JPH0651343B2 - 輸液用プラスチック容器の製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、血液、血漿代用液等静脈注射用の輸液を収容
する輸液用プラスチック容器で、特に、容器の一端部に
栓体を封入し、使用時にはこの栓体に注射針を刺入して
容器内の輸液を抽出するようにした輸液用プラスチック
容器の製造方法に関するものである。

〔従来の技術〕

上記した輸液用プラスチック容器としては、特開昭63-9
6051号公報に示されたものがある。

この従来例の輸液用プラスチック容器は、一端部にフラ
ンジを有する開口部を設けた容器本体をブロー成形法に
より成形し、この開口部のフランジ面に、ゴム栓をあら
かじめ封入して帽子状に成形した外栓のフランジ面を熱
溶着することにより容器本体の一端部をゴム栓を有する
外栓にて閉じるようにしている。

〔発明が解決しようとする課題〕

上記従来の輸液用プラスチック容器の製造方法にあって
は、容器本体を製造するためのブロー成形工程のほか
に、ゴム栓を封入した栓体を製造する工程、及びこの栓
体を容器本体の開口部のフランジ面に熱溶着する工程等
複数の工程を必要としてその製造コストが高かった。ま
た上記栓体を容器本体側に溶着する際に、容器本体内に
溶着屑などの異物が入りやすく、衛生上にも問題があっ
た。

本発明は、上記のことにかんがみなされたもので、栓体
の溶着工程を省略できて製造工程を簡略化でき、しかも
栓体の溶着による異物が容器中に入ることがなくなり、
衛生的に製造でき、さらに栓体を輸液用プラスチック容
器の所定の位置に剥離することなく一体状に溶着するこ
とができるようにした輸液用プラスチック容器の製造方
法を提供することを目的とするものである。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本発明に係る輸液用プラス
チック容器の製造方法は、容器の一端部を栓体にて閉じ
てなる輸液用プラスチック容器をブロー成形により製造
する方法において、ゴム栓の周囲に上記プラスチック容
器と同材料の被膜を予め被覆してなる栓体を、パリスン
内に予め配置し、ブロー成形時にこの栓体をパリスンと
溶着一体化する。

〔作用〕

栓体はブロー成形時における分割金型の型締めにより成
形体の所定の位置に封入される。このとき栓体の周囲に
被覆したプラスチック被膜が容器本体のプラスチックと
熱溶着により同一化される。

〔実施例〕

本発明の実施例を図面に基づいて説明する。

図中１，２は左右に対向して配設された分割金型、３は
この両分割金型１，２の対向間にパリスン４を垂下する
押出しダイである。分割金型１，２の対向面には輸液用
プラスチック容器をブロー成形するためのキャビティが
成形されているが、このキャビティは上側から、栓部用
キャビティ１ａ，２ａ、首部用キャビティ１ｂ，２ｂ、
本体用キャビティ１ｃ，２ｃ、底部用キャビティ１ｄ，
２ｄとからなっている。

上記栓体用キャビティ１ａ，２ａは上方へ開放されてい
る。また底部用キャビティ１ｄ，２ｄは吹込みノズル５
を囲繞してパリスン４をピンチオフする形状になってい
る。

６は上記押出しダイ３の設置位置から側方へ離間する位
置に下向きに、かつ上下動可能に設けられた栓体打込み
装置であり、この装置６は上記分割金型１，２の型締め
状態での栓体用キャビティ１ａ，２ａの上側を閉じる形
状の打込みスリーブ８と、この打込みスリーブ８の軸心
部に摺動自在に、かつ下方へ突出する方向にばね９にて
付勢された打込みコア１０とからなっている。そしてこ
の打込みコア１０の軸心には、バキューム孔１１が先端
に開口して設けてある。

１２は型締め状態の栓体用キャビティ１ａ，２ａ内に挿
入されるゴム栓を備えた栓体であり、この栓体１２はパ
リスン４と同質材料の薄いプラスチック被膜１２ａにて
被覆されている。

上記装置を用いた本発明に係る輸液用プラスチック容器
の製造方法を以下に説明する。

(1)パリスン垂下（第１図） 分割金型１，２を離間すると共に、この両分割金型１，
２間の下部に吹込みノズル５を配置した状態で押出しダ
イ３よりパリスン４を、上記吹込みノズル５をかぶるよ
うに垂下する。

(2)型締め及び移動 分割金型１，２を型締めし、その後パリスン４の上部を
切断する。ついで分割金型１，２を栓体打込み装置６が
設けられた栓体打込み位置まで移動する。

(3)栓体打込み（第２図） 栓体打込み装置６は上記分割金型１，２の移動に邪魔に
ならないように上動してあると共に、これの打込みコア
１０の下端面に栓体１２をバキューム孔１１により吸着
してある。

型締めされた分割金型１，２が栓体打込み装置６の下方
へ移動した状態で栓体打込み装置６を下動し、栓体１２
をパリスン４の上側開口部からこのパリスン４内に押し
入れ、分割金型１，２の栓体用キャビティ１ａ，２ａ内
に位置させる。

(4)栓体密封及びブロー（第３図） 栓体打込み装置６をさらに下動してこれの打込みスリー
ブ８の下端にて栓体用キャビティ１ａ，２ａを密封す
る。このとき、打込みコア１０は打込みスリーブ８に対
してばね９に抗して摺動し、栓体１２を押し付けた状態
に保持される。そして上記打込みスリーブ８の下動によ
り栓体用キャビティ１ａ，２ａの栓体１２より上側のパ
リスン４′が栓体用キャビティ１ａ，２ａ内に閉じ込め
られて栓体１２の上側に充満し、栓体１２全体が完全に
密封され、これにより、栓体１２の上下面の外周側と側
面がプラスチックで被覆される。このとき、栓体１２は
上記パスリン４の材料と同一の材値のプラスチックにて
被覆されているので、上記パリスン４のプラスチックと
熱溶着により同一化される。

ついで吹込みノズル５より圧力流体を吹込んでブロー成
形する。

(5)離型 分割金型１，２内の成形体がある程度固化した状態で型
開きをすると共に、吹込みノズル５を抜き、さらにこの
ブロー孔を封鎖する。

上記工程により第５図に示すような、栓体１２を封入し
た栓体部１３ａ、首部１３ｂ、胴部１３ｃ、底部１３ｄ
からなる輸液用プラスチック容器１３がブロー成形され
る。

(5)輸液充填 上記工程で成形された輸液用プラスチック容器１３は充
填ラインにて底部側端部をＡ−Ａ線に沿って切断して底
部を開口し、この開口部より輸液を充填し、その後開口
部をヒートシール等により閉じる。

この輸液充填において、容器１３の底部側端部全体を開
口し、ここより輸液を充填するので、所定量の輸液を一
度にかつ短時間に充填することができると共に、泡の巻
き込みもなくなり、サイクルアップが図れると共に、泡
の巻き込みによる自動検査ラインでの不具合の発生もな
くすることができる。

上記実施例は、パリスン４の垂下位置と離間する位置に
栓体打込み装置６を設け、この装置にて型締め後のパリ
スンの上部に栓体１２を打込むようにした例を示した
が、栓体をパリスン４の押出しダイの下端面に取付けて
おき、型締め工程時に栓体１２を栓体用キャビティ１
ａ，２ａ内に配置するようにしてもよい。

第４図はこの実施例を示すもので、押出しダイ３′の先
端に栓体吸着部材１４を設け、この栓体吸着部材１４に
栓体１２を吸着してから、この栓体１２より大径のパリ
スン４を押出しダイ３より押出し垂下し、ついで分割金
型１，２を締め、さらに吹込みノズル５より圧力流体を
吹き込んでブロー成形する。

この実施例によれば、栓体打込み装置６が不要となると
共に、パリスン垂下位置から栓体打込み装置への移動工
程が不要となる。

〔発明の効果〕

本発明によれば、ブロー工程内において栓体１２を輸液
用プラスチック容器内の所定の位置に封入することがで
き、これにより、栓体の溶着工程が省略されて製造工程
を簡略化できる。また栓体１２の溶着による異物が容器
内に入ることがなくなり、輸液用プラスチック容器を衛
生的に製造することができる。さらに本発明によれば、
ゴム栓の周囲にプラスチック容器と同材料の被膜を予め
被覆してなる栓体を、パリスン内に予め配置してこれを
封入することにより、この栓体はプラスチック容器の所
定の位置に剥離することなく一体状に溶着することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図、第３図は本発明の第１の実施例の製造
工程を示す断面図、第４図は本発明の第２の実施例を示
す断面図、第５図は本発明方法にて製造された輸液用プ
ラスチック容器の正面図である。 １，２は分割金型、１ａ，２ａは栓体用キャビティ、
３，３′は押出しダイ、４はパリスン、５は吹込みノズ
ル、６は栓体打込み装置、１２は栓体。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】容器の一端部を栓体にて閉じてなる輸液用
   プラスチック容器をブロー成形により製造する製造方法
   において、ゴム栓の周囲に上記プラスチック容器と同材
   料の被膜を予め被覆してなる栓体を、パリスン内に予め
   配置し、ブロー成形時にこの栓体をパリスンと溶着一体
   化するようにしたことを特徴とする輸液用プラスチック
   容器の製造方法。