JPH08113797A - ジフルオロメトキシ−２，２，２−トリフルオロエタンを含有する組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 経済的に使用することができかつ金型の頻繁
な清浄化が不要である、離型剤として有効な作用物質を
含有する液状もしくはペースト状組成物の提供。 【解決手段】 組成物が主溶剤としてジフルオロメトキ
シ−２，２，２−トリフルオロエタンを含有する。 【効果】 溶剤として炭化水素を含有する常用の離型剤
に対する、改善された粘着回避性、高い化学的不活性及
び良好な塗布性能(Spreitungsvermoegen)、高い引火点
ならびにより少量の離型剤組成物の使用量。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、特に溶剤としての
ジフルオロメトキシ−２，２，２−トリフルオロエタン
（Ｅ２４５）及び離型剤として有効な性質を有する作用
物質少なくとも１種を含有する液状もしくはペースト状
組成物ならびに該組成物の使用及び該組成物の製法に関
する。

【０００２】

【従来の技術】作業工程、例えば鋳造、成形及び圧縮成
形等を含む多くの工業応用分野において、例えばプラス
チック、発泡材料、建築材料、ゴム製品、タイヤ、金
属、ガラス及びセラミック製品等の製造及び加工の際に
は今日、離型剤、滑剤又は剥離剤は、必要とされる。離
型剤は、この関連において、相互に接する２つの表面間
の接着力を減少させる、即ち、該表面の粘着を阻害する
固体もしくは液状の被膜である。滑剤は、熱可塑性材
料、例えば圧縮成形材料及び射出成形材料のための添加
物質である。この滑剤は、充填剤をより容易に滑動化さ
せるため、ひいては圧縮成形材料をより容易に成形可能
にするために必要とされる。離型剤、滑剤もしくは剥離
剤は、離型剤の作用を有する成分を、例えば乾燥粉末、
乾燥被膜もしくは未乾燥被膜、ペースト、焼き付けられ
た被膜、溶液又は分散液の形で含有している。特別な形
は、金型から取り出すべき成形体中に混入されかつ該成
形体表面で凝縮することができるか又は該表面のより迅
速な硬化を生じさせ、その結果、金型内壁と成形部材と
の間に結合が生じない、いわゆる内部離型剤作用成分で
ある。

【０００３】しばしば上記作業工程の場合には、離型剤
として有効な性質を有する作用物質の残留物は、溶剤を
用いて金型から除去されなければならない。通常、金型
の清浄化には、溶剤、例えば炭化水素及びクロロ炭化水
素は使用され、この溶剤のうち炭化水素は引火性であ
り、かつクロロ炭化水素は皮膚刺激の原因となる。

【０００４】ドイツ国特許出願公開第２５５２２３６号
明細書に記載の方法によれば、成形ゴム製品の製造及び
ポリウレタン発泡材料の成形のための離型剤は、公知で
ある。上記ドイツ国特許出願公開明細書に記載の方法に
使用されている離型剤は、パラフィンワックス、灯油及
びパラフィン系油中のトール油酸のナトリウムセッケン
を含有する。使用されている離型剤は、水洗又は温水で
の洗浄によって離型剤を成形品から分離することができ
るために、水に可溶もしくは乳化可能でなければならな
い。さらに公知技術水準の場合には、フルオロクロロ炭
化水素を主溶剤もしくは分散剤として含有する離型剤が
記載されている。例えばドイツ国特許出願公開第３７３
１２２３号明細書には１，１−ジクロロ−２，２，２−
トリフルオロエタン（Ｒ１２３）を含有する離型剤組成
物が記載されており、ドイツ国特許出願公開第３９０５
１２５号明細書には１，１−ジクロロ−１−フルオロエ
タン（Ｒ１２３）を含有する離型剤組成物が記載されて
おり、ドイツ国特許出願公開第４００６６８８号明細書
にはジクロロペンタフルオロプロパン（Ｒ２２５）を含
有する離型剤組成物が記載されている。これら多種の配
合にもかかわらず、公知技術水準では依然として、適当
な離型剤組成物のための有利な別の選択肢を見いだすと
いう問題が存在している。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、経済
的な使用を可能としかつ使用される金型の頻繁な清浄化
なしに使用することができる、離型剤として有効な性質
を有する作用物質少なくとも１種を含有する、新規の液
状もしくはペースト状組成物を提供することである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記課題は、特許請求の
範囲に記載された本発明による組成物によって解決され
る。

【０００７】本発明は、溶剤及び、離型剤として有効な
性質を有する作用物質少なくとも１種ならびに場合によ
っては、補助溶剤もしくは溶解助剤、腐蝕防止剤、安定
剤及び稠度調整剤の群からの、離型剤に常用される別の
添加剤が含有されており、この場合、主溶剤としてジフ
ルオロメトキシ−２，２，２−トリフルオロエタン（Ｅ
２４５）が含有されておりかつ離型剤の作用を有する作
用物質が組成物全体（１００重量％）に対して０．１〜
１０重量％、有利に０．１〜７重量％の量で存在してい
る、改善された性質を有する液状もしくはペースト状組
成物を提供する。本発明による組成物中のＥ２４５の量
は、少なくとも５０重量％、有利に５０〜８０重量％で
あり、この場合、１００重量％までの残量は、場合によ
っては含有される常用の添加剤に割り当てられる。

【０００８】主溶剤Ｅ２４５は、本発明による有利な組
成物中に、別の溶剤との混合物の形で存在する。Ｅ２４
５以外の別の溶剤（補助溶剤）は、該混合物の場合に
は、水素原子含有フルオロクロロ炭化水素（ＨＦＣＫ
Ｗ）、水素原子含有フルオロ炭化水素（ＨＦＫＷ）、フ
ルオロ炭化水素（ＦＫＷ）、クロロ炭化水素（ＣＫ
Ｗ）、ハロゲン化されていない脂肪族炭化水素、アルコ
ール、エーテル及びケトン等の群から選択することがで
きる。この補助溶剤とともにＥ２４５は、本発明による
組成物中に、共沸混合物様混合物又は共沸混合物の形で
含有されていてもよい。補助溶剤は、Ｅ２４５との混合
物中で特に本発明による組成物中に含有されている離型
剤の作用を有する作用物質のための溶解助剤として使用
される。補助溶剤もしくは溶解助剤は、この有利な組成
物中に１０〜４９．９重量％、有利に１３〜４９．９重
量％の量で含有されている。この場合にはパーセントの
記載は、組成物全体に対するものである。

【０００９】補助溶剤の例は、例えばＨＦＣＫＷ、例え
ば、特に１，１−ジクロロ−１−フルオロエタン（Ｒ１
４１ｂ）、１，１−ジクロロ−２，２，２−トリフルオ
ロエタン（Ｒ１２３）、テトラクロロモノフルオロエタ
ン、トリクロロジフルオロエタン、モノクロロヘキサフ
ルオロプロパン、ジクロロペンタフルオロプロパン又は
これらの混合物；あるいは例えばＨＦＫＷもしくはＦＫ
Ｗ、例えば、特に１，１，１，２−テトラフルオロエタ
ン（１３４ａ）、１，１，１−トリフルオロエタン（Ｒ
１４３ａ）、ペンタフルオロエタン（Ｒ１２５）、ジフ
ルオロメタン（Ｒ３２）、１，１，２−トリフルオロエ
タン（Ｒ１４３）、トリフルオロメタン（Ｒ２３）、
１，１−ジフルオロエタン（Ｒ１５２ａ）、テトラフル
オロメタン（Ｒ１４）、ヘキサフルオロエタン（Ｒ１１
６）であり；ハロゲン化されていない脂肪族炭化水素
は、特に常用される炭化水素留分、例えば石油留分であ
る。

【００１０】有利な溶解助剤は、脂肪族炭化水素、有利
に、約１００〜１４０℃の沸点範囲の石油留分である。

【００１１】さらに、本発明による組成物は、離型剤の
作用を有する作用物質が、ワックス、シリコーン、金属
セッケン、合成油及び無機粉末の群から選択されている
ことによって特徴づけられる。ワックスは、有利であ
る。離型剤の作用を有する作用物質は、本発明による組
成物中で、場合によっては組み合わせて使用することも
できる。

【００１２】本発明の範囲内のワックスとして、特に、
動物もしくは植物由来の天然ワックス、有利に軟化点が
少なくとも４０℃の天然ワックスは、使用される。

【００１３】本発明に使用される別のワックスは、合成
ワックス、有利にパラフィンワックス又はポリエチレン
ワックスである。変種の場合には、例えば、平均分子量
３７００〜４５００（粘度測定法）、酸価２０〜３０及
び融点８９〜９９℃を有する酸化ポリエチレンワックス
は、使用される。

【００１４】本発明による組成物の他の種類の場合に
は、シリコーンが含有されている。使用されるシリコー
ンは、油、グリース又は樹脂の形で存在することがで
き、これらシリコーンは、市販されている。このような
シリコーンは、それ自体として使用することもできる
し、場合によってはさらに稠度調整剤（例えば高分散性
珪酸）がシリコーン油に混入されて含有されているシリ
コーンエマルジョンの形で使用することもできるし、常
用の金属セッケンを稠度調整剤として含有するシリコー
ンペーストの形で使用することもできる。

【００１５】本発明の変種は、組成物が金属セッケン、
例えば金属マグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニ
ウムもしくは鉛の脂肪酸塩を含有していることによって
特徴づけられる。場合によっては金属塩又はステアリン
酸は、使用され、この場合、ステアリン酸マグネシウム
は、有利である。本発明の範囲内の組成物の別の変種
は、無機粉末、有利にグラファイト、タルク又は雲母を
含有している。さらに、離型剤として有効な性質を有す
る他の常用の作用物質、例えば合成油、例えばエステル
油は、本発明による組成物中に使用することもできる。

【００１６】本発明による組成物の場合には、付加的に
公知の腐蝕防止剤１重量％までを添加することができ
る。金属、例えばマグネシウム、アルミニウム、チタ
ン、真鍮、青銅、スチールのためのこのような腐蝕防止
剤は、市販されている。該腐蝕防止剤は、特に、ヘテロ
原子、例えば硫黄もしくは殊に窒素を有する有機化合物
を含有する組成物を基礎にしている。例えば、ベンゾチ
アゾール、例えばメルカプトベンゾチアゾール、ベンゾ
イミダゾール、例えば２−フェニルベンゾイミダゾー
ル、トリアゾール、例えばベンゾトリアゾール、トリト
リアゾール、オキサゾリン、例えばアルキル及び／又は
ヒドロキシアルキルによって置換されたオキサゾリン、
アミド、アミン、例えば第三アミンの種類からの個々の
化合物もしくは混合物は、有効である。さらに本発明に
よる組成物に、場合によっては常用の安定剤を添加する
ことができる。さらに稠度調整添加剤は、添加されてい
てもよい。

【００１７】本発明による組成物は、分散液あるいはペ
ーストとして存在し、この場合、分散液とは、エマルジ
ョンならびに懸濁液のことである。

【００１８】本発明は、例えばプラスチック−もしくは
発泡材料製造の際の、あるいは他の使用分野での離型
剤、滑剤もしくは剥離剤としての本発明による組成物の
使用にも関する。

【００１９】さらに本発明は、本発明による組成物の製
法に関するものであり、この場合、溶剤Ｅ２４５又はＥ
２４５を含有する溶剤混合物中に、離型剤として有効な
性質を有する１種もしくはそれ以上の作用物質は、組成
物全体に対して０．１〜１０重量％、有利に０．１〜７
重量％の量で混入される。場合によっては同時に常用の
溶解助剤もしくは他の添加剤、例えば安定剤、腐蝕防止
剤及び稠度調整剤は、添加される。

【００２０】主溶剤としてＥ２４５を含有する本発明に
よる組成物は、粘着を回避する改善された性質、高い化
学的不活性及び良好な塗布性能(Spreitungsvermoegen)
を示す。炭化水素が溶剤として使用されている常用の離
型剤と比較して、本発明による組成物は、より高い引火
点を有している。さらに、これまでの離型剤組成物に代
わる本発明による組成物の使用は、より経済的であり、
それというのも、同様の使用において、より少量の離型
剤組成物が必要とされるからである。付加的な利点は、
金型の長期の使用の場合には、例えば、使用される金型
が作業工程中に殆ど清浄化する必要がないことに示され
ている。

【００２１】次に、本発明を例につき詳説するが、しか
しながら、本発明はこの例の範囲内で限定されるもので
はない。

【００２２】例 １ 本発明による組成物をポリエチレンワックス６重量％
（融点８９〜９９℃）及びジフルオロメトキシ−２，
２，２−トリフルオロエタン（Ｅ２４５）８０重量％な
らびに炭化水素（石油留分１００〜１４０℃）１４重量
％から製造した。

【００２３】この組成物は、分散液でありかつ離型剤と
して有効な優れた性質を有していた。

【００２４】例２〜６：例１と同様にして、さらに次の
表に示された例２〜６の本発明による組成物を製造し、
これら組成物は、同様に離型剤として有効な優れた性質
を有していた。成分は、重量％で記載されている。

【００２５】

【表１】

【００２６】D=分散液 P=ペースト * (この分散液は、軽度の可逆的な沈殿挙動を示し;軽く
振ることによっていつでも再び申し分のない分散液を得
ることができた)。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ボレスラウス ラツコフスキー ドイツ連邦共和国 ヴィーデンザール イ ン デア ヘスペ ３

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 溶剤及び、離型剤として有効な性質を有
   する作用物質少なくとも１種を含有する液状もしくはペ
   ースト状組成物において、該組成物が、主溶剤としてジ
   フルオロメトキシ−２，２，２−トリフルオロエタン
   （Ｅ２４５）ならびに場合によっては、補助溶剤もしく
   は溶解助剤、腐蝕防止剤、安定剤及び稠度調整剤の群か
   らの、離型剤に常用される別の添加剤を含有しており、
   この場合、離型剤の作用を有する作用物質が、組成物全
   体に対して０．１〜１０重量％の量で存在していること
   を特徴とする、ジフルオロメトキシ−２，２，２−トリ
   フルオロエタンを含有する組成物。
2. 【請求項２】 離型剤の作用を有する作用物質が、ワッ
   クス、シリコーン、金属セッケン、合成油及び無機粉末
   の群から選択されている、請求項１記載の組成物。
3. 【請求項３】 ワックスが動物もしくは植物由来の天然
   ワックスである、請求項２記載の組成物。
4. 【請求項４】 ワックスが合成ワックスである、請求項
   ２記載の組成物。
5. 【請求項５】 金属セッケンが金属マグネシウム、カル
   シウム、亜鉛、アルミニウムもしくは鉛の脂肪酸塩であ
   る、請求項２記載の組成物。
6. 【請求項６】 無機粉末がグラファイト、タルク又は雲
   母である、請求項２記載の組成物。
7. 【請求項７】 常用の溶解助剤が組成物全体に対して１
   ０〜４９．９重量％の量で含有されている、請求項１記
   載の組成物。
8. 【請求項８】 溶解助剤として脂肪族炭化水素が含有さ
   れている、請求項７記載の組成物。