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JPH0778273B2 - 翼部材の表面処理方法 - Google Patents

翼部材の表面処理方法

Info

Publication number
JPH0778273B2
JPH0778273B2 JP62297671A JP29767187A JPH0778273B2 JP H0778273 B2 JPH0778273 B2 JP H0778273B2 JP 62297671 A JP62297671 A JP 62297671A JP 29767187 A JP29767187 A JP 29767187A JP H0778273 B2 JPH0778273 B2 JP H0778273B2
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JP
Japan
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thermal
coating
sprayed
thermal spray
argon gas
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Expired - Lifetime
Application number
JP62297671A
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JPH01139749A (ja
Inventor
良夫 原田
隆 岡
純一 竹内
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Tocalo Co Ltd
Original Assignee
Tocalo Co Ltd
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Publication date
Application filed by Tocalo Co Ltd filed Critical Tocalo Co Ltd
Priority to JP62297671A priority Critical patent/JPH0778273B2/ja
Publication of JPH01139749A publication Critical patent/JPH01139749A/ja
Publication of JPH0778273B2 publication Critical patent/JPH0778273B2/ja
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、翼部材の表面処理方法に関し、特に火力,原
子力および地熱各発電用スチームタービン翼、各種送風
機翼、各種撹拌用プロペラおよびスクリュー、各種ポン
プスリーブなどの翼部材の耐エロージョン性を改善する
のに有効な方法についての提案である。
(従来の技術) 一般に、翼類とりわけスチームタービンは、火力発電プ
ラント,原子力発電プラントをはじめ地熱発電プラント
などで用いられているが、つぎのような性質を具備する
ことが要求されている。すなわち; 動翼については、運転中の遠心力やスチーム推力によ
る曲げ応力、および振動応力をうけることから、クリー
プ破断強さなどの高温強度に優れていることが必要であ
り、またこの動翼が比較的低い温度環境下で使用される
場合には、常温降伏強さと靭性とに優れていると共に疲
労強度や切欠き感受性、耐エロージョン性などにも優
れ、しかも鍛造および溶接加工が可能なことが要求され
る。
一方、静翼については、遠心力は受けないものの、高い
曲げ応力を受ける。このため良好な高温強度や溶接性が
必要となる。
従来、かかる動翼および静翼については、上述のごとき
要請に対してその使用温度に応じ、第1表に示すような
材料(この他、最近ではTi合金(Ti(残)−6A1−4V)
も使用されている)が使われている。
しかし、これらの材料で製造された動翼および静翼は、
長期間の使用により次の問題点が生じることが判った。
(1)スチーム中に含まれている各種成分(例えばSi
O2,Al2O3,Fe2O3など)がタービンの動翼・静翼に衝突
するので、その翼部材の一部が,いわゆるエロージョン
を起こし、動・静翼としての性能が低下し、ひいてはタ
ービン効率の低下を招く。
(2)高温,高圧のスチームを製造するボイラにおいて
は、スチーム中に酸化生成したスケールが混入するの
で、このスチームがタービン部に供給されると、該スチ
ーム中の酸化スケール粒子によってタービン動・静翼が
エロージョンを受ける。
(3)スチームはタービン中を通過するに従って、その
温度ならびに圧力が低下するが、そのために該スチーム
の一部は水滴化して回転する動翼と衝突し、その結果、
翼部材表面はエロージョンによる損傷を引き起こす。一
般に、この損傷現象をドレンアタックと呼んでおり、こ
れもスチームタービンにおける重要な解決課題の1つで
ある。
スチームタービン翼が抱えている上述のような問題点に
対し、従来いくつかの解決方法が提案されている。例え
ば、特公昭61−6242号公報に開示されているように、ス
チーム中の固形水質成分やボイラチューブ材料の酸化粒
子によるエロージョンを防止するために、翼表面,特に
静翼に表面をボロンの拡散浸透によって硬質化する方法
がある。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら、前述のような従来技術については、なお
つぎのような問題点が残っていた。すなわち、前者の
“ボロン拡散浸透法”は、翼部材をボロン含有の高温溶
融塩中に長時間浸漬したり、またボロンを含む粉末中や
ガス中で長時間高温状態に維持することによりボロンを
翼部材中へ拡散浸透させるため、表面は硬化するものの
翼部材自身の機械的性質が劣化する欠点があった。しか
も、このようにして拡散浸透させたボロン層は、硬質で
はあるが非常に脆い欠点があり、十分な対策とはなって
いなかった。
また、ドレンアタックを防止する方法として、古くから
行われている当該個所への硬質合金板(例えばハステロ
イ合金板)をライニングする方法は、液体力学的にドレ
ンアタックが発生する位置がほぼ限定されているため、
該当部に翼部材よりも硬質のステライト合金板を銀ロウ
を介して取付ける方法である。ところが、この方法は銀
ロウによるステライト合金板の取付作業に熟練を要する
ため、未だに手作業に頼っており、しかも熟練者が作業
してもなお合格率が低いのが実情であり、コストアップ
と信頼性に乏しいという欠点があった。しかも、かかる
銀ロウは低融点金属(Cd)を含んでいるものがあって、
人体に有害である、さらに、アタービン動翼として運転
中に銀ロウ部そのものの微小欠陥を因とする疲労亀裂が
多く発生し、ステライト合金板が翼部材表面から剥離飛
散してタービンプラントに重大な損傷を誘発させること
があった。
本発明の目的は、翼部材自体の劣化やライニングしたス
テライト合金板の劣化といった弊害のない耐エロージョ
ン性に優れた翼部材を製作するのに有効な表面処理方法
を提案するところにある。
(問題点を解決するための手段) 前述の如き要請に対し本発明は、耐エロージョン性に優
れたスチームタービン翼を製造するに当たり、主として
ドレンアタックを防止するために、酸化物系の溶射材料
ではなく、硬質合金と炭化物サーメット材料との非酸化
物系の硬質炭化物系複合溶射材料を無酸素雰囲気下で溶
射肉盛りするという表面処理方法を採用することとし
た。
すなわち本発明は、まず、翼部材を無酸素雰囲気下にお
いてプラズマアークを使って予熱し、引き続き同じ雰囲
気下で、Co系合金と炭化物サーメットとの炭化物系複合
溶射材料を溶射し、次いで、得られたその炭化物系と複
合溶射皮膜を、溶射材料の供給を止めた状態としたプラ
ズマアークを使って加熱溶融して緻密化させ、そして場
合によっては、さらに、上記加熱溶融後に同溶射材料を
再溶射する方法である。
そして、この方法により、いわゆるタービン翼表面に、
酸化物を全く含まず無気孔で密着性に富む地熱質炭化物
系溶射皮膜を形成してなる翼部材を製造することができ
る。
(作用) 以下に、本発明にかかる翼部材の表面処理方法について
具体的に説明する。
一般的に溶射法は、大気雰囲気中で溶射するので、溶射
材料は加熱溶融に伴って酸化物となる。このようにして
得られた酸化物を含む溶射皮膜は、一般に塑性変形しに
くくかつ脆い酸化物粒子を介して結合した堆積層である
から、上記粒子間には気孔発生の主因である微少な空間
が生成する。その結果、このような溶射層は、その後加
熱したとしても上記酸化物粒子の存在が障害となって金
属粒子どうしの相互融合が阻害されるからポーラスな皮
膜しかできない。しかも、金属粒子を取り囲む酸化物
は、被処理材(翼部材)に対しても冶金的結合作用の障
害となるので、溶射材料成分が被処理材表面に十分拡散
浸透することなく、単なる機械的結合に止まる。要する
に、かかる理由で、従来の皮膜はこれが剥離しやすいの
である。
一方、このような状況の下で溶射層を単に厚く形成して
も、層が厚くなる分だけその表・裏面での冷却速度の違
いに起因した内部応力が発生し、却って容易に剥離しや
すくするので、通常大気溶射では0.5mm以下、厚くても
1.0mmを上廻る皮膜形成は行わない。
そこで本発明では、溶射材料としてCo系合金と炭化物サ
ーメットとの非酸化物材料,すなわち炭化物系複合材料
を用い、しかも溶射環境からは酸素を除いた低圧のアル
ゴンガス雰囲気中で被処理材を予熱して溶射を行うこと
とした。その結果、得られる皮膜,すなわち緻密質炭化
物系溶射皮膜には酸化物を全く含まず、粒子は相互に融
合しやすくなるため無気孔な溶射層を形成し、さらに被
処理材を予め予熱した場合には内部応力が熱的に解放さ
れるので、膜を厚くしても前述の如き問題は発生しな
い。
とくに本発明の場合、溶射の出発材料から処理雰囲気を
含めて、酸化物の注入,生成の機会が全くないので冶金
的に強固に結合した皮膜が形成される。
第1図は、本発明にかかるタービン翼部材の表面処理方
法を実施する際に用いる装置について示す。この図にお
いて、図示の符号1は溶射雰囲気を画成するためのチャ
ンバーである。このチャンバー1には、排気用バルブ
2、吸気用バルブ3が配設してあり、またチャンバー1
内のガスを吸引する真空ポンプ4が、雰囲気ガス中の粉
塵類を除去するためのマルチサイクロン5およびフィル
ター6を介して接続してある。さらにこのチャンバー1
には、内圧保持用のアルゴンガス供給管7、翼部材であ
る被処理材冷却用のアルゴンガス冷却管8、および溶射
ロボットモータ冷却のために用いるアルゴンガス冷却管
9が取付けられている。
上記チャンバー1内には、プラットフォーム10が設置し
てあり、そのプラットフォーム10上には、溶射ロボット
11と回転台12が設置してあり、その回転台12上には被処
理材13が設置される。そして、該被処理材13に対して
は、温度計測用の熱電対14が、また溶射ロボット11の先
端部には溶射ガン15がそれぞれ取付けてあり、いずれも
チャンバー1の外から制御できるように構成してある。
前記溶射ガン15には、雰囲気調整も考慮してプラズマ発
生ガスとしてアルゴン,ヘリウム,水素,窒素などのガ
ス類を用いる。そして、この溶射ガン15と被処理材13と
はチャンバー外に接続され、両者は必要に応じて極性が
変えられるようになっている。
次に、上記装置を使って硬質材料を溶射被覆する方法に
ついて具体的に説明する。
(1)チャンバー1に取付けられている吸・排気用バル
ブ2,3およびアルゴンガス供給管7を閉とした後、真空
ポンプ4を作動させてチャンバー1内の空気を系外に排
出し、内圧を1×10-2〜10-3mbr(ミリバール)とす
る。
(2)次に、アルゴンガス供給管7を開とし、チャンバ
ー1内に内圧:60mbr程度の希薄なアルゴンガス雰囲気を
構成する。
(3)その後、再び真空ポンプ4を作動させてチャンバ
ー1内のアルゴンガス圧力を20mbrとした後、溶射ガン1
5を作動させてプラズマアークを発生させると共にその
アークの先端を翼部材である被処理材の表面近傍へもっ
て行き、該被処理材を予熱する。
(4)この被処理材の予熱は、外部電源の接続を、溶射
ガン15の方を陰極とし被処理材13の方を陽極として、プ
ラズマアークを被処理材13の表面を数回掃走させること
により行う。この処理によって被処理材13の表面は清浄
化されるとともに加熱、昇温され、被処理材13の予熱が
果たされる。予熱の温度は、Ni系,Co系、Fe系各合金材
料の場合、通常500〜900℃が適温であるが、材質の機械
的性質に悪影響を与えない限り任意に選択できる。
(5)なお、前記工程(3)と(4)の処理時、冷却用
のアルゴンガス供給管7は開とし、熱電対によって指示
される温度を監視しながら被処理材13が過熱されないよ
うに制御する。もっとも、たとえ過熱されても雰囲気中
には酸素が含まれていないため該被処理材13が酸化され
るおそれはないが、過熱による基質の冶金的変化を少な
くする意味で上記温度制御は必要である。
(6)被処理材13の表面を清浄にするとともに予熱を完
了したら、再びアルゴンガス供給管7を開としてチャン
バー1内の圧力を200mbrとする。
(7)その後、溶射ガン15の極性を陰極から陽極へ、ま
た被処理材13の方を陽極から陰極へそれぞれ切換え、硬
質溶射材料を被処理材13の表面へ所定の厚さに溶射す
る。
このようにして被覆形成した溶射皮膜は、雰囲気中に酸
素がないため酸化物をほとんど含まず、無気孔で緻密な
状態を呈し、大気中のプラズマ溶射皮膜特有の微小金属
粒子が堆積したような組織とは異なるものである。その
うえ、該溶射皮膜は酸化物を含まないために被処理材13
の基地との結合も緊密であり、被処理材13の予熱温度お
よび硬質溶射材料の化学組成の選択によって両者を冶金
的に結合させることもできる。
本発明はさらに、上記(7)の処理後、引き続き次のよ
うな処理を行って、溶射皮膜の被処理材13への冶金的結
合を一層確実なものにすると同時に緻密化を図る。
すなわち、 (8)(7)の処理後、溶射材料の供給を中止してプラ
ズマアークだけを発生させ、これを再び溶射加工面へ近
づけて生成した溶射皮膜を加熱溶融させる。
(9)溶射皮膜を厚くするには、(7)の処理によって
溶射厚さを大としてもよいが、(7)と(8)の処理を
繰返すことによっても可能である。
(10)なお、本発明の別の工程例として、上記(8)の
処理後に再び(7)の溶射処理を繰返して溶射皮膜を被
成させる。
(11)(7),(7)+(8)または(7)+(8)+
(10)の処理が終了すれば、真空ポンプ4と供給アルゴ
ンガス量を調整してチャンバー1内のガス圧力を10mbr
程度とした後、再びアルゴンガスをチャンバー1内に導
入して、100mbr圧力とし、このままの状態で30〜60分間
放置する。
この処理中は常に真空ポンプ4を動かし、新しいアルゴ
ンガスを外部から供給しているため、被処理材13の温度
は次第に低下してくる。
(12)30〜60分間放置後、アルゴンガス供給量を大と
し、大気圧程度にするとともに真空ポンプ4の運転を中
止する。次いで、吸気用バルブ3および排気用バルブ2
を開として、大気とチャンバー1内の圧力差がなくなっ
たことを確認してから該チャンバー1の蓋を開き、被処
理材13を外に取り出す。
このようにして各工程を経て翼部材表面に形成された緻
密質炭化物系溶射皮膜は、粒子間および基地(翼部材)
との結合力が非常に大きいため、1〜2mmの厚膜でも剥
離することはなく、硬質の溶射材料を適宜選択してター
ビン翼表面へ被覆形成させることができる。
なお、上記溶射層をその後加熱して溶融させる処理を施
す場合、被処理用翼部材をマイナスに印加しておくと、
表面がより清浄化されるので、溶射時の必須工程である
ブラスト処理を程凝るまでもなく溶射作業の続行が可能
である。また、この溶射層の加熱溶融に際しては、被処
理材に熱電対を取付け、冷却用アルゴンガスを冷却管8
を通じて供給することによってその温度を制御すれば、
被処理材の材質に熱的な悪影響を与えることはない。
さらに本発明の表面処理方法によれば、炭化物を溶射し
ても酸化物に変化することがないので、その高い硬度を
そのまま維持することができる。ただ炭化物と金属を混
合したサーメットを溶射材料として使う場合、工程
(8)の溶射皮膜のプラズマアーク加熱の際、金属のみ
が溶融する温度にとどめることが必要である。
なお、溶射皮膜形成後の被処理材の熱処理は、従来から
行われているような方法、すなわち、チャンバーから成
膜製品を取り出し、真空熱処理炉で実施することも可能
である。
以上説明したような方法によって表面処理されたスチー
ムタービン翼は、その表面に従来の溶射層とは全く異な
った緻密で高密着性の皮膜を形勢しているので、長期間
にわたって優れた対エロージョン性を発揮し、現用の銀
ロウを用いたステライト合金板を取付けたタービン翼の
欠点を完全に解消できる。
(実施例) 例−1 被処理材としてスチームタービン翼材料のJISG 4319、S
US 403FB材を選び、これを加熱炉中で1100〜1200℃に加
熱した後、炉外に取り出して鍛造し、冷却後巾50×長さ
100×厚さ20mmの寸法に加工した。
一方、溶射材料として、第2表に示す化学成分(A〜
G)のものを用いた。すなわち、符号A,B,CはCo系合
金、Dは、本発明製造方法の実施によって得られた炭化
物系複合溶射材料である。
溶射皮膜形成のための処理は、第1図に示した装置を用
いて厚さ1.0mmとなるように行った。その結果を第3表
の試験No.1−1〜1−4として示した。
また、比較例のために従来の、大気中のプラズマ溶射
法、無処理材およびスチームタービン翼用として市販さ
れているステライト合金板(1.0mm厚)を市販の銀ロウ
で被処理材の表面に貼り付けたものについて示した。そ
の結果を第3表中の試験No.1−5〜1−10として示す。
溶射皮膜の耐エロージョン性については、周波数:18.7K
Hzのフェライト振動子を備えた磁歪振動式キャビテーシ
ョンエロージョン試験装置を用い、その先端に溶射肉盛
り済みの被処理材から採取した磁歪用の試験片を取付
け、これを20℃の水道水中に浸漬して1時間振動させた
後、これを取り出し、試験前後における試験片の外観観
察および重量減少比を調査した値である。磁歪振動時キ
ャビテーションエロージョン試験装置および同試験片の
形状を第2図および第3図に示す。
第3図に示す装置は、水槽系と振動子系からなり、水槽
28中の水道水25は、タンク24からポンプ27を作動させる
ことによって循環させることができ、水槽中には常に清
浄な水道水が供給されるようになっている。一方、振動
子21にはフォーン22が設けられており、その先端には試
験片23が取付けられている。該試験片23の表面には皮膜
29が形成されており、この部分が水道水中に浸漬されて
いる。超音波発生装置26をONにすると振動子21が振動
し、フォーン22を通じてその振動が試験片23に伝わり、
上下動を繰返す。この振動が非常に早いため、試験片23
の皮膜29形成面にはキャビテーション現象が発生するの
で、この作用を利用して皮膜の耐エロージョン性を評価
する。
第3表にその試験結果を示す。この第3表から判るよう
に、無処理材(No.1−9)では、試験片の中央部にキャ
ビテーションエロージョンによって漬食孔が発生した。
これに対し現行のステライト合金板を貼付けたもの(N
o.1−10)は、漬食孔は小さく、耐エロージョンは認め
られるものの、従来技術の項で述べたような工作上の問
題点が多く見られた。
また、大気中のプラズマ溶射皮膜(No.1−5〜1−10)
では、その硬さは本発明の皮膜とほぼ同等の値を示すに
も拘わらず、すべての試験片において大きな漬食孔の発
生と重量減少が認められて耐エロージョン性に極めて乏
しいことが判明した。この原因は、大気中のプラズマ溶
射法では硬質の材料を溶射しても、その皮膜は酸化物を
含む多孔質なものとなるため、粒子間結合力が弱く、超
音波振動により発生したキャビテーション現象により脱
落したものと考えられる。
これに対し、本発明の表面処理方法で得られた皮膜(N
o.1−4)については、漬食の発生がなく、漬食が発生
したとしても、その程度は軽微であった。したがって、
試験前後の重量差が少なく、耐エロージョン性に優れて
いることが判明した。
とくに、重量減少比については、本発明の皮膜(No1−
4)が、Co系合金単独を溶射した例に比べても、格段に
優れていることが判る。すなわち、本発明にかかる炭化
物系複合溶射皮膜は、緻密質で酸化物を全く含まないた
めに、粒子の結合力が強く、しかも溶射環境もコントロ
ールされるために炭化物から酸化物へ変化するようなこ
とがなく、素材の高硬度をそのまま維持していれう結果
が現れているものと思われる。
例−2 実施例−1と同じ、巾50×長さ100×厚さ20mmの寸法の
試験片を製作し、アルミナ粉末を用いてブラスト処理し
た後、次の要領で溶射肉盛りを行った(No.2−1〜2−
4)。
(1)溶射法により膜厚を1.1mmに形成させたもの(上
述した工程(7)で止めることによって膜厚を形成させ
たもの) (2)(1)の皮膜をプラズマアークによって溶融させ
たもの((7)および(8)の工程を経たもの) (3)(2)の皮膜の上に再び溶射皮膜を形成させたも
の(同上(8)の工程後再び(7)の工程を経たもの) 以上の溶射肉盛りにより、従来の大気中のプラズマ溶射
法では不可能な厚膜が得られ、特に(3)の操作により
形成された皮膜は1.4mmに達した。
比較例(No.2−1〜2−3および2−5〜2−11)とし
て、大気中のプラズマ溶射法により、皮膜厚さ0.5mmと
0.7mmの試験片を作り、850℃×15分加熱c′20℃の水中
投入の繰返しの熱衝撃試験を実施し、皮膜の剥離面積が
全体の10%に達した時の回数でもって耐熱衝撃性を評価
した。
第4表はその結果を示したもので、本発明の方法で形成
された皮膜(No.2−4)は(1)溶射のみ、(2)その
皮膜を溶融したもの、(3)溶融後の皮膜上に再び溶射
を加えたもの、のいずれも10回以上の熱衝撃試験に耐
え、剥離するものはなかった。
すなわち、大気中でプラズマ溶射した皮膜(No.2−5〜
2−11)は、1〜3回の熱衝撃回数で皮膜が剥離した。
この原因は、この種の溶射法では厚膜に属する0.5〜0.7
mmに達する溶射を行ったため、内部応力が大きくなり、
母材との結合力が小さくなったためであり、在来の溶射
法では肉盛り的な皮膜形成ができないことを示してい
る。
なお、本発明方法で得られた皮膜が良い結果を示すの
は、実施例−1でも述べたように、雰囲気中に酸素を含
まないために試験片の予熱を行っても酸化スケールのよ
うな溶射皮膜の密着性を妨害するような異物が生成せ
ず、緻密で密着性に優れた皮膜が形成されたためであ
る。また、試験片を予熱しているため、この上に形成さ
れた皮膜の応力は直に熱的に解放される結果、内部応力
の小さい皮膜となるため密着性に富んだ厚膜形成が可能
となったものと思われる。
例−3 実施例1,2の結果から明らかなように、本発明の方法に
よって得られる溶射肉盛層は、耐キャビテーションエロ
ージョン性および耐熱衝撃性に優れていることが判明し
た。そこで、本発明の方法をスチームタービン動翼へ適
用することとした。
第4図(e)は、スチームタービン動翼の外観を示した
もので、A部はタービン動翼として運転中、流動するス
チームの水滴(ドレン)に曝露される部分であり、B部
はタービンディスクにはめ込まれる部分の図である。
なお、溶射肉盛は、上記A部に対し以下の(a),
(b),(c)に示すような態様で施工する。
(a)は、スチームに曝露される部分を全面にわたって
溶射肉盛したもの、(第4図a) (b)は、動翼の先端部と背面,腹面部のそれぞれ略1/
2の面積を溶射肉盛したもの、(第4図b) (c)は、動翼の翼尾部とその周辺に溶射肉盛を施した
もの、(第4図c) 第4図(d)は、従来から行われている市販のステライ
ト合金板を銀ロウによって貼付けたものの例である。
12%Cr鋼を用いたスチームタービン動翼(A部の長さ28
5mm,巾26mm)を製造し、その動翼に第2表にA〜Gおよ
びCr3C2(80%)−Ni(16%)−Cr(4%)の溶射材
を、1.2mm厚さの皮膜を、第4図の(a),(b),
(c)のように形成させた。また、市販ステライト合金
板1.2mm厚を銀ロウ付けにて貼付けたものを用い、両者
を約1カ年同条件で実機タービン翼として運転させて比
較した。運転時の水蒸気温度は平均132℃、回転数は毎
分3600回転とした。
1年後、使用したタービン動翼を点検したところ、本発
明の方法で製造された動翼には全く異常は認められなか
った。これに対し、在来工法のステライト合金板を貼付
けたものは、微小ではあるがエロージョンの発生が認め
られるとともに銀ロウ部に疲労亀裂と思われる欠陥の発
生が多く認められた。
例−4 この例は、6Al−4V−残Tiを素材とする実施例3と同寸
法の動翼を製造し、又同じ溶射材料により第4図の
(a),(b),(c)のように本発明の溶射加工を行
った。但し、溶射皮膜の厚さは0.5mmである。
このタービン動翼を実施例3と同じ条件で運転中のスチ
ームタービンに取付け、約一年間連続運転させたが、全
く異常は認められなかった。
このように、本発明方法は、化学成分の異なる溶射材料
は勿論のこと、翼材質においても鉄鋼系材料に限定され
ず、高温の大気中では酸化物皮膜が形成され易く、従来
方法では溶射加工が困難で、高い密着性の皮膜が得られ
ないTi合金に対しても、十分適用できることが確認され
た。
(発明の効果) 以上説明したように、本発明の方法により製造したスチ
ームタービン翼は、その製造工程において大気中の酸素
の作用を防止できるので、形成される皮膜は酸化物を含
まず、翼材との密着力にも優れているために、卓越した
耐エロージョン性を有することが明らかとなった。しか
も、翼材の予熱温度を。高くすることができるので、高
温状態で形成された皮膜中の残留応力が熱的に解放され
た状態となっているため、大気溶射法では不可能な厚
膜、優れた溶射肉盛りとも称し得る耐エロージョン皮膜
をつくることが可能であり、広範な用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明方法の実施に用いる装置の略線図、 第2図は、キャビテーションエロージョン試験装置の略
線図、 第3図は、キャビテーションエロージョン試験片の側面
図、 第4図はスチームタービン動翼を示し、(a)〜(d)
は断面図、(e)は部分斜視図である。 1……チャンバー、2……排気用バルブ、3……吸気用
バルブ、4……真空ポンプ、5……マルチサイクロン、
6……フィルター、7……アルゴンガス供給管、8……
被処理材冷却用アルゴンガス供給管、9……ロボットの
モータ冷却用アルゴンガス供給管、10……プラットフォ
ーム、11……溶射ロボット、12……回転台、13……被処
理材、14……温度計測用熱電対、15……溶射ガン、16…
…直流電源、17……切換スイッチ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−142220(JP,A) 特開 昭61−210171(JP,A) 特開 昭55−58360(JP,A) 特開 昭61−159566(JP,A) 特開 昭61−288060(JP,A) 特開 昭52−54628(JP,A) 特公 昭56−32394(JP,B2) 特公 昭56−5301(JP,B2)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】予熱した被処理材表面に対し、Co系合金と
    炭化物サーメットとの炭化物系複合溶射材料を、実質的
    に酸素を含まない低圧アルゴンガス雰囲気中で溶射し、
    引き続き上記複合溶射材料の供給を止めてブラズマアー
    クだけを発生させることにより溶射皮膜を加熱溶融させ
    て緻密化させることを特徴とする翼部材の表面処理方
    法。
  2. 【請求項2】予熱した被処理材表面に対し、Co系合金と
    炭化物サーメットとの炭化物系複合溶射材料を、実質的
    に酸素を含まない低圧アルゴンガス雰囲気中で溶射し、
    引き続き上記複合溶射材料の供給を止めてブラズマアー
    クだけを発生させることにより溶射皮膜を加熱溶融させ
    て緻密化させ、その後、かかる緻密質溶射皮膜の上にさ
    らに上記複合溶射材料をアルゴンガス雰囲気下で再溶射
    して多層状溶射皮膜とすることを特徴とする翼部材の表
    面処理方法。
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