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JPH0665791A - 塗膜形成方法 - Google Patents

塗膜形成方法

Info

Publication number
JPH0665791A
JPH0665791A JP24123592A JP24123592A JPH0665791A JP H0665791 A JPH0665791 A JP H0665791A JP 24123592 A JP24123592 A JP 24123592A JP 24123592 A JP24123592 A JP 24123592A JP H0665791 A JPH0665791 A JP H0665791A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating film
resin
group
coating
parts
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP24123592A
Other languages
English (en)
Inventor
Eisaku Nakatani
栄作 中谷
Naoyuki Yoshikawa
直幸 吉川
Yasuyuki Hirata
靖之 平田
Teiji Katayama
禎二 片山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kansai Paint Co Ltd
Original Assignee
Kansai Paint Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kansai Paint Co Ltd filed Critical Kansai Paint Co Ltd
Priority to JP24123592A priority Critical patent/JPH0665791A/ja
Publication of JPH0665791A publication Critical patent/JPH0665791A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 カチオン電着塗料を塗装してなる未硬化塗膜
面に、耐チッピングプライマーを塗装し、さらに中塗り
塗料又は上塗り塗料を塗装し、該3層塗膜を同時に硬化
させて複層塗膜を形成する方法であって、該カチオン電
着塗料が、水分を除去した電着塗膜の加熱硬化時におけ
る塗膜減量が10重量%以下となる塗料であり、且つ該
カチオン電着塗料より得られる塗膜の硬化時における最
小溶融粘度が104 〜108 cpsである塗膜形成方
法。 【効果】 本発明により塗装工程が短縮でき、電着塗膜
はエッジカバー性に優れ、さらに形成される複層塗膜は
仕上り性、耐チッピング性などに優れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はカチオン電着塗料と耐チ
ッピングプライマーと中塗り塗料又は直接上塗り塗料と
をウェットオンウェットで塗装し、次いで該3層塗膜を
加熱により同時に硬化せしめる、いわゆる3コート1ベ
ーク方式による複層塗膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】従来より、自動車の外板な
どではカチオン電着塗料を電着塗装し加熱硬化してか
ら、該塗面に中塗り塗料もしくは上塗り塗料を塗装し、
加熱硬化することが多く行なわれている。また、特に自
動車車体の鋼板部の塗装系では耐チッピング性や端面部
の防食性を向上させる目的で電着塗膜と中塗りもしくは
上塗り塗膜の間にさらに耐チッピングプライマー層が設
けられている。
【0003】近年、塗装工程の短縮化、省資源および公
害防止などの観点から、カチオン電着塗膜を加熱硬化さ
せることなく該塗面に耐チッピングプライマー及び/又
は中塗り又は上塗り塗料を塗装したのち、これら塗膜を
加熱により同時に硬化せしめる2コート1ベーク方式、
さらには3コート1ベーク方式による塗膜形成法の開発
が強く望まれているが、このようにウェットオンウェッ
トで塗装すると加熱時に、未硬化のカチオン電着塗膜か
ら揮散する塩基性物質や低分子物質が多量に、耐チッピ
ングプライマーあるいは中塗り又は上塗り塗料による上
層塗膜に移行して、ブリード、硬化阻害などが発生し該
塗膜の平滑性や鮮映性、さらには耐チッピング性などの
性能が十分に得られない等の問題があり、未だ実用に至
っていない。
【0004】また、カチオン電着塗装は、つきまわり
性、膜厚の均一性などには優れるが、加熱時に被塗物の
エッジ部の塗装膜厚が厚くならず、エッジカバー性が不
十分となりやすく、上記の如き複層塗膜を形成してもエ
ッジ防食性に問題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記不具合が
生じることなく、カチオン電着塗料、耐チッピングプラ
イマー、および中塗り塗料又は上塗り塗料を3コート1
ベーク方式で塗装して良好な仕上り性、耐チッピング性
などに優れる複層塗膜を形成し、さらにエッジカバー性
を改良することを目的としており、鋭意検討した結果、
特定のカチオン電着塗料を用いることにより目的を達成
できることを見出し本発明を完成した。
【0006】すなわち本発明は、カチオン電着塗料を塗
装してなる未硬化塗膜面に、耐チッピングプライマーを
塗装し、さらに中塗り塗料又は上塗り塗料を塗装し、該
3層塗膜を同時に硬化させて複層塗膜を形成する方法で
あって、該カチオン電着塗料が、水分を除去した電着塗
膜の加熱硬化時における塗膜減量が10重量%以下とな
る塗料であり、且つ該カチオン電着塗料より得られる塗
膜の硬化時における最小溶融粘度が104 〜108 cp
sであることを特徴とする塗膜形成方法を提供するもの
である。
【0007】以下、本発明において使用する塗料及びそ
れによる塗膜形成方法について説明する。
【0008】まず、本発明の方法で用いるカチオン電着
塗料(以下、「塗料(A)」と略称することがある)
は、その電着塗膜の加熱硬化時の塗膜減量が10重量%
以下、特に好ましくは7重量%以下であることが必要で
ある。10重量%より大きくなると、その塗面上に塗装
した塗料による塗膜面の平滑性や鮮映性などが低下する
ので好ましくない。
【0009】本発明において、塗料(A)の電着塗膜の
加熱硬化時の塗膜減量(X)は、まず、通常の条件でカ
チオン電着塗装を行ない、電着浴から引き上げて塗面を
水洗し、105℃で3時間加熱して塗膜中の水分のすべ
てもしくは殆どを除去してから塗膜重量(Y)を測定
し、次いで、170℃で20分加熱して該塗膜を三次元
架橋硬化した後の塗膜重量(Z)を測定した。これらの
測定値を次式にあてはめて塗膜減量(X)をもとめた。
【数1】
【0010】また塗料(A)は、該塗料より得られる塗
膜の硬化時における最小溶融粘度が104 〜108 cp
sの範囲内であることがエッジカバー性の面から必要で
ある。
【0011】本発明において、最小溶融粘度とは、焼付
けにより塗膜が硬化する過程において、塗膜の粘度が一
端初期値より小さくなる際のその最小値のことを言い、
塗膜の粘度は、その後急激に上昇していく。該最小溶融
粘度は、JIS−Z−0237にある転球式粘度測定方
法に準じて、粘度既知のペーストとの対比で引っかき傷
跡の熱流動外観から決定される。
【0012】塗料(A)は、加熱硬化時の塗膜減量が1
0重量%以下、好ましくは7重量%以下で、且つ塗膜の
硬化時における最小溶融粘度が104 〜108 cpsの
範囲内であるカチオン電着塗料であれば特に制限を受け
ないが、特に該加熱硬化時の塗膜減量の条件を満たす、
以下に例示する樹脂分を主成分とするカチオン電着塗料
(A−1)および(A−2)が好ましく、これら塗料に
ゲル化微粒子、顔料など粒子状成分を配合することによ
り塗膜溶融粘度を上記範囲内に調整することができる。
【0013】まず塗料(A−1)として水酸基およびカ
チオン性基を含有する樹脂(I)と;脂環式骨格および
/または有橋脂環式骨格にエポキシ基が結合してなるエ
ポキシ基含有官能基を1分子あたり平均2個以上有する
エポキシ樹脂(II)とを主成分として含有するカチオン
電着塗料が挙げられる。
【0014】該塗料(A−1)を用いて形成される電着
塗膜は約250℃以下の温度で硬化する。そして特に、
鉛、ジルコニウム、コバルト、アルミニウム、マンガ
ン、銅、亜鉛、鉄、クロム、ニッケル等の金属を含む化
合物の単独又は複数を触媒として配合すると、約70℃
〜約160℃という低温加熱でも硬化させることができ
る。これらの硬化はエポキシ樹脂(II)に含まれるエポ
キシ基が開環して、樹脂(I)中の水酸基(好ましくは
第1級のもの)と反応して、さらに、該樹脂(II)中の
エポキシ基同士が反応して、それぞれエーテル結合を形
成して架橋硬化するものと推察され、硬化反応時に副生
物の発生が殆どなく、塗膜減量が極めて少ない。
【0015】従って、塗料(A−1)は、通常電着塗料
の硬化触媒として使用される錫触媒を用いなくても16
0℃以下の低温で硬化させることができる;さらに、ブ
ロックイソシアネート化合物又はその誘導体を使用する
必要がない;熱分解による加熱減量(体積収縮)が少な
く良好な付着性を示す;架橋結合中に芳香族ウレタン結
合又は芳香族尿素結合を持ち込むことがない;電着塗膜
の防食性ならびに硬化性がすぐれている;電着浴の安定
性が良好である;などの種々の優れた利点を有する。
【0016】塗料(A−1)に使用される水酸基及びカ
チオン性基を有する樹脂(I)(以下このものを「基体
樹脂(I)」ということもある)には、(II)成分のエ
ポキシ基と反応しうる水酸基を含有し且つ安定な水性分
散物を形成するのに十分な数のカチオン性基を有する任
意の樹脂が包含される。しかして、該基体樹脂(I)と
しては例えば次のものが挙げられる。
【0017】(i)ポリエポキシ樹脂とカチオン化剤と
を反応せしめて得られる反応生成物; (ii)ポリカルボン酸とポリアミンとの重縮合物(米国
特許第2,450,940号明細書参照)を酸でプロト
ン化したもの; (iii)ポリイソシアネート及びポリオールとモノ又はポ
リアミンとの重付加物を酸でプロトン化したもの; (iv)水酸基ならびにアミノ基含有アクリル系又はビニ
ル系モノマーの共重合体を酸でプロトン化したもの(特
公昭45−12395号公報、特公昭45−12396
号公報参照); (v)ポリカルボン酸樹脂とアルキレンイミンとの付加
物を酸でプロトン化したもの(米国特許第3,403,
088号明細書参照);等。
【0018】これらのカチオン性樹脂の具体例及び製造
方法については、例えば特公昭45−12395号公
報、特公昭45−12396号公報、特公昭49−23
087号公報、米国特許第2,450,940号明細
書、米国特許第3,403,088号明細書、米国特許
第3,891,529号明細書、米国特許第3,96
3,663号明細書等に記載されているので、ここでは
これらの引用を以って詳細な記述に代える。
【0019】基体樹脂(I)として特に望ましいのは、
前記(i)に包含される、ポリフェノール化合物とエピ
クロルヒドリンとから得られる防食性に優れているポリ
エポキシ化合物のエポキシ基にカチオン化剤を反応せし
めて得られる反応性生成物である。
【0020】前記ポリエポキシド化合物は、エポキシ基
を1分子中に2個以上有する化合物で、一般に少なくと
も200、好ましくは400〜4,000、さらに好ま
しくは800〜2,000の範囲内の数平均分子量を有
するものが適している。そのようなポリエポキシド化合
物としてはそれ自体公知のものを使用することができ、
例えば、ポリフェノール化合物をアルカリの存在下にエ
ピクロルヒドリンと反応させることにより製造すること
ができるポリフェノール化合物のポリグリシジルエーテ
ルが包含される。ここで使用しうるポリフェノール化合
物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)
−2,2−プロパン、4,4´−ジヒドロキシベンゾフ
ェノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−エ
タン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イ
ソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−tert−ブチル−
フェニル)−2,2−プロパン、ビス(2−ヒドロキシ
ナフチル)メタン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、
ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、テトラ
(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,2,2−エタ
ン、4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,
4´−ジヒドロキシジフェニルスルホン、フェノールノ
ボラック、クレゾールノボラック等が挙げられる。
【0021】上記したポリエポキシド化合物の中で、基
体樹脂(I)の製造に特に適当なものは、数平均分子量
が少なくとも約380、より好適には約800〜約2,
000、及びエポキシ当量が190〜2,000、好適
には400〜1,000の範囲内のポリフェノール化合
物のポリグリシジルエーテルであり、殊に下記式
【化1】 で示されるものである。該ポリエポキシド化合物は、ポ
リオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリ
オール、ポリアミドアミン、ポリカルボン酸、ポリイソ
シアネートなどと部分的に反応させてもよく、さらに、
δ−4カプロラクトン、アクリルモノマーなどをグラフ
ト重合させてもよい。
【0022】一方、上記ポリエポキシド化合物にカチオ
ン性基を導入するためのカチオン化剤としては、脂肪族
または脂環族または芳香−脂肪族の第1級もしくは第2
級アミン、第3級アミン塩、第2級スルフィド塩、第3
級ホスフィン塩などが挙げられる。これらはエポキシ基
と反応してカチオン性基を形成する。さらに第3級アミ
ノアルコールとジイソシアネートの反応によって得られ
る第3級アミノモノイソシアネートをエポキシ樹脂の水
酸基と反応させてカチオン性基とすることもできる。
【0023】前記カチオン化剤におけるアミン化合物の
例としては、例えば次のものを例示することができる。 (1)エチルアミン、n−又はiso−プロピルアミ
ン、モノエタノールアミン、n−又はiso−プロパノ
ールアミンなどの第1級アミン; (2)ジエチルアミン、ジエタノールアミン、N−メチ
ルエタノールアミンなどの第2級アミン; (3)エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ヒド
ロキシエチルアミノエチルアミン、エチルアミノエチル
アミン、ジメチルアミノエチルアミンなどのポリアミ
ン。
【0024】これらの中で水酸基を有するアルカノール
アミン類が好ましい。また、第1級アミノ基を予めケト
ンと反応させてブロックした後、残りの活性水素でエポ
キシ基と反応させてもよい。
【0025】さらに、上記アミン化合物以外にアンモニ
ア、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、ヒドロキシエチ
ルヒドラジン、N−ヒドロキシエチルイミダゾリン化合
物などの塩基性化合物も同様に使用することができる。
これらの化合物を用いて形成される塩基性基は酸、特に
好ましくはギ酸、酢酸、グリコール酸、乳酸などの水溶
性有機カルボン酸でプロトン化してカチオン性基とする
ことができる。
【0026】さらに、トリエチルアミン、トリエタノー
ルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メ
チルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノール
アミン、N−エチルジエタノールアミンなどの第3級ア
ミンなども使用でき、これらは酸で予めプロトン化し、
エポキシ基と反応させて第4級塩にすることができる。
【0027】また、アミノ化合物以外に、ジエチルスル
フィド、ジフェニルスルフィド、テトラメチレンスルフ
ィド、チオジエタノールなどのスルフィド類とホウ酸、
炭酸、有機モノカルボン酸などとの塩をエポキシ基と反
応させて第3級スルホニウム塩としてもよい。
【0028】更に、トリエチルホスフィン、フェニルジ
メチルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、トリ
フェニルホスフィンなどのホスフィン類と上記の如き酸
との塩をエポキシ基と反応させて、第4級ホスホニウム
塩としてもよい。
【0029】基体樹脂(I)の水酸基としては、例え
ば、上記カチオン化剤中のアルカノールアミン、エポキ
シド化合物中に導入されることがあるカプロラクトンの
開環物およびポリオールなどから導入できる第1級水酸
基;エポキシ樹脂中の2級水酸基;などがあげられる。
このうち、アルカノールアミンにより導入される第1級
水酸基はエポキシ樹脂(II)との架橋硬化反応性がすぐ
れているので好ましい。このようなアルカノールアミン
は前記カチオン化剤で例示したものが好ましい。
【0030】基体樹脂(I)における水酸基の含有量
は、エポキシ樹脂(II)に含まれるエポキシ基との架橋
硬化反応性の点からみて、水酸基当量で20〜5,00
0、特に100〜1,000の範囲内が好ましく、特に
第1級水酸基当量は200〜1,000の範囲内にある
ことが望ましい。また、カチオン性基の含有量は、該基
体樹脂(I)を安定に分散しうる必要な最低限以上が好
ましく、KOH(mg/g固形分)(アミン価)換算で
一般に3〜200、特に10〜80の範囲内にあること
が好ましい。しかし、カチオン性基の含有量が3以下の
場合であっても、界面活性剤などを使用して水性分散化
して使用することも可能であるが、この場合には、水性
分散組成物のpHが通常4〜9、より好ましくは6〜7
になるようにカチオン性基を調整するのが望ましい。
【0031】基体樹脂(I)は、水酸基及びカチオン性
基を有しており、遊離のエポキシ基は原則として含まな
いことが望ましい。
【0032】次に上記基体樹脂(I)と混合して使用さ
れる硬化剤としてのエポキシ樹脂(II)について説明す
る。
【0033】該エポキシ樹脂(II)(以下このものを
「硬化用樹脂(II)」ということもある)は、基体樹脂
(I)と主として前記のごとくエーテル化反応などによ
って架橋硬化塗膜を形成するための硬化剤であって、特
定の「エポキシ基含有官能基」を1分子あたり平均2個
以上、好ましくは3個以上有するものである。
【0034】すなわち、硬化用樹脂(II)における該エ
ポキシ基含有官能基は、脂環式骨格および/または有橋
脂環式骨格とエポキシ基とからなり、脂環式骨格は、4
〜10員、好ましくは5〜6員の飽和炭素環式環または
該環が2個以上縮合した縮合環を含有し、また、有橋脂
環式骨格は、上記環式または多環式環を構成する炭素原
子2個の間に直鎖状もしくは分岐鎖状のC1-6 (好まし
くはC1-4 )アルキレン基[例えば−CH2 −、−CH
2 −CH2 −、−CH(CH3 )−、−CH2(CH
3 )CH2 −、−C(CH32 −、−CH(C2
5 )CH2 −など]の橋(エンドメチレン、エンドエチ
レンなど)が結合した環を含有するものである。
【0035】一方、エポキシ基は、該エポキシ基中の炭
素原子の1つが上記脂環式骨格または有橋脂環式骨格中
の環炭素原子に直接結合している[例えば、下記式
(イ)、(ロ)参照]か、或いは該エポキシ基の2個の
炭素原子と上記脂環式骨格または有橋脂環式骨格中の環
を構成する隣接する2個の炭素原子とが共通している
[例えば下記式(ハ)、(ニ)参照]ことが重要であ
る。
【0036】そのようなエポキシ基含有官能基の具体例
としては、下記式(イ)〜(ニ)で示されるものが挙げ
られる。
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】 (式中、R1 、R2 、R3 、R5 、R6 、R7 、R10
びR11はそれぞれH、CH3 またはC25 を表わし、
そしてR4 、R8 及びR9 はそれぞれHまたはCH3
表わす。)
【0037】エポキシ樹脂(II)は、上記式(イ)〜
(ニ)から選ばれるエポキシ基含有官能基を1分子あた
り平均少なくとも2個、好ましくは2個以上、より好ま
しくは4個以上有することができ、例えば上記式(イ)
または(ロ)で示されるエポキシ基含有官能基を少なく
とも1種有することができ、或いは上記式(ハ)または
(ニ)で示されるエポキシ基含有官能基を少なくとも1
種有することができる。さらにまた、エポキシ樹脂(I
I)は、式(イ)または(ロ)で示されるエポキシ基含
有官能基の少なくとも1種と、式(ハ)または(ニ)で
示されるエポキシ基含有官能基の少なくとも1種とを同
じ分子内または異なる分子内に有することもできる。
【0038】上記のうち、式(イ)及び(ハ)で示され
るエポキシ基含有基が好ましく、殊に下記式(ホ)
【化6】 で示されるエポキシ基含有官能基、及び下記式(ヘ)
【化7】 で示されるエポキシ基含有官能基が好適である。
【0039】また、エポキシ樹脂(II)のエポキシ当量
及び分子量は厳密に制限されるものではなく、その製造
方法や最終の樹脂組成物の用途等に応じて変えることが
できるが、一般的に言えば、エポキシ当量は通常、10
0〜2,000、好ましくは150〜500、さらに好
ましくは150〜250の範囲内にあることができ、ま
た、数平均分子量は通常400〜100,000、好ま
しくは700〜50,000、さらに好ましくは700
〜30,000の範囲内にあるのが適当である。
【0040】このようなエポキシ基含有官能基を1分子
中に2個以上有するエポキシ樹脂[硬化用樹脂(II)]
は、例えば、特公昭56−8016号公報、特開昭57
−47365号公報、特開昭60−166675号公
報、特開昭63−221121号公報、特開昭63−2
34028号公報などの文献に記載されており、それ自
体既知のものを使用することができる。
【0041】或いはまた、上記エポキシ基含有官能基を
有するエポキシ樹脂(II)はそれ自体既知の方法によっ
て得られ、その主な製造法を以下に列挙するが、これら
に限定されるものではない。
【0042】第1の製造方法:1分子中に炭素−炭素二
重結合を2個以上有する脂環化合物の該二重結合の一部
を部分エポキシ化し、そのエポキシ基を開環重合した
後、重合体に残る該二重結合をエポキシ化する方法。
【0043】第2の製造方法:同一分子中にエポキシ基
を2個以上有する脂環化合物を該エポキシ基に基づい
て、該エポキシ基のすべてが消去しない程度に開環重合
する方法。
【0044】第3の製造方法:同一分子中にエポキシ基
含有官能基と重合性不飽和結合とを有する化合物を重合
する方法。
【0045】以下、これらの製造方法についてさらに具
体的に説明する。
【0046】第1の製造方法:1分子中に炭素−炭素二
重結合を2個以上有する脂環化合物(以下、「脂環化合
物(S)」と略称する)に含まれる該二重結合の一部を
エポキシ化し(部分エポキシ化物)、次いで該エポキシ
基の開環重合によって該部分エポキシ化物の開環重合体
を得たのち、該重合体中に残存する上記二重結合の一部
もしくは全部をエポキシ化することによって硬化用樹脂
(II)を得る。
【0047】脂環化合物(S)は、脂環式骨格または有
橋脂環式骨格について前述した脂環式環または有橋脂環
式環構造を基体骨格とし、さらに二重結合を、環を構成
する隣接炭素原子2つの間で存在するか、又は該環構造
を構成する炭素原子に他の炭素原子に基づく二重結合が
直接結合する状態で少なくとも2個以上含有する化合物
である。
【0048】脂環化合物(S)は、例えば共役ジエン化
合物を既知の方法に基いて加熱することによっても得ら
れる。共役ジエン化合物は、1分子中に共役関係にある
二重結合を1対以上、好ましくは1〜5対有する炭素数
が4〜30の脂肪族または脂環式の化合物が適してお
り、具体的には、ブタジエン、イソプレン、ピリレン、
1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2−メ
チル−6−メチレン−2,7−オクタジエン、シクロペ
ンタジエン、シクロヘキサジエン、4−エチル−2−メ
チルシクロペンタジエン、3−イソプロピル−1−メチ
ルシクロペンタジエン、5−イソプロピルシクロペンタ
ジエン、1,4−ジフェニルシクロペンタジエン、ヘキ
サクロルシクロペンタジエン、5,5−ジエトキシ−
1,2,3,4−テトラクロルシクロペンタジエン、
1,2,3,4−テトラクロルシクロペンタジエン、
1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロオクタジ
エン、1,3,5−シクロオクタトリエン、シクロオク
タテトラエン、5−シクロヘキシリデンシクロペンタジ
エンなどがあげられ、これらはそれぞれ単独でもしくは
2種以上組合わせて用いることができる。
【0049】共役ジエン化合物を必要によりチーグラー
触媒を用いて加熱下で反応を行なわしめると脂環化合物
(S)が得られる。この加熱反応はそれ自体既知の方法
で行なうことができ、例えば、特開昭49−10264
3号公報に開示された方法で行うことができる。このよ
うにして得られる脂環化物(S)の代表例を示せば次の
とおりである。
【0050】
【化8】
【0051】上記共役ジエン化合物のうち、シクロペン
タジエン、シクロヘキサジエン、4−エチル−2−メチ
ルシクロペンタジエンなどの脂環式構造を有する化合物
や、シルベストレン、2,8(9)−p−メンタジエ
ン、ピロネン、1,3−ジメチル−1−エチル−3,5
−シクロヘキサジエン、テルピネン、フェランドレン、
ジペンテン、イソリモネン、リモネンなどはすでに脂環
式化合物(S)の構造を有しているので、上記熱反応に
供することなくそのまま使用することができる。
【0052】まず、脂環化合物(S)に含まれる炭素−
炭素二重結合の一部を過酸化物などによってエポキシ基
に変性する(部分エポキシ化)。部分エポキシ化物は、
前記脂環化合物(S)に含まれる複数の二重結合のうち
一部をエポキシ基に変性したものであり、その具体例を
示せば次のとおりである。
【0053】
【化9】
【0054】天然に得られるエポキシカレンなども部分
エポキシ化物として使用することができる。
【化10】
【0055】部分エポキシ化物は1分子中にエポキシ基
と炭素−炭素二重結合とをそれぞれ少なくとも1個ずつ
有しており、該二重結合は環を構成する隣接の炭素原子
2個の間に存在するかもしくは該環の炭素原子に他の炭
素原子に基づく二重結合を結合していることが必要であ
る。
【0056】次に、この部分エポキシ化物中のエポキシ
基に基いて開環重合して脂環式化合物(S)の重合体を
得る。この開環重合には開始剤を用いることが好まし
く、最終製品である硬化用樹脂(II)の末端に該開始剤
成分による残基Xが結合していてもよい。ここで、Xは
活性水素を有する有機化合物残基であり、その前駆体で
ある活性水素を有する有機化合物としては、例えば、ア
ルコール類、フェノール類、カルボン酸類、アミン類、
チオール類等があげられる。このうち、アルコール類と
しては、1価アルコール及び2価以上の多価アルコール
のいずれであってもよく、具体的には例えば、エタノー
ル、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、オクタ
ノール等の脂肪族1価アルコール;ベンジルアルコール
のような芳香族1価アルコール;エチレングリコール、
ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−
ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、オキシビ
バリン酸ネオペンチルグリコールエステル、グリセリ
ン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、
ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの
多価アルコール等が例示される。
【0057】フェノール類としては、例えば、フェノー
ル、クレゾール、カテコール、ピロガロール、ハイドロ
キノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ビスフェ
ノールA、ビスフェノールF、4,4´−ジヒドロキシ
ベンゾフェノン、ビスフェノールS、フェノール樹脂、
クレゾールノボラック樹脂等が挙げられる。
【0058】カルボン酸類としては、ギ酸、酢酸、プロ
ピオン酸、酪酸、動植物油の脂肪酸;フマル酸、マレイ
ン酸、アジピン酸、ドデカン2酸、トリメリット酸、ピ
ロメリット酸、ポリアクリル酸、フタール酸、イソフタ
ル酸、テレフタル酸等を例示することができ、また、乳
酸、クエン酸、オキシカプロン酸等の水酸基とカルボン
酸を共に有する化合物も使用することができる。
【0059】さらに、その他の活性水素を有する化合物
として、テトラメチルシリケート、メチルトリメトキシ
シラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメト
キシシラン等のアルコキシシランと水の混合物又はこれ
らのシラノール化合物、ポリビニルアルコール、ポリ酢
酸ビニル部分加水分解物、デンプン、セルロース、セル
ロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、
ヒドロキシエチルセルロース、アクリルポリオール樹
脂、スチレン−アリルアルコール共重合樹脂、スチレン
−マレイン酸共重合樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステ
ルポリオール樹脂、ポリカプロラクトンポリオール樹脂
等も使用することができる。また、活性水素と共に不飽
和二重結合を有していてもよく、さらに該不飽和二重結
合がエポキシ化されたものであっても差し支えない。ま
た、アルコキシ金属化合物のように触媒と開始剤が同一
であってもよい。
【0060】通常、上記活性水素を有する有機化合物を
開始剤にし、上記部分エポキシ化物、例えば4−ビニル
シクロヘキセン−1−オキシド、4−ビニルシクロ
[2,2,1]3−メチル−4(または5)−t−プロ
ペニル−1−シクロヘキセンオキシド、2,4−または
1,4−ジメチル−4エテニル−1−シクロヘキセンオ
キシド、4−ビニルシクロ[2,2,1]ヘプテン−1
−オキシド(ビニルノルボルネンオキシド)、2−メチ
ル−4−イソプロパニル−シクロヘキセンオキシドなど
を単独または複数用いて開環重合する。このとき更に上
記部分エポキシ化物に属さない他のエポキシ化合物を併
存させて、開環共重合することも可能である。共重合さ
せ得る他のエポキシ化物としては、エポキシ基を有する
ものであればいかなるものでもよいが、好適な例には、
エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレン
オキサイド、スチレンオキサイド等の不飽和化合物の酸
化物;アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシル
グリシジルエーテル、メチルグリシジルエーテル、フェ
ニルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル化合
物;アクリル酸、メタクリル酸のような不飽和有機カル
ボン酸のグリシジルエステル化合物;3,4−エポキシ
シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどの脂環
式オキシラン基含有ビニル単量体等があげられる。
【0061】上記開環重合体は、部分エポキシ化物を単
独もしくは必要に応じてその他のエポキシ化合物を併用
させて、これらに含まれるエポキシ基を開環重合(エー
テル結合)させることによって得られる。開環重合体に
おけるその他のエポキシ化合物の構成比率は目的に応じ
て任意に選ぶことができるが、具体的には、得られる開
環共重合体1分子あたり前記構造式(イ)〜(ニ)のい
ずれか1種又は複数種を平均2個以上、好ましくは3個
以上、より好ましくは4個以上有する範囲内で選ぶこと
が望ましい。
【0062】このようにして得られる該(共)重合体の
数平均分子量は一般に400〜100,000、特に7
00〜50,000、さらに700〜30,000の範
囲内にあることが好ましい。
【0063】開環重合反応には、一般に触媒の存在下に
行なうことが好ましく、使用しうる触媒としては、例え
ば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ピ
ペラジン等のアミン類;ピリジン類、イミダゾール類等
の有機塩基類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の有機酸
類;硫酸、塩酸等の無機酸;ナトリウムメチラート等の
アルカリ金属アルコラート類;KOH、NaOH等のア
ルカリ類;BF3 、ZnCl2 、AlCl3 、SnCl
4 等のルイス酸又はそのコンプレックス類;トリエチル
アルミニウム、アルミニウムアセチルアセトナート、チ
タニウムアセチルアセトナート、ジエチル亜鉛等の有機
金属化合物を挙げることができる。これらの触媒は反応
物に対して一般に0.001〜10重量%、好ましくは
0.1〜5重量%の範囲内で使用することができる。開
環重合反応温度は一般に約−70〜約200℃、好まし
くは約−30℃〜約100℃の範囲内である。反応は溶
媒を用いて行なうことができ、溶媒としては活性水素を
有していない通常の有機溶媒を使用することが好まし
い。
【0064】開環重合体には脂環化合物(S)に基づく
二重結合が存在しており、そのすべてもしくは一部をエ
ポキシ化することによってエポキシ樹脂(II)が得られ
る。二重結合のエポキシ化は例えば過酸類、ハイドロパ
ーオキサイド類等のエポキシ化剤を用いて行なうことが
できる。エポキシ化反応の際の溶媒使用の有無や反応温
度は、用いる装置や原料物性に応じて適宜調整すること
ができる。エポキシ化反応の条件によって、原料開環重
合体中の二重結合のエポキシ化と同時に副反応がおこ
り、変性された置換基が、エポキシ樹脂(II)の骨格中
に含まれることがある。この変性された置換基として
は、例えばエポキシ化剤として過酢酸を用いる場合に
は、下記構造の置換基があげられ、これは生成したエポ
キシ基と副生した酢酸との反応によるものと思われる。
【化11】
【0065】これらの変性された置換基が含まれる比率
はエポキシ化剤の種類、エポキシ化剤と不飽和基のモル
比、反応条件によって定まる。
【0066】このようにして得られるエポキシ樹脂(I
I)のエポキシ当量は一般に100〜2,000、特に
150〜500、さらに150〜250の範囲内である
ことが好ましい。
【0067】このようなエポキシ樹脂(II)としては市
販品も使用可能であり、例えばEHPE−3150、E
HPE−3100、EHPE−1150[ダイセル化学
工業社製商品名]等があげられ、これは4−ビニルシク
ロヘキセン−1−オキサイドを用いたシクロヘキサン骨
格をもつ下記構造式のエポキシ樹脂である。
【化12】 (式中、Xは有機基であり、nは2以上であり、好まし
くは3以上、より好ましくは4以上である。)
【0068】第2の製造方法:例えば、前記脂環化合物
(S)に含まれる二重結合のうち少なくとも2個をエポ
キシ化し、次いでエポキシ基が残存するように開環重合
することによって得られる。
【0069】上記1分子あたり平均2個以上のエポキシ
基を有するエポキシ化物としては、単環式もしくは縮合
環式の下記化合物が代表的に示される。
【化13】
【0070】基体的には、上記エポキシ化物の1種以上
を前記第1の製造方法で述べたのと同様にして、必要に
応じ開始剤、触媒を使用し、開環重合反応を行ないエポ
キシ基が残存している所定の反応点で反応を止めること
によりエポキシ樹脂(II)を得る。反応を停止させるに
は、溶剤による希釈、冷却等任意の手段が使用すること
ができる。この製造方法においても前記他のエポキシ化
合物を第1の製造方法と同様に共重合させてもよい。
【0071】こうして得られる硬化用樹脂(II)は、前
記式(イ)または(ロ)で示されるエポキシ基含有官能
基の少なくとも1種と前記式(ハ)または(ニ)で示さ
れるエポキシ基含有官能基の少なくとも1種とを同一分
子中または異なる分子中に有するエポキシ樹脂であるこ
ともできる。
【0072】このようにして得られる開環重合体[硬化
用樹脂(II)]の数平均分子量は一般に400〜10,
000、特に700〜50,000の範囲内にあること
が好ましく、また、エポキシ当量は一般に100〜2,
000、特に150〜500、さらに150〜250の
範囲内にあることが好都合である。
【0073】第3の製造方法:同一分子中にエポキシ基
含有官能基と重合性不飽和結合とをそれぞれ少なくとも
1個ずつ有する化合物(以下、「重合性エポキシモノマ
ー」と略称することがある)としては、例えば以下の一
般式(1)〜(12)に示すものがあげられる。
【化14】
【化15】 (上記一般式中、R11は水素原子又はメチル基を表わ
し、R12は炭素数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基
を表わし、R13は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を
表わす。)
【0074】上記重合性エポキシモノマーにおいて、R
12によって表わされる炭素数1〜6の2価の脂肪族炭化
水素基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、
例えばメチレン、エチレン、プロピレン、テトラメチレ
ン、エチルエチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン
基等を挙げることができる。またR12によって表わされ
る炭素数1〜10の2価の炭化水素基としては、例えば
メチレン、エチレン、プロピレン、テトラメチレン、エ
チルエチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ポリ
メチレン、フェニレン、
【化16】 基等を挙げることができる。
【0075】上記一般式(1)〜(12)で示される重
合性エポキシモノマーの具体例として、3,4−エポキ
シシクロヘキシルメチルアクリレートおよび3,4−エ
ポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートなどがあげ
られる。これらの市販品として、例えば、ダイセル化学
工業製のMETHB、AETHB(いずれも商品名)等
があげられ、これらはいずれも前記式(イ)または
(ロ)で示されるエポキシ基含有官能基を有しているも
のである。さらに、4−ビニルシクロヘキセンオキサイ
ドも重合性エポキシモノマーとして使用できる。
【0076】重合性エポキシモノマーから選ばれる1種
もしくは2種以上を重合することによってエポキシ樹脂
(II)を製造することができるが、その際他の重合性不
飽和モノマーを共重合させることもできる。
【0077】上記他の重合性不飽和モノマーとしては、
得られる(共)重合体に望まれる性能に応じて広範に選
択することができ、その代表例を示せば次のとおりであ
る。
【0078】(a)アクリル酸又はメタクリル酸のエス
テル:例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、
アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリ
ル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチ
ル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イ
ソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシ
ル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ラウリル等の
アクリル酸又はメタクリル酸の炭素数1〜18のアルキ
ルエステル;アクリル酸メトキシブチル、メタクリル酸
メトキシブチル、アクリル酸メトキシエチル、メタクリ
ル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシブチル、メタ
クリル酸エトキシブチル等のアクリル酸又はメタクリル
酸の炭素数2〜18のアルコキシアルキルエステル;ア
リルアクリレート、アリルメタクリレート等のアクリル
酸又はメタクリル酸の炭素数2〜8のアルケニルエステ
ル;ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチル
メタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒ
ドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメ
タクリル酸の炭素数2〜8のヒドロキシアルキルエステ
ル;アリルオキシエチルアクリレート、アリルオキシメ
タクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数
3〜18のアルケニルオキシアルキルエステル。
【0079】(b)ビニル芳香族化合物:例えば、スチ
レン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−クロ
ロスチレン。
【0080】(c)ポリオレフィン系化合物:例えば、
ブタジエン、イソプレン、クロロプレン。
【0081】(d)その他:アクリロニトリル、メタク
リロニトリル、メチルイソプロペニルケトン、酢酸ビニ
ルベオバモノマー(シェル化学製品)、ビニルプロピオ
ネート、ビニルピバレート、ポリカプロラクトン鎖をも
つビニル化合物(例えば、FM−3Xモノマー:ダイセ
ル化学工業製商品名)。
【0082】重合性エポキシモノマーと他の重合性不飽
和モノマーとの構成比率は、目的に応じて任意に選択す
ることができ、これらの共重合反応によって得られるエ
ポキシ樹脂(II)の1分子中あたりエポキシ基含有官能
基が平均少なくとも2個、好ましくは平均3個以上、よ
り好ましくは平均4個以上含有するような範囲で選択す
ることができるが、十分な硬化性を付与する官能基とし
て利用するためには、特に該エポキシ樹脂(II)固形分
中重合性エポキシモノマー含有率が5〜100重量%、
より好ましくは20〜100重量%の範囲内となるよう
にするのが好ましい。
【0083】上記第3の製造方法によって得られるエポ
キシ樹脂(II)は、通常のアクリル樹脂やビニル樹脂等
の重合性不飽和結合に基づく重合反応と同様の方法、条
件を用いて製造することができる。このような重合反応
の一例として、各単量体成分を有機溶剤に溶解もしくは
分散せしめ、ラジカル重合開始剤の存在下で60〜18
0℃程度の温度で撹拌しながら加熱する方法を示すこと
ができる。反応時間は通常1〜10時間程度とすること
ができる。また、有機溶剤としては、アルコール系溶
媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒
等を使用できる。炭化水素系溶媒を用いる場合には、溶
解性の点から他の溶媒を併用することが好ましい。さら
に、ラジカル開始剤として通常用いられているものをい
ずれも用いることができ、その具体例として、過酸化ベ
ンゾイル、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノ
エート等の過酸化物;アゾイソブチルニトリル、アゾビ
スメチルバレロニトリル等のアゾ化合物等を示すことが
できる。
【0084】上記第3の製造例のエポキシ樹脂(II)
は、数平均分子量が一般に約3,000〜約100,0
00の範囲内にあるものが好ましく、特に4,000〜
10,000の範囲内にあるものがより好ましい。
【0085】上記した硬化用樹脂(II)の中で、自動車
ボデー用に使用されるカチオン電着塗料のような高度の
性能が要求される用途に用いるのに適しているのは、1
分子あたりにエポキシ基含有官能基を平均して3個以
上、より好ましくは平均して4個以上、最も好ましくは
平均して5個以上有するものであり、また、エポキシ当
量が好ましくは100〜2,000、より好ましくは1
50〜500、特に150〜250の範囲内にあり、そ
して数平均分子量が好ましくは400〜100,00
0、より好ましくは700〜50,000、特に好まし
くは700〜30,000の範囲内にあるものである。
【0086】硬化用樹脂(II)の使用量は、用いる基体
樹脂(I)の種類に応じて、また得られる塗膜が熱硬化
するのに必要な最少量乃至カチオン電着塗料の安定性を
そこなわない最大量の範囲内で適宜変えることができる
が、一般には硬化用樹脂(II)の基体樹脂(I)に対す
る固形分の重量比が0.2〜1.0、特に0.25〜
0.85、さらに望ましくは0.25〜0.65の範囲
内となるように選択するのが好ましい。
【0087】硬化用樹脂(II)の一部が基体樹脂(I)
にあらかじめ付加したものが含まれていてもさしつかえ
ない。
【0088】かくして基体樹脂(I)と硬化用樹脂(I
I)からなる組成物はカチオン電着塗料(A−1)とし
て使用することができる。
【0089】特に、塗料(A−1)による電着塗膜を1
60℃以下の低温で十分に硬化するようにするには、鉛
化合物、ジルコニウム化合物、コバルト化合物、アルミ
ニウム化合物、マンガン化合物、銅化合物、亜鉛化合
物、鉄化合物、クロム化合物、ニッケル化合物などから
選ばれる1種もしくは2種以上の金属化合物を触媒とし
て添加することが有効である。これらの金属化合物の具
体例として、例えば、ジルコニウムアセチルアセトナー
ト、コバルトアセチルアセトナート、アルミニウムアセ
チルアセトナート、マンガンアセチルアセトナートなど
のキレート化合物;β−ヒドロキシアミノ構造を有する
化合物と酸化鉛(II)のキレート化反応生成物;2−エ
チルヘキサン酸鉛、ナフチル酸鉛、オクチル酸鉛、安息
香酸鉛、酢酸鉛、乳酸鉛、ギ酸鉛、グリコール酸鉛、オ
クチックスジルコニウムなどのカルボキシレートなどが
挙げられる。
【0090】上記金属化合物は、基体樹脂(I)と硬化
用樹脂(II)との合計固形分重量に対し、金属含有率が
一般に10重量%以下、好ましくは5重量%以下の量で
使用することができる。
【0091】つぎに塗料(A−2)として水酸基および
カチオン性基を有する樹脂(I)とブロックポリイソシ
アネート化合物(III) とを主成分として含有するカチオ
ン電着塗料が挙げられる。
【0092】樹脂(I)としては、すでに塗料(A−
1)のところで説明した基体樹脂(I)から選ばれるも
のが好ましい。
【0093】ブロックポリイソシアネート化合物(III)
は、各々理論量のポリイソシアネート化合物とイソシア
ネートブロック剤との付加反応生成物であって、樹脂
(I)の架橋剤として使用される。このポリイソシアネ
ート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネー
ト、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシ
アネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサ
ン、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレン
ジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソホ
ロンジイソシアネートなどの芳香族、脂環族、脂肪族の
ポリイソシアネート化合物およびこれらのイソシアネー
ト化合物の過剰量にエチレングリコール、プロピレング
リコール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオー
ル、ヒマシ油などの低分子活性水素含有化合物を反応さ
せて得られる末端イソシアネート含有プレポリマーが挙
げられる。また、イソシアネートブロック剤はポリイソ
シアネート化合物のイソシアネート基に付加してブロッ
クするものであり、そして付加によって生成するブロッ
クポリイソシアネート化合物は常温において安定で、且
つ解離温度以上に加熱した際、ブロック剤を解離して遊
離のイソシアネート基を再生しうるものであることが重
要である。
【0094】特に本発明ではカチオン電着塗膜の加熱減
量が10重量%以下でなければならないので、このブロ
ック剤としては分子量が130以下の低分子化合物を用
いることが好ましい。具体的には、フェノール、クレゾ
ール、キシレノール、クロロフェノールおよびエチルフ
ェノールなどのフェノール系ブロック剤;ε−カプロラ
クタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタムおよ
びβ−プロピオラクタムなどのラクタム系ブロック剤;
アセト酢酸エチルおよびアセチルアセトンなどの活性メ
チレン系ブロック剤;メタノール、エタノール、プロパ
ノール、ブタノール、アミルアルコール、エチレングリ
コールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエ
チルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピ
レングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコー
ル、グリコール酸メチル、グリコール酸ブチル、ジアセ
トンアルコール、乳酸メチルおよび乳酸エチルなどのア
ルコール系ブロック剤;ホルムアミドキシム、アセトア
ルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、
ジアセチルモノオキシム、シクロヘキサンオキシムなど
のオキシム系ブロック剤;ブチルメルカプタン、ヘキシ
ルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、チオフェノ
ール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノールな
どのメルカプタン系ブロック剤;酢酸アミド、ベンズア
ミドなどの酸アミド系ブロック剤;コハク酸イミドおよ
びマレイン酸イミドなどのイミド系ブロック剤;キシリ
ジン、アニリン、ブチルアミン、ジブチルアミンなどの
アミン系ブロック剤;イミダゾール、2−エチルイミダ
ゾールなどのイミダゾール系ブロック剤;エチレンイミ
ンおよびプロピレンイミンなどのイミン系ブロック剤;
などをあげることができる。このうち、塗料の安定性や
塗膜の硬化性などのバランスから、メチルエチルケトオ
キシムなどのオキシム系ブロック剤が特に好適である。
【0095】塗料(A−2)において上記基体樹脂
(I)とブロックポリイソシアネート化合物(III) との
比率は特に制限を受けないが、該両成分の合計固形分量
に基いて、基体樹脂(I)は40〜95重量%、特に6
0〜90重量%、ブロックポリイソシアネート化合物(I
II) は60〜5重量%、特に40〜10重量%がそれぞ
れ好ましい。
【0096】上記塗料(A−1)および塗料(A−2)
などのカチオン電着塗料(A)には、塗膜溶融粘度制御
のための粒子状成分として、ゲル化微粒子及び/又は顔
料を配合することができ、塗装作業性などの点からゲル
化微粒子を用いることが好適である。
【0097】該ゲル化微粒子としては、粒子内の架橋反
応によりゲル化された微粒子重合体であれば特に制限な
く従来公知のものが使用でき、例えばアルコキシシラン
基とカチオン性基とを含有するアクリル共重合体を水分
散化し、粒子内架橋せしめたもの(特願昭62−541
41号公報参照);アルコキシシラン基と水酸基および
カチオン性基を有する内部架橋ゲル化微粒子(特開平2
−47173号公報参照);アルコキシシラン基とウレ
タン結合と水酸基およびカチオン性基を有する内部架橋
ゲル化微粒子(特開平3−62860号公報参照)など
が挙げられる。
【0098】本発明においては特に上記ゲル化微粒子と
して、加水分解性アルコキシシラン基を含有するエポキ
シ樹脂アミン付加物を水分散化し、且つ粒子内架橋せし
めてなるカチオン電着性ゲル化微粒子が、防食性の点か
ら好適に使用することができる。以下、該ゲル化微粒子
について説明する。
【0099】上記「加水分解性アルコキシシラン基を含
有するエポキシ樹脂アミン付加物」は、エポキシ樹脂ア
ミン付加物へ加水分解性アルコキシシラン基を導入した
ものであって、カチオン性基、特に酸で中和されたアミ
ノ基を水分散基として水中において安定に分散し、かつ
該アルコキシシラン基の加水分解によって生成したシラ
ノール基がシラノール基同志、およびヒドロキシル基が
ある場合にはそのヒドロキシル基とも縮合して粒子内架
橋が行われ、ゲル化することが可能な付加物を指称した
ものである。
【0100】上記ゲル化微粒子の構成成分であるエポキ
シ樹脂アミン付加物は、前記塗料(A−1)の基体樹脂
(I)のところで挙げられた(i)の如きものなどが包
含される。
【0101】加水分解性アルコキシシラン基の該エポキ
シ樹脂アミン付加物への導入方法は、特に制限されるも
のではなく、それ自体既知の方法から導入すべき加水分
解性アルコキシシラン基の種類等に応じて任意に選ぶこ
とができるが、水可溶性塩類など電着塗装に悪影響を及
ぼす副生成物を生じない方法を採用することが好まし
く、例えば次のような方法を例示することができる。
【0102】(1)アルコキシシラン基含有アミン化合
物を基体樹脂中のエポキシ基に付加する方法:ここで使
用しうるアミン化合物としては次式のものが例示され
る。
【0103】
【化17】
【0104】(2)アルコキシシラン基含有メルカプタ
ンを基体樹脂中のエポキシ基に付加する方法:ここで使
用しうるメルカプタンとしては次式のものが例示され
る。
【0105】
【化18】
【0106】(3)アルコキシシラン基含有エポキシ化
合物を基体樹脂中のアミノ基に付加する方法:ここで使
用しうるエポキシ化合物としては次式ものが例示され
る。
【0107】
【化19】
【0108】(4)アルコキシシラン基含有イソシアネ
ート化合物を基体樹脂中の水酸基、アミノ基に付加する
方法:ここで使用しうるイソシアネート化合物としては
次式のものが例示される。
【0109】
【化20】
【0110】上記に述べた各式において、Rとしては次
のものを例示しうる: (i)−CH3 、−C25 、−C37 、−C4
9 、−C613、−C817などのアルコール残基: (ii)−C24 OCH3 、−C24 OC25 、−
24 OC37 、−C24 OC49 、−C3
6 OCH3 、−C36 OC25 、−C48 OCH
3 、−C24 OC24 OCH3 、−C24 OC2
4 OC25、−C24 OC24 OC49 など
のエーテルアルコール残基:
【0111】(iii)
【化21】
【0112】(iv)フェニル基、ベンジル基などのシク
ロアルキル又はアラルキルアルコール残基:
【0113】(v)
【化22】
【0114】などのオキシムアルコール残基:
【0115】(vi)その他
【化23】
【0116】など。
【0117】前記式中のRは炭素数の小さなもの程加水
分解しやすいが、安定性に劣るので、炭素数2〜7程度
がバランス上有利である。また、炭素数2以下のものと
7以上のものとを組み合わせてバランスさせてもよい。
【0118】上記の加水分解性アルコキシシラン基を含
有するエポキシ樹脂アミン付加物の水分散化は、それ自
体既知の方法に従って行なうことができる。例えば、上
記の加水分解性アルコキシシラン基を含有するエポキシ
樹脂アミン付加物を、存在するアミノ基に対して約0.
1〜1当量の酸、例えばギ酸、酢酸、乳酸、ヒドロキシ
酢酸などの水溶性カルボン酸などで中和し、その後、固
形分濃度が約40重量%以下になるようにして水中に分
散することによって行なうことができる。
【0119】かくして得られる加水分解性アルコキシシ
ラン基を含有するエポキシ樹脂アミン付加物の分散粒子
は次いで粒子内架橋させることができる。粒子内架橋
は、該分散物を単に長期間貯蔵することによってもある
程度進行する可能性があるが、有利には、該水分散化物
を約50℃以上の温度に加熱することにより粒子内架橋
を促進するのが望ましい。あるいはまた、上記加水分解
性アルコキシシラン基を含有するエポキシ樹脂アミン付
加物の水分散化に際して、該樹脂溶液中または水媒体中
にオクチル酸錫、オクチル酸亜鉛、オクチル酸ジルコニ
ウム、ジブチル錫ジラウレートなどのシラノール基縮合
触媒を加えて、該触媒の存在下で水分散化を行なうこと
によって、水分散化と同時的に粒子内架橋を行なうこと
もできる。
【0120】このようにして製造されるゲル化微粒子水
分散液は、通常約10〜40重量%、好ましくは15〜
30重量%の樹脂固形分含量を有することができる。ま
た、分散粒子の粒径は、一般に0.5μm以下、好まし
くは0.01〜0.3μm、より好ましくは0.05〜
0.2μmの範囲内にあることができる。粒径の調整は
加水分解性アルコキシシラン基を含有するエポキシ樹脂
アミン付加物中のカチオン性基の量を調節することによ
って行なうことができ、それによって容易に所望の範囲
内の粒径を得ることができる。
【0121】カチオン電着塗料(A)におけるゲル化微
粒子の配合量は、塗膜溶融粘度を前記範囲に調整するも
のであれば特に制限されるものではないが、いずれのゲ
ル化微粒子を使用する場合でも全樹脂固形分に対し、3
〜50重量%、好ましくは7〜35重量%が適当であ
る。
【0122】上記ゲル化微粒子を配合する際、必要に応
じて他の粒子状成分としてカーボンブラック、チタン
白、鉛白、酸化鉛、ベンガラのような着色顔料;クレ
ー、タルクのような体質顔料;クロム酸ストロンチウ
ム、クロム酸鉛、塩基性クロム酸鉛、鉛丹、ケイ酸鉛、
塩基性ケイ酸鉛、リン酸鉛、塩基性リン酸鉛、トリポリ
リン酸鉛、ケイクロム酸鉛、黄鉛、シアナミド鉛、鉛酸
カルシウム、亜鉛化鉛、硫酸鉛、塩黄性硫酸鉛等の防食
顔料などを併用してもよい。
【0123】また、粒子状成分としてカチオン電着塗料
(A)に顔料のみを配合する場合には、吸油量100以
上の顔料、例えば二酸化珪素系顔料またカーボン系顔料
などを全顔料中5重量%以上配合することが適当であ
る。
【0124】カチオン電着塗料(A)には、さらに必要
に応じて通常の塗料用添加剤が配合できる。該添加剤と
しては、例えば、分散剤又は塗面のハジキ防止剤として
の少量の非イオン系界面活性剤;硬化促進剤等が挙げら
れる。
【0125】このようにして調製されるカチオン電着塗
料を基体上に電着させて得られる塗膜の膜厚は厳密に制
限されるものではないが、一般には、乾燥膜厚に基いて
3〜200μm、好ましくは5〜100μm、さらに好
ましくは10〜40μmの範囲内が適当である。塗装
は、通常のカチオン電着塗装条件を用いて行なうことが
できる。例えば、浴濃度(固形分濃度)5〜40重量
%、好ましくは10〜25重量%及び浴pH5〜8、好
ましくは5.5〜7の範囲内のカチオン電着浴を調製す
る。次いでこの電着浴を用い、例えば5cm×15cm
×1cmの大きさのカーボン板を陽極とし且つ例えば5
cm×15cm×0.7mmの大きさのリン酸亜鉛処理
板を陰極とする場合、下記の条件下に電着を行なうこと
ができる。 浴温度:20〜35℃、好ましくは25〜30℃、 直流電流 電流密度:0.005〜2A/cm2 、好ましくは0.
01〜1A/cm2 電 圧:10〜500V、好ましくは100〜300
V 通電時間:0.5〜5分間、好ましくは2〜3分間
【0126】本発明の方法では、上記塗料(A)をカチ
オン電着塗装後、電着浴から被塗物を引き上げ水洗した
のち、電着塗膜面の水滴を除去し、さらに好ましくは電
着塗膜中に含まれる水分の殆どもしくは全部を熱風など
の乾燥手段(例えば80〜110℃程度で5〜10分間
程度が適当)で除去したのち、該未硬化(半硬化含む)
塗膜面に、耐チッピングプライマーを塗装する。
【0127】本発明において使用しうるプライマー(以
下、「塗料(B)」と略称することがある)は、耐チッ
ピング性などに優れるそれ自体公知のプライマーが使用
できる。具体的には、例えば特開昭61−120673
号公報等に記載の如き、形成塗膜の静的ガラス転移温度
が−30〜−60℃、好ましくは−40〜−50℃であ
る変性ポリオレフィン系樹脂を主成分とするバリアーコ
ートがまず挙げられる。該塗料は有機溶剤型であり、か
かる変性ポリオレフィン系樹脂としては、例えばプロピ
レン−エチレン共重合体(モル比で、40〜80:60
〜20%が好適)に、塩素化ポリオレフィン(塩素化率
約1〜60%)を1〜50重量部、好ましくは10〜2
0重量部(いずれも該共重合体100重量部あたり)を
配合してなる混合物、または上記プロピレン−エチレン
共重合体100重量部あたりにマレイン酸もしくは無水
マレイン酸を0.1〜50重量部、好ましくは0.3〜
20重量部グラフト重合せしめた樹脂などが挙げられ
る。またこれら樹脂に必要に応じてロジン、クマロンな
どの粘性付与剤を配合することもできる。上記形成塗膜
の静的ガラス転移温度は示差走査型熱量計(第I精工舎
製DSC−10型)で測定した値であり、この測定に使
用した試料は該バリアコートを形成塗膜にもとづいて2
5μmになるようにブリキ板に塗装し、120℃で30
分間焼付けたのち、水銀アマルガム法により単離したも
のである。
【0128】さらに、使用しうる耐チッピングプライマ
ーとして、カルボキシル基含有ポリウレタンポリマーを
水性媒体の存在下で鎖伸長して得られるポリウレタンエ
マルジョンを含有する水性プライマーを挙げることがで
き、ウェットオンウェット塗装の仕上り性の点から好適
に使用することができる。
【0129】該水性プライマーは、上記の如きウレタン
エマルジョンであれば特に制限されるものではないが、
好ましくは分子内に活性水素基を含まない親水性有機溶
剤の存在下又は不存在下で、(i)脂肪族及び/又は脂
環式ジイソシアネート、(ii)数平均分子量が500〜
5,000のポリエーテルジオール又はポリエステルジ
オール又はこれらの混合物、 (iii)低分子量ポリヒドロ
キシル化合物及び(iv)ジメチロールアルカン酸を、N
CO/OH当量比が1.1〜1.9の範囲内の比率で、
ワンショット又は多段法により重合させてウレタンプレ
ポリマーを合成し、次いで該プレポリマーを第3級アミ
ンで中和した後又は中和しながら、水と混合することに
より、水伸長反応を行わしめると同時に水中に乳化分散
させた後、必要により前記有機溶剤を留去することによ
り調製される平均粒子径0.001〜1.0μm程度の
自己乳化型ウレタン樹脂の水分散体が好適である。
【0130】該ウレタンプレポリマーの製造に用いられ
る(i)成分としては、炭素数2〜12の脂肪族ジイソ
シアネート、たとえばヘキサメチレンジイソシアネー
ト、リジンジイソシアネート;炭素数4〜18の脂環式
ジイソシアネート、たとえば1,4−シクロヘキサンジ
イソシアネート、1−イソシアナト−3−イソシアナト
メチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(イソ
ホロンジイソシアネート)、4,4´−ジシクロヘキシ
ルメタンジイソシアネート;これらのジイソシアネート
の変性物(カーボジイミド、ウレトジオン、ウレトイミ
ン含有変性物など);及びこれらの二種以上の混合物が
挙げられ、(ii)成分としては、例えばアルキレンオキ
シド(エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレ
ンオキシド等)及び/又は複素環式エーテル(テトラヒ
ドロフラン等)を重合又は共重合(ブロック又はランダ
ム)させて得られるもの、例えばポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン−プロピ
レン(ブロック又はランダム)グリコール、ポリテトラ
メチレンエーテルグリコール;ジカルボン酸(アジピン
酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸等)と
グリコール(エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル等)とを縮重合させたもの、例えばポリエチレンアジ
ペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレン
アジペート、ポリネオペンチルアジペート、ポリ−3−
メチルペンチルアジペート、ポリエチレン/ブチレンア
ジペート、ポリネオペンチル/ヘキシルアジペート;ポ
リラクトンジオール、例えばポリカプロラクトンジオー
ル、ポリ−3−メチルバレロラクトンジオール;ポリカ
ーボネートジオール;及びこれらの二種以上の混合物が
挙げられる。
【0131】前記プレポリマーの製造に用いられる(ii
i) 成分としては、数平均分子量が500未満であっ
て、例えば上記ポリエステルジオールの原料として挙げ
たグリコール及びそのアルキレンオキシド低モル付加物
(分子量500未満);3価アルコール例えばグリセリ
ン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等
及びそのアルキレンオキシド低モル付加物(分子量50
0未満);及びこれらの二種以上の混合物が挙げられ
る。低分子量ポリヒドロキシル化合物の量は前記ポリエ
ーテルジオール又はポリエステルジオールに対し、通常
0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%で
ある。また(iv)成分としては、例えばジメチロール酢
酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酢酸、ジ
メチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸等が挙げら
れる。ジメチロールアルカン酸の量は、カルボキシル基
(−COOH)として(i)〜(iv)を反応させてなる
ウレタンプレポリマー中0.5〜5重量%、好ましくは
1〜3重量%になる量である。カルボキシル基の量が
0.5重量%未満では安定なエマルジョンが得にくく、
5重量%を越えると、親水性が高くなるため、エマルジ
ョンが著しく高粘度となり、また塗膜の耐水性を低下さ
せる傾向がみられる。更に該カルボキシル基はカチオン
電着塗膜及び中塗り塗膜との付着性を向上させることが
できる。
【0132】該酸基の中和に用いられる3級アミンとし
ては、トリアルキルアミン、例えばトリメチルアミン、
トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n
−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン;N−アル
キルモルホリン、例えばN−メチルモルホリン、N−エ
チルモルホリン;N−ジアルキルアルカノールアミン、
例えばN−ジメチルエタノールアミン、N−ジエチルエ
タノールアミン;及びこれらの2種以上の混合物が挙げ
られる。これ等のうち好ましいものは、トリアルキルア
ミンであり、特に好ましいものはトリエチルアミンであ
る。3級アミンの中和量は、ジメチロールアルカン酸の
カルボキシル基1当量に対し、通常0.5〜1当量、好
ましくは0.7〜1当量である。
【0133】以上の如き塗料(B)には必要に応じて体
質顔料、着色顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを含
有することができる。
【0134】該塗料(B)の塗装方法は特に限定され
ず、例えばスプレー塗装、ハケ塗り、浸漬塗装などがあ
り、塗装膜厚は乾燥膜厚で約1〜20μm、特に5〜1
5μmが好ましい。
【0135】本発明の方法においては、前記未硬化電着
塗膜面に上記プライマー塗膜を形成し、必要に応じて該
塗面を60〜100℃程度で3〜10分間プレヒートし
(特に水性プライマーの場合に好適である)、次いで該
未硬化塗膜面に中塗り塗料又は直接上塗り塗料を塗装し
た後、加熱して該3層塗膜を同時に硬化せしめることを
特徴とする。すぐれた仕上り外観などが要求される場合
には、プライマー塗面に中塗り塗料を塗装して該3層塗
膜を同時硬化せしめた後、上塗り塗装することが好まし
い。
【0136】本発明に従い、プライマー塗膜面に中塗り
塗料を塗装する場合、使用される中塗り塗料は、付着
性、平滑性、鮮映性、耐オーバーベイク性、耐候性など
のすぐれたそれ自体公知の中塗り塗料が使用できる。具
体的には、油長30%以下の短油、超短油アルキド樹脂
もしくはオイルフリーポリエステル樹脂とアミノ樹脂と
をビヒクル主成分とする有機溶液形熱硬化性中塗り塗料
がまずあげられる。これらのアルキド樹脂およびポリエ
ステル樹脂は、水酸基価60〜140、酸価5〜40、
しかも変性油として不飽和油(もしくは不飽和脂肪酸)
を用いたものが好ましく、アミノ樹脂は、アルキル(炭
素数1〜5)エーテル化したメラミン樹脂、尿素樹脂、
ベンゾグアナミン樹脂などが適している。これらの配合
比は固形分重量にもとづいてアルキド樹脂および(また
は)オイルフリーポリエステル樹脂65〜85%、特に
70〜80%、アミノ樹脂35〜15%、特に30〜2
0%であることが好ましい。さらに、上記アミノ樹脂を
ポリイソシアネート化合物やブロック化ポリイソシアネ
ート化合物に代えることができる。
【0137】また使用しうる該中塗り塗料として、該形
態が上記の如きビヒクル成分を用いた水溶液型、水分散
液型、非水分散液型、ハイソリッド型などのものも挙げ
ることもできる。
【0138】さらに上記の如きポリエステル樹脂とアミ
ノ樹脂とを有する中塗り塗料に、塗膜の硬化性を向上さ
せる点から、脂環式エポキシ化合物を含有せしめること
もできる。該脂環式エポキシ化合物は、脂環式炭化水素
環上にあるエポキシ基及び脂環式炭化水素環を形成する
炭素原子に直接結合したエポキシ基から選ばれる少なく
とも1種以上のエポキシ基を1分子中に少なくとも2個
以上有するものである。該脂環式炭化水素環は3員の小
員環のものから7員環又はそれ以上のものであってもよ
く、また、該環は、単環でも多環でもよく、更に環が有
橋炭化水素環を構成していてもよい。
【0139】該脂環式エポキシ化合物としては、工業的
に入手可能であれば特に制限なく使用でき、具体例とし
て下記の如きものが例示できる。
【0140】
【化24】
【0141】さらにまた、下記一般式及び単位式
(1)、(2)又は(3)をもつ化合物などが挙げられ
る。
【0142】
【化25】 (式中、R1 は活性水素を有する有機残基であり、pは
2〜100である。)
【0143】
【化26】 (式中、pは前記と同様の意味を示す。)
【0144】
【化27】 (式中、Yは脂環式エポキシ残基であり、Xは
【化28】 であり、R2 はC1-18アルキル基又はシクロアルキル基
であり、R3 はC1-6 アルキレン基であり、nは0〜1
00であり、mは5〜100である。)
【0145】上記単位式(3)におけるYは、
【化29】 などの脂環式エポキシ基を有する有機基である。
【0146】上記単位式(1)〜(3)を有する化合物
としては、前記塗料(A)のエポキシ樹脂(II)の製造
のところにおける第1の製造方法、あるいは第3の製造
方法に従って製造された如きものが挙げられ、具体例と
して、市販品では該一般式(I)を有する化合物とし
て、例えばEHPE−3150、EHPE−3100、
EHPE−1150(以上、ダイセル化学工業社製、商
品名)などが挙げられる。
【0147】上記脂環式エポキシ化合物は、数平均分子
量100,000以下、好ましくは約50,000以
下、さらに好ましくは30,000以下、脂環式エポキ
シ基の数が平均約2〜400個のものが好ましい。
【0148】上記脂環式エポキシ化合物を中塗り塗料に
配合する場合には、前記ポリエステル樹脂及びアミノ樹
脂との総合計量(固形分)100重量部に対して約1〜
20重量部、好ましくは約2〜10重量部配合すること
が望ましい。
【0149】上記中塗り塗料には、さらに体質顔料、着
色顔料、その他塗料用添加剤などを必要に応じて配合す
ることができる。
【0150】中塗り塗料の塗装法は特に制限されるもの
ではなく、それ自体既知の方法が採用でき、例えばスプ
レー塗装、ハケ塗り、浸漬塗装、静電塗装などが挙げら
れ、その塗装膜厚は乾燥塗膜に基づいて一般に10〜5
0μm、特に20〜30μmの範囲が好ましい。
【0151】本発明に従いプライマー塗膜または中塗り
塗膜の表面に上塗り塗料を塗装する場合、使用される上
塗り塗料は、被塗物に美粧性を付与する塗料であって、
特に制限なしに従来のものから適宜選択して使用でき
る。具体的には、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、シ
リコン樹脂、フッ素樹脂及びこれらの変性樹脂を基体樹
脂成分とし、そして(ブロック)ポリイソシアネート化
合物、メラミン樹脂、金属キレート、アルコキシシラン
化合物を架橋剤(又は触媒)として含有する水性、有機
溶剤形もしくは非水分散形、粉体形、ハイソリッド形な
どの塗料が挙げられる。
【0152】上塗り塗料は、上記のビヒクル主成分を用
いた塗料にメタリック顔料および/または着色顔料を配
合したメタリック塗料またはソリッドカラー仕上げ塗料
とこれらの顔料を全くもしくは殆ど含まないクリヤー塗
料(カラークリヤー塗料も含む)に分類することができ
る。そして、これらの塗料を用いて上塗り塗膜を形成す
る方法として、例えば、下記〜が挙げられる。
【0153】 メタリック顔料、必要に応じて着色顔
料を配合してなるメタリック塗料または着色顔料を配合
してなるソリッドカラー塗料を塗装し、加熱硬化する。 メタリック塗料またはソリッドカラー塗料を塗装
し、加熱硬化した後、さらにクリヤー塗料を塗装し、再
度加熱硬化する。 メタリック塗料またはソリッドカラー塗料を塗装
し、続いてクリヤー塗料を塗装した後、加熱して該両塗
膜を同時に硬化する。
【0154】これらの上塗り塗料は、スプレー塗装、静
電塗装などで塗装することが好ましい。また、塗装膜厚
は、乾燥塗膜に基いて、上記では25〜45μm、上
記、では、メタリック塗料ならびにソリッドカラー
塗料は10〜30μm、クリヤー塗料は25〜50μm
がそれぞれ好ましい。
【0155】本発明の方法においては、カチオン電着塗
料(A)をカチオン電着塗装し、加熱硬化させることな
く、該未硬化塗面にプライマーを塗装し、さらに中塗り
塗料又は直接上塗り塗料を塗装したのち、加熱して該3
層塗膜を同時に硬化させる。これら塗膜を硬化させるた
めの加熱温度は、特に制限を受けないが、具体的には、
70〜250℃、特に120〜160℃の範囲が好まし
い。該温度で15〜40分間加熱するのが適当である。
プライマー塗膜上に中塗り塗料を塗装した上に、前記上
塗り塗装を行なう場合には、該上塗り塗料の加熱条件は
ビヒクル成分および被塗物の材質等によって任意に採択
できるが、一般には約60〜約140℃、特に80〜1
40℃で10〜40分間が好ましい。
【0156】
【発明の効果】本発明の方法によれば、電着塗膜と該塗
膜上の耐チッピングプライマー塗膜及び中塗り又は上塗
り塗料の塗膜の硬化が3コート1ベーク方式であるた
め、カチオン電着塗膜のみを硬化するための加熱乾燥炉
が全く必要でないのでその設備費、用地および炉のライ
ニング諸経費(燃料費、メンテナンス費その他)がすべ
て省略でき、従来の3コート3ベーク方式あるいは3コ
ート2ベーク方式にくらべてかなりのコストメリットが
期待できる。また電着塗膜のエッジカバー性が良好で、
さらに、本発明によって形成される複層塗膜は、塗装工
程を短縮しても電着膜によるブリード、硬化阻害の発生
が抑えられ、プライマー塗膜の有する耐チッピング性が
十分に発揮され、さらに平滑性、光沢、鮮映性などの仕
上り性、付着性、耐湿性および硬化性等に優れるもので
ある。
【0157】
【実施例】次に実施例により本発明を更に具体的に説明
する。実施例中「部」は「重量部」であり、「%」は
「重量%」である。
【0158】I 製造例I−1 基体樹脂(I)の製造 基体樹脂(I−) エポキシ当量950のビスフェノールAタイプエポキシ
樹脂[商品名「エピコート1004、シェル化学社製]
1,900部をブチルセロソルブ993部に溶解し、ジ
エタノールアミン210部を反応させて固形分68%、
第1級水酸基当量528、アミン価53をもつ基体樹脂
(I−)を得た。
【0159】基体樹脂(I−) モノエタノールアミン39部を反応容器中で60℃に保
ち、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド1
00部を滴下し、60℃で5時間反応させ、N,N−ジ
メチルアミノプロピルアクリルアミドのモノエタノール
アミン付加物を得た。別にエポキシ当量190のビスフ
ェノールAジグリシジルエーテル950部、エポキシ当
量340のプロピレングリコールジグリシジルエーテル
340部、ビスフェノールA456部及びジエタノール
アミン21部を仕込み、120℃まで昇温し、エポキシ
価が1.02ミリモル/gになるまで反応させた後、エ
チレングリコールモノブチルエーテル479部で希釈、
冷却したのち、温度を100℃に保ちながら、ジエタノ
ールアミン158部及び上記N,N−ジメチルアミノプ
ロピルアクリルアミドのモノエタノールアミン付加物4
3部を加え、粘度上昇が止まるまで反応させ、樹脂固形
分80%、第1級水酸基当量518、アミン価54の基
体樹脂(I−)を得た。
【0160】基体樹脂(I−) エポキシ当量190のビスフェノールAジグリシジルエ
ーテル950部、エポキシ当量330のエポキシ樹脂X
B−4122(チバガイギー社製商品名)330部、ビ
スフェノールA456部及びジエタノールアミン21部
を仕込み、120℃まで昇温し、エポキシ価が、1.0
2ミリモル/gになるまで反応させた後、エチレングリ
コールモノブチルエーテル489部で希釈、冷却したの
ちジエタノールアミン126部、上記N,N−ジメチル
アミノプロピルアクリルアミドのモノエタノールアミン
付加物53.5部及びN−メチルアミノエタノール1
8.5部を加え、反応させ、樹脂固形分80%、第1級
水酸基当量592、アミン価55の基体樹脂(I−)
を得た。
【0161】I−2 硬化用樹脂(II)の製造 硬化用樹脂(II−) EHPE3150[エポキシ当量175〜195、ダイ
セル化学工業社製]32.6部とプロピレングリコール
モノメチルエーテル8.2部を100℃で加熱溶解し、
固形分80%、エポキシ当量190の硬化用樹脂(II−
)40.8部を得た。該樹脂の数平均分子量は約1,
500であった。
【0162】硬化用樹脂(II−) ビニルノルボルネンオキシド136部、4−ビニルシク
ロヘキセン−1−オキシド124部及びトリメチロール
プロパン18部にBF3 −エーテラートの10%酢酸エ
チル溶液200部を50℃で4時間かけて滴下して開環
重合を行なった。酢酸エチルを加えて水洗し、酢酸エチ
ル層を濃縮してから新に酢酸エチル130部を加えて溶
解し、過酢酸160部を酢酸エチル溶液として50℃で
4時間かけて滴下し、更に50℃で2時間熟成しエポキ
シ化反応を行なった。酢酸、酢酸エチル、過酢酸を除去
後、酢酸エチル500部に40℃で溶解し、つづいて2
50部の蒸留水で4回洗浄後酢酸エチルを除去し、80
℃で78部のプロピレングリコールモノメチルエーテル
に溶解し、固形分80%、エポキシ当量202の硬化用
樹脂(II−)を得る。該樹脂の数平均分子量は約1,
300であった。
【0163】硬化用樹脂(II−) リモネンの部分エポキシ化物(2−メチル−4−イソプ
ロペニル−1−シクロヘキセンオキシド)304部とト
リメチロールプロパン18部に、BF3 −エーテラート
の10%酢酸エチル溶液200部を50℃で4時間かけ
て滴下した。以下の操作を硬化用樹脂(II−)と同様
に行ない、80℃で80部のエチレングリコールモノブ
チルエーテルに溶解し、固形分80%、エポキシ当量2
05の硬化用樹脂(II−)を得る。該樹脂の数平均分
子量は約1,000であった。
【0164】硬化用樹脂(II−) 2,4−または1,4−ジメチル−4エテニル−1シク
ロヘキセンオキシド304部を用い、硬化用樹脂(II−
)と同様に行ない、固形分80%、エポキシ当量19
9の硬化用樹脂(II−)を得る。該樹脂の数平均分子
量は約950であった。
【0165】硬化用樹脂(II−) セロキサイド3000[
【化30】 、ダイセル化学工業社製商品名]460部、アルミニウ
ムアセチルアセトナート0.3部及びテトラエトキシシ
ラン5部に蒸留水0.1部を加え、80℃で1時間保っ
た後、120℃で3時間反応後エチレングリコールモノ
ブチルエーテル116部を加えて、固形分80%エポキ
シ当量280の硬化用樹脂(II−)を得る。該樹脂の
数平均分子量は約1,100であった。
【0166】硬化用樹脂(II−) シクロペンタジエンの二量体132部を酢酸エチル70
部に溶解し、過酢酸160部を酢酸エチル溶液として3
5℃で7時間かけて滴下し、更に40℃で6時間熟成し
た。酢酸、酢酸エチル、過酢酸を除去後、酢酸エチル5
00部に40℃で溶解し、つづいて250部の蒸留水で
5回洗浄後酢酸エチルを除去し、80℃で43部のメチ
ルイソブチルケトンに溶解し、固形分80%、エポキシ
当量90の化合物(D)を得た。
【0167】4−ビニルシクロヘキセン94部を酢酸エ
チル75部に溶解し、過酢酸160部を酢酸エチル溶液
として50℃で4時間かけて滴下し、更に50℃で2時
間熟成した。酢酸、酢酸エチル、過酢酸を除去後、酢酸
エチル500部に40℃で溶解し、つづいて250部の
蒸留水で5回洗浄後酢酸エチルを除去し、80℃で32
部のメチルイソブチルケトンに溶解し、固形分80%、
エポキシ当量65の化合物(E)を得た。化合物(D)
225部と化合物(E)163部にアルミニウムアセチ
ルアセトナート0.2部及びトリメチロールプロパン1
0部を加え、100℃で1時間保った後、150℃で3
時間反応後エチレングリコールモノブチルエーテル60
部を加えて冷却する。固形分70%、エポキシ当量21
0の硬化用樹脂(II−)を得る。該樹脂の数平均分子
量は約1,100であった。
【0168】硬化用樹脂(II−) METHB(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメ
タクリレート)33.4部にアゾビスジメチルバレロニ
トリル2部を溶解したものを、100℃に加熱したメチ
ルイソブチルケトン10部とブチルセロソルブ10部と
の混合溶剤に2時間かけて滴下し、1時間熟成後、12
5℃に昇温して更に1時間熟成し、固形分60%、エポ
キシ当量196の硬化用樹脂(II−)溶液54部を得
た。該樹脂の数平均分子量は約10,000であった。
【0169】硬化用樹脂(II−) METHBモノマー32.0部とヒドロキシエチルアク
リレート8.0部を混合したものにアゾビスジメチルバ
レロニトリル2.4部を溶解したものを100℃に加熱
したブチルセロソルブ24部に2時間かけて滴下し、1
時間熟成した後、125℃に昇温して更に1時間熟成
し、固形分60%、エポキシ当量245の硬化用樹脂
(II−)64.8部を得た。該樹脂の数平均分子量は
約12,000であった。
【0170】硬化用樹脂(II−) 3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート3
7部とヒドロキシエチルアクリレート3部を混合したも
のにアゾビスジメチルバレロニトリル2.4部を溶解
し、以下硬化用樹脂(II−)と同様に処理を行ない、
固形分60%、エポキシ当量200の硬化用樹脂(II−
)を得た。該樹脂の数平均分子量は約15,000で
あった。
【0171】I−3 加水分解性アルコキシシラン基を
含有するエポキシ樹脂アミン付加物の製造 製造例1 加水分解性アルコキシシラン基を含有するエポキシ樹脂
アミン付加物を次の配合で製造した。
【0172】 原料 重量部 エポン828EL1) 1,045 ビスフェノールA 171 ジエタノールアミン 52.2 KBE−9032) 221 ジエタノールアミン 157.5 エチレングリコールモノブチルエーテル 706 注1)エポキシ当量約190を持つビスフェノールAの
ジグリシジルエーテル(油化シェル(株)製) 注2)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化
学(株)製) 温度計、撹拌機、還流冷却器及び窒素ガス吹き込み口を
取り付けた反応容器に、窒素ガス吹き込み下でエポン8
28EL、ビスフェノールA及びジエタノールアミンを
仕込んで120℃に加熱し、エポキシ当量3)が理論値
(317)に達するまで反応させた。その後80℃まで
冷却し、KBE−903とジエタノールアミンを加え、
3級アミン値4)が理論値(102)に達するまで反応さ
せた。その後エチレングリコールモノブチルエーテルで
希釈し、数平均分子量約1,650の加水分解性アルコ
キシシラン基を含有するエポキシ樹脂アミン付加物の固
形分70%のエチレングリコールモノブチルエーテル溶
液を得た。
【0173】注3)JIS K−7236に準拠。但
し、アミノ基もエポキシ基として合算する。
【0174】注4)無水酢酸でアセチル化した後、クリ
スタルバイオレットを指示薬として過塩素酸で滴定。
【0175】製造例2 加水分解性アルコキシシラン基を含有するエポキシ樹脂
アミン付加物を次の配合で製造した。
【0176】 原料 重量部 エポン828EL 950 ビスフェノールA 342 ジエタノールアミン 52.5 X−12−6365) 289.5 エチレングリコールモノブチルエーテル 700 注5)N−メチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン(信越化学(株)製) 製造例1と同様な反応装置に窒素ガス吹き込み下でエポ
ン828EL、ビスフェノールA及びジエタノールアミ
ンを仕込んで120℃に加熱し、エポキシ当量3)が理論
値(672)に達するまで反応させた。その後80℃ま
で冷却し、X−12−636を加え、3級アミン価が理
論値(69)に達するまで反応させた。その後エチレン
グリコールモノブチルエーテルで希釈し、数平均分子量
約1,600の加水分解性アルコキシシラン基を含有す
るエポキシ樹脂アミン付加物の固形分70%の溶液を得
た。
【0177】製造例3 加水分解性アルコキシシラン基を含有するエポキシ樹脂
アミン付加物を次の配合で製造した。
【0178】 原料 重量部 エポン828EL 950 ビスフェノールA 342 アミンA6) 96.5 アミンA(後添加) 193 アミンB7) 159 脱イオン水 36 KBE−4028) 496 エチレングリコールモノブチルエーテル 486 注6)有効成分74%のモノエタノールアミンとメチル
イソブチルケトンとのケチミンのメチルイソブチルケト
ン溶液。
【0179】注7)有効成分84%のジエチレントリア
ミンのメチルイソブチルケトンジケチミンのメチルイソ
ブチルケトン溶液。
【0180】注8)γ−グリシドキシプロピルメチルジ
エトキシシラン(信越化学(株)製) 製造例1と同様な反応装置に窒素ガス吹き込み下でエポ
ン828EL、ビスフェノールA及びアミンAを仕込ん
で160℃に加熱し、エポキシ当量3)が理論値(69
4)に達するまで反応させた。その後、100℃まで冷
却し、アミンA(後添加)及びアミンBを加え、3級ア
ミン価が理論値(97)に達するまで反応させた。その
後、100℃で脱イオン水を加えて脱ケチミン化反応を
行ない、続いて、同じく100℃にてKBE−402を
加えてエポキシ基がなくなるまで反応させた。その後エ
チレングリコールモノブチルエーテルで希釈し、数平均
分子量1,900の加水分解性アルコキシシラン基を含
有するエポキシ樹脂アミン付加物の固形分70%の溶液
を得た。
【0181】I−4 ゲル化微粒子の製造 製造例4 21フラスコに、製造例1で得た加水分解性アルコキシ
シラン基を含有するエポキシ樹脂アミン付加物100部
および10%酢酸11部を加えて30℃で5分間撹拌し
た後、脱イオン水239部を強く撹拌しながら約30分
間かけて滴下し、50℃に昇温して約3時間撹拌を行な
った。
【0182】かくして、固形分20%の乳白色の粒子内
架橋したゲル化微粒子(G−)分散液が得られ、この
微粒子のエチレングリコールモノブチルエーテル中での
平均粒子径は0.15μmであった。
【0183】製造例5 21フラスコに、製造例2で得た加水分解性アルコキシ
シラン基を含有するエポキシ樹脂アミン付加物100部
および10%酢酸7.5部を加えて30℃で5分間撹拌
した後、脱イオン水242.5部を強く撹拌しながら約
30分かけて滴下し、50℃に昇温して約3時間撹拌を
行なった。
【0184】かくして、固形分20%、エチレングリコ
ールモノブチルエーテル中での平均粒子径0.15μm
の乳白色の粒子内架橋したゲル化微粒子(G−)分散
液が得られた。
【0185】製造例6 21フラスコに、製造例3で得た加水分解性アルコキシ
シラン基を含有するエポキシ樹脂アミン付加物100部
および10%酢酸11部を加えて30℃で5分間撹拌し
た後、脱イオン水239部を強く撹拌しながら約30分
かけて滴下し、50℃に昇温して約3時間撹拌を行なっ
た。
【0186】かくして、固形分20%、エチレングリコ
ールモノブチルエーテル中での平均粒子径0.15μm
の乳白色の粒子内架橋したゲル化微粒子(G−)分散
液が得られた。
【0187】製造例7 撹拌装置、温度計、冷却管及び加熱マントルを備えた1
■フラスコに、脱イオン水3,507.5部及びラテム
ルK−180(花王株式会社製、25%水溶液)80部
を入れ、撹拌しながら90℃まで昇温した。これに重合
開始剤であるVA−086(和光純薬工業株式会社製)
12.5部を脱イオン水500部に溶解した水溶液混合
物の20パーセントを加えた。15分後に下記モノマー
混合物の5パーセントを加えた。 スチレン 430部 n−ブチルアクリレート 440部 1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 40部 2−ヒドロキシエチルアクリレート 40部 KBM−503* 50部 * γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業製)
【0188】ついで、さらに30分間撹拌した後、残り
のモノマー混合物及び重合開始剤水溶液の滴下を開始し
た。モノマー混合物は3時間で、重合開始剤水溶液は
3、5時間でそれぞれ供給し、重合温度を90℃に保っ
た。重合開始剤水溶液の滴下終了後も30分間加熱して
90℃に保ったのち室温に冷却し、濾布を用いて濾過し
取り出した。かくして固形分20%、平均粒子径0.0
7μmのゲル化微粒子(G−)分散液を得た。(特開
平2−47173号公報参照)
【0189】I−5 顔料ペーストの製造 基体樹脂12.5部に10%ギ酸4.4部を加え、撹拌
しながら脱イオン水15部を加える。更にチタン白10
部、クレー10部、カーボン1部、塩基性ケイ酸鉛2部
を加え、ボールミルで24時間分散後脱イオン水11部
を加え、固形分50%の顔料ペースト(P−1)を得
た。基体樹脂は、表1に記載の各製造例と同一のものを
用いた。また、該顔料ペースト(P−1)において、顔
料分をすべて、クレー15部、サイロイド244(富士
デヴィソン社製、含水無定形二酸化珪素顔料、吸油量3
00)27部、カーボン2部、グラファイト(中越黒鉛
社製、リン片状黒鉛)5部におきかえる以外は同様にし
て固形分64.2%の顔料ペースト(P−2)を得た。
【0190】I−6 カチオン電着塗料(A−1)の作成 上記製造例で得た基体樹脂(I)、硬化用樹脂(II)、
ゲル化微粒子および顔料ペーストを用いてカチオン電着
塗料(A−1)を作成した。すなわち表1に示す配合量
(いずれも固形分表示)で、まず基体樹脂(I)および
硬化用樹脂(II)を混合して脱イオン水で固形分20%
に調整したのち、さらにゲル化微粒子および顔料ペース
トなどを配合し、脱イオン水を加えて固形分20%の各
カチオン電着浴を得た。尚、表1において電着浴のpH
は10%ギ酸水溶液で調製した。
【0191】
【表1】
【0192】I−7 カチオン電着塗料(A−2)の作成 下記成分〜を一緒にし150℃で2時間反応させた
後、成分〜を配合し、80〜90℃で3時間反応さ
せ、固形分75%の基体樹脂(I−)を得た。
【0193】 ビスフェノール型エポキシ樹脂 (チバガイギー社製「アラルダイト #6071」) 930 部 ビスフェノール型エポキシ樹脂 (チバガイギー社製「アラルダイト GY2600」) 380 部 ポリカプロラクトンジオール (ダイセル社製「プラクセル #205」) 550 部 ジメチルベンジルアミン酢酸塩 2.6部 p−ノニルフェノール 79 部 モノエタノールアミンのメチル イソブチルケトンケチミン化物 71 部 ジエタノールアミン 105 部 ブチルセロソルブ 180 部 セロソルブ 525 部
【0194】次いで、上記基体樹脂(I−)を第4級
塩化して固形分60%に調整したものを5.73部、チ
タン白14.5部、カーボン0.54部、クレー7.0
部、ケイ酸鉛2.3部、ジブチル錫オキサイド2.0
部、脱イオン水27.49部からなる固形分50%の顔
料ペースト(P−3)を作成した。
【0195】前記基体樹脂(I−)を用いて、表2に
示す配合量でジイソシアネートなどと混合して、さらに
ゲル化微粒子および顔料ペースト(P−3)などを配合
し、脱イオン水を加えて固形分20%の各カチオン電着
浴を作成した。尚、表2において電着浴のpHは10%
酢酸水溶液で調整した。
【0196】I−8 カチオン電着塗料(A−3)の作成 カチオン電着塗料(A−3)は、前記カチオン電着塗料
(A−2)の作成において表2に示す配合でジイソシア
ネートを代える以外はすべて(A−2)と同様にして作
成した。
【0197】
【表2】
【0198】I−9 プライマー(B)の作成 ポリブチレンアジペート(数平均分子量2,000)2
30g、ポリカプロラクトンジオール(数平均分子量
2,000)230g、ジメチロールプロピオン酸46
g、1,4−ブタンジオール13g及びイソホロンジイ
ソシアネート240gを反応せしめてNCO含有量4.
0%の末端NCOプレポリマーを得た。次に、得られた
プレポリマーにアセトン330gを加え均一に溶解した
後、撹拌下にトリエチルアミン31gを加え、更に、イ
オン交換水1,200gを加え、得られた水分散体を5
0℃で2時間保持し水伸長反応を完結させた後、減圧下
アセトンを留去し、固形分42%のポリウレタンエマル
ジョンを得た。これをプライマー(B−1)とした。ま
たプロピレン−エチレン共重合体にマレイン酸をグラフ
ト重合せしめた樹脂(静的ガラス転移温度−43℃)の
有機溶剤希釈液体をプライマー(B−2)とした。
【0199】I−10 有機溶剤型中塗り塗料(C−1)の作成 反応容器に、無水フタル酸59.2部、ヘキサヒドロ無
水フタル酸23.1部、アジピン酸51.1部、トリメ
チロールプロパン27.3部及びネオペンチルグリコー
ル84部を仕込み、加熱して生成する縮合水を除去しな
がら230℃で5時間反応させた後、キシレン/スワゾ
ール1000=50/50の混合溶剤で固形分60%と
なるよう希釈し、水酸基価101、分子量5,400の
ポリエステル樹脂溶液を得た。上記ポリエステル樹脂溶
液、アミノ樹脂、脂環式エポキシ化合物などを配合し、
下記表3に示す組成の有機溶剤型中塗塗料(C−1−
)〜(C−1−)を作成した。
【0200】
【表3】
【0201】I−11 水性中塗り塗料(C−2)の作成 下記した配合により水性中塗り塗料(C−2−)を調
製した。
【0201】 (*1)ポリエステル: 無水フタル酸/イソフタル酸/アジピン酸/トリメチロールプロパン/ 0.1 0.35 0.5 0.25 ネオペンチルグリコール 0.75 (モル比) を反応容器に加え200℃で5時間反応させた後、無水
フタル酸を0.05モル添加しさらに130℃、1時間
反応させて数平均分子量4,800、酸価30、水酸基
価55のポリエステル樹脂を得た。
【0203】(*2)アミノ樹脂:三井サイアナミド
(株)製、サイメル370 (*3)チタン白:帝国化工(株)製JR−602(商
品名) カーボンブラック:三菱化成(株)製三菱カーボンブラ
ックM−100
【0204】また上記配合において、EHPE−315
0のかわりに3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキ
シメチルシクロヘキセンオキシドを使用したもの(C−
2−)、さらにEHPE−3150を配合しないで固
形分を同じに合わせたもの(C−2−)を上記と同様
に調整した。
【0205】II 実施例及び比較例 上記製造例で得たカチオン電着浴を浴温30℃に調整し
て、リン酸亜鉛処理鋼板(0.8×150×70mm)
を浸漬し、膜厚20〜25μm(乾燥膜厚)となるよう
に200〜300Vで3分間電着塗装を行なった。次い
で該塗板を引き上げ水洗し、水滴を除去した後、あるい
はまた水滴を除去しさらに100℃で10分間水切り乾
燥した後、該未硬化電着塗面に、上記プライマー(B)
を粘調して膜厚10μm(乾燥膜厚)となるようにスプ
レー塗装し、80℃で5分間プレヒートし、続いて未硬
化塗面に、上記製造例で得た中塗り塗料を粘調して膜厚
25〜30μm(乾燥膜厚)となるように噴霧塗装し、
該3層塗膜を160℃で30分間加熱して同時に硬化さ
せた(3コート1ベーク方式)。ただし、実施例17に
おいては上記中塗り塗装を行なわずに後述の上塗り塗料
を直接プライマー塗面に塗装して3コート1ベークとし
て仕上げた。また比較例5においては、電着塗膜と中塗
り塗膜の2コート1ベーク方式とし、比較例6において
は電着塗膜を160℃で30分間加熱硬化した後、プラ
イマー及び中塗り塗料を塗装し、該両塗膜を160℃で
30分間加熱硬化した(3コート2ベーク方式)。得ら
れた中塗り塗面の仕上り性を評価した。
【0206】さらに上記塗膜上(実施例17は除く)
に、上塗り塗料「アミラック黒」(関西ペイント社製、
メラミン/ポリエステル系有機溶剤型熱硬化性塗料)を
膜厚40〜45μm(乾燥膜厚)となるように塗装し、
140℃で30分間加熱し硬化させて塗装板を得た。各
実施例及び比較例で使用した電着塗料種、プライマー塗
料種、中塗り塗料種および形成した複層塗膜の性能試験
結果を下記表4に示す。
【0207】
【表4】
【0208】上記表4における性能試験方法は下記のと
おりである。 (*1)加熱減量:鋼板の重量をW0 とし、この鋼板に
30℃において各カチオン電着塗料を膜厚20〜25μ
mとなるように200〜300Vで3分間カチオン電着
後、電着浴から引き上げて塗面を水洗し、105℃で3
時間加熱して塗膜中の水分のすべてもしくは殆どを除去
してから塗膜重量(Y)を測定し、次いで、170℃で
20分間加熱して該塗膜を三次元架橋硬化した後の塗膜
重量(Z)を測定した。これらの測定値を次式にあては
めて電着塗膜加熱減量(X)をもとめた。
【数2】
【0209】(*2)塗膜溶融粘度:上記(*1)と同
様にして浴から引き上げた電着板を、160℃で加熱す
る際の電着塗膜の溶融粘度を転球式粘度測定法(JIS
−Z−0237に準ずる)との対比により引っかき傷跡
の熱流動外観から評価した。数値は最低時の粘度(セン
チポイズ)を示す。
【0210】(*3)中塗り塗面の仕上り性:電着塗膜
プライマー塗膜および中塗り塗膜を同時硬化せしめて得
られる中塗り塗面の平滑性及び鮮映性等の外観について
目視評価した。◎:良好、○:ちぢみ、へこみなどはな
いが、鮮映性がやや低下、△:ちぢみ、へこみなどがわ
ずかに発生、×:多く発生。
【0211】(*4)上塗り塗面の仕上り性:上塗り塗
装後の該塗面の平滑性、光沢、鮮映性などの仕上り性を
総合的に目視評価した。◎:良好、○:ほぼ良好、△:
やや不良。
【0212】(*5)耐チッピング性:飛石試験機(ス
ガ試験機(株)、JA−400型)を使用し、該試験機
の試料ホルダーに塗装板を垂直にとりつけ250gの6
号砕石を、同試験機の圧力計で4kg/cm2 の空気圧
で噴射し、砕石を塗装板に対し垂直に衝突させる。その
時のハガレ傷の程度を下記基準で評価する。 ◎(良):上塗り塗膜の一部に傷がごくわずかに認めら
れる。 ○(やや良):電着塗膜と上塗りおよび中塗り塗膜の一
部に傷がわずかに認められる。 △(やや不良):電着塗膜と上塗りおよび中塗り塗膜に
傷がかなり認められる。 ×(不良):衝撃部の電着塗膜の剥離と上塗りおよび中
塗り塗膜に大きな傷や剥離が非常に多く認められる。
【0213】(*6)付着性:ゴバン目(1×1mm1
00個)セロハン粘着テープテストによった。○は、は
がれなしを示す。
【0214】(*7)耐湿性:温度50℃、相対温度9
8〜100%RHのブリスターボックスに、5日間放置
後とり出し、フクレの有無を調べた。○はフクレなし、
△はややフクレ発生を示す。
【0215】(*8)エッジカバー性:平坦部の硬化膜
厚が20μmとなる条件でエッジ部角度45°を有する
鋼板に電着塗装し、さらにプライマー塗装、中塗り塗装
して(実施例17は上塗り塗装)所定の焼付条件で硬化
させ、試験板のエッジ部が垂直になる様にソルトスプレ
ー装置にセットし、JIS−Z−2371塩水噴霧試験
により塩水温度を50℃に設定して168時間後のエッ
ジ部の防食性を評価する。 ◎:サビ発生全くなし ○:サビわずかに発生 △:サビかなり発生 ×:サビエッジ部全面に発生
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 片山 禎二 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関 西ペイント株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カチオン電着塗料を塗装してなる未硬化
    塗膜面に、耐チッピングプライマーを塗装し、さらに中
    塗り塗料又は上塗り塗料を塗装し、該3層塗膜を同時に
    硬化させて複層塗膜を形成する方法であって、該カチオ
    ン電着塗料が、水分を除去した電着塗膜の加熱硬化時に
    おける塗膜減量が10重量%以下となる塗料であり、且
    つ該カチオン電着塗料より得られる塗膜の硬化時におけ
    る最小溶融粘度が104 〜108 cpsであることを特
    徴とする塗膜形成方法。
  2. 【請求項2】 前記カチオン電着塗料が、水酸基および
    カチオン性基を含有する樹脂(I)と、脂環式骨格およ
    び/または有橋脂環式骨格にエポキシ基が結合してなる
    エポキシ基含有官能基を1分子あたり平均2個以上有す
    るエポキシ樹脂(II)とを主成分として含有するもので
    ある請求項1記載の塗膜形成方法。
  3. 【請求項3】 前記カチオン電着塗料が、水酸基および
    カチオン性基を含有する樹脂(I)と、ブロック剤とし
    て分子量が130以下の低分子化合物を用いたブロック
    ポリイソシアネート化合物(III) とを主成分として含有
    するものである請求項1記載の塗膜形成方法。
  4. 【請求項4】 前記カチオン電着塗料が、ゲル化微粒子
    を含有する請求項1記載の塗膜形成方法。
  5. 【請求項5】 上記ゲル化微粒子が、加水分解性アルコ
    キシシラン基を含有するエポキシ樹脂アミン付加物を水
    分散化し粒子内架橋せしめてなるカチオン電着性ゲル化
    微粒子である請求項4記載の塗膜形成方法。
  6. 【請求項6】 前記耐チッピングプライマーが、形成塗
    膜の静的ガラス転移温度が−30〜−60℃である変性
    ポリオレフィン系樹脂を主成分とするバリアーコートで
    ある請求項1記載の塗膜形成方法。
  7. 【請求項7】 前記耐チッピングプライマーが、カルボ
    キシル基含有ポリウレタンプレポリマーを水性媒体の存
    在下で鎖伸長して得られるポリウレタンエマルジョンを
    含有する水性プライマーである請求項1記載の塗膜形成
    方法。
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