JPH0747794B2 - 耐食性に優れた焼結合金鋼およびその製造方法 - Google Patents
耐食性に優れた焼結合金鋼およびその製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は、粉末冶金法によって製造される耐食性に優れ
た焼結合金鋼およびその製造方法に関する。
た焼結合金鋼およびその製造方法に関する。
〈従来技術とその問題点〉 近年、粉末冶金法による焼結部品の製造は著しい伸びを
示し、焼結部品の適用範囲が広がりつつある。なかで
も、ステンレス鋼を用いた自動車部品・電子・電気部
品、事務用部品は、形状の複雑化に伴い製造方法も切削
加工法から粉末冶金法に置き換えられつつある。
示し、焼結部品の適用範囲が広がりつつある。なかで
も、ステンレス鋼を用いた自動車部品・電子・電気部
品、事務用部品は、形状の複雑化に伴い製造方法も切削
加工法から粉末冶金法に置き換えられつつある。
しかし、粉末冶金法で製造された焼結合金には気孔が存
在し、この気孔が耐食性や機械的特性を損ねる欠点があ
った。このため、焼結合金の密度はできるだけ高いこと
が必要で、密度比92%以上が望まれている。
在し、この気孔が耐食性や機械的特性を損ねる欠点があ
った。このため、焼結合金の密度はできるだけ高いこと
が必要で、密度比92%以上が望まれている。
粉末冶金法による焼結部品の製造に際し、従来の金型プ
レス成形では、原料粉が数10μm〜150μmと大きいの
で、成形、焼結だけでは密度比80〜90%となり、十分な
高密度が得られなかった。特に、原料が粗粒粉であるた
め、粒子間の隙間が大きく、50μm以上の径を有する気
孔が存在し、これは、焼結によっても収縮して消滅され
ずに焼結体組織に残留し、これに起因した耐食性の劣化
が顕著であった。
レス成形では、原料粉が数10μm〜150μmと大きいの
で、成形、焼結だけでは密度比80〜90%となり、十分な
高密度が得られなかった。特に、原料が粗粒粉であるた
め、粒子間の隙間が大きく、50μm以上の径を有する気
孔が存在し、これは、焼結によっても収縮して消滅され
ずに焼結体組織に残留し、これに起因した耐食性の劣化
が顕著であった。
そこで、耐食性を改善するためにステンレス鋼粉に他の
合金元素を添加し、液相を出現させて高密度化した焼結
合金が開発されている。
合金元素を添加し、液相を出現させて高密度化した焼結
合金が開発されている。
例えば、特開昭58-213959号で示されているように、Co
やBが添加されており、焼結中にCoやBを含む液相が生
じて気孔を埋めるように生地中に分散した焼結材料があ
る。
やBが添加されており、焼結中にCoやBを含む液相が生
じて気孔を埋めるように生地中に分散した焼結材料があ
る。
また、特開昭61-253349号に示されているように、Pを
添加し、同様に液相を出現させて高密度化した焼結ステ
ンレス鋼も提案されている。
添加し、同様に液相を出現させて高密度化した焼結ステ
ンレス鋼も提案されている。
しかし、前述のように、Co金属を添加すると、Co金属は
高価な粉末なために製品コスト高を招き、粉末冶金の長
所である経済性が損なわれる。
高価な粉末なために製品コスト高を招き、粉末冶金の長
所である経済性が損なわれる。
また、Pを添加すると、Pの固溶した液相部が冷却後の
脆弱な相として残るために、機械的特性が劣化する。
脆弱な相として残るために、機械的特性が劣化する。
従って、このような合金元素を添加し、液相焼結するこ
とによって高密度化する手法は回避されなければならな
い。さらに、耐食性に直接影響を及ぼす残留気孔をでき
るだけ減らすために、焼結材料を再圧縮または再焼結し
たり、あるいは熱間鍛造や熱間静水圧処理するなどの方
法がある。この場合、工程が複雑になったり、特別な装
置を必要としたり、作業が繁雑になるなどの問題を有し
ていた。
とによって高密度化する手法は回避されなければならな
い。さらに、耐食性に直接影響を及ぼす残留気孔をでき
るだけ減らすために、焼結材料を再圧縮または再焼結し
たり、あるいは熱間鍛造や熱間静水圧処理するなどの方
法がある。この場合、工程が複雑になったり、特別な装
置を必要としたり、作業が繁雑になるなどの問題を有し
ていた。
さらに、ステンレス鋼は、難還元性元素であるCrを含む
ために、還元性雰囲気中の焼結では露点を−50℃以下に
する必要があるが、これは工業的に難しく、従って真空
中で焼結するのは周知の通りである。真空焼結した場
合、蒸気圧の高いCr元素は真空中に露呈された表面から
蒸発する。よって、焼結体表面のCr濃度の低下は避けら
れず、表面の耐食性が著しく劣化することを本発明者は
実験によって確めている。すなわち、従来の真空焼結で
高密度の焼結体を得たとしても、それは耐食性の劣化し
た焼結合金であると考えられる。
ために、還元性雰囲気中の焼結では露点を−50℃以下に
する必要があるが、これは工業的に難しく、従って真空
中で焼結するのは周知の通りである。真空焼結した場
合、蒸気圧の高いCr元素は真空中に露呈された表面から
蒸発する。よって、焼結体表面のCr濃度の低下は避けら
れず、表面の耐食性が著しく劣化することを本発明者は
実験によって確めている。すなわち、従来の真空焼結で
高密度の焼結体を得たとしても、それは耐食性の劣化し
た焼結合金であると考えられる。
〈課題を解決するための手段〉 本発明の目的は、ステンレス鋼粉成分以外に合金鋼粉を
添加せず、再圧縮、再焼結の工程を行うこともなく、特
別な装置を必要とせず、92%以上の密度比を有し、かつ
合金成分濃度が均一である耐食性に優れた焼結合金鋼お
よびその製造方法を提供する。
添加せず、再圧縮、再焼結の工程を行うこともなく、特
別な装置を必要とせず、92%以上の密度比を有し、かつ
合金成分濃度が均一である耐食性に優れた焼結合金鋼お
よびその製造方法を提供する。
本発明の他の目的は、上記特性を有し、かつ焼結体表面
部のCr濃度の低下を抑制、修復した、耐食性に優れたス
テンレス鋼焼結体を提供する。
部のCr濃度の低下を抑制、修復した、耐食性に優れたス
テンレス鋼焼結体を提供する。
すなわち、本発明は、ステンレス鋼組成を有し、かつ、
密度比が92%以上、組織内に存在する気孔の最大径が20
μm以下、焼結のままで焼結体表面のCr含有量が焼結体
内部のCr含有量の80%以上である耐食性にすぐれた焼結
合金鋼を提供する。
密度比が92%以上、組織内に存在する気孔の最大径が20
μm以下、焼結のままで焼結体表面のCr含有量が焼結体
内部のCr含有量の80%以上である耐食性にすぐれた焼結
合金鋼を提供する。
さらに、ステンレス鋼粉末を用い、該鋼粉に結合剤を添
加混合して成形した後、該成形体中の結合剤を加熱して
除去し、続いて30Torr以下の減圧下で焼結し、さらに非
酸化性雰囲気下で焼結する耐食性に優れた焼結合金鋼の
製造方法を提供する。
加混合して成形した後、該成形体中の結合剤を加熱して
除去し、続いて30Torr以下の減圧下で焼結し、さらに非
酸化性雰囲気下で焼結する耐食性に優れた焼結合金鋼の
製造方法を提供する。
本発明の耐食性に優れた焼結合金鋼は、ステンレス鋼組
成を有し、かつ、密度比が92%以上、組織内に存在する
気孔の最大径が20μm以下、焼結のままで、特に熱処理
等の後処理を行わないで、焼結体表面のCr含有量が焼結
体内部のCr含有量の80%以上である。
成を有し、かつ、密度比が92%以上、組織内に存在する
気孔の最大径が20μm以下、焼結のままで、特に熱処理
等の後処理を行わないで、焼結体表面のCr含有量が焼結
体内部のCr含有量の80%以上である。
本発明は、いわゆるステンレス鋼組成を有する焼結合金
鋼であり、以下の特性によって規定される。
鋼であり、以下の特性によって規定される。
焼結密度比は耐食性に直接影響を及ぼす因子である。密
度比が92%未満の焼結体では残留気孔がまだ完全に閉塞
化していないため、表面と内部の気孔が一部連結してい
ると予想され、内部も常に焼結体外部の厳しい腐食環境
にさらされることになり耐食性が不十分となる。
度比が92%未満の焼結体では残留気孔がまだ完全に閉塞
化していないため、表面と内部の気孔が一部連結してい
ると予想され、内部も常に焼結体外部の厳しい腐食環境
にさらされることになり耐食性が不十分となる。
さらに92%未満では残留気孔径も大きくなり、耐食性に
悪影響を及ぼす。従って、密度比の下限を92%とした。
悪影響を及ぼす。従って、密度比の下限を92%とした。
ステンレス鋼の耐食性は酸化物保護被膜を形成する不働
態に基づいているが、この被膜が破壊され一部だけに腐
食が生じることを孔食と称している。気孔は孔食発生の
源となり易いと考えられ、その大きさはピットが再不働
態化するか、成長を開始するかを決定する重要な要因で
ある。気孔の最大径が20μmを超えると不働態膜の復元
が容易に行われずエッチピットは急激に成長を開始し、
孔食が発生する。従って、気孔の最大径を20μmと定め
た。ただし本発明において気孔の最大径とは次式によっ
て算出されたDmaxを言う。
態に基づいているが、この被膜が破壊され一部だけに腐
食が生じることを孔食と称している。気孔は孔食発生の
源となり易いと考えられ、その大きさはピットが再不働
態化するか、成長を開始するかを決定する重要な要因で
ある。気孔の最大径が20μmを超えると不働態膜の復元
が容易に行われずエッチピットは急激に成長を開始し、
孔食が発生する。従って、気孔の最大径を20μmと定め
た。ただし本発明において気孔の最大径とは次式によっ
て算出されたDmaxを言う。
ここで、 Smax:最大の気孔断面積を有する気孔の断面積 次に本発明の焼結合金鋼は、表面のCr含有量と内部のCr
含有量が焼結のままでも均一であることを特徴としてい
る。第1図曲線Aは実施例1で製造した焼結合金鋼の表
面近傍の断面のCr濃度のEPMA線分析を示すものである。
Crは蒸気圧が高いので、従来の真空焼結した焼結合金鋼
では、Crは真空中で蒸発し、その表面近傍のCr濃度は曲
線Bのように内部のCr濃度に対して10%程度まで著しく
低下している。このために表面の耐食性が劣化する。こ
れに対して本発明の合金鋼は曲線Aのようにほとんど表
面と内部のCr濃度に変化がなく均一である。
含有量が焼結のままでも均一であることを特徴としてい
る。第1図曲線Aは実施例1で製造した焼結合金鋼の表
面近傍の断面のCr濃度のEPMA線分析を示すものである。
Crは蒸気圧が高いので、従来の真空焼結した焼結合金鋼
では、Crは真空中で蒸発し、その表面近傍のCr濃度は曲
線Bのように内部のCr濃度に対して10%程度まで著しく
低下している。このために表面の耐食性が劣化する。こ
れに対して本発明の合金鋼は曲線Aのようにほとんど表
面と内部のCr濃度に変化がなく均一である。
本発明者らの知見によれば、焼結したままで特に熱処理
等を行わずに焼結体表面のCr濃度が内部のCr濃度に対し
て80%以上であれば耐食性上全く問題がないので、均一
性の指標として80%以上と規定した。
等を行わずに焼結体表面のCr濃度が内部のCr濃度に対し
て80%以上であれば耐食性上全く問題がないので、均一
性の指標として80%以上と規定した。
本発明焼結合金鋼を得る好ましい製造方法の1つは、ス
テンレス鋼粉末を用い、該鋼粉に結合剤を添加混合して
成形した後、該成形体中の結合剤を加熱して除去し、続
いて減圧下で焼結し、さらに非酸化性雰囲気化で焼結す
る。
テンレス鋼粉末を用い、該鋼粉に結合剤を添加混合して
成形した後、該成形体中の結合剤を加熱して除去し、続
いて減圧下で焼結し、さらに非酸化性雰囲気化で焼結す
る。
本発明の製造方法では、結合剤を用いる。本発明におい
ては、好ましくは複雑な形状にも加工できる射出成形法
を採用する。さらに適切に選択したそれぞれ異なる条件
で2段階で焼結処理することにより、密度の高い、耐食
性および機械的特性に優れた焼結材料を経済的に製造で
きる。
ては、好ましくは複雑な形状にも加工できる射出成形法
を採用する。さらに適切に選択したそれぞれ異なる条件
で2段階で焼結処理することにより、密度の高い、耐食
性および機械的特性に優れた焼結材料を経済的に製造で
きる。
好ましくは、ステンレス鋼粉末を、平均粒径15μm以下
とする。原料粉末として平均粒径15μm以下のステンレ
ス鋼粉を用い、これを成形した後、真空焼結と非酸化性
雰囲気焼結を併用することによって、合金元素、特にCr
成分の濃度分布の均一化を図り、焼結体の残留気孔径と
気孔率をできるだけ小さくし、かつ不純物量を低く抑え
ることができた。その結果、耐食性に優れる焼結合金を
得るに至った。
とする。原料粉末として平均粒径15μm以下のステンレ
ス鋼粉を用い、これを成形した後、真空焼結と非酸化性
雰囲気焼結を併用することによって、合金元素、特にCr
成分の濃度分布の均一化を図り、焼結体の残留気孔径と
気孔率をできるだけ小さくし、かつ不純物量を低く抑え
ることができた。その結果、耐食性に優れる焼結合金を
得るに至った。
好ましくは、成形体中の結合剤を加熱して除去する工程
を、非酸化性雰囲気中で行う。
を、非酸化性雰囲気中で行う。
本発明の特徴は、上述のものであるが、これらの要件を
充しているかぎり、必要により他の製造条件をさらに付
加したものも本発明に含まれる。
充しているかぎり、必要により他の製造条件をさらに付
加したものも本発明に含まれる。
[1] 本発明の耐食性に優れた焼結合金鋼は、本発明
の製造方法により製造されるもので、 Cr:16〜25重量% Ni:8〜24重量% C :≦0.06重量% O :≦0.7重量% を含み、残部Feと不可避不純物とからなる組成を有し、
かつ密度比が92%以上、組織内に存在する気孔の最大径
が20μm以下であり、焼結のままで、特別な熱処理等を
行わなくても焼結体表面のCr含有量が焼結体内部のCr含
有量の80%以上である。
の製造方法により製造されるもので、 Cr:16〜25重量% Ni:8〜24重量% C :≦0.06重量% O :≦0.7重量% を含み、残部Feと不可避不純物とからなる組成を有し、
かつ密度比が92%以上、組織内に存在する気孔の最大径
が20μm以下であり、焼結のままで、特別な熱処理等を
行わなくても焼結体表面のCr含有量が焼結体内部のCr含
有量の80%以上である。
なお、組成が前記記載の他にさらにMo≦10重量%を含ん
だ焼結合金鋼はさらに耐食性、耐酸化性に富み、機械的
特性も優れている。
だ焼結合金鋼はさらに耐食性、耐酸化性に富み、機械的
特性も優れている。
以下、本発明の焼結合金鋼の限定理由について詳述す
る。
る。
まず、本発明において焼結合金鋼組成中のCr、Ni、Mo、
C、Oを規定したのは、これらのいずれの元素も耐食性
を左右する重要な元素と考えられるからである。
C、Oを規定したのは、これらのいずれの元素も耐食性
を左右する重要な元素と考えられるからである。
Crが高いほど耐食性は向上するが、その含有量が16重量
%未満では所望の優れた耐食性が得られず、一方、25重
量%を超えて添加してもそれ以上の顕著な効果が認めら
れず、経済的に不利になる。さらにシグマ脆性、475℃
脆性といった問題が生ずるため上限を25重量%とした。
%未満では所望の優れた耐食性が得られず、一方、25重
量%を超えて添加してもそれ以上の顕著な効果が認めら
れず、経済的に不利になる。さらにシグマ脆性、475℃
脆性といった問題が生ずるため上限を25重量%とした。
Niはオーステナイト相を安定化させるために有利な元素
であり、従って、耐食性、靱性等の機械的特性を向上さ
せることができる。しかし、8重量%未満では安定なオ
ーステナイト相の生成能が乏しく、耐食性が劣化するの
で8重量%以上を要する。一方、24重量%を超えて含有
してもそれ以上の顕著な効果は見られず経済性を考慮
し、上限を24重量%とした。
であり、従って、耐食性、靱性等の機械的特性を向上さ
せることができる。しかし、8重量%未満では安定なオ
ーステナイト相の生成能が乏しく、耐食性が劣化するの
で8重量%以上を要する。一方、24重量%を超えて含有
してもそれ以上の顕著な効果は見られず経済性を考慮
し、上限を24重量%とした。
Moは耐食性、耐酸化性改善に最も有効で、さらに生地中
への固溶強化によって機械的特性の向上にも有利な元素
である。しかし、10重量%を超えた場合にはシグマ脆
性、475℃脆性といった問題を生ずるため上限を10重量
%と定めた。
への固溶強化によって機械的特性の向上にも有利な元素
である。しかし、10重量%を超えた場合にはシグマ脆
性、475℃脆性といった問題を生ずるため上限を10重量
%と定めた。
Cは低いほど耐食性は向上するのは周知の通りである。
上限を0.06重量%と規定したのは、これを超えて含有し
た場合、液相が出現することによって気孔が粗大化した
り、(Fe、Cr)Cの炭化物が生成することによって、低
Cr帯が生じて耐食性が劣化するからである。
上限を0.06重量%と規定したのは、これを超えて含有し
た場合、液相が出現することによって気孔が粗大化した
り、(Fe、Cr)Cの炭化物が生成することによって、低
Cr帯が生じて耐食性が劣化するからである。
Oは低いほど、緻密化が容易に進み焼結密度が高くな
り、その結果、耐食性は向上する。しかし、0.3重量%
を超えてOを含有する場合は、Cr系酸化物が生成し、焼
結が阻害され、高密度が得られず、その結果耐食性を劣
化させる。
り、その結果、耐食性は向上する。しかし、0.3重量%
を超えてOを含有する場合は、Cr系酸化物が生成し、焼
結が阻害され、高密度が得られず、その結果耐食性を劣
化させる。
但し、Cr酸化物の存在に起因する密度低下が著しくない
場合、O含有量の増加に伴う直接的な耐食性の劣化は、
極端なものでは無いため、用途によっては、必要な耐食
性を確保できる。また、焼結体のC、Oの低減は、 C+O→COまたはC+2O→CO2 の反応で進行し、その反応速度はC重量%とO重量%と
の積に比例する。そのため、耐食性を極端に劣化させる
原因となるC含有量を0.06重量%以下にするのに必要な
反応時間は、最終焼結体のO含有量の許容値を高くする
ことで短縮できる。したがって、耐食性の要求レベルが
極端に高くない場合は、経済的な観点より、含有O量は
0.3%を超えることが好ましい。しかし、含有O量が0.7
重量%を超えると、耐食性劣化が著しいため、含有O量
の上限を0.7重量%とした。
場合、O含有量の増加に伴う直接的な耐食性の劣化は、
極端なものでは無いため、用途によっては、必要な耐食
性を確保できる。また、焼結体のC、Oの低減は、 C+O→COまたはC+2O→CO2 の反応で進行し、その反応速度はC重量%とO重量%と
の積に比例する。そのため、耐食性を極端に劣化させる
原因となるC含有量を0.06重量%以下にするのに必要な
反応時間は、最終焼結体のO含有量の許容値を高くする
ことで短縮できる。したがって、耐食性の要求レベルが
極端に高くない場合は、経済的な観点より、含有O量は
0.3%を超えることが好ましい。しかし、含有O量が0.7
重量%を超えると、耐食性劣化が著しいため、含有O量
の上限を0.7重量%とした。
焼結密度比92%以上、気孔の最大径20μm以下および焼
結のままで焼結体表面のCr含有量が焼結体内部のCr含有
量の80%以上であることは前述のとおりであり、この理
由についてもすでにのべたとおりである。
結のままで焼結体表面のCr含有量が焼結体内部のCr含有
量の80%以上であることは前述のとおりであり、この理
由についてもすでにのべたとおりである。
次にこのような焼結合金鋼の製造方法としては、 Cr:16〜25重量% Ni:8〜24重量% を含み、平均粒径15μm以下の鋼粉に結合剤を添加、混
合し、成形後、該成形体中の結合剤を非酸化性雰囲気中
で加熱して除去し、成形体中のC/Oモル比を0.3〜3.0と
し、続いて温度1000〜1350℃以下、圧力30Torr以下の減
圧下で焼結後、不活性ガスもしくはN2を含む不活性混合
ガス雰囲気下で1200〜1350℃で焼結することによって得
ることができる。
合し、成形後、該成形体中の結合剤を非酸化性雰囲気中
で加熱して除去し、成形体中のC/Oモル比を0.3〜3.0と
し、続いて温度1000〜1350℃以下、圧力30Torr以下の減
圧下で焼結後、不活性ガスもしくはN2を含む不活性混合
ガス雰囲気下で1200〜1350℃で焼結することによって得
ることができる。
また、この場合に、原料組成が上記記載の他にMo≦10重
量%を含む鋼粉を用いると、一層好ましい特性の焼結合
金鋼を製造することができる。
量%を含む鋼粉を用いると、一層好ましい特性の焼結合
金鋼を製造することができる。
本発明方法において、原料組成のCr、Niを規定するの
は、上記焼結合金鋼を得るために必要だからである。
は、上記焼結合金鋼を得るために必要だからである。
鋼粉の平均粒径は、焼結体の密度比を左右する因子の一
つであり、平均粒径が小さいほど密度比は上昇する。平
均粒径が15μmを超える鋼粉を用いると、密度比92%以
上を達成することができず、成形時に生じる粒子間の隙
間も大きくなるため、残留気孔の最大径が20μmを超
え、所望の耐食性が得られなくなる。このため、平均粒
径15μm以下の鋼粉を用いる。
つであり、平均粒径が小さいほど密度比は上昇する。平
均粒径が15μmを超える鋼粉を用いると、密度比92%以
上を達成することができず、成形時に生じる粒子間の隙
間も大きくなるため、残留気孔の最大径が20μmを超
え、所望の耐食性が得られなくなる。このため、平均粒
径15μm以下の鋼粉を用いる。
なお、鋼粉は、実質的に球状で、表面に極端な凹凸がな
いものを用いるのが好ましい。形状が実質的に球状でな
い場合、例えば、フレーム状および棒状粒子は、成形体
に異方性を与え、その結果、複雑な部品を製造する場合
に寸法収縮を予想できず、希望の部品形状が得られな
い。また、角張っている場合は、余分なバインダを必要
とするので好ましくない。
いものを用いるのが好ましい。形状が実質的に球状でな
い場合、例えば、フレーム状および棒状粒子は、成形体
に異方性を与え、その結果、複雑な部品を製造する場合
に寸法収縮を予想できず、希望の部品形状が得られな
い。また、角張っている場合は、余分なバインダを必要
とするので好ましくない。
粒子の極端な凹部は、焼結体に余分な隙間を与え、粒子
の極端な凸部は、粒子同士の滑りを劣化させる。何れの
場合も、上記の欠点に加えて、球状粒子を使用する場合
と比較して、余分なバインダの添加を必要とするので、
このような粒子も好ましくない。
の極端な凸部は、粒子同士の滑りを劣化させる。何れの
場合も、上記の欠点に加えて、球状粒子を使用する場合
と比較して、余分なバインダの添加を必要とするので、
このような粒子も好ましくない。
このように、本発明で用いる鋼粉は、その平均粒径が15
μm以下であり、好ましくは、実質的に球状で、表面に
極端な凹凸がないものである。このような鋼粉は、アト
マイズ法等によって得られるが、高圧水アトマイズ法に
よって作られたものが好ましい。
μm以下であり、好ましくは、実質的に球状で、表面に
極端な凹凸がないものである。このような鋼粉は、アト
マイズ法等によって得られるが、高圧水アトマイズ法に
よって作られたものが好ましい。
本発明の方法では、上記の鋼粉を用い、まず成形を行う
が、平均粒径15μm以下の微粒であるため、鋼粉だけで
は成形時にラミネーションや割れ等の欠陥を生じる。そ
れで、これらの欠陥が生じないように、結合剤を添加混
合した後に成形を行う。結合剤は、熱可塑性樹脂、ワッ
クス、可塑剤、潤滑剤および脱脂促進剤などより構成さ
れている。
が、平均粒径15μm以下の微粒であるため、鋼粉だけで
は成形時にラミネーションや割れ等の欠陥を生じる。そ
れで、これらの欠陥が生じないように、結合剤を添加混
合した後に成形を行う。結合剤は、熱可塑性樹脂、ワッ
クス、可塑剤、潤滑剤および脱脂促進剤などより構成さ
れている。
熱可塑性樹脂としては、アクリル系、ポリエチレン系、
ポリプロピレン系およびポリスチレン系等があり、ワッ
クス類としては、蜜ろう、木ろう、モンタンワックス等
に代表されるような天然ろう、および低分子ポリエチレ
ン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワック
ス等に代表されるような合成ろうがあるが、これらから
選ばれる1種あるいは2種以上を用いる。
ポリプロピレン系およびポリスチレン系等があり、ワッ
クス類としては、蜜ろう、木ろう、モンタンワックス等
に代表されるような天然ろう、および低分子ポリエチレ
ン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワック
ス等に代表されるような合成ろうがあるが、これらから
選ばれる1種あるいは2種以上を用いる。
可塑剤は、主体と成る樹脂あるいはワックスとの組合せ
によって選択するが、具体的には、フタル酸ジオクチル
(DOP)、フタル酸ジエチル(DEP)、フタル酸ジ−n−
ブチル(DBP)、フタル酸ジヘプチル(DHP)等があげら
れる。
によって選択するが、具体的には、フタル酸ジオクチル
(DOP)、フタル酸ジエチル(DEP)、フタル酸ジ−n−
ブチル(DBP)、フタル酸ジヘプチル(DHP)等があげら
れる。
潤滑剤としては、高級脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸エ
ステル等があげられ、場合によっては、ワックス類を潤
滑剤として兼用する。
ステル等があげられ、場合によっては、ワックス類を潤
滑剤として兼用する。
また、脱脂促進剤として、樟脳等の昇華性物質を添加す
ることもできる。
ることもできる。
なお、結合剤の種類や量は、後工程の成形法によって異
なり、通常の金型圧縮成形では上記潤滑剤を主体とする
ものを鋼粉に対し0.5〜3.0重量%使用し、射出成形では
上記熱可塑性樹脂および/またはワックスを主体とする
ものを鋼粉に対し10重量%程度使用する。
なり、通常の金型圧縮成形では上記潤滑剤を主体とする
ものを鋼粉に対し0.5〜3.0重量%使用し、射出成形では
上記熱可塑性樹脂および/またはワックスを主体とする
ものを鋼粉に対し10重量%程度使用する。
射出成形用コンパウンドは、鋼粉と結合剤との混合・混
練によって得られ、バッチ式あるいは、連続式のニーダ
が使用でき、バッチ式ニーダの中では加圧ニーダやバン
バリーミキサー等が、また、連続式ニーダの中では2軸
押出し機等がそれぞれ有利に使用できる。混練後、必要
に応じてペレタイザーあるいは粉砕機等を使用して造粒
を行う。
練によって得られ、バッチ式あるいは、連続式のニーダ
が使用でき、バッチ式ニーダの中では加圧ニーダやバン
バリーミキサー等が、また、連続式ニーダの中では2軸
押出し機等がそれぞれ有利に使用できる。混練後、必要
に応じてペレタイザーあるいは粉砕機等を使用して造粒
を行う。
また、金型圧縮成形用原料は、鋼粉と結合剤との混合に
よって得られ、V型あるいはダブルコーン型混合機が使
用できる。
よって得られ、V型あるいはダブルコーン型混合機が使
用できる。
成形は、従来の金型圧縮成形をはじめとして、押し出し
成形、粉末圧延成形、射出成形等の方法で行うが、射出
成形が好ましい。
成形、粉末圧延成形、射出成形等の方法で行うが、射出
成形が好ましい。
射出成形は、プラスチック用射出成形機、金属粉末用射
出成形機等、通常の射出成形に用いられる射出成形機を
用いて行なえばよい。この際において、射出圧力は、通
常500〜2000kg/cm2程度である。
出成形機等、通常の射出成形に用いられる射出成形機を
用いて行なえばよい。この際において、射出圧力は、通
常500〜2000kg/cm2程度である。
成形後、結合剤を除去するため、非酸化性雰囲気中で加
熱する。昇温速度は、5〜300℃/hとし、450〜700℃で
0〜4h保持した後、冷却する。なお、この時の昇温速度
を速くしすぎると、得られた成形体に割れや膨れが生じ
るので好ましくない。
熱する。昇温速度は、5〜300℃/hとし、450〜700℃で
0〜4h保持した後、冷却する。なお、この時の昇温速度
を速くしすぎると、得られた成形体に割れや膨れが生じ
るので好ましくない。
こうして得られた脱脂体を、その後、焼結して本発明の
焼結体が得られる。
焼結体が得られる。
また、最終焼結体のC、O量を調整し、C/Oモル比を0.3
〜3とする。C、O量の増減の方法としては、脱脂体の
C/O量比の増減によって為され、C/O量比を小さくするこ
とでC量を低減でき、C/O量比を大きくすることでO量
を低減できる。C/O量比の増減には、原料粉末のC、O
量の調整、結合剤の除去程度の加減、あるいは除去後の
酸化処理などによって行うことができる。さらに、C、
O量の全体レベル(C量とO量の積に相当)の低減は、
減圧焼結時に、圧力を低減すること、焼結時間を増加す
ることによって達成できる。
〜3とする。C、O量の増減の方法としては、脱脂体の
C/O量比の増減によって為され、C/O量比を小さくするこ
とでC量を低減でき、C/O量比を大きくすることでO量
を低減できる。C/O量比の増減には、原料粉末のC、O
量の調整、結合剤の除去程度の加減、あるいは除去後の
酸化処理などによって行うことができる。さらに、C、
O量の全体レベル(C量とO量の積に相当)の低減は、
減圧焼結時に、圧力を低減すること、焼結時間を増加す
ることによって達成できる。
結合剤を除去した後、焼結を行なう。
焼結条件は、被焼結体(射出成形体あるいは金型圧縮
成形体から有機物を除去したもの)の含有Cと含有Oと
の直接反応による、還元、脱炭の同時反応、Cr蒸散に
起因する焼結表面部のCr濃度低下現象および粉末構成
原子の相互拡散に起因する焼結緻密化現象すべて考慮し
て決定する必要がある。
成形体から有機物を除去したもの)の含有Cと含有Oと
の直接反応による、還元、脱炭の同時反応、Cr蒸散に
起因する焼結表面部のCr濃度低下現象および粉末構成
原子の相互拡散に起因する焼結緻密化現象すべて考慮し
て決定する必要がある。
本発明における焼結は、第2段階で構成されており、第
1段階目は、還元、脱炭の同時反応を促進し、かつCr蒸
散を抑制することに主眼を置き、第2段階目は、第1段
階目で不可避的に起った表面部のCr濃度低下の修復およ
び焼結緻密化の促進に主眼を置くものである。
1段階目は、還元、脱炭の同時反応を促進し、かつCr蒸
散を抑制することに主眼を置き、第2段階目は、第1段
階目で不可避的に起った表面部のCr濃度低下の修復およ
び焼結緻密化の促進に主眼を置くものである。
第1段の焼結は、温度1000〜1350℃圧力30Torr以下の条
件で行う。
件で行う。
還元、脱炭は、水素雰囲気によっても行うことができる
が、本発明の焼結鋼のように難還元性元素であるCrを多
く含有する組成では、高純度の水素ガスを著しく多量に
必要とするため経済的に好ましくない。一方、本発明の
ように30Torr以下の減圧雰囲気を利用する場合、被焼結
体の含有Cと含有Oとの直接反応による、還元、脱炭の
同時反応を経済的、かつ効率的に行うことができる。
が、本発明の焼結鋼のように難還元性元素であるCrを多
く含有する組成では、高純度の水素ガスを著しく多量に
必要とするため経済的に好ましくない。一方、本発明の
ように30Torr以下の減圧雰囲気を利用する場合、被焼結
体の含有Cと含有Oとの直接反応による、還元、脱炭の
同時反応を経済的、かつ効率的に行うことができる。
化学平衡論的には、高温ほど、低圧ほど、還元、脱炭同
時反応は進行し、同時に、Cr蒸発に起因する焼結体表面
部のCr濃度低下も促進される。一方、反応速度論的に
は、還元、脱炭同時反応は反応生成物であるCOガスの拡
散に支配され、焼結体表面部のCr濃度低下はCrの原子拡
散に支配される。さらに、焼結が進行すると、焼結体内
部のガス流路が遮断されるためCOガスの拡散速度が著し
く低下するが、Crの拡散速度への影響は小さいことを実
験的に確認した。
時反応は進行し、同時に、Cr蒸発に起因する焼結体表面
部のCr濃度低下も促進される。一方、反応速度論的に
は、還元、脱炭同時反応は反応生成物であるCOガスの拡
散に支配され、焼結体表面部のCr濃度低下はCrの原子拡
散に支配される。さらに、焼結が進行すると、焼結体内
部のガス流路が遮断されるためCOガスの拡散速度が著し
く低下するが、Crの拡散速度への影響は小さいことを実
験的に確認した。
第1段の焼結の温度範囲は1000〜1350℃とした。1000℃
未満では、平衡論的には還元、脱炭を起こすことができ
るが、反応速度が遅いため、低C、低Oの焼結体を得る
のに、長時間を必要とするので好ましくない。従って、
第1段の焼結は、1000℃以上であることが好ましい。
未満では、平衡論的には還元、脱炭を起こすことができ
るが、反応速度が遅いため、低C、低Oの焼結体を得る
のに、長時間を必要とするので好ましくない。従って、
第1段の焼結は、1000℃以上であることが好ましい。
一方、1350℃を超えると焼結緻密化が速く進行し、COガ
スの拡散速度が著しく低下するため、還元、脱炭同時反
応が効率よく進行せず、低C、低Oの焼結体が得られな
い。さらに、Cr蒸気圧およびCr拡散速度は共に十分に高
いため、焼結体表面から深い範囲にわたりCr濃度が著し
く低下してしまう。従って、第1段の焼結の上限温度を
1350℃とした。
スの拡散速度が著しく低下するため、還元、脱炭同時反
応が効率よく進行せず、低C、低Oの焼結体が得られな
い。さらに、Cr蒸気圧およびCr拡散速度は共に十分に高
いため、焼結体表面から深い範囲にわたりCr濃度が著し
く低下してしまう。従って、第1段の焼結の上限温度を
1350℃とした。
但し、原料粉末径によって、焼結緻密化の速くなる温度
は異なり、平均粒径が小さい場合はより低温側に、平均
粒径が大きい場合はより高温側に、上記の範囲内から選
択することができる。
は異なり、平均粒径が小さい場合はより低温側に、平均
粒径が大きい場合はより高温側に、上記の範囲内から選
択することができる。
さらに、第1段の焼結は、真空加熱炉において、炉内
に、外部よりガスを導入することなく、真空ポンプで排
気のみを行う場合、0.1Torr以下で行い、また、真空加
熱炉において、炉内に、外部より非酸化性ガスの導入と
真空ポンプでの排気を併用する場合は、30Torr以下で行
う。前者の場合、0.1Torrを超えると、後者の場合30Tor
rを超えると、Cr酸化物の還元、脱炭の同時反応が効率
的に進行しないので好ましくない。
に、外部よりガスを導入することなく、真空ポンプで排
気のみを行う場合、0.1Torr以下で行い、また、真空加
熱炉において、炉内に、外部より非酸化性ガスの導入と
真空ポンプでの排気を併用する場合は、30Torr以下で行
う。前者の場合、0.1Torrを超えると、後者の場合30Tor
rを超えると、Cr酸化物の還元、脱炭の同時反応が効率
的に進行しないので好ましくない。
さらに、詳しく説明すると、Cr酸化物の還元反応を支配
するのは、反応生成物であるCOもしくはCO2ガスの分圧
の合計(以下、生成物ガス圧と略記する)であるため、
生成物ガス圧を、常に酸化・還元平衡圧未満に維持でき
るように、反応系外(焼結炉外)へ排出することが必須
条件となる。この条件を満たす方法しては、真空雰囲気
を使用する方法、Ar、N2、H2等の高純度の非酸化性ガス
を使用する方法および両者を併用する方法がある。第1
の場合は、生成物ガス圧が焼結炉内の全圧に、実質上、
等しくなるような緻密性の高い加熱炉に、炉内全圧を0.
1Torr以下に保持できるに十分な排気速度を持つ真空ポ
ンプを装着した、真空焼結炉で行うことができる。第2
の場合は、炉内圧を大気圧領域でおこなうもので、生成
物ガス圧を0.1Torr以下にするためには、生成物ガスを
含まない新鮮な高純度のガスを、単純な計算上では、75
9.9Torr以上必要である。このように、反応時に、生成
ガスの約1万倍もの非酸化性ガスを供給することは、工
業的には、きわめて不利であるため第2の場合は好まし
くない。第3の場合は、第1の場合として示した真空焼
結炉に圧力調整弁を介して生成物ガスを含まない新鮮な
高純度の非酸化性ガスを導入する方法で、加熱時のCr蒸
発の抑制に幾分かの効果があるとされるもので、炉内の
全圧は30Torr以下であることが好ましい。この方法にお
いては、炉内の全圧は、生成物ガス圧と導入した非酸化
性ガスの和で表されるが、真空ポンプの排気速度が一定
の場合、導入ガスの有無にかかわらず、生成物ガスの加
熱炉外への排気速度は一定である。しかし、炉内の全圧
が30Torrを超えると、真空ポンプ(特に、メカニカルブ
ースターと油回転ポンプを組み合せた場合)の排気速度
は急激に低下すること、および、生成物ガスの焼結体表
面からの離脱速度が低下することに起因して、生成物ガ
スの排気速度が低下し、その結果、還元反応速度を低下
させる。そのため、炉内の全圧の上限を30Torrとした。
するのは、反応生成物であるCOもしくはCO2ガスの分圧
の合計(以下、生成物ガス圧と略記する)であるため、
生成物ガス圧を、常に酸化・還元平衡圧未満に維持でき
るように、反応系外(焼結炉外)へ排出することが必須
条件となる。この条件を満たす方法しては、真空雰囲気
を使用する方法、Ar、N2、H2等の高純度の非酸化性ガス
を使用する方法および両者を併用する方法がある。第1
の場合は、生成物ガス圧が焼結炉内の全圧に、実質上、
等しくなるような緻密性の高い加熱炉に、炉内全圧を0.
1Torr以下に保持できるに十分な排気速度を持つ真空ポ
ンプを装着した、真空焼結炉で行うことができる。第2
の場合は、炉内圧を大気圧領域でおこなうもので、生成
物ガス圧を0.1Torr以下にするためには、生成物ガスを
含まない新鮮な高純度のガスを、単純な計算上では、75
9.9Torr以上必要である。このように、反応時に、生成
ガスの約1万倍もの非酸化性ガスを供給することは、工
業的には、きわめて不利であるため第2の場合は好まし
くない。第3の場合は、第1の場合として示した真空焼
結炉に圧力調整弁を介して生成物ガスを含まない新鮮な
高純度の非酸化性ガスを導入する方法で、加熱時のCr蒸
発の抑制に幾分かの効果があるとされるもので、炉内の
全圧は30Torr以下であることが好ましい。この方法にお
いては、炉内の全圧は、生成物ガス圧と導入した非酸化
性ガスの和で表されるが、真空ポンプの排気速度が一定
の場合、導入ガスの有無にかかわらず、生成物ガスの加
熱炉外への排気速度は一定である。しかし、炉内の全圧
が30Torrを超えると、真空ポンプ(特に、メカニカルブ
ースターと油回転ポンプを組み合せた場合)の排気速度
は急激に低下すること、および、生成物ガスの焼結体表
面からの離脱速度が低下することに起因して、生成物ガ
スの排気速度が低下し、その結果、還元反応速度を低下
させる。そのため、炉内の全圧の上限を30Torrとした。
前述のようにCr系酸化物の還元反応を含有Cにより容易
に促進させることができるが、その際、焼結前の成形体
中のC/Oモル比を適当に調整することが必要である。な
ぜならば、焼結体中のC、Oの低減は、 C+O→CO C+2O→CO2 の反応が進行することによって達成される。
に促進させることができるが、その際、焼結前の成形体
中のC/Oモル比を適当に調整することが必要である。な
ぜならば、焼結体中のC、Oの低減は、 C+O→CO C+2O→CO2 の反応が進行することによって達成される。
C/Oモル比が不適当であると、CあるいはOを過剰に残
した焼結体となり、 C≦0.06重量% O≦0.7重量% が得られない。C/Oモル比(の下限)が0.3未満の場合、
焼結体中のOは0.3重量%を超え、焼結密度の上昇が見
られない。一方、C/Oモル比が3.0を超えた場合、焼結体
のC量が0.06重量%を超えるため液相の出現によって気
孔が粗大化して耐食性が劣化したり、形状が崩れる。そ
こで、焼結前の成形体中のC/Oモル比を0.3〜3.0の範囲
に規定した。
した焼結体となり、 C≦0.06重量% O≦0.7重量% が得られない。C/Oモル比(の下限)が0.3未満の場合、
焼結体中のOは0.3重量%を超え、焼結密度の上昇が見
られない。一方、C/Oモル比が3.0を超えた場合、焼結体
のC量が0.06重量%を超えるため液相の出現によって気
孔が粗大化して耐食性が劣化したり、形状が崩れる。そ
こで、焼結前の成形体中のC/Oモル比を0.3〜3.0の範囲
に規定した。
続いて、第2段の焼結を高密度化および拡散による合金
元素の均一化を達成するために不活性ガスもしくはN2を
含む不活性混合ガス雰囲気中、1200〜1350℃で行う。
元素の均一化を達成するために不活性ガスもしくはN2を
含む不活性混合ガス雰囲気中、1200〜1350℃で行う。
雰囲気を不活性ガスもしくはN2を含む不活性混合ガスと
したのは、Crの蒸発を抑制するためである。なお、ここ
で不活性ガスもしくはN2を含む不活性混合ガス雰囲気に
用いるガスはAr、He、窒素等の不活性ガスである。これ
らのガスの圧力は、Crの蒸気圧よりも十分に高くし、さ
らに、加熱炉内の流通量を極力押えるか無くすことで、
より効果的に、焼結体表面のCr蒸発を抑制できる。その
結果、焼結の第1段階に不可避的に生成した焼結体内部
から焼結体表面へのCr濃度低下の傾きを原動力として、
焼結のままで焼結体内部から焼結体表面の低Cr濃度部へ
Cr原子が拡散し、これによって、焼結体表面のCr濃度
は、焼結のままで焼結体内部のCr濃度の80%以上まで修
復することができる。
したのは、Crの蒸発を抑制するためである。なお、ここ
で不活性ガスもしくはN2を含む不活性混合ガス雰囲気に
用いるガスはAr、He、窒素等の不活性ガスである。これ
らのガスの圧力は、Crの蒸気圧よりも十分に高くし、さ
らに、加熱炉内の流通量を極力押えるか無くすことで、
より効果的に、焼結体表面のCr蒸発を抑制できる。その
結果、焼結の第1段階に不可避的に生成した焼結体内部
から焼結体表面へのCr濃度低下の傾きを原動力として、
焼結のままで焼結体内部から焼結体表面の低Cr濃度部へ
Cr原子が拡散し、これによって、焼結体表面のCr濃度
は、焼結のままで焼結体内部のCr濃度の80%以上まで修
復することができる。
また、焼結の第1段階および第2段階において、焼結温
度が一定である(Cr拡散速度が一定に相当)と、前記表
面の低Cr部の修復には、これを生成するのに要した時間
よりも長いことが必要であることを実験的に確認した。
従って、短時間で、効果的に前記表面の低Cr部の修復を
行うために、第2段階の焼結温度は第1段階の焼結温度
よりも高くするのが好ましい。さらに、焼結緻密化し、
焼結残留気孔の微細化、球状化を促進するためにも、第
1段階よりも高温であることが好ましい。
度が一定である(Cr拡散速度が一定に相当)と、前記表
面の低Cr部の修復には、これを生成するのに要した時間
よりも長いことが必要であることを実験的に確認した。
従って、短時間で、効果的に前記表面の低Cr部の修復を
行うために、第2段階の焼結温度は第1段階の焼結温度
よりも高くするのが好ましい。さらに、焼結緻密化し、
焼結残留気孔の微細化、球状化を促進するためにも、第
1段階よりも高温であることが好ましい。
1200℃未満では、前記焼結体表面の低Cr部の修復を効果
的に行うことができないだけでなく、焼結緻密化の不十
分(低密度)な焼結体しか得られないので、第2段階の
焼結温度は1200℃以上が好ましい。
的に行うことができないだけでなく、焼結緻密化の不十
分(低密度)な焼結体しか得られないので、第2段階の
焼結温度は1200℃以上が好ましい。
一方、1350℃を超えると、液相の発生が過剰となるため
焼結体形状が崩れたり、脆化相が残り焼結体の強度低下
を引き起す等の弊害がでる。従って、第2段階の焼結温
度は1350℃以下が好ましい。
焼結体形状が崩れたり、脆化相が残り焼結体の強度低下
を引き起す等の弊害がでる。従って、第2段階の焼結温
度は1350℃以下が好ましい。
[2] 本発明の高窒素成分の耐食性に優れた焼結合金
鋼は、 本発明製造方法により製造されるもので、 Cr:16〜25重量%、 Ni:6〜20重量%、 C :0.05重量%以下、 N :0.05〜0.40重量% を含み、残部Feおよび不可避的不純物元素とからなる。
鋼は、 本発明製造方法により製造されるもので、 Cr:16〜25重量%、 Ni:6〜20重量%、 C :0.05重量%以下、 N :0.05〜0.40重量% を含み、残部Feおよび不可避的不純物元素とからなる。
また、本発明の他の高窒素成分の耐食性に優れた焼結合
金鋼は、 Cr:16〜25重量%、 Ni:6〜20重量%、 C :0.05重量%以下、 N :0.05〜0.40重量%、 Mo:0.5〜4.0重量% を含み、残部Feおよび不可避的不純物元素とからなる。
金鋼は、 Cr:16〜25重量%、 Ni:6〜20重量%、 C :0.05重量%以下、 N :0.05〜0.40重量%、 Mo:0.5〜4.0重量% を含み、残部Feおよび不可避的不純物元素とからなる。
本発明の高窒素成分の耐食性に優れた焼結合金鋼組成中
のCr、Ni、C、N、Moは、耐食性を左右する重要な元素
であり、各々の含有量は、以下の理由によって限定され
る。
のCr、Ni、C、N、Moは、耐食性を左右する重要な元素
であり、各々の含有量は、以下の理由によって限定され
る。
Cr:Crは、その含有量が高いほど耐食性は向上する。含
有量が16重量%未満では、所望の耐食性が得られず、一
方、25重量%を超えて添加しても、それ以上の顕著な効
果の向上は認められず、コストの点で不利となる。さら
に、Cr含有量が高いと、シグマ脆性、475℃脆性といっ
た問題を生ずる。
有量が16重量%未満では、所望の耐食性が得られず、一
方、25重量%を超えて添加しても、それ以上の顕著な効
果の向上は認められず、コストの点で不利となる。さら
に、Cr含有量が高いと、シグマ脆性、475℃脆性といっ
た問題を生ずる。
Ni:Niは、オーステナイト相を安定化させるために必要
な元素である。オーステナイト相が安定化すると、耐食
性および靱性等の機械的特性が向上する。含有量が6重
量%未満では、安定なオーステナイト相の生成能が乏し
く、耐食性が劣化する。一方、20重量%を超えて添加し
ても、それ以上の顕著な効果の向上は認められず、コス
トの点で不利となる。
な元素である。オーステナイト相が安定化すると、耐食
性および靱性等の機械的特性が向上する。含有量が6重
量%未満では、安定なオーステナイト相の生成能が乏し
く、耐食性が劣化する。一方、20重量%を超えて添加し
ても、それ以上の顕著な効果の向上は認められず、コス
トの点で不利となる。
C:Cは、その含有量が低いほど耐食性は向上する。含有
量が0.05重量%を越えると、液相が出現して気孔が粗大
化したり、FeやCrの炭化物が生成されるために低Cr帯が
生じ、耐食性が劣化する。
量が0.05重量%を越えると、液相が出現して気孔が粗大
化したり、FeやCrの炭化物が生成されるために低Cr帯が
生じ、耐食性が劣化する。
N:Nは、ボアーの存在する焼結体の耐孔食性を著しく改
善する元素である。含有量が0.05重量%未満ではその効
果は小さく、一方、0.4重量%を越えると、Cr窒化物が
生成されるために低Cr帯が生じ、耐食性が劣化する。
善する元素である。含有量が0.05重量%未満ではその効
果は小さく、一方、0.4重量%を越えると、Cr窒化物が
生成されるために低Cr帯が生じ、耐食性が劣化する。
Mo:Moは、耐食性、耐酸化性改善に有効な元素である。
含有量が0.5重量%未満では効果がなく、4重量%を超
えて添加しても、それ以上の顕著な効果の向上は認めら
れず、コストの点で不利となる。
含有量が0.5重量%未満では効果がなく、4重量%を超
えて添加しても、それ以上の顕著な効果の向上は認めら
れず、コストの点で不利となる。
なお、上記の通り、Moは耐食性、耐酸化性改善に有効な
金属であるから、Moを含有する高窒素ステンレス鋼焼結
体は、より耐食性、耐酸化性に優れる。
金属であるから、Moを含有する高窒素ステンレス鋼焼結
体は、より耐食性、耐酸化性に優れる。
特に酸素については規定していないが、後処理工程のこ
とを考慮するときは、0.7%を超えないことが好まし
い。
とを考慮するときは、0.7%を超えないことが好まし
い。
また、本発明の高窒素成分焼結合金鋼は、密度比が92%
以上であり、組織内に存在する気孔の最大径は20μm以
下である。
以上であり、組織内に存在する気孔の最大径は20μm以
下である。
この理由についてはすでに述べた本発明の他の焼結合金
鋼の場合と同様である。
鋼の場合と同様である。
次に、上述した高窒素成分の耐食性に優れた焼結合金鋼
の製造方法について説明する。
の製造方法について説明する。
上述した高窒素成分の焼結合金鋼の製造方法の好ましい
例として、以下に述べる本発明の方法がある。
例として、以下に述べる本発明の方法がある。
即ち、Crを16〜25重量%、Niを6〜20重量%含む平均粒
径15μm以下のステンレス鋼粉を用い、または、Crを16
〜25重量%、Niを6〜20重量%、Moを0.5〜4.0重量%含
む平均粒径15μm以下のステンレス鋼粉を用い、該鋼粉
に結合剤を添加混合して成形した後、該成形体中の結合
剤を非酸化性雰囲気中で加熱して除去し、成形体中のC/
Oモル比を0.3〜3.0とし、続いて、温度1000〜1350℃、
圧力30Torr以下の減圧下で焼結し、さらに、温度1200〜
1400℃で、N2を含む(不活性)混合ガス雰囲気中で焼結
する方法である。
径15μm以下のステンレス鋼粉を用い、または、Crを16
〜25重量%、Niを6〜20重量%、Moを0.5〜4.0重量%含
む平均粒径15μm以下のステンレス鋼粉を用い、該鋼粉
に結合剤を添加混合して成形した後、該成形体中の結合
剤を非酸化性雰囲気中で加熱して除去し、成形体中のC/
Oモル比を0.3〜3.0とし、続いて、温度1000〜1350℃、
圧力30Torr以下の減圧下で焼結し、さらに、温度1200〜
1400℃で、N2を含む(不活性)混合ガス雰囲気中で焼結
する方法である。
なお、原料としてMoを0.5〜4.0重量%を含む鋼粉を用い
る後者の方法では、一層好ましい特性の焼結体が得られ
る。
る後者の方法では、一層好ましい特性の焼結体が得られ
る。
本発明の方法において、原料鋼粉中のCr、Ni量を規定す
るのは、本発明の焼結体を得るために必要だからであ
る。
るのは、本発明の焼結体を得るために必要だからであ
る。
用いる鋼粉の平均粒径は、15μm以下とし、詳細につい
ては、すでに[1]で述べたものと同様である。
ては、すでに[1]で述べたものと同様である。
次に、原料に結合剤を添加した後、成形を行い、成形
後、結合剤を除去した後焼結を行う。
後、結合剤を除去した後焼結を行う。
結合剤添加、成形、結合剤の除去については、すでに
[1]で詳述した。
[1]で詳述した。
焼結は、2段階によって構成されており、第1段階目
は、被焼結体に含有される酸化物と固溶炭素との還元、
脱炭同時反応を促進し、かつCr蒸散を抑制することに主
眼を置き、第2段階目は、第1段階目で不可避的に起っ
た焼結体表面部のCr濃度低下の修復、焼結緻密化の促進
および焼結体の窒素化に主眼を置くものである。
は、被焼結体に含有される酸化物と固溶炭素との還元、
脱炭同時反応を促進し、かつCr蒸散を抑制することに主
眼を置き、第2段階目は、第1段階目で不可避的に起っ
た焼結体表面部のCr濃度低下の修復、焼結緻密化の促進
および焼結体の窒素化に主眼を置くものである。
第1段目の焼結は、[1]で述べたものと同様であり、
温度1000〜1350℃、圧力30Torr以下の条件で行う。
温度1000〜1350℃、圧力30Torr以下の条件で行う。
1000℃未満では、還元、脱炭反応速度が遅く、低C、低
Oの焼結体を得るのに長時間を要し、1350℃を超えると
Crの蒸発が著しいので、1000〜1350℃の範囲が好まし
い。
Oの焼結体を得るのに長時間を要し、1350℃を超えると
Crの蒸発が著しいので、1000〜1350℃の範囲が好まし
い。
また、真空排気のみを行う真空加熱炉で焼結する場合
は、0.1Torrを超えると、真空排気と非酸化性ガスの導
入とを同時に行う真空加熱炉で焼結する場合は、30Torr
を超えると、Cr酸化物の還元、脱炭の同時反応が効率的
に進行しないので、前者の場合は、0.1Torr以下が、後
者の場合は、30Torr以下が好ましい。
は、0.1Torrを超えると、真空排気と非酸化性ガスの導
入とを同時に行う真空加熱炉で焼結する場合は、30Torr
を超えると、Cr酸化物の還元、脱炭の同時反応が効率的
に進行しないので、前者の場合は、0.1Torr以下が、後
者の場合は、30Torr以下が好ましい。
第2段目の焼結は、窒素を含む非酸化性混合ガス雰囲気
中、1200℃〜1400℃で焼結する。ここで、高窒素化、高
密度化およびCr濃度分布の均一化を達成する。
中、1200℃〜1400℃で焼結する。ここで、高窒素化、高
密度化およびCr濃度分布の均一化を達成する。
1200℃未満では、焼結体密度比の向上が顕著ではなく、
また、前段階の真空焼結時に生成した焼結体表面の低Cr
部を、焼結体内部からのCr原子の拡散により修復するこ
とが、効率よく行えない。一方、1400℃を超えると、一
部が融解して形状が崩れることも多く、所定の製品を得
ることができない。従って、1200〜1400℃が好ましい。
また、前段階の真空焼結時に生成した焼結体表面の低Cr
部を、焼結体内部からのCr原子の拡散により修復するこ
とが、効率よく行えない。一方、1400℃を超えると、一
部が融解して形状が崩れることも多く、所定の製品を得
ることができない。従って、1200〜1400℃が好ましい。
また、この工程は、N2を含む(不活性)混合ガス雰囲気
中で行うが、混合ガス中のN2は、体積%が10〜90%が好
ましい。
中で行うが、混合ガス中のN2は、体積%が10〜90%が好
ましい。
10%未満では、焼結体の高窒素化が達成されにくいため
に耐孔食性が十分達成されず、90%を超えると、窒素が
多量に含有され、Cr窒化物が生成するため、低Cr帯が生
じ、耐食性が劣化する。
に耐孔食性が十分達成されず、90%を超えると、窒素が
多量に含有され、Cr窒化物が生成するため、低Cr帯が生
じ、耐食性が劣化する。
[3] 本発明の耐食性に優れた焼結合金鋼は、 本発明の製造方法により製造されるもので、 Cr:18〜28重量%、 Ni:4〜12重量%、 C :≦0.06重量%、 O :≦0.7重量% を含有し、 残部Feと不可避不純物とからなる組成を有し、密度比が
92%以上、組成内に存在する気孔の最大径が20μm以
下、かつ焼結のままで焼結体表面のCr濃度が焼結体内部
のCr濃度の80%以上である。
92%以上、組成内に存在する気孔の最大径が20μm以
下、かつ焼結のままで焼結体表面のCr濃度が焼結体内部
のCr濃度の80%以上である。
また、本発明の他の耐食性に優れた焼結合金鋼は、Cr、
Ni、CおよびOの上記組成にさらに Mo:0.5〜4.0重量%および/または N :0.05〜0.3重量% を含有し、残部Feと不可避的不純物とからなる組成を有
し、密度比が92%以上、気孔の最大径20μm以下、かつ
焼結のままで焼結体表面のCr濃度が焼結体内のCr濃度の
80%以上である。
Ni、CおよびOの上記組成にさらに Mo:0.5〜4.0重量%および/または N :0.05〜0.3重量% を含有し、残部Feと不可避的不純物とからなる組成を有
し、密度比が92%以上、気孔の最大径20μm以下、かつ
焼結のままで焼結体表面のCr濃度が焼結体内のCr濃度の
80%以上である。
以下に、本発明において、焼結合金鋼の主成分として、
Cr、Ni、Mo、C、O、Nを規定する理由を説明する。こ
れらいずれの元素も、耐食性を左右する重要な元素であ
る。
Cr、Ni、Mo、C、O、Nを規定する理由を説明する。こ
れらいずれの元素も、耐食性を左右する重要な元素であ
る。
本発明においてCr濃度は18〜28重量%と規定する。
これは、Cr濃度が高い程、優れた耐食性が達成される
が、その含有量が18重量%未満では所望の耐食性が得ら
れない。一方28重量%を越えて含有した場合には、経済
性が損なわれるばかりでなく、シグマ相による脆化問題
等が生じ好ましくない。
が、その含有量が18重量%未満では所望の耐食性が得ら
れない。一方28重量%を越えて含有した場合には、経済
性が損なわれるばかりでなく、シグマ相による脆化問題
等が生じ好ましくない。
Niは、オーステナイト相を生成させるために有効な元素
であり、本発明の2相ステンレス鋼の組成を成形させる
適正な範囲として、本発明において、含有量を4〜12重
量%と定めた。
であり、本発明の2相ステンレス鋼の組成を成形させる
適正な範囲として、本発明において、含有量を4〜12重
量%と定めた。
4重量%未満では、フェライト相単相となり、2相ステ
ンレス鋼とならず、一方、12重量%を越えて含有しても
それ以上の顕著な効果はみられず経済性からも好ましく
ない。
ンレス鋼とならず、一方、12重量%を越えて含有しても
それ以上の顕著な効果はみられず経済性からも好ましく
ない。
Cの含有量は低いほど耐食性は向上するのは周知の通り
である。0.06重量%超えて含有した場合、液相が出現す
ることによって気孔が粗大化したり(Fe、Cr)Cの炭化
物が生成することによって、低Cr帯が生じて耐食性が劣
化するので不適である。
である。0.06重量%超えて含有した場合、液相が出現す
ることによって気孔が粗大化したり(Fe、Cr)Cの炭化
物が生成することによって、低Cr帯が生じて耐食性が劣
化するので不適である。
また、Oの含有量は低いほど、緻密化が容易に進み焼結
密度が高くなり、その結果、耐食性は向上する。しか
し、0.3重量%を超えてOを含有する場合は、Cr系酸化
物が生成し、焼結が阻害され、高密度が得られず、その
結果耐食性を劣化させる。従って、O含有量の上限は0.
3重量%とするのが好ましい。
密度が高くなり、その結果、耐食性は向上する。しか
し、0.3重量%を超えてOを含有する場合は、Cr系酸化
物が生成し、焼結が阻害され、高密度が得られず、その
結果耐食性を劣化させる。従って、O含有量の上限は0.
3重量%とするのが好ましい。
但し、Cr酸化物の存在に起因する密度低下が著しくない
場合、O含有量の増加に伴う直接的な耐食性の劣化は、
極端なものでは無いため、用途によっては、必要な耐食
性を確保できる。また、焼結体のC、Oの低減は、 C+O→COまたはC+2O→CO2 の反応で進行し、その反応速度はC重量%とO重量%と
の積に比例する。そのため、耐食性を極端に劣化させる
原因となるC含有量を0.06重量%以下にするのに必要な
反応時間は、最終焼結体のO含有量の許容値を高くする
ことで短縮できる。したがって、耐食性の要求レベルが
極端に高くない場合は、経済的な観点より、含有O量は
0.3%を超えることが好ましい。しかし、含有O量が、
0.7重量%を超えると、耐食性劣化が著しいため、含有
O量の上限を0.7重量%とした。
場合、O含有量の増加に伴う直接的な耐食性の劣化は、
極端なものでは無いため、用途によっては、必要な耐食
性を確保できる。また、焼結体のC、Oの低減は、 C+O→COまたはC+2O→CO2 の反応で進行し、その反応速度はC重量%とO重量%と
の積に比例する。そのため、耐食性を極端に劣化させる
原因となるC含有量を0.06重量%以下にするのに必要な
反応時間は、最終焼結体のO含有量の許容値を高くする
ことで短縮できる。したがって、耐食性の要求レベルが
極端に高くない場合は、経済的な観点より、含有O量は
0.3%を超えることが好ましい。しかし、含有O量が、
0.7重量%を超えると、耐食性劣化が著しいため、含有
O量の上限を0.7重量%とした。
また、Moは、耐食性、耐酸化性改善に最も有効で、さら
に生地中への固溶強化によって機械的特性の向上にも有
利な元素である。
に生地中への固溶強化によって機械的特性の向上にも有
利な元素である。
本発明に於いて、Moは、0.5〜4.0重量%含有するのがよ
い。0.5重量%未満では、所望の耐食性が得られず、ま
た4.0重量%超ではシグマ脆性、475℃脆性等の問題が生
じるため好ましくない。
い。0.5重量%未満では、所望の耐食性が得られず、ま
た4.0重量%超ではシグマ脆性、475℃脆性等の問題が生
じるため好ましくない。
また、NはNiとともにオーステナイトフォーマーの元素
であり、本発明における2相ステンレス鋼の安定化に際
し、必要の場合は適正な範囲内で含有してもよい。0.05
重量%未満ではオーステナイト生成が不充分であり、一
方0.3重量%を越えて含有した場合には、窒化物を生成
し、耐食性を損ねることになるので好ましくない。
であり、本発明における2相ステンレス鋼の安定化に際
し、必要の場合は適正な範囲内で含有してもよい。0.05
重量%未満ではオーステナイト生成が不充分であり、一
方0.3重量%を越えて含有した場合には、窒化物を生成
し、耐食性を損ねることになるので好ましくない。
焼結密度比92%以上、気孔の最大径20μm以下および焼
結のままの焼結体表面のCr含有量が焼結体内部のCr含有
量の80%以上であることは前述のとおりであり、この理
由についてもすでに述べたとおりである。
結のままの焼結体表面のCr含有量が焼結体内部のCr含有
量の80%以上であることは前述のとおりであり、この理
由についてもすでに述べたとおりである。
次に、本発明の耐食性に優れた焼結合金鋼の好ましい製
造方法を説明する。
造方法を説明する。
Crを18〜28重量%、Niを4〜12重量%含む平均粒径15μ
m以下のステンレス鋼粉を用い、または、Crを18〜28重
量%、Niを4〜12重量%、Moを0.5〜4.0重量%含む平均
粒径15μm以下のステンレス鋼粉を用い、該鋼粉に結合
剤を添加混合して成形した後、該成形体中の結合剤を非
酸化性雰囲気中で加熱して除去し、続いて、温度1000〜
1350℃、圧力30Torr以下の減圧下で焼結し、さらに、温
度1200〜1350℃で非酸化性雰囲気中で焼結する方法であ
る。
m以下のステンレス鋼粉を用い、または、Crを18〜28重
量%、Niを4〜12重量%、Moを0.5〜4.0重量%含む平均
粒径15μm以下のステンレス鋼粉を用い、該鋼粉に結合
剤を添加混合して成形した後、該成形体中の結合剤を非
酸化性雰囲気中で加熱して除去し、続いて、温度1000〜
1350℃、圧力30Torr以下の減圧下で焼結し、さらに、温
度1200〜1350℃で非酸化性雰囲気中で焼結する方法であ
る。
なお、原料としてMoを0.5〜4.0重量%を含む鋼粉を用い
る後者の方法では、一層好ましい特性の焼結体が得られ
る。
る後者の方法では、一層好ましい特性の焼結体が得られ
る。
本発明の方法において、原料鋼粉中のCr、Ni量を規定す
るのは、本発明の焼結体を得るために必要だからであ
る。
るのは、本発明の焼結体を得るために必要だからであ
る。
用いる鋼粉の平均粒径は、15μm以下とし、詳細につい
ては、すでに[1]で述べたものと同様である。
ては、すでに[1]で述べたものと同様である。
次に、原料に結合剤を添加した後、成形を行い、成形
後、結合剤を除去した後焼結を行う。
後、結合剤を除去した後焼結を行う。
結合剤の添加、成形、結合剤の除去については、すでに
[1]で詳述した。
[1]で詳述した。
焼結は、すでに[1]で詳述したものと同様であり、2
段階によって構成されており、第1段階目は、被焼結体
に含有される酸化物と固溶炭素との還元、脱炭同時反応
を促進し、かつCr蒸散を抑制することに主眼を置き、第
2段階目は、第1段階目で不可避的に起った焼結体表面
部のCr濃度低下の修復および焼結緻密化の促進に主眼を
置くものである。
段階によって構成されており、第1段階目は、被焼結体
に含有される酸化物と固溶炭素との還元、脱炭同時反応
を促進し、かつCr蒸散を抑制することに主眼を置き、第
2段階目は、第1段階目で不可避的に起った焼結体表面
部のCr濃度低下の修復および焼結緻密化の促進に主眼を
置くものである。
第1段目の焼結は、温度1000〜1350℃、圧力30Torr以下
の条件で行う。
の条件で行う。
1000℃未満では、還元、脱炭反応速度が遅く、低C、低
Oの焼結体を得るのに長時間を要し、1350℃を超える
と、焼結緻密化が速く、COガスの拡散が妨げられるた
め、還元、脱炭反応が効率よく進行しないばかりか、Cr
の蒸発が著しいため、1000〜1350℃の範囲が好ましい。
Oの焼結体を得るのに長時間を要し、1350℃を超える
と、焼結緻密化が速く、COガスの拡散が妨げられるた
め、還元、脱炭反応が効率よく進行しないばかりか、Cr
の蒸発が著しいため、1000〜1350℃の範囲が好ましい。
また、真空排気のみを行う真空加熱炉で焼結する場合
は、0.1Torrを超えると、真空排気と非酸化性ガスの導
入とを同時に行う真空加熱炉で焼結する場合は、30Torr
を超えると、Cr酸化物の還元、脱炭の同時反応が効率的
に進行しないので、前者の場合は、0.1Torr以下が、後
者の場合は、30Torr以下が好ましい。
は、0.1Torrを超えると、真空排気と非酸化性ガスの導
入とを同時に行う真空加熱炉で焼結する場合は、30Torr
を超えると、Cr酸化物の還元、脱炭の同時反応が効率的
に進行しないので、前者の場合は、0.1Torr以下が、後
者の場合は、30Torr以下が好ましい。
第2段目の焼結は、不活性ガスもしくはN2を含む不活性
混合ガス雰囲気中、1200〜1350℃で焼結する。ここで、
高密度化およびCr濃度分布の均一化を達成する。
混合ガス雰囲気中、1200〜1350℃で焼結する。ここで、
高密度化およびCr濃度分布の均一化を達成する。
1200℃未満では、焼結体密度比の向上が顕著ではなく、
また、前段階の真空焼結時に生成した焼結体表面の低Cr
部を、焼結体内部からのCr原子の拡散により修復するこ
とが、効率よく行えない。一方、1350℃を超えると、一
部が融解して形状が崩れることも多く、所定の製品を得
ることができない。従って、1200〜1350℃が好ましい。
また、前段階の真空焼結時に生成した焼結体表面の低Cr
部を、焼結体内部からのCr原子の拡散により修復するこ
とが、効率よく行えない。一方、1350℃を超えると、一
部が融解して形状が崩れることも多く、所定の製品を得
ることができない。従って、1200〜1350℃が好ましい。
減圧下で焼結後、不活性ガスもしくはN2を含む不活性混
合ガス雰囲気で焼結することにより、十分な耐食性を得
ることができるが、不活性ガスもしくはN2を含む不活性
混合ガス雰囲気下で焼結した後、必要な場合は、 (1) 900〜300℃間を2時間以下で冷却する。
合ガス雰囲気で焼結することにより、十分な耐食性を得
ることができるが、不活性ガスもしくはN2を含む不活性
混合ガス雰囲気下で焼結した後、必要な場合は、 (1) 900〜300℃間を2時間以下で冷却する。
(2) ひきつづき900〜1200℃で1分以上保持した
後、900〜300℃間を2時間以下で冷却する。
後、900〜300℃間を2時間以下で冷却する。
(3) 冷却した後、900〜1200℃に再加熱した後、900
〜300℃を2時間以下で冷却することにより、より優れ
た耐食性を得ることができる。
〜300℃を2時間以下で冷却することにより、より優れ
た耐食性を得ることができる。
以上のように焼結することによって本発明の耐食性およ
び機械的特性に優れる焼結体が得られる。
び機械的特性に優れる焼結体が得られる。
[4] 本発明の耐食性に優れた焼結合金鋼は、 本発明の製造方法により製造されるもので、 Cr:13〜25重量%、 C :0.04重量%以下、 O :0.7重量%以下を含み、 残部Feと不可避的不純物元素とからなる組成で、フェラ
イト相の単相組織を有し、かつ密度比が92%以上、組織
内に残留する気孔の最大径が20μm以下、焼結のままの
焼結体表面のCr濃度が焼結体中心部のCr濃度の80%以上
である。
イト相の単相組織を有し、かつ密度比が92%以上、組織
内に残留する気孔の最大径が20μm以下、焼結のままの
焼結体表面のCr濃度が焼結体中心部のCr濃度の80%以上
である。
また、本発明の他の耐食性に優れた焼結合金鋼は、 本発明の製造方法により製造されるもので、 Cr:13〜25重量%、 Mo:10重量%以下、 C :0.04重量%以下、 O :0.7重量%以下を含み、 残部Feと不可避的不純物元素とからなる組成で、フェラ
イト相の単相組織を有し、かつ密度比が92%以上、組織
内に残留する気孔の最大径が20μm以下、焼結体表面の
Cr濃度が焼結体中心部のCr濃度の80%以上である。
イト相の単相組織を有し、かつ密度比が92%以上、組織
内に残留する気孔の最大径が20μm以下、焼結体表面の
Cr濃度が焼結体中心部のCr濃度の80%以上である。
本発明において焼結合金鋼組成中のCr、Mo、C、Oを規
定したのは、これらのいずれの元素も耐食性を左右する
重要な元素と考えられるからである。
定したのは、これらのいずれの元素も耐食性を左右する
重要な元素と考えられるからである。
Cr:Crは高いほど耐食性は向上するが、その含有量が13
重量%未満では、Fe-Cr状態図より焼結温度(1000〜135
0℃)において、γループ内にあり、α相焼結を阻害し
高密度化がなされない。その上、耐食性が損なわれるた
めに下限を13重量%とした。
重量%未満では、Fe-Cr状態図より焼結温度(1000〜135
0℃)において、γループ内にあり、α相焼結を阻害し
高密度化がなされない。その上、耐食性が損なわれるた
めに下限を13重量%とした。
一方、25重量%を超えて添加しても、それ以上の顕著な
効果の向上は認められず、コストの点で不利となる。さ
らに、Cr含有量が高いと、シグマ脆性、475℃脆性とい
った問題が生ずるために上限を25重量%とした。
効果の向上は認められず、コストの点で不利となる。さ
らに、Cr含有量が高いと、シグマ脆性、475℃脆性とい
った問題が生ずるために上限を25重量%とした。
C:Cは、その含有量が低いほど耐食性は向上する。含有
量が0.04重量%を超えると、液相が出現して気孔が粗大
化したり、FeやCrの炭化物が生成されるために低Cr帯が
生じ、耐食性は劣化する。
量が0.04重量%を超えると、液相が出現して気孔が粗大
化したり、FeやCrの炭化物が生成されるために低Cr帯が
生じ、耐食性は劣化する。
O:Oは、低いほど緻密化が容易に進み焼結密度が高くな
り、その結果、耐食性は向上する。しかし、0.3重量%
を超えてOを含有する場合は、Cr系酸化物が生成し、焼
結が阻害され、高密度が得られず、その結果耐食性を劣
化させる。
り、その結果、耐食性は向上する。しかし、0.3重量%
を超えてOを含有する場合は、Cr系酸化物が生成し、焼
結が阻害され、高密度が得られず、その結果耐食性を劣
化させる。
但し、Cr酸化物の存在に起因する密度低下が著しくない
場合、O含有量の増加に伴う直接的な耐食性の劣化は、
極端なものでは無いため、用途によっては、必要な耐食
性を確保できる。また、焼結体のC、Oの低減は、 C+O→COまたはC+2O→CO2 の反応で進行し、その反応速度はC重量%とO重量%と
の積に比例する。そのため、耐食性を極端に劣化させる
原因となるC含有量を0.04重量%以下にするのに必要な
反応時間は、最終焼結体のO含有量の許容値を高くする
ことで短縮できる。したがって、耐食性の要求レベルが
極端に高くない場合は、経済的な観点より、含有O量は
0.3%を超えてもよい。
場合、O含有量の増加に伴う直接的な耐食性の劣化は、
極端なものでは無いため、用途によっては、必要な耐食
性を確保できる。また、焼結体のC、Oの低減は、 C+O→COまたはC+2O→CO2 の反応で進行し、その反応速度はC重量%とO重量%と
の積に比例する。そのため、耐食性を極端に劣化させる
原因となるC含有量を0.04重量%以下にするのに必要な
反応時間は、最終焼結体のO含有量の許容値を高くする
ことで短縮できる。したがって、耐食性の要求レベルが
極端に高くない場合は、経済的な観点より、含有O量は
0.3%を超えてもよい。
しかし、含有O量が、0.7重量%を超えると、耐食性劣
化が著しいため、含有O量の上限を0.7重量%とした。
化が著しいため、含有O量の上限を0.7重量%とした。
Mo:Moは、耐食性、耐酸化性改善に最も有効で、さらに
生地中への固溶強化によって機械的特性の向上にも有利
な元素である。しかし、10重量%を超えた場合にはシグ
マ脆性、475℃脆性といった問題が生ずるため上限を10
重量%と定めた。
生地中への固溶強化によって機械的特性の向上にも有利
な元素である。しかし、10重量%を超えた場合にはシグ
マ脆性、475℃脆性といった問題が生ずるため上限を10
重量%と定めた。
なお、上記の通り、Moは耐食性、耐酸化性改善に有効な
金属であるから、Moを含有する焼結合金鋼は、より耐食
性、耐酸化性に優れる。
金属であるから、Moを含有する焼結合金鋼は、より耐食
性、耐酸化性に優れる。
焼結密度比92%以上、気孔の最大径20μm以下および焼
結体表面のCr含有量が焼結体内部のCr含有量の80%以上
であることは前述のとおりであり、この理由についても
すでに述べたとおりである。
結体表面のCr含有量が焼結体内部のCr含有量の80%以上
であることは前述のとおりであり、この理由についても
すでに述べたとおりである。
次に、上記焼結合金鋼の製造方法の1例について説明す
る。
る。
即ち、Crを13〜25重量%含む平均粒径15μm以下の合金
鋼粉を用い、または、Crを13〜25重量%、Moを10重量%
以下含む平均粒径15μm以下の合金鋼粉を用い、該鋼粉
に結合剤を添加混合して成形した後、該成形体中の結合
剤を非酸化性雰囲気中で加熱して除去し、成形体中のC/
Oモル比を0.3〜3.0とし、続いて、温度1000〜1350℃、3
0Torr以下の真空中で焼結し、さらに、温度1200〜1350
℃、常圧、不活性ガスもしくはN2を含む不活性混合ガス
雰囲気中で焼結する方法である。
鋼粉を用い、または、Crを13〜25重量%、Moを10重量%
以下含む平均粒径15μm以下の合金鋼粉を用い、該鋼粉
に結合剤を添加混合して成形した後、該成形体中の結合
剤を非酸化性雰囲気中で加熱して除去し、成形体中のC/
Oモル比を0.3〜3.0とし、続いて、温度1000〜1350℃、3
0Torr以下の真空中で焼結し、さらに、温度1200〜1350
℃、常圧、不活性ガスもしくはN2を含む不活性混合ガス
雰囲気中で焼結する方法である。
なお、原料としてMoを10重量%以下含む鋼粉を用いる後
者の方法では、一層、好ましい特性の焼結体が得られ
る。
者の方法では、一層、好ましい特性の焼結体が得られ
る。
用いる鋼粉の平均粒径は、15μm以下とし、詳細につい
ては、すでに[1]で述べたものと同様である。
ては、すでに[1]で述べたものと同様である。
次に、原料に結合剤を添加した後、成形を行い、成形
後、結合剤を除去した後焼結を行う。
後、結合剤を除去した後焼結を行う。
結合剤の添加、成形、結合剤の除去については、すでに
[1]で詳述した。
[1]で詳述した。
焼結は、すでに[1]で詳述したものと同様であり、2
段階によって構成されており、第1段階目は、被焼結体
に含有される酸化物と固溶炭素との還元、脱炭同時反応
を促進し、かつCr蒸散を抑制することに主眼を置き、第
2段階目は、第1段階目で不可避的に起った焼結体表面
部のCr濃度低下の修復および焼結緻密化の促進に主眼を
置くものである。
段階によって構成されており、第1段階目は、被焼結体
に含有される酸化物と固溶炭素との還元、脱炭同時反応
を促進し、かつCr蒸散を抑制することに主眼を置き、第
2段階目は、第1段階目で不可避的に起った焼結体表面
部のCr濃度低下の修復および焼結緻密化の促進に主眼を
置くものである。
第1段目の焼結は、温度1000〜1350℃、圧力30Torr以下
の条件で行う。
の条件で行う。
1000℃未満では、還元、脱炭反応速度が遅く、低C、低
Oの焼結体を得るのに長時間を要し、1350℃を超える
と、焼結緻密化が速く、COガスの拡散が妨げられるた
め、還元、脱炭反応が効率よく進行しないばかりか、Cr
の蒸発が著しいため、1000〜1350℃の範囲が好ましい。
Oの焼結体を得るのに長時間を要し、1350℃を超える
と、焼結緻密化が速く、COガスの拡散が妨げられるた
め、還元、脱炭反応が効率よく進行しないばかりか、Cr
の蒸発が著しいため、1000〜1350℃の範囲が好ましい。
また、真空排気のみを行う真空加熱炉で焼結する場合
は、0.1Torrを超えると、真空排気と非酸化性ガスの導
入とを同時に行う真空加熱炉で焼結する場合は、30Torr
を超えると、Cr酸化物の還元、脱炭の同時反応が効率的
に進行しないので、前者の場合は、0.1Torr以下が、後
者の場合は、30Torr以下が好ましい。
は、0.1Torrを超えると、真空排気と非酸化性ガスの導
入とを同時に行う真空加熱炉で焼結する場合は、30Torr
を超えると、Cr酸化物の還元、脱炭の同時反応が効率的
に進行しないので、前者の場合は、0.1Torr以下が、後
者の場合は、30Torr以下が好ましい。
第2段目の焼結は、不活性ガスもしくはN2を含む不活性
混合ガス雰囲気中、1200〜1350℃で焼結する。ここで、
高密度化およびCr濃度分布の均一化を達成する。
混合ガス雰囲気中、1200〜1350℃で焼結する。ここで、
高密度化およびCr濃度分布の均一化を達成する。
1200℃未満では、焼結体密度化の向上が顕著ではなく、
また、前段階の真空焼結時に生成した焼結体表面の低Cr
部を、焼結体内部からのCr原子の拡散により修復するこ
とが、効率よく行なえない。一方、1350℃を超えると、
一部が融解して形状が崩れることも多く、所定の製品を
得ることができない。従って、1200〜1350℃が好まし
い。
また、前段階の真空焼結時に生成した焼結体表面の低Cr
部を、焼結体内部からのCr原子の拡散により修復するこ
とが、効率よく行なえない。一方、1350℃を超えると、
一部が融解して形状が崩れることも多く、所定の製品を
得ることができない。従って、1200〜1350℃が好まし
い。
減圧下で焼結後、不活性ガスもしくはN2を含む不活性混
合ガス雰囲気で焼結することにより、十分な耐食性を得
ることができるが、不活性ガスもしくはN2を含む不活性
混合ガス雰囲気下で焼結した後、必要な場合は、 (1) 900〜300℃間を2時間以下で冷却する。
合ガス雰囲気で焼結することにより、十分な耐食性を得
ることができるが、不活性ガスもしくはN2を含む不活性
混合ガス雰囲気下で焼結した後、必要な場合は、 (1) 900〜300℃間を2時間以下で冷却する。
(2) ひきつづき900〜1200℃で1分以上保持した
後、900〜300℃間を2時間以下で冷却する。
後、900〜300℃間を2時間以下で冷却する。
(3) 冷却した後、900〜1200℃に再加熱した後、900
〜300℃を2時間以下で冷却することにより、より優れ
た耐食性を得ることができる。
〜300℃を2時間以下で冷却することにより、より優れ
た耐食性を得ることができる。
〈実施例〉 以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は
これらに限定されない。
これらに限定されない。
(実施例1〜6、比較例1〜7) 原料粉末として、 Cr:12〜28重量% Ni:5〜26重量% Mo:0〜12重量% C :≦0.05重量% O :0.2〜1.0重量% の組成を有する水アトマイズ鋼粉を用意した。
分級によって平均粒径を8μmに調整し、これに熱可塑
性樹脂とワックスを添加混合し、加圧ニーダを用いて混
練した。この時の混合比は重量比で9:1とした。成形体
の試料寸法および形状は、 長さ:40mm 幅 :20mm 厚さ:3mm の直方体で、射出成形機を用いて成形した。
性樹脂とワックスを添加混合し、加圧ニーダを用いて混
練した。この時の混合比は重量比で9:1とした。成形体
の試料寸法および形状は、 長さ:40mm 幅 :20mm 厚さ:3mm の直方体で、射出成形機を用いて成形した。
次に窒素雰囲気中で昇温速度10℃/hで600℃まで加熱し
て、その成形体中のC/Oモル比が1.0〜2.0になるように
結合剤を除去した。それを真空中(<10-3Torr)で1時
間以上焼結し、続いて常圧のArガス雰囲気中、1300℃で
3時間保持した。
て、その成形体中のC/Oモル比が1.0〜2.0になるように
結合剤を除去した。それを真空中(<10-3Torr)で1時
間以上焼結し、続いて常圧のArガス雰囲気中、1300℃で
3時間保持した。
冷却後、アルキメデス法による密度および真密度から密
度比を求め、また、焼結体のC、O量を分析した。他に
耐食性を評価するために、人工汗中に24時間放置し、そ
の後発錆があるかどうか、実体顕微鏡で確認した。錆が
全く見られない場合を良好、少しでも錆が見られたり変
色した場合を発錆とした。
度比を求め、また、焼結体のC、O量を分析した。他に
耐食性を評価するために、人工汗中に24時間放置し、そ
の後発錆があるかどうか、実体顕微鏡で確認した。錆が
全く見られない場合を良好、少しでも錆が見られたり変
色した場合を発錆とした。
最大気孔径(Dmax)は、焼結体を樹脂に埋め込み、研磨
した後、光学顕微鏡で観察し、画像処理を行い、次式に
よって算出した。
した後、光学顕微鏡で観察し、画像処理を行い、次式に
よって算出した。
ここで、Smax:最大気孔断面積を有する気孔の断面積で
ある。
ある。
焼結合金鋼内の合金成分の濃度分布は、上記と同一試料
を用いて、焼結体の断面を焼結体表面から中心までEPMA
の線分析により求めた。またCrその他の元素について濃
度分布を調べた。
を用いて、焼結体の断面を焼結体表面から中心までEPMA
の線分析により求めた。またCrその他の元素について濃
度分布を調べた。
その結果を第1表に示す。
第1表から分るように、実施例1〜6では組成が、 Cr:16〜25重量% Ni:8〜24重量% C:≦0.06重量% O:≦0.3重量% であり、さらにMoを含むものでは、 Mo:≦10重量% であり、密度比92%以上で、最大気孔径が20μm以下で
合金元素が均一な濃度分布をしているため、人工汗試験
の腐食試験で全く錆が見られず変色もなく健全な焼結体
が得られた。
合金元素が均一な濃度分布をしているため、人工汗試験
の腐食試験で全く錆が見られず変色もなく健全な焼結体
が得られた。
一方、比較例1〜7は合金元素量が規定外にあるか、あ
るいは液相焼結により密度は上がっているが、Cが0.06
重量%を上廻り気孔も壮大化しているので人工汗試験で
多数の錆が見られた。また、Oが0.3重量%より大きい
ものでは酸化物による焼結阻害で、密度比が92%未満と
なり、最大気孔径も20μmを超えたため耐食性が劣化し
たと考えられる。
るいは液相焼結により密度は上がっているが、Cが0.06
重量%を上廻り気孔も壮大化しているので人工汗試験で
多数の錆が見られた。また、Oが0.3重量%より大きい
ものでは酸化物による焼結阻害で、密度比が92%未満と
なり、最大気孔径も20μmを超えたため耐食性が劣化し
たと考えられる。
比較例2および5はCrまたはMo含有量が多くσ相が析出
したため、耐食性が劣化した。
したため、耐食性が劣化した。
(実施例7〜8、比較例8) 実施例1で用いた原料粉を分級によって平均粒径8μ
m、12μm、18μmの鋼粉に調整した。実施例1と同様
な方法で成形、焼結後、密度比測定と人工汗試験による
耐食性を調べた。その結果を第2表に示す。
m、12μm、18μmの鋼粉に調整した。実施例1と同様
な方法で成形、焼結後、密度比測定と人工汗試験による
耐食性を調べた。その結果を第2表に示す。
この結果、平均粒径8μm、12μmでは焼結密度比92%
以上、最大気孔径20μm以下の試験片が得られた。この
試験片を用いて耐食試験した結果、試験前後で何ら変化
が見られなかった。一方、平均粒径18μmの原料粉を用
いた結果、密度比が91%と低く、最大気孔径は20μmを
超える大きさであり、腐食し易くなり、孔食が発生し多
数の錆が見られた。
以上、最大気孔径20μm以下の試験片が得られた。この
試験片を用いて耐食試験した結果、試験前後で何ら変化
が見られなかった。一方、平均粒径18μmの原料粉を用
いた結果、密度比が91%と低く、最大気孔径は20μmを
超える大きさであり、腐食し易くなり、孔食が発生し多
数の錆が見られた。
(実施例9〜10、比較例9〜10) 実施例1で用いた平均粒径8μmの原料粉を用いて実施
例1と同様な方法で、混練、成形後、結合剤を除去し
た。
例1と同様な方法で、混練、成形後、結合剤を除去し
た。
次に真空中(10-3Torr)で室温から1300℃まで昇温し、
1時間保持後Arガス雰囲気中に変えて2時間保持した
(実施例9)。
1時間保持後Arガス雰囲気中に変えて2時間保持した
(実施例9)。
実施例10は真空中での保持温度を1100℃とした結果を示
す。比較例9、10は真空焼結のみの場合を示す。
す。比較例9、10は真空焼結のみの場合を示す。
これらの結果を第3表に示す。
実施例9、実施例10は真空焼結後、Arガス雰囲気で焼結
しているため、焼結体表面のCr含有量が焼結体中心部の
Cr含有量の95%以上で耐食性に優れた焼結体が得られ
た。これは真空焼結により、 C≦0.06重量% O≦0.3重量% とし、続いて1300℃以上の高温で焼結することによって
緻密化が進み密度比92%以上を得ると同時に最大気孔率
は18μmと抑制され、合金元素が均一化したことに起因
していると考えられる。
しているため、焼結体表面のCr含有量が焼結体中心部の
Cr含有量の95%以上で耐食性に優れた焼結体が得られ
た。これは真空焼結により、 C≦0.06重量% O≦0.3重量% とし、続いて1300℃以上の高温で焼結することによって
緻密化が進み密度比92%以上を得ると同時に最大気孔率
は18μmと抑制され、合金元素が均一化したことに起因
していると考えられる。
比較例9は真空焼結温度を1300℃としているため、C、
O量が低いが、真空焼結のみで表面のCr含有量が焼結体
中心部のCr含有量の10%となり、その結果、耐食性が劣
化している。比較例10も真空焼結のみで表面のCr含有量
が低くなり、またC量が高く、液相焼結により高密度化
しているが、高Cのために耐食性が劣化している。
O量が低いが、真空焼結のみで表面のCr含有量が焼結体
中心部のCr含有量の10%となり、その結果、耐食性が劣
化している。比較例10も真空焼結のみで表面のCr含有量
が低くなり、またC量が高く、液相焼結により高密度化
しているが、高Cのために耐食性が劣化している。
(実施例11〜13、比較例11,12) 原料粉末として Cr:18重量% Ni:12重量% Mo:2.5重量% C :≦0.05重量% O :0.5〜1.0重量% の鋼粉を用いて、実施例1と同様な方法で混練、成形
後、結合剤を除去した。次に、湿水素雰囲気中、400〜7
00℃で加熱し、温度の変更によって成形体のC/Oモル比
を調整した。これを真空中(<10-3Torr)で室温から12
00℃まで昇温し、1時間保持後Arガスを装入して3時間
保持した。その結果を第4表に示す。
後、結合剤を除去した。次に、湿水素雰囲気中、400〜7
00℃で加熱し、温度の変更によって成形体のC/Oモル比
を調整した。これを真空中(<10-3Torr)で室温から12
00℃まで昇温し、1時間保持後Arガスを装入して3時間
保持した。その結果を第4表に示す。
第4表から明らかなように焼結体のC、O量はC/Oモル
比に依存しており、すなわち耐食性に影響を及ぼすこと
が分る。
比に依存しており、すなわち耐食性に影響を及ぼすこと
が分る。
実施例11〜13はモル比が0.3〜3.0の範囲にあるので低
C、Oの焼結体が得られた。しかし、比較例11で示され
ているようにモル比が小さいということは成形体のOが
過剰であることを意味しており焼結体においてもOが残
留して、焼結を阻害し、気孔も大きく、高密度が得られ
ず耐食性が劣化した。また、比較例12で示されるように
モル比が大きいということは成形体のCが過剰であるこ
とを意味しており、焼結体においてもCが残留して液相
が出現し、密度は増加したが気孔の粗大化と高C量によ
り耐食性が劣化した。
C、Oの焼結体が得られた。しかし、比較例11で示され
ているようにモル比が小さいということは成形体のOが
過剰であることを意味しており焼結体においてもOが残
留して、焼結を阻害し、気孔も大きく、高密度が得られ
ず耐食性が劣化した。また、比較例12で示されるように
モル比が大きいということは成形体のCが過剰であるこ
とを意味しており、焼結体においてもCが残留して液相
が出現し、密度は増加したが気孔の粗大化と高C量によ
り耐食性が劣化した。
(実施例14〜17、比較例13) 実施例1の成形原料を使用して、長さ:40mm、幅:20mm、
厚さ:8mmの直方体試料を、射出成形した。
厚さ:8mmの直方体試料を、射出成形した。
次に窒素雰囲気中、昇温速度5℃/hで500℃まで加熱し
て脱脂処理を行った。さらに、湿水素雰囲気中、500〜7
00℃で加熱し、C,O量を調節した。つづいて、真空中
(<0.001Torr)、1170℃まで昇温・保持し、さらに、A
rガスを導入、1350℃まで昇温、1時間保持した。1170
℃での保持時間、焼結体のC,O量、密度比、最大気孔
径、濃度分布および人工汗試験の結果を第5表に示す。
て脱脂処理を行った。さらに、湿水素雰囲気中、500〜7
00℃で加熱し、C,O量を調節した。つづいて、真空中
(<0.001Torr)、1170℃まで昇温・保持し、さらに、A
rガスを導入、1350℃まで昇温、1時間保持した。1170
℃での保持時間、焼結体のC,O量、密度比、最大気孔
径、濃度分布および人工汗試験の結果を第5表に示す。
第5表より、O量の0.3wt%を超える焼結体は、24時間
の人工汗試験では発錆が見られるものの、O量の0.7wt
%以下の焼結体である限り、12時間の人工汗試験では発
錆が検出されない。また、O量が高いほど、C量を0.06
wt%以下にするのに必要とする時間は短い(実施例14〜
17、比較例13では、C量が約0.02%程度に減少するまで
の時間を比較した)。したがって、O量が0.3重量%を
超え、0.7重量%の焼結体は、耐食性の極端な劣化のな
い、経済性に優れるものであるといえる。特に、本例の
ように、肉厚の部品の製造においては、C,Oの両方を低
減するには、時間を要するため、耐食性により有害なC
量を0.06重量%以下に低減した、0.3重量%超、0.7重量
%のOを含有する焼結体において、特に経済的である。
の人工汗試験では発錆が見られるものの、O量の0.7wt
%以下の焼結体である限り、12時間の人工汗試験では発
錆が検出されない。また、O量が高いほど、C量を0.06
wt%以下にするのに必要とする時間は短い(実施例14〜
17、比較例13では、C量が約0.02%程度に減少するまで
の時間を比較した)。したがって、O量が0.3重量%を
超え、0.7重量%の焼結体は、耐食性の極端な劣化のな
い、経済性に優れるものであるといえる。特に、本例の
ように、肉厚の部品の製造においては、C,Oの両方を低
減するには、時間を要するため、耐食性により有害なC
量を0.06重量%以下に低減した、0.3重量%超、0.7重量
%のOを含有する焼結体において、特に経済的である。
(実施例18〜25、比較例14,15) 実施例1と同様の成形体を用意し、実施例1と同様の脱
脂処理を行った。焼結においては、第1段目の真空焼結
条件で雰囲気を種々に変更し、1120℃で1時間保持する
ことによって行った。引続き、いずれの場合も、大気圧
のAr中、1320℃で2時間保持して焼結鋼を得た。ただ
し、真空焼結時には、真空排気系のバルブを絞ること、
あるいは、真空排気系はそのままにしてArガスをニード
ルバルブより微量導入することによって、真空度を調整
・制御した。焼結鋼は、実施例1と同様の試験を行っ
た。焼結鋼の焼結条件、密度比、C,O量、最大気孔径、C
r濃度分布、耐食性試験結果を、第6表にまとめた。第
6表において、真空焼結時に、真空排気系のバルブを絞
ることによって真空度を調整した場合は、その圧力を記
し、Arガスの微量導入によって真空度を調整した場合
は、圧力のすぐ後にArと明記した。
脂処理を行った。焼結においては、第1段目の真空焼結
条件で雰囲気を種々に変更し、1120℃で1時間保持する
ことによって行った。引続き、いずれの場合も、大気圧
のAr中、1320℃で2時間保持して焼結鋼を得た。ただ
し、真空焼結時には、真空排気系のバルブを絞ること、
あるいは、真空排気系はそのままにしてArガスをニード
ルバルブより微量導入することによって、真空度を調整
・制御した。焼結鋼は、実施例1と同様の試験を行っ
た。焼結鋼の焼結条件、密度比、C,O量、最大気孔径、C
r濃度分布、耐食性試験結果を、第6表にまとめた。第
6表において、真空焼結時に、真空排気系のバルブを絞
ることによって真空度を調整した場合は、その圧力を記
し、Arガスの微量導入によって真空度を調整した場合
は、圧力のすぐ後にArと明記した。
第6表より明らかなように、真空焼結時においては、真
空排気が不十分で真空度が低下する場合(実施例18,24,
25および比較例15の比較)は、焼結鋼のC,O量は高くな
り、1Torrの真空度(比較例15)では焼結鋼に錆を生
じ、0.1Torr以下の圧力(実施例18,24,25)では、低い
C,O量を確保できるため発錆を生じることはなかった。
一方、十分な真空排気を行い、非酸化性ガスを導入する
場合(実施例19〜23および比較例14)、炉内圧力の30To
rr未満までの上昇においては(実施例19〜23)、幾分か
のC,O量の上昇はみられるものの、発錆を生じることは
なく、30Torrを超えると(比較例14)、C,Oの上昇が著
しくなるため錆を生じた。
空排気が不十分で真空度が低下する場合(実施例18,24,
25および比較例15の比較)は、焼結鋼のC,O量は高くな
り、1Torrの真空度(比較例15)では焼結鋼に錆を生
じ、0.1Torr以下の圧力(実施例18,24,25)では、低い
C,O量を確保できるため発錆を生じることはなかった。
一方、十分な真空排気を行い、非酸化性ガスを導入する
場合(実施例19〜23および比較例14)、炉内圧力の30To
rr未満までの上昇においては(実施例19〜23)、幾分か
のC,O量の上昇はみられるものの、発錆を生じることは
なく、30Torrを超えると(比較例14)、C,Oの上昇が著
しくなるため錆を生じた。
以上のように、真空焼結においては、十分に排気を行
い、0.1Torr以下の圧力とするか、もしくは、非酸化性
ガスを導入する場合は、30Torr未満にすることによる本
発明の製造方法によって、耐食性に優れる焼結鋼が得ら
れるものである。
い、0.1Torr以下の圧力とするか、もしくは、非酸化性
ガスを導入する場合は、30Torr未満にすることによる本
発明の製造方法によって、耐食性に優れる焼結鋼が得ら
れるものである。
(実施例26、比較例16〜18) 原料粉末として、 Cr:14〜29重量%、 Ni:4〜21重量%、 C :0.02〜0.06重量%、 N :0.01〜0.02重量%、 Mo:0または2.2重量% を含み、残部Feおよび不可避的不純物元素とからなる組
成を有する水アトマイズステンレス鋼粉を用意した。こ
れを分級し、平均粒径12μmに調整した後、ポリエチレ
ン4重量%とパラフィンワックス8重量%とを加え、加
圧ニーダを用いて混練した。これを射出温度150℃、射
出圧力1000kg/cm2で射出成形を行い、40mm×20mm×2mm
の成形体とした。
成を有する水アトマイズステンレス鋼粉を用意した。こ
れを分級し、平均粒径12μmに調整した後、ポリエチレ
ン4重量%とパラフィンワックス8重量%とを加え、加
圧ニーダを用いて混練した。これを射出温度150℃、射
出圧力1000kg/cm2で射出成形を行い、40mm×20mm×2mm
の成形体とした。
つぎに、Ar雰囲気中で、10℃/hの昇温速度で600℃まで
昇温し、結合剤を除去した。
昇温し、結合剤を除去した。
さらに、1150℃まで昇温し、圧力10-3Torrで1時間保持
した後、温度を1300℃まで昇温し、N2量15%(他はArで
全圧1atm)の雰囲気中で2時間保持し、焼結体を得た。
した後、温度を1300℃まで昇温し、N2量15%(他はArで
全圧1atm)の雰囲気中で2時間保持し、焼結体を得た。
冷却後、アルキメデス法による密度および真密度より密
度比を求め、また、焼結体中のC、N量をそれぞれ燃焼
赤外線吸収法、不活性ガス融解熱伝導度法によって分析
した。
度比を求め、また、焼結体中のC、N量をそれぞれ燃焼
赤外線吸収法、不活性ガス融解熱伝導度法によって分析
した。
Cr、Ni、Moについては、原料粉末中の組成とほぼ同様で
あるので、特に分析は行わなかった。
あるので、特に分析は行わなかった。
さらに、耐食性の評価、最大気孔径(Dmax)は、実施例
1と同様に測定した。
1と同様に測定した。
結果は、第7表に示した。
(実施例27、比較例19) 原料粉末として、Cr:18.1%、Ni:8.5%、C:0.05%、N:
0.02%を含み、残部Feおよび不可避的不純物元素とから
なる組成を有する水アトマイズステンレス鋼粉で、平均
粒径が8μm、12μmおよび18μmのものを用いた以外
は、実施例26と同様の方法で焼結体を作り、同じく実施
例26に示した各種の試験を行った。
0.02%を含み、残部Feおよび不可避的不純物元素とから
なる組成を有する水アトマイズステンレス鋼粉で、平均
粒径が8μm、12μmおよび18μmのものを用いた以外
は、実施例26と同様の方法で焼結体を作り、同じく実施
例26に示した各種の試験を行った。
結果は、第8表に示した。
(実施例28、比較例20) 原料粉末として、Cr:18.1%、Ni:8.5%、C:0.05%、N:
0.02%を含み、残部Feおよび不可避的不純物元素とから
なる組成を有する水アトマイズステンレス鋼粉を用い、
結合剤除去後の第一段の焼結の温度および圧力を第9表
に示す値とした以外は、実施例26と同様の方法で焼結体
を作り、同じく実施例26に示した各種の試験を行った。
結果は、第9表に示した。
0.02%を含み、残部Feおよび不可避的不純物元素とから
なる組成を有する水アトマイズステンレス鋼粉を用い、
結合剤除去後の第一段の焼結の温度および圧力を第9表
に示す値とした以外は、実施例26と同様の方法で焼結体
を作り、同じく実施例26に示した各種の試験を行った。
結果は、第9表に示した。
(実施例29、比較例21,22) 原料粉末として、Cr:18.1%、Ni:8.5%、C:0.05%、N:
0.02%を含み、残部Feおよび不可避的不純物元素とから
なる組成を有する水アトマイズステンレス鋼粉を用い、
第二段の焼結の温度および窒素ガス分圧を第10表に示す
値とした以外は、実施例26と同様の方法で焼結体を作
り、同じく実施例26に示した各種の試験を行った。
0.02%を含み、残部Feおよび不可避的不純物元素とから
なる組成を有する水アトマイズステンレス鋼粉を用い、
第二段の焼結の温度および窒素ガス分圧を第10表に示す
値とした以外は、実施例26と同様の方法で焼結体を作
り、同じく実施例26に示した各種の試験を行った。
結果は、第10表に示した。
実施例26は、原料鋼粉および得られた焼結体の化学組成
の耐食性に対する影響を検討したものである。
の耐食性に対する影響を検討したものである。
本発明例は、得られた焼結体の化学組成、密度比および
最大気孔径は適当であり、いずれも良好な耐食性を示し
た。一方、比較例は、得られた焼結体の密度比および最
大気孔径は適当であったが、比較例16,18は、耐食性に
有効なCr、Niが少なく、錆が発生した。また、比較例17
は、CrおよびNが過剰であるため、σ相が出現し、ま
た、Cr窒化物が生成したため耐食性が劣化し、錆の発生
があった。
最大気孔径は適当であり、いずれも良好な耐食性を示し
た。一方、比較例は、得られた焼結体の密度比および最
大気孔径は適当であったが、比較例16,18は、耐食性に
有効なCr、Niが少なく、錆が発生した。また、比較例17
は、CrおよびNが過剰であるため、σ相が出現し、ま
た、Cr窒化物が生成したため耐食性が劣化し、錆の発生
があった。
実施例27は、原料鋼粉の平均粒径の耐食性等への影響を
検討したものである。
検討したものである。
本発明例は、平均粒径8μm、12μmの鋼粉を用いたの
で、焼結密度比92%以上、最大気孔径20μm以下の焼結
体が得られた。
で、焼結密度比92%以上、最大気孔径20μm以下の焼結
体が得られた。
そして、いずれも良好な耐食性を示した。
一方、比較例は、平均粒径18μmの鋼粉を用いたので、
密度比が89%と低く、最大気孔径は20μmを超える大き
さとなった。そのために、孔食が発生し、多数の錆が見
られた。
密度比が89%と低く、最大気孔径は20μmを超える大き
さとなった。そのために、孔食が発生し、多数の錆が見
られた。
実施例28は、第一段の焼結条件(温度、圧力)が、焼結
体の化学組成および耐食性等に与える影響を検討したも
のである。
体の化学組成および耐食性等に与える影響を検討したも
のである。
発明例は、得られた焼結体の密度比および最大気孔径は
適当であり、Cが0.05重量%以下、Nが0.05〜0.40重量
%の範囲にあり、良好な耐食性を示した。一方、比較例
は、得られた焼結体の密度比および最大気孔径は適当で
あり、Nは0.05〜0.40重量%の範囲にあったが、Cが0.
05重量%超であるため、Cr炭化物が生成して低Cr帯が生
じていると考えられ、部分的な耐食性低下によると思わ
れる錆の発生があった。
適当であり、Cが0.05重量%以下、Nが0.05〜0.40重量
%の範囲にあり、良好な耐食性を示した。一方、比較例
は、得られた焼結体の密度比および最大気孔径は適当で
あり、Nは0.05〜0.40重量%の範囲にあったが、Cが0.
05重量%超であるため、Cr炭化物が生成して低Cr帯が生
じていると考えられ、部分的な耐食性低下によると思わ
れる錆の発生があった。
実施例29は、第二段の焼結条件(温度、N2分圧)が、焼
結体の化学組成および耐食性等に与える影響を検討した
ものである。
結体の化学組成および耐食性等に与える影響を検討した
ものである。
発明例は、得られた焼結体の密度比および最大気孔径は
適当であり、Cが0.05重量%以下、Nが0.05〜0.40重量
%の範囲にあり、良好な耐食性を示した。一方、比較例
21は、得られた焼結体の密度比および最大気孔径は適当
であり、Cは0.05重量%以下の範囲にあったが、焼結時
のN2分圧が不適当なために、Nが0.05〜0.40重量%の範
囲外である。従って、比較例21では、Cr窒化物が生成し
て低Cr帯が生じていると考えられ、部分的な耐食性低下
によると思われる。比較例22は、焼結温度が低いため
に、得られた焼結体の密度比は91.5%と低く、最大気孔
径は20μmを超える大きさとなった。そのために、孔食
が発生し、多数の錆が見られた。
適当であり、Cが0.05重量%以下、Nが0.05〜0.40重量
%の範囲にあり、良好な耐食性を示した。一方、比較例
21は、得られた焼結体の密度比および最大気孔径は適当
であり、Cは0.05重量%以下の範囲にあったが、焼結時
のN2分圧が不適当なために、Nが0.05〜0.40重量%の範
囲外である。従って、比較例21では、Cr窒化物が生成し
て低Cr帯が生じていると考えられ、部分的な耐食性低下
によると思われる。比較例22は、焼結温度が低いため
に、得られた焼結体の密度比は91.5%と低く、最大気孔
径は20μmを超える大きさとなった。そのために、孔食
が発生し、多数の錆が見られた。
(実施例30) 原料粉末として、Cr:18.1%、Ni:8.5%、C:0.05%、N:
0.02%を含み、残部Feおよび不可避的不純物元素からな
る組成を有する水アトマイズステンレス鋼粉を用い、結
合剤除去後の第1段の焼結温度、第2段の焼結温度、N2
分圧を第11表に示す値とした以外は、実施例26と同様の
方法で焼結体を作り、同じく実施例26に示した各種の試
験を行った。結果を第11表に示す。
0.02%を含み、残部Feおよび不可避的不純物元素からな
る組成を有する水アトマイズステンレス鋼粉を用い、結
合剤除去後の第1段の焼結温度、第2段の焼結温度、N2
分圧を第11表に示す値とした以外は、実施例26と同様の
方法で焼結体を作り、同じく実施例26に示した各種の試
験を行った。結果を第11表に示す。
(実施例31〜36、比較例24〜29) 各原料粉末として、第12表に示す成分・組成を水アトマ
イズ鋼粉として用意をした。
イズ鋼粉として用意をした。
前記鋼粉末とアクリルを主体とする熱可塑性樹脂有機バ
インダとワックスとを9:1の重量比で添加混合し、加圧
ニーダを用いて混練した。
インダとワックスとを9:1の重量比で添加混合し、加圧
ニーダを用いて混練した。
成形体の試料寸法および形状は長さ:40mm、巾20mm,厚さ
3mmの直方体で射出成形機を用いて成形した。
3mmの直方体で射出成形機を用いて成形した。
次に窒素雰囲気中で昇温速度10℃/hで600℃まで加熱し
て、その成形体中のC/Oモル比が1.0〜2.0になるように
結合剤を除去した。それを真空中(<10-3Torr)で、1
時間以上焼結し、続いて常圧のArガス雰囲気中、1300℃
で3時間保持した。さらに、1080℃で30分保持後、水冷
の熱処理を施し、2相ステンレス鋼を作製した。
て、その成形体中のC/Oモル比が1.0〜2.0になるように
結合剤を除去した。それを真空中(<10-3Torr)で、1
時間以上焼結し、続いて常圧のArガス雰囲気中、1300℃
で3時間保持した。さらに、1080℃で30分保持後、水冷
の熱処理を施し、2相ステンレス鋼を作製した。
冷却後、アルキメデス法による密度および真密度から密
度比を求め、また、焼結体のC、O量を分析した。
度比を求め、また、焼結体のC、O量を分析した。
また、耐食性の評価、最大気孔径Dmaxは実施例1と同様
に求めた。
に求めた。
焼結合金鋼内の合金成分の濃度分布は、上記と同一試料
を用いて、焼結体の断面を焼結体表面から中心までEPMA
の線分析により求めた。またCrその他の元素について濃
度分布を調べた。
を用いて、焼結体の断面を焼結体表面から中心までEPMA
の線分析により求めた。またCrその他の元素について濃
度分布を調べた。
その結果を第12表中に示す。
第12表から明らかなように、発明例では、いずれも密度
比92%以上で、最大気孔径が20μm以下で焼結体表面の
Cr濃度が内部のCr濃度の80%以上であるため、人工汗試
験の腐食試験で全く錆がみられず、健全な焼結体が得ら
れた。
比92%以上で、最大気孔径が20μm以下で焼結体表面の
Cr濃度が内部のCr濃度の80%以上であるため、人工汗試
験の腐食試験で全く錆がみられず、健全な焼結体が得ら
れた。
一方、含有量が本発明の範囲外にある比較例では、密度
比が92%未満であったり、発錆が生じてしまい、焼結合
金鋼として不適である。
比が92%未満であったり、発錆が生じてしまい、焼結合
金鋼として不適である。
(実施例37,38、比較例30,31) 実施例31で用いた原料粉を用いて実施例31と同様な方法
で、混練、成形後、結合剤を除去した。
で、混練、成形後、結合剤を除去した。
次に真空中(10-3Torr)で室温から1250℃まで昇温し、
1時間保持後Arガス雰囲気中に変えて1300℃で2時間保
持した(実施例37)。
1時間保持後Arガス雰囲気中に変えて1300℃で2時間保
持した(実施例37)。
実施例38は真空中での保持温度を1100℃とした結果を示
す。比較例30、31は真空焼結のみの場合を示す。
す。比較例30、31は真空焼結のみの場合を示す。
これらの結果を第13表に示す。
実施例37、実施例38は真空焼結後、Arガス雰囲気で焼結
しているため、焼結体表面のCr含有量が焼結体中心部の
Cr含有量の95%以上で耐食性に優れた焼結体が得られ
た。これは真空焼結により、 C≦0.06重量%に、O≦0.3重量%とし、続いて1300℃
以上の高温で焼結することによって緻密化が進み密度比
92%以上を得ると同時に最大気孔率は18μmと抑制さ
れ、合金元素が均一化したことに起因していると考えら
れる。
しているため、焼結体表面のCr含有量が焼結体中心部の
Cr含有量の95%以上で耐食性に優れた焼結体が得られ
た。これは真空焼結により、 C≦0.06重量%に、O≦0.3重量%とし、続いて1300℃
以上の高温で焼結することによって緻密化が進み密度比
92%以上を得ると同時に最大気孔率は18μmと抑制さ
れ、合金元素が均一化したことに起因していると考えら
れる。
比較例30は真空焼結温度を1300℃としているため、C、
O量が低いが、真空焼結のみで表面のCr含有量が焼結体
中心部のCr含有量の10%となり、その結果、耐食性が劣
化している。
O量が低いが、真空焼結のみで表面のCr含有量が焼結体
中心部のCr含有量の10%となり、その結果、耐食性が劣
化している。
比較例31も真空焼結のみで表面のCr含有量が低くなり、
またC量が高く、液相焼結により高密度化しているが、
高Cのために耐食性が劣化している。
またC量が高く、液相焼結により高密度化しているが、
高Cのために耐食性が劣化している。
(実施例39〜42、比較例32〜35) 原料粉末として、 Cr:10〜28重量%、 Mo:0〜12重量%、 C :0.05重量%以下、 O :0.3重量%以下 を含み、残部Feおよび不可避的不純物とからなる組成を
有する水アトマイズ鋼粉を用意した。これを分級し、平
均粒径12μmに調整した後、熱可塑性樹脂とワックスと
を加え、加圧ニーダを用いて混練した。これを、120〜1
60℃、800〜1200kgf/cm2で射出成形を行い、40mm×20mm
×2mmの成形体とした。つぎに、N2雰囲気中で、10℃/h
の昇温速度で600℃まで昇温し、2〜6時間保持して成
形体中のC/Oモル比が0.5〜2.0となるように結合剤を除
去した。さらに、1150℃まで昇温し、圧力10-3Torrで1
時間以上保持した後、温度を1300℃まで昇温し、Ar雰囲
気中で3時間保持し、焼結体を得た。
有する水アトマイズ鋼粉を用意した。これを分級し、平
均粒径12μmに調整した後、熱可塑性樹脂とワックスと
を加え、加圧ニーダを用いて混練した。これを、120〜1
60℃、800〜1200kgf/cm2で射出成形を行い、40mm×20mm
×2mmの成形体とした。つぎに、N2雰囲気中で、10℃/h
の昇温速度で600℃まで昇温し、2〜6時間保持して成
形体中のC/Oモル比が0.5〜2.0となるように結合剤を除
去した。さらに、1150℃まで昇温し、圧力10-3Torrで1
時間以上保持した後、温度を1300℃まで昇温し、Ar雰囲
気中で3時間保持し、焼結体を得た。
冷却後、アルキメデス法による密度および真密度より密
度比を求め、また、焼結体中のC、O量を分析した。
度比を求め、また、焼結体中のC、O量を分析した。
耐食性および最大気孔径(Dmax)は、実施例1と同様に
測定した。
測定した。
焼結合金鋼内の合金成分の濃度分布は、上記と同一試料
を用いて、焼結体の断面を焼結体表面から中心までEPMA
の線分析により求めた。また、Crその他の元素について
濃度分布を調べた。
を用いて、焼結体の断面を焼結体表面から中心までEPMA
の線分析により求めた。また、Crその他の元素について
濃度分布を調べた。
その結果を第14表に示す。
第14表から明らかなように、実施例39〜42は、組成が、
Cr:13〜25重量%、C:0.04重量%以下、O:0.3重量%以下
であり、さらにMoを含むものでは、Mo:10重量%以下で
あり、密度比が92%以上で、最大気孔径が20μm以下
で、合金元素が均一な濃度分布(焼結体表面Cr濃度≧0.
8×焼結体内部Cr濃度)をしているため、人工汗試験の
腐食試験で全く錆が見られず変色もなく健全な焼結体が
得られた。
Cr:13〜25重量%、C:0.04重量%以下、O:0.3重量%以下
であり、さらにMoを含むものでは、Mo:10重量%以下で
あり、密度比が92%以上で、最大気孔径が20μm以下
で、合金元素が均一な濃度分布(焼結体表面Cr濃度≧0.
8×焼結体内部Cr濃度)をしているため、人工汗試験の
腐食試験で全く錆が見られず変色もなく健全な焼結体が
得られた。
一方、比較例32は、Cr含有量が、10重量%であるため、
α相焼結の効果が見られず、密度が十分でなく、最大気
孔径も24μmと大であるため、発錆したと考えられる。
α相焼結の効果が見られず、密度が十分でなく、最大気
孔径も24μmと大であるため、発錆したと考えられる。
比較例33は、Cr含有量が29重量%と過剰であるため、σ
相が析出し、これによって焼結が阻害され、その結果、
高Cとなり発錆したと考えられる。
相が析出し、これによって焼結が阻害され、その結果、
高Cとなり発錆したと考えられる。
比較例34も同時に高Cr、高Moであるため、σ相が析出
し、焼結が阻害され、その結果、発錆したと考えられ
る。
し、焼結が阻害され、その結果、発錆したと考えられ
る。
比較例35は、C量が0.09重量%と高く、液相が生じたた
めに高密度焼結体が得られたが、高C量、最大気孔径が
20μm以上と大となった結果、発錆したと考えられる。
めに高密度焼結体が得られたが、高C量、最大気孔径が
20μm以上と大となった結果、発錆したと考えられる。
(実施例43,44、比較例36、37) 実施例39で用いた平均粒径8μmの原料粉を用いて実施
例39と同様の方法で、混練、成形後、結合剤を除去し
た。
例39と同様の方法で、混練、成形後、結合剤を除去し
た。
次に真空中(10-3Torr)で室温から1200℃まで昇温し、
1時間保持後Arガス雰囲気中に変えて1300℃で2時間保
持した(実施例43)。
1時間保持後Arガス雰囲気中に変えて1300℃で2時間保
持した(実施例43)。
実施例44は真空中での保持温度を1100℃とした結果を示
す。比較例40、41は真空焼結のみの場合を示す。
す。比較例40、41は真空焼結のみの場合を示す。
これらの結果を第15表に示す。
実施例43、実施例44は真空焼結後、Arガス雰囲気で焼結
しているため、焼結体表面のCr含有量が焼結体中心部の
Cr含有量の95%以上で耐食性に優れた焼結体が得られ
た。これは、真空焼結により、 C≦0.04重量%、 O≦0.3重量% とし、続いて1300℃以上の高温で焼結することによって
緻密化が進み、密度比92%以上を得ると同時に最大気孔
率は18μmと抑制され、合金元素が均一化したことに起
因していると考えられる。
しているため、焼結体表面のCr含有量が焼結体中心部の
Cr含有量の95%以上で耐食性に優れた焼結体が得られ
た。これは、真空焼結により、 C≦0.04重量%、 O≦0.3重量% とし、続いて1300℃以上の高温で焼結することによって
緻密化が進み、密度比92%以上を得ると同時に最大気孔
率は18μmと抑制され、合金元素が均一化したことに起
因していると考えられる。
比較例36は真空焼結温度を1300℃としているため、C、
O量が低いが、真空焼結のみで表面のCr含有量が焼結体
中心部のCr含有量の10%となり、その結果、耐食性が劣
化している。比較例37も真空焼結のみで表面のCr含有量
が低くなり、また、C量が高く、液相焼結により高密度
化しているが、高Cのために耐食性が劣化している。
O量が低いが、真空焼結のみで表面のCr含有量が焼結体
中心部のCr含有量の10%となり、その結果、耐食性が劣
化している。比較例37も真空焼結のみで表面のCr含有量
が低くなり、また、C量が高く、液相焼結により高密度
化しているが、高Cのために耐食性が劣化している。
〈発明の効果〉 本発明の焼結合金鋼は、以上のように構成されているの
で、耐食性に優れ、機械的性質に優れた特性を有し、過
酷な条件下における材料として広く使用することができ
る。
で、耐食性に優れ、機械的性質に優れた特性を有し、過
酷な条件下における材料として広く使用することができ
る。
このような焼結合金鋼は、本発明方法を用いて、ステン
レス鋼粉以外に合金鋼粉を添加せず、再圧縮、再焼結の
工程を行うこともなく、特別な装置を必要とせずに、比
較的低い温度での減圧焼結とその後の比較的高温での非
酸化性雰囲気下での焼結の二段焼結によって容易に製造
することができる。
レス鋼粉以外に合金鋼粉を添加せず、再圧縮、再焼結の
工程を行うこともなく、特別な装置を必要とせずに、比
較的低い温度での減圧焼結とその後の比較的高温での非
酸化性雰囲気下での焼結の二段焼結によって容易に製造
することができる。
第1図は、焼結体の表面近傍のCr濃度のEPMA線分析結果
を示したグラフである。
を示したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松下 正和 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社技術研究本部内 (72)発明者 桜田 一男 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社技術研究本部内 (56)参考文献 特開 昭58−37149(JP,A) 特開 昭51−6108(JP,A) 特開 昭61−253349(JP,A) 特開 昭58−213859(JP,A)
Claims (17)
- 【請求項1】CrとNi、および必要によりMoを添加し、残
部Feおよび不可避的不純物からなるステンレス鋼粉末を
用い、該鋼粉に結合剤を添加混合して成形した後、該成
形体中の結合剤を加熱し、成形体中のC/Oモル比を0.3〜
3.0とする工程と、30Torr以下の減圧下で1000〜1350
℃で焼結する工程と、さらに実質的に常圧下で不活性
ガスもしくはN2を含む不活性混合ガス雰囲気で前記工程
以上の温度で焼結する工程とを有することを特徴と
する耐食性に優れた焼結合金鋼の製造方法。 - 【請求項2】前記ステンレス鋼の組成が、 Cr:16〜25重量% Ni:8〜24重量% であり、前記ステンレス鋼粉末の平均粒径が15μm以下
であり、前記工程の温度が1200〜1350℃である請求項
1記載の製造方法。 - 【請求項3】前記ステンレス鋼の組成が、さらに10重量
%以下のMoを含む請求項2記載の製造方法。 - 【請求項4】前記ステンレス鋼の組成が、 Cr:16〜25重量% Ni:6〜20重量% であり、前記ステンレス鋼粉末の平均粒径が15μm以下
であり、前記工程の温度が1200〜1400℃である請求項
1記載の製造方法。 - 【請求項5】前記ステンレス鋼の組成が、さらに0.5〜
4.0重量%のMoを含む請求項4記載の製造方法。 - 【請求項6】前記ステンレス鋼の組成が、 Cr:18〜28重量% Ni:4〜12重量% であり、前記ステンレス鋼粉末の平均粒径が15μm以下
であり、前記工程の温度が1200〜1350℃である請求項
1記載の製造方法。 - 【請求項7】前記ステンレス鋼の組成が、さらに0.5〜
4.0重量%のMoを含む請求項6記載の製造方法。 - 【請求項8】前記ステンレス鋼の組成が、 Cr:13〜25重量% であり、前記ステンレス鋼粉末の平均粒径が15μm以下
であり、前記工程の温度が1200〜1350℃である請求項
1記載の製造方法。 - 【請求項9】前記ステンレス鋼の組成が、さらに10重量
%以下のMoを含む請求項8記載の製造方法。 - 【請求項10】請求項1記載の製造方法によって得られ
る焼結合金鋼であって、 Cr:16〜25重量% Ni:8〜24重量% C :0.06重量%以下 O :0.7重量%以下 の組成を有し、焼結密度比が92%以上、組織内に存在す
る気孔の最大径が20μm以下、焼結のままで焼結体表面
のCr含有量が焼結体内部のCr含有量の80%以上である耐
食性に優れた焼結合金鋼。 - 【請求項11】請求項1記載の製造方法によって得られ
る焼結合金であって、 Cr:16〜25重量% Ni:8〜24重量% Mo:10重量%以下 C :0.06重量%以下 O :0.7重量%以下 の組成を有し、焼結密度比が92%以上、組織内に存在す
る気孔の最大径が20μm以下、焼結のままで焼結体表面
のCr含有量が焼結体内部のCr含有量の80%以上である耐
食性に優れた焼結合金鋼。 - 【請求項12】請求項1記載の製造方法によって得られ
る焼結合金であって、 Cr:16〜25重量% Ni:6〜20重量% C :0.05重量%以下 N :0.05〜0.40重量% の組成を有し、焼結密度比が92%以上、組織内に存在す
る気孔の最大径が20μm以下、焼結のままで焼結体表面
のCr含有量が焼結体内部のCr含有量の80%以上である耐
食性に優れた焼結合金鋼。 - 【請求項13】請求項1記載の製造方法によって得られ
る焼結合金であって、 Cr:16〜25重量% Ni:6〜20重量% Mo:0.5〜4.0重量% C :0.05重量%以下 N :0.05〜0.40重量% の組成を有し、焼結密度比が92%以上、組織内に存在す
る気孔の最大径が20μm以下、焼結のままで焼結体表面
のCr含有量が焼結体内部のCr含有量の80%以上である耐
食性に優れた焼結合金鋼。 - 【請求項14】請求項1記載の製造方法によって得られ
る焼結合金であって、 Cr:18〜28重量% Ni:4〜12重量% C :0.06重量%以下 O :0.7重量%以下 の組成を有し、焼結密度比が92%以上、組織内に存在す
る気孔の最大径が20μm以下、焼結のままで焼結体表面
のCr含有量が焼結体内部のCr含有量の80%以上である耐
食性に優れた焼結合金鋼。 - 【請求項15】請求項1記載の製造方法によって得られ
る焼結合金であって、 Cr:18〜28重量% Ni:4〜12重量% C :0.06重量%以下 O :0.7重量%以下 Mo:0.5〜4.0重量%および/または N :0.05〜0.40重量% の組成を有し、焼結密度比が92%以上、組織内に存在す
る気孔の最大径が20μm以下、焼結のままで焼結体表面
のCr含有量が焼結体内部のCr含有量の80%以上である耐
食性に優れた焼結合金鋼。 - 【請求項16】請求項1記載の製造方法によって得られ
る焼結合金であって、 Cr:13〜25重量% C :0.04重量%以下 O :0.7重量%以下 の組成を有し、焼結密度比が92%以上、組織内に存在す
る気孔の最大径が20μm以下、焼結のままで焼結体表面
のCr含有量が焼結体内部のCr含有量の80%以上である耐
食性に優れた焼結合金鋼。 - 【請求項17】請求項1記載の製造方法によって得られ
る焼結合金であって、 Cr:13〜25重量% Mo:10重量%以下 C :0.04重量%以下 O :0.7重量%以下 の組成を有し、焼結密度比が92%以上、組織内に存在す
る気孔の最大径が20μm以下、焼結のままで焼結体表面
のCr含有量が焼結体内部のCr含有量の80%以上である耐
食性に優れた焼結合金鋼。
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