JPH0636997Y2 - スライド式シート - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の目的］ （産業上の利用分野） 車体の前後方向へのスライドが可能なスライド式シート
に関する。

（従来の技術） 一般に、自動車においては、車体の前後方向にスライド
可能なスライド式シートを設け、乗員の数や体格などに
応じて乗員位置を変えられるようにしたものがある。一
例を第10図および第11図に示す。

１はワンボックスタイプの自動車の車体で、フロア２の
前部に運転者用のシート３を備え、その隣に乗員用のシ
ート４を備えている。

さらに、フロア２の中部および後部にも一対ずつ乗員用
のシート5,5および6,6を備えている。

最後部のシート6,6は、スライド式シートで、フロア２
に設けた二組のレール7,7および8,8に取付けてあり、車
体１の前後方向にスライドすることができる。

すなわち、乗員の数が多くて最後部のシート6,6を使う
場合、シート6,6を後方にスライドさせ、乗員の脚が前
のシート5,5に支えるのを防ぐことができる。

また、乗員の数が少なくてシート6,6を使わない場合
は、シート6,6を前方にスライドさせることにより、車
体１の後部を荷物の載置空間として有効利用することが
できる。

（考案が解決しようとする課題） ただし、車体１の後部にはタイヤハウス9,9があり、シ
ート6,6のスライドに際してシート6,6がタイヤハウス9,
9にぶつからないよう、レール7,7および8,8を内側に配
置している。

このため、せっかく広い車室がありながらシート6,6の
横幅を十分にとることができず、良好な乗り心地が得ら
れないのが実情である。

この考案は上記のような事情に鑑みてなされたもので、
その目的とするところは、タイヤハウスなどに影響を受
けることなく十分な横幅を確保することができ、これに
より良好な乗り心地を得ることができる実用性にすぐれ
たスライド式シートを提供することにある。

［考案の構成］ （課題を解決するための手段） 車体のフロアに設けたシートフレームと、このシートフ
レーム上において車体の幅方向中心に向かって傾斜状に
設けた二組のレールと、これらレールにスライド可能に
設けた一対のシートと、前記シートフレーム上において
前記各シート間に位置し且つシートフレームの下方側へ
回転可能に設けた補助シートとからなる。

（作用） 各シートをその間隔が拡がる方向にスライドさせたと
き、各シート間に補助シートが在し、車体の幅方向いっ
ぱいに着座領域ができる。

補助シートをシートフレームの下方側へ回転しておけ
ば、各シートを車体の幅方向中心に向けてスライドする
ことができる。

（実施例） 以下、この考案の一実施例について図面を参照して説明
する。なお、図面において第10図および第11図と同一部
分には同一符号を付し、その説明は省略する。

第２図，第３図，および第４図に示すように、フロア２
において、タイヤハウス９より前の位置にシートフレー
ム11を設ける。

シートフレーム11は、車体１の幅方向いっぱいに対応す
る横幅を有するとともに、前部の支持脚がヒンジ12によ
ってフロア２に取付けてあり、ヒンジ12を支点として前
倒しが可能となっている。

シートフレーム11の後部の支持脚はフロア２のラチェッ
ト13に対して係合，離脱が可能な構造となている。

しかして、シートフレーム11上に、車体１の幅方向中心
に向かって傾斜する状態、たとえば後方に向かって狭ま
るように、二組のレール14,14および15,15を設ける。そ
して、これらレールに一対のシート16,16をスライド可
能に設ける。

すなわち、シート16,16は、斜め前方および斜め後方へ
のスライドが可能であり、斜め前方すスライドさせると
車体１の幅方向いっぱいに間隔が拡がり、斜め後方にス
ライドさせると間隔が狭まってタイヤハウス９の内側に
入り込むようになっている。

また、詳細を第１図に示すように、シートフレーム11の
幅方向中心の位置にヒンジ17を介して補助シート18を設
ける。

ヒンジ17は、シートフレーム11に取付けるブラケット17
aと補助シート18に取付けるブラケット17bとからなり、
補助シート18をシートフレーム11上に支持するととも
に、補助シート18をシートフレーム11の下方側に回転さ
せる働きをする。

ブラケット17aにはストッパ17cを設け、ブラケット17b
の前方への回転を規制して補助シート18の前倒れを防ぐ
ようにしている。

なお、シート16,16は、シートクッション16a、シートバ
ック16b、ヘッドレスト16cからなる。

つぎに、上記のような構成において作用を説明する。

いま、第２図ないし第４図のようにシート16,16を斜め
前方へスライドさせた状態において、シートクッション
16a,16a間に同じ高さの補助シート18が在し、車体１の
幅方向いっぱいに対応する十分な横幅の着座領域が得ら
れる。

したがって、ゆったりとした良好な乗り心地を得ること
ができる。

一方、シートバック16bを前倒しするとともに（第５図
参照）、シートフレーム11を前倒しする（第６図参
照）。この状態では、補助シート18をシートフレーム11
の下方側に回転することが可能である。

しかして、補助シート18をシートフレーム11の下方側へ
回転し（第７図参照）、その状態でシートフレーム11を
後方に起こして元の位置へ戻す（第８図参照）。

このとき、補助シート18はシートフレーム11とフロア２
の間に収まることになる。

そして、シートバック16bを起こして元に戻し（第９図
参照）、シート16,16を斜め後方へスライドさせる。

この場合、補助シート18にぶつけることなく、しかもタ
イヤハウス９にぶつけることなく、シート16,16のスラ
イドが可能である。そして、シート16,16はタイヤハウ
ス９の内側に収まることになり、シートバック16bを自
由にリクライニングさせることができる。

特に、この場合、補助シート18をシートフレーム11とフ
ロア２の間に収めるようにしているので、補助シート18
がシート16,16に座る乗員の邪魔になることがない。さ
らには、荷物の載置の邪魔になることもない。言替えれ
ば、車室内の居住空間を大きく使うことができる。

ここで、参考のために述べれば、補助シート18を上方へ
移すことによってもシート16,16の斜め後方へのスライ
ドは可能であるが、その場合には補助シート18がシート
16,16の前方に立ちはだかることになり、非常に邪魔で
ある。

なお、上記実施例では、ワンボックスタイプの自動車を
例に説明したが、他の自動車にも同様に実施可能であ
る。

また、斜め前方へのスライドによって各シートの間隔が
拡がり、斜め後方へのスライドによって各シートの間隔
が狭まる構成としたが、タイヤハウスが前にある場合に
は、斜め前方へのスライドによって各シートの間隔が狭
まり、斜め後方へのスライドによって各シートの間隔が
拡がる構成としてもよい。

その他、この考案は上記実施例に限定されるものではな
く、要旨を変えない範囲で種々変形実施可能である。

［考案の効果］ 以上述べたようにこの考案によれば、車体のフロアに設
けたシートフレームと、このシートフレーム上において
車体の幅方向中心に向かって傾斜状に設けた二組のレー
ルと、これらレールにスライド可能に設けた一対のシー
トと、前記シートフレーム上において前記各シート間に
位置し且つシートフレームの下方側へ回転可能に設けた
補助シートとからなるので、タイヤハウスなどに影響を
受けることなく十分な横幅を確保することができ、これ
により良好な乗り心地を得ることができる実用性にすぐ
れたスライド式シートを提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例における補助シートの取付
け状態を示す斜視図、第２図は同実施例の構成を正面か
ら見た図、第３図は同実施例の構成を上方から見た図、
第４図は同実施例の構成を側方から見た図、第５図ない
し第９図はそれぞれ同実施例の作用を説明するための
図、第10図は従来のスライド式シートを備えた自動車の
概略的な構成を示す斜視図、第11図は第10図におけるス
ライド式シートの構成を上方から見た図である。 １……車体、２……フロア、９……タイヤハウス、11…
…シートフレーム、14,15……レール、16……シート、1
8……補助シート。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】車体のフロアに設けたシートフレームと、
   このシートフレーム上において車体の幅方向中心に向か
   って傾斜状に設けた二組のレールと、これらレールにス
   ライド可能に設けた一対のシートと、前記シートフレー
   ム上において前記各シート間に位置し且つシートフレー
   ムの下方側へ回転可能に設けた補助シートとからなるこ
   とを特徴とするスライド式シート。