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JPH07163649A - 水硬化性固定材 - Google Patents

水硬化性固定材

Info

Publication number
JPH07163649A
JPH07163649A JP5304755A JP30475593A JPH07163649A JP H07163649 A JPH07163649 A JP H07163649A JP 5304755 A JP5304755 A JP 5304755A JP 30475593 A JP30475593 A JP 30475593A JP H07163649 A JPH07163649 A JP H07163649A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
fixing material
curable
resin composition
polyurethane resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5304755A
Other languages
English (en)
Inventor
Takayuki Sekine
隆幸 関根
Nobuyasu Nakasugi
進康 中杉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
ARUKEA KK
San Apro KK
Alcare Co Ltd
Original Assignee
ARUKEA KK
San Apro KK
Alcare Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ARUKEA KK, San Apro KK, Alcare Co Ltd filed Critical ARUKEA KK
Priority to JP5304755A priority Critical patent/JPH07163649A/ja
Priority to GB9422494A priority patent/GB2284353B/en
Priority to CA002135439A priority patent/CA2135439C/en
Priority to US08/336,423 priority patent/US5665056A/en
Priority to DE4439994A priority patent/DE4439994C2/de
Publication of JPH07163649A publication Critical patent/JPH07163649A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L15/00Chemical aspects of, or use of materials for, bandages, dressings or absorbent pads
    • A61L15/07Stiffening bandages
    • A61L15/12Stiffening bandages containing macromolecular materials

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Materials For Medical Uses (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 長期にわたり貯蔵安定性を保持し、患部に適
用中は硬化が緩慢で、その後急速に硬化する特性を持っ
た水硬化性固定材を得る。 【構成】 軟質性の基布をポリオールとポリイソシアネ
ートとからなるポリウレタンプレポリマー、触媒及び安
定剤を含む水硬化性ポリウレタン樹脂組成物で被覆し、
ポリオールはポリエチレングリコールとビスフェノール
系ジオールとを含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は外科、整形外科分野にお
いて患部を固定して治療するために用いる水硬化性固定
材に関する。
【0002】
【従来の技術】水硬化性ポリウレタン樹脂組成物を塗布
したテープ状又はシート状の基布を水分と接触させて患
部に適用し、基布に塗布した水硬化性ポリウレタン樹脂
組成物を水分と反応させて硬化させる水硬化性固定材
は、従来の焼石膏を用いたギブス包帯に比して多くの利
点を持っているためギブス包帯に代わって多く利用され
つつある。この水硬化性固定材に用いられるポリウレタ
ン樹脂組成物は特に水硬化性固定材の物性を大きく左右
するため、従来から多くの研究開発が行われ、種々の組
成のものが知られている。
【0003】水硬化性固定材に用いられるポリウレタン
樹脂組成物は水に接触すると硬化反応を開始して、柔軟
な水硬化性固定材は徐々に硬くなり、患部への適用操作
においてロール状のものは巻戻し操作ができなくなり、
シート状のものは変形加工ができなくなる。さらに硬化
反応が進行すると多少の負荷が加わっても変形しない強
度になり、反応が完結するとさらに強度の高い固定材と
なるものである。整形外科用の水硬化性固定材は短時間
で硬化することが必要とされる。そのためポリウレタン
樹脂組成物は水分に対して極めて高い活性が要求され
る。一方、水硬化性固定材は長期間にわたる貯蔵安定
性、すなわち気密性の容器に保存中は硬化が進行しない
ことも要求される。
【0004】水硬化性固定材の患部への装着過程には、 (1)水分と接触させた水硬化性固定材を患部に適用す
る過程(以下この時間帯を可使時間という) (2)患部に適用した水硬化性固定材を部分的に修整す
るいわゆるモデリングする過程 (以下この時間帯をモ
デリング時間という) (3)モデリングが終了した水硬化性固定材の硬化が進
行し、荷重を加え得る状態になるまで保持する過程
(以下この時間帯を加重負荷可能時間という) (4)水硬化性固定材の硬化が更に進行して完全な硬化
状態になるまでの過程がある。これらの過程において得
られる水硬化性固定材の強度と時間との関係を考察する
と、(1)の過程は患部に水硬化性固定材を適用する作業
であり、特に複雑な形状を有する部位に適用するような
場合にはある程度の時間を必要とする。その間に水硬化
性ポリウレタン樹脂組成物の硬化が速く進み過ぎ硬化し
てしまうと所定の位置に適切に適用することができない
から、適用するのに最低必要とすると考えられる時間は
水硬化性固定材の強度はできるだけ低く保たれているこ
とが望ましい。必要な時間としては施術する医師の熟練
度や使用部位によって異なるが約2分半から3分半程度
である。次に(2)の過程においては(1)の過程でほぼ適
正な位置に適用された水硬化性固定材を部分的に修整す
るだけであるから、水硬化性固定材の強度がいつまでも
低い値に保たれていると修整しようとして水硬化性固定
材に力を加え正確な形にモデリングを行っても、その力
を除くと水硬化性固定材の復元力や体の弾力性によって
修整前の形に戻ってしまい最終的なモデリングに時間と
手間がかかりすぎるから、水硬化性固定材を適用し終っ
た後は水硬化性固定材の強度は大きく上昇していくこと
が望ましい。(3)の過程においてはモデリングが終了し
水硬化性固定材は全体にわたって適性な位置にあるか
ら、水硬化性固定材が硬化して通常の荷重を加え得る状
態になるまでは患部を動かないように保持しておく必要
がある。したがって水硬化性固定材の強度はできるだけ
速く増加することが望ましい。更に(4)の過程において
も患者及び医師の拘束時間を短くするためできるだけ早
く完全に硬化し、かつ硬化した固定材の強度ができるだ
け高い値に達することが望ましい。すなわち、水硬化性
固定材の強度は、患部に適用している操作期間中は低い
値に保たれ、モデリング期間に入って急激に増加し、そ
の後も急激に増加し続けて完全硬化し、最終的に高い値
に達するような硬化反応特性を有することが理想的であ
る。
【0005】これに対して従来の水硬化性固定材に使用
されているポリウレタン樹脂組成物の代表的なものを見
るに、特開昭54−100181号公報においては、ヒ
ドロキシル基または活性メチレン基または第1級または
第2級アミノ基を有する高分子化合物とオキシカルボニ
ルイソシアネートを含まない多官能性イソシアネートを
反応させて得られる−NCO基を有するプレポリマー1
0〜70重量%と分子中に2個以上の−NCO基を有す
る低粘度のイソシアナート単量体またはオリゴマー90
〜30重量%とからなる樹脂組成物が提案されている。
この樹脂組成物は触媒を含まないため貯蔵安定性は良好
であるが硬化性が遅いという欠点がある。特開昭57−
148951号公報においては、末端にイソシアネート
基を有し官能性が2以上のプレポリマーと触媒とを含
み、プレポリマーが吸水性のプレポリマーでありかつ触
媒が水溶性で上記プレポリマーに不溶性であるものが提
案されている。このポリウレタン樹脂組成物は硬化性に
改良がみられるもののなお十分でなく、貯蔵安定性が悪
いという欠点がある。特開昭58−146351号公報
においては、当量比2:1〜15:1の芳香族ポリイソ
シアネート及びポリオールからなり、かつプレポリマー
に対して0.1〜10重量%のジモルホリノジエチルエ
ーテルを触媒として含む樹脂の提案がされている。この
ポリウレタン樹脂組成物は貯蔵安定性、硬化性に優れた
点があるが、極めて早く硬化してしまい可使時間が短い
という欠点がある。特開昭62−87162号公報にお
いては、硬化性樹脂に、硬化性樹脂と共有結合で結合す
る親水性基、または硬化性樹脂と融和しない添加物のよ
うな潤滑材を含有せしめ、表面の動摩擦係数を1.2未
満とすることが提案されている。この硬化性樹脂は施術
時のべた付を抑制しようとするものであるが、ポリプロ
ピレングリコールを主体とするプレポリマーであるため
硬化性を上げるため触媒の量が多く可使時間が短いとい
う欠点がある。特開昭62−172008号公報におい
ては、ポリウレタンプレポリマーおよび三級アミン触媒
を含み更に安定剤としてメタンスルホン酸を含むポリウ
レタンプレポリマー組成物を提案している。この組成物
によれば貯蔵安定性が改良されるが手袋にべた付く、触
媒量を多く必要とする欠点がある。特開平3−4111
6号公報においては、ポリオールとポリイソシアネート
からなるポリウレタンプレポリマー、触媒、安定剤およ
びポリエチレングリコールのエステル化合物からなるポ
リウレタン樹脂組成物が提案され、施術時の手袋へのべ
た付きを低減するものであるが、硬化特性においてなお
満足できるものではない。特表平3−503611号公
報においては、(a)ポリエチレングリコール、(b)分子
量200以下のトリオールまたはテトロール、及び(c)
芳香族イソシアネートのそれぞれの残基を含有し、樹脂
中の(a)+(b)と(c)との重量比が1:1以下であるイ
ソシアネート官能性樹脂が提案されている。この樹脂は
低粘着性で硬化特性がよいが、低分子量の三官能以上の
ポリオールを使用しているため貯蔵安定性及び可使時間
が劣る欠点がある。特開平4−120117号公報にお
いては、ポリオールとポリイソシアネートとからなり、
ポリオールとして特定のビスフェノール系ジオールをポ
リオール成分の内少なくとも1重量%使用するポリウレ
タン樹脂組成物が提案されている。このポリウレタン樹
脂組成物は貯蔵安定性がさらに改善されるものである
が、硬化特性になお不満が残っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来多く提案されてい
るポリウレタン樹脂組成物には上述のように一長一短が
あり、貯蔵安定性と硬化特性との両方で満足すべきもの
はなお得られていない。
【0007】本発明の目的は、長期にわたる貯蔵安定性
を保持し、適用時の硬化反応が上述のような理想的な硬
化特性を有する水硬化性固定材を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明においては、軟質性の基布をポリオールと
ポリイソシアネートとからなるポリウレタンプレポリマ
ー、触媒及び安定剤を含む水硬化性ポリウレタン樹脂組
成物で被覆し、ポリオールはポリエチレングリコールと
ビスフェノール系ジオールとを含む。
【0009】ポリオール成分中のポリエチレングリコー
ルとビスフェノール系ジオールの含有量は、少なくとも
ポリオール成分の50重量%以上であることが好まし
い。50重量%以下では上述の硬化特性が得られない。
【0010】ポリオール成分中のポリエチレングリコー
ルとビスフェノール系ジオールの配合比は、用いるビス
フェノ−ル系ジオ−ルの種類によって異なるが、1:
0.2〜1:5であることが好ましい。この範囲外では
水硬化性固定材の強度、硬化時の発熱量及び貯蔵安定性
が悪くなる。
【0011】本発明の軟質基布としては、低水分率で引
張強度が高く、ポリウレタン樹脂組成物に非反応性でか
つ濡れやすい素材からなる編物、織物、不織布を使用す
ることができる。例えば、ガラス繊維、アラミド繊維、
ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリアミド繊
維、ポリアクリル繊維、レーヨン繊維、綿繊維を用いた
編物、織物、不織布がある。これらの内、特にガラス繊
維、ポリエステル繊維の集合体(糸)を用い、厚さ0.08
〜5.0mm、メッシュサイズ3〜30個/cm2にラッシェル編
みしたものが好ましい。より具体的には、本出願人の提
案にかかる特公昭63−5100号公報、特開昭60−
242851号公報、特開平2−71746号公報、特
願平3−194853号明細書等に記載した基布を用い
ることができる。
【0012】本発明のポリウレタンプレポリマーは、ポ
リオールとポリイソシアネートとを反応させて得られる
末端にイソシアネート基を有するものである。
【0013】ポリオールとしては、ポリエチレングリコ
ールとビスフェノール系ジオールが必須成分であるが、
それ以外の公知のポリオール、例えばポリプロピレング
リコール、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイド
のランダムまたはブロック共重合体なども用いることが
できる。
【0014】ポリエチレングリコールは、触媒の存在下
に100〜180℃でエチレングリコールにエチレンオ
キサイドを付加することによって得られる。ポリエチレ
ングリコールの平均分子量は通常200以上であるが、
分子量1000以下のものを使用した水硬化性固定材は
分子量1000以上のもののそれより硬化時の発熱が大
きい傾向があり、分子量1000以下のものはできるだ
け少量使うことが望ましい。一方分子量1000以上の
ものを使用した水硬化性固定材は硬化後の剛性が小さ
く、分子量1000以上のものを用いることも剛性の面
よりさけることが望ましい。したがって、発熱性及び剛
性の面より低分子PEGと高分子PEGの混合物を選択
する必要が生ずる。尚通常市販されているポリエチレン
グリコールは合成に使用した触媒を含んでいることが多
く、触媒をあらかじめ除去するとか、硫酸や塩酸などの
鉱酸や後述の安定剤を加えて中和しておく必要がある。
【0015】ビスフェノール系ジオールとしては、ビス
フェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールBな
どのビスフェノール類に触媒の存在下、100〜180
℃でアルキレンオキサイドを付加することによって得ら
れる。アルキレンオキサイドとしてはエチレンオキサイ
ド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどが
挙げられる。好ましいビスフェノール系ジオールはビス
フェノールAのエチレン又は/及びプロピレンオキサイ
ド付加物である。ビスフェノール系ジオールのアルキレ
ンオキサイド付加モル数は2モル以上である。エチレン
オキサイド2〜3モル付加物とプロピレンオキサイド2
〜30モル付加物はウレタンプレポリマ−の貯蔵安定性
改善に有効である。ウレタンプレポリマ−組成物の貯蔵
安定性を改善するために必要とするビスフェノール系ジ
オール中のビスフェノールの量はポリウレタン樹脂組成
物の通常2.5%以上、好ましくは5%以上である。
2.5%以下では貯蔵安定性は充分に改善されない。貯
蔵安定性の改善以外の目的で使用する場合には上記の範
囲以外の付加モル数のビスフェノール系ジオールも使用
できる。
【0016】ポリエチレングリコールとビスフェノール
系ジオールとを配合して得られるポリオールの使用され
る平均分子量は400〜2000、好ましくは500〜
800である。平均分子量が400より下のポリオール
を用いたポリウレタン樹脂組成物の硬化物は硬いが脆
く、固定材としては使用できない。一方平均分子量20
00より大きいポリオールを用いたポリウレタン樹脂組
成物の硬化物は軟らかすぎてやはり固定材には適さな
い。
【0017】ポリイソシアネートとしては、従来公知の
芳香族ポリイソシアネートを使用することができる。好
ましいのは4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、p
−フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェ
ニレンポリイソシアネート、及びこれらのカルボジイミ
ド変性ポリイソシアネートなどが挙げられ、これらは1
種単独または2種以上の組合せとして使用される。特に
好ましいのは4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ
ート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、
及びこれらのカルボジイミド変性ポリイソシアネートで
ある。
【0018】末端にイソシアネート基を有するポリウレ
タンプレポリマーを得るための、ポリオールとポリイソ
シアネートとの配合比率は、通常ポリオール1当量当り
のポリイソシアネート2〜5当量、好ましくは 2.5
〜5当量である。両者の反応は通常30〜 100℃、好まし
くは50〜80℃で加熱攪拌することで達成される。ポリウ
レタンプレポリマーの粘度は通常室温で10000〜50000cp
s、好ましくは15000〜40000cpsである。
【0019】触媒としては貯蔵安定性に優れたものを選
択使用することができる。従来からよく知られているも
のとしてジモルホリノジエチルエーテル、ビス(2,6
−ジメチルモルホリノ)ジエチルエーテル、特開昭62
−103071号公報記載の置換モルホリノジエチルエ
ーテル類、などで代表される触媒などがある。いずれの
触媒も単独または2種以上混合して用いることができ
る。触媒の使用量は水硬化性固定材の可使時間が約2〜
3分になるように加えられる。通常ポリウレタン樹脂組
成物の0.1〜5.0重量%、好ましくは0.5〜3重
量%である。この値より少ないと可使時間が長過ぎ、又
この値より多いと可使時間が短過ぎる。
【0020】安定剤としては従来公知のベンゾイルクロ
ライド、メタンスルホン酸などを使用することができ
る。いずれの安定剤も単独または2種以上混合して用い
ることができる。安定剤の使用量は触媒の使用量によっ
て異なるが、通常ポリウレタン樹脂組成物の0.005
〜1重量%、好ましくは0.01〜0.5重量%であ
る。0.005重量%より少ない量では安定化効果がな
く、1重量%より多いと触媒の活性が損なわれてしま
う。
【0021】本発明のポリウレタン樹脂組成物にはさら
に、必要に応じ消泡剤、酸化防止剤、粘度調整剤、粘着
力抑制剤、紫外線吸収剤、顔料、染料などの着色剤、炭
酸カルシウム、二酸化チタン、カーボンブラック、クレ
イ等の充填剤などの各種添加剤を用いてもよい。
【0022】ポリウレタン樹脂組成物の調製にあたって
は、ポリオールとポリイソシアネートとから得られるウ
レタンプレポリマーに、触媒、安定剤、各種添加剤を加
えてもよく、またウレタンプレポリマーを製造する際に
ポリオール、ポリイソシアネートと共に、あらかじめ触
媒、安定剤、各種添加剤の一部または全量を加えておい
てもよい。
【0023】軟質性の基布をポリウレタン樹脂組成物で
被覆して水硬化性固定材を製造する方法は従来公知の方
法でよく、例えば低湿度に調整された室内でポリウレタ
ン樹脂組成物をロールによって基布に塗布する方法が用
いられる。ポリウレタン樹脂組成物で基布を被覆して得
られる水硬化性固定材は湿気を遮断できる容器内に密封
して保存され、患部に適用するときに容器を開封し、水
と接触させて患部に適用する。
【0024】
【作用】本発明における水硬化性固定材の硬化反応機構
は、触媒の種類と量、反応温度、ポリウレタン樹脂組成
物と水との親和性等が複雑に絡み合っているため明確に
は説明し難いが、次のように考えることができる。すな
わちポリウレタンプレポリマー中のポリオールの一成分
としてのポリエチレングリコールは強い親水性を持って
いるため、固定材を水に漬けるとポリウレタン樹脂組成
物を硬化させるのに必要な水分がポリウレタン樹脂組成
物中に速やかに浸透し全体に均等に水分が行き渡りイソ
シアネート基との反応が起こる。ポリウレタン樹脂組成
物中の触媒が水とイソシアネートとの反応を促進し硬化
を進める。水とイソシアネートとの反応による反応熱に
よって温度が上昇するため反応速度は更に促進され短時
間に硬化する。これは前述の(2)および(3)の過程に相
当し、モデリングが適切に可能となり短時間に荷重可能
な状態に達する。そして反応に必要な水分を固定材の表
面に保持できるため反応基全てが同時に反応し、短時間
に反応は完結し高い強度の固定材となる。これは前述の
(4)の過程に相当する。
【0025】一方ポリオ−ル成分がポリエチレングリコ
ールのみからなるポリウレタンプレポリマーは、ポリプ
ロピレングリコールからなるポリウレタンプレポリマー
に比べて親水性のため水との反応性が高く、硬化時間を
調節する触媒の使用量を少なくすることができる。しか
し生成したポリウレタンも親水性であり、過剰の水分を
長時間保持しかつ乾燥するまで水硬化性固定材は可塑化
された状態にあり強度の発現が遅くなる。また、ポリエ
チレングリコールからなるポリウレタンプレポリマーは
親水性のため反応が早期に完結するため反応熱が集中
し、発熱による温度上昇が大きくなる傾向がある。特に
分子量1000以下のポリエチレングリコールからのポ
リウレタンプレポリマーでは硬化時の到達温度が高くな
る傾向にある。これは低分子量のポリエチレングリコー
ルほど水に溶解するときに高い溶解熱を出すことと関係
があるものと考えられる。またポリエチレングリコール
からのポリウレタンプレポリマーは貯蔵安定性が劣る欠
点がある。
【0026】本発明で用いられるビスフェノール系ジオ
ールはポリエチレングリコールの長所を損なうことなく
上述の欠点を改良することができる。低分子量のポリエ
チレングリコールの代わりに分子量が800以下の(疎
水性)のビスフェノール系ジオールを用いると、硬化時
の到達温度を下げ、強度の発現を速くする。これはビス
フェノール系ジオールの分子構造に起因する疎水性によ
るものと考えられる。これらのビスフェノール系ジオー
ルは水に溶解せず、水に混合したときも発熱はほとんど
ない。強度の発現は疎水性であることと共に分子中にベ
ンゼン核を有するため強度を高くするためと思われる。
またビスフェノール類にエチレンオキサイドを多量に付
加したものはポリエチレングリコールの代わりに用いる
ことができる。また適当なモル数のアルキレンオキサイ
ド付加物はポリウレタン樹脂組成物の貯蔵安定性を改良
することができる。
【0027】
【実施例】次に本発明の実施例、比較例を挙げて詳細に
説明する。実施例、比較例のポリウレタン樹脂組成物に
使用される原料は表1に、配合処方は表2に記載した。
又この配合処方で得られたポリウレタン樹脂組成物の物
性と基布に塗布して水硬化性固定材としての製品評価は
表3及び表4に記載した。
【0028】ポリウレタン樹脂組成物の合成は、全ての
実施例及び比較例とも、窒素ガスで置換した反応容器に
ポリオ−ル成分、消泡剤を仕込み、80〜120℃にて水分
を除き安定剤の一部を加え、その後ポリイソシアネ−ト
成分を加え50〜90℃で反応を行い、さらに触媒及び残り
の安定剤を加え約一時間攪拌を行いポリウレタン樹脂組
成物を得た。このポリウレタン樹脂組成物は、窒素ガス
置換した密閉容器に封入した。水硬化性固定材の作成
は、全実施例及び比較例ともに同一基布に塗布して作成
した。具体的にはガラス繊維のECC751/0 1.0Zを
用い、密度を経14本/inch、横15本/inch、目付量
310g/m2の条件で幅10cmにラッシェル編みし、さ
らにヒ−トクリ−ニングを行ったテ−プ状基材を用い
た。この基布へのポリウレタン樹脂の塗布は、低温度環
境に維持された作業室内で、ロ−ルコ−タ−方式でポリ
ウレタン樹脂を約210g/m2に塗布した。樹脂を塗布
した基布を長さ1.8mに巻き取って水硬化性固定材を
作成し、湿気不透過性袋に窒素ガス置換して封入した。
【0029】上記のポリウレタン樹脂組成物の物性及び
水硬化性固定材の評価方法はそれぞれ次のように行っ
た。
【0030】・粘度 20℃に温調したポリウレタン樹脂組成物のサンプルを
B型粘度計によりNo4ロ−タ−を用いて12rpmで
測定した。
【0031】・貯蔵安定性 ポリウレタン樹脂組成物を窒素ガス雰囲気中で100ml
ポリビンに約50ml採り、密封し、130℃の恒温乾燥
器中に保存し、ポリウレタン樹脂組成物の流動性が無く
なるまでの時間を測定した。
【0032】・可使時間 室温25℃に調整した測定室で水硬化性固定材10cm
幅を湿気不透過性の袋より取り出し、水温20℃の水に
10秒間浸けて軽く水切りを行った後、円筒に巻き、ロ
−リング出来なくなった時の時間を測定した。
【0033】・発熱温度 室温25℃に調整した測定室で水硬化性固定材10cm
幅を湿気不透過性の袋より取り出し、水温20℃の水に
10秒間浸けて軽く水切りを行う。あらかじめ水を入れ
て36℃に暖められたポリエチレン製容器に前述した水
硬化性固定材を巻き3層目に熱電対を置き、さらにその
上に3層巻いて最高の発熱温度を測定した。
【0034】・時間経過による強度の変化 水硬化性固定材を袋から取り出し、テンションをかけず
に水硬化性固定剤のロ−ルを展開し、長さ60cmに切
断する。これを6枚用意し、幅方向にずれないように注
意しながら表裏が重なるように重ね窒素ガス置換した袋
に封入し、これを検体として今後の作業を行う。ここま
での作業において空気中の水分が樹脂と反応することが
考えられるため、室温20℃、湿度20%RH以下の環
境で袋を開封してから2分30秒以内で作業を終わらせ
るようにする。 上記検体を使用し室温20℃、湿度5
0〜70%RHに調整された測定室にて測定を行う、使
用する検体の温度は20℃に調整する。検体をステンレ
ス製の金網の上に乗せ、20℃に調整された水道水にい
かなる攪拌も行わずに浸す。10秒後に検体を水から静
かに上げ、検体を振って余分な水を除く。30℃に調整
した試験台(EISSHIN社製)の上に剥離紙を敷
き、その上に必要以上の圧力を加えないように検体を平
らにのばす。このとき検体の積層の間に空間が開かない
ように注意する。さらにこの上に剥離紙を重ね、60秒
後に100cm2あたり500gの加重が加わるように
調整した重りを2分間乗せた。3、5、7、9、11分
後にオ−トグラフAG−D((株)島津製作所製コンピュ
−タ−計測制御式精密万能試験機)にて測定した。測定
方法はJIS K7203に準じて行った。試験条件と
して、支点間距離5cm、試験片面積100cm2、試
験速度25mm/min、チャ−ト速度25mm/minとした。
【0035】・1日後の圧縮強度 水硬化性固定材を室温20℃で10秒間20℃の水に浸
し、水硬化性固定材を軽く握って3回振り、水を切り、
剥離紙を巻いた直径60.5mmのステンレス管に3層巻
き付け、巻き終えた後両手で押さえて回し、さらに表面
をこする。15分後ステンレス管より変形しないように
抜き取り、20℃の恒温器で1日放置後、ストログラフ
にて径方向に圧縮し(crosshead speed 25mm/mi
n)、5mm変形時の応力を測定した。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】図1は水硬化性固定材について得られた強
度と経過時間との関係を実施例1、2、5及び比較例
1、2、3についてグラフで示したものである。A、
B、Cは実施例1、2、3の特性曲線、P、Q、Rは比
較例1、2、3の特性曲線である。
【0041】実施例1は、ポリオール成分中PEGとビ
スフエノール系ジオールの和が100%、PEGとビス
フエノール系ジオールの配合比が1:0.2〜1:5.0の範囲
の配合である。この樹脂組成物及び水硬化性固定材の特
性には、次の様な有利な点を有する。粘度が23500で基
布への塗布が常温で出来、さらに塗布された基布から樹
脂が分離しにくく安定した水硬化性固定材が得られる。
又、貯蔵安定性は76時間で製品貯蔵が長期間でき、保
存場所も特殊な所を必要としないですむ。この水硬化性
固定材は、可使時間が2分15秒で十分患部に適用で
き、この時間は通常のキャステング技術で複雑な部位に
も適用できる時間である。可使時間経過後は急激に強度
が上昇し、水硬化性固定材は可塑性を失いモデリングし
た形で保持可能となる。すなわち可使時間経過直後の強
度は2.3kgに対して5分後には11.2kgに達して
いる。しかもこのように可使時間経過後急激な硬化反応
で強度が増加したにも拘わらず、発熱温度は38.1℃
であり、患者への熱傷等の発熱による影響はない。さら
に9分後には強度20.0kg以上で、体重負荷が可能
になった。
【0042】実施例2、3、4はポリオール成分中PE
Gとビスフェノール系ジオールの和が100%、実施例
5はポリオール成分中PEGとビスフェノール系ジオー
ルの和が50%で、PEGとビスフェノール系ジオール
の配合比は1:0.2〜1:5.0の範囲の配合であ
る。いずれも粘度が20700〜23500で樹脂の塗
布及び保存期間の分離もなく良好であった。貯蔵安定性
も59〜76時間あり十分な保存期間が得られる。さら
に、可使時間は2分15秒〜2分30秒で理想的な範囲
であった。可使時間経過後の硬化反応も急激に起こり、
その結果強度は、5分後全て7.7kg以上に達し、こ
の間の発熱温度は最高時39.9℃でなんら影響を与え
るものではなかった。なお9分後の強度は14kg以上
であり、体重負荷が可能な水硬化性固定材であった。又
水硬化性固定材の仕上がり状態は、やや湿分を残す程度
で患者への違和感を与える程のものではなかった。
【0043】比較例1〜4は、水硬化性固定材として最
低限、製造が可能でかつ患者に適用できなければ本発明
の実施例と比較する意味がないため、粘度、可使時間を
それぞれ20000〜25000cps 、2分〜3分に入
るよう極力設計したものである。
【0044】比較例1は、PEG及びビスフェノール系
ジオールが全く含まれない事例である。この配合物の粘
度は21400cps、可使時間は2分25秒であり、そ
の他の物性は、貯蔵安定時間が60時間で十分確保でき
た。しかし、可使時間経過後の硬化反応が緩やかで、モ
デリングしてもなかなかその形を保持出来る強度に達し
ない欠点をもっている。即ち5分後の強度も5.5kg
以下の4.1kgで、さらに9分後になっても14.0
kg以下の8.2kgであり体重負荷は不可能なもので
ある。
【0045】比較例2は、ポリオール成分中PEGとビ
スフェノール系ジオールの和が50%以下の例である。
粘度は22000cps、可使時間は2分15秒で問題
はなかったが、比較例1と同様可使時間経過後の硬化反
応が緩やかで、モデリングしてもその形を維持する事が
出来ず、体重負荷には30分以上必要であった。
【0046】比較例3は、ポリオール成分をPEGだけ
にした例で、ビスフェノールをまつたく含まない。この
例は、粘度24300cps、可使時間は1分50秒で
可使時間は所定の範囲に達しなかつた。さらに、貯蔵安
定性が悪く、発熱も42.5℃と高く熱傷の危険があ
る。可使時間経過後の硬化反応は非常に速く早期に反応
完結するにも拘らず最終強度に達する時間が長く、且つ
水硬化性固定材は濡れた状態で、患者に違和感を与える
ものであつた。
【0047】比較例4は、ポリオール成分中のPEGと
ビスフェノール系ジオールの比が1:0.2以下の例で
ある。この例は粘度20700cps、可使時間2分3
0秒で一応の値は得られたが、その他の物性は比較例3
とほぼ同じ傾向を示し、好ましいものではなかった。
【0048】
【発明の効果】本発明は以下に記載されているような効
果を奏する。すなわち、まず、水硬化性固定材を保存す
る上で貯蔵安定性が高いため、保存場所の制限が少なく
通常の部屋に保管でき、病院でも安心して在庫を置くこ
とが出来る。又患者に適用する際の可使時間が2〜3分
の範囲のものが得られ、複雑で難しい部位へも安心して
使用できる。しかも可使時間を経過した後は急激に硬化
が進み強度が増加するため、モデリング操作は確実に出
来、一度モデリングした部位は、その型を維持するため
正確な固定が可能となる。さらにモデリング操作の完了
した後も硬化が進み短時間に高い強度が得られるため、
患者は短時間に体重負荷が出来るため、長時間不安定な
姿勢を続ける必要がなく苦痛が少ない。さらに急激な硬
化反応により高い強度が得られるにも拘らず、その間発
熱量が少なく、患者へ熱傷を与えることがない。
【0049】以上のように本発明によれば、理想的な硬
化過程が得られる水硬化性固定材を提供することが出来
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例および比較例の水硬化性固定材
について得られる強度と経過時間との関係を示すグラフ
である。
【符号の説明】
A 実施例1の特性曲線 B 実施例2の特性曲線 C 実施例5の特性曲線 P 比較例1の特性曲線 Q 比較例2の特性曲線 R 比較例3の特性曲線

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軟質性の基布をポリオールとポリイソシ
    アネートとからなるポリウレタンプレポリマー、触媒及
    び安定剤を含む水硬化性ポリウレタン樹脂組成物で被覆
    し、前記ポリオールはポリエチレングリコールとビスフ
    ェノール系ジオールとを含むことを特徴とする水硬化性
    固定材。
  2. 【請求項2】 ポリオール成分中のポリエチレングリコ
    ールとビスフェノール系ジオールの含有量の和がポリオ
    ール成分中50重量%以上であることを特徴とする請求
    項1記載の水硬化性固定材。
  3. 【請求項3】 ポリオール成分中のポリエチレングリコ
    ールとビスフェノール系ジオールの配合比が1:0.2
    〜1:5であることを特徴とする請求項1記載の水硬化
    性固定材。
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