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JPH0699693B2 - 光学的異方性炭素質ピツチおよびその製造方法 - Google Patents

光学的異方性炭素質ピツチおよびその製造方法

Info

Publication number
JPH0699693B2
JPH0699693B2 JP56140782A JP14078281A JPH0699693B2 JP H0699693 B2 JPH0699693 B2 JP H0699693B2 JP 56140782 A JP56140782 A JP 56140782A JP 14078281 A JP14078281 A JP 14078281A JP H0699693 B2 JPH0699693 B2 JP H0699693B2
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JP
Japan
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pitch
optically anisotropic
component
temperature
carbonaceous
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Expired - Lifetime
Application number
JP56140782A
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JPS5845277A (ja
Inventor
孝幸 泉
Original Assignee
東燃株式会社
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Filing date
Publication date
Application filed by 東燃株式会社 filed Critical 東燃株式会社
Priority to JP56140782A priority Critical patent/JPH0699693B2/ja
Priority to US06/415,382 priority patent/US4589974A/en
Publication of JPS5845277A publication Critical patent/JPS5845277A/ja
Publication of JPH0699693B2 publication Critical patent/JPH0699693B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C10PETROLEUM, GAS OR COKE INDUSTRIES; TECHNICAL GASES CONTAINING CARBON MONOXIDE; FUELS; LUBRICANTS; PEAT
    • C10CWORKING-UP PITCH, ASPHALT, BITUMEN, TAR; PYROLIGNEOUS ACID
    • C10C3/00Working-up pitch, asphalt, bitumen
    • DTEXTILES; PAPER
    • D01NATURAL OR MAN-MADE THREADS OR FIBRES; SPINNING
    • D01FCHEMICAL FEATURES IN THE MANUFACTURE OF ARTIFICIAL FILAMENTS, THREADS, FIBRES, BRISTLES OR RIBBONS; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED FOR THE MANUFACTURE OF CARBON FILAMENTS
    • D01F9/00Artificial filaments or the like of other substances; Manufacture thereof; Apparatus specially adapted for the manufacture of carbon filaments
    • D01F9/08Artificial filaments or the like of other substances; Manufacture thereof; Apparatus specially adapted for the manufacture of carbon filaments of inorganic material
    • D01F9/12Carbon filaments; Apparatus specially adapted for the manufacture thereof
    • D01F9/14Carbon filaments; Apparatus specially adapted for the manufacture thereof by decomposition of organic filaments
    • D01F9/145Carbon filaments; Apparatus specially adapted for the manufacture thereof by decomposition of organic filaments from pitch or distillation residues

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  • Chemical & Material Sciences (AREA)
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  • Textile Engineering (AREA)
  • Civil Engineering (AREA)
  • Structural Engineering (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Oil, Petroleum & Natural Gas (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Working-Up Tar And Pitch (AREA)
  • Inorganic Fibers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 現在、各種産業分野例えば自動車、航空機その他の広範
な技術分野に於て、軽量、高強度、高弾性という性質を
有する、高性能素材の出現が強く要望されている。しか
して炭素繊維あるいは成形炭素材料はこの要望を満足す
るものとして注目されている。
本発明は、軽量、高強度かつ高弾性率を有する炭素質繊
維およびその他の炭素材料を含む炭素材を製造するため
に適した、光学的異方性炭素質ピツチ、該光学的異方性
炭素質ピツチの製造方法及び該光学的異方性炭素質ピツ
チを溶融紡糸、炭化、黒鉛化して炭素繊維、並びに黒鉛
繊維を製造する方法に関するものである。
しかして、開示されている光学的異方性ピツチ例えば、
特開昭49−19127号、特開昭50−89635号の各公報に記載
されている光学的異方性ピツチは、光学的異方性相(以
下、必要によりAPと略称する)部分が、ほとんど、キノ
リン不溶分(またはピリジン不溶分)に相当し、このよ
うなものはAP部分を100%に近づけると、軟化点が著し
く上昇し、紡糸温度が400℃の近傍またはそれ以上とな
り、加えて紡糸時にピツチの分解ガスの発生および重合
が惹起するという欠点が見られた。そこで従来の炭素繊
維紡糸法はAP部分の含有量を90%以下、特に50%〜70%
に抑えて紡糸温度を熱分解および熱重合が顕著に生じな
い温度で行なつていた。
ところで、そのようなピツチ組成物は、APと相当量の光
学的等方性相(以下、必要によりIPと略称する)の混合
物、所謂不均質なピツチであり、そのため紡糸時に糸切
れがおこつたり、繊維の太さが不均一になつたりさらに
繊維の強度が低いという各種欠点を有するものであつ
た。
また、特公昭49−8634号公報に開示されているピツチ物
質は、APが実質的に100%のように見うけられるが、化
学構造の特定化された特殊のピツチである。すなわちク
リセン、フエナンスレン、テトラベンゾフエナジン等の
高価な純物質の熱重合により製造され、構造分子量が比
較的整つたピツチであつて、一般的な混合原料で製造し
た場合には軟化点が非常に高くなることがさけれないも
のである。
一方、特公昭53−7533号公報に記載されている炭素繊維
製造用原料としてのピツチは、軟化点、紡糸温度が低
く、一応紡糸は容易であるが、APの含有率が開示されて
いない。また、原料炭化水素を塩化アルミニウム等のル
イス酸触媒を使用して重縮合しており、したがつてピツ
チの組成と構造は特殊であり、そのピツチから製造され
た炭素繊維の強度および弾性率は比較的低いものであつ
た。勿論使用触媒の完全な除去も困難であるという問題
を併せ有するものであつた。
さらに、特開昭54−55625号公報で開示されているピツ
チ物質は、完全に100%のAPから成る均質ピツチである
が、分子量分布がかなり狭く、後でさらに詳しく説明す
るが、本発明の光学的異方性ピツチの重要な組成分であ
る、n−ヘプタン可溶成分(以下「0成分」という)
と、n−ヘプタンに不溶かつベンゼン可溶の成分(以下
「A成分」という)の含有量が少ないものであつた。さ
らに他の残余のベンゼン不溶成分中のキノリン可溶成分
(以下「B成分」という)およびキノリン不溶成分(以
下「C成分」という)の含有量が多く、その分子量が小
さいとしても、その総合的結果として、該ピツチ物質の
軟化点は、約330℃以上であり、そのため紡糸温度は400
℃近傍に高める必要があり、そのような温度では、工業
的に紡糸することは依然困難を伴うものであつた。
さらに、特開54−160427号公報および特開55−58287
号、55−130809号、55−144087号、56−57881号公報で
開示されているピツチ物質は、等方性ピツチ乃至は微量
のAPを含むピツチを溶剤抽出して、大部分がAを形成す
る成分で、かつC成分の含有率の少ない部分を取り出し
て、これを溶融することにより得られるものであり、C
成分含有率が特異的に25%以下であるようなものもでき
るが、その開示されている製法およびデータから当業者
が容易に推定できるように軟化点の高いものであり、そ
れ故、紡糸温度は400℃近傍という高温に工業的に安定
に紡糸することは依然困難なものであつた。いずれにし
ろ、そのようなピツチは、開示されている製法とデータ
から、C成分も少いがB成分が主要成分である特異なピ
ツチと考えられる。
以上述べた如く、従来から知られているAPが100%に近
い均質な光学的異方性ピツチは、いずれも軟化点が高
く、安定した紡糸が困難なものである。一方、公知の軟
化点の低いピツチは、特殊な出発原料から製造した特殊
な組成構造を有するもの以外は不均質であり、同様にそ
の紡糸が困難であつて、その結果、晶質の優れた炭素繊
維を得ることは極めて困難な事であつた。
さらに、従来方法に於ける規定の仕方についてみるに、
一般に、光学的異方性ピツチを部分的な化学構造または
平均分子量またはキノリン不溶成分(もしくはピリジン
不溶成分)含有量で規定している。しかしこれらの規定
方法では、高性能炭素繊維その他の炭素材料を得るため
適当な、均質かつ低軟化点の光学的異方性ピツチ組成物
を特定することができず、いうまでもなく不適確であつ
た。このことは、光学的異方性ピツチと呼ばれる組成物
は、極めて多種で複雑な広範囲の化学構造、分子量例え
ば数百から数万、場合によつてはコークスに近い分子量
のものまで含むような化合物の混合物であり、それ故単
純に一部分の、または全体の平均的な化学構造の特徴の
みで規定できるものでないということに基因する。
本発明者は、高性能炭素繊維を製造するために適した光
学的異方性ピツチ組成物につい鋭意研究を重ね、その結
果光学的異方性ピツチは、縮合多環芳香族の積層構造の
発達した分子配向性の良いピツチであるが、実際には種
々のものが混在し、そのうち、軟化点が低く、均質な炭
素繊維の製造に適したものは特定の化学構造と組成を有
すること、すなわち、光学的方性ピツチにおいて、前記
した0成分(n−ヘプタン可溶成分)、およびA成分
(n−ヘプタン不溶かつベンゼン可溶の成分)の組成、
構造、分子量が極めて重要であることを見出し、先に、
特願昭55−162972号として出願した。
その後さらにピツチ中のPAとIPの混合比率、およびその
顕微鏡的形態について詳しく研究を続けた結果、完全に
単一相の実質的にAPが100%のもので、軟化点が250℃〜
300℃といつたピツチを作ることもできるが、このよう
なピツチの製造条件は比較的狭くまた原料の変化などに
対応して常に同じ十分低い軟化点ひいては、同じ適正紡
糸温度のピツチを、工業的に安定して製造することが、
必ずしも容易ではないことを知見した。
一方、あまりにIP部分を顕著に含有するピツチ例えば、
30%以上もIPを含有するようなものは、一般に軟化点を
十分低くできるが、紡糸の際明らかに粘度の異なる二つ
の混合液相として挙動し、紡糸性も不良であること、し
たがつてそれから製造した炭素繊維は性能が不良なこと
が確認された。
さらに、研究を進めたところ、IPの部分が約20%以下で
あり好ましくは、約10%以下であつて、しかもAPのマト
リツクス(大部分を占める母相)の中で、そのIPの分散
状態が、その大部分のものの形状が直径約100μm以
下、好ましくは、約50μm以下の球状体として、さらに
好ましくは、直径約20μm以下の極めて微小な球状体と
して分散して存在しているもので、しかも軟化点の十分
低いものが発見された。しかしてこのようなピツチは紡
糸性が良好であり十分な性能の炭素繊維を製造するプリ
カーサー物質として最適であり、加えてこのようなピツ
チは、工業的に安定してほゞ同じ特性のものを製造する
ことが容易であるという特徴を有することを見出して、
本発明の完成に至つたものである。
とにかくAP中にIP球が分散している状態については従来
より知られており、よく見られる現象であつたが、その
ほとんどは直径100μmを越えるIPであつて、それは紡
糸などに好ましくない状態として考えられていた。しか
しながら本発明が示すようなIPの分散状態の存在および
効果については従来全く知られていなく、このようなピ
ツチは先行技術では未だ全く開示されていないものであ
つた。
さらに本発明者は、このようなピツチのキノリン、ピリ
ジン、ベンゼン、n−ヘプタンなどの溶剤に対する溶解
度分析、種々の温度およびせん断速度での粘度特性、炭
素/水素(C/H)原子比などについても詳しく研究を加
え、それらの特に好ましい範囲を明らかにし、本発明の
ピツチ物質のより明瞭な特徴を見出し本発明を完成した
のである。
本発明は前記のような特徴を有するピツチ物質の製造方
法を包含する。特に、本発明者が見出した方法は、特定
の組成と軟化点を有し、約半分程度のAPを球状で包含し
ている段階のピツチを、溶融状態に於いて、かつ熱分解
重縮合が顕著に進行せず、しかAPの大部分が下方へ沈積
合体することが容易な条件下でピツチ中のAPの大部分を
下方へ沈積合体せしめて、この下部のAPの濃度の大きい
部分を上部のAP濃度の小さい部分から分離除去する方法
である。
上述の製造法における出発物質すなわち特定の範囲内に
組成、軟化点を有する、半分程度にAPを包含せるピツチ
は、通常公知の方法で製造することができる。すなわち
原料として、重質炭化水素油、いわゆるタール、市販ピ
ツチ等を用いて、約380℃乃至約460℃の温度を用いて必
要な時間熱反応せしめ、その後十分低い温度で脱揮(不
活性ガスでのストリツピングまたは減圧蒸留)するか、
または約380℃乃至約460℃の温度で必要な時間脱揮しつ
つ熱反応せしめることによつて、前述の本発明の製法の
出発物質である半分程度にAPを包含し、特定の組成、軟
化点を有するピツチを製造することができる。
また、上述の方法において、沈積分離工程で、下層のAP
濃度の大きいピツチを分離した後の、上層のAP濃度の小
さいピツチは、熱分解重縮合、脱揮工程へリサイクルし
て、適度のAP濃度、組成、軟化点に調製した後、次の沈
積工程にかけることができる。本発明に於いてはこのよ
うにして反復して、熱分解重縮合、沈積分離を行なうこ
とにより、高品質のAPピツチを収率よく製造することが
できる。
本発明は上記諸知見に基づくものである。
本発明の主たる目的は、高強度、高弾性率の炭素材、特
に、炭素繊維を製造するのに適した光学的異方性相ピツ
チであつて、かつ、低軟化点を有する光学的異方性炭素
質ピツチを提供することである。
本発明の他の目的は、高強度、高弾性率の炭素材特に炭
素繊維を製造するために適した光学的異方性ピツチであ
つて、高配向性かつ均質な光学的異方性炭素質ピツチを
提供することである。
本発明の他の目的は、高強度、高弾性率の炭素繊維を製
造するために熱分解重縮合の顕著な温度より十分低い温
度で紡糸することができる紡糸性の良好な光学的異方性
炭素質ピツチを提供することである。
本発明の他の目的は、高強度、高弾性率の炭素材料の装
置に適した特定の相形態、すなわちAPマトリツクス中の
IPの含有比率とIPの分散形態が特異であり、そしてキノ
リン(またはピリジン)不溶成分が適度に含有されるが
その含有率がAP含有率より明らかに小さく、そのため十
分に低い軟化点を有し、加工成形のしやすい、かつ十分
な分子配向性を有し、かつ実用上均質である光学的異方
性ピツチを提供することである。
本発明の他の目的は、高強度、高弾性の炭素材料の製造
に、より適した、成形加工温度での粘度特性値が十分に
小さい光学的異方性炭素質ピツチを提供することであ
る。
本発明の他の目的は、高強度、高弾性の炭素材料の性に
より適した、溶剤分別分析組成すなわち0成分、A成
分、B成分、C成分の構成割合が特定範囲にあり、また
炭素/水素(C/H)原子比が特定の範囲にある光学的異
方性炭素質ピツチを提供することである。
本発明の他の目的は、高強度、高弾性率の炭素繊維を製
造するために適した光学的異方性炭素質ピツチを効率よ
く制する方法を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、特定の相形態を有しキノリ
ン(またはピリジン)不溶成分が適度に含有されるが、
その含有率がAP含有率に比較して小さく、そのために十
分に低い軟化点を有し、加工成形がしやすく、かつ、十
分な分子配向性を有し、かつ実用上均質である高強度、
高弾性率の炭素材の製造に適した光学的異方性ピツチの
製造方法を提供するものである。
本発明のさらに他の目的は十分低温度で安定した溶融紡
糸を行ない得る低軟化点の、均質で分子配向性の優れた
新規な光学的異方性炭素質ピツチを使用して、高強度、
高弾性率の炭素繊維および黒鉛繊維を製造する方法を提
供するものである。
次に本発明の説明に用いる用語および測定分析方法を説
明する。
本発明書で使用されるピツチの「光学的異方性相」とい
う語句の意味は、必ずしも学界または種々の技術文献に
おいて統一して用いられているとは言い難いものであ
る。
本明細書では、「光学的異方性相」とは、ピツチ構成成
分の形態の一つであり、常温近くで固化したピツチ塊の
断面を研摩し、反射型偏光顕微鏡で直交ニコル下で観察
したとき、試料または直交ニコルを回転して光輝が認め
られる、すなわち光学的異方性であるピツチの部分を意
味し、光輝が認められない、すなわち光学的等方性であ
るピツチの部分は、光学的等方性相と呼ぶ。
前記に於いてAPとIPの間には、明瞭な境界が観察され
る。(一般にはAPでもIPでもない、ゴミ、気泡等の異物
は明らかに識別できる。)また、光学的異方性相は、い
わゆる「メソ相」と同じと考えてよいが、「xy相」には
キノリンまたはピリジンに実質上不溶のものとキノリン
またはピリジンに溶解する成分を多く含むものとの二種
類があり、本発明でいうAPは主として後者の「xy相」で
ある。
さらにAPは、IPに比べて多環芳香族の縮合環の平面性が
より発達した化学構造の分子が主成分で、平面を積層し
たかたちで凝集、会合しており、溶融温度では一種の液
晶状態であると考えられる。従つてこれを細い口金から
押し出して紡糸するときは分子の平面が繊維軸の芳香に
平行に近い配列をするために、この光学的異方性ピツチ
から作つた炭素繊維は高弾性を示すことになる。
また、APまたはIPの定量は、偏光顕微鏡直交ニコル下で
観察、写真撮影してAPまたはIP部分の占める面積率を測
定して行なうのであるが、面積率は、統計上実質的に体
積%を表わす。
しかし、APとIPの比重差は0.05程度であるのでこれらの
定量値で、近似的には体積%と重量%とほゞ等しいと考
えてよい。なお、高温の溶融状態のAPとIPの状態は室温
のそれとはやゝ異るものと思われるが、本明細書では、
全て室温で観察したAPとIPの状態でそれを規定する。
また、APまたはIPが球状体を成す場合のその球状体の直
径の評価は、ピツチ塊の断面の反射偏光顕微鏡観察およ
び写真撮影により行なうが、この場合、球状体の断面を
観ることになるため、真の球径分布を実測することは原
理的にできない。したがつて多数の(1000〜10,000)の
APまたはIPの球の断面像の円の直径を1μm以上のもの
について観測し、そのうちの99.9%以上がxμm以下の
とき、ほとんどまたは実質的にその球状体の集団の直径
がxμm以下であるということにする。
具体的には、例えば最初、顕微鏡倍率50×を用いて、ピ
ツチ断面のできるだけ広い視野の中で直径が50μm以上
の断面を有するAPまたはIPの球状体を観測し、次に倍率
200×または400×以上を用いて、50μm以下、特に10μ
m以下のものを観測する。
また、上述の球状体がAPのときは周囲がIPでありIP球状
体が見られるときは周囲がAPであることは、いうまでも
ない。本明細書に於いてAPが大部分を占め、IPがその中
で球状または不定形の島状に包含されているピツチを、
光学的異方性ピツチと呼ぶ。すなわち本発明において光
学的異方性ピツチと呼ばれるものは実質的にAPを100%
含有するものでない。
本発明ではさらに、ピツチの均質性に関して、上述のIP
含有率の測定結果が十分に小さく、反射型顕微鏡観察で
ピツチ断面に固形粒子(粒径1μm以上)を実質上検出
せず、溶融紡糸温度で揮発物による発泡が実質上ないも
のが、実際の溶融紡糸において良好な均質性を示すの
で、このようなものを「実質上均質な光学的異方性ピツ
チ」と呼ぶ。
本発明に於いてはこれのIPの含有率を約20%以下にす
る。
IPを20%より多く含有するピツチの場合、または、IPが
20%以下であつてもAP中に分散するIPの形状が比較的大
きい場合には、高粘度のAPと低粘度のIPとの明らかな二
相の混合物であるため、それ故粘度の著しく異なるピツ
チ混合物を紡糸することになり、糸切れ頻度が高く、高
速紡糸がし難く、十分細い繊維太さのものが得られず、
また、繊維太さにもバラツキがあり、結果として高性能
の炭素繊維が得られない。また、溶融紡糸のとき、ピツ
チ中に不融性の固体微粒子や低分子量の揮発性物質を含
有すると、紡糸したピツチ繊維に気泡や固形異物を含有
することになり紡糸性が阻害されることはいうまでもな
い。
本発明でいう、「ピツチの軟化点」とは、ピツチが固体
から液体の間を転移する温度をいう。それは差動走査型
熱量計を用い、ピツチの融解又は凝固する潜熱の吸放出
のピーク温度から求められる。この温度はピツチ試料に
ついて他のリングアンドボール法、微量融点法などで測
定したものと±10℃の範囲で一致する。
本発明でいう「低軟化点」とは、230℃〜320℃の範囲の
軟化点を意味する。該軟化点はピツチの溶融紡糸温度と
密接な関係がある。ピツチにより多少相違があるけれど
通常の紡糸法で紡糸する場合、一般に軟化点より60℃〜
100℃高い温度が紡糸に適した粘度を示す温度である。
従つて、320℃より高い軟化点を示すものの場合、熱分
解重縮合が起る380℃より高い温度となることもあり、
分解ガスの発生およ不融物の生成により紡糸性が阻害さ
れることはいうまでもなく、紡糸したピツチ繊維に気泡
や固形異物を含有し、欠陥の原因となる。一方230℃以
下の低い軟化点を示すものの場合、不融化処理工程にお
いて低温で長時間処理が必要になるとが複雑で高価な処
理が必要となりともに好ましくない。
本発明でいうピツチ構成成分中「0成分」、「A成
分」、「B成分」、「C成分」とは、粉末ピツチを1μ
mの平均孔径を有する円筒フイルターに入れ、ソツクス
レー抽出器を用いてn−ヘプタンで20時間熱抽出して得
られるn−ヘプタン可溶成分を「0成分」、ひきつづき
ベンゼンで20時間熱抽出して得られるn−ヘプタン不溶
でベンゼン可溶成分を「A成分」、さらにベンゼン不溶
成分をキノリンを溶剤として遠心分離法(JIS K−242
5)により分離して得られる、ベンゼン不溶でキノリン
可溶成分いわゆるβ−レジンを「B成分」、キノリン不
溶成分を「C成分」と夫々呼ぶ。
このような構成成分の分別は、例えば石油学会誌第20巻
第1号、第45頁(1977年)に記載の方法により行なうこ
とができる。
前記に於いて、C成分の抽出分析方法としては、この他
にASTM D−231876法(75℃で抽出過する方法)、沸
とうキノリン法(沸とうキノリンで抽出過する方
法)、沸とうピリジン法(ピリジンを用いたソクスレー
抽出)などがある。しかし本発明者らが種々のピツチ試
料について比較検討した結果、JISキノリン法、ASTM法
および沸とうピリジン法はほとんど等しいデータを与え
るが、沸とうキノリン法は、これらに比べ3/4から1/2と
いう低い不溶分データを与えることが判明した。したが
つて本発明では沸とうキノリン法は採用しない。
本発明に於いて粘度特性の測定はコントラブス(Contra
ves)社製回転高温粘度計、レオマト(Rheomat)30によ
る。さらに詳しくは窒素雰囲気の電気炉中でコーン・プ
レート方式または回転円筒方式により温度250℃〜400℃
の範囲内の所定の温度で、せん断速度を変えて測定した
ものである。
以下本発明を更に詳しく説明する。
本発明は、概括的に言うと、IPを適度の含有率で包含
し、しかもIPの形態が極めて微小な球状体でAPマトリツ
クスの中に分散しているという特異なAPとIPの混合形態
を有し、しかも、キノリンまたはピリジン不溶成分(C
成分)の含有率が十分に小さく、ベンゼン可溶成分を多
く含むことによつて、軟化点が230℃から320℃の範囲に
あることを特徴とする光学的異方性炭素質ピツチ、およ
びその製造方法、およびこれから炭素繊維および黒鉛繊
維を製造する方法に関するものである。
そこで本発明の光学的異方性炭素質ピツチについて、さ
らに詳しく述べると、該ピツチは、APとIPの混合体であ
るが、APが約80%以上、従つてIPは約20%以下の構成比
率を有するものである。したがつてその断面を偏光顕微
鏡で観察したときAPが大部分を占め母相を成している
が、その中に極めて小さい、すなわち直径が約100μm
以下のほとんどは1μm〜50μmの明らかにIPの円板、
場合によつてはやゝ押しつぶされた、だ円板状のIPが存
することが認められるようなものである。(これらは明
らかに微小な球体または偏球体のIPの存在を示すもので
ある。)しかも、その大部分または実質的にすべてのも
のの直径が、特に20μm以下であるようなものである。
第2図はこれを、反射型偏光顕微鏡(200x)で撮影した
ものを示す。これをさらに拡大して示したものが第3図
(400x)および第4図(800x)である。APに包含される
黒い微小円部分は、暗視野または干渉コントラスト法な
どで観て、等方性ピツチ部分であることが確かめられ
た。本発明に於いては、このような微小な球状のIPが含
有される場合は、IPの含有率が10%以上の場合も、ピツ
チの溶融紡糸の際に不均質性を示さず良好な実質上均質
なピツチとして挙動することが判明した。この等方性の
微小球体は、後述する製造方法を用いて製造した光学的
異方性ピツチの場合、特に顕著に発現し、そして該IP球
は、紡糸の際全く障害とならないばかりかピツチ全体の
特性から考えて、ピツチの軟化点、粘度を十分低く保つ
こと、および溶融紡糸の際、細いノズル孔より溶融ピツ
チが連続してなめらかに流出する一種の流動性向上剤の
如き作用を果すことが判明した。
普通IPは、APよりも2〜3桁粘度が小さい。このIP球状
体の含有率および大きさは、製法によつてコントロール
することが可能であるが、ある範囲内であれば、ピツチ
の紡糸工程に良い結果を与える。また、製品の炭素繊維
または黒鉛繊維の性能特に引張強度に対しても良い効果
を与える。すなわち、IPの含有率が約20%以下で、かつ
上述のような微小球状態でIPがAの中に分散している場
合には、紡糸工程で均質の押出しおよび延糸が容易であ
り、加えてピツチ繊維を不融化、炭化さらに黒鉛化を行
なつた後得られる炭素繊維、黒鉛繊維の性能は優れたも
のとなる。
一方、IPが約20%より多く、特に約30%以上含有してい
るものは、一般に軟化点、紡糸温度は低くなるが、IPが
微小球状のものばかりでなく、直径が100μmより大き
いもの、多くの場合約200μm〜500μm径の球状体、あ
るいは不定形の断面を有するような塊がかなり多く分散
する形態となる。しかしてこのようなものは、紡糸ノズ
ルの大きさに近いため、紡糸工程の際、二液相の混在し
たものをノズルから押出し、延糸することに似てくるの
で、糸切れ、繊径のバラツキの原因となり、いずれにし
ろ紡糸性がよくないか、あるいは紡糸不可能である。勿
論、このようなピツチから製造した炭素繊維、黒鉛繊維
は性能的に強度、弾性率ともやゝ劣り、特に所望の引張
強度が得られない。
本発明の方法によれば軟化点、紡糸温度が十分低く、IP
の含有率が約20%以下であり、かつそのIPの球状体が非
常に微細であつて直径がほとんどまたは実質的に全てが
20μm以下、さらに好ましくは10μm以下のものが、均
一に分散している形態のピツチを製造することができ
る。また、IPの含有率をさらに少く、すなわち約1%〜
約10%とすることもできる。このようなものは紡糸性に
おいてもより均質性を増し、一層性能の良い炭素繊維お
よび黒鉛繊維を与える。特に、約3%〜約10%のIPを含
有するものがなお一層優れた効果を奏する。
本発明に於いて、光学的異方性ピツチのAPマトリツクス
中に分散しているIP球状体の含有率はピツチ断面の種々
の部分を400倍または800倍で顕微鏡撮影し、直径の分布
を測定して平均の含有率を計算する。この手段によれば
含有率的1%以上のものが、実測可能である。また直径
が1μmより小さいものは、直径の測定誤差が大きくな
ることはさけられないが、このようなものは相対的に多
くなく、それ故、含有率に与える影響は実質的に小さ
い。
本発明のピツチの特徴である前述のIP形態と同時に満足
されるべきもうひとつの特徴は、キノリンまたはピリジ
ンに対する不溶成分、すなわち、本明細書でいうC成分
の含有が、AP含有率と比較し十分に小さいことである。
ピツチの製造法(または種類)によつてAP含有%がほゞ
C成分含有率%に等しいようなものがある。従来技術で
はこのようなものが一般的であつた。
しかして本発明のピツチは既に述べた如くAP含有率が約
80%以上であり、かつ、C成分含有率は70重量%以下、
好ましくは50重量%以下であることが必要であるさらに
製造の容易さ、紡糸性および製品炭素材料の性能上から
C成分が20重量%〜50重量%含有のものであることが要
求され、就中製造の容易性という観点から30重量%〜40
重量%のものが良好である。
本発明に於いてC成分が70重量%より大きい場合には、
AP含有率がどのような数値であろうと、軟化点が高くな
る傾向があり、またIPが小球状の場合でも、紡糸が困難
か、不可能であるので好ましくない。
一方C成分がほとんど含まれないか、または20重量%よ
りかなり小さくて、なお、AP含有率が80%以上のものも
製造することができるが、このようなものは、キノリン
に可溶であるが、ベンゼンに不溶な成分、すなわち一般
にβ−レジンと呼ばれるもの(本明細書でいうB成分)
が大量に含有されており軟化点が320℃を越える傾向と
なり、好ましくない。
さらに、本明細者の研究によれば、C成分も適度に含有
し、他の諸成分、(O、A、B成分)と調和を保つた相
溶体となつているものが、最も好ましいことが判明し
た。すなわち軟化点も低く、AP含有率も高く、製品炭素
材料の性能も良好である。
本発明の光学的異方性ピツチのもうひとつの特徴は、十
分に低く、しかも低すぎない適度の軟化点約230℃〜約3
20である。これは、前述の高いAPの含有率、その中に分
散して存在するIPの微小球状体、低いC成分の含有率な
どと相関があるようである。
前記軟化点範囲に於いて、より容易に製造することがで
き、しかも成形炭素材料の原料として優れている光学的
異方性ピツチは、その軟化点が、240℃以上290℃以下の
範囲にあるものである。このような光学的異方性ピツチ
は、溶融紡糸などの成形加工がしやすく、例えば、溶融
紡糸の際の紡糸温度として300℃〜360℃というピツチの
熱反応温度よりも十分に低い温度が使用でき、また紡糸
機械の設計や操業が容易となるという効果をもたらす。
このような低い紡糸、成形温度は、AP含有率の十分大き
な光学的異方性ピツチを使用する場合については、従来
全く知られていなかつたことである。
本発明の光学的異方性ピツチについて、さらに得られた
知見について述べるとある所定の温度で測定された粘度
が、従来から知られていたAP含有率の大きい光学的異性
ピツチに比較して、はるかに低いということである。す
なわち、本発明の光学的異方性ピツチで、前述のAP含有
率、IPの形態、C成分の含有率、軟化点の主要な特徴の
ほかに、350℃で測定した粘度が約10ポアズ〜約200ポア
ズ、380℃で測定した粘度が約2ポアズ〜約50ポアズと
いう低い粘度を示す。さらに、このような温度で、せん
断速度を変化させて粘度値を測定した場合、少くともせ
ん断速度が50sec-1までは、該値はせん断速度の変化に
かかわらず、ほとんど一定値を示す。すなわち、ほとん
ど完全なユニートニアン流動を示す。このことは、溶融
紡糸をするとき紡糸機のノズルを通過するとき受けるピ
ツチのせん断速度が、約10〜50sec-1であることからし
て、このような光学的異方性ピツチはなめらかに押出し
紡糸ができる物性を有していることを示す。このような
光学的異方性ピツチは、従来全く知られていなかつたも
のであり、驚異に値する。
本発明の光学的異方性ピツチについて、さらに別の観点
から見出した特徴について述べるとその多くのものは、
ベンゼン可溶成分を多く含有しているということであ
る。すなわち、20重量%から50重量%の範囲にあり、し
たがつてベンゼン不溶成分が50重量%から80重量%の範
囲にあるということである。
さらに詳しく述べると上述のベンゼン可溶成分のうち、
n−ヘプタン不溶成分すなわちA成分がピツチ全体の15
重量%から40重量%含有され、n−ヘプタン可溶成分す
なわち0成分は5重量%から15重量%含有されるような
ものが、光学的異方性ピツチとして、紡糸特性も良好で
あり製品炭素材料として良い性能を発現する、特に優れ
た光学的異方性ピツチである。
さらに、上述のベンゼン不溶成分のうち、キノリン可溶
成分すなわち、一般にβ−レジンと呼ばれ、本明細書で
はB成分と呼ぶ成分が、ピツチ全体の20重量%より多く
50重量%より少ないものが、AP含有率も大きく軟化点も
十分に低く、紡糸特性も良好で、製品炭素材料として良
い特性を発現する優れた光学的異方性ピツチである。
本発明に於いてさらに、ピツチ全体の炭素原子と水素原
子の構成比率、C/Hは、その製造方法にもよるが、光学
的異方性ピツチの、特に低い軟化点の優れた物性を示す
ものは、C/Hが2.0より小さく、より好ましくは1.6から
1.9の間にあり、さらに好ましくは1.65〜1.80の間のも
のが特に望ましい。このように十分に、C/H比が小さい
もので、AP含有率の高い光学的異方性ピツチは、従来全
く知られていなかつた。
本発明の光学的異方性ピツチは、いろいろな方法で製造
することができる。その製造方法を特に限定するもので
はないが具体例を示す。
従来ピツチ製造用の一般的原料である重質炭化水素油、
タール、市販ピツチ等を、反応槽380℃〜500℃の温度で
撹拌しつつ、不活性ガスで脱揮しつつ、十分に熱分解重
縮合して、残留ピツチのAPを高める方法が知られてい
る。この方法では原料または温度にもよるが一般に、AP
が80%以上となるときは、熱分解重縮合反応が進みすぎ
C成分も70重量%以上と大きくなり、IPも微小球状の分
散状態とはなりにくく、かつ軟化点が300℃以上、多く
の場合330℃以上にもなる。
そこで本発明者は、先に熱分解重縮合を半ばで打切つて
その重縮合物を350℃〜400℃の範囲の温度で保持して静
置し、下層に密度の大きいAPを成長熟成させつつ沈積
し、これを、上層の密度の小さいIPの多い部分より分離
して取り出すことによるAP濃度の大きな光学的異方性ピ
ツチの製造方法に想到し、先に特願昭55−99646号とし
て出願した。本発明はこの方法をさらに改良した新規な
製造方法に関する。
本発明はAPを適度に含む炭素質ピツチを溶融状態で、35
0℃〜430℃でほぼ静置状態に保つと、AP部分はIP部分よ
りも、比重が大きいために次第に沈降し、合体成長しつ
つ下層へ集積し、APが約80%以上で連続相を成しその中
にIPを島状または微小な球状体の形で包含するピツチが
下層となり、なお、上層は、IPが大部分でその中にAPが
微小な球状体で分散している形態のピツチとなり、加え
てこの上層と下層の界面は、明瞭であつて、しかも、上
層と下層の溶融状態での粘度が大きく異なることを利用
して、下層を上層より分離して取出し、軟化点の低いAP
含有率の大きい光学的異方性炭素質ピツチを得ることか
らなる。
すなわち、本発明は、該APの沈積および分離を行う工程
(以下「沈積分離工程」と呼ぶ)において、どのような
特性のピツチを用いれば、本発明の光学的異方性ピツ
チ、すなわちIPの形態と含有率が適度に制御され、その
結果より軟化点の低い、均質な加工性の優れた光学的異
方性ピツチが得られるかを追求し、その結果得られた新
規な製造方法に関するものである。
以下本発明のピツチ製造方法について要約して説明す
る。
まず沈積分離工程にかける原料ピツチとしては軟化点が
250℃以下であり、APが約20%〜約70%含有され、好ま
しくは、そのAPの含有される形態が大部分または実質的
に全てが直径500μm以下の球状体の状態にあり、かつ
最も重要な必須な要件として、ピツチ全体のC成分が25
重量%以下でB成分が25重量%以上含有するピツチを使
用する。すなわち、本発明のピツチ製造方法に於ては、
上述のような特性を有する原料ピツチを調製し、これを
溶融状態に保ち、AP球状体が合体しつつ下方へ沈降しや
すく、かつピツチの成分の熱分解重縮合反応が顕著に進
行しない条件下、すなわち350〜430℃の温度範囲、好ま
しくは360℃〜390℃の温度範囲で、温度に対応して十分
かつ必要な時間だけ静置し、下層に、密度の大きいAPを
連続相として集積し、これを上層のより密度の小さいIP
を多く含む部分から分離して取出す方法である。
なお本明細書に於いて、「静置」とは、溶融ピツチの液
系にAPの沈積を防げるような大きな撹拌や流動を与えな
いことを意味する。
前記沈降分離工程にかける原料ピツチの特性として、ま
ず、APの含有率が20%より小さいときは、沈降分離工程
での下層ピツチの収率が小さくなるという欠点がある。
また、下層ピツチの軟化点は高くなり、加工性がやや劣
るものが得られるので、好ましくない。一方APの含有率
が70%以上の大きいものを用いると一般にピツチ全体の
分子量が過大であり、沈積分離工程で上層と下層の分離
が不良であるという欠点がみられる。また、たとえ分離
したとしても生成する下層ピツチの軟化点が高くなると
いう結果をもたらす。すなわち、AP含有率が70〜80%の
ものでは、やや低い温度で長時間静置することによつ
て、上、下層を分離することもあり、この場合、下層の
APを多く含むピツチの収率は大きくなるが、この場合
は、一般に前段で、やや熱反応が進みすぎ、下層のピツ
チの軟化点は、高くなる傾向がある。また、大きな形状
のIPが下層から抜けにくいために直径が200μm以上の
大きな球状、または大きな不定形の塊状のIPを包含する
光学的異方性ピツチを生じやすく、これらは、前述のよ
うに防糸性、および製造した炭素材料の性能の観点から
勿論好ましくない。したがつて、本発明の光学的異方性
ピツチを得るためには、AP含有率として約20%以上約70
%以下のもの、より好ましくは約30%〜約50%の範囲に
あるものを、沈降分離工程にかける。さらに、この階段
のAPの好ましい形態について述べると、APがまだあまり
合体の進んでいない直径が500μm以下の、真球体に近
い状態で分離しているピツチ、さらに好ましくは直径が
300μm以下の、真球体に近い状態で分散しているピツ
チを、該沈積分離工程にかけることが望ましい。
もしもこの階段で、不定形の大きなAPや、直径が500μ
mより大きな球状体が数多く認められる場合には、これ
らのAPの中には多くの場合、かなり大きなIPを包含して
いることがままあり、加えてこれらの大きな形状のAP塊
が沈積したとき、下層で大きなIP部分を閉じ込めて合体
しやすい。したがつて、結果的に下層において、連続し
たAPの中に大きな形状のIPを包含した光学的異方性ピツ
チを生じることになり好ましくない。
但しこの球径は撹拌条件極度に変えると変化する。
また一方、あまりにも小さな直径のAP球状体のみを含有
するピツチを、該沈積分離工程で使用すると、AP球状体
の合体と沈積に長時間を要し、好ましくない。すなわち
APの含有率が前述の好ましい濃度であつても、顕微鏡で
観察したときに直径が20μm以上のAP球がほとんど認め
られないようなピチツは、該沈積分離工程にかけても、
長時間の熟成沈積のための滞溜時間を必要とし、下層の
収率も低いので適当ではない。
本発明の光学的異方性ピツチを得るために、該沈積分離
工程で用いるピツチの特性としてさらに重要なのは、C
成分、すなわちキノリンまたはピリジンに不溶の成分の
含有率が十分に低いことと、B成分すなわち、ベンゼン
に不溶であるがキノリンまたはピリジンに可溶な成分の
含有率が十分大きいことである。
本発明に於ては、沈積分離工程へかける前のピツチ中の
C成分が25重量%以下の含有率であり、同時に重要な要
件としてB成分が25重量%以上含有するものが、該沈積
分離工程にかけて本発明の所望の光学的異方性ピツチを
収率よく製造しうるものであことが見出された。
さらに、詳しく説明すれば、該沈積分離工程にかけるピ
ツチが前述のようなAP含有率およびAPの形状を有してい
ても、C成分が25重量%より多く含有しているとき、ま
たは、B成分が25重量%より少く含有しているときは、
生成する下層の光学的異方性ピツチ中のIPの球径が200
μm以上のものが多くなり、そしてC成分が約70重量%
以上に濃縮され、軟化点も高くなり、防糸性も劣り、製
品炭素材料の性能の良いものが得にくい。
本発明に於て、該沈積分離工程にかけるピツチが、前述
のようなAP含有率を有し、好ましくは前述のようなAPの
形状を有していて、C成分が約25重量%以下、より好ま
しくは約20重量%以下であり、同時にB成分が25重量%
以上さらに好ましくは30重量%〜65重量%の範囲で含有
されるとき、該沈積分離工程にかけることによつて下層
に沈積されて分離されるピツチは、先に述べた本発明の
光学的異方性ピツチとなり、特にその特徴である、AP母
相中に微小なIP球が適量で分散した状態が得られる。
この場合、A成分は20重量%〜45重量%含有され、残余
のO成分(ヘプタン可溶成分)は5重量%〜20重量%含
有されることが一般に観測され、このような組成が本発
明のピツチ製造用出発物質として好ましいものである。
次に、該沈降分離工程の条件について説明すると、使用
温度は350℃〜430℃、好ましくは360℃〜390℃の範囲で
ある。この範囲内の所定の一定温度でもよく、また必ら
ずしも一定温度でなくてもよい。
この工程では、APの多くの部分を下層へ沈積し合体せし
めることが主目的であり、熱分解および重縮合反応はで
きるだけ避ける必要がある。なお前記範囲内においても
高温側ほど短い滞留時間を選ぶ必要がある。すなわち、
高温では例えば430℃以上の温度では、ピツチの熱反応
が顕著であり、いかに短時間でも、適切ではない。また
あまり低温ではピツチ系全体の特にIP部分の粘度が大き
いためAP球が沈降しにくく、長時間かけても分離はでき
ない。
該沈積分離工程の使用温度および滞留時間と関係が深い
のは用いるピツチの軟化点である。すなわち上述の温度
範囲を用いるためには、該沈積分離工程にかけるピツチ
の軟化点は250℃以下であることが必要である。これ以
上高いものは、上述の温度範囲では、ピツチの溶融粘度
が大きすぎて十分なAPの沈降分離が起らない。
本発明に於て、該沈積分離工程の好ましい滞留時間は、
ピツチの軟化点および工程の温度によつて変わるが、約
5分から4時間の範囲で選ぶことができる。また、該沈
積分離工程は、いうまでもなく、非酸化性雰囲気で行な
うべきである。勿論不活性ガスの流通下または加圧下で
行なつてもよい。通常は、常圧近くでわずかの非酸化性
ガスの流通下または空気が混入しない密封容器中で行な
う。
また該沈積分離工程の撹拌は、全く撹拌しなくとも目的
は達せられるが、連続的に分離を行なうとか系全体の温
度分布を均一にするなどの目的で、AP球の沈降を妨げな
いような程度のゆつくりした撹拌、またはピツチ全体の
流動を与えてもよい。また、該沈積分離工程において、
下層に沈積したAP濃度の大きい部分を上層のIP濃度の大
きい部分と分離する方法の最も容易なものは、沈積分離
槽の下部に取りつけた抜出口のバルブを開き、下層を流
出させ、目的とするピツチ製品を抜き出す方法である。
この際上層と下層の境界に至つたことは、上層と下層の
粘度が著く異ることから、抜き出しラインの差圧と流量
の関係などから容易に検知できる。
そのほか固化させて上層と下層の硬度の差を利用して割
り出す方法、上層と下層の軟化点が著しく異ることを利
用して、下層が流動しない温度で上層を流出させる方
法、その他一般的な連続的に二相を分離するセツトリン
グドラムを用いる方法なども可能である。また、さらに
APの沈積合体分離を短時間に効率的に行なうために、や
はり静置法の一種である遠心静置(Centrifugal Settl
ing)も用いうる。この場合回転部分が高温となるの
で、回転軸は冷却する。
本発明のピツチの改良された製造方法は、上述のよう
に、適度のAPを含有する、完全には熱分解および重縮合
されていない、そして特定の組成・物性を有するピツチ
を特定の条件で、沈積分離工程にかけ、APを濃縮して抜
き出すことに特徴があり、この方法において使用する特
定の組成・物性を有するピツチの製法については、本発
明では特に限定するものではなく、如何なる方法で製造
したものも包含するが、特に、次に述べる方法により製
造することが容易である。
すなわち、出発原料として石油工業又は石炭工業より副
生するピツチ原料であつて、芳香族炭素を多く含有する
沸点400℃以上の炭化水素を多く含むいわゆる重質炭化
水素油タール、またはピツチを使用し、これを約380℃
〜約460℃の温度で、好ましくは400℃〜430℃の温度
で、常圧下不活性ガスの流通下で、分解生成物などの脱
揮を促進しつつ、熱分解重縮合反応を主とする熱反応に
供し、前述の沈積分離工程にかけるために適切な範囲内
の特性のピツチを生成したとき、この反応を止め、沈積
分離工程へ移す。この際の反応を止める時期は、出発原
料の特性、不活性ガスの流速、反応温度の組合せによつ
て予め実験的に決めることができる。この場合の不活性
ガスの流量は、反応容器の形状、液相滞留物の量に支配
され、特定はできないが、一般に液相滞留物1kg当り1
/分以上の不活性ガスを流さないと、目的のピツチが
得難い。またこの場合ガスは液相の表面上を流しても、
液相中にパブリングさせてもどちらでもよい。また、別
の方法で、上述と同じ出発原料を用いてこれを約380℃
〜約460℃の温度で、好ましくは400℃〜430℃の温度で
熱分解重縮合を主とする熱反応を行なう際、不活性ガス
の流通を行なわず、還流の多い常圧かまたは2kg/cm2〜2
00Kg/cm2での加圧で行ない、分解生成物などの低分子量
成分の脱揮除去は該熱分解重縮合を主とする熱反応の
後、約300℃〜約380℃、好ましくは330℃〜370℃の温度
で減圧下の蒸溜または不活性ガスの流通下のストリツピ
ング蒸溜によつて行なうことも可能である。この場合
も、出発原料の特性に対応して熱分解重縮合の温度と時
間、脱揮蒸溜の温度と時間を、実験的に選び、前述の沈
積分離工程へかけるための適正の範囲内の特性を有する
ピツチを調製することができる。
前述の説明で用いられた不活性ガスとは400℃前後の温
度で、ピツチ物質と顕著な化学反応をしないガスであ
る。例えばN2、Ar、スチームのほか低分子量の炭化水素
が実用的である。
また、本発明のピツチ製造方法においては、その沈積分
離工程の結果、副製される上層ピツチ、すなわち大部が
IPから成るピツチは、捨てるのではなく、再度軽度の熱
分解重縮合反応を加えて、沈積分離工程へ再度かけるた
めに適当な処理を行なう。このことによつて、最終的な
ピツチの収率が向上する。
発明者は、さらに前述の熱反応脱揮工程において副生さ
れる主として熱分解生成物からなる分解留出油も、適度
に蒸溜調整されると、再度、熱反応工程へ注入してピツ
チ原料として使用できることを確かめた。すなわち、該
分解留出物は非常に広範囲の沸点を有するものである
が、そのうちの常圧換算沸点が約350℃以上の成分は、
芳香族炭素含有率も高く、再度、熱分解重縮合脱揮工程
を加えることによつて前述のAPを沈積合体分離する工程
にかけるのに適合した特性のピツチとすることができ
る。その結果、本発明の光学的異方性炭素質ピツチをさ
らに収率よく製造することができる。
前述の熱分解留出油を原料とする場合は、熱反応工程と
して、前述した加圧法を用いることが好ましい。
次に本発明の光学的異方性炭素質ピツチを用いて、炭素
繊維およびいわゆる黒鉛繊維を製造する方法およびその
特徴について説明する。
紡糸方法は、従来、使用されている方法を採用すること
ができる。例えば、下方に直径0.1mm〜0.5mmの紡糸口金
を有する、金属製紡糸容器にピツチを張り込み、不活性
ガス雰囲気下で、280〜370℃の間の一定温度にピツチを
保持し、溶融状態に保つて、不活性ガスの圧力を数100m
mHgに上げると、口金より溶融ピツチが押出され流下す
る。そこでその流下部の温度、雰囲気を制御しつつ、流
下したピツチ繊維を高速で回転するボビンに巻取るか、
または集束させて、気流で引取りつつ下方の集積箱の中
へ集積する。この際、紡系容器へのピツチの供給を、予
め溶融したピツチを、ギアポンプなどで加圧供給する
と、連続的に紡糸することが可能である。さらに上述の
方法で、口金の近傍で、一定に温度制御された高速で下
降するガスでピツチ繊維を延糸しつつ引取り、下方のベ
ルトコンベア上に長繊維又は短繊維、あるいは相互に交
絡したマツト状のピツチ繊維不織布を作る方法も用いう
る。
また、周壁に紡糸口金を有する円包状の紡糸容器を高速
で回転させ、これに溶融ピツチを連続的に供給し、円包
紡糸器の同壁より遠心力で押し出され、回転の作用で延
糸されるピツチ繊維を集積するような紡糸方法も用いう
る。
いずれの方法においても、本発明のピツチを用いるとき
はその溶融状態で紡糸をするのに好適な温度が、280℃
〜370℃の範囲と、従来よりも低いことが特徴である。
従つて紡糸工程での熱分解や熱重合が極めて少く、その
結果紡糸後のピツチ繊維は、紡糸前のピツチ化学組成物
とほとんど同じ化学組成物であるという特徴を有する。
また、このような低い紡糸温度においても、本発明のピ
ツチは実用上、ほとんどまたは完全に均質な1相の物質
のごとく挙動し、なめらかに、延糸性良く、糸切れ頻度
少なく、一定条件では、ほとんど一定の繊維径の繊維が
紡糸できるという特徴を有す。かくして通常は、7μm
〜15μmの直径を有するピツチ繊維が得られる。
当該ピツチ繊維を粉砕し、有機溶剤を使用してO成分、
A成分、B成分およびC成分に分別して分析すると、紡
糸前のピツチの化学組成および特性とほぼ同一の値が得
られ、前述の本発明の範囲内に存するものであることが
確認される。
従来の光学的異方性ピツチの場合、370℃〜430℃といつ
た高温で溶融状態を保ち紡糸を行なつていた。そのよう
な場合、熱分解や熱重合が顕著に起ることからして紡糸
後のピツチ繊維の組成構造は、紡糸前のピツチより炭化
の進んだものとなることが多かつた。
一方、本発明のピツチ繊維の場合は、紡糸前後のピツチ
組成はほとんど変らないので、仮に紡糸工程で何らかの
故障があつてもピツチ繊維として再溶融して用いること
ができるという利点がある。
本発明の光学的異方性炭素質ピツチから、上述のように
して得られたピツチ繊維は、それを不飽和ポリエステル
樹脂で固めて研磨し、偏光顕微鏡で観察すると、繊維軸
方向に平行な面では、全面が光学的異方性であり、しか
も、配向層面がほとんど繊維軸芳香に平行であることが
認められる。そして、もはやピツチ塊のときにAP相中に
分散していた微小なIP球状体はふつう認められない。こ
れは紡糸孔を通るとき、および延糸されるときのせん断
応力によつて、さらに小さく引伸されるか、またはIPが
APと相溶したものと考えられる。
本発明の光学的異方性炭素質ピツチ繊維は酸化性雰囲気
で酸化して、不溶性の繊維とした後、不活性雰囲気中
で、少くとも1000℃の温度迄加熱することによつて、高
強度、高弾性率を有する炭素繊維とすることがきる。ま
た、さらに高い温度、少くとも2000℃の温度迄加熱する
ことによつて、高強度でありながら、非常に大きい弾性
率を有する黒鉛繊維を製造することができる。
前述のピツチ繊維を酸化して不融性炭素質繊維とする工
程は、温度、使用する酸化剤、反応時間の種々の組合せ
が存在する。
一般公知の方法も使用しうるが、本発明のピツチは軟化
点が低いことが、特徴のひとつであるから、公知の光学
的異方性ピツチ繊維の場合よりもより低い温度で酸化反
応を行なう。さもないと、ピツチ繊維は部分的に融着し
たり、巻縮したりして、最終的に良い製品が得られな
い。200℃以下の温度で、ハロゲン、NO2、オゾン等の酸
化剤を含んだ雰囲気で短時間処理する方法もよい方法で
あるが、酸素ガス雰囲気中でまず、ピツチの軟化点より
30℃〜50℃低い温度すなわち、ふつうは200℃〜240℃の
温度で、十分な不融性が得られる迄、温度に応じて10分
〜2時間保持し、その後必要により約300℃迄昇温し
て、不融化を終了させる方法が容易かつ確実である。本
発明のピツチのうち軟化点が280℃以上のものは空気中
で、230℃〜250℃の温度を用いて約30分〜2時間保持
し、不融化を行なうことができるのでさらに好ましい。
次に、この不融性となつた本発明の光学的異方性炭素質
ピツチ繊維を、真空中または化学的活性のないアルゴン
または高純度窒素等のガス雰囲気中で1000℃〜2000℃の
範囲内の温度迄昇温して炭化することによつて、いわゆ
る高強度高弾性率の炭素繊維が得られ、2000℃〜3000℃
の範囲内の温度迄昇温して、さらに黒鉛化反応を進めて
いわゆる黒鉛化繊維が得られる。
本発明においては、この炭化および黒鉛化の方法の詳細
について特に限定するものではなく、一般公知の方法を
用いることができる。とにかく本発明の光学的異方性炭
素質ピツチを原料として用いた場合、室温から最終炭化
温度まで、十分大きな昇温速度でしかもほとんど一定の
勾配で昇温し、最終炭化温度での滞留時間は不要である
という特徴があり、最終炭化温度に到達直後に急速に冷
却することができる。
このことは、炭化炉の構造、炭化工程の操作を容易にす
る。
以上の説明によつて、本発明の光学的異方性炭素質ピツ
チは、その顕微鏡学的形態および多くの物理特性、およ
びその化学的構成成分の含有量が特異かつ新規であり、
そのために、高性能の炭素繊維または黒鉛繊維を製造す
る目的に適した、分子配列が高配向性であり、かつ紡糸
成形上で都合のより低い軟化点と実用上、均質であるこ
とを伴せ持つピツチであることが理解される。また、上
述で説明された本発明の特異な形態、特性、構成成分組
成を有する光学的異方性炭素質ピツチは前述の特定の、
かつ制御された方法によつて、特に効率よく製造される
ことが理解されたであろう。
また、本発明の特異な形態、特性、構成成分組成を有す
る光学的異方性ピツチは、APを80%以上含有する実質上
均質なピツチであるにも拘らず、極めて低い軟化点(32
0℃以下)を有するから、十分に低い溶融紡糸温度(380
℃以下、ふつう実施態様としては280℃〜370℃)で紡糸
することができ、次の効果が得られる。
すなわち、熱分解重縮合の顕著な温度より十分低い温度
で紡糸することができ、また、均質なピツチとして挙動
するから、ピツチの紡糸性(糸切れ、糸の細さ、糸径の
均一さ)が良好であり、紡糸工程の生産性が向上する。
さらに、紡糸中のピツチの変質が生じないため、製品炭
素繊維の品質が安定であること、紡糸中の分解ガスの発
生および不融物の発生が極めて少ないから、紡糸された
ピツチ繊維の欠陥(気泡または固形異物粒子の含有)が
少なく、製造した炭素繊維の強度が大きくなること、加
うるに本発明の炭素質ピツチは、実質上、ほとんど全体
が分子配向性の優れた液晶状であるから、これを紡糸し
て製造した炭素繊維は繊維軸方向の黒鉛構造の配向性が
よく発達し、弾性率が大きいこと、および製造した炭素
繊維は、繊維軸に直角方向の断面の構造が、ち密で、か
つフイプリルの断面方向の配向が小さく、同心円状とか
放射状にならないために繊維軸方向に割れ目のないもの
となること等の効著な効果を奏するものである。
以下に本発明を実施例、比較例を示して説明する。
実施例1 軟化点が223℃であり、反射型偏光顕微鏡で観察するとA
Pが約35%を占め、その状態が、多くのものが直径約50
μmの球で、約100μmのものがわずかみられ、200μm
以上のものはほとんど見られないものであり、これらが
IPの母相の中に分散している状態であり、さらに溶剤抽
出分析によつて、B成分を31.0wt%、C成分を6.5wt%
含有することがわかつている、炭素質ピツチを300gr、5
00mlの円筒型ガラス容器にとり、窒素雰囲気下380℃で
1時間撹拌せずに保持し、次にこれを放冷し、ガラス容
器を破壊してピツチをとり出した。このピツチは肉眼で
も上層と下層が分離していることが、その光沢のちがい
からも認められた。上層のピツチ塊と下層のピツチ塊を
はく離して分別することができ、約59.1grの下層ピツチ
が得られた。この下層ピツチ塊の鉛直方向の断面を研磨
し、反射型偏光顕微鏡で観察、撮影すると50×では断面
(約3cm2)中に直径が50μm以上のIP相は全く認められ
ず、300×で観察すると、AP中に分散するIPは、直径1
μm〜20μmの球状体のIPが大部分を占めこれが、ほぼ
全面にわたつてほぼ均一に分散しているものであること
が認められた。そのIP部分の面積を計算することによつ
てIPの含有量は約8%であつた。
また、この下層ピツチの粘度特性を調べると350℃にお
いてせん断速度が少くとも100sec-1までほぼ一定で52ポ
アズを示し、また380℃において、せん断速度が少くと
も300sec-1迄ほとんど一定で、9ポアズを示した。
またこの下層ピツチは軟化点が252℃であり、溶剤抽出
分析の結果、O成分が8.4wt%、A成分が36.2wt%、B
成分が25.00%、C成分が30.4wt%含有されるピツチで
あつた。また、このピツチのC/H原子比は1.69であつ
た。
次に、このピツチを直径0.5mmのノズルを有する紡糸器
に充填し335℃で溶融し、約100mmHgの窒素圧で押圧し、
高速で回転するボビンに巻取つて紡糸したところ、500m
m/分の引取り速度で長時間にわたつて糸切れなく、繊維
径9μm〜10μmのピツチ繊維が得られた。
このピツチ繊維を酸素雰囲気中で200゜で2時間、次に2
30℃で1時間保持し、次いで、アルゴンガス中で、50℃
/分の昇温速度で1500℃迄加熱して、すぐ放冷し、炭素
繊維を得た。この炭素繊維を材料試験機で性能を測定す
ると引張り強度が3.2GPa、引張弾性率が210GPaを示し
た。
さらに、この炭素繊維の一部を、アルゴン雰囲気で2400
℃迄焼成して、いわゆる黒鉛繊維とすると引張り強度2.
3GPa、引張弾性率440GPaを示した。
実施例2 軟化点が217℃であり、APが約60%含有され、そのAPは
球状でIP母相に分散していて、直径が300μm以上のも
のはほとんどみられず、50μm〜100μmのものが多く
みられ200μm以下のものが大部分を成すようなピツチ
であり、溶剤抽出分析の結果、B成分を35.9wt%、C成
分を12.9wt%含有することがわかつている炭素質ピツチ
を、実施例1と同じ方法で、温度を変え400℃、380℃、
360℃、340℃で2時間保持して、それぞれピツチを観察
し、分析した。その結果を第1表に示す。
400℃、380℃、360℃では、上層と下層の良好な分離が
認められ、その下層は本発明の特徴を示す光学的異方性
ピツチであつたが、340℃では、上層と下層の分離がほ
とんど起つていなかつた。
比較例1 軟化点が270℃であり、APが約80%含有され、その状態
は球状のものも含むが、不定形の塊状のAPが多く、その
間隙にIPが存在するようなピツチであり、B成分の含有
率が30.1wt%でC成分が28.3%含有されるピツチを実施
例1と同じ方法で380℃で2時間保持したが、上層、下
層の分離は全く起らなかつた。
比較例2 軟化点240℃であり、APが約60%含有されその状態は、
ほとんど全部が球状であつて、その大きさは、径500μ
m以上のものを含まないが、B成分の含有率が26.2wt%
であり、C成分が33.8wt%含有するピツチを、実施例1
と同じ方法で、380℃で2時間保持したところ、上下層
は明瞭に分離しており、下層の収率は45.5%であつた。
この下層ピツチを調べると、IPの含有率は11%従つてAP
含有率は約89%であつたが、その状態はAPの中に200μ
m以上の直径のIP球が分散している状態がみられ、また
軟化点は288℃であり溶剤抽出分析の結果は、O成分6.6
wt%、A成分13.8wt%、B成分9.4wt%、C成分70.2wt
%であつた。
このピツチを実施例1と同じ紡糸方法で、紡糸温度を変
えて紡糸性をテストしたが、溶融ピツチが370℃前後で
一応、押出されるが、延糸性が悪く紡糸ができなかつ
た。
比較例3 軟化点が190℃で、APの含有率が約15%であり、そのほ
とんどが直径50μm以下の真球状であり、B成分が28.4
wt%、C成分が6.5wt%含有されるピツチを実施例1と
同じ方法で380℃で2時間保持すると、上・下層の分離
が認められたが下層の収率は約9%であつた。またこの
下層ピツチを調べると、APの含有率は約98%であり、約
2%のIPは、球状でAPの中に分散していて、直径が200
μm以上のものはみられなかつたが、この下層ピツチの
軟化点は350℃以上を示し、溶融剤抽出分析によるとO
成分11.2wt%、A成分15.6wt%、B成分0.2wt%、C成
分73.0wt%であつた。
実施例3 石油精製で副生する芳香族炭素分率faが0.53の重質油を
減圧蒸溜し、常圧換算で450℃以上の沸点成分を主成分
とする、芳香族炭素分率、faが0.70のタールを得、これ
を出発原料として内容積10のステンレス反応器に6kg
充填し、毎分20の窒素ガスを流通したがら(試料液相
には吹込まず、液面上へ流す)常圧で、400℃で8時間
保持した。昇温は15℃/分冷却は放冷により400℃から2
50℃まで約15分間であり、昇温開始から250℃まで冷却
の間、プロペラ撹拌した。
この反応の残留ピツチを調べると、軟化点が232℃でAP
が約50%含有され、そのAPの形態は直径が100μm〜200
μmの球状ものが多くみられるが、300μm以上のもの
はほとんどなかつた。またB成分含有率は34.4wt%、C
成分含有率は16.7wt%であつた。
次にこのピツチを実施冷1と同じ方法で380℃で無撹拌
で1時間保持したところ、上層と下層に明瞭に分離して
おり、得層ピツチを調べると、軟化点が253℃で、AP含
有率は約87%でIPが、約13%、微小球状体でAPの中に多
数分散している状態がみられた。IPの球状体は大部分が
直径1μm〜20μmであり、50μm前後のものもわずか
に存在したが、200μm以上のものは全く認められなか
たつた。またこの下層ピツチの溶剤抽出分析の結果はO
成分4.5wt%、A成分31.7wt%、B成分26.9wt%、C成
分36.9wt%であつた。
この下層ピツチを実施例1と同じ方法で、紡糸、不融
化、炭化、黒鉛化の処理を行ない、引張強度2.8GPa引張
弾性率220GPaの炭素繊維、引張強度2.1GPa、引張弾性率
430GPaの黒鉛繊維を得た。
実施例4 石油精製工程で副生する、芳香族炭素分率faが0.43の重
質油を、減圧蒸溜して、常圧換算値で450℃以上の沸点
を有するものを主成分とし、芳香族炭素分率faが0.49の
タール状物質となしこれを出発原料として、その6kgを
内容積10.0のステンレス製反応容器に充填し、430℃
で約2時間、窒素ガスを約30/分の流速で反応器内、
液相上に流通し、撹拌しながら熱分解重縮合反応させ
た。その結果残留ピツチは755gr得られ、このピツチ
は、較化点が231℃であり、APの含有率は約45%でAPの
状態は、直径が200μm以上のものはほとんど観られ
ず、直径が100μm以下の真球状のものがほとんどであ
つた。またB成分の含有は43.1wt%、C成分は13.4wt%
含有されていた。このピツを500gr、内容積1の下部
に抜出バルブを有する真ちゆう製容器に入れ、380℃で
2時間、1分間に15回転の速度で撹拌しつつ保持した。
この間窒素ガスは約0.1/分、液相上に流し、酸素が
系内に入らないように保つた。その後下部のバルブを約
350に保温しつつ、開いて、粘稠なピツチを182gr流出し
て得た後、流出するピツチの粘度が急激に変化する迄約
45grのピツチを抜出しその後、さらに粘度の低い残余の
ピツチ262grを流出させた。最初に抜出した182grのピツ
チを下層ピツチ、中間に抜出した45grのピツチを境界層
ピツチ、最後に抜出した残余を上層ピツチと呼ぶと、下
層ピツチはAPを約84%含有し、IPは約16%であつて、そ
の状態は大部分が20μm以下の微小球状態であり、50μ
m前後の球状体もわずか散在するが、200μm以上のも
のはみられなかつた。またその軟化点は255℃であり、
溶剤分析組成はO成分が6.2wt%、A成分は29.0wt%、
B成分は28.0wt%、C成分は36.8wt%であつた。このピ
ツチをAピツチとする。一方、上層ピツチは、APを、直
径が50μm以下の球状で約25%含有する形態のものであ
つてその軟化点は216℃、溶剤分析組成はO成分が8.9wt
%、A成分が25.3wt%、B成分が59.5wt%、C成分が6.
2wt%のものであつた。次に、この上層ピツチを、内容
積500mlのステンレス反応容器に200gr充填し、400℃で
2時間、再度加熱撹拌し、この間窒素を2/分の流速
で液相上へ流して反応させた。
その結果、軟化点が225℃で、APを約55%含有し、その
状態は直径100μm以下の直球状体を多く含み、100〜20
0μmのものもみられるが300μm以上のものはほとんど
みられなかつた。またB成分を50.6wt%に対し、C成分
を13.4wt%含有するピツチが得られた。その収率はこの
反応の充填量に対して82wt%であつた。
次に、このピツチを実施例1と同じ方法で、300mlガラ
ス型容器中で380℃で2時間撹拌せずに保持し、上層と
下層に分離した。この下層ピツチの収率は37wt%であつ
た。そのAP含有量は97%で、IPの状態は約1〜10μmの
球体が分散してAP中にあつて、50μm以上の球体のIPは
認められなかつた。
また、この下層ピツチの軟化点は257であつて、O成分
を6.3wt%、A成分を39.3wt%、B成分を22.1wt%、C
成分を32.3wt%含有するピツチであつた。このピツチを
Bピツチとする。上述のように1段目の熱反応と沈積分
離で得られたAピツチと、上層ピツチの再循環熱反応と
分離で得られたBピツチを、実施例1と同じ方法で、紡
糸、不融化、炭化の処理を行なつて評価した結果を第2
表に示した。
実施例5 実施例4の熱分解重縮合反応の際に生成しトラツプされ
た分解留出油を減圧蒸溜し、常圧に換算した沸点が約35
0℃以上としたもの700grを内容積1のステンレス製オ
ートクレーブに封入充填し、430℃で3時間熱分解重縮
合させた。この間、リークバルブより熱分解ガスを抜き
つつ圧力を約5kg/cm2に保つた。反応終了後、残留液689
grを内容積1の蒸溜釜へ移し、窒素ガスを流量6/
分で流しつつ、380℃に保つて約5時間ストリツピング
を行ない約157grのピツチが得られた。このピツチはC
成分を1.9%含有し、B成分を56.5%含有する軟化点247
℃のピツチであり、このピツチの研磨面を偏光顕微鏡で
測定すると、直径が約200μm以下のAP球体が約30%含
有されるものであつた。このピツチを300mlガラス製容
器中で実施例1と同じ方法で380℃で2時間静置して、
上層と下層に分離することができ下層を調べると、IPが
約5%含有される光学的異方性ピツチでありそのIPはほ
とんど全てが10μm以下であつた。また、この下層ピツ
チの軟化点は272℃であり、溶剤分別組成はO成分、A
成分、B成分、C成分それぞれが9.0、24.7、36.4、29.
9wt%であつた。この下層ピツチをCピツチとする。
実施例1と同じ方法で紡糸、不融化、炭化迄をして評価
した結果を第2表に示した。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の光学的異方性炭素質ピツチの研磨面
の反射型偏光顕微鏡直交ニコル条件で撮影した倍率50×
の写真である。 第2図は倍率200×とした反射型偏光顕微鏡写真であ
る。 第3図は倍率400×とした反射型偏光顕微鏡写真であ
る。 第4図は倍率800×とした反射型偏光顕微鏡写真であ
る。 黒い線条は研磨きずであり黒い円又はだ円形がIPの微小
球体である。大部分のIP球が径5μm以下にあることが
測定できる。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(イ) 大部分が連続した光学的異方性相
    からなり、 (ロ) 該光学的異方性相中に直径が1〜100μmの光
    学的等方性相の球状体を分散含有しており、その含有率
    はピッチ全体の1〜20%であり、直径が200μm以上の
    光学的等方性相球状体を実質上含有せず、 (ハ) (i) n−ヘプタン不溶でベンゼン可溶な成
    分がピッチ全体の15重量%〜40重量%であり、 (ii) n−ヘプタン可溶成分がピッチ全体の5重量%
    〜15重量%であり、 (iii) ベンゼンに不溶であるがキノリンに可溶な成
    分がピッチ全体の20重量%〜50重量%であり、 (iv) キノリンに不溶な成分が0〜60重量%であり、 (ニ) 350℃における粘度が10〜200ポアズの範囲にあ
    り、かつ 380℃における粘度が2〜50ポアズの範囲にあり、 (ホ) 炭素と水素の原子数比C/Hが1.6〜2.0であり、 (ヘ) さらに軟化点が230℃〜320℃である ことを特徴とする、実質上均質な光学的異方性炭素質ピ
    ッチ。
  2. 【請求項2】光学的等方性相の球状体の含有率がピッチ
    全体の10%以下である特許請求の範囲第(1)項記載の
    光学的異方性炭素質ピッチ。
  3. 【請求項3】軟化点が240〜290℃の範囲にある特許請求
    の範囲第(1)項記載の光学的異方性炭素質ピッチ。
  4. 【請求項4】20〜70%の光学的異方性相を光学的等方性
    相母相中に含有しかつキノリン不溶成分がピッチ全体の
    25重量%以下、ベンゼンに不溶であるがキノリンに可溶
    な成分がピッチ全体の25重量%以上であり、さらに軟化
    点が250℃以下である原料炭素質ピッチを、溶融状態
    で、その中の光学的異方性相球状体が合体して下方に沈
    降しただし分解、重縮合反応の生起しないような温度と
    滞留時間の条件下に於いて光学的異方性相の大部分を下
    方へ沈積合体せしめ、ついで上部の光学的異方性相の濃
    度の小さい部分を分離除去することを特徴とする光学的
    異方性炭素質ピッチの製造方法。
  5. 【請求項5】原料炭素質ピッチは、光学的異方性部分が
    30〜50%で光学的等方性相母相中に含有されキノリン不
    溶成分が20重量%以下、ベンゼンに不溶であるがキノリ
    ンに可溶な成分が30〜65重量%である特許請求の範囲第
    (4)項記載の光学的異方性炭素質ピッチの製造方法。
  6. 【請求項6】沈積合体工程が350〜430℃の温度で行なわ
    れる特許請求の範囲第(5)項記載の光学的異方性炭素
    質ピッチ製造方法。
  7. 【請求項7】沈積合体工程が360〜390℃の範囲内の温度
    で行なわれる特許請求の範囲第(4)項記載の光学的異
    方性炭素質ピッチ製造方法。
  8. 【請求項8】沈積合体工程は無撹拌又はゆっくりした撹
    拌のもとで、光学的異方性相の沈積合体を妨げるような
    不必要な流動のない状態であり、使用温度に対応し5分
    〜4時間の滞留時間である特許請求の範囲第(4)項記
    載の光学的異方性炭素質ピッチ製造方法。
  9. 【請求項9】原料炭素質ピッチは、炭素質重質油原料を
    380〜460℃の範囲内の温度を用い、不活性ガスの流通下
    に脱揮しつつ熱反応を行なわしめてうる特許請求の範囲
    第(4)項記載の光学的異方性炭素質ピッチ製造方法。
  10. 【請求項10】原料炭素質ピッチは、炭素質重質油原料
    を380〜460℃の範囲内の温度を用い、常圧、または加圧
    下で熱反応を行なわしめ、その後減圧蒸留または不活性
    ガスの流通下で、分解生成物等低分子量物を除去するこ
    とによりうる特許請求の範囲第(4)項記載の光学的異
    方性炭素質ピッチ製造方法。
  11. 【請求項11】分離して取出した上部を再循環して使用
    する特許請求の範囲第(4)項記載の光学的異方性炭素
    質ピッチ製造方法。
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