【0048】以上の結果を、前記比較例2の結果と併せ
て表2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】表2の、同じポリオール加硫型の含ふっ素
エラストマー成形物である実施例6〜10、比較例2,
7を比較すると、ふっ化ビニリデン−四ふっ化エチレン
−六ふっ化プロピレン共重合体とETFE系共重合体と
の配合割合(重量比)が50/50よりETFE系共重
合体が多い側に外れた比較例7は、両者の配合割合が9
5/5〜50/50の範囲内である実施例6〜8に比べ
て、初期の破断伸びが小さく、またセカントモジュラス
が大きいことから、強度ならびに柔軟性が不十分である
ことがわかった。また上記比較例7は、熱老化後の引張
強さおよび破断伸びの低下が著しく、測定できなかっ
た。このことから上記比較例7は耐熱性に問題のあるこ
ともわかった。
【0051】これに対し、上記実施例6〜8はいずれ
も、比較例7に比べて初期の破断伸びが大きく、またセ
カントモジュラスが小さいことから、強度ならびに柔軟
性にすぐれていることがわかった。また上記実施例6〜
8はいずれも、比較例2,7に比べて熱老化後の引張強
さおよび破断伸びの低下が小さいことから、耐熱性にも
すぐれていることがわかった。
【0052】また、ETFE系共重合体に代えてFEP
を上記の割合で配合した実施例9、およびFEP系共重
合体を上記の割合で配合した実施例10も、同様に強度
ならびに柔軟性にすぐれるとともに、耐熱性にすぐれて
いることがわかった。また上記各実施例、比較例と、電
子線架橋型の含ふっ素エラストマー成形物である比較例
8、およびパーオキサイド加硫型の含ふっ素エラストマ
ー成形物である比較例9を比較すると、比較例8は、熱
老化後の引張強さおよび破断伸びの低下が大きく、耐熱
性が不十分であることがわかった。また比較例9は、熱
老化後の引張強さおよび破断伸びの低下が著しく、測定
できなかった。このことから上記比較例9は耐熱性に問
題のあることもわかった。
【0053】さらに比較例10の含ふっ素樹脂成形物
は、初期の引張強さおよび破断伸びが大きいが、熱老化
後と引張試験ができないほど物性が低下していることが
わかった。 《絶縁電線》 実施例11 前記実施例2の含ふっ素エラストマー組成物を、単軸押
出成形機(30mmφ、L/D=24)を用いて、外径
0.81mmφの錫めっき軟銅導体上に、押し出し温度
140℃の条件で押し出し被覆した後、170℃の加硫
釜(圧力5kg/cm2 )内で20分間加硫して、厚み
0.5mmの絶縁被覆を有する絶縁電線を製造した。 実施例12 実施例7の含ふっ素エラストマー組成物を使用したこと
以外は実施例11と同様にして、絶縁電線を製造した。 比較例11 比較例2の含ふっ素エラストマー組成物を使用したこと
と、押し出し温度を120℃としたこと以外は実施例1
1と同様にして、絶縁電線を製造した。
【0054】上記各実施例、比較例の絶縁電線につい
て、以下の各試験を行い、その特性を評価した。 初期物理特性試験II 各実施例、比較例の絶縁電線から、絶縁被覆を剥離し
て、長さ100mmの試験片を作製した。そしてこの試
験片を用いて、前記JIS K 6301「加硫ゴム物
理試験方法」の第3項「引張試験」に所載の試験方法に
準じて、各試験片の引張強さ〔kg/mm2 〕および破
断伸び〔%〕を測定した。 熱老化後物理特性試験II 上記初期物理特性試験Iにて作製したのと同じ試験片
を、287℃のギヤオーブン中で、168時間熱老化さ
せた後、上記と同様にして、各試験片の引張強さ〔kg
/mm2 〕および破断伸び〔%〕を測定した。
【0055】以上の結果を表3に示す。
【0056】
【表3】
【0057】表3より、実施例11,12の絶縁電線の
絶縁被覆は、比較例11の絶縁被覆に比べて、初期引張
強さおよび破断伸びにすぐれることから、強度ならびに
柔軟性にすぐれていることがわかった。また上記両実施
例の絶縁被覆は、比較例11に比べて熱老化後の引張強
さおよび破断伸びの低下が小さいことから、耐熱性にも
すぐれていることがわかった。 《絶縁チューブ》 実施例13 前記実施例5の含ふっ素エラストマー組成物を、単軸押
出成形機(30mmφ、L/D=24)を用いて、押し
出し温度140℃の条件でチューブ状に押し出し成形し
た後、170℃の加硫釜(圧力5kg/cm2 )内で2
0分間加硫して、内径4.0mmφ、厚み0.5mmの
絶縁チューブを製造した。
【0058】この絶縁チューブの、初期ならびに熱老化
後の引張強さ〔kg/mm2 〕および破断伸び〔%〕
を、前記各試験IIにより測定したところ、表4に示す結
果が得られた。
【0059】
【表4】
【0060】実施例14 実施例8の含ふっ素エラストマー組成物を使用したこと
以外は実施例13と同様にして、内径4.0mmφ、厚
み0.5mmの絶縁チューブを製造した。つぎにこの絶
縁チューブの一端を閉じ、他端に圧縮空気の配管を接続
した状態で、240℃に設定した恒温槽に浸漬した。そ
して配管から圧縮空気を送り込んで、絶縁チューブを、
その内径が8.0mmφになるまで膨らませた後、ただ
ちに恒温槽から取り出して水冷して、絶縁チューブに熱
収縮性を付与した。
【0061】この絶縁チューブを、外径5.0mmφの
アルミニウムパイプに被せた状態で、240℃に設定し
た恒温槽に1分間浸漬したのち取り出したところ、アル
ミニウムパイプの表面にフィットした状態で熱収縮して
いるのが確認された。また上記絶縁チューブを、240
℃に設定した恒温槽に1分間浸漬して、内径4.0mm
まで熱収縮させた後、この絶縁チューブの、初期ならび
に熱老化後の引張強さ〔kg/mm2 〕および破断伸び
〔%〕を、前記各試験IIにより測定したところ、表5に
示す結果が得られた。
【0062】
【表5】
【0063】
【発明の効果】以上、詳述したようにこの発明によれ
ば、耐熱性にすぐれるとともに柔軟性にもすぐれた、新
規な含ふっ素エラストマー成形物が得られる。また、上
記この発明の含ふっ素エラストマー成形物によれば、耐
熱性にすぐれるとともに柔軟性にもすぐれ、自動車のエ
ンジンルーム内等において好適に使用できる絶縁電線、
絶縁チューブが得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08K 5/50 KJM H01B 3/28

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ふっ化ビニリデン、四ふっ化エチレンおよ
    び六ふっ化プロピレンの3種を主な繰り返し単位とする
    含ふっ素エラストマーに、熱溶融性ふっ素樹脂を配合し
    てポリオール加硫させてなることを特徴とする含ふっ素
    エラストマー成形物。
  2. 【請求項2】含ふっ素エラストマー100重量部に対
    し、粉末状の熱溶融性ふっ素樹脂を、5〜30重量部の
    割合で配合した請求項1記載の含ふっ素エラストマー成
    形物。
  3. 【請求項3】含ふっ素エラストマーと熱溶融性ふっ素樹
    脂とを、熱溶融性ふっ素樹脂の融点より高い温度にて、
    重量比で95/5〜50/50の割合で溶融、混合した
    請求項1記載の含ふっ素エラストマー成形物。
  4. 【請求項4】熱溶融性ふっ素樹脂が、エチレンと四ふっ
    化エチレンとを主な繰り返し単位とするものである請求
    項1〜3のいずれかに記載の含ふっ素エラストマー成形
    物。
  5. 【請求項5】導体表面に、請求項1〜4のいずれかに記
    載の含ふっ素エラストマー成形物からなる絶縁被覆が形
    成されたことを特徴とする絶縁電線。
  6. 【請求項6】請求項1〜4のいずれかに記載の含ふっ素
    エラストマー成形物からなることを特徴とする絶縁チュ
    ーブ。
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