JPH07213784A - 脱水兼用洗濯機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 脱水が効率良く、しかも充分にできると共
に、それを合理的な構造で達成し得るようにする。 【構成】 プラスチックにより上広がりのテーパ状に形
成され、その上部にのみ孔９（脱水用開口部）を有する
槽８に、ボス部２８を複数個それぞれ少なくとも上部か
ら内方へ突出させて設け、これに対し、金属板により直
円筒状に形成され周壁に多数の通水孔を有する内バスケ
ット２１を、上記ボス部２８の内方端部に上部の外面を
当接させ、且つそのボス部２８にねじ止めすることによ
り、槽８の内周部に所定の空隙３４を隔てて配設した。
これにより、槽８内に脱水の上昇通路を確保でき、脱水
時の高回転にも充分耐え得る強度を確保できる。又、そ
れらは、内バスケットのねじ止め用部分を利用して達成
することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は槽が節水タイプの脱水兼
用洗濯機に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、脱水兼用洗濯機においては、
槽が節水タイプのものが供されている。このものの場
合、槽は脱水用開口部を上部にのみ有するもので、この
槽の内部にのみ貯水してその外方には貯水せずに洗濯を
行ない、そして、槽を回転させることにより揚水して上
記脱水用開口部から脱水するようになっている。しかし
て、このものにおいては、脱水率を上げるために、槽
を、下部から上部へ漸次径大となるテーパ状に形成し、
揚水性を良くしている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来のものの場合、下
記の欠点を有していた。 Ａ．脱水時に、槽を回転させることによる遠心力で洗濯
物が槽の内周面部に押し付けられ、それにより、該槽の
内周面部を昇る水の通路が塞がれて、脱水が効率良く行
なわれない。 Ｂ．槽がプラスチックにより製造されており、その機械
的強度の低さから、脱水の回転数を上げることが充分に
できず、充分な脱水性能が得られない。

【０００４】本発明は上述の事情に鑑みてなされたもの
であり、従ってその目的は、脱水が効率良く、しかも充
分にできると共に、それを合理的な構造で達成し得る脱
水兼用洗濯機を提供するにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の脱水兼用洗濯機においては、プラスチック
により上広がりのテーパ状に形成され、その上部にのみ
脱水用開口部を有する槽に、ボス部を複数個それぞれ少
なくとも上部から内方へ突出させて設け、これに対し、
金属板により直円筒状に形成され周壁に多数の通水孔を
有する内バスケットを、上記ボス部の内方端部に上部の
外面を当接させ、且つそのボス部にねじ止めすることに
より、槽の内周部に所定の空隙を隔てて配設したことを
特徴とする。

【０００６】この場合、内バスケットは、ボス部に上方
よりねじ止めすると良い。又、内バスケットの上縁部に
取付部を外方へ張出させて形成し、この取付部をバラン
スリングにより挟んで該バランスリングと共にボス部に
ねじ止めして固定すると良い。更に、ボス部は内バスケ
ットの上部にのみ設けると良い。

【０００７】

【作用】上記手段によれば、内バスケットによって、そ
の外方の槽内周面との間に脱水の上昇通路が確保され、
洗濯物に阻害されずに円滑に脱水できるようになる。
又、内バスケットが金属板製で機械的強度に優れている
ことにより、脱水回転の折りの遠心力もそれで受け、高
回転に耐え得るようになる。

【０００８】この場合、金属板により形成する内バスケ
ットは、金属板素材からの材料取りを良くするために直
円筒状に形成するもので、この直円筒状の内バスケット
を上広がりのテーパ状を成す槽の内部に配設すると、そ
れらの間には下で狭く、上で広い空隙が形成される。こ
のため、内バスケットがその空隙の広い上部で「べこつ
き」を起こすようになり、あるいは遠心力でたわむよう
になって、高回転に耐え得なくなることが考えられる。

【０００９】しかし、それに対し、槽の少なくとも上部
から内方へ突出させて設けた複数個のボス部の内方端部
に、内バスケットの上部の外面を当接させたものでは、
その複数個のボス部により内バスケットの上部を外方よ
り支えることになるので、内バスケットの上部を補強で
き、高回転にも充分耐え得るようになる。又、その場
合、ボス部は内バスケットのねじ止めに供するものであ
り、それを利用して内バスケット上部の補強ができる。

【００１０】しかして、内バスケットをボス部に上方よ
りねじ止めするものでは、内バスケットの上方からの取
外しが容易にできる。又、内バスケットの上縁部に取付
部を外方へ張出させて形成し、この取付部をバランスリ
ングにより挟んで該バランスリングと共にボス部にねじ
止めして固定するものでは、内バスケットの取付強度を
増し得ると共に、その取付けをバランスリングの取付用
部品を共用して行なうことができる。そして、ボス部を
内バスケットの上部にのみ設けるものでは、内バスケッ
トと槽との間の空隙部を通る水の流れを良くでき、且つ
ボス部の隅部に溜まる汚れを少なくすることができる。

【００１１】

【実施例】以下、本発明の一実施例につき、図面を参照
して説明する。まず図２には脱水兼用洗濯機全体の構成
を示しており、外箱１内に桶２を配設して複数（一つの
み図示）の吊持機構３により弾性支持している。桶２の
外下方部にはモータ４を主体とする駆動機構５を配設し
ており、この駆動機構５にあって脱水時に回転される脱
水軸６を桶２内の底部に突入させ、その上端部に槽取付
盤７を固着している。

【００１２】しかして、桶２内には槽８を配設してお
り、この槽８はプラスチックにより製造したもので、下
部から上部へ漸次径大となる上広がりのテーパ状を成
し、その上端部にのみ脱水用開口部である孔９を詳しく
は図示しないが横一列状に多数形成している。又、この
槽８の底部中心部には排水口１０を形成しており、この
排水口１０を前記槽取付盤７の中心部に複数個形成した
通水孔１１に合わせて、該槽取付盤７上に槽８を載置
し、その上で、それらを複数個のねじ１２により固着し
ている。

【００１３】なお、槽取付盤７の通水孔１１は、シール
金具１３，シール１４，及び導通カバー１５を介して、
桶２の水位検出用エアトラップ１６と隣接する第１の排
水口１７に連通させており、更に、この第１の排水口１
７及びエアトラップ１６は排水弁１８を介して排水ホー
ス１９に連通させている。又、桶２には導通カバー１５
外の部分（図２中左側）で排水ホース１９に直通で連通
（省略）する第２の排水口２０を形成している。

【００１４】そしてそれらに対し、槽８内には内バスケ
ット２１を配設している。この内バスケット２１は、金
属板製で、詳細には例えばステンレス鋼板を丸めてその
両端部をかしめ継合することにより、下端部から上端部
まで同径の直円筒状に形成したものであり、その周壁に
は通水孔２２を下部で多く形成している。この内バスケ
ット２１の下縁部は、図３に示すように、槽８の下部内
周に形成した溝部２３に嵌め込んで固定している。又、
その溝部２３部分には通水用の凹部２４をも間欠的に複
数個形成している。

【００１５】一方、内バスケット２１の上縁部には図４
に示すように外方へ張出すフランジ部２５を形成すると
共に、該フランジ部２５の複数箇所（例えば６か所）か
ら更に外方へ張出す舌片状の取付部２６を形成してお
り、この取付部２６にはそれぞれ取付孔２７を形成して
いる。これに対して、槽８の上部には、この部分にの
み、図１及び図５に示すように円柱状で槽８の内方に突
出するボス部２８を、上記内バスケット２１の取付部２
６と位置及び個数を合わせて形成しており、このボス部
２８にはそれぞれねじ挿入孔２９を形成している。

【００１６】この構成で、ボス部２８の内方端部に内バ
スケット２１の上部の外面を当接させ、ボス部２８上に
取付部２６を載置して、その上からバランスリング３０
の外周部に張出し形成した取付部３１を載置することに
より、取付部２６を挟み、更にその上方よりねじ３２
を、バランスリング３０の取付部３１に形成したねじ挿
通孔３３、取付部２６の取付孔２７を通し、ボス部２８
のねじ挿入孔２９に螺挿して締め付け、もって、取付部
２６をバランスリング３０と共にボス部２８にねじ止め
固定している。しかして、このように固定した内バスケ
ット２１と槽８との間には所定の空隙３４が存してい
る。

【００１７】なお、上記内バスケット２１の下端部から
槽８の底部にかけては底カバー３５を配設している。
又、前記脱水軸６からは洗濯時に回転される洗濯軸３６
を槽８の内底部に突入させており、その上端部に撹拌体
３７を固着している。又、バランスリング３０上方の桶
２上縁部には桶カバー３８を装着しており、更にその上
方の外箱１上にはトップカバー３９を装着している。

【００１８】さて、上述のごとく構成したものの場合、
脱水用開口部である孔９が槽８の上部にのみ存すること
により、洗濯時にはその槽８の内部にのみ貯水して洗濯
を行ない、一方、脱水時には槽８を回転させることによ
り揚水して孔９から脱水することは従来と同様であるも
のの、その槽８の内部に、内バスケット２１を槽８の内
周部に所定の空隙３４を隔てて配設したことにより、該
内バスケット２１と槽８内周面との間に内バスケット２
１の通水孔２２から出た脱水の上昇通路（空隙３４）が
確保され、よって、該脱水時、遠心力によって洗濯物が
内バスケット２１に押し付けられる状況にあっても、そ
の洗濯物に阻害されずに円滑に脱水することができ、脱
水効率を向上させることができる。

【００１９】又、内バスケット２１が金属製で機械的強
度に優れていることにより、脱水回転の折りの遠心力も
それで受け、高回転に耐え得るから、脱水の回転数を充
分に上げることができて、充分な脱水性能を得ることが
できる。

【００２０】しかして、この場合、金属板により形成す
る内バスケット２１は、金属板素材からの材料取りを良
くする、すなわち、金属板素材を扇形等に打ち抜くこと
をせず、矩形のままで済ませるために、直円筒状に形成
するもので、この直円筒状の内バスケット２１を上広が
りのテーパ状を成す槽８の内部に配設すると、それらの
間に形成される空隙３４は図３に示すように下で狭く、
上で広くなる。このため、内バスケット２１がその空隙
３４の広い上部で「べこつき」を起こすようになり、あ
るいは遠心力でたわむようになって、高回転に耐え得な
くなることが考えられる。

【００２１】しかし、それに対しては、槽８の上部から
内方へ突出させて設けた複数個のボス部２８の内方端部
に、内バスケット２１の上部の外面を当接させたことに
より、内バスケット２１の上部を複数個のボス部２８に
よって外方より支えることになり、内バスケット２１の
上部を補強できて、高回転に充分耐え得るようになる。
よって、充分な脱水性能を確実に得ることができる。
又、その場合、ボス部２８は内バスケット２１のねじ止
めに供するものであり、それを利用して内バスケット２
１の上部の補強ができることにより、別途専用の補強部
材を要せず、構造を合理的に済ませることができて、低
コストにての提供ができる。

【００２２】加えて、内バスケット２１はボス部２８に
上方よりねじ止めするようにしており、これによって、
内バスケット２１の上方からの取外しも容易にできる。
なお、この内バスケット２１の取外しについては、それ
に先んじてトップカバー３９及び桶カバー３８を順に取
外し、その上で、ねじ３２を上方から抜き取ってバラン
スリング３０を取外す。かくして、内バスケット２１の
ボス部２８からの取外しも同時にできるもので、その
後、内バスケット２１を引き上げて機外に取出すことが
でき、内バスケット２１外面や槽８の内面に付着しがち
な汚れを落とす作業等が容易にできる。

【００２３】更に、内バスケット２１の上縁部には取付
部２６を外方へ張出させて形成し、この取付部２６をバ
ランスリング３０により挟んで該バランスリング３０と
共にボス部２８にねじ止めして固定したことにより、内
バスケット２１の取付強度を増し得ると共に、その取付
けをバランスリング３０の取付用部品であるねじ３２を
共用して行なうことができ、部品使用の合理化まで図る
ことができる。

【００２４】そして、ボス部２８を内バスケット２１の
上部にのみ設けたことにより、内バスケット２１と槽８
との間の空隙３４部を通る水の流れをボス部２８で阻害
することを極力避けて良くでき、且つボス部２８の両側
の隅部に溜まる汚れを少なくすることもできる。

【００２５】なお、本発明は上記し且つ図面に示した実
施例にのみ限定されるものではなく、特にボス部２８の
具体的形状や具体的個数等の点につき、要旨を逸脱しな
い範囲内で適宜変更して実施し得る。

【００２６】

【発明の効果】本発明の脱水兼用洗濯機は以上説明した
とおりのもので、次に述べる効果を奏する。第１に、プ
ラスチックにより上広がりのテーパ状に形成され、その
上部にのみ脱水用開口部を有する槽に、ボス部を複数個
それぞれ少なくとも上部から内方へ突出させて設け、こ
れに対し、金属板により直円筒状に形成され周壁に多数
の通水孔を有する内バスケットを、前記ボス部の内方端
部に上部の外面を当接させ、且つそのボス部にねじ止め
することにより、槽の内周部に所定の空隙を隔てて配設
したことにより、槽内に脱水の上昇通路を確保できて、
脱水効率を向上させる得ると共に、脱水時の高回転に充
分耐え得るようにできて、充分な脱水性能を得ることが
でき、しかも、それらが内バスケットのねじ止め用部分
を利用してでき、構造を合理的に済ませることができ
て、低コストにての提供ができる。

【００２７】第２に、上記内バスケットをボス部に上方
よりねじ止めしたことにより、内バスケットの上方から
の取外しが容易にできて、内バスケットの外面や槽の内
面に付着しがちな汚れを落とす作業等を行なうのに都合
良くできる。

【００２８】第３に、上記内バスケットの上縁部に取付
部を外方へ張出させて形成し、この取付部をバランスリ
ングにより挟んで該バランスリングと共にボス部にねじ
止めして固定したことにより、内バスケットの取付強度
を増し得ると共に、その取付けをバランスリングの取付
用部品を共用して行なうことができ、部品使用の合理化
まで図ることができる。

【００２９】第４に、上記ボス部を内バスケットの上部
にのみ設けたことにより、内バスケットと槽との間の空
隙部を通る水の流れをボス部で阻害することを極力避け
て良くでき、且つボス部の隅部に溜まる汚れを少なくす
ることまでできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す主要部分の縦断面図

【図２】全体の破断側面図

【図３】槽の片半部の縦断面図

【図４】内バスケット上部の部分斜視図

【図５】槽のボス部部分の横断面図

【符号の説明】

８は槽、９は孔（脱水用開口部）、２１は内バスケッ
ト、２２は通水孔、２６は取付部、２８はボス部、３０
はバランスリング、３２はねじ、３４は空隙を示す。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 プラスチックにより上広がりのテーパ状
   に形成され、その上部にのみ脱水用開口部を設けると共
   に、ボス部を複数個それぞれ少なくとも上部から内方へ
   突出させて設けた槽と、 金属板により直円筒状に形成され、周壁に多数の通水孔
   を有して、上部の外面を前記ボス部の内方端部に当接さ
   せ、且つそのボス部にねじ止めすることにより、前記槽
   の内周部に所定の空隙を隔てて配設された内バスケット
   と、を具えたことを特徴とする脱水兼用洗濯機。
2. 【請求項２】 内バスケットを、ボス部に上方よりねじ
   止めしたことを特徴とする請求項１記載の脱水兼用洗濯
   機。
3. 【請求項３】 内バスケットの上縁部に取付部を外方へ
   張出させて形成し、この取付部をバランスリングにより
   挟んで該バランスリングと共にボス部にねじ止めして固
   定したことを特徴とする請求項１記載の脱水兼用洗濯
   機。
4. 【請求項４】 ボス部を内バスケットの上部にのみ設け
   たことを特徴とする請求項１記載の脱水兼用洗濯機。