JPH0736935Y2 - テンタクリップ走行用案内レ−ル - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はプラスチックフィルム横延伸機、布用幅出機等
のテンタクリップ走行用案内レールに関するものであ
る。

（従来の技術） 第７図は従来のテンタクリップ走行装置の平面図、第８
図は第７図におけるVIII矢視図、第９図は第７図に於け
るIX矢視図を反時計方向へ90度回転した状態を示す。

第７図および第８図は、実開昭59−107219号公報に示さ
れたもので、クリップ本体17は２本の腕1,1と、同腕１
上の支点２を中心として回転可能なクリップレバー３
と、クリップ台４とにより構成されている。

また、５はクリップ本体駆動用のローラチェンであり、
同ローラチェン５はコ字形のリンクプレート６を介して
クリップ本体17にボルト締めされている。リンクプレー
ト６はクリップ本体の重量を支持し、レール７に取付け
られた特殊ベアリング９面上を滑動するようになってい
る。

前記クリップ本体の腕１の後方に突出した腕10には、３
個のローラ11,11,12が設けられており、同ローラ11,11,
12はクリップ台４の水平面が各ローラ中心に一致するよ
うに設置されている。

更に１対のローラ11,11とローラ12間には剛性を有する
ローラ案内レール13が設けられ、各ローラ11,11,12はロ
ーラ案内レール13に対して適当な間隙をもって配置され
ている。また、ローラ案内レール13は継目13aを有し、
レール７から垂直に突出した部材14に設けられた溝に挿
入されている。８はライナ、15はメインレール、16はフ
ィルムを示す。

フィルム16はクリップレバー３とライナ８の間に把持さ
れて、所定の倍率に幅方向へ延伸される。この際クリッ
プ本体17は、ローラチェン５を介して駆動され、同クリ
ップ本体17の腕10に設けられたローラ11,11,12に挟まれ
たローラ案内レール13に導かれて、第９図の２点鎖線で
示した斜線部を走行する。

しかしながら、前記従来装置には次のような欠点があっ
た。即ち、案内レール13が継目13aを有するので、特殊
ベアリング９に代えて、案内レール13の上端面13bを走
行するローラ（図示せず）をクリップ本体17に設けた
際、同継目13aが段差となり、クリップ本体17の円滑な
走行に支障を来たし、ローラに大きな衝撃を与えて、ロ
ーラの耐久性が低下するとともに、フィルム16の品質を
も低下させる欠点あがあった。

また第10図及び第11図の如く、ローラ案内レール13が部
材14に設けられた溝に挿入されるのに代えて、連結ピン
Ｐによってラップ部13cと13dを連結した場合にも、相変
わらず前記と同様の問題があった。

更に前記従来のものは、ローラ案内レール13に１枚の厚
板を用いており、また同案内レール13の継目を同レール
の厚さ方向に切り欠いて形成しているので、同案内レー
ル13のローラ走行面の表面粗度や精度を確保するために
は、多大な加工時間を要すると共に、同１枚の厚板より
なる案内レールの継目は、上面と側面の継目は同じ１つ
であるため、上面と側面の継目をずらして離すことは不
可能である。従って側面のローラと上面のローラによる
振動や音の発生源が接近した状態となり、大きな振動、
騒音を発生する欠点があった。

（考案が解決しようとする問題点） このように、従来のこの種テンタクリップ走行用案内レ
ールにあっては、レールとレールの継目に段差が生じ、
そのためクリップ本体の走行中ローラに強い衝撃が与え
られ、走行に支障を来たすばかりでなくローラ寿命を著
しく短くしており、またこれを改良したものにあっても
その加工に多大の時間を要するといった様々な問題点を
有していた。

本考案は、かかる問題点を解決すべくなされたもので、
加工が容易な上にクリップが円滑に走行し得る案内レー
ルを提供しようとするものである。

（問題点を解決するための手段） このため本考案は、フィルムを把持して走行するクリッ
プ本体と、同本体の走行を案内する継目を有する垂直配
列の案内レールと、同クリップ本体の自重、横振れ及び
水平方向引張力を夫々受け持つように同本体の前記案内
レールの上部及び側部に対向して設けられたローラとを
有するテンタクリップ走行装置において、前記案内レー
ルは複数枚の圧延薄板鋼板を用い、同各鋼板をクリップ
の進行方向に間隔を設けて配置することで継目部を形成
し、同鋼板のうち両側に位置する外側板材の同継目の位
置と、内側に位置する内部板材の同継目の位置とをクリ
ップの進行方向にずらして大きく離すと共に、前記各圧
延薄板鋼板の角部が上面に突出しないように各継目部の
角部にそれぞれ面取り加工部を形成することにより、案
内レールの上端面でクリップ進行方向に段差が生じない
ようにしてなるもので、これを問題点解決のための手段
とするものである。

（作用） 案内レールに圧延薄板鋼板を用いることにより、従来、
加工により確保していたローラ走行面の大部分を、加工
することなく表面精度が確保可能となる。案内レール継
目位置を案内レールの外側板材と内部板材とでずらせる
ことにより、クリップ進行方向に段差がなくなり、クリ
ップの走行が円滑となりローラの耐久性が向上すると共
に被処理物の品質を向上させることを可能とする。また
案内レールの外側板材と内部板材が別体であるため、側
面の継目と上面の継目をずらして大きく離した構造とな
っている。従ってクリップが継目部を通過する際に生じ
るクリップの振動や、音の発生源を拡散することができ
る。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面について説明する。

第１図は本考案の実施例を示すテンタクリップ走行装置
の正面図、第２図は第１図のII矢視図、第３図は第１図
における押圧装置の詳細図、第４図は第２図における案
内レールの詳細図、第５図は第４図のＶ矢視図、第６図
は同案内レールの斜視図である。

さて、第１図及び第２図において、18はクリップ本体
で、同クリップ本体18はクリップ台４からアーチ形に起
立した形状の起立部19を有し、その先端部にはクリップ
レバー支点２が設けられており、また、クリップ台４上
にはライナ８が設けられていることは、前記従来装置の
クリップ本体とほぼ同様である。

また、21は前記クリップレバー支点２に回動自在に軸支
されるボス部22と、同ボス部22から突設されたブラケッ
ト24及び上部レバー部21a、下部レバー部21bからなるク
リップレバーで、そのボス部22はクリップレバー支点２
に回動自在に軸支されている。また、前記クリップレバ
ー21の下部レバー21bの先端には、クリップ台４のライ
ナ８との間でフィルム16を把持するエッジ32が図示の如
く取付けられている。

27は一端の切欠き部28内に前記ブラケット24に割れ目23
aをもつスプリングピン23を介して回動自在に軸支され
た筒状部材で、同筒状部材27の他端の切欠き部25内に
は、起立部19を連結する水平連結部51に立設されたブラ
ケット31,31の適所に固着された割れ目30aをもつスプリ
ングピン30が遊嵌されている。そして、前記筒状部材27
の内部には圧縮ばね29が装填されている。そして前記筒
状部材27、圧縮ばね29、スプリングピン23,30等で、ク
リップレバー21を第１図に示す状態に付勢して、下部レ
バー21bのエッジ32とクリップ台４上のライナ８との間
で、フィルム16の耳部を把持する押圧装置26を形成して
いる。

水平連結部51は、起立部19,19を連結するとともに、ロ
ーラ33が軸52及びナット34等により垂直軸回りを回転可
能に軸支されている。36は垂直連結部で、起立部19,19
を連結するとともに、前記水平連結部51との間に角穴37
（第２図）が形成され、ローラ38が軸53及びナット39等
により水平軸回りを回転可能に軸支されている。40は突
出部で、前記垂直連結部36から反フィルム側へ突出して
形成され、１対のローラ41,41が軸54及びナット42等に
より垂直軸回りを回転可能に軸支されている。

また、前記起立部19との間に間隙43を形成し、同間隙43
は前記角穴37と連結している。44はリンクプレートで、
ボルト60によりクリップ台４に固定されるとともに、ロ
ーラチェン５にピン45等により連結されている。46はロ
ーラで、リンクプレート44から突出した台44aに軸55、
ナット47等により垂直軸回りを回転可能に軸支されてい
る。

61,62,63,64はスナップリングで、前記各ナット34,39,4
2,47が弛み、外れた場合にも各ローラ33,38,41,46が脱
落しないよう軸52,53,53,55にはめ込まれている。

前記水平連結部51はローラ33を覆い、案内レール13′を
構成する複数枚の圧延薄板鋼板65,66,67,68面に付いて
いる潤滑油等の異物がローラ33の転動による遠心力で飛
ばされてフィルム16に付着するのを防止している。案内
レール13′は前記の如く複数枚の圧延薄板鋼板を積層し
たもので剛性を有し、本体ケース49と一体にされた固定
部材50にキー28、押え板48、ボルト35により垂直状態に
固定され上部は前記間隙43内に遊嵌されて１個のローラ
38がその上面上を転動するとともに他のローラ33,41,4
1,46とは適当な間隔を有している。

第４図における２点鎖線で示す斜線部56はローラ38の転
動面を示す。なお、案内レール13′のフィルム16側に配
設された上下２個のローラ33,46は案内レール13′に対
して同じ間隙をもって配置されている。

また、案内レール13′を構成する上記各圧延薄板鋼板6
5,66,67,68は、第４図に示す如くそれぞれ継目65a,66a,
67a,68aを有している。案内レール13′側面を構成する
圧延薄板鋼板65,68の継目65a,68aとその内側に位置する
圧延薄板鋼板66,67の継目66a,67aとはクリップ本体18の
進行方向にずれて第６図でも明らかなように大きく離れ
た位置に設けられている。

更に、案内レール13′の側面に位置する圧延薄板鋼板6
5,68側部継目には、上部で案内レール13′を挟むローラ
33,41,41が転動する部位にラップ部65b,68bを、また下
方に位置するローラ46が転動する部位にもラップ部65c
をそれぞれ設ける。第５図において、２点鎖線の斜線部
57,58は上記フィルム16側に配設されたローラ33,46の転
動面を、点線の斜線部59は反フィルム16側に配設された
ローラ41,41の転動面をそれぞれ示す。

また各圧延薄板鋼板の各継目部65a,66a,67a,68aの角部
はそれぞれ面取り加工部65d,66d,67d,68dとされ、各圧
延薄板鋼板の角部が上面に突出しないようになってい
る。

次にその作用について説明すると、クリップレバー21と
ライナ８との間にフィルム16を把持した状態で、クリッ
プ本体18が案内レール13′に沿って走行する場合には、
フィルム16の水平方向引張力は、反フィルム16側のロー
ラ41,41によって受け持たれるとともに、下方フィルム1
6側のローラ46によってクリップ本体18全体の倒れを防
止する。

またテンタの出口において、クリップレバー21の上部レ
バー部21aに図示しないオープナが係合して、第１図に
示す状態にあって押圧装置26の付勢力に抗してクリップ
レバー21を反時計方向へ回動し、下部レバー21bのエッ
ジ32と、ライナ８との間のフィルム16の耳部の把持を解
き、フィルム16を解放する。

クリップレバー21は下部レバー21bの下端を、起立部19
に当接させて停止するが、この際押圧装置26はスプリン
グピン30を軸として時計方向に回動して死点を過ぎた
後、フィルム16の解放状態を維持する。フィルム解放状
態では、前記したフィルム16による水平方向引張力が作
用せずに、ローラチェン５の走行によってクリップ本体
18等の走行装置は横振れを起こそうとするが、全ローラ
33,41,41,46のうち常に３個以上のローラでクリップ本
体18等からなる走行装置の案内をするため安定した走行
状態が得られる。

以上は、既述した先行技術である第７図〜第11図に示す
実開昭59−107219号公報に示す考案と同一であるが、本
実施例の案内レール13′は薄板鋼板を複数枚用い、その
案内レールの上面が外側部の薄板鋼板の継目65a,68aを
内側部の薄板鋼板の各継目66a,67aの位置をずらせて配
置することにより、案内レール上面を走行するローラ38
には次のような走行状態が得られる。

いま、第６図に於いて、図の左側から右側の矢印方向に
クリップ本体18等が走行しているとき、ローラ38は案内
レール上面の70の位置では全圧延薄板鋼板上に乗り、そ
の後内部薄板鋼板の継目66a,67dを有する71の位置で
は、外側に位置する薄板鋼板65,68の上に、更にこれを
通過して72の位置では再度全薄板鋼板上を転動し、続く
外側部の薄板鋼板65,68の各継目65a,68aを有する73の位
置では内部の薄板鋼板66,67上に、次の74の位置では全
薄板鋼板上へとそれぞれ連続的に衝撃もなく円滑に移行
する。

その結果、ローラの耐久性が向上すると共に騒音、振動
が緩和されることにより走行速度も大幅にアップでき
る。

（考案の効果） 以上、詳細に説明した如く本考案によれば、テンタクリ
ップ走行用案内レールとして圧延薄板鋼板を用いること
により、案内レールのローラ走行面の加工工数を削減出
来る上に、各薄板鋼板の継目を厚み方向において外側板
材の継目位置と内部板材の継目位置をクリップの進行方
向に大きくずらして大きく離すと共に、前記各圧延薄板
鋼板の角部が上面に突出しないように各継目部の角部に
それぞれ面取り加工部を形成するようにしたことによ
り、案内レールの上面でクリップ進行方向に段差が生じ
ることがなく、クリップの走行が円滑に行われるように
なり、またクリップが継目部を通過する際に、同継目の
ローラとの係合によって生じるクリップの振動や、騒音
の発生源を拡散することができる。その結果、ローラの
耐久性が向上すると共に、騒音・振動が緩和されクリッ
プの走行速度を大幅に上げることが可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示すテンタクリップ走行装置
の正面図、第２図は第１図のII矢視図、第３図は第１図
におけるクリップレバー押圧装置の詳細図、第４図は第
２図における案内レールの詳細図、第５図は第４図のＶ
矢視図、第６図は同案内レールの斜視図、第７図は従来
のテンタクリップ走行装置の平面図、第８図は第７図に
おけるVIII矢視図、第９図は第７図におけるIX矢視図、
第10図は第７図の要部平面図、第11図は第10図のXI矢視
図である。 図の主要部分の説明 13′……案内レール 18……クリップ本体 33,38,41,46……ローラ 65,66,67,68……（圧延）薄板鋼板 65a,66a,67a,68a……継目

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】フィルムを把持して走行するクリップ本体
   と、同本体の走行を案内する継目を有する垂直配列の案
   内レールと、同クリップ本体の自重、横振れ及び水平方
   向引張力を夫々受け持つように同本体の前記案内レール
   の上部及び側部に対向して設けられたローラとを有する
   テンタクリップ走行装置において、前記案内レールは複
   数枚の圧延薄板鋼板を用い、同各鋼板をクリップの進行
   方向に間隔を設けて配置することで継目部を形成し、同
   鋼板のうち両側に位置する外側板材の同継目の位置と、
   内側に位置する内部板材の同継目の位置とをクリップの
   進行方向にずらして大きく離すと共に、前記各圧延薄板
   鋼板の角部が上面に突出しないように各継目部の角部に
   それぞれ面取り加工部を形成することにより、案内レー
   ルの上端面でクリップ進行方向に段差が生じないように
   したことを特徴とするテンタークリップ走行用案内レー
   ル。