JPH07149583A - 硬質炭素膜被覆部材 - Google Patents
硬質炭素膜被覆部材Info
- Publication number
- JPH07149583A JPH07149583A JP29936793A JP29936793A JPH07149583A JP H07149583 A JPH07149583 A JP H07149583A JP 29936793 A JP29936793 A JP 29936793A JP 29936793 A JP29936793 A JP 29936793A JP H07149583 A JPH07149583 A JP H07149583A
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- JP
- Japan
- Prior art keywords
- carbon film
- hard carbon
- diamond
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- Pending
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- Cutting Tools, Boring Holders, And Turrets (AREA)
- Sliding-Contact Bearings (AREA)
- Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
- Chemical Vapour Deposition (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【構成】所定の基板表面に硬質炭素膜を被覆してなり、
硬質炭素膜を基体より剥離し、粉砕処理した粉砕物をラ
マン分光分析した時、1332±5cm-1に存在するダ
イヤモンドのピーク強度をI1 、1500±50cm-1
に存在するグラファイトや非晶質カーボンの最大ピーク
強度をI2 とした場合のI1 /I2 で表されるピーク強
度比が0.6〜5.0の硬質炭素膜被覆部材を摺動部材
などに使用する。 【効果】優れた耐摩耗性および低摩擦係数を実現でき、
摺動部材として適した硬質炭素膜被覆部材を提供するこ
とができる。
硬質炭素膜を基体より剥離し、粉砕処理した粉砕物をラ
マン分光分析した時、1332±5cm-1に存在するダ
イヤモンドのピーク強度をI1 、1500±50cm-1
に存在するグラファイトや非晶質カーボンの最大ピーク
強度をI2 とした場合のI1 /I2 で表されるピーク強
度比が0.6〜5.0の硬質炭素膜被覆部材を摺動部材
などに使用する。 【効果】優れた耐摩耗性および低摩擦係数を実現でき、
摺動部材として適した硬質炭素膜被覆部材を提供するこ
とができる。
Description
【0001】
【発明の利用分野】本発明は、硬質炭素膜の被覆部材に
関し、特に高密度で耐摩耗性に優れた硬質炭素膜を被覆
した部材に関する。
関し、特に高密度で耐摩耗性に優れた硬質炭素膜を被覆
した部材に関する。
【0002】
【従来技術】ダイヤモンドは、超高圧高温での製造に変
わり、気相法により安価に製造することができることが
提案され、その優れた特性を利用した応用が進められて
いる。特に、ダイヤモンドは高硬度であることから、所
定の基体表面に被覆して切削工具、摺動部材などに適用
することが盛んに研究されている。
わり、気相法により安価に製造することができることが
提案され、その優れた特性を利用した応用が進められて
いる。特に、ダイヤモンドは高硬度であることから、所
定の基体表面に被覆して切削工具、摺動部材などに適用
することが盛んに研究されている。
【0003】このような気相法によるダイヤモンドは、
一般には特開昭58−91100号や特開昭58−11
0494号に示されるように、炭素を含む原料ガスを反
応室内に導入しマイクロ波プラズマやフィラメントによ
る熱分解後、基体表面に析出させることにより作製され
ている。
一般には特開昭58−91100号や特開昭58−11
0494号に示されるように、炭素を含む原料ガスを反
応室内に導入しマイクロ波プラズマやフィラメントによ
る熱分解後、基体表面に析出させることにより作製され
ている。
【0004】上記成膜過程で形成される硬質炭素膜は、
かならずしもダイヤモンドのみからなるものでなく、グ
ラファイトや非晶質炭素などの不純物成分が混入し、特
性が変化することがある。
かならずしもダイヤモンドのみからなるものでなく、グ
ラファイトや非晶質炭素などの不純物成分が混入し、特
性が変化することがある。
【0005】グラファイトや非晶質炭素を含有する硬質
膜に対しては、一般的に使用されるX線回折測定では、
非晶質炭素やグラファイトの分析ができないため、硬質
炭素膜の評価には、特開平4−354873号で示され
るように基体表面に形成された硬質炭素膜に対してレー
ザー光を照射し分析する、ラマン分光分析法が適用され
る。このようなラマン分光分析によれば、図2のチャー
トに示すように、1332±5cm- 1 にダイヤモンド
が存在し、1500±50cm- 1 付近にグラファイト
のピークが存在し、このグラファイトのピークが小さい
ほど高純度でダイヤモンド特性に近い薄膜となると言わ
れている。
膜に対しては、一般的に使用されるX線回折測定では、
非晶質炭素やグラファイトの分析ができないため、硬質
炭素膜の評価には、特開平4−354873号で示され
るように基体表面に形成された硬質炭素膜に対してレー
ザー光を照射し分析する、ラマン分光分析法が適用され
る。このようなラマン分光分析によれば、図2のチャー
トに示すように、1332±5cm- 1 にダイヤモンド
が存在し、1500±50cm- 1 付近にグラファイト
のピークが存在し、このグラファイトのピークが小さい
ほど高純度でダイヤモンド特性に近い薄膜となると言わ
れている。
【0006】
【発明が解決しようとする問題点】しかしながら、この
ような硬質炭素膜被覆部材では、ラマン分光分析結果と
被覆部材の機械的特性とが必ずしも一致せず、分析結果
において高ダイヤモンド含有品であっても、摺動性が悪
いなどの不具合があった。
ような硬質炭素膜被覆部材では、ラマン分光分析結果と
被覆部材の機械的特性とが必ずしも一致せず、分析結果
において高ダイヤモンド含有品であっても、摺動性が悪
いなどの不具合があった。
【0007】そこで、本発明者は、気相法により形成さ
れた硬質炭素膜の物性と機械的特性が必ずしも一致しな
い理由について検討を重ねた結果、硬質炭素膜が成膜過
程での条件等の影響により、基体側から表面まで均質体
でなく、ラマン分光分析手法においてもレーザー光が膜
の内部まで届かないなどの理由から炭素膜の性質が正確
に評価されていないためであることがわかった。
れた硬質炭素膜の物性と機械的特性が必ずしも一致しな
い理由について検討を重ねた結果、硬質炭素膜が成膜過
程での条件等の影響により、基体側から表面まで均質体
でなく、ラマン分光分析手法においてもレーザー光が膜
の内部まで届かないなどの理由から炭素膜の性質が正確
に評価されていないためであることがわかった。
【0008】
【問題点を解決するための手段】本発明者は、このよう
なラマン分光分析による硬質炭素膜の評価に当たり、膜
の特性を正しく評価するための方法について検討したと
ころ、基体表面に形成された硬質炭素膜を一旦剥離して
粉砕処理した後、この粉砕物に対してラマン分光分析を
行うことにより炭素膜の特性を正しく評価できることが
わかった。
なラマン分光分析による硬質炭素膜の評価に当たり、膜
の特性を正しく評価するための方法について検討したと
ころ、基体表面に形成された硬質炭素膜を一旦剥離して
粉砕処理した後、この粉砕物に対してラマン分光分析を
行うことにより炭素膜の特性を正しく評価できることが
わかった。
【0009】さらに、この分析結果に基づき、摺動特性
との相関について検討した結果、前記硬質炭素膜を前記
基体より剥離し、粉砕処理した粉砕物をラマン分光分析
した時の1332±5cm-1に存在するダイヤモンドの
ピーク強度をI1 、1500±50cm-1に存在するピ
ークの最大ピーク強度をI2 とした場合のI1 /I2で
表されるピーク強度比が0.6〜5.0である場合に、
優れた摺動特性を示すことを知見したものである。
との相関について検討した結果、前記硬質炭素膜を前記
基体より剥離し、粉砕処理した粉砕物をラマン分光分析
した時の1332±5cm-1に存在するダイヤモンドの
ピーク強度をI1 、1500±50cm-1に存在するピ
ークの最大ピーク強度をI2 とした場合のI1 /I2で
表されるピーク強度比が0.6〜5.0である場合に、
優れた摺動特性を示すことを知見したものである。
【0010】以下、本発明を詳述する。本発明における
硬質炭素膜被覆部材は、基体として熱膨張係数が室温か
ら800℃までの範囲で3〜6×10-6/℃の金属、セ
ラミックスなどが使用され、望ましくは、WC基超硬合
金、窒化珪素質焼結体、炭化珪素質焼結体などより構成
される。
硬質炭素膜被覆部材は、基体として熱膨張係数が室温か
ら800℃までの範囲で3〜6×10-6/℃の金属、セ
ラミックスなどが使用され、望ましくは、WC基超硬合
金、窒化珪素質焼結体、炭化珪素質焼結体などより構成
される。
【0011】この基体の表面に形成される硬質炭素膜は
従来より知られる周知の手法により形成することができ
る。具体的には、特開昭58−110494号に示され
るようなマイクロ波プラズマCVD法、特開昭58−9
1100号のフィラメント熱CVD法、特開昭60−1
03098号のECRプラスマCVD法などが適用で
き、かかる手法により基体表面に1〜100μmの厚み
で形成される。特に摺動性の点からは1〜50μmの厚
みが適当である。
従来より知られる周知の手法により形成することができ
る。具体的には、特開昭58−110494号に示され
るようなマイクロ波プラズマCVD法、特開昭58−9
1100号のフィラメント熱CVD法、特開昭60−1
03098号のECRプラスマCVD法などが適用で
き、かかる手法により基体表面に1〜100μmの厚み
で形成される。特に摺動性の点からは1〜50μmの厚
みが適当である。
【0012】本発明によれば、上記手法により形成され
た硬質炭素膜を被覆した部材を評価するに、まず、基体
より硬質炭素膜を剥離する。剥離する方法としては、フ
ッ化水素酸に浸漬して膜を遊離させる方法が好適であ
る。そして、剥離した炭素膜をメノウ乳鉢等により粉砕
する。かかる粉砕は最終的に10μm以下の粒径になる
まで行うことがよい。そして粉砕処理した粉砕物に対し
てラマン分光分析を行う。ラマン分光分析では、粉砕物
を試料板にのせ、顕微ラマンによりレーザービームを粉
砕物にあたる様に調整して分析する。
た硬質炭素膜を被覆した部材を評価するに、まず、基体
より硬質炭素膜を剥離する。剥離する方法としては、フ
ッ化水素酸に浸漬して膜を遊離させる方法が好適であ
る。そして、剥離した炭素膜をメノウ乳鉢等により粉砕
する。かかる粉砕は最終的に10μm以下の粒径になる
まで行うことがよい。そして粉砕処理した粉砕物に対し
てラマン分光分析を行う。ラマン分光分析では、粉砕物
を試料板にのせ、顕微ラマンによりレーザービームを粉
砕物にあたる様に調整して分析する。
【0013】本発明の被覆部材における大きな特徴は、
上記手法により分析した時、ラマン分光分析チャートに
おいて、1332±5cm-1に存在するダイヤモンドの
ピーク強度をI1 、1500±50cm-1に存在するピ
ークの最大ピーク強度をI2とした場合のI1 /I2
で表されるピーク強度比が0.6〜5.0である点にあ
る。かかるピーク強度比を上記の範囲に限定したのは、
強度比が0.6より低いと比摩耗量が大きく摺動部材に
適さず、また5.0より高いと結晶性は高くなるものの
結晶間の微小な間隙等の影響により摩擦係数が大きくな
るためである。また、気相法により形成される硬質炭素
膜は、一般には緻密質であるが、ダイヤモンド以外のグ
ラファイトや非晶質カーボン等が存在すると膜の密度が
次第に低下することとなる。本発明によれば、密度の観
点から3.30〜3.45g/cm3 の密度を有するも
のである。ここでの密度は、基体より剥離した炭素膜を
クレリシ重液により測定したものである。
上記手法により分析した時、ラマン分光分析チャートに
おいて、1332±5cm-1に存在するダイヤモンドの
ピーク強度をI1 、1500±50cm-1に存在するピ
ークの最大ピーク強度をI2とした場合のI1 /I2
で表されるピーク強度比が0.6〜5.0である点にあ
る。かかるピーク強度比を上記の範囲に限定したのは、
強度比が0.6より低いと比摩耗量が大きく摺動部材に
適さず、また5.0より高いと結晶性は高くなるものの
結晶間の微小な間隙等の影響により摩擦係数が大きくな
るためである。また、気相法により形成される硬質炭素
膜は、一般には緻密質であるが、ダイヤモンド以外のグ
ラファイトや非晶質カーボン等が存在すると膜の密度が
次第に低下することとなる。本発明によれば、密度の観
点から3.30〜3.45g/cm3 の密度を有するも
のである。ここでの密度は、基体より剥離した炭素膜を
クレリシ重液により測定したものである。
【0014】このようなI1 /I2 のピーク強度比が上
記の範囲で示されるような硬質炭素膜は、例えば、プラ
ズマCVD法により反応室内に導入するダイヤモンド生
成ガス中の炭素含有ガスの濃度をダイヤモンドが安定し
て生成する条件より大きくすれば、ダイヤモンドと同時
にグラファイトを生成することができる。
記の範囲で示されるような硬質炭素膜は、例えば、プラ
ズマCVD法により反応室内に導入するダイヤモンド生
成ガス中の炭素含有ガスの濃度をダイヤモンドが安定し
て生成する条件より大きくすれば、ダイヤモンドと同時
にグラファイトを生成することができる。
【0015】
【作用】気相法により形成されるダイヤモンド膜などの
硬質炭素膜は、その成膜時の条件の不安定さなどから、
膜中で特に厚み方向に不均一なものとなっているのは通
常である。このような不均一の硬質炭素膜に対してレー
ザーラマン分光分析により評価を行う場合、非晶質カー
ボンは、励起光やラマン光を吸収するため、例えば膜表
面に非晶質カーボンが局在化するとダイヤモンド成分ま
で励起光が届かなかったり、あるいは届いてもラマン光
が吸収されるために正確な評価ができなくなる。
硬質炭素膜は、その成膜時の条件の不安定さなどから、
膜中で特に厚み方向に不均一なものとなっているのは通
常である。このような不均一の硬質炭素膜に対してレー
ザーラマン分光分析により評価を行う場合、非晶質カー
ボンは、励起光やラマン光を吸収するため、例えば膜表
面に非晶質カーボンが局在化するとダイヤモンド成分ま
で励起光が届かなかったり、あるいは届いてもラマン光
が吸収されるために正確な評価ができなくなる。
【0016】そこで、本発明によれば、硬質炭素膜を基
体より剥離しこれを粉砕処理したものに対してラマン分
光分析を行うことにより硬質炭素膜の正確な評価を行う
ことができる。このことについて具体的に図1に従来の
測定方法による分析結果と、粉砕処理したものに対する
分析結果を示した。図1からも明らかなように、従来法
では1332±3cm-1付近のダイヤモンドのピークは
小さいものが、粉砕処理することにより鋭いピークが発
現し、粉砕処理の有無により評価結果が大幅に異なるこ
とがわかる。
体より剥離しこれを粉砕処理したものに対してラマン分
光分析を行うことにより硬質炭素膜の正確な評価を行う
ことができる。このことについて具体的に図1に従来の
測定方法による分析結果と、粉砕処理したものに対する
分析結果を示した。図1からも明らかなように、従来法
では1332±3cm-1付近のダイヤモンドのピークは
小さいものが、粉砕処理することにより鋭いピークが発
現し、粉砕処理の有無により評価結果が大幅に異なるこ
とがわかる。
【0017】また、本発明によれば、上記評価方法に基
づき算出されるI1 /I2 の比率が0.6〜5.0のも
のが摺動特性に非常に優れた摺動部材として好適で、優
れた耐摩耗性と低摩擦係数を実現することができる。
づき算出されるI1 /I2 の比率が0.6〜5.0のも
のが摺動特性に非常に優れた摺動部材として好適で、優
れた耐摩耗性と低摩擦係数を実現することができる。
【0018】
【実施例】以下、本発明を次の例で説明する。硬質炭素
膜を被覆する基体として窒化珪素質焼結体(室温〜80
0℃の熱膨張係数3.7×10-6/℃)を準備した。こ
の基体をマイクロ波CVD反応炉内に設置し、反応ガス
として水素ガス、CH4 ガスおよびCO2 ガスを用い、
ガスの総流量を300sccmとし、CH4 :CO2 =
1:2の比率で全量中1〜50%のガス比で炉内に導入
するとともに、2.45GHzのマイクロ波を導入しプ
ラズマを発生させて基体表面に硬質炭素膜を形成した。
なお、1つの条件につき数個の試料を作製した。
膜を被覆する基体として窒化珪素質焼結体(室温〜80
0℃の熱膨張係数3.7×10-6/℃)を準備した。こ
の基体をマイクロ波CVD反応炉内に設置し、反応ガス
として水素ガス、CH4 ガスおよびCO2 ガスを用い、
ガスの総流量を300sccmとし、CH4 :CO2 =
1:2の比率で全量中1〜50%のガス比で炉内に導入
するとともに、2.45GHzのマイクロ波を導入しプ
ラズマを発生させて基体表面に硬質炭素膜を形成した。
なお、1つの条件につき数個の試料を作製した。
【0019】得られた被覆部材からフッ化水素酸により
硬質炭素膜を剥離しその一部をめのう乳鉢により10μ
m以下になるまで粉砕処理し、その粉砕物に対してラマ
ン分光分析を行った。分析の結果、得られたチャートよ
り、図2に示すような方法でベースラインを処理した後
に1332±5cm-1に存在するダイヤモンドのピーク
強度I1 と、1500±50cm-1に存在するダイヤモ
ンド以外のグラファイトや非晶質カーボンによる最大ピ
ーク強度I2 とのピーク強度比I1 /I2 を算出し表1
に示した。
硬質炭素膜を剥離しその一部をめのう乳鉢により10μ
m以下になるまで粉砕処理し、その粉砕物に対してラマ
ン分光分析を行った。分析の結果、得られたチャートよ
り、図2に示すような方法でベースラインを処理した後
に1332±5cm-1に存在するダイヤモンドのピーク
強度I1 と、1500±50cm-1に存在するダイヤモ
ンド以外のグラファイトや非晶質カーボンによる最大ピ
ーク強度I2 とのピーク強度比I1 /I2 を算出し表1
に示した。
【0020】一方、硬質炭素膜の粉砕物に対してはクレ
リシ重液法により密度も測定し、その結果を表1に示し
た。そして、ピーク強度比I1 /I2 と密度とを図2に
プロットした。
リシ重液法により密度も測定し、その結果を表1に示し
た。そして、ピーク強度比I1 /I2 と密度とを図2に
プロットした。
【0021】さらに、同一条件下で作製された硬質炭素
膜被覆部材に対してピンオンディスク法に基づき、相手
材としてアルミニウム金属を用い、荷重19.6N、摺
動距離100km、摺動速度2m、大気中、無潤滑で摺
動試験を行い、比摩耗量、摩擦係数を測定し表1に示し
た。
膜被覆部材に対してピンオンディスク法に基づき、相手
材としてアルミニウム金属を用い、荷重19.6N、摺
動距離100km、摺動速度2m、大気中、無潤滑で摺
動試験を行い、比摩耗量、摩擦係数を測定し表1に示し
た。
【0022】
【表1】
【0023】図2によれば、密度と硬質炭素膜の粉砕処
理物へのラマン分光分析におけるピーク強度比I1 /I
2 との間にリニアな相関があることがわかる。このこと
は、粉砕処理物へのラマン分光分析が硬質炭素膜の特性
を正確に評価していることを証明するものである。
理物へのラマン分光分析におけるピーク強度比I1 /I
2 との間にリニアな相関があることがわかる。このこと
は、粉砕処理物へのラマン分光分析が硬質炭素膜の特性
を正確に評価していることを証明するものである。
【0024】また、表1の結果によれば、I1 /I2 が
5.0を越える場合、ダイヤモンドの結晶性の高いもの
であったが、摩擦係数が大きく相手材の摩耗が大きくな
ることがわかった。また、I1 /I2 が0.6より低い
場合には、ダイヤモンド以外の成分が多くなり、比摩耗
量が大きくなるために被覆部材としては使用できないの
に対して、I1 /I2 が0.6〜5.0の範囲ではいず
れも摩耗量が小さく、摩擦係数も小さく、摺動部材に適
していることがわかる。
5.0を越える場合、ダイヤモンドの結晶性の高いもの
であったが、摩擦係数が大きく相手材の摩耗が大きくな
ることがわかった。また、I1 /I2 が0.6より低い
場合には、ダイヤモンド以外の成分が多くなり、比摩耗
量が大きくなるために被覆部材としては使用できないの
に対して、I1 /I2 が0.6〜5.0の範囲ではいず
れも摩耗量が小さく、摩擦係数も小さく、摺動部材に適
していることがわかる。
【0025】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の硬質炭素
膜被覆部材によれば、優れた耐摩耗性および低摩擦係数
を実現でき、摺動部材として適した硬質炭素膜被覆部材
を提供することができる。
膜被覆部材によれば、優れた耐摩耗性および低摩擦係数
を実現でき、摺動部材として適した硬質炭素膜被覆部材
を提供することができる。
【図1】従来の測定方法と本発明に基づき粉砕物に対す
るラマン分光分析によるチャートである。
るラマン分光分析によるチャートである。
【図2】本発明に基づくラマン分光分析のピーク強度比
I1 /I2 の算出方法を説明するための図である。
I1 /I2 の算出方法を説明するための図である。
【図3】本発明に基づくラマン分光分析のピーク強度比
I1 /I2 と密度との関係を示す図である。
I1 /I2 と密度との関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F16C 33/24 A 6814−3J
Claims (1)
- 【請求項1】所定の基板表面に硬質炭素膜を被覆してな
る硬質炭素膜被覆部材において、前記硬質炭素膜を前記
基体より剥離し、粉砕処理した粉砕物をラマン分光分析
した時、1332±5cm-1に存在するダイヤモンドの
ピーク強度をI1 、1500±50cm-1に存在するピ
ークの最大ピーク強度をI2 とした場合のI1 /I2 で
表されるピーク強度比が0.6〜5.0であることを特
徴とする硬質炭素膜被覆部材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29936793A JPH07149583A (ja) | 1993-11-30 | 1993-11-30 | 硬質炭素膜被覆部材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29936793A JPH07149583A (ja) | 1993-11-30 | 1993-11-30 | 硬質炭素膜被覆部材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07149583A true JPH07149583A (ja) | 1995-06-13 |
Family
ID=17871648
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP29936793A Pending JPH07149583A (ja) | 1993-11-30 | 1993-11-30 | 硬質炭素膜被覆部材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07149583A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6660093B2 (en) * | 2000-05-25 | 2003-12-09 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho (Kobe Steel, Ltd.) | Inner tube for CVD apparatus |
US7537835B2 (en) | 2001-09-27 | 2009-05-26 | Kabushiki Kaisha Toyota Chuo Kenkyusho | High friction sliding member |
WO2017033791A1 (ja) * | 2015-08-26 | 2017-03-02 | 東洋製罐グループホールディングス株式会社 | しごき加工用ダイス及びダイスモジュール |
CN113039025A (zh) * | 2018-10-31 | 2021-06-25 | 东洋制罐集团控股株式会社 | 机械加工用治具以及机械加工方法和无缝罐体的制造方法 |
US20210394248A1 (en) * | 2018-10-31 | 2021-12-23 | Toyo Seikan Group Holdongs, Ltd. | Pressing die and press working method |
-
1993
- 1993-11-30 JP JP29936793A patent/JPH07149583A/ja active Pending
Cited By (11)
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WO2017033791A1 (ja) * | 2015-08-26 | 2017-03-02 | 東洋製罐グループホールディングス株式会社 | しごき加工用ダイス及びダイスモジュール |
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