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JPH0688159A - 希土類磁石並びに希土類磁石合金粉末とその製造方法 - Google Patents

希土類磁石並びに希土類磁石合金粉末とその製造方法

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Publication number
JPH0688159A
JPH0688159A JP5085290A JP8529093A JPH0688159A JP H0688159 A JPH0688159 A JP H0688159A JP 5085290 A JP5085290 A JP 5085290A JP 8529093 A JP8529093 A JP 8529093A JP H0688159 A JPH0688159 A JP H0688159A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rare earth
earth magnet
phase
alloy powder
heat treatment
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Granted
Application number
JP5085290A
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English (en)
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JP2999648B2 (ja
Inventor
Hirokazu Kanekiyo
裕和 金清
Satoru Hirozawa
哲 広沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Proterial Ltd
Original Assignee
Sumitomo Special Metals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=26426306&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JPH0688159(A) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Sumitomo Special Metals Co Ltd filed Critical Sumitomo Special Metals Co Ltd
Priority to JP5085290A priority Critical patent/JP2999648B2/ja
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
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    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/03Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
    • H01F1/032Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials
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    • H01F1/053Alloys characterised by their composition containing rare earth metals
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    • H01F1/057Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 and IIIa elements, e.g. Nd2Fe14B
    • H01F1/0571Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 and IIIa elements, e.g. Nd2Fe14B in the form of particles, e.g. rapid quenched powders or ribbon flakes

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 iHcと(BH)maxを向上させ、5kG
以上の残留磁束密度Brを有し安定した工業生産が可能
なFe3B型Fe−Co−B−R−M系磁石の製造方法
の確立とハードフェライト磁石の代替えとしての高性能
ボンド磁石を安価に提供すること。 【構成】 希土類元素の含有量が少ない特定組成のFe
−Co−B−R(Pr,Nd)−M(Ag,Al,S
i)系合金溶湯を超急冷法にて実質的に90%以上をア
モルファス組織となし、500℃以上から1〜10℃/
分の昇温速度で昇温した後、550〜700℃で30秒
〜6時間保持する熱処理を施して、Fe3B型結晶構造
相を主相として特定量のNd2Fe14B型結晶構造相を
有し、iHc≧3kOe、Br≧8kG、(BH)ma
x≧8MGOeの磁気特性を有する磁石合金粉末を得
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、モーターやアクチュ
エーターなどに最適な希土類焼結磁石やボンド磁石に係
り、希土類元素の含有量が少ない特定組成のFe−Co
−B−R合金溶湯を超急冷法にてアモルファス組織とな
し、特定の熱処理にて微細結晶集合体を得ることによ
り、ハードフェライト磁石では得られなかった5kG以
上の残留磁束密度Brを有するボンド磁石に最適の希土
類磁石合金粉末を得る製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電装品用モーターやアクチュエーターな
どに使用される永久磁石は主にハードフェライト磁石に
限定されていたが、低温でのiHc低下に伴う低温減
磁、セラミックス材質のために機械的強度が低くて割
れ、欠けが発生し易いこと、複雑な形状が得難いことな
どの問題があった。
【0003】今日、自動車は省資源のため車両の軽量化
による燃費の向上が強く要求されており、自動車用電装
品はより一層の小型、軽量化が求められている。また、
自動車用電装品以外の家電用モーターなどの用途におい
ても、性能対重量比を最大にするための設計が検討され
ており、現在のモーター構造では磁石材料としてBrが
5〜7kG程度のものが最適とされている。すなわち、
使用する磁石材料のBrが8kG以上の場合、現在のモ
ーター構造では磁路となる回転子やステーターの鉄板の
断面積を増大させる必要があり、重量の増大を招来する
が、Brが5〜7kGであれば性能対重量比を最大にす
ることができる。
【0004】従って、小型モーター用の磁石材料は磁気
特性的には特に5kG以上の残留磁束密度Brが要求さ
れているが、従来のハードフェライト磁石では得ること
ができない。例えばNd−Fe−B系ボンド磁石ではか
かる磁気特性を満足するが、金属の分離精製や還元反応
に多大の工程並びに大規模な設備を要するNd等を10
〜15at%含有しているため、ハードフェライト磁石
に比較して著しく高価であり、現在のところ大量生産が
可能で安価に提供できるBrが5〜7kG程度の磁石材
料は、見出されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一方、Nd−Fe−B
系磁石において、最近、Nd4Fe7719(at%)近
傍でFe3B型化合物を主相とする磁石材料が提案
(R.Coehoorn等、J.de Phys.、C
8,1988,669〜670頁)された。この磁石材
料はアモルファスリボンを熱処理することにより、Fe
3BとNd2Fe14Bの結晶集合組織を有する準安定構造
であるが、iHcが2〜3kOe程度と高くなく、また
このiHcを得るための熱処理条件が狭く限定され、工
業生産上実用的でない。
【0006】このFe3B型化合物を主相とする磁石材
料に添加元素を加えて多成分化し、性能向上を図った研
究が発表されている。その1つは希土類元素にNdのほ
かにDyとTbを用いてiHcの向上を図るものである
が、高価な元素を添加する問題のほか、添加希土類元素
はその磁気モーメントがNdやFeの磁気モーメントと
反平行して結合するため磁化が減少する問題がある
(R.Coehoorn、J.Magn,Magn,M
at、83(1990)228〜230頁)。
【0007】他の研究(Shen Bao−genら、
J.Magn,Magn,Mat、89(1991)3
35〜340頁)として、 Feの一部をCoにて置換
してキュリー温度を上昇させ、iHcの温度係数を改善
するものであるが、Coの添加にともないBrを低下さ
せる問題がある。
【0008】いずれにしてもFe3B型Nd−Fe−B
系磁石は、超急冷法によりアモルファス化した後、熱処
理してハード磁石材料化できるが、iHcが低く、かつ
前記熱処理条件が苛酷であり、添加元素にて高iHc化
を図ると磁気エネルギー積が低下するなど、安定した工
業生産ができず、ハードフェライト磁石の代替えとして
安価に提供することができない。
【0009】また、Nd−Fe−B系合金をアモルファ
ス化するためには、超急冷時のロール周速度を著しく速
くする必要があり、製品の回収率や歩留りが低下する問
題があり、さらにFe基合金であることから、保存時の
腐食が進行し易く、長期間の保存により初期の磁気特性
が維持できずに劣化する問題があった。
【0010】この発明は、Fe3B型Fe−B−R系磁
石(Rは希土類元素)に着目して、iHcと(BH)m
axを向上させ、安定した工業生産が可能な製造方法の
確立と、5kG以上の残留磁束密度Brを有しハードフ
ェライト磁石の代替えとして安価に提供できるFe3
型Nd−Fe−B系磁石を目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明は、Fe3B型
系Fe−B−R磁石のiHcと(BH)maxを向上さ
せ、安定した工業生産が可能な製造方法を目的に種々検
討した結果、希土類元素の含有量が少なく、Co及びA
g、Al、Siの少なくとも1種を少量添加した鉄基の
特定組成の合金溶湯を超急冷法にてアモルファス組織と
なし、特定の昇温速度による熱処理にて微細結晶集合体
を得ることにより、ハードフェライト磁石では得られな
かった5kG以上の残留磁束密度Brを有するボンド磁
石に最適の希土類磁石合金粉末が得られることを知見
し、この発明を完成した。
【0012】この発明は、組成式をFe100-x-y-zCox
yzw (但しRはPrまたはNdの1種または2
種、MはAg、AlまたはSiの1種または2種以上)
と表し、組成範囲を限定する記号x、y、z、wが下記
値を満足し、Fe3B型化合物を主相とし、Nd2Fe14
B型結晶構造を有する強磁性相を有し、平均結晶粒径が
0.01〜0.1μmの微細結晶集合体からなることを
特徴とする希土類磁石である。 0.05≦x≦15at% 16≦y≦22at% 3≦z≦5.5at% 0.1≦w≦3at%
【0013】また、この発明は、組成式をFe
100-x-y-zCoxyzw (但しRはPrまたはNd
の1種または2種、MはAg、AlまたはSiの1種ま
たは2種以上)と表し、組成範囲を限定する記号x、
y、z、wが上述の値を満足し、Fe3B型化合物を主
相とし、Nd2Fe14B型結晶構造を有する強磁性相を
有し、平均結晶粒径が0.01〜0.1μmの微細結晶
集合体からなり、平均粒径が3〜500μm、磁気特性
がiHc≧3kOe、Br≧8kG、(BH)max≧
8MGOeであることを特徴とする希土類磁石合金粉末
である。
【0014】また、この発明は、(1)組成式をFe
100-x-y-zCoxyzw (但しRはPrまたはNd
の1種または2種、MはAg、AlまたはSiの1種ま
たは2種以上)と表し、組成範囲を限定する記号x、
y、z、wが上述の値を満足する合金溶湯を超急冷法に
て実質的に90%以上をアモルファス組織となし、
(2)さらに熱処理に際し500℃からの昇温速度を1
〜15℃/分で昇温して550〜700℃で30秒〜6
時間保持する熱処理を施し、(3)Fe3B型化合物を
主相とし、Nd2Fe14B型結晶構造を有する強磁性相
を有し、平均結晶粒径が0.01〜0.1μmの微細結
晶集合体を得たのち、(4)これを粉砕して磁石合金粉
末を得ることを特徴とする希土類磁石合金粉末の製造方
法である。
【0015】
【作用】この発明は、希土類元素の含有量が少ない特定
組成のFe−Co−B−R−M系合金溶湯を超急冷法に
て実質的に90%以上をアモルファス組織となすと、特
定量のCoを含有するためアモルファス薄帯の回収率が
著しく向上し、さらに得られたフレーク、リボンを50
0℃以上から1〜15℃/分の昇温速度で昇温した後、
550〜700℃で30秒〜6時間保持する熱処理を施
すことにより、平均結晶粒径が0.01〜0.1μmの
微細結晶集合体となり、主相のFe3B型化合物相のほ
か、Nd2Fe14B型結晶構造相を有する強磁性相の量
比が増大し、α−Fe相が減少し、Ag、Al、Siを
含有するためCoを含有してもBrの低下がなく、さら
に減磁曲線の角型性が改善されることにより、iHc≧
3kOe、Br≧8kG、(BH)max≧8MGOe
の磁気特性が得られ、さらにこれを粉砕して磁石合金粉
末化することによって、5kG以上の残留磁束密度Br
を有するボンド磁石に最適のFe−Co−B−R−M系
磁石合金粉末を得ることができ、また焼結磁石化するこ
とにより従来のアルニコ系磁石と同等以上の磁気特性を
得ることができる。
【0016】組成の限定理由 希土類元素RはPrまたはNdの1種また2種を特定量
含有のときのみ、高い磁気特性が得られ、他の希土類、
例えばCe、LaではiHcが2kOe以上の特性が得
られず、またSm以降の中希土類元素、重希土類元素は
磁気特性の劣化を招来するとともに磁石を高価格にする
ため好ましくない。Rは、3at%未満では2kOe以
上のiHcが得られず、また6at%を超えるとFe3
B相が生成せず、硬磁性を示さない準安定相のR2Fe
233相が折出しiHcは著しく低下するので好ましく
ないため、3〜5.5at%の範囲とする。
【0017】Bは、16at%未満および22at%を
超えると2kOe以上のiHcが得られないため、16
〜22at%の範囲とする。
【0018】Coは、iHc及び減磁曲線の角型性の向
上改善に有効であるが、0.05at%未満ではかかる
効果が得られず、15at%を超えるとiHcは著しく
低下し、2kOe以上のiHcが得られないため、0.
05〜15at%の範囲とする。
【0019】Ag、Al、Siは熱処理温度範囲を拡大
して減磁曲線の角型性を改善し、磁気特性のBr、(B
H)maxを増大させる効果を有し、かかる効果を得る
には少なくとも0.1at%以上の添加が必要である
が、3at%を超えるとかえって角型性を劣化させ、
(BH)maxも低下するため、0.1〜3at%の範
囲とする。
【0020】Feは、上述の元素の含有残余を占める。
【0021】製造条件の限定理由 この発明において、上述の特定組成の合金溶湯を超急冷
法にてアモルファスとなし、500℃以上から1〜15
℃/分の昇温速度で昇温した後、550〜700℃で3
0秒〜6時間保持する熱処理を施すことにより、熱力学
的には準安定相であるFe3B型化合物とNd2Fe14
型結晶構造を有する強磁性相を有し、平均結晶粒径が
0.01〜0.1μmの微細結晶集合体として得ること
が最も重要であり、合金溶湯の超急冷処理には公知の回
転ロールを用いた超急冷法を採用することができるが、
実質的に90%以上をアモルファスとなす必要がある。
例えばCu製ロールを用いる場合は、そのロール表面周
速度が10〜50m/秒の範囲が好適な組織が得られる
ため好ましい。すなわち周速度が10m/秒未満ではア
モルファスとならずα−Fe相の析出量が増大して好ま
しくなく、ロール表面周速度が50m/秒を超えると、
急冷された合金が連続的なリボンとして生成せず、合金
片が飛散し、装置から合金を回収する際の回収率や回収
能率が低下して好ましくない。ただし、微量のα−Fe
相が急冷薄帯中に存在しても特性を著しく低下させるも
のでなく許容される。
【0022】この発明において、上述の特定組成の合金
溶湯を超急冷法にてアモルファスとなした後、磁気特性
が最高となる熱処理は組成に依存するが、熱処理温度が
550℃未満ではアモルファス相のままで2kOe以上
のiHcが得られず、また700℃を超えると熱平衡相
であるα−Fe相とFe2BまたはNd1.1Fe44相が
生成してiHcが発源しないため、熱処理温度は550
〜700℃に限定する。熱処理雰囲気はArガス中など
の不活性ガス雰囲気が好ましい。
【0023】熱処理時間は短くてもよいが、30秒未満
では十分なミクロ組織の生成が行われず、iHc及び減
磁曲線の角型性が劣化し、また6時間を超えると2kO
e以上のiHcが得られないので、熱処理保持時間を3
0秒〜6時間に限定する。
【0024】この発明において重要な特徴として、熱処
理に際して500℃以上からの昇温速度があり、1℃/
分未満の昇温速度では、昇温中にNd2Fe14B相とF
3B相の結晶粒径が大きく成長しすぎてiHcが劣化
し、2kOe以上のiHcが得られない。また、15℃
/分を超える昇温速度では、500℃を通過してから生
成するNd2Fe14B相の析出が十分に行われず、α−
Fe相の析出量が増大して、磁化曲線の第2象限にBr
点近傍に磁化の低下のある減磁曲線となり、(BH)m
axが劣化するため好ましくない。ただし、微量のα−
Fe相の存在は許容できる。なお、熱処理に際して50
0℃未満までは急速加熱などその昇温速度は任意であ
る。
【0025】結晶構造 この発明による希土類磁石並びに希土類磁石合金粉末の
結晶相は、Fe3B型化合物を主相とし、Nd2Fe14
型結晶構造を有する強磁性相を有し、平均結晶粒径が
0.01〜0.1μmの微細結晶集合体からなることを
特徴としている。
【0026】この発明において、磁石合金の平均結晶粒
径が0.1μmを超えると、減磁曲線の角型性が著しく
劣化し、Br≧7kG、(BH)max≧8MGOeの
磁気特性を得ることができない。また、平均結晶粒径は
細かいほど好ましいが、0.01μm未満の平均結晶粒
径を得ることは工業生産上困難であるため、下限を0.
01μmとする。
【0027】磁石化方法 特定組成の合金溶湯を超急冷法にてアモルファスとな
し、500℃以上からの昇温速度を1〜10℃/分で昇
温した後、550〜700℃で30秒〜6時間保持する
熱処理を施すことにより、平均結晶粒径が0.01〜
0.1μmの微細結晶集合体として得たこの発明による
希土類磁石合金粉末を用いて磁石化するには、700℃
以下で固化、圧密化できる公知の焼結磁石化方法並びに
ボンド磁石化方法の何れも採用することができ、特に、
当該合金を平均粒径が3〜500μmの合金粉末に粉砕
したのち、公知のバインダーと混合して所要のボンド磁
石となすことにより、5kG以上の残留磁束密度Brを
有するボンド磁石を得ることができる。
【0028】
【実施例】
実施例1 表1のNo.1〜5の組成となるように、純度99.5
%以上のFe、Co、B、Nd、Pr、Ag、Al、S
iの金属を用いて、総量が30grとなるように秤量
し、底部に直径0.8mmのオリフィスを有する石英る
つぼ内に投入し、圧力56cmHgのAr雰囲気中で高
周波加熱により溶解し、溶解温度を1400℃にした
後、湯面をArガスにより加圧して室温にてロール周速
度20m/秒にて高速回転するCu製ロールの外周面に
0.7mmの高さから溶湯を噴出させて、幅2〜3m
m、厚み30〜40μmの超急冷薄帯を作製した。得ら
れた超急冷薄帯をCuKαの特性X線によりアモルファ
スであることを確認した。
【0029】この超急冷薄帯をArガス中で500℃ま
で急速加熱した後、500℃以上を表1に示す昇温速度
で昇温し、表1に示す熱処理温度で10分間保持し、そ
の後室温まで冷却して薄帯を取り出し、幅2〜3mm、
厚み30〜40μm、長さ3〜5mmの試料を作製し、
VSHを用いて磁気特性を測定した。測定結果を表2に
示す。なお、試料の測定結果は、正方晶と斜方晶が混在
するFe3B相が主相で、Nd2Fe14B相とα−Fe相
が混在する多相組織であり、平均結晶粒径はいずれも
0.1μm以下であった。なお、Coはこれらの各相で
Feの一部を置換するが、Ag、Al、Siについては
添加量が少ない上、超微細結晶であるため分析不能であ
った。
【0030】比較例 実施例1と同条件で得られた実施例1の組成No.2の
超急冷薄帯をArガス中で500℃まで急速加熱した
後、500℃以上を11℃/分で昇温し、680℃で1
0分間保持する熱処理を施し、冷却後に実施例1と同条
件で試料化(比較例No.9)してVSMを用いて磁気
特性を測定した。測定結果を表2に示す。
【0031】実施例1と同条件で得られた実施例1の組
成No.2の超急冷薄帯をArガス中で500℃まで急
速加熱した後、比較例No.10は500℃で10分間
保持する熱処理を施し、比較例No.11は500℃以
上を4℃/分で昇温し、750℃で10分間保持する熱
処理を施し、冷却後に実施例1と同条件で試料化してV
SMを用いて磁気特性を測定した。測定結果を表2に示
す。比較例No.10はアモルファス組織、同No.1
1はFe2B相とα−Fe相が混在する多相組織であっ
た。
【0032】実施例1の組成No.2と同様組成で、S
iを含有しない比較例No.9を、組成No.2と同条
件で製造しかつ試料化してVSHを用いて磁気特性を測
定した。測定結果を表2に示す。
【0033】実施例2 実施例1で得られた表1の組成No.4の超急冷薄帯
を、表1の熱処理後に平均粒径150μm以下に粉砕
し、エポキシ樹脂なるバインダーを2wt%の割合で混
合したのち、15mm×15mm×7mm寸法のボンド
磁石を作成した。得られたボンド磁石の磁気特性は、i
Hc=3.5kOe、Br=7.0kG、(BH)ma
x=5.5MGOeであった。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【発明の効果】この発明は、特定組成のFe−Co−B
−R−M系合金溶湯を超急冷法にてアモルファス組織と
なし、これに特定条件の熱処理を施すことにより、平均
結晶粒径が0.01〜0.1μmの微細結晶集合体とな
り、主相のFe3B型化合物相のほか、Nd2Fe14B型
結晶構造相の量比が増大し、α−Fe相が減少すること
により、永久磁石薄帯となり、さらにこれを粉砕して磁
石合金粉末化することによって、iHc≧3kOe、B
r≧8kG、(BH)max≧8MGOeの磁気特性が
得られ、8kG以上の残留磁束密度Brを有するボンド
磁石に最適のFe−Co−B−R−M系磁石合金粉末を
得ることができ、また焼結磁石化することにより従来の
アルニコ系磁石と同等以上の磁気特性を得ることができ
る。また、この発明は、希土類元素の含有量が少なく、
製造方法が簡単で大量生産に適しているため、8kG以
上の残留磁束密度Brを有し、ハードフェライト磁石を
超える磁気的性能を有し、磁気部品と磁石体との一体成
型を採用することによって工程を短縮することができ、
焼結ハードフェライトを凌ぐ性能対コスト比を実現し得
るボンド磁石を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01F 1/08 B

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組成式をFe100-x-y-zCoxyzw
    (但しRはPrまたはNdの1種または2種、MはA
    g、AlまたはSiの1種または2種以上)と表し、組
    成範囲を限定する記号x、y、z、wが下記値を満足
    し、Fe3B型化合物を主相とし、Nd2Fe14B型結晶
    構造を有する強磁性相を有し、平均結晶粒径が0.01
    〜0.1μmの微細結晶集合体からなることを特徴とす
    る希土類磁石。 0.05≦x≦15at% 16≦y≦22at% 3≦z≦5.5at% 0.1≦w≦3at%
  2. 【請求項2】 組成式をFe100-x-y-zCoxyzw
    (但しRはPrまたはNdの1種または2種、MはA
    g、AlまたはSiの1種または2種以上)と表し、組
    成範囲を限定する記号x、y、z、wが下記値を満足
    し、Fe3B型化合物を主相とし、Nd2Fe14B型結晶
    構造を有する強磁性相を有し、平均結晶粒径が0.01
    〜0.1μmの微細結晶集合体からなり、平均粒径が3
    〜500μm、磁気特性がiHc≧3kOe、Br≧8
    kG、(BH)max≧8MGOeであることを特徴と
    する希土類磁石合金粉末。 0.05≦x≦15at% 16≦y≦22at% 3≦z≦5.5at% 0.1≦w≦3at%
  3. 【請求項3】 組成式をFe100-x-y-zCoxyzw
    (但しRはPrまたはNdの1種または2種、MはA
    g、AlまたはSiの1種または2種以上)と表し、組
    成範囲を限定する記号x、y、z、wが下記値を満足す
    る合金溶湯を超急冷法にて実質的に90%以上をアモル
    ファス組織となし、さらに熱処理に際し500℃からの
    昇温速度を1〜15℃/分で昇温して550〜700℃
    で30秒〜6時間保持する熱処理を施し、Fe3B型化
    合物を主相とし、Nd2Fe14B型結晶構造を有する強
    磁性相を有し、平均結晶粒径が0.01〜0.1μmの
    微細結晶集合体を得たのち、これを粉砕して磁石合金粉
    末を得ることを特徴とする希土類磁石合金粉末の製造方
    法。 0.05≦x≦15at% 16≦y≦22at% 3≦z≦5.5at% 0.1≦w≦3at%
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