JPH07105799A - ガス遮断器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は小パッファ容量、小駆動力で大容量
の遮断を行うことが可能なパッファ形のガス遮断器を提
供する。 【構成】 可動アーク接触子６とこの可動アーク接触子
６と接離可能な加速アーク接触子１とを対向配置し、リ
ンク機構１３により連結する。操作ロッド１２の外周面
と摺動可能なパッファピストン８を容器内に支持固定す
る。このパッファピストン８にガス流路１０を形成する
第１絶縁ノズル４と第２絶縁ノズル５を設ける。そして
第２絶縁ノズル５の内周面と摺動可能なフランジ部１６
を操作ロッド１２に形成したガス遮断器。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は電力系統の変電所あるい
は開閉所に用いられるパッファ形のガス遮断器に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】近年、発電系統の高電圧化、大容量化に
伴い、送電系統の変電所や開閉所に用いられる遮断器の
遮断容量も増大している。また、都市部での敷地確保難
によりビルの地下などに変電所が建設されるケースも増
えているため、大容量で、より小形で、且つ高い信頼性
を持つ遮断器が要求されている。

【０００３】遮断器の信頼性を高めるためには部品数を
少なくし、構造を簡単化することが重要である。このた
めには、遮断器一点当たりの遮断容量を増加させること
により、遮断器の遮断点数を少なくする必要がある。

【０００４】従来168 KV以上の送電電圧系統において、
上記のような遮断容量の向上と小形化を達成する目的か
らパッファ形ガス遮断器が使用されている。このパッフ
ァ形ガス遮断器は、消弧性ガスを充填した遮断器の容器
内に接離自在な固定アーク接触子と可動アーク接触子と
を有し、これらの固定アーク接触子と可動アーク接触子
の間に発生したアークに、可動接触子側に配置されてい
るパッファ室で圧縮された消弧性ガスを吹き付けること
により、発生したアークを消弧するものである。このパ
ッファ形ガス遮断器は遮断部の構造が簡単な上、封入さ
れたＳＦ６ガスにより優れた絶縁・消弧性能を有してい
るため特に良く用いられている。

【０００５】ところで、以上のようなパッファ形ガス遮
断器において消弧性能を向上させるためには、アーク接
触子の開極速度を早くする必要がある。しかしながら可
動接触子側の開極速度を早くするためには、駆動装置の
駆動力を大きくせねばならず、駆動装置が大きくなり、
機器全体も大型化するので、コスト高になる。これに対
し、駆動装置の駆動力を変えることなく開極速度を速く
するために、固定接触子を可動接触子の移動方向の反対
方向に移動させるリンク装置を備え、アークを消弧する
効果を高めたデュアルモーション機構を用いたパッファ
形ガス遮断器がある。

【０００６】ここでこのパッファ形ガス遮断器について
図３を参照して説明する。図３は可動アーク接触子６に
対向配置した加速アーク接触子１が可動アーク接触子６
の移動方向と反対方向に移動するパッファ形ガス遮断器
の投入状態の断面図である。図３において、12は図示し
ない駆動装置に一端が連結され、他端に可動アーク接触
子６が取付けられた操作ロッドであり、この操作ロッド
６の周囲にはパッファシリンダー21が固定されている。
このパッファシリンダ21はその内部に摺動可能に配置さ
れ絶縁筒15に支持固定されたパッファピストン８とでパ
ッファ室を形成している。パッファシリンダ21の外周に
は、パッファシリンダ21と一定の間隔を保持し、複数本
の駆動絶縁ロッド３が配置されている。この駆動絶縁ロ
ッド３の駆動装置側端部はリンク装置13を介して、操作
ロッド12に連結されている。リンク装置13は所定のリン
ク比に設定された支点13ｄを備えたリンク13ａとこのリ
ンク13ａの両端にそれぞれ回動自在に連結された第１、
第２の連結棒13ｂ、13ｃより構成されている。リンク13
ａの支点13ｄは、リンク支持部材14に対して回動自在に
支持されている。また、第１、第２の各連結棒13ｂ、13
ｃはそれぞれの一端にて操作ロッド12と駆動絶縁ロッド
３に回動自在に連結されている。なお、リンク支持部材
14は、絶縁筒15に固定されている。一方、駆動絶縁ロッ
ド３の駆動装置と反対側の端部には通電円筒22が取り付
けられており、この通電円筒22は駆動装置の反対側に支
持固定された通電導体23の通電部23ａと摺動可能に配置
されている。この通電円筒22の駆動装側の中心軸線上に
は加速アーム接触子１が設けられ、可動アーク接触子６
と開閉動作を行う加速接触子２を構成している。なお、
図３の投入状態において、可動接触子６と加速アーク接
触子１とは接触状態にある。

【０００７】図３に示す投入状態のパッファ形ガス遮断
器に遮断の指令が入ると、まず、操作ロッド12が図３右
方向へ所定の速度で駆動され、操作ロッド12先端に固定
された可動接触子６が右方向に移動し、加速接触子２と
の間で遮断動作が起こる。一方、この操作ロッド12の動
作に伴い操作ロッド12に連結された第１の連結棒13ｂに
も同方向へ力が加わり、その力が第１の連結棒13ｂに連
結しているリンク13ａの一端を図中右方向に移動させ
る。この場合リンク13ａの支点13ｄが回動可能に固定支
持されているため、この力は支点13ｄを軸として反時計
方向に回転させるモーメント力となり、リンク13ａが同
方向に回動する。したがって、リンク13ａの他端は図中
左方向に回転し、同部に連結している第２の連結棒13ｃ
が左方向に移動し、これに連結した駆動絶縁ロッド３が
左方向へ移動する。駆動絶縁ロッド３に固定した加速接
触子２が左方向へ移動することにより可動接触子６から
開離され、図４に示すような開極状態に移行する。なす
わち、操作ロッド12の動作に従って可動アーク接触子６
および加速アーク接触子の両方がそれぞれ遮断方向に移
動する。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記のよ
うな加速接触子を動作させるパッファ形ガス遮断器にお
いては、可動接触子が絶縁ノズルと共に移動するので、
消弧性ガスをアークに吹き付ける位置は加速接触子に向
う絶縁ノズル下流側の領域に限られてしまう。そのた
め、アークを消弧する際発生する熱ガスの排気がアーク
接触子間の下流側に滞り、下流側の絶縁回復が難しかっ
た。この状態でアークを効果的に消弧するには、パッフ
ァ室の圧力によって処理しなければならないため、パッ
ファ室の容積を十分大きくしたり、アークを消弧する消
弧性ガスを吹き付ける圧力を高くしなければならず、パ
ッファ室の大容積化、駆動装置の大型化が必要となり、
小形化を望まれているガス遮断器が大型化してしまうと
いう問題があった。本発明は上記の問題を解決し、小パ
ッファ容量、小駆動力で大容量の遮断を効果的に行うこ
とが可能なパッファ形ガス遮断器を提供することを目的
とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、消弧性ガスが封入された容器内に、可動ア
ーク接触子とこの可動アーク接触子と接離可能な加速ア
ーク接触子とを対向させて配置し、この可動アーク接触
子と前記可速アーク接触子とをリンク機構を介して連結
したガス遮断器において、可動アーク接触子を操作ロッ
ドの先端に設け、この操作ロッドの外周面と摺動可能な
パッファピストンを容器内に支持固定し、このパッファ
ピストンの加速アーク接触子側に、第１絶縁ノズルとこ
の第１絶縁ノズルの内周側にガス流路となる間隙を介し
て配置された第２絶縁ノズルを設け、この第２絶縁ノズ
ルの内周面と摺動可能なフランジ部を操作ロッドに形成
したことを特徴とするガス遮断器を提供する。さらにこ
のガス遮断器の操作ロッドに投入状態にはパッファ室と
連通し、遮断終期には容器内と連通する排気穴を形成し
た遮断器を提供する。

【００１０】

【作用】このように構成することにより遮断動作におい
て操作ロッドを移動させると、フランジ部がパッファピ
ストンとで形成されるパッファ室内のガスを圧縮し始め
る。一方加速アーク接触子はリンク機構により可動アー
ク接触子と反対方向に移動する。すなわち両アーク接触
子は相反する方向に夫々移動し遮断が始まり、両アーク
接触子間にアークが発生する。そしてこのアークにはパ
ッファ室内で圧縮されたガスがガス流路を通して吹き付
けられる。この圧縮ガスは第１の絶縁ノズル及び第２の
絶縁ノズルが固定され、両アーク接触子が相反する方向
に夫々移動するのでアークを２等分するように吹き付け
られる。従ってノズルの下流側へは熱ガスが半分しか作
用しないのでノズルの下流側の絶縁回復特性を向上させ
ることができる。

【００１１】また操作ロッドに排気孔を形成したことに
より遮断初期はアークの熱をパッファ室に導きガスの圧
縮効率を向上させることが可能となり、また遮断終期に
は熱ガスを操作ロッド内を通し容器内へ効率よく排気す
ることが可能となる。

【００１２】

【実施例】本発明の一実施例について図１及び図２を参
照して説明する。なお、図３及び図４と同一部分につい
ては同一符号を付し説明を省略する。図１は投入状態、
図２は遮断状態を示す。12は図示しない駆動装置に一端
が接続された操作ロッドであり、この操作ロッド12の先
端には可動アーク接触子６が固着され、この固着部近傍
にフランジ部16が形成されている。またこの操作ロッド
12には、リンク装置13の一端が連結され、リンク装置13
の支点13ｅは容器（図示せず）内に固定された絶縁筒15
に取り付けられたリンク支持部材14に回動自在に支持さ
れている。一方リンク装置13の他端は、操作ロッド12と
略平行に配置された駆動絶縁ロッド３の一端に連結され
ている。この駆動絶縁ロッド３の他端側には可動アーク
接触子６と同軸上に配置され可動アーク接触子６と接離
可能な加速アーク接触子１及びこの加速アーク接触子１
の周囲に配置された加速接触子２が固定されている。こ
の加速接触子２の先端には通電部２ａが形成され、この
通電部２ａは加速接触子２に対向して配置された通電接
触子７の周面と摺接し、投入時に通電路となる。通電接
触子７の内周側には前記操作ロッド12の外周面と摺動す
るパッファピストン８が固着され、パッファピストン８
は絶縁筒15に固定されている。また通電接触子７の内周
側かつパッファピストン８より加速アーク接触子１側に
は、第１絶縁ノズル４が設けられ、さらにその内周側に
はこの第１絶縁ノズル４の内周面とでガス流路10を形成
する第２絶縁ノズル５が設けられる。そしてこの第２絶
縁ノズル５の内周面と、この内周面と摺動する前記フラ
ンジ部16及び前記パッファピストン８とによりパッファ
室９が形成される。

【００１３】次に作用について説明する。図１に示す投
入状態において、遮断指令を受け、開極動作が始まる
と、駆動装置により操作ロッド12が駆動装置側（図中右
方向）に移動する。操作ロッド12が移動すると操作ロッ
ド12に形成されたフランジ部16がパッファ室９内のガス
を圧縮し始める。一方加速アーク接触子１はリンク機構
13によって図中左方向に駆動される駆動絶縁ロッド３に
より図中左方向に移動し、摺接していた可動アーク接触
子１から開離し遮断が始まり、両アーク接触子間にアー
クが発生する。そしてこのアークにはパッファ室９内で
ガス圧が上昇し、圧縮されたガスがガス流路10を通り、
高速流のガスとなって吹き付けられ遮断される。この吹
き付けガスは第１絶縁ノズル４及び第２絶縁ノズル５が
固定され、両アーク接触子１が相反する方向に移動する
ため遮断動作中、アークを２等分するように吹き付けら
れる。すなわちノズルから吹出されたガスのよどみ点で
アークが２分割されることになるため、操作ロッド12側
で処理する熱ガス流がノズル下流側で処理する熱ガス量
とほぼ等しくなり、ノズル下流側の絶縁回復特性が向上
する。

【００１４】従ってパッファ室の容積を少なくしても規
定の遮断性能を得ることが可能となり、信頼性の高いガ
ス遮断器を提供することができる。本実施例において、
さらに操作ロッド12を中空状に形成し、この操作ロッド
12に投入状態から遮断中期にパッファ室９と連通し、遮
断終期に容器と連通する排気穴11を形成することによ
り、遮断初期におけるアークの熱を利用してパッファ室
９内の圧縮効率を上げることができ、また遮断後期にア
ークにさらされたガスを容器内へ効率よく排出させるこ
とが可能となり、パッファ室をより小型化することがで
きる。

【００１５】

【発明の効果】以上に述べたように本発明によれば、第
１絶縁ノズルと第２絶縁ノズル間に形成されたガス流路
から圧縮ガスがアークを２等分するように吹き出すので
アーク消弧の際に発生する熱ガスがアーク接触子間の下
流側に集中するのを防ぎ、下流側の絶縁回復が容易とな
る。また、操作ロッドに排気穴を設けることにより遮断
初期におけるパッファ室内の圧縮効率を向上させること
ができ、遮断終期における熱ガスの排気を効率よく行な
うことができ絶縁効果を高めることが可能となる。よっ
て小パッファ容量、小駆動力で大容量の遮断を効果的に
行うことが可能なパッファ形のガス遮断器を提供するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示すガス遮断器の投入状態
の断面図

【図２】図１に示すガス遮断器の遮断状態の断面図

【図３】従来例のガス遮断器の投入状態の断面図

【図４】図３に示すガス遮断器の遮断状態の断面図

【符号の説明】

１…加速アーク接触子、３…駆動絶縁ロッド、４…第１
絶縁ノズル、５…第２絶縁ノズル、６…可動アーク接触
子、８…ピストン、９…パッファ室、10…ガス流路、11
…排気穴、12…操作ロッド、13…リンク装置、13ａ…リ
ンク、13ｂ…第１の連結棒、13ｃ…第２の連結棒、13ｄ
…支点、14…リンク支持部材、15…絶縁筒、16…フラン
ジ部。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 消弧性ガスが封入された容器内に、可動
   アーク接触子とこの可動アーク接触子と接離可能な加速
   アーク接触子とを対向させて配置し、この可動アーク接
   触子と前記加速アーク接触子とをリンク機構を介して連
   結したガス遮断器において、 前記可動アーク接触子を操作ロッドの先端に設け、この
   操作ロッドの外周面と摺動可能なパッファピストンを前
   記容器内に支持固定し、このパッファピストンの前記加
   速アーク接触子側に、第１絶縁ノズルとこの第１絶縁ノ
   ズルの内周側にガス流路となる間隙を介して配置された
   第２絶縁ノズルを設け、この第２絶縁ノズルの内周面と
   摺動可能なフランジ部を前記操作ロッドに形成したこと
   を特徴とするガス遮断器。
2. 【請求項２】 前記操作ロッドに投入状態にはパッファ
   室と連通し、遮断終期には前記容器内と連通する排気穴
   を形成したことを特徴とする請求項１記載のガス遮断
   器。