JPH0731206U - オイルホール付ボーリングバー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 切削工具の刃先部の冷却と潤滑を効果的に行
う。 【構成】 先端部に切削工具２備えた軸部３の後端部
に、シャンク等を介して機械の主軸端に嵌着される嵌着
部４を備え、かつ前記軸部３に前記嵌着部端４Ａから先
端部の切削工具２側に通じるオイルホール５を備えたボ
ーリングバー１であって、前記オイルホール５の先端部
開口５に、オイル噴射孔８を備えた球体７を回動可能に
嵌装し、前記噴射孔８に棒状回動工具を挿入して球体７
を強制的に回動し、オイル噴射方向を変更自在とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、工作機械で穴ぐり切削加工を行うためのオイルホール付ボーリング バーに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、工作機械で穴ぐり切削加工、即ちすでに工作物に明けられた穴を、切削 工具を用いて所望の寸法にくり広げる中ぐり（ボーリング）加工において、図７ に例示するように、先端に切削バイト１１を着脱自在に備えた軸部３後端部に、 シャンク１２又はスペーサ等が装着される嵌着部４を備えたボーリングバー１が 使用されている。

【０００３】 そして、該ボーリングバー１の軸部３には、前記嵌着部４端から先端部の切削 バイト１１側に通じるオイルホール５を備えており、シャンク１２に設けられた 給油路５’にオイルホール５が連通し、オイルホール５の先端開口から切削バイ ト１１に向けてオイル（切削油）を噴射するようになっている（例えば実公平２ −２６６０４号公報参照）。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、上記従来技術では、ボーリングバー１の先端に設けられたオイルホ ール開口は、一定の方向に向いているため、穴ぐり径が変わって切削バイト１１ の先端位置が変動すると、切削バイト１１の先端部にオイルが噴射されず、刃先 部の冷却と潤滑を効果的に行うことができない。したがって、切削バイト１１の 耐用寿命を延ばすと共に穴ぐり加工仕上げ面を良好にすることができないという 問題がある。

【０００５】 本考案は、上述のような問題点に着目してなされたもので、その目的とすると ころは、切削工具の刃先部の冷却と潤滑を効果的に行いうるオイルホール付ボー リングバーを提供するにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案では、上記目的を達成するために、次の技術的手段を講じた。 即ち、本考案は、先端部に切削工具を備えた軸部の後端部に、シャンク等を介 して機械の主軸端に嵌着される嵌着部を備えたボーリングバーにおいて、 前記軸部に前記嵌着部端から中間部又は先端部の切削工具刃先側に通じるオイ ルホールを設け、該オイルホールの先端部開口にオイル噴射孔を備えた球体が回 動可能に嵌装されていることを特徴としている。

【０００７】

【作用】

本考案によれば、工作物の穴ぐり径に対応して調整された切削工具の刃先部に 、オイルが確実に衝当するように、オイルホール先端部開口に嵌装した球体のオ イル噴射孔に棒材を挿入して球体を強制的に回動させ、前記オイル噴射孔の向き （噴射方向）を自在に変えることができる。したがって、穴ぐり径の大小変更寸 法差が大きくても、容易にかつ適正にオイル噴射孔の向きを調整して対応できる 。

【０００８】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づき説明する。 図１〜図３は本考案の第１実施例を示し、ボーリングバー１は鋼製で、先端部 に軸芯に対して斜めに切削工具２を備えた軸部３の後端部に縮径された嵌着部４ を備え、該嵌着部４をシャンク（図７の符号１２参照）等を介して機械の主軸端 （図示省略）に嵌着するようになっている。

【０００９】 そして、前記軸部３の軸芯部に嵌着部４の後端面４Ａから中間部を経て切削工 具２の装着面３Ａ即ち刃先側に開口５Ａするオイルホール５が貫通状に設けられ ており、前記開口５Ａは拡径されてスリーブ６を介して球体７が回動可能に嵌装 されている。該球体７には、オイル噴射孔８が貫通状に設けられており、該噴射 孔８に図３に示す棒状回動工具９を挿入して、強制的に回動させることにより、 球体７が自在に回転して前記噴射孔８の向きを任意に変えうるようになっている 。

【００１０】 また、前記軸部嵌着部４外周には、ボーリングバー１をシャンク等に固定する 固定具嵌入係止用テーパ孔１０が設けられている。 前記切削工具２は、従来公知のもので、先端に切削バイト（スローアウエイチ ップ）１１を交換可能に取付けたカートリッジ１２と、ダイヤルリング１３と、 保持リング１４等から成っており、固定ねじ１５によりカートリッジ１２を軸部 ３に固定するようになっている。そして、穴ぐり径の変更は、固定ねじ１５を緩 めてダイヤルリング１３を回転させることにより、カートリッジ１２を図１に矢 印（イ）で示す方向に出退させて行うようになっている。

【００１１】 上記第１実施例において、切削バイト１１の出退によって刃先部１１Ａの位置 が変わった場合は、図３に示す回動工具９の先端部を球体７のオイル噴射孔８に 挿入し、図３に矢印（ロ）、（ハ）で示す方向に球体７を回動して、そのオイル 噴射孔８の向き（噴射方向）を前記刃先部１１Ａに向け、該噴射孔８から噴出し たオイル流が、切先部１１Ａに確実に当たるようにすることによって、切削バイ ト１１刃先部１１Ａを効果的に冷却し、かつ良好に潤滑して切削仕上面を精度よ くきれいに仕上げ、また切削バイト１１の寿命を長くすることができる。

【００１２】 図４は本考案の第２実施例を示し、第１実施例と異なるところは、ボーリング バー１の軸部３の先端部に軸芯と平行な切削工具装着面３Ａが形成され、これに 続く弯曲面３Ｂ（即ち刃先側）にオイルホール開口５Ａが設けられた点であり、 第１実施例と同等の効果を奏する。従って、図１と同符号を付し、詳細説明は省 略する。

【００１３】 図５、図６は本考案の第３実施例を示し、第１実施例と異なるところは、ボー リングバー１がバー本体１Ａとヘッド１Ｂとから成り、バー本体軸芯とヘッド軸 部３軸芯が同一線上にあり、バー本体１Ａの先端に切削バイト１１を備え、バー 本体１Ａがヘッド１Ｂに対して半径方向に移動可能とされ、ダイヤルリング１３ がヘッド１Ｂの軸部３に装着されている点であり、ヘッド１Ｂと軸部３は同一構 造である。

【００１４】 第３実施例は、比較的小径（φ３〜５０ｍｍ）の穴ぐりに適し、第１実施例と 同等の作用効果が期待できる。したがって、第１実施例と共通する構造について は、図１と同符号を付し、詳細説明を省略する。 本考案は上記実施例に限定されるものではなく、適宜設計変更することができ る。

【００１５】

【考案の効果】

本考案は、上述のように、先端部に切削工具を備えた軸部の後端部に、シャン ク等を介して機械の主軸端に嵌着される嵌着部を備えたボーリングバーにおいて 、 前記軸部に前記嵌着部端から中間部又は先端部の切削工具刃先側に通じるオイ ルホールを設け、該オイルホールの先端部開口にオイル噴射孔を備えた球体が回 動可能に嵌装されていることを特徴とするものであるから、穴ぐり径の変更に伴 う刃先部の移動位置に対応して、オイルを刃先部に適確に供給でき、刃先部の冷 却と潤滑を効果的に行い、切削工具の耐久性の向上及び穴ぐり仕上げ精度の向上 を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１実施例を示す一部破断正面図であ
る。

【図２】図１のＡ矢示図である。

【図３】図１のＢ部拡大図である。

【図４】本考案の第２実施例を示す正面図である。

【図５】本考案の第３実施例を示す一部破断正面図であ
る。

【図６】図５のＣ−Ｃ線に沿う断面図である。

【図７】従来例を示す正面図である。

【符号の説明】

１ ボーリングバー ２ 切削工具 ３ 軸部 ４ 嵌着部 ４Ａ 嵌着部端 ５ オイルホール ５Ａ 先端部開口 ７ 球体 ８ オイル噴射孔 １１ 切削バイト １１Ａ 刃先部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 先端部に切削工具を備えた軸部の後端部
   に、シャンク等を介して機械の主軸端に嵌着される嵌着
   部を備えたボーリングバーにおいて、 前記軸部に前記嵌着部端から中間部又は先端部の切削工
   具刃先側に通じるオイルホールを設け、該オイルホール
   の先端部開口にオイル噴射孔を備えた球体が回動可能に
   嵌装されていることを特徴とするオイルホール付ボーリ
   ングバー。