JPH0741854A - 靱性に優れたフェライト単相ステンレス熱延鋼板の製造方法 - Google Patents
靱性に優れたフェライト単相ステンレス熱延鋼板の製造方法Info
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- JPH0741854A JPH0741854A JP18471693A JP18471693A JPH0741854A JP H0741854 A JPH0741854 A JP H0741854A JP 18471693 A JP18471693 A JP 18471693A JP 18471693 A JP18471693 A JP 18471693A JP H0741854 A JPH0741854 A JP H0741854A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 靱性に優れたフェライト単相ステンレス熱延
鋼板の製造方法を提供することを目的とする。 【構成】 重量%で、C:0.03%以下、Si:1.
0%以下、Mn:1.0%以下、P:0.040%以
下、S:0.030%以下、Cr:10.0〜25.0
%及びN:0.03%以下を含有し、更にMo:0.1
〜3.0%、Cu:0.2〜1.0%、Ti:0.1〜
1.0%、Al:0.01〜0.10%及びNb:0.
1〜1.0%から選ばれた1種又は2種以上を含有し、
残部Fe及び不可避的不純物からなり、かつ下記式を満
足するフェライト単相ステンレス鋼のスラブを1230
℃以上1300℃以下の温度に加熱し、1パス当りの圧
下率20%以上、合計圧下率90%以上の粗圧延を行
い、粗圧延終了温度1030℃以上で20秒以上放冷
し、再結晶終了後、続いて仕上圧延を行う。 【数1】
鋼板の製造方法を提供することを目的とする。 【構成】 重量%で、C:0.03%以下、Si:1.
0%以下、Mn:1.0%以下、P:0.040%以
下、S:0.030%以下、Cr:10.0〜25.0
%及びN:0.03%以下を含有し、更にMo:0.1
〜3.0%、Cu:0.2〜1.0%、Ti:0.1〜
1.0%、Al:0.01〜0.10%及びNb:0.
1〜1.0%から選ばれた1種又は2種以上を含有し、
残部Fe及び不可避的不純物からなり、かつ下記式を満
足するフェライト単相ステンレス鋼のスラブを1230
℃以上1300℃以下の温度に加熱し、1パス当りの圧
下率20%以上、合計圧下率90%以上の粗圧延を行
い、粗圧延終了温度1030℃以上で20秒以上放冷
し、再結晶終了後、続いて仕上圧延を行う。 【数1】
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、靱性に優れたフェライ
ト単相ステンレス熱延鋼板の製造方法に関する。
ト単相ステンレス熱延鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】フェライト系ステンレス鋼を熱間圧延の
途中で再結晶させて加工性を向上させる方法として、特
公昭59−13026号公報が開示されている。この技
術は、SUS430の高温においてα+γの2相組織を
有するフェライト系ステンレス鋼のスラブを1000〜
1200℃に加熱後、粗圧延中に15秒以上のパス間時
間をとって再結晶を促進し、製品板のr値、リジング性
の向上を図ったものである。
途中で再結晶させて加工性を向上させる方法として、特
公昭59−13026号公報が開示されている。この技
術は、SUS430の高温においてα+γの2相組織を
有するフェライト系ステンレス鋼のスラブを1000〜
1200℃に加熱後、粗圧延中に15秒以上のパス間時
間をとって再結晶を促進し、製品板のr値、リジング性
の向上を図ったものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、フェラ
イト単相ステンレス鋼を用いて、前記特公昭59−13
026号公報のようにスラブを1000〜1200℃に
加熱し、粗圧延中に15秒程度のパス間時間をとっても
十分な熱延板靱性を得ることができなかった。本発明の
目的は、フェライト単相ステンレス鋼を熱間粗圧延で十
分に再結晶させ、フェライト系ステンレス鋼の短所であ
る低温切欠靱性を改善した熱延鋼板を提供することにあ
る。併せて、この熱延鋼板を冷延、焼鈍することによっ
てリジング性の優れた冷延製品を製造することを図った
ものである。
イト単相ステンレス鋼を用いて、前記特公昭59−13
026号公報のようにスラブを1000〜1200℃に
加熱し、粗圧延中に15秒程度のパス間時間をとっても
十分な熱延板靱性を得ることができなかった。本発明の
目的は、フェライト単相ステンレス鋼を熱間粗圧延で十
分に再結晶させ、フェライト系ステンレス鋼の短所であ
る低温切欠靱性を改善した熱延鋼板を提供することにあ
る。併せて、この熱延鋼板を冷延、焼鈍することによっ
てリジング性の優れた冷延製品を製造することを図った
ものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】フェライト系ステンレス
鋼熱延板を通板中、しばしばコイルが破断する場合があ
る。これは低温切欠靱性が乏しいためである。この特性
改善のためには、結晶粒の微細化が有効であることが知
られている。結晶粒を微細化するための熱間圧延中の再
結晶条件を見出すことにより、本発明は成されたもので
ある。すなわち、本発明は合金組成をフェライト単相ス
テンレス鋼に限定し、スラブ加熱温度を従来知見よりも
高めることにより粗圧延後の保有エネルギーを高め、か
つ粗圧延での加工率を著しく大きくとることにより、粗
圧延後の再結晶を容易にして仕上圧延前に再結晶を終了
させ、結晶粒を微細化して仕上圧延を行うことにより、
圧延板の靱性を向上せしめることを特徴とする。
鋼熱延板を通板中、しばしばコイルが破断する場合があ
る。これは低温切欠靱性が乏しいためである。この特性
改善のためには、結晶粒の微細化が有効であることが知
られている。結晶粒を微細化するための熱間圧延中の再
結晶条件を見出すことにより、本発明は成されたもので
ある。すなわち、本発明は合金組成をフェライト単相ス
テンレス鋼に限定し、スラブ加熱温度を従来知見よりも
高めることにより粗圧延後の保有エネルギーを高め、か
つ粗圧延での加工率を著しく大きくとることにより、粗
圧延後の再結晶を容易にして仕上圧延前に再結晶を終了
させ、結晶粒を微細化して仕上圧延を行うことにより、
圧延板の靱性を向上せしめることを特徴とする。
【0005】すなわち、本発明は重量%で、C:0.0
3%以下、Si:1.0%以下、Mn:1.0%以下、
P:0.040%以下、S:0.030%以下、Cr:
10.0〜25.0%及びN:0.03%以下を含有
し、更にMo:0.1〜3.0%、Cu:0.2〜1.
0%、Ti:0.1〜1.0%、Al:0.01〜0.
10%及びNb:0.1〜1.0%から選ばれた1種又
は2種以上を含み、残部Fe及び不可避的不純物からな
り、かつ下記式を満足するフェライト単相ステンレス鋼
のスラブを1230℃以上1300℃以下の温度に加熱
し、1パス当りの圧下率を20%以上、合計圧下率を9
0%以上、かつ圧延終了温度1030℃以上とする粗圧
延を行い、前記粗圧延終了温度から20秒以上放冷する
ことによって再結晶を終了させた後、仕上圧延を行うこ
とを特徴とする靱性に優れたフェライト単相ステンレス
熱延鋼板の製造方法を要旨とするものである。
3%以下、Si:1.0%以下、Mn:1.0%以下、
P:0.040%以下、S:0.030%以下、Cr:
10.0〜25.0%及びN:0.03%以下を含有
し、更にMo:0.1〜3.0%、Cu:0.2〜1.
0%、Ti:0.1〜1.0%、Al:0.01〜0.
10%及びNb:0.1〜1.0%から選ばれた1種又
は2種以上を含み、残部Fe及び不可避的不純物からな
り、かつ下記式を満足するフェライト単相ステンレス鋼
のスラブを1230℃以上1300℃以下の温度に加熱
し、1パス当りの圧下率を20%以上、合計圧下率を9
0%以上、かつ圧延終了温度1030℃以上とする粗圧
延を行い、前記粗圧延終了温度から20秒以上放冷する
ことによって再結晶を終了させた後、仕上圧延を行うこ
とを特徴とする靱性に優れたフェライト単相ステンレス
熱延鋼板の製造方法を要旨とするものである。
【0006】
【数2】
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】
【作用】先ず本発明において、鋼の化学成分を上記のよ
うに限定した理由を説明する。Cは、鋼の加工性、靱性
に悪影響を及ぼすので、含有量を0.03%以下とす
る。Si、Mnは、鋼の脱酸剤として有効なので、それ
ぞれ1.0%以下含有する。1.0%を超えると機械的
性質が劣化する。
うに限定した理由を説明する。Cは、鋼の加工性、靱性
に悪影響を及ぼすので、含有量を0.03%以下とす
る。Si、Mnは、鋼の脱酸剤として有効なので、それ
ぞれ1.0%以下含有する。1.0%を超えると機械的
性質が劣化する。
【0009】P、Sは、不純物元素で靱性および耐食性
が劣化するので、0.040%以下および0.030%
以下とする。Crは、耐食性および耐高温酸化性の向上
のため最低限10.0%を必要とし、又25.0%を超
すと靱性が劣化し製造が極めて困難になるので、10.
0〜25.0%をその範囲とする。
が劣化するので、0.040%以下および0.030%
以下とする。Crは、耐食性および耐高温酸化性の向上
のため最低限10.0%を必要とし、又25.0%を超
すと靱性が劣化し製造が極めて困難になるので、10.
0〜25.0%をその範囲とする。
【0010】NはCと同様に、鋼の加工性、靱性を劣化
せしめるので、含有量の上限を0.03%とする。更
に、耐食性を向上させるため、上記化学成分以外に下記
成分より1種又は2種以上を選んで含有させる。Mo
は、耐食性を向上させるという顕著な効果を奏するの
で、0.1〜3.0%の範囲で含有させる。上限を超え
ると加工性が劣化し、コストアップとなる。
せしめるので、含有量の上限を0.03%とする。更
に、耐食性を向上させるため、上記化学成分以外に下記
成分より1種又は2種以上を選んで含有させる。Mo
は、耐食性を向上させるという顕著な効果を奏するの
で、0.1〜3.0%の範囲で含有させる。上限を超え
ると加工性が劣化し、コストアップとなる。
【0011】Cuは、耐食性を向上させるため、0.2
〜1.0%の範囲で含有させる。上限を超えると、高温
域でγが生成し靱性が劣化する。Tiは、耐粒界腐食性
の向上とともにプレス性も向上させるが、0.1%未満
ではその特性が得られず、又1.0%超では、これらの
特性が飽和し加工性が劣化する。
〜1.0%の範囲で含有させる。上限を超えると、高温
域でγが生成し靱性が劣化する。Tiは、耐粒界腐食性
の向上とともにプレス性も向上させるが、0.1%未満
ではその特性が得られず、又1.0%超では、これらの
特性が飽和し加工性が劣化する。
【0012】Alは、Tiと同様な特性を有するので、
0.01〜0.10%の範囲で含有させる。Nbは、
C、Nと結合してCr炭化物の粒界析出を防止し、耐粒
界腐食性を向上させる特性を有するが、その含有量が
0.1%未満では上記特性が得られず、又1.0%を超
えると、上記特性が飽和する上に加工性が劣化する。従
って、0.1〜1.0%をその範囲とする。
0.01〜0.10%の範囲で含有させる。Nbは、
C、Nと結合してCr炭化物の粒界析出を防止し、耐粒
界腐食性を向上させる特性を有するが、その含有量が
0.1%未満では上記特性が得られず、又1.0%を超
えると、上記特性が飽和する上に加工性が劣化する。従
って、0.1〜1.0%をその範囲とする。
【0013】本発明の対象ステンレス鋼は熱延板の靱性
を確保するために、常温でマルテンサイトが生成しない
成分組成すなわち、前記1式で示されるガンマポテンシ
ャルが0%以下の組成に限定した。次に、スラブの加熱
温度について説明する。C:0.008%、Si:0.
15%、Mn:0.15%、P:0.022%、S:
0.003%、Ni:0.10%、Cr:18.90
%、Mo:1.92%、Cu:0.01%、Ti:0.
25%、Al:0.053%、Nb:0.36%、N:
0.0087%を含み、残部は実質的にFeからなるフ
ェライト単相ステンレス鋼を転炉で溶製し、250mm
厚さのスラブを鋳造した。これを熱間圧延のため115
0〜1350℃に加熱後、1パス当たりの圧下率20〜
30%、合計圧下率91.6%を粗圧延で加え、21m
m厚さの粗バーとした。その際、粗圧延終了温度が10
30℃になるように圧延条件を調整し、20秒放冷後仕
上圧延を行い、5mm厚の熱延板とした。
を確保するために、常温でマルテンサイトが生成しない
成分組成すなわち、前記1式で示されるガンマポテンシ
ャルが0%以下の組成に限定した。次に、スラブの加熱
温度について説明する。C:0.008%、Si:0.
15%、Mn:0.15%、P:0.022%、S:
0.003%、Ni:0.10%、Cr:18.90
%、Mo:1.92%、Cu:0.01%、Ti:0.
25%、Al:0.053%、Nb:0.36%、N:
0.0087%を含み、残部は実質的にFeからなるフ
ェライト単相ステンレス鋼を転炉で溶製し、250mm
厚さのスラブを鋳造した。これを熱間圧延のため115
0〜1350℃に加熱後、1パス当たりの圧下率20〜
30%、合計圧下率91.6%を粗圧延で加え、21m
m厚さの粗バーとした。その際、粗圧延終了温度が10
30℃になるように圧延条件を調整し、20秒放冷後仕
上圧延を行い、5mm厚の熱延板とした。
【0014】通常の熱間圧延を行った場合、熱延板表面
に生じるスケール疵は、圧延の変形抵抗、つまりスラブ
加熱温度によって大きく異なるので、上記の熱延板につ
いてスケール疵の深さを測定した。また、熱延板の低温
切欠靱性を調べるため、0℃においてVノッチシャルピ
ー衝撃試験を行った。
に生じるスケール疵は、圧延の変形抵抗、つまりスラブ
加熱温度によって大きく異なるので、上記の熱延板につ
いてスケール疵の深さを測定した。また、熱延板の低温
切欠靱性を調べるため、0℃においてVノッチシャルピ
ー衝撃試験を行った。
【0015】スラブ加熱温度の下限は、粗圧延後の再結
晶温度1030℃以上を確保するには、スラブサイズ2
50mmt×1000mmw×6mlの場合、粗圧延で
の温度低下約200℃を見込むと1230℃以上必要と
なる。また、図1にスラブ加熱温度と熱延板のスケール
疵の深さの関係を示すが、スケール疵の深さが実用上無
害となる深さ10μm以下にするには、スラブ加熱温度
は1230℃以上にしなければならない。
晶温度1030℃以上を確保するには、スラブサイズ2
50mmt×1000mmw×6mlの場合、粗圧延で
の温度低下約200℃を見込むと1230℃以上必要と
なる。また、図1にスラブ加熱温度と熱延板のスケール
疵の深さの関係を示すが、スケール疵の深さが実用上無
害となる深さ10μm以下にするには、スラブ加熱温度
は1230℃以上にしなければならない。
【0016】図2には、スラブ加熱温度と熱延板の0℃
のシャルピー衝撃値の関係を示すが、スラブ加熱温度が
1230℃以上になると粗圧延後の再結晶が生じるため
衝撃値は急増し、スラブ加熱温度が1300℃を超える
と、結晶粒の粗大化のため衝撃値が2kgf・m/cm
2 未満となり、通板中に熱延板が破断する可能性が高く
なる。従って、この両者を満足するスラブ加熱温度は、
1230〜1300℃である。
のシャルピー衝撃値の関係を示すが、スラブ加熱温度が
1230℃以上になると粗圧延後の再結晶が生じるため
衝撃値は急増し、スラブ加熱温度が1300℃を超える
と、結晶粒の粗大化のため衝撃値が2kgf・m/cm
2 未満となり、通板中に熱延板が破断する可能性が高く
なる。従って、この両者を満足するスラブ加熱温度は、
1230〜1300℃である。
【0017】次に、熱間粗圧延の圧下率について説明す
る。スラブの加熱温度の限定理由に関して述べた前記ス
ラブと同一成分、同一厚さのスラブを用いて、スラブ加
熱温度1230℃、粗圧延の1パス当たりの圧下率を5
〜40%ランダム圧延で、合計圧下率が50〜96%
(粗バー厚さ10〜125mm)を加え、粗圧延終了温
度が1030℃になるように調整し、20秒放冷後水冷
した。この時のL断面組織を観察し、再結晶率(再結晶
部分の面積/観察面積×100)を測定した。図3に、
粗圧延の合計圧下率と粗圧延後の再結晶率の関係を示す
が、合計圧下率90%以上の強圧下で粗圧延後100%
の再結晶組織が得られる。
る。スラブの加熱温度の限定理由に関して述べた前記ス
ラブと同一成分、同一厚さのスラブを用いて、スラブ加
熱温度1230℃、粗圧延の1パス当たりの圧下率を5
〜40%ランダム圧延で、合計圧下率が50〜96%
(粗バー厚さ10〜125mm)を加え、粗圧延終了温
度が1030℃になるように調整し、20秒放冷後水冷
した。この時のL断面組織を観察し、再結晶率(再結晶
部分の面積/観察面積×100)を測定した。図3に、
粗圧延の合計圧下率と粗圧延後の再結晶率の関係を示す
が、合計圧下率90%以上の強圧下で粗圧延後100%
の再結晶組織が得られる。
【0018】また、同一成分の同一厚さスラブをスラブ
加熱温度1230℃、粗圧延の1パス当たり5〜40%
を各パス同一圧下率で合計圧下率が90%を超える(粗
バー厚さ25mm以下)まで加え、粗圧延終了温度が1
030℃になるように調整し、20秒放冷後水冷した。
この時のL断面組織を観察し、再結晶率を測定した。図
4に、粗圧延の1パス当たりの圧下率と、粗圧延後の再
結晶率の関係を示すが、1パス当たり20%以上、合計
圧下率で90%以上の加工を行うと、粗圧延後100%
の再結晶組織が得られ、生産効率の良い圧延パススケジ
ュールを選択することができる。
加熱温度1230℃、粗圧延の1パス当たり5〜40%
を各パス同一圧下率で合計圧下率が90%を超える(粗
バー厚さ25mm以下)まで加え、粗圧延終了温度が1
030℃になるように調整し、20秒放冷後水冷した。
この時のL断面組織を観察し、再結晶率を測定した。図
4に、粗圧延の1パス当たりの圧下率と、粗圧延後の再
結晶率の関係を示すが、1パス当たり20%以上、合計
圧下率で90%以上の加工を行うと、粗圧延後100%
の再結晶組織が得られ、生産効率の良い圧延パススケジ
ュールを選択することができる。
【0019】次に、粗圧延終了後、再結晶に必要な温度
と時間について説明する。スラブの加熱温度の限定理由
に関して述べた前記スラブと同一成分、同一厚さのスラ
ブを用いて、スラブ加熱温度1230℃、粗圧延の1パ
ス当たりの圧下率20〜30%、合計圧下率91.6%
を加え、21mm厚さの粗バーとした。この時、粗圧延
終了温度が900〜1150℃になるように調整し、2
0秒放冷後水冷した。この時のL断面組織を観察し、再
結晶率を測定した。図5に、粗圧延終了温度と粗圧延後
の再結晶率の関係を示すが、粗圧延終了温度が1030
℃以上で粗圧延後100%の再結晶組織が得られる。
と時間について説明する。スラブの加熱温度の限定理由
に関して述べた前記スラブと同一成分、同一厚さのスラ
ブを用いて、スラブ加熱温度1230℃、粗圧延の1パ
ス当たりの圧下率20〜30%、合計圧下率91.6%
を加え、21mm厚さの粗バーとした。この時、粗圧延
終了温度が900〜1150℃になるように調整し、2
0秒放冷後水冷した。この時のL断面組織を観察し、再
結晶率を測定した。図5に、粗圧延終了温度と粗圧延後
の再結晶率の関係を示すが、粗圧延終了温度が1030
℃以上で粗圧延後100%の再結晶組織が得られる。
【0020】また、同一成分の同一厚さスラブをスラブ
加熱温度1230℃、粗圧延の1パス当たりの圧下率2
0〜30%、合計圧下率91.6%を加え、21mm厚
さの粗バーとした。粗圧延終了温度は1030℃、粗圧
延終了後の放冷時間を0〜60秒とって水冷した。この
時のL断面組織を観察し、再結晶率を測定した。図6に
粗圧延後の放冷時間と粗圧延後の再結晶率の関係を示す
が、粗圧延終了から仕上圧延開始までの放冷時間を20
秒以上にすることにより粗圧延後100%の再結晶組織
が得られる。
加熱温度1230℃、粗圧延の1パス当たりの圧下率2
0〜30%、合計圧下率91.6%を加え、21mm厚
さの粗バーとした。粗圧延終了温度は1030℃、粗圧
延終了後の放冷時間を0〜60秒とって水冷した。この
時のL断面組織を観察し、再結晶率を測定した。図6に
粗圧延後の放冷時間と粗圧延後の再結晶率の関係を示す
が、粗圧延終了から仕上圧延開始までの放冷時間を20
秒以上にすることにより粗圧延後100%の再結晶組織
が得られる。
【0021】
実施例1 表1に示す化学成分を有するフェライト系ステンレス鋼
を転炉で溶製し、250mm厚さの連続鋳造スラブとし
た。これを表2に示すように、スラブ加熱温度1236
〜1287℃で、粗圧延の1パス当たりの圧下率25.
0〜30.0%、合計圧下率91.6%を加え、粗圧延
終了温度1033〜1069℃で22〜37秒放冷後仕
上熱延を行い、5.0mm厚さの熱延板とした。
を転炉で溶製し、250mm厚さの連続鋳造スラブとし
た。これを表2に示すように、スラブ加熱温度1236
〜1287℃で、粗圧延の1パス当たりの圧下率25.
0〜30.0%、合計圧下率91.6%を加え、粗圧延
終了温度1033〜1069℃で22〜37秒放冷後仕
上熱延を行い、5.0mm厚さの熱延板とした。
【0022】熱延板の低温切欠靱性を調べるため、0℃
でVノッチシャルピー衝撃試験を行い、シャルピー衝撃
値を算出した。この結果を表1に示すが、本発明例のフ
ェライト単相ステンレス鋼はいずれも2kgf・m/c
m2 以上で、通板中にコイルが破断することはなかっ
た。比較例のNo.8はフェライト単相鋼であるが、N
i、Cr、Moが特許請求の範囲を外れており、衝撃値
は著しく低い。
でVノッチシャルピー衝撃試験を行い、シャルピー衝撃
値を算出した。この結果を表1に示すが、本発明例のフ
ェライト単相ステンレス鋼はいずれも2kgf・m/c
m2 以上で、通板中にコイルが破断することはなかっ
た。比較例のNo.8はフェライト単相鋼であるが、N
i、Cr、Moが特許請求の範囲を外れており、衝撃値
は著しく低い。
【0023】またNo.9は、高温においてα+γの2
相組織でγの残留が多く、衝撃値が2kgf・m/cm
2 未満であった。No.8、No.9の熱延板は、通板
中のコイル破断の可能性が高いため、80〜100℃に
温める必要があった。 実施例2 表1、No.6の成分の250mm厚さスラブを用い
て、表3、表4(表3のつづき)、表5、表6(表5の
つづき)に示す条件で熱間粗圧延を行い、続いて仕上圧
延にて5.0mm厚さの熱延板とした。熱延板は、0℃
でVノッチシャルピー衝撃試験を行った。
相組織でγの残留が多く、衝撃値が2kgf・m/cm
2 未満であった。No.8、No.9の熱延板は、通板
中のコイル破断の可能性が高いため、80〜100℃に
温める必要があった。 実施例2 表1、No.6の成分の250mm厚さスラブを用い
て、表3、表4(表3のつづき)、表5、表6(表5の
つづき)に示す条件で熱間粗圧延を行い、続いて仕上圧
延にて5.0mm厚さの熱延板とした。熱延板は、0℃
でVノッチシャルピー衝撃試験を行った。
【0024】また、製品板のリジング性を調べるため、
熱延板の焼鈍を行うことなく酸洗、冷延、最終焼鈍、酸
洗で1.0mm厚さの製品板とした。これを更にJIS
5号引張試験片に加工後、16%の引っ張りを加え、表
面に生じたリジングを測定した。リジングのランクを3
つに分け、○印は10μm以下で合格、△印は11〜1
5μmで不合格、×印は16μm以上で不合格とし、表
4、表6に示した。
熱延板の焼鈍を行うことなく酸洗、冷延、最終焼鈍、酸
洗で1.0mm厚さの製品板とした。これを更にJIS
5号引張試験片に加工後、16%の引っ張りを加え、表
面に生じたリジングを測定した。リジングのランクを3
つに分け、○印は10μm以下で合格、△印は11〜1
5μmで不合格、×印は16μm以上で不合格とし、表
4、表6に示した。
【0025】本発明例によって製造したものは、熱延板
の衝撃特性、製品板のリジング性共に優れているが、比
較例のものは、粗圧延後の再結晶が不十分か、又はスラ
ブの加熱温度が1300℃を超えたために再結晶粒が粗
大化して、熱延板の靱性、製品板のリジング性が不良と
なった。
の衝撃特性、製品板のリジング性共に優れているが、比
較例のものは、粗圧延後の再結晶が不十分か、又はスラ
ブの加熱温度が1300℃を超えたために再結晶粒が粗
大化して、熱延板の靱性、製品板のリジング性が不良と
なった。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】
【0030】
【表5】
【0031】
【表6】
【0032】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明により得ら
れた熱延板は靱性に優れており、産業上の効果は極めて
大である。
れた熱延板は靱性に優れており、産業上の効果は極めて
大である。
【図1】フェライト単相ステンレス鋼のスラブ加熱温度
と熱延板のスケール疵の深さの関係を示す図である。
と熱延板のスケール疵の深さの関係を示す図である。
【図2】フェライト単相ステンレス鋼のスラブ加熱温度
と熱延板の0℃におけるVノッチシャルピー衝撃値の関
係を示す図である。
と熱延板の0℃におけるVノッチシャルピー衝撃値の関
係を示す図である。
【図3】フェライト単相ステンレス鋼の粗圧延の合計圧
下率と粗圧延後の再結晶率の関係を示す図である。
下率と粗圧延後の再結晶率の関係を示す図である。
【図4】フェライト単相ステンレス鋼の粗圧延の1パス
当たりの圧下率と粗圧延後の再結晶率の関係を示す図で
ある。
当たりの圧下率と粗圧延後の再結晶率の関係を示す図で
ある。
【図5】フェライト単相ステンレス鋼の粗圧延終了温度
と粗圧延後の再結晶率の関係を示す図である。
と粗圧延後の再結晶率の関係を示す図である。
【図6】フェライト単相ステンレス鋼の粗圧延後の放冷
時間と粗圧延後の再結晶率の関係を示す図である。
時間と粗圧延後の再結晶率の関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 信一 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新 日本製鐵株式会社八幡製鐵所内
Claims (1)
- 【請求項1】 重量%で、C:0.03%以下、Si:
1.0%以下、Mn:1.0%以下、P:0.040%
以下、S:0.030%以下、Cr:10.0〜25.
0%及びN:0.03%以下を含有し、更にMo:0.
1〜3.0%、Cu:0.2〜1.0%、Ti:0.1
〜1.0%、Al:0.01〜0.10%及びNb:
0.1〜1.0%から選ばれた1種又は2種以上を含有
し、残部Fe及び不可避的不純物からなり、かつ下記式
を満足するフェライト単相ステンレス鋼のスラブを12
30℃以上1300℃以下の温度に加熱し、1パス当り
の圧下率を20%以上、合計圧下率を90%以上、圧延
終了温度を1030℃以上とする粗圧延を行い、続いて
20秒以上放冷することによって再結晶を終了させ、続
いて仕上圧延を行うことを特徴とする靱性に優れたフェ
ライト単相ステンレス熱延鋼板の製造方法。 【数1】
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18471693A JPH0741854A (ja) | 1993-07-27 | 1993-07-27 | 靱性に優れたフェライト単相ステンレス熱延鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18471693A JPH0741854A (ja) | 1993-07-27 | 1993-07-27 | 靱性に優れたフェライト単相ステンレス熱延鋼板の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0741854A true JPH0741854A (ja) | 1995-02-10 |
Family
ID=16158119
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18471693A Withdrawn JPH0741854A (ja) | 1993-07-27 | 1993-07-27 | 靱性に優れたフェライト単相ステンレス熱延鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0741854A (ja) |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0936280A2 (en) * | 1998-02-17 | 1999-08-18 | Acciai Speciali Terni S.p.A. | Improved ferritic stainless steel and articles produced therewith |
KR100467719B1 (ko) * | 2000-12-08 | 2005-01-24 | 주식회사 포스코 | 리징 저항성 및 스피닝 가공성이 우수한 페라이트계스테인리스강 및 그 제조 방법 |
KR100958025B1 (ko) * | 2002-11-07 | 2010-05-17 | 주식회사 포스코 | 리징성이 개선된 페라이트계 스테인레스강의 제조방법 |
KR100986844B1 (ko) * | 2002-12-16 | 2010-10-08 | 주식회사 포스코 | 성형성이 우수한 페라이트계 스테인리스강의 제조방법 |
CN107429366A (zh) * | 2015-09-22 | 2017-12-01 | Posco公司 | 铁素体系不锈钢及其制造方法 |
US9885099B2 (en) | 2012-03-09 | 2018-02-06 | Nippon Steel & Sumikin Stainless Steel Corporation | Ferritic stainless steel sheet |
WO2018110866A1 (ko) * | 2016-12-13 | 2018-06-21 | 주식회사 포스코 | 충격 인성이 개선된 페라이트계 스테인리스강 및 이의 제조 방법 |
US10385429B2 (en) | 2013-03-27 | 2019-08-20 | Nippon Steel & Sumikin Stainless Steel Corporation | Hot-rolled ferritic stainless-steel plate, process for producing same, and steel strip |
-
1993
- 1993-07-27 JP JP18471693A patent/JPH0741854A/ja not_active Withdrawn
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR20180068087A (ko) * | 2016-12-13 | 2018-06-21 | 주식회사 포스코 | 충격 인성이 개선된 페라이트계 스테인리스강 및 이의 제조 방법 |
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