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JPH069378A - 経皮吸収性製剤の製法 - Google Patents

経皮吸収性製剤の製法

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Publication number
JPH069378A
JPH069378A JP5100425A JP10042593A JPH069378A JP H069378 A JPH069378 A JP H069378A JP 5100425 A JP5100425 A JP 5100425A JP 10042593 A JP10042593 A JP 10042593A JP H069378 A JPH069378 A JP H069378A
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JP
Japan
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drug
polymer
adhesive layer
percutaneously absorbable
saturated solubility
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JP5100425A
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English (en)
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JP2587365B2 (ja
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Saburo Otsuka
三郎 大塚
Yusuke Ito
祐輔 伊藤
Shoichi Tokuda
祥一 徳田
Takashi Kinoshita
隆士 木之下
Keisuke Shibata
圭介 柴田
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Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
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Publication date
Priority to JP59042641A priority Critical patent/JPS60185713A/ja
Application filed by Nitto Denko Corp filed Critical Nitto Denko Corp
Priority to JP5100425A priority patent/JP2587365B2/ja
Publication of JPH069378A publication Critical patent/JPH069378A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 皮膚面に特に他の補助手段を用いることなく
貼り着けることができる貼着層を持つ経皮吸収性製剤を
経済的に製造できる方法を提供することである。 【構成】 常温で感圧接着性である高分子系重合体と経
皮吸収性薬物とを溶解した貼着用溶液を剥離性フィルム
上に塗布乾燥して貼着層を形成する工程、皮膚面に対し
て追従性を有し実質的に経皮吸収性薬物非移行性の担持
体面に前記貼着層を転着する工程、重合体に対する飽和
溶解度以上の含有薬物を貼着層内で再結晶させて該重合
体中に分散させる工程を含む経皮吸収性製剤の製法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は経皮吸収性製剤の製法に
関するものである。更に詳しく言えば、本発明は経皮吸
収性薬物の保持材料としての常温で感圧接着性である高
分子系重合体中に、該重合体に対する飽和溶解度以上の
前記薬物を再結晶状態で含有する、皮膚面に特に他の補
助手段を用いることなく貼り付けることができる貼着層
を持つ経皮吸収性製剤を経済的に製造できる方法を提供
するものである。
【0002】
【従来の技術】経皮吸収性薬物を皮膚を通過させて投与
するための特許は数多く提案されている。最も一般的な
特許は、柔軟な担持体の一方の表面に、天然ゴム、合成
ゴム、アクリル系樹脂などからなる常温で感圧接着性で
ある高分子系重合体に経皮吸収性薬物を配合した貼着層
を形成させてなるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これらの特許に開示さ
れている製剤の経皮吸収性薬物の配合量は、一般に広範
囲であるが、実用性のある範囲として(特に実施例にお
いて)記載されている配合量は、各れも高分子系重合体
に対する飽和溶解度以下の量である。これは、単に前記
重合体に対する飽和溶解度以上の経皮吸収性薬物を配合
しても、大きな粒径の結晶粒子状態となり、飽和溶解度
以上の過剰部分が薬理効果に寄与しない即ち経皮吸収さ
れないままで貼着層に残るからである。そのために経皮
吸収量、即ち投与量を増大させる手段として採られてい
る方法は、薬物を溶解させた貼着層の厚みを厚くするか
或いは製剤の寸法を大きくすることであるが、各れも経
済的でないばかりか、使用者に無用の違和感を与えるも
のである。
【0004】一方、近時かかる形態の変形として、薬物
貯蔵層及び該層と溶解度調節膜と組み合せた製剤が提案
されている。貯蔵層は薬物通過性の壁材を持つ袋或いは
マイクロカプセルから構成されている。貯蔵層中の薬物
は、持続的に壁材から放出されて貯蔵層に密接する感圧
接着剤層中を拡散移動し、最終的には製剤が適用された
皮膚面又は粘膜面から連続的に投与される。前記調節膜
は貯蔵層と接着剤層との間に介在させ、薬物の接着剤層
への放出を制御する役目をもつ。これらの製剤は感圧接
着剤の飽和溶解度に関係なく薬物を含有させることがで
きる特徴を有するが、壁材及び調節膜と薬物との組み合
せを選択するのに多大の労力及び費用を要する。
【0005】また、裏引層、薬物貯蔵層、微孔性膜層及
び接触接着層からなる積層タイプの製剤で、該接着層に
非溶解状態の巨大薬物粒子を含有させたものも知られて
いる。この製剤の接着層は、薬物に対する溶解性の低い
不活性液体とポリイソブチレンの如き接着成分と薬物粉
末とを、薬物粉末に対して高剪断力が付与される条件下
で混合して、薬物粒子を懸濁状態にしてから塗設して形
成してなるものである。しかして、薬物粒子を接着成分
中に懸濁してなる液を塗設して形成してなる接着層中の
薬物粒子は、系中に溶解されることなく塗設したもので
あるから接着層中に不均一に分散されることが多く、そ
れによって薬物の適用面への放出性が不均一となる欠点
を有し、さらに接着層形成時薬物の粒径に起因して、均
一な薄い厚みを有する接着層を形成しにくいものであ
る。殊に接着層の厚みを粒径より小さくすることは、粒
子が平滑な接着層面を有する接着層の形成を阻害するた
めに、外観的にまた均一な放出面を持つ製剤という薬理
効果面から望めないものである。
【0006】従って、本発明の第一の目的は、高分子系
重合体に対する飽和溶解度以上の薬物を含有している貼
着層を持つ製剤であって、しかも含有薬物の全部或いは
大部分が薬理効果に寄与する経皮吸収性製剤の製法を提
供することにある。本発明の第二の目的は、高分子系重
合体中に溶解状態から結晶化させた再結晶化状態の薬物
を含有させておくことによって、溶解度調節膜の如き補
助部材を用いることなく、薄く且つ小寸法で多量の薬物
を保持する経皮吸収性製剤の製法を提供することにあ
る。また本発明の第三の目的は、高分子系重合体に対す
る飽和溶解度以上の、即ち過剰の薬物を前記重合体中に
一旦完全に溶解させることによって、均一な薄い貼着層
の形成を可能ならしめると共に、得られた貼着層面は平
滑で且つ薬物の全部或いは大部分が薬理効果に寄与する
経皮吸収性薬物の製法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段・作用】上記課題は、常温
で感圧接着性である高分子系重合体と該重合体に対する
飽和溶解度以上の経皮吸収性薬物(常温で固体)とを良
溶媒の存在下で均一に溶解させてなる貼着用溶液を剥離
性フィルム上に塗布乾燥し貼着層を形成する工程と、皮
膚面に対して追従性を有すると共に実質的に経皮吸収性
薬物非移行性である担持体面に前記貼着層を剥離性フィ
ルムから転着する工程と、前記重合体に対する飽和溶解
度以上の含有薬物を貼着層内で再結晶させて前記重合体
中に分散させる工程とを含む経皮吸収性製剤の製法によ
って解決される。 本発明の“特許請
求の範囲”及び本文中で用いる“再結晶”なる用語は、
常温において固体である経皮吸収性薬物と前記高分子系
重合体とを、両者に対して良溶媒である一種以上の液体
を用いて均一に且つ充分に溶解した混合溶液を製膜化す
ることにより、前記重合体に対する飽和溶解度以上の含
有薬物が前記重合体中に結晶状態で析出して形成された
再溶解可能な結晶を意味するものであり、その形状は用
いる薬物や重合体の種類、薬物の配合量によって多様で
あり、一般的な結晶形状である粒状、樹枝状、針状、ま
たはこれらの微結晶の集合体などが含まれることは云う
までもない。
【0008】本発明の製法によって得られる経皮吸収性
製剤は以下に詳述するように従来品に比して種々の特徴
を有するものであるが、とりわけ貼着層中に、該貼着層
を構成する常温で感圧接着性である高分子系重合体に対
する飽和溶解度以上の常温で固体の経皮吸収性薬物が含
有(約40重量%を超えないことが好ましい)されてい
るにもかかわらず、飽和溶解度以上の過剰の含有薬物が
溶解状態から再結晶して貼着層中に分散され且つ再溶解
することに起因して、良好な持続放出性が得られるとい
うことである。かかる持続放出効果は、一般に考えられ
ているところの、即ち用いる高分子系重合体に対する飽
和溶解度と同等或いはそれ以下の量の薬物を含有させた
ときに高い持続放出性が得られるという一般概念を超え
るものであり、これまでのこの種の製剤及びその類似物
に関する特許或いは刊行物類には全く開示又は示唆され
ていないものである。
【0009】次に本発明を実施するに当って用いられる
構成材料について説明する。担持体は、本発明の経皮吸
収性製剤に自己支持性を付与すると共に、この一方の表
面に形成される貼着層中の経皮吸収性薬物が揮散及び移
行などによって減少するのを防止するなどの機能を果た
すものであって、例えばポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリアクリル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ
ビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ン、ポリアミド、エチレン性共重合体などのプラスチッ
クからなる、柔軟な皮膚面に対して追従性を有するフィ
ルム又はシート、或いはこれらの積層フィルム、ゴム及
び/又は合成樹脂製多孔性フィルム又はシート、不織
布、織布、紙などの繊維フィルム又はシート、金属箔な
ど、及びこれらのフィルム又はシート状物の表面に金属
蒸着したものなどからなる厚み500μm以下、好まし
くは5〜150μmのものが挙げられる。
【0010】常温で感圧接着性である高分子系重合体と
しては、該重合体に対する飽和溶解度以上の量の経皮吸
収性薬物を保持して、皮膚面から経皮投与される薬物を
含有する貼着層を構成するものであって、皮膚に対して
無刺激性で且つ前記薬物と混合したときに該薬物を改質
したりする成分を含むことなく良好な感圧接着特性を有
する、ゴム及び/又は合成樹脂を主体とする単独重合系
及び/又は共重合系の重合体が使用される。かかる重合
体としては、ガラス転移温度が−10〜−70℃の範囲
にあるものが望ましく、−10℃以上の重合体では、重
合体が硬く、重合体中での薬物の拡散移動性が低下し、
その結果薬物の放出性が劣ると共に、製剤の製造時薬物
の重合体への溶解分散性が不充分で、得られた製剤中の
再結晶薬物の再溶解を妨げるので薬物の放出性が不安定
となるため好ましくなく、−70℃以下では、重合体が
柔かく、その結果製剤の経日保形性が劣ると共に、製剤
を皮膚面から剥がすときに、皮膚に物理的な刺激を与え
るばかりか、皮膚面に凝集破壊により重合体が残留する
ので好ましくないものである。
【0011】最も好ましいガラス転移温度は−25〜−
50℃である。−10〜−70℃のガラス転移温度を有
する、常温で感圧接着性を有する高分子系重合体は、ス
チレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体ゴム、
スチレン−ブタジエンゴム、ポリブテンゴム、ポリイソ
プレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、天然ゴム、
合成イソプレンゴムなどに代表されるゴム及び/又はポ
リ(メタ)アクリル、ポリビニルエーテル、ポリウレタ
ン、ポリエステル、ポリアミド、エチレン性共重合体な
どに代表される合成樹脂などから得られるが、これらの
系において重合体のガラス転移温度を調整するために、
例えば粘着付与性樹脂、液状ゴム、軟化剤の如き配合剤
を適量添加してもよいものである。実施に際して望まし
い前記高分子系重合体の一つは、アルキル基の平均炭素
数が4以上のアクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエ
ステルを少なくとも50重量%含むアクリル系共重合物
であって、該共重合物は薬物に対する溶解性が良く且つ
皮膚に対して無刺激性であり、しかも薬物を安定的に保
持するものである。
【0012】前記アクリル系共重合物には、(メタ)ア
クリル酸アルキルエステルとの共重合可能な官能性モノ
マー及び/又はビニルエステルモノマーとの共重合物を
含むものであり、該官能性モノマーは0〜20重量%、
好ましくは0.5〜10重量%の範囲で、前記ビニルエ
ステルモノマーは0〜40重量%、好ましくは5〜30
重量%の範囲で夫々配合される。前記官能性モノマー
は、その添加部数によって共重合物の凝集性を、モノマ
ーの種類によって共重合物の親水性を夫々変化させるこ
とができるものであり、前記ビニルエステルモノマーは
共重合物の薬物溶解性を向上させるものである。前記
(メタ)アクリル酸アルキルエステル、官能性モノマー
及びビニルエステルモノマーとしては、次のものを例示
することができる。
【0013】(メタ)アクリル酸アルキルエステルとし
て、例えば(メタ)アクリル酸n−ブチル、アクリル酸
ヘキシル、アクリル酸2−エチルブチル、アクリル酸イ
ソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、
アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メ
タ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシ
ルなどが、官能性モノマーとして、例えば(メタ)アク
リル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、ア
クリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロ
ピル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)ア
クリル酸エトキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、
(メタ)アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、
(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)ア
クリル酸t−ブチルアミノエチル、アクリロニトリル、
ビニルピロリドン、ビニルイミダゾールなどが、ビニル
エステルモノマーとして、例えば酢酸ビニル、プロピオ
ン酸ビニルなどが挙げられる。
【0014】経皮吸収性薬物は、製剤を皮膚面に貼着し
て適用した際に、経皮的に体内に吸収されるもので、常
温において固体であれば特に制限を受けるものではな
い。かかる経皮吸収性薬物としては、次のものを例示す
ることができる。 イ)コルチコステロイド類;例えばハイドロコーチゾ
ン、プレドニゾロン、ベクロメタゾンプロピオネート、
フルメタゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンア
セトニド、フルオシノロン、フルオシノロンアセトニ
ド、フルオシノロンアセトニドアセテート、プロピオン
酸クロベタゾールなど、 ロ)鎮痛消炎剤;例えばアセトアミノフェン、メフェナ
ム酸、フルフェナム酸、インドメタシン、ジクロフェナ
ック、ジクロフェナックナトリウム、アルクロフェナッ
ク、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、イブプ
ロフェン、フルルビプロフェン、サリチル酸、サリチル
酸メチル、l−メントール、カンファー、スリンダッ
ク、トルメチンナトリウム、ナプロキセン、フェンブフ
ェンなど、 ハ)催眠鎮静剤;例えばフェノバルビタール、アモバル
ビタール、シクロバルビタール、トリアゾラム、ニトラ
ゼパム、ロラゼパム、ハロペリドールなど、 ニ)精神安定剤;例えばフルフェナジン、テオリタジ
ン、ジアゼパム、フルジアゼパム、フルニトラゼパム、
クロルプロマジンなど、
【0015】ホ)抗高血圧剤;例えばクロニジン、塩酸
クロニジン、ピンドロール、プロプラノロール、塩酸プ
ロプラノロール、ブフラノロール、インデノロール、ニ
バジピン、ロフェジキシン、ニプラジロール、ブクモロ
ール、ニフェジピンなど、 ヘ)降圧利尿剤;例えばハイドロサイアザイド、ベンド
ロフルナサイアザイド、シクロベンチアザイドなど、 ト)抗生物質;例えばペニシリン、テトラサイクリン、
オキシテトラサイクリン、硫酸フラジオマイシン、エリ
スロマイシン、クロラムフェニコールなど、 チ)麻酔剤;例えばリドカイン、ベンゾカイン、アミノ
安息香酸エチルなど、
【0016】リ)抗菌性物質;例えば塩化ベンザルコニ
ウム、ニトロフラゾン、ナイスタチン、アセトスルファ
ミン、クロトリマゾールなど、 ヌ)抗真菌物質;例えばペンタマイシン、アムホテリシ
ンB、ピロールニトリン、クロトリマゾールなど、 ル)ビタミン剤;例えばビタミンA、エルゴカルシフェ
ロール、コレカルシフェロール、オクトチアシン、リボ
フラビン酪酸エステルなど、 ヲ)抗てんかん剤;例えばニトラゼパム、メプロパメー
ト、クロナゼパムなど、 ワ)冠血管拡張剤;例えばニトログリコール、イソソル
ビドジナイトレート、エリスリトールテトラナイトレー
ト、ペンタエリスリトールテトラナイトレート、プロパ
チルナイトレートなど、 カ)抗ヒスタミン剤;例えば塩酸ジフェンヒドラミン、
クロルフェニラミン、ジフェニルイミダゾールなど、 ヨ)鎮咳剤;例えばデキストロメトルファン、テルブタ
リン、エフェドリン、塩酸エフェドリン、サルブタモー
ルなど、 タ)性ホルモン;例えばプロゲステロン、エストラジオ
ールなど、 レ)抗鬱剤;例えばドキセピンなど、 ソ)その他;例えば5−フルオロウラシル、ジヒドロエ
ルゴタミン、フェンタニール、デスモプレシン、ジゴキ
シン、メトクロプラミド、ドンペリド、臭化水素酸スコ
ポラミン、プロスタグランディンなど、が挙げられ、こ
れらの薬物は必要に応じて2種類以上併用することが出
来る。
【0017】前記高分子系重合体に対する上記経皮吸収
性薬物の配合量は、一般に約40重量%以下とされる
が、前記重合体に対する薬物の飽和溶解度の1.2倍以
上、好ましくは1.5〜10倍の範囲となるように調整
するのが望ましいものである。1.2倍以下では、貼着
層を構成する前記重合体中における再結晶薬物の分散量
が少なすぎて、目的とする薬物持続放出効果が得られに
くいので好ましくないものである。このように、常温で
感圧接着性である高分子系重合体に、良溶媒の存在下
で、該重合体に対する飽和溶解度以上の常温で固体の経
皮吸収性薬物を配合して均一に溶解することにより、前
記重合体に対する飽和溶解度量の範囲で溶解させた該薬
物と前記重合体中に再結晶状態で分散させてなる再溶解
可能な薬物とからなる貼着層が得られるものであり、該
層は、皮膚面に対して追従性を有すると共に実質的に薬
物非移行性である担持体面に強固に結合固定されるもの
である。貼着層中の再溶解可能な再結晶薬物は、前述の
如く、良溶媒を選択することによって、薬物を溶解状態
から結晶析出させ、常温で固体の経皮吸収性薬物の原粉
末より小さい、15μm以下、好ましくは0.1〜10
μmの範囲の大きさとするものである。
【0018】貼着層の厚みは、5〜500μm、好まし
くは10〜300μmの範囲とされる。5μm以下で
は、皮膚面への適用時の接着性に劣り、500μm以上
では、再結晶薬物の粒径が大きく且つ不均一で、しかも
再結晶薬物が偏在化し、それによって均一な放出性が得
られないので好ましくないものである。本発明の製法に
よって得られる経皮吸収性製剤には次の変形を包含する
ことができる。その一つの変形は、担持体上の貼着層を
部分的、例えば筋状、格子状、波形状などに形成するこ
とであり、かかる面方向への変形には、ガラス転移温度
から異なる高分子系重合体や該重合体に対する薬物の飽
和溶解度の異なる経皮吸収性薬物などを用いてなる貼着
層を、担持体面に交互に或いは海島状などに形成するこ
とが包含され、これらの変形は製剤を皮膚面に適用する
ことによる皮膚気触などを防止すると共に、薬物の放出
速度や量を制御或いは促進することができるものであ
る。
【0019】他の変形は、貼着層中における薬物量を厚
さ方向に変化させてなることである。貼着層を二種以上
の層から形成し、内部に行くに従い低濃度とするか或い
は高濃度とするかは、速効或いは遅効の目的によって使
い別けることができる。しかして、良溶媒の種類、乾燥
条件などを選択し、良溶媒の揮散により外面側の薬物濃
度を高めることによって、前記再結晶薬物及び溶解薬物
の分布状態を担持体層より遠ざかるに従って、即ち外部
に行くに従って高濃度にしておくと、速効型で且つ全部
或いは大部分の薬物が薬理効果に寄与する製剤が得られ
る。前記薬物の分布濃度を例えば担持体側と適用体面と
を赤外線スペクトル(反射法)にて測定すると、濃度勾
配比で約0.7以下である。
【0020】本発明の製法では、酢酸エチル、クロロホ
ルム、四塩化炭素、塩化メチレン、トルエン、キシレ
ン、テトラハイドロフラン、ジオキサン、アセトンなど
の有機溶剤又は該溶剤とメチルアルコール、エチルアル
コールの如きアルコール類との混合物、或いは該混合物
に少量の水を添加した混合物などから選択される、前記
高分子系重合体及び経皮吸収性薬物に対する良溶媒を用
いて、前記重合体及び該重合体に対する飽和溶解度量の
1.2倍以上の薬物を均一に溶解させて、貼着層用の混
合溶液の固形分を10〜35重量%、好ましくは15〜
25重量%に調整し、この混合溶液を乾燥後の厚みが5
〜500μm、好ましくは10〜300μmとなるよう
に、剥離性フィルム上に塗布し、20〜150℃で3〜
30分間乾燥し貼着層を形成する。次いで、この貼着層
を担持体面に転着し、必要に応じて所定時間熟成するこ
とによって、貼着層中に前記重合体に対する飽和溶解度
以上の含有薬物を前記重合体中に再結晶させてなる再溶
解可能な再結晶薬物が分散されてなる経皮吸収性製剤が
得られるものである。
【0021】上記製法において、担持体面に貼着層を転
着したのち加圧したり、転着後冷却状態下で熟成したり
することは、前記再結晶薬物の析出が促進されるもので
ある。塗布乾燥して形成される貼着層は、シリコーン系
或いはフッ素系の如き公知の剥離処理剤を用いて表面被
覆した剥離性フィルム又はその類似物品上に形成され、
担持体面に転着されたのち、用いた剥離性フィルムは使
用直前まで該貼着層面を保護するために貼着層の表面に
仮着される。本発明における前記貼着層には、必須では
ないが、例えば増量、吸収促進、賦形などを目的とし
て、微粉末シリカ、チタン白、炭酸カルシウムの如き充
填剤、多価アルコール類、スルホキシド類、アミド類、
アジペート類、セバケート類、ラウレート類、サリチル
酸、尿素、アラントインの如き公知の吸収促進剤、乳
糖、シクロデキストリン、セルロース系粉末の如き賦形
剤(予め経皮吸収性薬物と混合されて用いられるのが一
般的である。)、その他軟化剤、止痒剤の如き配合剤
を、多くても30重量%を超えない範囲で添加すること
ができる。
【0022】本発明の経皮吸収性製剤の製法は、以下の
実施例にてより具体的に例証されるが、得られる経皮吸
収性製剤は常温で感圧接着性である高分子系重合体から
なる貼着層中に、該重合体に対する飽和溶解度の範囲で
溶解された薬物と溶解状態から再結晶し分散された再溶
解可能な再結晶薬物とを含むものであるから、単位面積
当りの薬物が多く、しかも該再結晶薬物は、貼着層中の
溶解薬物が経皮吸収されて減少して行くにつれて順次貼
着層を構成する前記重合体に再溶解してから経皮吸収さ
れて行くので、持続性にすぐれるという特徴を有するも
のである。また、本発明の製法においては、経皮吸収性
薬物を高分子系重合体と共に良溶媒を用いて完全に均一
溶解させてから剥離性フィルム上に塗設し、そののち担
持体面に転着するものであるから、塗設時実質的に制限
なく、薄い均一な厚みの塗布ができ、従って得られる製
剤の外観も良好で、安定な放出作用が得られるものであ
る。さらに該製法によれば、溶媒を選択することによっ
て、高分子系重合体に対する薬物の飽和溶解度量に実質
的に制限を受けることなく、持続性にすぐれる経皮吸収
性製剤を作ることができるものである。
【0023】
【実施例】以下、実施例および参考例を示す。文中部と
あるのは重量部を意味するものとする。アクリル酸ノニ
ル60部とアクリル酸エトキシエチル20部、酢酸ビニ
ル20部とを4つ口セパラブルフラスコに仕込み、さら
に酢酸エチル42.9部及び重合開始剤としてのアゾビ
スイソブチロニトリルを0.2部添加し、窒素雰囲気下
で60℃に昇温して反応を開始し酢酸エチル107.1
部を分割添加しつつ、反応温度を60〜62℃で7時間
重合する。そして、昇温して3時間熟成して、重合率9
9.3%、ベース30重量%で285ポイズ(at30
℃)の高分子系重合体溶液を得る。この溶液の固形分9
0部に対して、両者に良溶媒のクロロホルム50部に1
0部のピンドロール(重合体に対する飽和溶解度は約4
重量%である)を均一に溶解した溶液を混合し、貼着層
用の混合溶液を得る。この混合溶液を耐熱性の剥離性フ
ィルムに乾燥後の厚みが40μmとなるように塗布して
乾燥条件を100℃で5分間に設定して乾燥し、これを
ポリエチレンとエチレン−酢酸ビニル共重合体とからな
る二層フィルムの共重合体面に貼り合せて圧着し、室温
で13日間熟成して、平均粒径が約3μmの再結晶微粒
子を有する経皮吸収性製剤を得た。
【0024】参考例 実施例の高分子系重合体溶液を固形分が60重量%にな
るように濃縮し、この濃縮溶液の固形分90部に対し
て、ピンドロールに対して貧溶媒であるヘプタン100
部にピンドロール10部を均一に分散してなる分散液を
混合してニーダーで1時間混合し、以下実施例と同様の
操作で経皮吸収性製剤を作成したところ、貼着層中の薬
物粒子は平均粒径が約28μmの巨大粒子であった。表
1に実施例および参考例で得た製剤の特性結果を示す。
【0025】
【表1】
【0026】表1中の測定方法 水中放出率:各試料片(4×4cm角)を30℃の水5
00mlに浸漬、振とうし、3時間後に水1mlをサン
プリングしてその薬物含有液を高速液体クロマトグラフ
ィー(UV検出)により測定し、初期薬物含有量を10
0%とした時の放出率を求めた。 血中濃度:各試料片(6cmφ)を予め除毛したウサギ
の背部に貼り付け、1時間、8時間及び24時間後に夫
々血液を抜き取り、ガスクロマトグラフィー装置を用い
て薬物の血中濃度を測定した。 濃度勾配比:貼着層の担持体側と剥離性フィルム側との
表面赤外線スペクトルを反射法にて測定して、各々の薬
物の特異ピークの強度を求め、下式にて計算した(値が
1に近い程濃度差がない)。 濃度勾配比=担持体側の薬物の特異ピークの高さ/剥離
性フィルム側の薬物の特異ピークの高さ
【0027】
【発明の効果】本発明方法によれば、薄い均一な厚みの
貼着層を形成することができ、良好な外観を有し、安定
な放出作用があり、持続性に優れた経皮吸収性製剤が得
られるという効果が奏される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木之下 隆士 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 柴田 圭介 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 常温で感圧接着性である高分子系重合体
    と該重合体に対する飽和溶解度以上の経皮吸収性薬物
    (常温で固体)とを良溶媒の存在下で均一に溶解させて
    なる貼着用溶液を剥離性フィルム上に塗布乾燥し貼着層
    を形成する工程と、皮膚面に対して追従性を有すると共
    に実質的に経皮吸収性薬物非移行性である担持体面に前
    記貼着層を剥離性フィルムから転着する工程と、前記重
    合体に対する飽和溶解度以上の含有薬物を貼着層内で再
    結晶させて前記重合体中に分散させる工程とを含む経皮
    吸収性製剤の製法。
  2. 【請求項2】 前記重合体への経皮吸収性薬物の配合量
    が前記重合体に対する飽和溶解度の1.2倍以上である
    請求項1記載の経皮吸収性製剤の製法。
  3. 【請求項3】 貼着層用溶液の固形分が10〜35重量
    %である請求項1記載の経皮吸収性製剤の製法。
  4. 【請求項4】 再結晶した薬物の平均粒径が15μm以
    下である請求項1記載の経皮吸収性製剤の製法。
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