JPH07174403A - 空気調和機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】上下、左右風向板の一体化風向偏向装置を備え
た空気調和機の小形、低騒音化を図る。 【構成】送風吹出通路上に、上下風向板８ａ、８ｂと左
右風向板９とを一体化した風向偏向装置７を備えた空気
調和機であって、風向偏向装置７の構造を左右風向板９
の上部が、所定間隔内に互いに水平に配設された少なく
とも２枚の上下風向板８ａ、８ｂの上方に突出して配置
されると共に、複数の各左右風向板９がリンク機構を有
する連動棒１０に回動自在に連結され、上下風向板８
ａ、８ｂを支持する支持板に接続された回転軸１１ａを
介して上下風向板８ａ、８ｂを上下に回動すると共に、
回転軸端に接続された駆動棒１１ｂを介して吹出口方向
に移動可能な機構とした。 【効果】空気調和機の送風性能を向上して低騒音化で
き、同時に室内機寸法をコンパクトにできる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、空気調和機に係り、特
に上下に風を偏向する横羽である上下風向板と、左右に
風を偏向する縦板である左右風向板とを一体化した風向
偏向装置を室内機の送風吹出通路上に設けた構造の空気
調和機に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種の一体化構造を有する風向偏向装
置を備えた従来の空気調和機の第１の例を図７の断面図
により説明すると、上下風向板２８とたて板２７で長方
形の枠を形成し、その中に左右風向板２９を並べる構造
があり、ケーシングに設けた軸受２１ｂに、長方形に形
成した枠に設けた回動軸２１ａによって風向板を上下に
回動するもので、さらに連動棒２０により左右風向板２
９を左右に回動するものである。また、第２の例として
は、上下風向板と円形の左右風向板の上流側を一体成形
し、ヒンジ、連動棒を設けて後流側左右風向板を取り付
ける方法等が提案されている。なお、この種の従来の一
体化風向偏向装置の構造に関するものとしては、例えば
実開昭56−90640号公報、特開昭60−101442号公報、特
開昭63−153351号公報等が挙げられる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記第１の従来例によ
る風向板は、上下風向板２８を吹出口内側周囲に箱形に
形成されるため、風向を偏向させる時、通風路を塞ぎ、
送風量の低下、気流の乱れにより騒音が大きくなるもの
であった。特に空気調和機の室内機においては送風機が
風向板の近くに位置するため、これらの影響は更に助長
される。また、回動軸２１ａを中心に上下風向板２８を
上下方向に回転させ風向を変えるものは、風向板の送風
機からの距離を大きく取らなければならず、空気調和機
の室内機をコンパクトにしにくい。

【０００４】第２の従来例では、上下風向板の上下に円
形の左右風向板を形成し、下流側半円を左右に可動させ
る風向板においては、上流側で整流した風を下流側のみ
で風を偏向させようとするため、左右風向板の角度に対
して実際に偏向される角度が小さくなる恐れがある。ま
た、上下風向板は一枚で構成されるため、上下に風を偏
向させる時の偏向される通風が充分でない恐れがある。
また、吸込口近くに多翼送風機、送風機の吹出側に熱交
換器、風向板が配置されるような調和機構成は、壁掛形
室内機とは構成が大巾に異なるものである。

【０００５】したがって、本発明は上記従来技術の問題
点を解決するためになされたもので、上下風向板に左右
風向板を組込み、風向偏向装置を吹出口方向に移動可能
な機構とし、風向偏向装置の送風機からの距離を大きく
することにより、充分な風向偏向を得てかつ低騒音化を
図ると共にコンパクトな室内機を備えた空気調和機を提
供することを目的とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の第１の発明は、送風吹出通路上に、上下風向板と左右
風向板とを一体化した風向偏向装置を備えた空気調和機
において、風向偏向装置の左右風向板の上部が、所定間
隔内に互いに水平に配設された少なくとも２枚の上下風
向板の上方に突出して配置され、送風吹出通路の気流方
向の奥行寸法を小さくすると共に、複数の各左右風向板
がリンク機構を有する連動棒に回動自在に連結され、上
下風向板を支持する支持板に接続された回転軸を介して
上下風向板を上下に回動すると共に、回転軸端に接続さ
れた駆動棒を介して風向偏向装置を吹出口方向に移動可
能な機構としたものである。

【０００７】また、第２の発明は、風向偏向装置を構成
する上下、左右風向板が運転時に送風吹出通路の出口方
向に延出されるようにしたことにより、風向板と送風機
の間隔をとれるようにし、風向板がケーシングの一部を
形成する構造とすると共に、ケーシングの下縁端部を風
向偏向装置の延出と同期して、送風吹出通路の出口方向
に延出し得るように伸縮自在な構造としたものである。
さらには、この風向偏向装置と曲げ熱交換器を併用する
ことにより、よりコンパクトな空気調和機の室内機の構
成が得られるものである。

【０００８】

【作用】上下風向板に取付けて一体化した個々の左右風
向板は従来例のように板を分割せず、全体が左右に可動
するため風向板が小形化したにも拘わらず、風の方向を
曲げる偏向性能は優れており、また、上下風向板と左右
風向板が別体よりも送風機からの距離も大きく取れるた
め、風向板に衝突した気流による騒音発生を低減するこ
とができる。左右風向板の上部が上下風向板の上方に突
き出して配置されることにより、左右風向板の面積が大
きく取れるので左右の風向偏向が大となり、しかも上下
の風向板の間隔が広すぎると上下風向偏向が充分でな
く、上下風向板の間をぬける風が多くなり上下に風を充
分偏向できなくなるのを防止できる。

【０００９】さらに、上下風向板を送風時にケーシング
下縁に近づけ、風向板の一部がケーシング下縁より送風
吹出通路の出口方向に突き出すことにより、風向板がケ
ーシングの一部を形成して送風量が増し送風性能が向上
する。しかも、ケーシング下縁も送風吹出通路の出口方
向に突き出すことにより更に送風量が増し送風性能が向
上する。

【００１０】また、風向偏向装置、及び下部ケーシング
の端部を空気調和機の室内機の運転時に送風吹出通路の
出口方向にスライドし突き出す構造とすることにより、
運転中の性能を低下させずに運転停止時の空気調和機の
室内機の寸法を小形化することができる。さらに、上記
風向偏向装置と曲げ熱交換器を併用することにより、空
気調和機の室内機の上下寸法を更に小さくすることがで
きコンパクトな構成を得ることができる。

【００１１】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を用いて説明
する。図１は、本発明の実施例に係る分離型空気調和機
の室内機断面図、図２は、左右風向板を上下風向板に取
り付けた風向偏向装置の外観斜視図、図３は風向板の断
面図、図４は上下風向板とケーシング下縁との位置関係
を示す断面図、図５は位置関係と騒音レベルとの関係を
示した特性図、図６は風向偏向装置及び、ケーシング下
縁が送風吹出通路の出口方向に突き出しスライドする構
造を示す断面図である。

【００１２】図１において、１は空気調和機の室内機の
箱体ベース、２はくの字形に成形された熱交換器、３は
貫流ファン、４ａ，４ｂは吸込口に配置されたグリル、
５はフィルター、６ａ，６ｂは貫流ファン３と組合せて
使用されるケーシング、７は上下及び左右風向板が一体
化された風向偏向装置である。この風向偏向装置は後述
する風向偏向装置を上下に回転させる回転軸、この回転
軸の端部に接続されたラックを設けた駆動棒、ケーシン
グに設けられ駆動棒のラックと接続する回転軸により送
風吹出通路内に取付けられる。

【００１３】風向偏向装置７の構造を図２、図３により
説明する。８ａ，８ｂは上下風向板であり、下側８ａの
奥行寸法が大きい。９は左右風向板であり、上下風向板
８の長手方向に複数枚取付けられている。10は左右風向
板９の連動棒、11ａは風向偏向装置７を上下に回転させ
る回転軸であり、上下風向板を支持する支持板に接続さ
れたこの回転軸11ａを介して上下風向板を上下に回動で
きる。11ｂは回転軸11ａの端部に接続され風向偏向装置
７を送風吹出通路の出口方向に突き出しスライドさせる
ためラック11ｃを設けた駆動棒、12は左右風向板を上下
風向板の溝13に回動自在に支持するための突起部であ
る。14は左右風向板を連動棒10に回動自在に支持するた
めの突起部である。

【００１４】このような構造の室内機において、風向偏
向装置７は上下左右の風向板が一体化されていることに
より、小形化され、送風機からの距離が大きく取れ、吹
出気流が整流されてから風向板に衝突するため、騒音の
発生を抑えることができる。また、ここで使用する熱交
換器はくの字形に形成されているため、従来と同一寸法
の熱交換器を収納しても空気調和機の室内機の上下寸法
を小さくコンパクトにすることができる。

【００１５】図４において、Ｄｈ，Ｄｌは風向偏向装置
をケーシングと平行とした時の位置関係を示しており、
Ｄｈは吹出口高さＨの８分の１以上５分の１以下、Ｄｌ
は風向板奥行Ｌの３分の２以上１分の１以下がケーシン
グ先端より突き出しており、風向板がケーシングの一部
を構成することになる。これにより、図５に示すように
同一送風量において、騒音レベルが低下し、ケーシング
の貫流ファンを囲っている大きさである巻量が増大する
のと等価となり、送風性能が向上し送風量が増大する。
ここで、Ｄｌを大きく取り過ぎると（Ｄｌ／Ｌ＝１／１
が限度）、ケーシングとしての作用効果が発揮できなく
なり、また、Ｄｈを小さく取り過ぎると、風向板下面に
風が通過せず、露付が生じたり、風向板が回転できない
などの構造的問題も発生する。

【００１６】図６において、風向偏向装置７は、ケーシ
ングに支持される歯車18の回転により駆動棒11ｂに設け
たラック11ｃを介して、上下風向板を支持する支持板に
接続された回転軸11ａの端部が駆動棒11ｂに取付けられ
ており、送風吹出通路の出口方向前後に移動可能であ
り、ケーシングとの位置関係を調節することができる。

【００１７】また、ケーシング下縁の先端部16をケーシ
ング６ａと別部品で構成し、先端部をケーシングに設け
たスライド案内部15ａ、15ｂを介してケーシング先端部
に設けたラック16ａと歯車17の回転により送風吹出通路
の出口方向前後に可動させることによりケーシングの巻
量を調節することができる。

【００１８】これにより、空気調和機運転時にケーシン
グ先端部ラック16ａを風向偏向装置７の突出と同期させ
て送風吹出通路の出口方向前方にスライドさせると送風
性能が向上し、停止時に送風吹出通路の出口方向後方に
スライドさせると空気調和機の室内機の上下寸法が小さ
くコンパクトとなる。なお、風向偏向装置７、ケーシン
グ１６の前後スライドは歯車１７ではなく形状記憶合金
への通電による伸長、収縮を利用した構成としてもよ
い。

【００１９】

【発明の効果】本発明によれば、空気調和機の室内機に
おいて、風向偏向装置は上下左右の風向板が一体化され
ていることにより小型化され、送風ファンからの距離が
大きく取れ、吹き出し気流が整流されてから風向板に衝
突するため、騒音の発生を抑えることができる。風向偏
向装置とケーシングは運転時に送風吹出通路の出口方向
前方にスライドさせることにより、風向偏向装置とケー
シングとの距離が適正な寸法を取られた状態で送風吹出
通路の出口先端より吐出しており、同一送風量において
も騒音レベルが低下し、風向偏向の送風性能が向上し、
同一送風機による送風量も増大する。また、空気調和機
の室内機の上下寸法を小さくでき、小形コンパクトで低
騒音化を図った室内機を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す室内機断面図である。

【図２】同じく風向偏向装置の外観斜視図である。

【図３】同じく風向偏向装置の断面図である。

【図４】同じく風向偏向装置とケーシングの位置関係図
である。

【図５】同じく風向偏向装置とケーシングとの位置変化
による騒音レベルを示す特性図である。

【図６】同じく本発明の他の実施例を示す風向偏向装置
とケーシングをスライドさせる機構の断面図である。

【図７】回動軸を中心に上下風向板を上下方向に回転さ
せる従来の風向偏向装置の要部断面図である。

【符号の説明】

２…熱交換器、 ６ａ，６ｂ，16…ケーシン
グ、７…風向偏向装置、 ８ａ，８ｂ…上下風向
板、９…左右風向板。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高田 芳廣 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】送風吹出通路上に、上下風向板と左右風向
   板とを一体化した風向偏向装置を備えた空気調和機にお
   いて、風向偏向装置の左右風向板の上部が、所定間隔内
   に互いに水平に配設された少なくとも２枚の上下風向板
   の上方に突出して配置されると共に、複数の各左右風向
   板がリンク機構を有する連動棒に回動自在に連結され、
   上下風向板を支持する支持板に接続された回転軸を介し
   て上下風向板を上下に回動すると共に、回転軸端に接続
   された駆動棒を介して風向偏向装置を吹出口方向に移動
   可能な機構とした風向偏向装置を具備して成る空気調和
   機。
2. 【請求項２】風向偏向装置の上下風向板は複数枚で構成
   され、下側風向板と送風吹出通路を構成しているケーシ
   ングとの距離を吹出口高さの1/8以上1/5以下とし、送風
   吹出通路の吹出口から吹出口外側前方に風向板の突き出
   ている量を2/3以上1/1以下として成る請求項１記載の空
   気調和機。
3. 【請求項３】ケーシング下縁端部を風向偏向装置の延出
   と同期して送風吹出通路の出口方向に延出し得るよう伸
   縮自在な構造として成る請求項１もしくは２記載の空気
   調和機。