JPH0732375U - 熱交換器用コルゲート管 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱交換器用コルゲート管の長手方向での熱伝
達率のバラツキを是正する。 【構成】 熱輸送媒体を一定方向に流す熱交換器用コル
ゲート管１において、コルゲートのピッチｐが熱輸送媒
体２の上流側ほど大きく形成されている。したがって下
流側では、放熱もしくは吸熱による内外の温度差が小さ
くなるが、コルゲートによる表面積の増大効果や熱媒体
の乱流状態が、上流側に比較して促進されているから、
温度差が小さいことによる熱伝達率の低下が補われ、そ
の結果、コルゲート管１の全体としての熱伝達率が均一
化される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、熱交換器において熱輸送媒体を流すために使用されるコルゲート 管に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

例えば温水循環式融雪システムにおける放熱器としてコルゲート管が使用され ている。周知のようにコルゲート管は、その周壁部を波状に湾曲させたパイプで あって、可撓性に優れ、また周壁部を波状に形成されていることにより、表面積 が広いなどの利点があり、上述した熱交換器などに多用されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

この種の放熱器に例えば融雪用の温水を流した場合の温水と外気もしくはパイ プの外面側の雪との間の熱交換量、すなわち温水から外部への熱伝達量は、温水 の流れる状態および内外の温度差あるいは熱伝達面積などによって大きく異なる 。例えば一定温度に加熱した温水をコルゲート管に一定方向から流した場合、温 度の高い上流側においては、温水からコルゲート管の外部への熱伝達量が、内外 の温度差が大きいことにより多くなり、これに反して下流側においては、温水温 度が低下して内外の温度差が小さくなることにより、熱伝達量が少なくなる。

【０００４】 したがって温水式融雪システムにおける放熱器においては、上流側において融 雪量が多く、下流側においては融雪量が少なくなる不都合があり、このような融 雪量の相違を是正するために温水の循環経路に工夫を凝らしたり、あるいは温水 の流れ方向が互いに反対となる２本の温水管を平行に配置するなどの複雑な構成 あるいは制御を必要とする不都合があった。

【０００５】 この考案は上記の事情を背景としてなされたもので、熱伝達率を軸線方向にお いて可及的に均一ならしめることのできる熱交換器用コルゲート管を提供するこ とを目的とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

この考案は、上記の目的を達成するために、熱輸送媒体を一定方向に流す熱交 換器用コルゲート管において、コルゲートのピッチが前記熱輸送媒体の上流側ほ ど大きく形成されていることを特徴とするものである。

【０００７】

【作用】

この考案における熱交換器用コルゲート管においても、温水あるいは冷媒など の熱輸送媒体は、一定方向に流される。そしてこの考案おけるコルゲート管では その熱輸送媒体の上流側においてコルゲートのピッチが大きくなっているから、 上流側においては、熱交換面積が下流側よりも小さく、また乱流状態も生じにく い。したがって上流側における熱伝達率が下流側に比較して低く抑制され、その ため上流側における熱伝達率が小さくなるので、上流側での熱媒体と外部との熱 交換量が少なくなり、これに比較して熱輸送媒体と外部と温度差が小さくなる下 流側においては、コルゲートのピッチが小さくなることによる表面積の増大およ び乱流状態の促進によって熱伝達率が高くなるので、温度差の減少に伴う熱交換 量の減少を抑制する。その結果、コルゲート管の長手方向での全体としての熱交 換量は、より均一化される。

【０００８】

【実施例】

つぎにこの考案の実施例を図面を参照して説明する。図１はこの考案にかかる コルゲート管１を示す模式的な断面図であって、このコルゲート管１はステンレ スや胴などの金属によって形成されており、所定の熱交換器（図示せず）に組み 込まれて図における左側から右側に温水などの熱輸送媒体２を流すように使用さ れる。そして図に示すように、このコルゲート管１の上流側の所定長さの部分は 、コルゲートのないほぼ直管として形成され、それに続く部分は、ピッチｐの大 きいコルゲートが形成されている。このコルゲートのピッチｐは、図１の右方向 における熱輸送媒体２の下流側において次第に小さく設定されており、図１の最 下流側では最も小さくなっている。

【０００９】 図１に示すコルゲート管１は、例えば温水を熱輸送媒体２とした融雪用放熱器 として用いられ、積雪時にその上流側から温水を流した場合、その温水と外部の 雪との温度差が上流側で最も大きくなる。しかしながらコルゲート管１の上流側 においてはコルゲートのピッチｐが大きいことにより、温水は上流からわずかな 乱流状態に変化するが、その程度が低く、しかもコルゲートのピッチｐが大きい ことによる表面積の増大効果が少ないことにより、温水と外部の雪との間の熱伝 達率は所定の値以下に設定される。

【００１０】 コルゲート管１の中を流れる温水は下流側に流れて行くに従って放熱すること により温度が次第に下がり、内外の温度差が次第に小さくなる。これに対してコ ルゲート管１の下流側では、コルゲートのピッチｐが小さいことにより、表面積 が拡大されており、しかも温水の乱流状態が増大する。その結果、下流側では、 温水から外部の雪への熱伝達率は上流側に比較して大きくなり、内外の温度差の 減少に伴う熱伝達率の低下を補うことになる。

【００１１】 すなわち上流側では、温度差が大きいが、表面積や乱流状態が下流側に比較し て小さく、これに対して下流側では温度差が小さいものの表面積や乱流状態が増 大されているから、結局、コルゲート管１全体としての熱伝達率は、上流側と下 流側とでは等しく、もしくはほぼ等しくなる。そのためコルゲート管１の外部に ある雪の受ける熱量は、コルゲート管１の軸線方向の全体に亘ってほぼ均一化さ れ、コルゲート管１の軸線方向において融雪量に差が生じることはない。

【００１２】 なおこの考案は、上記の実施例に限られるものではないのであって、熱輸送媒 体は、温水でなくてもよく、冷却用の熱交換器に使用される場合には、冷媒をコ ルゲート管の内部に熱輸送媒体として流してもよい。またコルゲート管の外径は 、上流側と下流側とで等しくなくてもよく、下流側で径を大きくして熱輸送媒体 の流速を低下させるようにしてもよい。

【００１３】

【考案の効果】

以上の説明から明らかなようにこの考案によれば、コルゲートのピッチを上流 側で大きくし、下流側で小さくしたので、その全体としての熱伝達率を均一化す ることができ、内部を流れる熱輸送媒体の温度変化に起因する放熱量もしくは吸 熱量の上流側と下流側とでのバリツキを是正することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例を模式的に示す断面図であ
る。

【符号の説明】

１…コルゲート管、 ２…熱輸送媒体、 ｐ…ピッチ。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 石井 慎二 北海道千歳市泉沢1007番地151 株式会社 北海道フジクラ内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 熱輸送媒体を一定方向に流す熱交換器用
   コルゲート管において、コルゲートのピッチが前記熱輸
   送媒体の上流側ほど大きく形成されていることを特徴と
   する熱交換器用コルゲート管。