JPH06340924A - 低降伏比高張力鋼の製造方法 - Google Patents
低降伏比高張力鋼の製造方法Info
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- JPH06340924A JPH06340924A JP13187493A JP13187493A JPH06340924A JP H06340924 A JPH06340924 A JP H06340924A JP 13187493 A JP13187493 A JP 13187493A JP 13187493 A JP13187493 A JP 13187493A JP H06340924 A JPH06340924 A JP H06340924A
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- Japan
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- steel
- yield ratio
- low yield
- cooling
- tensile strength
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 80%以下の低降伏比と580MPa以上の
高強度を有する鋼材を安定して製造する方法を提供す
る。 【構成】 Nb:0.015〜0.10%を含み、T
i、REMの1種以上を含む鋼材を950℃以上の仕上
げ温度で熱間圧延した後、直ちに750〜600℃まで
急冷し、その後空冷する。
高強度を有する鋼材を安定して製造する方法を提供す
る。 【構成】 Nb:0.015〜0.10%を含み、T
i、REMの1種以上を含む鋼材を950℃以上の仕上
げ温度で熱間圧延した後、直ちに750〜600℃まで
急冷し、その後空冷する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建築など鉄骨構造物に
利用される引張り強さ580MPa以上で降伏比80%
以下の低降伏比高張力鋼の製造方法に関し、とくに板厚
20mm以上の厚鋼板の製造方法に関する。
利用される引張り強さ580MPa以上で降伏比80%
以下の低降伏比高張力鋼の製造方法に関し、とくに板厚
20mm以上の厚鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】建築など鉄鋼構造物の大型化にともな
い、使用される鋼材には高強度化が求められる。一方、
構造物の安全性、すなわち脆性破壊防止の観点からは降
伏比の低いことが求められている。低降伏比鋼は降伏点
以上の応力が付加されても破壊までに許容される応力が
大きく、また一様伸びも大きいので、例えば建築などで
降伏応力を超える大地震にあっても、破壊に至らず有利
である。
い、使用される鋼材には高強度化が求められる。一方、
構造物の安全性、すなわち脆性破壊防止の観点からは降
伏比の低いことが求められている。低降伏比鋼は降伏点
以上の応力が付加されても破壊までに許容される応力が
大きく、また一様伸びも大きいので、例えば建築などで
降伏応力を超える大地震にあっても、破壊に至らず有利
である。
【0003】一般に降伏比は高強度化とともに上昇する
傾向にあり、引張り強さ580MPa以上の高張力鋼で
80%以下の低降伏比を得ることは容易ではない。従
来、低降伏比の高張力鋼の製造方法としては、例えば特
公昭58−10442号公報に開示された技術がある。
これは、圧延して一旦徐冷してから後の直接焼入法によ
るものであり、圧延仕上げ後の冷却開始を徐冷により遅
らせ、5〜6%程度フェライトを析出させた後、冷却を
行うことでフェライト+硬化相の2相混合組織とするこ
とによって低降伏比を得る方法である。しかし、この方
法は冷却開始温度によってフェライト量が異なり、フェ
ライトと第2相の割合が変わるため、降伏比などの機械
的性質が大きく変動する欠点がある。とくに板厚20m
m程度以上の厚鋼板では圧延仕上げ温度から冷却開始ま
での空冷待ち時間が長いため板厚断面での温度差が大き
く、降伏比、機械的性質のバラツキが大きく、また圧延
ミルの生産性が著しく低下する。
傾向にあり、引張り強さ580MPa以上の高張力鋼で
80%以下の低降伏比を得ることは容易ではない。従
来、低降伏比の高張力鋼の製造方法としては、例えば特
公昭58−10442号公報に開示された技術がある。
これは、圧延して一旦徐冷してから後の直接焼入法によ
るものであり、圧延仕上げ後の冷却開始を徐冷により遅
らせ、5〜6%程度フェライトを析出させた後、冷却を
行うことでフェライト+硬化相の2相混合組織とするこ
とによって低降伏比を得る方法である。しかし、この方
法は冷却開始温度によってフェライト量が異なり、フェ
ライトと第2相の割合が変わるため、降伏比などの機械
的性質が大きく変動する欠点がある。とくに板厚20m
m程度以上の厚鋼板では圧延仕上げ温度から冷却開始ま
での空冷待ち時間が長いため板厚断面での温度差が大き
く、降伏比、機械的性質のバラツキが大きく、また圧延
ミルの生産性が著しく低下する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述のよう
な従来の圧延直接焼入法において圧延仕上げ温度から冷
却開始温度までの空冷待ち時間が長いという問題を解決
し、80%以下の低降伏比と580MPa以上の高強度
を有する鋼材を安定して製造する方法を提供することを
目的とする。
な従来の圧延直接焼入法において圧延仕上げ温度から冷
却開始温度までの空冷待ち時間が長いという問題を解決
し、80%以下の低降伏比と580MPa以上の高強度
を有する鋼材を安定して製造する方法を提供することを
目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】従来法の問題点を解決す
るために検討を重ねた結果、Nbを含む適正な組成の鋼
を、950℃以上の温度で圧延を終了した後、直ちに7
50〜600℃の温度範囲に急冷し、その後空冷するこ
とにより、低降伏比高張力鋼が製造できることを見出し
た。
るために検討を重ねた結果、Nbを含む適正な組成の鋼
を、950℃以上の温度で圧延を終了した後、直ちに7
50〜600℃の温度範囲に急冷し、その後空冷するこ
とにより、低降伏比高張力鋼が製造できることを見出し
た。
【0006】すなわち、Nb含有鋼では圧延温度が95
0℃以下に低下すると、オーステナイト域でもNb炭化
物が析出するため、アルファ変態時のNbの焼入性向上
および析出強化が小さくなるが、950℃以上の温度域
から急冷し、オーステナイト域でのNb炭化物の析出を
防止すればNbの強化を十分に発揮させることができ
る。
0℃以下に低下すると、オーステナイト域でもNb炭化
物が析出するため、アルファ変態時のNbの焼入性向上
および析出強化が小さくなるが、950℃以上の温度域
から急冷し、オーステナイト域でのNb炭化物の析出を
防止すればNbの強化を十分に発揮させることができ
る。
【0007】また、冷却停止温度を750〜600℃に
調節することにより、20〜80%程度のフェライトを
含む(フェライト+パーライト)または(フェライト+
ベイナイト)組織が得られ、低降伏比と高強度を兼ね備
えることができる。すなわち本発明は、従来の技術より
も製品組織中のフェライト相の量を増加させて低降伏比
を安定して得られるようにし、そのことにより低下する
強度をNbの析出により補うことを基本思想とする。
調節することにより、20〜80%程度のフェライトを
含む(フェライト+パーライト)または(フェライト+
ベイナイト)組織が得られ、低降伏比と高強度を兼ね備
えることができる。すなわち本発明は、従来の技術より
も製品組織中のフェライト相の量を増加させて低降伏比
を安定して得られるようにし、そのことにより低下する
強度をNbの析出により補うことを基本思想とする。
【0008】すなわち本発明は、C:0.06〜0.1
5%、Si:0.01〜0.60%、Mn:1.00〜
1.80%、P≦0.015%、S≦0.010%、N
b:0.015〜0.10%、Al≦0.050%、
N:0.0010〜0.0060%を含み、かつTi:
0.005〜0.030%、REM:0.001〜0.
020%の1種または2種を含み、残部Feおよび不可
避的不純物からなる鋼材を1050〜1300℃の温度
に加熱し、熱間圧延を950℃以上の温度で終了した
後、直ちに750〜600℃まで1℃/s以上の冷却速
度で水冷し、その後空冷することを特徴とする建築用低
降伏比580MPa級高張力鋼の製造方法であり、また
本発明は、前記の鋼材が、さらにCu≦0.50%、N
i≦0.50%、Cr≦0.50%、Mo≦0.20
%、V≦0.10%、B≦0.0030%の1種以上を
含む建築用低降伏比580MPa級高張力鋼の製造方法
である。
5%、Si:0.01〜0.60%、Mn:1.00〜
1.80%、P≦0.015%、S≦0.010%、N
b:0.015〜0.10%、Al≦0.050%、
N:0.0010〜0.0060%を含み、かつTi:
0.005〜0.030%、REM:0.001〜0.
020%の1種または2種を含み、残部Feおよび不可
避的不純物からなる鋼材を1050〜1300℃の温度
に加熱し、熱間圧延を950℃以上の温度で終了した
後、直ちに750〜600℃まで1℃/s以上の冷却速
度で水冷し、その後空冷することを特徴とする建築用低
降伏比580MPa級高張力鋼の製造方法であり、また
本発明は、前記の鋼材が、さらにCu≦0.50%、N
i≦0.50%、Cr≦0.50%、Mo≦0.20
%、V≦0.10%、B≦0.0030%の1種以上を
含む建築用低降伏比580MPa級高張力鋼の製造方法
である。
【0009】
【作用】以下本発明において組成を限定した理由を述べ
る。 C:0.06〜0.15% Cは高強度を確保するために添加するが、0.06%未
満では所定の強度を得ることが困難であり、一方、0.
15%を超えると溶接性が低下するため、0.06〜
0.15%にした。
る。 C:0.06〜0.15% Cは高強度を確保するために添加するが、0.06%未
満では所定の強度を得ることが困難であり、一方、0.
15%を超えると溶接性が低下するため、0.06〜
0.15%にした。
【0010】Si:0,01〜0.60% Siは強度の向上に有効な元素であるが、0.01%未
満ではその効果が小さく、一方、0.60%を超えると
溶接熱影響部の靱性を低下させるので0.01〜0.6
0%の範囲とした。 Mn:1.00〜1.80% Mnは強度確保のために1.00%以上を添加するが、
1.80%を超え添加すると溶接割れ感受性が高くな
り、熱影響部の靱性も低下するので1.00〜1.80
%の範囲とした。
満ではその効果が小さく、一方、0.60%を超えると
溶接熱影響部の靱性を低下させるので0.01〜0.6
0%の範囲とした。 Mn:1.00〜1.80% Mnは強度確保のために1.00%以上を添加するが、
1.80%を超え添加すると溶接割れ感受性が高くな
り、熱影響部の靱性も低下するので1.00〜1.80
%の範囲とした。
【0011】P≦0.015%、S≦0.010% P、Sはいずれも靱性、延性を低下させるので、それぞ
れ0.15%以下、0.010%以下とした。 Nb:0.005〜0.100% Nbはγ鉄中に固溶して、アルファ変態における焼入性
を向上するとともに、アルファ地を析出強化する。これ
らの強化作用を発揮させるためには0.005%以上の
Nbの添加が必要であり、一方、Nbの添加が0.10
0%を超えると溶接性および熱影響部の靱性を低下させ
るので、0.005〜0.100%の範囲とした。
れ0.15%以下、0.010%以下とした。 Nb:0.005〜0.100% Nbはγ鉄中に固溶して、アルファ変態における焼入性
を向上するとともに、アルファ地を析出強化する。これ
らの強化作用を発揮させるためには0.005%以上の
Nbの添加が必要であり、一方、Nbの添加が0.10
0%を超えると溶接性および熱影響部の靱性を低下させ
るので、0.005〜0.100%の範囲とした。
【0012】Al:0.050% Alは脱酸剤として採用するとともに、鋼中のNを固定
するので靱性向上に有効であるが、0.050%を超え
ると靱性を低下させるので0.050%未満に限定し
た。 N:0.0010〜0.0060% Nは不可避的不純物として鋼中に含まれるものである
が、Tiと結合してTiNを形成して、溶接熱影響部の
結晶粒粗大化を抑制するので熱影響部靱性の向上に効果
を発揮する。このためNの最小量として0.0010%
必要であるが、0.0060%を超えて過剰に含有する
と、熱影響部の靱性が著しく低下するので0.0010
〜0.0060%の範囲に限定した。
するので靱性向上に有効であるが、0.050%を超え
ると靱性を低下させるので0.050%未満に限定し
た。 N:0.0010〜0.0060% Nは不可避的不純物として鋼中に含まれるものである
が、Tiと結合してTiNを形成して、溶接熱影響部の
結晶粒粗大化を抑制するので熱影響部靱性の向上に効果
を発揮する。このためNの最小量として0.0010%
必要であるが、0.0060%を超えて過剰に含有する
と、熱影響部の靱性が著しく低下するので0.0010
〜0.0060%の範囲に限定した。
【0013】Ti:0.005〜0.030%、RE
M:0.0010〜0.0200%TiおよびREMは
大入熱溶接熱影響部の靱性向上に有効に寄与するが、T
iは0.005%未満、REMは0.001%未満では
その効果が小さい。一方、Tiは0.030%を超える
とTiNに対し過剰Nが増えるためかえって熱影響部の
靱性が低下する。REMは0.002%を超えると清浄
性が著しく低下する。したがってTiは0.005〜
0.030%、REMは0.001〜0.020%の範
囲に限定した。
M:0.0010〜0.0200%TiおよびREMは
大入熱溶接熱影響部の靱性向上に有効に寄与するが、T
iは0.005%未満、REMは0.001%未満では
その効果が小さい。一方、Tiは0.030%を超える
とTiNに対し過剰Nが増えるためかえって熱影響部の
靱性が低下する。REMは0.002%を超えると清浄
性が著しく低下する。したがってTiは0.005〜
0.030%、REMは0.001〜0.020%の範
囲に限定した。
【0014】Cu≦0.50%、Ni≦0.50% CuとNiはともに焼入性を向上し、強度向上に有効な
元素である。さらにNiは靱性向上に効果を発揮する。
しかし、Cuを0.50%を超えて添加添加すると圧延
時の熱間加工性を劣化させる。またNiの0.50%を
超えた過剰な添加は経済性に問題があることから上限を
0.5%とした。
元素である。さらにNiは靱性向上に効果を発揮する。
しかし、Cuを0.50%を超えて添加添加すると圧延
時の熱間加工性を劣化させる。またNiの0.50%を
超えた過剰な添加は経済性に問題があることから上限を
0.5%とした。
【0015】Cr≦0.50%、Mo≦0.20%、V
≦0.10%、B≦0.0030% いずれの元素も焼入性を高めるとともに、焼き戻し軟化
抵抗を高め強度向上に有効な元素であるが、過剰な添加
は降伏比の上昇をきたすとともに、溶接性、靱性を劣化
させるので、それぞれの上限を上記の通りとした。
≦0.10%、B≦0.0030% いずれの元素も焼入性を高めるとともに、焼き戻し軟化
抵抗を高め強度向上に有効な元素であるが、過剰な添加
は降伏比の上昇をきたすとともに、溶接性、靱性を劣化
させるので、それぞれの上限を上記の通りとした。
【0016】加熱温度:1050〜1300℃ 析出強化に必要な0.0050%のNbを十分溶体化す
るためには1050℃以上の加熱温度が必要である。一
方、1300℃を超えると結晶粒が粗大化して靱性が劣
化するので加熱温度は1050〜1300℃の範囲とし
た。 仕上げ温度:950℃以上 オーステナイト域での圧延においても、圧延温度が95
0℃未満に低下するとNb炭化物が析出し、固溶Nb量
が減少するため、Nbによる析出強化が減少する。した
がって、仕上げ温度を950℃以上とし、圧延終了後直
ちに急冷してNb炭化物の析出を防止する必要がある。
るためには1050℃以上の加熱温度が必要である。一
方、1300℃を超えると結晶粒が粗大化して靱性が劣
化するので加熱温度は1050〜1300℃の範囲とし
た。 仕上げ温度:950℃以上 オーステナイト域での圧延においても、圧延温度が95
0℃未満に低下するとNb炭化物が析出し、固溶Nb量
が減少するため、Nbによる析出強化が減少する。した
がって、仕上げ温度を950℃以上とし、圧延終了後直
ちに急冷してNb炭化物の析出を防止する必要がある。
【0017】圧延後の冷却:1℃/s以上の急冷 950℃以上で圧延を終了した後、冷却速度を1℃/s
以上で急冷することによりオーステナイト域でのNb炭
化物の析出を防止できる。また、800℃以下のアルフ
ァ変態域での冷却速度を1℃/s以上として急冷するこ
とにより、高靱性に必要な微細組織を得ることができ
る。したがって、冷却速度は1℃/s以上とした。
以上で急冷することによりオーステナイト域でのNb炭
化物の析出を防止できる。また、800℃以下のアルフ
ァ変態域での冷却速度を1℃/s以上として急冷するこ
とにより、高靱性に必要な微細組織を得ることができ
る。したがって、冷却速度は1℃/s以上とした。
【0018】冷却停止温度:750〜600℃ 冷却停止温度が750℃を超えて高いと十分な強度が得
られない。一方、冷却停止温度が600℃を下回ると、
高強度が得られるものの低降伏比に必要な軟質のフェラ
イトが生成しなくなり、低降伏比が得られない。したが
って冷却停止温度は750〜600℃の範囲に限定し
た。なお、上記のようにして得られた鋼材は、600℃
以下の温度で焼き戻ししても80%以下の低降伏比と5
80MPa以上の高い引張り強さを得ることができる。
られない。一方、冷却停止温度が600℃を下回ると、
高強度が得られるものの低降伏比に必要な軟質のフェラ
イトが生成しなくなり、低降伏比が得られない。したが
って冷却停止温度は750〜600℃の範囲に限定し
た。なお、上記のようにして得られた鋼材は、600℃
以下の温度で焼き戻ししても80%以下の低降伏比と5
80MPa以上の高い引張り強さを得ることができる。
【0019】
【実施例】表1に示す種々の組成の鋼材(記号A〜J)
を1000〜1250℃に加熱し、表2に示す種々の条
件で熱間圧延、冷却停止温度まで水冷後、室温まで空冷
した。板厚50mmのとき冷却速度は3℃/s、60m
mのとき2℃/sであった。なお、比較例E2は熱間圧
延後、室温まで空冷した。
を1000〜1250℃に加熱し、表2に示す種々の条
件で熱間圧延、冷却停止温度まで水冷後、室温まで空冷
した。板厚50mmのとき冷却速度は3℃/s、60m
mのとき2℃/sであった。なお、比較例E2は熱間圧
延後、室温まで空冷した。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】得られた鋼材の引張り特性を表2に示し
た。表1中のA〜G鋼が発明鋼で、H〜K鋼が比較鋼で
ある。H鋼は通常の調質熱処理用580MPa級鋼であ
るが、Nb量が適正な範囲より低いため、本発明の製造
プロセスでは所定の降伏強さ、引張り強さが得られてい
ない。同様にI鋼もC量が適正範囲よりも低いため、降
伏強さ、引張り強さが低すぎる。J鋼はMnおよびMo
量が高すぎるため、高強度が得られるものの、降伏比が
高くなりすぎ、目標の降伏比(≦80%)を超えてい
る。またK鋼はMn量が低すぎるため、所定の高強度が
得られていない。
た。表1中のA〜G鋼が発明鋼で、H〜K鋼が比較鋼で
ある。H鋼は通常の調質熱処理用580MPa級鋼であ
るが、Nb量が適正な範囲より低いため、本発明の製造
プロセスでは所定の降伏強さ、引張り強さが得られてい
ない。同様にI鋼もC量が適正範囲よりも低いため、降
伏強さ、引張り強さが低すぎる。J鋼はMnおよびMo
量が高すぎるため、高強度が得られるものの、降伏比が
高くなりすぎ、目標の降伏比(≦80%)を超えてい
る。またK鋼はMn量が低すぎるため、所定の高強度が
得られていない。
【0023】さらに、A5、A6、A7、E2は成分組
成は適正範囲であるものの、それぞれ加熱温度、仕上げ
温度、冷却条件が適正範囲から外れているため、降伏比
が高すぎたり、あるいは降伏強さと引張り強さが不足し
ている。これに対し、本発明法によるA1〜A4、B〜
G鋼はいずれも降伏比が75〜78%と低く、引張り強
さが600〜660MPaの高い強度が得られている。
成は適正範囲であるものの、それぞれ加熱温度、仕上げ
温度、冷却条件が適正範囲から外れているため、降伏比
が高すぎたり、あるいは降伏強さと引張り強さが不足し
ている。これに対し、本発明法によるA1〜A4、B〜
G鋼はいずれも降伏比が75〜78%と低く、引張り強
さが600〜660MPaの高い強度が得られている。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、厚肉鋼板においても圧
延仕上げ温度から冷却開始までの待ち時間が少なく、圧
延ミルの生産性を下げることなく、降伏比80%以下で
引張り強さ580MPa以上の強度を有する低降伏比高
張力鋼を安定して製造できる。また本発明法は調質熱処
理を必要としないので経済性および大量生産性に優れて
いる。
延仕上げ温度から冷却開始までの待ち時間が少なく、圧
延ミルの生産性を下げることなく、降伏比80%以下で
引張り強さ580MPa以上の強度を有する低降伏比高
張力鋼を安定して製造できる。また本発明法は調質熱処
理を必要としないので経済性および大量生産性に優れて
いる。
Claims (2)
- 【請求項1】 C:0.06〜0.15%、Si:0.
01〜0.60%、Mn:1.00〜1.80%、P≦
0.015%、S≦0.010%、Nb:0.005〜
0.100%、Al≦0.050%、N:0.0010
〜0.0060%を含み、かつTi:0.005〜0.
030%、REM:0.001〜0.020%の1種ま
たは2種を含み、残部Feおよび不可避的不純物からな
る鋼材を1050〜1300℃の温度に加熱し、熱間圧
延を950℃以上の温度で終了した後、直ちに750〜
600℃まで1℃/s以上の冷却速度で水冷し、その後
空冷することを特徴とする建築用低降伏比580MPa
級高張力鋼の製造方法。 - 【請求項2】 さらにCu≦0.50%、Ni≦0.5
0%、Cr≦0.50%、Mo≦0.20%、V≦0.
10%、B≦0.0030%の1種以上を含むことを特
徴とする請求項1記載の建築用低降伏比580MPa級
高張力鋼の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13187493A JPH06340924A (ja) | 1993-06-02 | 1993-06-02 | 低降伏比高張力鋼の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13187493A JPH06340924A (ja) | 1993-06-02 | 1993-06-02 | 低降伏比高張力鋼の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06340924A true JPH06340924A (ja) | 1994-12-13 |
Family
ID=15068164
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13187493A Pending JPH06340924A (ja) | 1993-06-02 | 1993-06-02 | 低降伏比高張力鋼の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06340924A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100338352B1 (ko) * | 1997-12-24 | 2002-08-22 | 주식회사 포스코 | 저항복비를갖는구조용강및그제조방법 |
KR100415656B1 (ko) * | 1996-11-27 | 2004-05-14 | 주식회사 포스코 | 고온강도특성이우수한인장강도58kgf/mm2급건축용강재의제조방법 |
KR100435437B1 (ko) * | 1999-12-20 | 2004-06-10 | 주식회사 포스코 | 인장강도 50kgf/㎟급 고온내화강재의 제조방법 |
-
1993
- 1993-06-02 JP JP13187493A patent/JPH06340924A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR100415656B1 (ko) * | 1996-11-27 | 2004-05-14 | 주식회사 포스코 | 고온강도특성이우수한인장강도58kgf/mm2급건축용강재의제조방법 |
KR100338352B1 (ko) * | 1997-12-24 | 2002-08-22 | 주식회사 포스코 | 저항복비를갖는구조용강및그제조방법 |
KR100435437B1 (ko) * | 1999-12-20 | 2004-06-10 | 주식회사 포스코 | 인장강도 50kgf/㎟급 고온내화강재의 제조방법 |
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