JPH0724549A - 自動車用ホイールの製造方法および自動車用ホイール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 リム部、ハブ部、およびリム部とハブ部とを
連結する半径方向支持部材を具えた自動車用ホイールを
金属鋳物で一体鋳造する場合、複数の中子をホイールの
軸方向に重合してリム部および／または半径方向支持部
材を鋳造するためのキャビティを形成し、中子の分割面
をホイール軸に垂直とする鋳型を成形して、該鋳型キャ
ビティに金属溶湯を注入、充填し、金属鋳物からなる一
体ホイールを得る。 【効果】 寸法精度が良く回転バランスに優れ、鋳型の
継ぎ目がなく機械仕上げが不要な一体鋳物からなる自動
車用ホイールが提供される。とくにアルミニウム合金の
一体鋳物を製造するのに好適である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動車用ホイールの製
造方法および自動車用ホイール、詳しくは、金属とくに
アルミニウム合金から、リム部、ハブ部、およびリム部
とハブ部とを連結する半径方向支持部材を具え、乗用
車、トラック、オートバイなどの陸上車両用として適し
た自動車用ホイールを一体鋳造する方法および当該鋳造
方法によって製造された特定構造の自動車用ホイールに
関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、アルミニウム合金からなる自動車
用ホイールは、リム底形状が特殊形状である理由から、
リム底部の領域に対し、２つあるいは多数に分割され半
径方向に開放可能になっている鋳型を使用して鋳造され
ていた。しかしながら、この方法で鋳造される精密鋳物
は、正確な転がり、均一な肉厚などに関して問題点が少
なくなく、形成された鋳物に費用のかかる機械仕上げを
行うことが要求されている。

【０００３】また、ファンリング、トリムカバーなど取
り付けられるべき全ての部品、とくに例えば空気導入用
のトリムカバーは、別部品として製造され、例えばボル
ト結合によって鋳物ホイール本体に取り付けられてい
る。さらに、機械仕上げおよび付加部品の取り付け後、
付加的な仕上げが自動車ホイールの回転バランスをとる
ために必要とされている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、自動車用ホ
イールを一体鋳造する場合の上記従来の問題点を解消す
るためになされたものであり、その目的は、最初から精
密度の高い自動車用ホイール鋳物を製造できる鋳造方法
を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明による自動車用ホイールの製造方法および自
動車用ホイールは、リム部、ハブ部、およびリム部とハ
ブ部とを連結する半径方向支持部材を具えた自動車用ホ
イールを金属鋳物で一体鋳造する方法において、複数の
中子を軸方向に重合してリム部および／または半径方向
支持部材を鋳造するためのキャビティを形成し、該中子
の分割面をホイールの軸に対して垂直とした鋳型を成形
し、該鋳型のキャビティに金属溶湯を注入、充填するこ
とを製造方法構成上の特徴とし、リム部、ハブ部、およ
びリム部とハブ部とを連結する半径方向支持部材を具
え、金属鋳物で一体に鋳造された自動車用ホイールにお
いて、半径方向支持部材がホイールの円周方向に平行し
て設けた２つの部材で形成されていることをホイール構
成上の特徴とする。

【０００６】本発明によれば、鋳型は複数の中子から形
成され、該中子は互いに軸方向に重合され、実質的にリ
ング状リムおよび／またはディスクの形状を形成する。
これらの中子の分割面はホイール軸に実質的に垂直にな
る。

【０００７】本発明の方法は、鋳型が実質的にリング状
リムおよび／またはディスクの形状を呈し互いに軸方向
に重合した複数の中子に分割できるよう構成することに
よって、軸方向にセンターリングが達成され、信頼性の
ある正確な転がり性および均一な肉厚を具えた精密鋳物
が製造できるという利点を有する。これに関連して、冷
却したとき固化する流動性鋳型材料から鋳鉄製中子を製
造する中子鋳造技術から知られているいるように、鋳型
の個々の部分が非金属鋳型材料から成形される鋳型製作
方法が好ましい方法として使用される。

【０００８】本発明の方法によれば、個々の中子が少な
くとも２つの鋳型からなる中子鋳型で個々に造型され、
各中子の造型工程が完了した後、各中子鋳型が開かれ
る。従って、各中子は中子鋳型と結合したままの状態に
なっており、鋳造用鋳型を形成するために互いに重合さ
れる個々の中子は、中子鋳型に結合した状態で特定の相
対移動を行うことにより互いに重合する。このため高精
密鋳造が可能となる。

【０００９】互いに重合される個々の中子のセンタリン
グは、中子それ自身によってなされるのではなく、むし
ろ中子鋳型、言い換えれば中子の造型機の関連部によっ
て行われるため、正確な重合を達成することができる。
本発明の方法においては、中子の支持およびセンタリン
グエレメントとしての役割を果たす当該中子と対応する
中子鋳型は、鋳造鋳型を完全に組み立てるに必要な重合
作業が全て終了するまで、中子と結合したままになって
いる。

【００１０】本発明の方法において、中子を互いに重合
するために必要な幾何学的配列およびそのための中子の
相対的移動は、ホイールの軸方向にのみ行われることが
できる。その結果、高品質の精密鋳物が得られる。好ま
しい方法として使用される冷却造型方法において、鋳型
材料または中子砂の固化は温度によってではなく、化学
触媒によってなされる。各造型機の鋳型部は、実際上同
じ温度になっており、従って、個々の鋳型部の寸法には
熱膨張による差が生じない。また、個々の鋳型部はガイ
ドおよび互いに整列されるセンターリング表面を具え、
造型は正確に行われるから、最終的に鋳造された鋳物に
は、実際上鋳型の継ぎ目が生じないか最小限のきわめて
僅かな継ぎ目が形成されるに過ぎない。

【００１１】造型の正確性は、毎回新しく作製され且つ
正確に組立てなければならない鋳造鋳型の個々の中子に
依存するものではない。正確な造型は、リムリング、ハ
ブ部およびこれらを一体に結合する半径方向支持部材か
らなるタイプの自動車用ホイールを鋳造することを可能
にする。半径方向支持部材はディスク形状および／また
はスポーク形状とすることができる。

【００１２】本発明による造型および鋳造方法はまた、
ファンブレードとしてデザインされ、軸方向においてハ
ブ面に関し傾斜したスポーク形状の半径方向支持部材を
提供することを可能にする。この目的に対して必要とさ
れる中子は、デザインにより２つの中子で十分であり、
実質的にディスク形状とされ、互いに向き合う２つの中
子の表面は付加的な突起またはノッチを有したものであ
り、従ってデザイナーは半径方向支持部材の形状をデザ
インするにあたって広範囲の自由度を与えられる。この
ように、本発明による方法においては、通風性のある自
動車用ホイールを一体鋳造することも可能である。

【００１３】本発明は、また、本発明の方法により鋳造
されたリムリングおよび半径方向支持部材により連結さ
れたハブ部を具えた金属とくにアルミニウム製の自動車
用ホイールに関する。本発明の自動車用ホイールは、リ
ムリング、半径方向支持部材およびハブ部が一体の鋳物
で成形されていることを特徴とする。

【００１４】本発明の１つの好ましい実施例において
は、少なくとも部分的にスポーク形状でファンブレード
としてデザインされた半径方向支持部材を具えている。
これにより、ファンブレードの付加的リングを製造して
組み込む必要がなくなる。

【００１５】本発明による自動車用ホイールのもう１つ
の好ましい実施例においては、円周方向に平行に配列さ
れた２つの半径方向支持部材を具えている。このデザイ
ンは、半径方向支持部材を実質的にディスク形状とする
ことも、また実質的にスポーク形状とすることも可能で
ある。このデザインの利点は、リムリングとハブ部の連
結が実質的に二重壁でなされるから、いわゆる広幅タイ
ヤ用の自動車用ホイールにおいてとくに重要とされるき
わめて高い寸法安定性が達成されるということである。

【００１６】本発明のもう１つのデザインにおいて、半
径方向支持部材がディスク形状および／またはリング形
状に成形され、互いに半径方向にファンブレードにより
結合される。この配列により、増加された寸法安定性に
加えて、半径方向支持部材におけるこの部分はいわゆる
チャンネルホイールの形状となり、旋回ファンホイール
のようになるため、通気効果が良好となる。この利点は
各部材の配列が一体になされている結果として生じるも
のである。

【００１７】

【作用】本発明の構成によれば、複数の中子を軸方向に
重合してリム部および／または半径方向支持部材を鋳造
するためのキャビティを形成し、中子の分割面をホイー
ル軸と垂直として、中子鋳型で造型された各中子を中子
鋳型に結合したまま相対的に移動させて互いに重合する
ため、ホイール軸方向の正確なセンターリングが達成さ
れ、各中子の結合も強固に行われて、寸法精度が良好で
回転バランスが優れ、鋳型の継ぎ目のない自動車用ホイ
ールが得られる。

【００１８】

【実施例】以下、図面により本発明の実施例を説明す
る。 実施例１ 自動車用ホイールの鋳造鋳型は、ホイールに多くのアン
ダーカットがあるために、複数の実質的にリング形状お
よび／またはディスク形状の中子から組み立てられなけ
ればならない。個々の中子は特定の造型機により成形さ
れ、互いに結合される。図１は４個の中子からなる鋳造
鋳型を使用する本発明の方法のフローチャートを示すも
のである。製造される自動車用ホイールの構造を図２に
示す。

【００１９】この方法において、第１の中子３が、２つ
の中子鋳型１、２からなる鋳型ボックスを具えた中子造
型機Ａを使用して、例えば冷却造型法、化学触媒で固化
する砂型法など通常の方法により製作される。第１の中
子３と組み合わされるよう成形された中子４は、鋳型
５、６からなる中子鋳型を具えた第２の中子造型機Ｂを
使用して製作される。２つの中子３、４が成形される
と、中子鋳型が開かれ、中子３は中子造型機Ａの中で鋳
型１に結合したまま第１の組立位置Ｃにもたらされる。

【００２０】つぎに、中子３と対応する中子４が、鋳型
ボックスが開いた後も鋳型５と結合したままで中子造型
機Ｂから第１の組立位置Ｃに移動して中子３の上方にセ
ットされ、ついで中子３と中子４とを組み合わすため
に、中子４が中子３の位置まで降下し、あるいは中子３
が中子４に位置まで上昇する。

【００２１】同様に、中子１４および中子１６が中子造
型機Ｄ、Ｅ（詳細は図示せず）により製作され、鋳造鋳
型を完成するためにすでに組み合わされた中子３、４の
上に配設される。組立位置Ｆにおいて、完成された鋳造
鋳型が全工程の間センタリングおよびガイドとしての役
割を果していた鋳型１から分離され、鋳造位置Ｇに移動
し、鋳造鋳型のキャビティにアルミニウム合金などの金
属溶湯を注入して鋳造が行われる。冷却後、鋳造鋳型は
破壊されて鋳造された自動車用ホイールが取り出され
る。この工程によって製造された自動車用ホイールに
は、中子の結合精度が高いため鋳型の継ぎ目が生じな
い。

【００２２】図１は鋳造鋳型を製作する工程を単に理論
的に示したものであり、図２にリング形状および／また
はディスク形状の中子の組み合わせにより組立てられた
鋳造鋳型の軸方向断面を示す。自動車用ホイールの基本
形状は、図２に示す完成された鋳型の鋳型キャビティ７
に示される。鋳造される自動車用ホイールは、実質的に
リムリング８、ハブ部９、これらを連結するディスク形
状または複数の放射状スポーク形状の半径方向支持部材
１０からなる。

【００２３】図１により理論的に説明された方法に基づ
いて、リング状中子４は底部中子３の上に配置され、中
子４が実質的にリムのウエル部の形状を決定する。中子
３、４は、互いに直線状に配列されたピンおよび／また
は窪み１５を具え、これらのピン、窪み１５により、組
立ての間中子が互いに軸方向（矢印１３）に強固に結合
する。組立て作業における両鋳型の整列およびセンター
リングは、２つの中子のピンおよび／または窪みによっ
ては影響されず、対応する機械フレーム上に導かれ中子
に結合したままになっている中子の鋳型によって行われ
る。

【００２４】実質的にディスク形状の中子４は、ついで
底部中子３の上に配置され、中子４は、中子３に形成さ
れた対応するセンターリングピン１１によりセンターリ
ングされ、実質的に半径方向支持部材１０およびリムリ
ング８の内面形状に対する鋳型キャビティを決定する。
半径方向支持部材１０に形成されるスポーク間隙または
通風孔は、ノッチ１２を調整することにより形成され
る。２つの中子３、４はホイール軸（矢印１３）の方向
に互いに重合され、これら２つの中子３、４のセンター
リングは、中子自身によって達成されるのではなく、組
立作業の間中子と結合したままになっている中子鋳型に
よって達成され、これらの中子鋳型は互いに正確に適当
な機械フレーム内に導かれる。

【００２５】鋳型はついでディスク形状の中子１６によ
り完全にシールされる。図２はこの種の単純化された形
状の鋳造鋳型を示す。例えば、リムのウエルの形状によ
っては、リング形状の中子１４を少なくとも２つのリン
グ部に分割することを必要とする。これは内部を形成す
るディスク形状の中子４についても同様である。

【００２６】図４、図５は、スポーク形状で、スポーク
が図５に示すようにホイール面に角度をもって配設され
た半径方向支持部材１０を示したものである。この種の
ホイールにおいては、半径方向支持部材１０は自動車ホ
イールに付随するディスクブレーキの強制通風用ファン
ブレードとして役立つ。

【００２７】この発明に従う方法によれば、ハブ部９お
よびリムリング８とともに半径方向に形成されたロータ
ーブレードを有するディスク形状またはリング形状の半
径方向支持部材１０を具えた自動車用ホイールを一体鋳
造することにより製造することが可能となる。当該ホイ
ールには、ホイールカバーとして役立つカバーが取り付
けられる。カバーは自動車用ホイールをファンホイール
とする。本発明により取付られるカバーは鋳物により製
作されることができるので、組み合わされるホイールに
対して組み合わせの精密度の高い広範囲なデザインのも
のとすることができる。加えて、カバーはファンブレー
ドとして作用する適当なリブ形状の突起を具えたものと
することもできる。

【００２８】図４は、ファンブレードとしてデザインさ
れたスポーク形状の半径方向支持部材に加えて、ハブ部
から遊離して突出している付加的なファン１７をリムリ
ングの内面部に一体鋳物として鋳造することが可能であ
ることを示す。

【００２９】実施例２ 図２に示す鋳型の変形例として、本発明の方法により、
図３に示すようにハブ部９と互いに平行に間隔を置いて
配設された２つの半径方向支持部材１０．１、１０．２
によって連結されたリムリング８を具えたアルミニウム
合金製の一体の自動車用ホイールを鋳造することもでき
る。図３に示す実施例においては、半径方向支持部材１
０．１、１０．２がスポーク形状に形成され、スポーク
の２つの平行な列が互い違いに配列されている。ディス
ク形状の中子を正確にセンターリングするとともに重合
させるために役立つ開口部の配列において、半径方向支
持部材１０．１，１０．２はまたディスク形状に形成さ
れることができ、この種の複雑な構造部材は一体鋳物と
して製作されることができる。

【００３０】実施例３ 図２〜図５およびこれらの図の説明から明らかなよう
に、例えば図３に示すような形状を基本として、広範囲
のデザインおよびその組み合わせが提供される。例え
ば、図３による鋳型造型において、半径方向支持部材１
０．２を円環状に形成し、該円環状リングをその外端部
で直接リムリング８と当接させ、その内端部をハブ部９
から距離を置いた位置で終了させるようにすることが可
能である。一方、半径方向支持部材１０．１は、その内
端部がハブ部９に連結され、その外端部がリムリング８
の内表面部から距離を置いた位置で終了するようにした
円環状に形成する。上記リング形状の半径方向支持部材
１０．１、１０．２は、ついでファンブレードとして役
立つ軸方向に形成された適当なリブによって互いに強固
に結合される。これらの半径方向に形成されたリブの端
部は、ハブ部の９の外表面部およびリムリング８の内表
面部と結合しており、従って、半径方向支持部材が同時
にファンブレードとしてデザインされた一体の自動車用
ホイール鋳物が鋳造される。

【００３１】

【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば、寸法精
度が良好で回転バランスが優れ、鋳型の継ぎ目がなく機
械仕上げ不要な一体鋳物の自動車用ホイールが提供され
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の方法を示すフローチャートである。

【図２】リングおよびディスクを具えた自動車用ホイー
ルを鋳造するために使用される本発明の鋳型の垂直断面
図である。

【図３】二重壁の半径方向支持部材を具えた本発明の自
動車用ホイールの垂直断面図である。

【図４】スポーク形状の半径方向支持部材を具えた本発
明の自動車用ホイールの平面図である。

【図５】図４の半径方向支持部材をハブ部の方向に見た
断面図である。

【符号の説明】

１ 中子鋳型 ２ 中子鋳型 ３ 中子 ４ 中子 ５ 中子鋳型 ６ 中子鋳型 ７ キャビティ ８ リムリング ９ ハブ部 10 半径方向支持部材 10.1半径方向支持部材 10.2半径方向支持部材 11 センターリングピン 12 ノッチ 13 ホイール軸方向 14 中子 15 突起 16 中子 17 ファン Ａ 中子造型機 Ｂ 中子造型機 Ｃ 組立位置 Ｄ 中子造型機 Ｅ 中子造型機 Ｆ 組立位置 Ｇ 鋳造位置

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 リム部、ハブ部、およびリム部とハブ部
   とを連結する半径方向支持部材を具えた自動車用ホイー
   ルを金属鋳物で一体鋳造する方法において、複数の中子
   を軸方向に重合してリム部および／または半径方向支持
   部材を鋳造するためのキャビティを形成し、該中子の分
   割面をホイールの軸に対して垂直とした鋳型を成形し、
   該鋳型のキャビティに金属溶湯を注入、充填することを
   特徴とする自動車用ホイールの製造方法。
2. 【請求項２】 リム部、ハブ部、およびリム部とハブ部
   とを連結する半径方向支持部材を具え、金属鋳物で一体
   に鋳造された自動車用ホイールにおいて、半径方向支持
   部材がホイールの円周方向に平行して設けた２つの部材
   から形成されていることを特徴とする自動車用ホイー
   ル。