JPH08108863A - 自動車のフロントサイドフレーム構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 衝突に対する座屈強度及び強度バランスを確
保し、軽量化する。 【構成】 薄板をプレス加工してなる略Ｃ字状断面部材
と側壁部材とを接合して矩形断面形状のフロントサイド
フレーム２を形成し、その左右方向の側面に、フロント
サイドフレーム２の軸線方向に延在しかつ内側に凸状を
なすビード８を形成する。または、外側に凸状をなすよ
うに形成しても良い。 【効果】 ビードの数や深さ（高さ）を変えて座屈強度
を調節し、長さや位置を変えて強度バランスの調節を行
うことができると共に、別部品のスティフナを用いる必
要が無く、軽量化し得る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動車のフロントサイ
ドフレーム構造に関し、特に、衝突時の座屈荷重の制御
を行うようにした自動車のフロントサイドフレーム構造
に関する。

【０００２】

【従来の技術】自動車のフロントサイドフレームは、フ
ロントサスペンションの基盤としてフロント部分の剛性
を維持する重要な部位である。そのため、ボディ剛性に
十分耐える強度を必要とするが、例えば実公昭６１−３
９６５１号公報に開示されているように、衝突時には衝
撃を吸収して乗員に対する衝撃を緩和するべく、座屈荷
重により折れ曲がり得るようになっている。

【０００３】上記従来のフロントサイドフレームにあっ
ては、薄板をプレス加工したＵ字状断面形部材と平板状
部材とを合わせて接合した矩形断面形状に形成してお
り、衝突時の曲折位置を特定化して好適な変形モードを
確保するために、フレームの座屈強度を高める部分にス
ティフナを設けるなどして強度バランスを調節してい
た。このスティフナによりフレーム断面内に更に小さな
断面が形成されるため、フロントサイドフレームの座屈
強度を高め得る。しかしながら、スティフナの追加によ
り、重量や部品点数が増大するという問題があった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】このような従来技術の
問題点に鑑み、本発明の主な目的は、衝突に対する座屈
強度及び強度バランスを確保すると共に軽量化し得る自
動車のフロントサイドフレーム構造を提供することにあ
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】このような目的は、本発
明によれば、車体前部の左右にて前後方向に延在するフ
ロントサイドフレームを薄板をプレス加工した部材を接
合して略矩形断面形状をなすように形成した自動車のフ
ロントサイドフレーム構造であって、前記フロントサイ
ドフレームの側面に軸線方向に延在するビードが形成さ
れていることを特徴とする自動車のフロントサイドフレ
ーム構造を提供することにより達成される。

【０００６】

【作用】このようにすれば、フロントサイドフレームに
その軸線方向すなわち車体の前後方向に延在するビード
を形成したことから、そのビードの数や深さ（または高
さ）を適宜変更することにより、別部品となるスティフ
ナを用いることなく、フロントサイドフレームの座屈強
度を調節することができると共に、位置や長さを変える
ことにより強度バランスを調節することができる。

【０００７】

【実施例】以下、本発明の好適実施例を添付の図面につ
いて詳しく説明する。

【０００８】図１は、本発明が適用された自動車の前部
のフレームを示す側面図であり、図２は、その分解組立
斜視図である。図に示されるように、自動車の前部のボ
ンネット１内には、前後方向に延在する左右のフロント
サイドフレーム２が設けられている。

【０００９】フロントサイドフレーム２は、図示されな
い車室のフロアパネル側から斜め上方に立ち上がり、そ
の後ボンネット１の前部に至るまで略水平に延在してい
る。フロントサイドフレーム２の下側には井桁状のサブ
フレーム４が取り付けられており、そのサブフレーム４
により前輪駆動用のエンジン５が支持されている。

【００１０】本フロントサイドフレーム構造は基本的に
左右同一であり、左側のフロントサイドフレーム２につ
いて以下に示す。フロントサイドフレーム２は、図２に
示されるように薄板をプレス加工した各部材を接合して
形成されており、左方に即ち横向きに開口した略Ｃ字状
断面形状のＣ形部材６と、そのＣ形部材６の開口面を閉
塞する側壁部材７とにより構成されている。それら両部
材６・７の各対応する接合フランジ部６ａ・７ａ同士を
スポット溶接して、両部材６・７が互いに接合されてお
り、矩形断面形状のフロントサイドフレーム２が形成さ
れている。

【００１１】このようにして形成されたフロントサイド
フレーム２の左右の両側面の一部には、図１に示される
ようにフロントサイドフレーム２の軸線方向に延在する
ビード８が形成されている。ビード８は、図２に示され
るようにフロントサイドフレーム２の内側に凸状をなす
ように、各部材６・７を形成する際のプレス加工により
形成される。

【００１２】ビード８を実施例では各側面に２本ずつ設
けているが、その数は限定されるものではなく、ビード
８の数や深さ（図２のＤ）を適宜変更することにより、
ビード８を設けた部分の座屈強度を調節することができ
る。また、実施例では、ビード８をフロントサイドフレ
ーム２の軸線方向について一部分に設けているが、この
ように座屈強度を高めたい部分に設けるのみでなく、全
長に渡って設けても良い。

【００１３】また、図３に第２の実施例を示すが、前記
実施例と同様の部分については同一の符号を付してその
詳しい説明を省略する。前記実施例ではビード８をフロ
ントサイドフレーム２の内側に凸状をなすように形成し
たが、この第２の実施例ではビード９をフロントサイド
フレーム２の外側に凸状をなすように形成している。こ
の外側に凸状をなすビード９に於いても、その数や深さ
及び長さや位置についての作用・効果についは前記と同
様である。

【００１４】このようにして、フロントサイドフレーム
２にビードを設けることにより、フロントサイドフレー
ム２の座屈強度を調節することができる。なお、フロン
トサイドフレーム２の軸線方向に対して、ビード８・９
の数を変えたり、深さまたは高さを連続的に変化させた
りしても良く、このようにしてフロントサイドフレーム
２の軸線方向についての強度分布を調節することも可能
である。

【００１５】

【発明の効果】このように本発明によれば、フロントサ
イドフレームの側面に軸線方向に延在するビードを形成
することにより、フロントサイドフレームの側壁の面剛
性が増大し、自動車の前面衝突に於けるフロントサイド
フレームの座屈強度を高めることができると共に、ビー
ドの数や深さ（高さ）及び長さや位置をフロントサイド
フレームの軸線方向について変化させることにより、フ
ロントサイドフレームの強度バランスを、別部品のステ
ィフナを用いることなく、容易にかつ好適に調節できる
ため、フロントサイドフレームの高剛性及び好適な強度
バランスを確保しつつ軽量化を達成し得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明が適用された自動車のフロントサイドフ
レームを示す側面図。

【図２】図１のII−II線について見た断面図。

【図３】第２の実施例を示す図１と同様の図。

【符号の説明】

１ ボンネット ２ フロントサイドフレーム ４ サブフレーム ５ エンジン ６ Ｃ形部材 ６ａ 接合フランジ部 ７ 側壁部材 ７ａ 接合フランジ部 ８ ビード ９ ビード

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 日比 亜史也 埼玉県和光市中央１丁目４番１号 株式会 社本田技術研究所内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車体前部の左右にて前後方向に延在する
   フロントサイドフレームを薄板をプレス加工した部材を
   接合して略矩形断面形状をなすように形成した自動車の
   フロントサイドフレーム構造であって、 前記フロントサイドフレームの側面に軸線方向に延在す
   るビードが形成されていることを特徴とする自動車のフ
   ロントサイドフレーム構造。