JPH0723400B2 - ヒトムチン性卵巣腫瘍に対するモノクローナル抗体及び該抗体を用いるヒト卵巣腫瘍の検出法 - Google Patents
ヒトムチン性卵巣腫瘍に対するモノクローナル抗体及び該抗体を用いるヒト卵巣腫瘍の検出法Info
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- JPH0723400B2 JPH0723400B2 JP4327065A JP32706592A JPH0723400B2 JP H0723400 B2 JPH0723400 B2 JP H0723400B2 JP 4327065 A JP4327065 A JP 4327065A JP 32706592 A JP32706592 A JP 32706592A JP H0723400 B2 JPH0723400 B2 JP H0723400B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヒト卵巣腫瘍に対して
特異的に反応する新規の抗ヒト卵巣腫瘍モノクローナル
抗体及び該モノクローナル抗体を用いたヒト卵巣腫瘍の
検出法に関する。
特異的に反応する新規の抗ヒト卵巣腫瘍モノクローナル
抗体及び該モノクローナル抗体を用いたヒト卵巣腫瘍の
検出法に関する。
【0002】
【従来の技術】種々のヒト腫瘍に対するマウスモノクロ
ーナル抗体は知られており、既に免疫組織学的診断なら
びに血清診断に応用されている〔Semin.Oncol., 11:26
4-274,1984, Cancer Res., 46:3225-3238, 1986, Am.
J.Pathol., 126:230-242, 1987, Adv.Cancer Res., 4
9:189-221, 1987, Adv.Immunol., 40:323-378, 198
7〕。さらにモノクローナル抗体を用いる癌患者の治療
も行われている〔Lancet,i:762-765, 1982, Proc.Nat
l.Acad.Sci., USA, 82:1242-1246, 1985 〕。卵巣腫瘍
に関しては、バストら〔Bast et al.〕が漿液性卵巣腫
瘍に主として存在する糖鎖抗原に反応するCA125モノク
ローナル抗体を報告している〔J.Clin.Invast., 68:13
31-1337, 1981 〕。CA125モノクローナル抗体で検出さ
れるCA125抗原は卵巣癌患者の血清診断に使われてい
る。またCA125抗原は、非ムチン性腫瘍、特に漿液性腫
瘍中にしばしば検出される抗原である〔Smin.Oncol., 1
1;264-274, 1984, N.Engl.J.MeD., 309:883-887, 198
3, Cancer.Res., 44:1048-1053, 1984 〕。免疫組織学
的分析でムチン性卵巣腫瘍に反応性を示すものが知られ
ている〔Cancer Res., 42:1650-1654,1982, Cancer Re
s., 45:2358-2362, 1985 〕が、ムチン性腫瘍に特異的
に強く反応する腫瘍マーカーは見出されていない。
ーナル抗体は知られており、既に免疫組織学的診断なら
びに血清診断に応用されている〔Semin.Oncol., 11:26
4-274,1984, Cancer Res., 46:3225-3238, 1986, Am.
J.Pathol., 126:230-242, 1987, Adv.Cancer Res., 4
9:189-221, 1987, Adv.Immunol., 40:323-378, 198
7〕。さらにモノクローナル抗体を用いる癌患者の治療
も行われている〔Lancet,i:762-765, 1982, Proc.Nat
l.Acad.Sci., USA, 82:1242-1246, 1985 〕。卵巣腫瘍
に関しては、バストら〔Bast et al.〕が漿液性卵巣腫
瘍に主として存在する糖鎖抗原に反応するCA125モノク
ローナル抗体を報告している〔J.Clin.Invast., 68:13
31-1337, 1981 〕。CA125モノクローナル抗体で検出さ
れるCA125抗原は卵巣癌患者の血清診断に使われてい
る。またCA125抗原は、非ムチン性腫瘍、特に漿液性腫
瘍中にしばしば検出される抗原である〔Smin.Oncol., 1
1;264-274, 1984, N.Engl.J.MeD., 309:883-887, 198
3, Cancer.Res., 44:1048-1053, 1984 〕。免疫組織学
的分析でムチン性卵巣腫瘍に反応性を示すものが知られ
ている〔Cancer Res., 42:1650-1654,1982, Cancer Re
s., 45:2358-2362, 1985 〕が、ムチン性腫瘍に特異的
に強く反応する腫瘍マーカーは見出されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、ムチ
ン性卵巣腫瘍と特異的に強く反応し、IgG1アイソタイプ
に属するモノクローナル抗体を提供すること、及びこの
モノクローナル抗体を用いたヒト卵巣腫瘍の検出法を提
供することにある。
ン性卵巣腫瘍と特異的に強く反応し、IgG1アイソタイプ
に属するモノクローナル抗体を提供すること、及びこの
モノクローナル抗体を用いたヒト卵巣腫瘍の検出法を提
供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下に示すモ
ノクローナル抗体、及び当該モノクローナル抗体を用い
ることを特徴とするヒト卵巣腫瘍の検出法である。 (1) ヒトのムチン性卵巣腫瘍細胞で免疫されたマウス脾
細胞とマウスミエローマ細胞とを融合して得られるハイ
ブリドーマによって産生され、以下の性質を有するモノ
クローナル抗体。
ノクローナル抗体、及び当該モノクローナル抗体を用い
ることを特徴とするヒト卵巣腫瘍の検出法である。 (1) ヒトのムチン性卵巣腫瘍細胞で免疫されたマウス脾
細胞とマウスミエローマ細胞とを融合して得られるハイ
ブリドーマによって産生され、以下の性質を有するモノ
クローナル抗体。
【0005】免疫グロブリンクラス:IgG1 ムチン性卵巣腫瘍、子宮頚部腺癌、胃癌、大腸癌と反
応する。 漿液性腫瘍、類中腎腫、子宮筋腫、食道癌、肺癌、乳
癌、肉腫、メラノーマ、カルチノイド、神経系腫瘍、リ
ンパ腫に反応しない。 卵巣、卵管、子宮内膜、胎盤、食道、肝臓、腎臓、乳
腺、甲状腺、脾臓、脳、皮膚の正常細胞とは反応しな
い。 (2) ハイブリドーマ株OM-C(FERM P-9877) より産生され
る(1) 記載のモノクローナル抗体。 (3) エライザ法、ABC 酵素抗体法、マウス混合血球吸着
試験、若しくは細胞質蛍光抗体法を用いヒト卵巣腫瘍を
検出するに際し、(1) 又は(2) のいずれかに記載のモノ
クローナル抗体を用いることを特徴とするヒトの卵巣腫
瘍の検出法。
応する。 漿液性腫瘍、類中腎腫、子宮筋腫、食道癌、肺癌、乳
癌、肉腫、メラノーマ、カルチノイド、神経系腫瘍、リ
ンパ腫に反応しない。 卵巣、卵管、子宮内膜、胎盤、食道、肝臓、腎臓、乳
腺、甲状腺、脾臓、脳、皮膚の正常細胞とは反応しな
い。 (2) ハイブリドーマ株OM-C(FERM P-9877) より産生され
る(1) 記載のモノクローナル抗体。 (3) エライザ法、ABC 酵素抗体法、マウス混合血球吸着
試験、若しくは細胞質蛍光抗体法を用いヒト卵巣腫瘍を
検出するに際し、(1) 又は(2) のいずれかに記載のモノ
クローナル抗体を用いることを特徴とするヒトの卵巣腫
瘍の検出法。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
新規抗ヒト卵巣腫瘍モノクローナル抗体は、ヒト卵巣腫
瘍に対して特異的に反応し、さらにムチン性卵巣腫瘍に
対して高い特異性を示すものである。本発明のモノクロ
ーナル抗体の具体例としては、OM-Cと名付けたモノクロ
ーナル抗体を挙げることができる。かかるモノクローナ
ル抗体は、IgG1に属する。 (1) モノクローナル抗体の製造 本発明のモノクローナル抗体はマウスを卵巣癌細胞で免
疫し、脾細胞を取り出し、これとマウスミエローマ細胞
とを融合して得たハイブリドーマ細胞を培養することに
よって製造することができる。 抗体産生細胞の調製 このハイブリドーマの製造は、KohlerとMilsteinの方法
〔Nature, 256, 495-497(1975) 〕を改良したUedaらの
方法〔Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 79, 4386-4390(1982)
〕に従って行う。
新規抗ヒト卵巣腫瘍モノクローナル抗体は、ヒト卵巣腫
瘍に対して特異的に反応し、さらにムチン性卵巣腫瘍に
対して高い特異性を示すものである。本発明のモノクロ
ーナル抗体の具体例としては、OM-Cと名付けたモノクロ
ーナル抗体を挙げることができる。かかるモノクローナ
ル抗体は、IgG1に属する。 (1) モノクローナル抗体の製造 本発明のモノクローナル抗体はマウスを卵巣癌細胞で免
疫し、脾細胞を取り出し、これとマウスミエローマ細胞
とを融合して得たハイブリドーマ細胞を培養することに
よって製造することができる。 抗体産生細胞の調製 このハイブリドーマの製造は、KohlerとMilsteinの方法
〔Nature, 256, 495-497(1975) 〕を改良したUedaらの
方法〔Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 79, 4386-4390(1982)
〕に従って行う。
【0007】免疫用マウスとしては、BALB/c 系マウ
ス、BALB/c 系マウスと他系マウスとのF1マウス等が用
いられる。免疫はマウス1匹(4〜8週令、20〜30g)に
対してムチン性卵巣腫瘍細胞107- 8 個を用いて2〜5週
間毎に2〜3回行う。マウスの飼育及び脾細胞の採取は
常法に従う。 細胞融合 脾細胞とミエローマ細胞は、1対1〜10対1の割合で混
合し、融合は、NaCl(約0.85%) 、ジメチルスルホキシ
ド〔10〜20%(V/V)〕及び分子量1000〜6000のポリエチ
レングリコール( 以下、PEG という)を含むリン酸緩衝
食塩液(pH7.2〜7.4)中で行う。
ス、BALB/c 系マウスと他系マウスとのF1マウス等が用
いられる。免疫はマウス1匹(4〜8週令、20〜30g)に
対してムチン性卵巣腫瘍細胞107- 8 個を用いて2〜5週
間毎に2〜3回行う。マウスの飼育及び脾細胞の採取は
常法に従う。 細胞融合 脾細胞とミエローマ細胞は、1対1〜10対1の割合で混
合し、融合は、NaCl(約0.85%) 、ジメチルスルホキシ
ド〔10〜20%(V/V)〕及び分子量1000〜6000のポリエチ
レングリコール( 以下、PEG という)を含むリン酸緩衝
食塩液(pH7.2〜7.4)中で行う。
【0008】融合は、両細胞を35〜37℃で1〜3分間イ
ンキュベートすることによって行う。ミエローマ細胞と
しては、MOPC-21NS /1 〔Nature, 256, 495-497(1975)
〕、SP2 /0-Ag14〔Nature, 277, 131-133(1979) 〕、
S194/5、XXO.BU.1〔J.Exp.Med.148, 313-328(1978)
〕等を用いる。 ハイブリドーマの選択 融合細胞(ハイブリドーマ)の選択は、ヒポキサンチン
(1.3〜1.4mg /dl) 、アミノプテリン(18 〜20μg /d
l) 、チミジン(375〜400 μg /dl) 、ストレプトマイ
シン(50 〜100 μg /ml) 、ペニシリン(50 〜100 単
位) 、グルタミン(3.5〜4.0g/l)、牛胎児血清(10 〜20
%) を含む基礎培地を用い、生育してくる細胞として選
択する。
ンキュベートすることによって行う。ミエローマ細胞と
しては、MOPC-21NS /1 〔Nature, 256, 495-497(1975)
〕、SP2 /0-Ag14〔Nature, 277, 131-133(1979) 〕、
S194/5、XXO.BU.1〔J.Exp.Med.148, 313-328(1978)
〕等を用いる。 ハイブリドーマの選択 融合細胞(ハイブリドーマ)の選択は、ヒポキサンチン
(1.3〜1.4mg /dl) 、アミノプテリン(18 〜20μg /d
l) 、チミジン(375〜400 μg /dl) 、ストレプトマイ
シン(50 〜100 μg /ml) 、ペニシリン(50 〜100 単
位) 、グルタミン(3.5〜4.0g/l)、牛胎児血清(10 〜20
%) を含む基礎培地を用い、生育してくる細胞として選
択する。
【0009】基礎培地としては、動物細胞の培養に一般
に使用されているRPMI1640培地、Eagle のMEM 培地等が
用いられる。 ハイブリドーマの培養 融合細胞(ハイブリドーマ)のクローン化は、限界希釈
法にて少なくとも3回繰り返して行う。
に使用されているRPMI1640培地、Eagle のMEM 培地等が
用いられる。 ハイブリドーマの培養 融合細胞(ハイブリドーマ)のクローン化は、限界希釈
法にて少なくとも3回繰り返して行う。
【0010】ハイブリドーマを通常の動物細胞の培養と
同様にして培養すれば、培地中に本発明の抗体が生産さ
れる。例えば、2〜5×106 のハイブリドーマ細胞をス
トレプトマイシン(50 〜100 μg /ml) 、ペニシリン(5
0 〜100 単位/ml) 、グルタミン(3.5〜4.0g/l)、牛胎
児血清(10 〜20%) を含むRPMI1640培地10〜20mlを用
い、フラスコ内で5 %CO2 存在下、35〜37℃、3〜7日
間培養することによって、培養液中に抗体が分泌・蓄積
される。
同様にして培養すれば、培地中に本発明の抗体が生産さ
れる。例えば、2〜5×106 のハイブリドーマ細胞をス
トレプトマイシン(50 〜100 μg /ml) 、ペニシリン(5
0 〜100 単位/ml) 、グルタミン(3.5〜4.0g/l)、牛胎
児血清(10 〜20%) を含むRPMI1640培地10〜20mlを用
い、フラスコ内で5 %CO2 存在下、35〜37℃、3〜7日
間培養することによって、培養液中に抗体が分泌・蓄積
される。
【0011】また、ハイブリドーマ細胞をプリスタン(P
ristane)処理のヌードマウス又はBALB/c マウスの腹腔
内に移植して増殖させることにより腹水中に本発明の抗
体を蓄積させることができる。すなわち、これらのマウ
ス腹腔内にプリスタン(Pristane,2,6,10,14 tetramethy
l pentadecane, 米国アルドリッチ社製)0.5〜1ml 注射
し、その後2〜3週目に腹腔に5〜10×106 個のハイブ
リドーマ細胞を移植する。通常7〜10日後に腹水が貯溜
し、これを採取する。 モノクローナル抗体の採取及び精製 ハイブリドーマ細胞の培養物又は腹水中に蓄積したモノ
クローナル抗体は、以下のようにして採取され、精製さ
れる。
ristane)処理のヌードマウス又はBALB/c マウスの腹腔
内に移植して増殖させることにより腹水中に本発明の抗
体を蓄積させることができる。すなわち、これらのマウ
ス腹腔内にプリスタン(Pristane,2,6,10,14 tetramethy
l pentadecane, 米国アルドリッチ社製)0.5〜1ml 注射
し、その後2〜3週目に腹腔に5〜10×106 個のハイブ
リドーマ細胞を移植する。通常7〜10日後に腹水が貯溜
し、これを採取する。 モノクローナル抗体の採取及び精製 ハイブリドーマ細胞の培養物又は腹水中に蓄積したモノ
クローナル抗体は、以下のようにして採取され、精製さ
れる。
【0012】ハイブリドーマの培養物の上清液又はプリ
スタン処理したマウスの腹腔内に、ハイブリドーマを投
与し、得られた腹水あるいは血清を、12000rpm,20分,
4℃で処理する。上清を採取し、PBS で10倍に希釈す
る。次いで、スターラーで攪拌しながら飽和硫酸アンモ
ニウムを20分程で2倍量(50 %飽和) になるまでゆっく
り加える。その後30分間攪拌し、ファルコン社2059チュ
ーブに移し、4℃,9500rpm(14700g) で10分間遠心す
る。沈澱物に0.025Mリン酸緩衝液(pH8.0) を最初の腹水
あるいは血清量と同量加え溶解させる。これを0.025Mリ
ン酸緩衝液(pH8.0)で透析する。DEAE- セルロースカラ
ムをWhatman DE52を用いて作成し、まず0.025Mリン酸緩
衝液(pH8.0) でカラムを4℃下で洗い、次いで、硫酸ア
ンモニウムで半精製した抗体を流す。1M塩化ナトリウム
−0.025Mリン酸緩衝液溶出分画を集め、これを透析膜に
入れ、PEG20,000 により濃縮する。PEG を除去後、PBS
にて透析する。モノクローナル抗体の選別は、エライザ
法(ELISA:Enzyme-linked immunosorbent assay)、ABC
酵素抗体法、マウス混合吸着試験(M-MHA) 、細胞質蛍光
抗体法等で行う。
スタン処理したマウスの腹腔内に、ハイブリドーマを投
与し、得られた腹水あるいは血清を、12000rpm,20分,
4℃で処理する。上清を採取し、PBS で10倍に希釈す
る。次いで、スターラーで攪拌しながら飽和硫酸アンモ
ニウムを20分程で2倍量(50 %飽和) になるまでゆっく
り加える。その後30分間攪拌し、ファルコン社2059チュ
ーブに移し、4℃,9500rpm(14700g) で10分間遠心す
る。沈澱物に0.025Mリン酸緩衝液(pH8.0) を最初の腹水
あるいは血清量と同量加え溶解させる。これを0.025Mリ
ン酸緩衝液(pH8.0)で透析する。DEAE- セルロースカラ
ムをWhatman DE52を用いて作成し、まず0.025Mリン酸緩
衝液(pH8.0) でカラムを4℃下で洗い、次いで、硫酸ア
ンモニウムで半精製した抗体を流す。1M塩化ナトリウム
−0.025Mリン酸緩衝液溶出分画を集め、これを透析膜に
入れ、PEG20,000 により濃縮する。PEG を除去後、PBS
にて透析する。モノクローナル抗体の選別は、エライザ
法(ELISA:Enzyme-linked immunosorbent assay)、ABC
酵素抗体法、マウス混合吸着試験(M-MHA) 、細胞質蛍光
抗体法等で行う。
【0013】IgG アイソタイプのモノクローナル抗体の
選択は、エライザ法によって行い、ムチン性腫瘍との反
応性を有するモノクローナル抗体の選別は免疫組織学的
染色により行う。 (2) モノクローナル抗体の特異性 モノクローナル抗体OM-C(以下、原則としてOM-C抗体と
いう)は、シアリダーゼ処理(0.5U,37℃,2時間) に抵抗
性であった。過ヨウ素酸処理(10mM,室温,1時間) では、
0M-C抗体は抵抗性を示した。熱抵抗性(100℃,15 分間)
に関しては、OM-C抗体は感受性であった。
選択は、エライザ法によって行い、ムチン性腫瘍との反
応性を有するモノクローナル抗体の選別は免疫組織学的
染色により行う。 (2) モノクローナル抗体の特異性 モノクローナル抗体OM-C(以下、原則としてOM-C抗体と
いう)は、シアリダーゼ処理(0.5U,37℃,2時間) に抵抗
性であった。過ヨウ素酸処理(10mM,室温,1時間) では、
0M-C抗体は抵抗性を示した。熱抵抗性(100℃,15 分間)
に関しては、OM-C抗体は感受性であった。
【0014】ホルマリン処理した通常の病理組織標本の
切片における当該抗体の安定性については、OM-C抗体は
やや不安定であった。OM-C抗体の免疫組織学的検索は、
実施例2に示した通りである。OM-C抗体は、ムチン性卵
巣腫瘍に対してかなりの特異性を示す。OM-C抗体はムチ
ン性卵巣腫瘍の多く(11例 /14例) 、類内膜腫瘍〔1(1)
/3、カッコ内は10%以下の腫瘍細胞のみ陽性である症
例を示す(以下同じ)〕に反応を示す。漿液性腫瘍の半
数例以上〔0(9)/16〕に反応するが、陽性細胞は10%以
下である。類中腎腫は、1例のみに陽性であり(1/9)、
胚細胞性腫瘍では胎児性癌及び成熟型奇形腫の1例ずつ
が陽性である(2/8)。卵巣への転移性腫瘍では半数に反
応を示す〔2(1)/6〕。子宮癌の中では頚部腺癌〔2(1)
/3〕に陽性で、子宮内膜癌は、6例中1例のみに10%
以下の陽性細胞が認められる〔0(1)/6〕。
切片における当該抗体の安定性については、OM-C抗体は
やや不安定であった。OM-C抗体の免疫組織学的検索は、
実施例2に示した通りである。OM-C抗体は、ムチン性卵
巣腫瘍に対してかなりの特異性を示す。OM-C抗体はムチ
ン性卵巣腫瘍の多く(11例 /14例) 、類内膜腫瘍〔1(1)
/3、カッコ内は10%以下の腫瘍細胞のみ陽性である症
例を示す(以下同じ)〕に反応を示す。漿液性腫瘍の半
数例以上〔0(9)/16〕に反応するが、陽性細胞は10%以
下である。類中腎腫は、1例のみに陽性であり(1/9)、
胚細胞性腫瘍では胎児性癌及び成熟型奇形腫の1例ずつ
が陽性である(2/8)。卵巣への転移性腫瘍では半数に反
応を示す〔2(1)/6〕。子宮癌の中では頚部腺癌〔2(1)
/3〕に陽性で、子宮内膜癌は、6例中1例のみに10%
以下の陽性細胞が認められる〔0(1)/6〕。
【0015】婦人科領域以外の腫瘍では、胃癌(4/5)、
大腸癌(5/5)に陽性で、肺腺癌、肺扁平上皮癌、腎癌、
乳癌の少数例に陽性であり、他は陰性である。正常組織
では、子宮頚部粘膜上皮及び粘液に反応し、卵管上皮及
び子宮内膜にも少数の陽性細胞が認められる。胎児組織
では、卵管上皮に陽性である。婦人科領域以外の組織で
は、胃上皮及び腸上皮化生の胚細胞、大腸、小腸、及び
胆のう上皮、膵臓の導管上皮に陽性であり、気管支上
皮、胸腺上皮の髄質部にも陽性である。胎児組織では、
胃及び大腸上皮、小腸上皮の胚細胞等に陽性である。
大腸癌(5/5)に陽性で、肺腺癌、肺扁平上皮癌、腎癌、
乳癌の少数例に陽性であり、他は陰性である。正常組織
では、子宮頚部粘膜上皮及び粘液に反応し、卵管上皮及
び子宮内膜にも少数の陽性細胞が認められる。胎児組織
では、卵管上皮に陽性である。婦人科領域以外の組織で
は、胃上皮及び腸上皮化生の胚細胞、大腸、小腸、及び
胆のう上皮、膵臓の導管上皮に陽性であり、気管支上
皮、胸腺上皮の髄質部にも陽性である。胎児組織では、
胃及び大腸上皮、小腸上皮の胚細胞等に陽性である。
【0016】各種の腫瘍及び正常組織に対して上記のよ
うな反応性を示す本発明の抗体は、実施例2の表1にも
みられるごとく、CEA 抗体やCA125抗体とは異なる特異
性を示しており、またABH-Lewis 血液型抗体及び他の既
報の卵巣腫瘍関連抗体とも異なっていることが明らかで
ある。以上のモノクローナル抗体OM-Cを既に知られてい
る卵巣腫瘍モノクローナル抗体(1D3,MOV-1,4C7等) と比
較するとその違いは次の通りである。i.OM-C抗体は細胞
内抗原を認識しており、上記のような、よく解析されて
いる腫瘍関連抗原、従来報告されている多くの血液型関
連抗原、CEA 、CA125抗原等に対する抗体群とは異な
る。ii. また、卵巣腫瘍関連抗体として頻用されている
CA125抗体やCEA抗体 とは免疫組織学的反応様式が異な
る。これら抗体に比し本作製抗体OM-Cは、ムチン性卵巣
腫瘍に対する特異性がより高い。 (3) モノクローナル抗体による診断 本発明のモノクローナル抗体は、ヒトムチン性卵巣腫瘍
の免疫組織診断、卵巣腫瘍の分化度解析、並びに亜分
類、血清及び卵巣のう胞液等の体液診断等に用いられ
る。
うな反応性を示す本発明の抗体は、実施例2の表1にも
みられるごとく、CEA 抗体やCA125抗体とは異なる特異
性を示しており、またABH-Lewis 血液型抗体及び他の既
報の卵巣腫瘍関連抗体とも異なっていることが明らかで
ある。以上のモノクローナル抗体OM-Cを既に知られてい
る卵巣腫瘍モノクローナル抗体(1D3,MOV-1,4C7等) と比
較するとその違いは次の通りである。i.OM-C抗体は細胞
内抗原を認識しており、上記のような、よく解析されて
いる腫瘍関連抗原、従来報告されている多くの血液型関
連抗原、CEA 、CA125抗原等に対する抗体群とは異な
る。ii. また、卵巣腫瘍関連抗体として頻用されている
CA125抗体やCEA抗体 とは免疫組織学的反応様式が異な
る。これら抗体に比し本作製抗体OM-Cは、ムチン性卵巣
腫瘍に対する特異性がより高い。 (3) モノクローナル抗体による診断 本発明のモノクローナル抗体は、ヒトムチン性卵巣腫瘍
の免疫組織診断、卵巣腫瘍の分化度解析、並びに亜分
類、血清及び卵巣のう胞液等の体液診断等に用いられ
る。
【0017】本発明のモノクローナル抗体を用いる上記
診断には、エライザ法、ABC 酵素抗体法、マウス混合血
球吸着試験〔M-MHA 〕、細胞質蛍光抗体法等が用いられ
る。これらの方法の詳細は、以下の通りである。 エライザ法(ELISA) この方法によって、IgG が選択される。
診断には、エライザ法、ABC 酵素抗体法、マウス混合血
球吸着試験〔M-MHA 〕、細胞質蛍光抗体法等が用いられ
る。これらの方法の詳細は、以下の通りである。 エライザ法(ELISA) この方法によって、IgG が選択される。
【0018】96穴プレート(Nunc 社, Roskilde, デンマ
ーク) に抗マウスIgG 抗体( 重鎖、軽鎖特異的)(Cappel
社, Malvern, PA 米国) を加える。濃度は0.1 %NaN3を
含む0.05M NaHCO3-NaOH(pH9.6)で50μg /mlに調製し、
その50μl を各ウエルに加える。1時間室温にてインキ
ュベートした後、PBS で3回洗浄する。ブロッキングは
5 %牛胎児血清(FBS) を含むPBS に20mg/mlの割合でゼ
ラチンを含んだものを使用する。1時間室温でインキュ
ベートし、PBS で3回洗浄する。次にハイブリドーマの
培養上清を50μl 各ウエルに加え、室温で1時間インキ
ュベートする。0.05%Tween20 を含むPBS で3回洗浄
後、ペルオキシダーゼ結合抗マウスIgG 抗体(F(ab')2フ
ラグメント)(Fcフラグメント特異的)(Cappel社) を50μ
l 各ウエルに加える。濃度は5%FBS を含んだPBS で10
00倍に希釈する。室温にて1時間インキュベートした
後、0.05%Tween20 を含んだPBS で3回洗浄する。次に
54mMの酢酸緩衝液に、O-phenylen-diamine 1.5mg/ml、
H2O2 0.35 μl /mlの濃度になるように加え、その100
μl を各ウエルに加え発色させる。15分間反応させた
後、5mM NaN3を加え停止させる。各ウエルの吸光度は、
MTP22 二波長分光光度計(Corona 社, 日本) にて測定し
た。 ABC酵素抗体法 〔Avidin-biotin-peroxidase complex method, ABC法〕
組織染色はVectastain ABCキット(Vector 社, Burlinga
me, CA米国) を使用する。染色手順は、組織切片の載っ
たプレートをPBS にて3回洗浄し、5%FBS を含むPBS
で200 倍に希釈した正常馬血清を加え、非特異的反応を
ブロックする。20分間室温でインキュベートした後、モ
ノクローナル抗体を加える。モノクローナル抗体は、5
%FBS を含むPBS で2μg /mlから10μg /mlに希釈し
たものを使用する。室温にて1時間あるいは、4℃で一
晩インキュベートした後、PBS にて3回洗浄する。内因
性ペルオキシダーゼをブロックするため、30%H2O2とメ
チルアルコールを1対1000の割合で混合させたもので20
分間処理する。PBS にて3回洗浄後、ビオチン化した馬
抗マウスIgを5%FBS を含むPBS で200 倍に希釈し加え
る。30分間室温でインキュベートした後、PBS で3回洗
浄する。次いで、ペルオキシダーゼが結合した、アビジ
ン−ビオチン結合物を加える。濃度は、PBSにて200 倍
に希釈したものを、加える少なくとも30分前に調製す
る。室温で45分間反応させた後、PBS で3回洗浄を行
う。発色は、0.2Mトリスアミノメタン25ml、0.2N塩酸1
9.2mlに蒸留水を加えて100ml としたものに、NaN340mg
とジアミノベンチジン塩酸塩20mgを溶解させる。更に、
H2O2を0.03μl /ml程の割合で加える。以上の液にプレ
ートを7分間反応させ、その後発色を停止させる。核染
色はメチルグリーンで行う。 マウス混合血球吸着試験〔M-MHA 〕 M-MHAは、Espmark とFagreus の原法(Acta.Pathol.Micr
obiol.Scond.Suppl., 154, 258-262, 1962)を改良して
行う。
ーク) に抗マウスIgG 抗体( 重鎖、軽鎖特異的)(Cappel
社, Malvern, PA 米国) を加える。濃度は0.1 %NaN3を
含む0.05M NaHCO3-NaOH(pH9.6)で50μg /mlに調製し、
その50μl を各ウエルに加える。1時間室温にてインキ
ュベートした後、PBS で3回洗浄する。ブロッキングは
5 %牛胎児血清(FBS) を含むPBS に20mg/mlの割合でゼ
ラチンを含んだものを使用する。1時間室温でインキュ
ベートし、PBS で3回洗浄する。次にハイブリドーマの
培養上清を50μl 各ウエルに加え、室温で1時間インキ
ュベートする。0.05%Tween20 を含むPBS で3回洗浄
後、ペルオキシダーゼ結合抗マウスIgG 抗体(F(ab')2フ
ラグメント)(Fcフラグメント特異的)(Cappel社) を50μ
l 各ウエルに加える。濃度は5%FBS を含んだPBS で10
00倍に希釈する。室温にて1時間インキュベートした
後、0.05%Tween20 を含んだPBS で3回洗浄する。次に
54mMの酢酸緩衝液に、O-phenylen-diamine 1.5mg/ml、
H2O2 0.35 μl /mlの濃度になるように加え、その100
μl を各ウエルに加え発色させる。15分間反応させた
後、5mM NaN3を加え停止させる。各ウエルの吸光度は、
MTP22 二波長分光光度計(Corona 社, 日本) にて測定し
た。 ABC酵素抗体法 〔Avidin-biotin-peroxidase complex method, ABC法〕
組織染色はVectastain ABCキット(Vector 社, Burlinga
me, CA米国) を使用する。染色手順は、組織切片の載っ
たプレートをPBS にて3回洗浄し、5%FBS を含むPBS
で200 倍に希釈した正常馬血清を加え、非特異的反応を
ブロックする。20分間室温でインキュベートした後、モ
ノクローナル抗体を加える。モノクローナル抗体は、5
%FBS を含むPBS で2μg /mlから10μg /mlに希釈し
たものを使用する。室温にて1時間あるいは、4℃で一
晩インキュベートした後、PBS にて3回洗浄する。内因
性ペルオキシダーゼをブロックするため、30%H2O2とメ
チルアルコールを1対1000の割合で混合させたもので20
分間処理する。PBS にて3回洗浄後、ビオチン化した馬
抗マウスIgを5%FBS を含むPBS で200 倍に希釈し加え
る。30分間室温でインキュベートした後、PBS で3回洗
浄する。次いで、ペルオキシダーゼが結合した、アビジ
ン−ビオチン結合物を加える。濃度は、PBSにて200 倍
に希釈したものを、加える少なくとも30分前に調製す
る。室温で45分間反応させた後、PBS で3回洗浄を行
う。発色は、0.2Mトリスアミノメタン25ml、0.2N塩酸1
9.2mlに蒸留水を加えて100ml としたものに、NaN340mg
とジアミノベンチジン塩酸塩20mgを溶解させる。更に、
H2O2を0.03μl /ml程の割合で加える。以上の液にプレ
ートを7分間反応させ、その後発色を停止させる。核染
色はメチルグリーンで行う。 マウス混合血球吸着試験〔M-MHA 〕 M-MHAは、Espmark とFagreus の原法(Acta.Pathol.Micr
obiol.Scond.Suppl., 154, 258-262, 1962)を改良して
行う。
【0019】指示赤血球の作製法は以下の通りである。
洗浄羊赤血球2%浮遊液と等量の1000倍希釈マウス抗羊
赤血球抗体(BALB /cマウスに羊赤血球を過免疫して作
製) とを24℃にて45分間反応させ、洗浄後再び2%浮遊
液として等量の200 倍希釈家兎抗マウスIg(Cappel 社、
米国) を24℃にて45分間反応させた後、2回洗浄後再び
2%浮遊液としたものを、いわゆるM-MHA の指示赤血球
として用いる。
洗浄羊赤血球2%浮遊液と等量の1000倍希釈マウス抗羊
赤血球抗体(BALB /cマウスに羊赤血球を過免疫して作
製) とを24℃にて45分間反応させ、洗浄後再び2%浮遊
液として等量の200 倍希釈家兎抗マウスIg(Cappel 社、
米国) を24℃にて45分間反応させた後、2回洗浄後再び
2%浮遊液としたものを、いわゆるM-MHA の指示赤血球
として用いる。
【0020】M-MHA 検査法の手法としては、被検索細胞
は、ハイブリドーマ細胞、培養上清又はハイブリドーマ
細胞接種BALB/c マウス若しくはBALB/c 由来ヌードマ
ウスの腹水と24℃にて45分間反応させ、抗体を洗浄除去
後、0.2%指示羊赤血球と24℃にて45分間反応させ、軽
く一度リン酸緩衝液生理食塩水(PBS) で洗浄後、光学的
顕微鏡下、指示赤血球のロゼット形成の有無にて判定す
る。 細胞質蛍光抗体法 1〜5×104 の標的細胞を、スライドグラス上に95%ア
セトンで10分間固定し、−70℃に保存しておいたものを
標的細胞として用いる。
は、ハイブリドーマ細胞、培養上清又はハイブリドーマ
細胞接種BALB/c マウス若しくはBALB/c 由来ヌードマ
ウスの腹水と24℃にて45分間反応させ、抗体を洗浄除去
後、0.2%指示羊赤血球と24℃にて45分間反応させ、軽
く一度リン酸緩衝液生理食塩水(PBS) で洗浄後、光学的
顕微鏡下、指示赤血球のロゼット形成の有無にて判定す
る。 細胞質蛍光抗体法 1〜5×104 の標的細胞を、スライドグラス上に95%ア
セトンで10分間固定し、−70℃に保存しておいたものを
標的細胞として用いる。
【0021】第1次抗体として、ハイブリドーマ細胞培
養上清又はハイブリドーマ細胞接種BALB/c マウス若し
くはBALB/c 由来ヌードマウス腹水25μl を用いて4℃
又は25℃にて30分間反応させる。PBS で洗浄後、2次抗
体として、20〜40倍希釈蛍光標識家兎マウスIgG+A+M(GA
M-FITC, コールター社, 米国) を25℃にて30分間反応さ
せる。反応は蛍光顕微鏡下で蛍光の有無で判定する。
養上清又はハイブリドーマ細胞接種BALB/c マウス若し
くはBALB/c 由来ヌードマウス腹水25μl を用いて4℃
又は25℃にて30分間反応させる。PBS で洗浄後、2次抗
体として、20〜40倍希釈蛍光標識家兎マウスIgG+A+M(GA
M-FITC, コールター社, 米国) を25℃にて30分間反応さ
せる。反応は蛍光顕微鏡下で蛍光の有無で判定する。
【0022】抗原陽性腫瘍の凍結試料の過ヨウ素酸酸化
は、10〜100mM メタ過ヨウ素酸を用いて室温で1時間行
う。凍結試料のノイラミニダーゼ(Neuraminidase) 消化
は次の通り行う。即ち、ノイラミニダーゼはBehringwer
ke AG, Marburg, 西独のtest-neuraminidaseを使用し、
その濃度を、0.1U/mlと1U/mlの二種類を調製する。こ
れらのノイラミニダーゼと凍結切片とをプレート上で2
時間,37℃で反応させる。次いで、モノクローナル抗体
を反応させ、以下の手順は、Vectastain ABCキットを用
い、ABC 法で染色を行う。
は、10〜100mM メタ過ヨウ素酸を用いて室温で1時間行
う。凍結試料のノイラミニダーゼ(Neuraminidase) 消化
は次の通り行う。即ち、ノイラミニダーゼはBehringwer
ke AG, Marburg, 西独のtest-neuraminidaseを使用し、
その濃度を、0.1U/mlと1U/mlの二種類を調製する。こ
れらのノイラミニダーゼと凍結切片とをプレート上で2
時間,37℃で反応させる。次いで、モノクローナル抗体
を反応させ、以下の手順は、Vectastain ABCキットを用
い、ABC 法で染色を行う。
【0023】なお、ノイラミニダーゼの希釈は、154mM
のNaClを含んだ50mMの酢酸緩衝液(pH5.5)で行う。抗原
の熱安定性は試料を100 ℃で15分間インキュベートして
決める。また、ホルマリン処理した通常の病理組織標本
の切片における抗原の安定性試験は次の通り行う。即
ち、通常の病理組織学的検索用にパラフィン包埋された
組織ブロックより5μm の切片を作製し、パラフィンを
除去するために100 %のキシレンに3分間浸し、その後
PBS にて洗浄、乾燥する。同じ組織由来の凍結切片を対
照として100 倍、1000倍に希釈した抗体を用い、ABC 酵
素抗体法にて染色後、両切片の染色性を比較する。
のNaClを含んだ50mMの酢酸緩衝液(pH5.5)で行う。抗原
の熱安定性は試料を100 ℃で15分間インキュベートして
決める。また、ホルマリン処理した通常の病理組織標本
の切片における抗原の安定性試験は次の通り行う。即
ち、通常の病理組織学的検索用にパラフィン包埋された
組織ブロックより5μm の切片を作製し、パラフィンを
除去するために100 %のキシレンに3分間浸し、その後
PBS にて洗浄、乾燥する。同じ組織由来の凍結切片を対
照として100 倍、1000倍に希釈した抗体を用い、ABC 酵
素抗体法にて染色後、両切片の染色性を比較する。
【0024】本発明に関連する技術についての文献を以
下に示す。 1.Bast, R.C.ら, セミナー・イン・オンコロジー(Sem
in.Oncol.), 11:264-274, 1984. 2.Schlom, J.,キャンサー・リサーチ(Cancer Res.),
46 :3225-3238, 1986. 3.Nouwen, E.J.ら, アメリカン・ジャーナル・オブ・
パソロジー(Am.J.Pathol.), 126:230-242, 1987. 4.Herlyn, M ら, アドバンス・イン・キャンサー・リ
サーチ(Advance in Cancer Res.), 49:189-221, 1987. 5.Reisfeld, R.A.ら, アドバンス・イン・イムノロジ
イ(Advance in Immunol.), 40:323-378, 1987. 6.Sears, H.F. ら, ランセット(Lancet), i:762-76
5, 1982. 7.Houghton, A.N.ら, プロシーディング・オブ・ザ・
ナショナル・アカデミィ・オブ・サイエンス(Proc.Nat
l.Acad.Sci.), USA, 82:1242-1246, 1985. 8. Bast, R.C.ら,ジャーナル・オブ・クリニカル・イ
ンベスティゲーション (J.Clin.Invest.), 68:1331-1
337, 1981. 9. Bast, R.C.ら,ニューイングランド・ジャーナル・
オブ・メディシン(N.Engl.J.Med.), 309:883-887, 198
3. 10. Klug, T.L.ら,キャンサー・リサーチ(Cancer Re
s.), 44:1048-1053, 1984. 11. Bhattacharya, M.ら,キャンサー・リサーチ(Cance
r Res.), 42:1650-1654, 1982. 12. Mattes, M.J.ら,プロシィーディング・オブ・ザ・
ナショナル・アカデミィ・オブ・サイエンス(Proc.Nat
l.Acad.Sci.), USA, 81:568-572, 1984 . 13. Tagliabue, E. ら,キャンサー・リサーチ(Cancer
Res.), 45:379-385, 1985. 14. Tsuji, Y. ら,キャンサー・リサーチ(Cancer Re
s.), 45:2358-2362, 1985. 15. Sekine, H.ら,ジャーナル・オブ・クリニカル・オ
ンコロジィ(J.Clin.Oncol.), 3:1355-1363, 1985. 16. De Kretser, T.A.ら,ヨーロピアン・ジャーナル・
オブ・キャンサー・クリニカル・オンコロジィ (Eur.
J.Cancer Clin.Oncol.), 21:1019-1035, 1985. 17. Poels, L.G. ら,ジャーナル・オブ・ナショナル・
キャンサー・インスティテュート(J.Natl.Cancer Ins
t.), 76:781-791, 1986. 18. Miotti, S.ら,インターナショナル・ジャーナル・
オブ・キャンサー (Int.J.Cancer.), 39:297-303, 198
7. 19. Ward, B.G.ら,インターナショナル・ジャーナル・
オブ、キャンサー(Int.J.Cancer.), 39:30-33, 1987. 20. Sakamoto, J.ら,キャンサー・リサーチ(Cancer Re
s.), 46:1553-1561, 1986. 21. Kohler, G.ら,ネイチャー(Nature)(London),25
6:495-497, 1975. 22. Ueda, R.ら,プロシィーディング・オブ・ザ・ナシ
ョナル・アカデミィ・オブ・サイエンス(Proc.Natl.Aca
d.Sci.), USA, 79:4386-4390, 1982. 23. Kitagawa, H.ら,ジャパニーズ・ジャーナル・キャ
ンサー・リサーチ (Jpn.J. Cancer Res.) ガン(Gann),
77:922-930, 1986. 24. Namikawa, R.ら,イムノロジィ(Immunology), 57:
61-70, 1986. 25. Serov, S.F.ら,No.9, Geneva:ワールド・ヘルス・
オーガニゼイション(World Health Organization), 197
3. 26. Carey, T.E.ら,プロシィーディング・オブ・ザ・
ナショナル・アカデミィ・オブ・サイエンス (Proc.Nat
l.Acad.Sci.), USA, 73:3278-3282, 1976. 27. Sakamoto, J.ら,モレキュラー・イムノロジィ(Mo
l.Immunol.), 21:1093-1098, 1984. 28. Gangopadhyay, A.ら,キャンサー・リサーチ(Cance
r Res.), 45:1744-1752, 1985. 29. Bara, J.ら,ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・
キャンサー(Br.J.Cancer), 36:49-56, 1977. 30. Bara, J.ら,キャンサー・リサーチ(Cancer Res.),
46:3983-3989, 1986.31. Pant, K.D.ら,ハイブリド
ーマ(Hybridoma), 5:129-135, 1986. 32. Pant, K.D.ら,アメリカン・ジャーナル・オブ・ク
リニカル・パソロジィ(Am.J.Clin.Pathol.), 86:1-9,
1986. 33. Scully, R.E.In:R.E.Scully(ed), Tumors of the
Ovary and MaldevelopedGonads, pp, 53-150, Washingt
on D.C.:アームド・フォース・インスティテュート・
オブ・パソロジィ(Armed Forces Institute of Patholo
gy), 1978. 34. Dallenbach-Hellweg, G.,ジャーナル・オブ・キャ
ンサー・リサーチ・オブ・クリニカル・オンコロジィ
(J.Cancer Res.Clin.Oncol.), 107:71-80, 1984. 35. Russel, P.,パソロジィ(Pathology), 17:555-557,
1984. 36. Langley, F.A. ら,H.In:H.Fox(ed.)ハイネス・ア
ンド・テイラー・オブステトリカル・アンド・ギネコロ
ジカル・パソロジィ(Haines and Tayler Obstetrical a
nd Gynaecological Pathology), Vol.l, pp.542-555, E
dinburgh:Churchill-Livingston, 1987. 37. Feizi, T.ら,バイオケミカル・ソサエティ・トラ
ンスアクションズ(Biochem.Soc.Trans.), 12:591-596,
1984.
下に示す。 1.Bast, R.C.ら, セミナー・イン・オンコロジー(Sem
in.Oncol.), 11:264-274, 1984. 2.Schlom, J.,キャンサー・リサーチ(Cancer Res.),
46 :3225-3238, 1986. 3.Nouwen, E.J.ら, アメリカン・ジャーナル・オブ・
パソロジー(Am.J.Pathol.), 126:230-242, 1987. 4.Herlyn, M ら, アドバンス・イン・キャンサー・リ
サーチ(Advance in Cancer Res.), 49:189-221, 1987. 5.Reisfeld, R.A.ら, アドバンス・イン・イムノロジ
イ(Advance in Immunol.), 40:323-378, 1987. 6.Sears, H.F. ら, ランセット(Lancet), i:762-76
5, 1982. 7.Houghton, A.N.ら, プロシーディング・オブ・ザ・
ナショナル・アカデミィ・オブ・サイエンス(Proc.Nat
l.Acad.Sci.), USA, 82:1242-1246, 1985. 8. Bast, R.C.ら,ジャーナル・オブ・クリニカル・イ
ンベスティゲーション (J.Clin.Invest.), 68:1331-1
337, 1981. 9. Bast, R.C.ら,ニューイングランド・ジャーナル・
オブ・メディシン(N.Engl.J.Med.), 309:883-887, 198
3. 10. Klug, T.L.ら,キャンサー・リサーチ(Cancer Re
s.), 44:1048-1053, 1984. 11. Bhattacharya, M.ら,キャンサー・リサーチ(Cance
r Res.), 42:1650-1654, 1982. 12. Mattes, M.J.ら,プロシィーディング・オブ・ザ・
ナショナル・アカデミィ・オブ・サイエンス(Proc.Nat
l.Acad.Sci.), USA, 81:568-572, 1984 . 13. Tagliabue, E. ら,キャンサー・リサーチ(Cancer
Res.), 45:379-385, 1985. 14. Tsuji, Y. ら,キャンサー・リサーチ(Cancer Re
s.), 45:2358-2362, 1985. 15. Sekine, H.ら,ジャーナル・オブ・クリニカル・オ
ンコロジィ(J.Clin.Oncol.), 3:1355-1363, 1985. 16. De Kretser, T.A.ら,ヨーロピアン・ジャーナル・
オブ・キャンサー・クリニカル・オンコロジィ (Eur.
J.Cancer Clin.Oncol.), 21:1019-1035, 1985. 17. Poels, L.G. ら,ジャーナル・オブ・ナショナル・
キャンサー・インスティテュート(J.Natl.Cancer Ins
t.), 76:781-791, 1986. 18. Miotti, S.ら,インターナショナル・ジャーナル・
オブ・キャンサー (Int.J.Cancer.), 39:297-303, 198
7. 19. Ward, B.G.ら,インターナショナル・ジャーナル・
オブ、キャンサー(Int.J.Cancer.), 39:30-33, 1987. 20. Sakamoto, J.ら,キャンサー・リサーチ(Cancer Re
s.), 46:1553-1561, 1986. 21. Kohler, G.ら,ネイチャー(Nature)(London),25
6:495-497, 1975. 22. Ueda, R.ら,プロシィーディング・オブ・ザ・ナシ
ョナル・アカデミィ・オブ・サイエンス(Proc.Natl.Aca
d.Sci.), USA, 79:4386-4390, 1982. 23. Kitagawa, H.ら,ジャパニーズ・ジャーナル・キャ
ンサー・リサーチ (Jpn.J. Cancer Res.) ガン(Gann),
77:922-930, 1986. 24. Namikawa, R.ら,イムノロジィ(Immunology), 57:
61-70, 1986. 25. Serov, S.F.ら,No.9, Geneva:ワールド・ヘルス・
オーガニゼイション(World Health Organization), 197
3. 26. Carey, T.E.ら,プロシィーディング・オブ・ザ・
ナショナル・アカデミィ・オブ・サイエンス (Proc.Nat
l.Acad.Sci.), USA, 73:3278-3282, 1976. 27. Sakamoto, J.ら,モレキュラー・イムノロジィ(Mo
l.Immunol.), 21:1093-1098, 1984. 28. Gangopadhyay, A.ら,キャンサー・リサーチ(Cance
r Res.), 45:1744-1752, 1985. 29. Bara, J.ら,ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・
キャンサー(Br.J.Cancer), 36:49-56, 1977. 30. Bara, J.ら,キャンサー・リサーチ(Cancer Res.),
46:3983-3989, 1986.31. Pant, K.D.ら,ハイブリド
ーマ(Hybridoma), 5:129-135, 1986. 32. Pant, K.D.ら,アメリカン・ジャーナル・オブ・ク
リニカル・パソロジィ(Am.J.Clin.Pathol.), 86:1-9,
1986. 33. Scully, R.E.In:R.E.Scully(ed), Tumors of the
Ovary and MaldevelopedGonads, pp, 53-150, Washingt
on D.C.:アームド・フォース・インスティテュート・
オブ・パソロジィ(Armed Forces Institute of Patholo
gy), 1978. 34. Dallenbach-Hellweg, G.,ジャーナル・オブ・キャ
ンサー・リサーチ・オブ・クリニカル・オンコロジィ
(J.Cancer Res.Clin.Oncol.), 107:71-80, 1984. 35. Russel, P.,パソロジィ(Pathology), 17:555-557,
1984. 36. Langley, F.A. ら,H.In:H.Fox(ed.)ハイネス・ア
ンド・テイラー・オブステトリカル・アンド・ギネコロ
ジカル・パソロジィ(Haines and Tayler Obstetrical a
nd Gynaecological Pathology), Vol.l, pp.542-555, E
dinburgh:Churchill-Livingston, 1987. 37. Feizi, T.ら,バイオケミカル・ソサエティ・トラ
ンスアクションズ(Biochem.Soc.Trans.), 12:591-596,
1984.
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、ムチン性卵巣腫瘍と特
異的に強く反応し、IgG1アイソタイプに属するモノクロ
ーナル抗体が提供され、またこのモノクローナル抗体を
用いたヒト卵巣腫瘍の検出法が提供される。
異的に強く反応し、IgG1アイソタイプに属するモノクロ
ーナル抗体が提供され、またこのモノクローナル抗体を
用いたヒト卵巣腫瘍の検出法が提供される。
【0026】
モノクローナル抗体OM-Cの製造 (1) 抗体産生細胞の調製 ムチン性卵巣腫瘍の外科手術摘出材料を手術用ハサミに
て細片し、BALB/c マウス (8週令, 24g)〔Charles Ri
ver, Inc., 厚木, 日本より購入〕の背面に皮下接種す
ることにより免疫した。以後、4週毎に3回腹腔に接種
することにより免疫を行い、最終免疫4日目にマウスを
殺し、脾臓を摘出し、常法により浮遊細胞を得た。 (2) 細胞融合 この脾臓浮遊細胞108 個と、マウスミエローマ MOPC-2
1NS /1細胞2×107個とを、42%(W/V)PEG(分子量4,0
00, Koch-Light 社, Bucks,英国)および15%(V/V)ジ
メチルスルホキシド (Merck 社, Darmstadt, 西独) を
含むPBS 0.2ml中でUedaらの方法〔Proc. Natl.Acad.Sc
i.USA, 78, 5122-5126(1981) 〕に従って融合させた。 (3) ハイブリドーマの選択 融合細胞は、 HAT培地〔ヒポキサンチン1.36mg/dl, ア
ミノプテリン19.1μg/dl, チミジン387 μg /dl, ス
トレプトマイシン100 μg /ml, ペニシリン 100単位/
ml, グルタミン2mMおよび牛胎児血清10%を含むRPMI16
40培地(pH7.2)〕を用いて常法(前記Uedaらの方法)に
従い選択した。 (4) モノクローナル抗体の製造 得られた融合細胞3個を限界希釈法を3回繰返すことに
よりクローン化した。得られたクローン(3個) を、下記
の方法で培養して、卵巣腫瘍関連抗原に対して特異的に
反応するモノクローナル抗体を顕量生産する株を得た。
すなわち、5×106 のハイブリドーマ細胞をストレプト
マイシン 100μg /ml、ペニシリン 100単位/ml、グル
タミン3.8g/l 、牛胎児血清10%を含むRPMI1640培地15
mlを用い、 150cm2のフラスコ内で5%CO2 の存在下、3
7℃で7日間培養した。
て細片し、BALB/c マウス (8週令, 24g)〔Charles Ri
ver, Inc., 厚木, 日本より購入〕の背面に皮下接種す
ることにより免疫した。以後、4週毎に3回腹腔に接種
することにより免疫を行い、最終免疫4日目にマウスを
殺し、脾臓を摘出し、常法により浮遊細胞を得た。 (2) 細胞融合 この脾臓浮遊細胞108 個と、マウスミエローマ MOPC-2
1NS /1細胞2×107個とを、42%(W/V)PEG(分子量4,0
00, Koch-Light 社, Bucks,英国)および15%(V/V)ジ
メチルスルホキシド (Merck 社, Darmstadt, 西独) を
含むPBS 0.2ml中でUedaらの方法〔Proc. Natl.Acad.Sc
i.USA, 78, 5122-5126(1981) 〕に従って融合させた。 (3) ハイブリドーマの選択 融合細胞は、 HAT培地〔ヒポキサンチン1.36mg/dl, ア
ミノプテリン19.1μg/dl, チミジン387 μg /dl, ス
トレプトマイシン100 μg /ml, ペニシリン 100単位/
ml, グルタミン2mMおよび牛胎児血清10%を含むRPMI16
40培地(pH7.2)〕を用いて常法(前記Uedaらの方法)に
従い選択した。 (4) モノクローナル抗体の製造 得られた融合細胞3個を限界希釈法を3回繰返すことに
よりクローン化した。得られたクローン(3個) を、下記
の方法で培養して、卵巣腫瘍関連抗原に対して特異的に
反応するモノクローナル抗体を顕量生産する株を得た。
すなわち、5×106 のハイブリドーマ細胞をストレプト
マイシン 100μg /ml、ペニシリン 100単位/ml、グル
タミン3.8g/l 、牛胎児血清10%を含むRPMI1640培地15
mlを用い、 150cm2のフラスコ内で5%CO2 の存在下、3
7℃で7日間培養した。
【0027】得られた細胞株OM-Cが生産するモノクロー
ナル抗体をOM-Cとした。なお、上記細胞株OM-Cは、工業
技術院微生物工業技術研究所に微工研菌寄第9877号
(FERM P-9877) として寄託されている。この細胞株をマ
ウスの腹腔内に投与する下記の方法で培養するとOM-C抗
体が3〜15mg/ml生成した。すなわちマウス腹腔内にプ
リスタン0.5ml 注射し、その後3週目の腹腔に5×106
個のハイブリドーマ細胞を移植し、10日後に腹水を採取
した。 (5) モノクローナル抗体の精製 ハイブリドーマ細胞の培養物または腹水中に蓄積したモ
ノクローナル抗体は以下のようにして採取され、精製さ
れる。
ナル抗体をOM-Cとした。なお、上記細胞株OM-Cは、工業
技術院微生物工業技術研究所に微工研菌寄第9877号
(FERM P-9877) として寄託されている。この細胞株をマ
ウスの腹腔内に投与する下記の方法で培養するとOM-C抗
体が3〜15mg/ml生成した。すなわちマウス腹腔内にプ
リスタン0.5ml 注射し、その後3週目の腹腔に5×106
個のハイブリドーマ細胞を移植し、10日後に腹水を採取
した。 (5) モノクローナル抗体の精製 ハイブリドーマ細胞の培養物または腹水中に蓄積したモ
ノクローナル抗体は以下のようにして採取され、精製さ
れる。
【0028】ハイブリドーマの培養物の上清液またはプ
リスタン処理したマウスの腹腔内に、ハイブリドーマを
投与し、得られた腹水あるいは血清を、12,000rpm, 20
分,4℃で処理する。上清を採取し、PBS で10倍に希釈
する。次いで、スターラーで攪拌しながら飽和硫酸アン
モニウムを20分程で2倍量(50%飽和) になるまでゆっ
くり加える。その後30分間攪拌し、ファルコン社2059チ
ューブに移し、4℃,9,500rpm(14,700g)10分間遠心す
る。沈澱物に0.025 M リン酸緩衝液(pH8.0) を最初の腹
水あるいは血清量と同量加え溶解させる。これを0.025M
リン酸緩衝液(pH8.0) で透析する。DEAEセルロースカラ
ムをWhatman DE52を用いて作成し、まず0.025Mリン酸緩
衝液(pH8.0) ,4℃でカラムを洗い、次いで、硫酸アン
モニウムで半精製した抗体を流す。1M塩化ナトリウム-
0.025M リン酸緩衝液溶出分画を集めこれを透析膜に入
れ、PEG20,000 により濃縮する。 PEGを除去後 PBSにて
透析する。
リスタン処理したマウスの腹腔内に、ハイブリドーマを
投与し、得られた腹水あるいは血清を、12,000rpm, 20
分,4℃で処理する。上清を採取し、PBS で10倍に希釈
する。次いで、スターラーで攪拌しながら飽和硫酸アン
モニウムを20分程で2倍量(50%飽和) になるまでゆっ
くり加える。その後30分間攪拌し、ファルコン社2059チ
ューブに移し、4℃,9,500rpm(14,700g)10分間遠心す
る。沈澱物に0.025 M リン酸緩衝液(pH8.0) を最初の腹
水あるいは血清量と同量加え溶解させる。これを0.025M
リン酸緩衝液(pH8.0) で透析する。DEAEセルロースカラ
ムをWhatman DE52を用いて作成し、まず0.025Mリン酸緩
衝液(pH8.0) ,4℃でカラムを洗い、次いで、硫酸アン
モニウムで半精製した抗体を流す。1M塩化ナトリウム-
0.025M リン酸緩衝液溶出分画を集めこれを透析膜に入
れ、PEG20,000 により濃縮する。 PEGを除去後 PBSにて
透析する。
【0029】モノクローナル抗体の選別はエライザ法(E
LISA: Enzyme-linked immunosorbent assay) 、ABC 酵
素抗体法、マウス混合吸着試験(M-MHA) 、細胞質蛍光抗
体法などで行う。IgG アイソタイプのモノクローナル抗
体の選択は、エライザ法によって行い、ムチン性腫瘍と
の反応性を有するモノクローナル抗体の選別は免疫組織
学的染色により行う。 〔実施例2〕婦人科領域の腫瘍76例について、モノクロ
ーナル抗体OM-Cならびに対照2抗体(CEA, CA125) を用
い、前記 ABC酵素抗体法により免疫組織学的検索を行っ
た。その結果を表1〜表4に示す。
LISA: Enzyme-linked immunosorbent assay) 、ABC 酵
素抗体法、マウス混合吸着試験(M-MHA) 、細胞質蛍光抗
体法などで行う。IgG アイソタイプのモノクローナル抗
体の選択は、エライザ法によって行い、ムチン性腫瘍と
の反応性を有するモノクローナル抗体の選別は免疫組織
学的染色により行う。 〔実施例2〕婦人科領域の腫瘍76例について、モノクロ
ーナル抗体OM-Cならびに対照2抗体(CEA, CA125) を用
い、前記 ABC酵素抗体法により免疫組織学的検索を行っ
た。その結果を表1〜表4に示す。
【0030】
【表1】 表1 OM-C抗体ならびに対照2抗体(CEA,CA125)を 用いた上皮性卵巣腫瘍の免疫組織学的検索 ―─────────────────────────────── ABC酵素抗体法による染色結果b) 症例番号 組織診断a) ―───────────────── OM-C CEA CA125 ──────────────────────────────── 1 ムチン性腫瘍 M 2++ c) 3++ − 2 M 3++ 3++ 3++ 3 M 2++ 3++ 3++ 4 LPM 3++ 1++ − 5 LPM 3++ 2+ 2++ 6 LPM 3++ 2+ 2++ 7 LPM 3++ 3++ 3+ 8 LPM 3++ 3++ − 9 LPM 3++ 3++ − 10 LPM − 3++ 3++ 11 B − − − 12 B 3++ 3++ − 13 B 3++ 3++ 2+ 14 B − 3+ − …………………………………………………………………………………… 15 漿液性腫瘍 M 1+ − 3++ 16 M 1+ 1+ 3++ 17 M − 2++ 3+ 18 M 1++ 3++ − 19 M 1+ 1++ 3++ 20 M 1+ 1++ 3++ 21 M 1+ 1++ 3+ 22 M 1+ − 3++ 23 M 1+ − 3++ 24 M 1+ − 3++ 25 M − 1++ 3++ 26 M − 1+ 2+ 27 M − − 2++ 28 M − − 3+ 29 LPM − − 3++ 30 LPM − 2+ 3++ …………………………………………………………………………………… 31 類中腎腫瘍 M 2+ 3+ 2++ 32 M − 2++ 1++ 33 M − 2++ − 34 M − 2++ 1++ 35 M − 1++ − 36 M − − 1++ 37 M − − 3++ 38 M − − 3++ 39 M − − 2+ …………………………………………………………………………………… 40 類内膜腫瘍 M 1++ 2++ 3++ 41 M 2+ 2+ − 42 M − 1+ 2+ …………………………………………………………………………………… 43 分類不能 M − − − ──────────────────────────────── a) 組織診断はWHO 分類による。 M:悪性腫瘍; LPM:
低悪性度腫瘍 B:良性腫瘍 b) 5μg/mlの抗体濃度により凍結組織切片を染色し
た。 c) 陽性細胞率 1, <10%; 2, 10−<50%;
3, ≧50%。
低悪性度腫瘍 B:良性腫瘍 b) 5μg/mlの抗体濃度により凍結組織切片を染色し
た。 c) 陽性細胞率 1, <10%; 2, 10−<50%;
3, ≧50%。
【0031】 染色強度;− 陰性, + 陽性, ++ 強陽性。
【0032】
【表2】 表2 0M-C抗体を用いた婦人科領域の腫瘍 および正常組織の免疫組織学的検索 ―────────────────────────── 染色陽性組織数 組 織 検査組織数 ―───────── 0M-C ―────────────────────────── 腫 瘍 組 織 卵巣、上皮性腫瘍 a) 43 13(10) ムチン性腫瘍 14 11 漿液性腫瘍 16 0(9) 類中腎腫瘍 9 1 類内膜腫瘍 3 1(1) 分類不能 1 0 胚細胞性腫瘍 b) 8 2c) 顆粒膜細胞腫 1 0 転移性腫瘍 d) 6 2e)(1) f) 子宮、頚部癌 6 2(1) 腺 癌 3 2(1) 扁平上皮癌 3 0 内膜癌 6 0(1) 筋 腫 6 0 正 常 組 織 卵 巣 4 0 卵 管 4 0(4) g) 子宮頚部腺管 3 0h) 子宮内膜 5 0(1)i) 胎 盤 2 0 胎 児 組 織 j) 卵 巣 3 0 卵 管 2 2k) ―────────────────────────── a) 表1のまとめ b) 胎児性癌2, 未分化胚細胞腫1, 未熟型奇型腫1,
成熟型奇型腫3および扁平上皮癌1よりなる。 c)胎児性癌および成熟型奇型腫の非特異性ムチン腺 d)胃癌よりの転移5および直腸癌よりの転移1 e)胃癌よりの転移 f)直腸癌よりの転移 g)予備細胞 h)粘膜上皮および粘液 i)内膜上皮細胞の一部 j)3胎児より得られた組織(30, 32および42週令) k)上皮で腺管内腔に面する部分
成熟型奇型腫3および扁平上皮癌1よりなる。 c)胎児性癌および成熟型奇型腫の非特異性ムチン腺 d)胃癌よりの転移5および直腸癌よりの転移1 e)胃癌よりの転移 f)直腸癌よりの転移 g)予備細胞 h)粘膜上皮および粘液 i)内膜上皮細胞の一部 j)3胎児より得られた組織(30, 32および42週令) k)上皮で腺管内腔に面する部分
【0033】
【表3】 表3 0M-C抗体を用いた婦人科領域以外の 腫瘍の免疫組織学的検索 ────────────────────────── 染色陽性組織数 組 織 検査組織数 ───────── 0M-C ────────────────────────── 上 皮 性 腫 瘍 食 道 癌 2 0 胃 癌 5 4 大 腸 癌 5 5 膵 臓 癌 2 0 腎 臓 癌 2 0(1)a) 肺癌、小細胞癌 8 0 大細胞癌 7 0 腺 癌 8 1(1) 扁平上皮癌 7 0(1) 乳 癌 5 1 肉 腫b) 4 0 メラノーマ 3 0 カルチノイド 2 0 神経系腫瘍c) 7 0 リンパ腫 T細胞型 2 0 B細胞型 2 0 ────────────────────────── a) カッコ内は陽性細胞10%の検体数〔表1の注(c)を
参照〕 b) 平滑筋肉腫2, 骨肉腫1および脂肪肉腫1 c) 神経膠腫2, 多型性神経膠芽腫1, 髄芽細胞腫1 末消神経腫1, 髄膜腫1および神経芽細胞腫1
参照〕 b) 平滑筋肉腫2, 骨肉腫1および脂肪肉腫1 c) 神経膠腫2, 多型性神経膠芽腫1, 髄芽細胞腫1 末消神経腫1, 髄膜腫1および神経芽細胞腫1
【0034】
【表4】 a) 4胎児よりの組織 (11, 16, 20, 27週令) b) 上皮が陽性 c)腸上皮化生の胚細胞 d)11週令, − ; 16週令, + e)胚細胞 f)分泌物 g)導管上皮 h)気管支上皮 i)髄質部の胸腺上皮 なお、対照抗体のCEA は札幌医科大学第1内科今井浩三
博士より分与を受け、CA125はCentocore より購入し
た。また、実施例で使用する腫瘍、組織としては愛知県
ガンセンター婦人科及び名古屋大学婦人科で手術摘出さ
れた組織を患者又は家族に検索目的を説明、同意の上使
用した。
博士より分与を受け、CA125はCentocore より購入し
た。また、実施例で使用する腫瘍、組織としては愛知県
ガンセンター婦人科及び名古屋大学婦人科で手術摘出さ
れた組織を患者又は家族に検索目的を説明、同意の上使
用した。
【0035】
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C12N 5/10 15/02 G01N 33/574 D 9015−2J (C12P 21/08 C12R 1:91)
Claims (3)
- 【請求項1】 ヒトのムチン性卵巣腫瘍細胞で免疫され
たマウス脾細胞とマウスミエローマ細胞とを融合して得
られるハイブリドーマによって産生され、以下の性質を
有するモノクローナル抗体。 免疫グロブリンクラス:IgG1 ムチン性卵巣腫瘍、子宮頚部腺癌、胃癌、大腸癌と反
応する。 漿液性腫瘍、類中腎腫、子宮筋腫、食道癌、肺癌、乳
癌、肉腫、メラノーマ、カルチノイド、神経系腫瘍、リ
ンパ腫に反応しない。 卵巣、卵管、子宮内膜、胎盤、食道、肝臓、腎臓、乳
腺、甲状腺、脾臓、脳、皮膚の正常細胞とは反応しな
い。 - 【請求項2】 ハイブリドーマ株OM-C(FERM P-9877) よ
り産生される請求項1記載のモノクローナル抗体。 - 【請求項3】 エライザ法、ABC 酵素抗体法、マウス混
合血球吸着試験、若しくは細胞質蛍光抗体法を用いヒト
卵巣腫瘍を検出するに際し、請求項1又は請求項2のい
ずれかに記載のモノクローナル抗体を用いることを特徴
とするヒトの卵巣腫瘍の検出法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4327065A JPH0723400B2 (ja) | 1992-12-07 | 1992-12-07 | ヒトムチン性卵巣腫瘍に対するモノクローナル抗体及び該抗体を用いるヒト卵巣腫瘍の検出法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4327065A JPH0723400B2 (ja) | 1992-12-07 | 1992-12-07 | ヒトムチン性卵巣腫瘍に対するモノクローナル抗体及び該抗体を用いるヒト卵巣腫瘍の検出法 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP63035118A Division JPH01211497A (ja) | 1988-02-19 | 1988-02-19 | ヒトムチン性卵巣腫瘍に対するモノクローナル抗体及び該抗体を用いるヒト卵巣腫瘍の検出法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0678787A JPH0678787A (ja) | 1994-03-22 |
JPH0723400B2 true JPH0723400B2 (ja) | 1995-03-15 |
Family
ID=18194909
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4327065A Expired - Fee Related JPH0723400B2 (ja) | 1992-12-07 | 1992-12-07 | ヒトムチン性卵巣腫瘍に対するモノクローナル抗体及び該抗体を用いるヒト卵巣腫瘍の検出法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0723400B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
SE9501302D0 (sv) * | 1995-04-07 | 1995-04-07 | Bioinvent Internatioal Ab | Antibodies for use in cancertherapy and diagnosis |
US6511790B2 (en) | 2000-08-25 | 2003-01-28 | Fuji Photo Film Co., Ltd. | Alkaline liquid developer for lithographic printing plate and method for preparing lithographic printing plate |
JP2003005354A (ja) | 2001-06-20 | 2003-01-08 | Fuji Photo Film Co Ltd | 平版印刷版用原版および平版印刷版の製版方法 |
JP5660268B2 (ja) | 2008-09-30 | 2015-01-28 | 富士フイルム株式会社 | 平版印刷版原版、平版印刷版の製版方法及び重合性モノマー |
CN117024596B (zh) * | 2023-08-18 | 2024-02-27 | 镜像绮点(上海)细胞技术有限公司 | 肿瘤原代细胞特异性标记与活体成像 |
-
1992
- 1992-12-07 JP JP4327065A patent/JPH0723400B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0678787A (ja) | 1994-03-22 |
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