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JPH06298639A - 薬物徐放製剤 - Google Patents

薬物徐放製剤

Info

Publication number
JPH06298639A
JPH06298639A JP8885093A JP8885093A JPH06298639A JP H06298639 A JPH06298639 A JP H06298639A JP 8885093 A JP8885093 A JP 8885093A JP 8885093 A JP8885093 A JP 8885093A JP H06298639 A JPH06298639 A JP H06298639A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
drug
release preparation
complex
drug sustained
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8885093A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroyuki Irie
洋之 入江
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Olympus Optical Co Ltd filed Critical Olympus Optical Co Ltd
Priority to JP8885093A priority Critical patent/JPH06298639A/ja
Publication of JPH06298639A publication Critical patent/JPH06298639A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【目的】一定量の薬物を長期間にわたって放出させるこ
とができる薬物徐放製剤を提供する。 【構成】直径5mmの略球形状の第1層11はゲンタマイ
シンとポリDL乳酸の複合体12中にβ−TCP顆粒1
3が分散してなる。第1層11中の複合体の体積占有率
は80%である。第1層11の周面には、表面が略球面
状で厚さ3mmの第2層14が設けられている。第2層1
4は、第1層11と同様に、複合体12中にβ−TCP
顆粒13が分散されてなり、この複合体12の体積占有
率は40%である。さらに、第2層14の周面には、厚
さ2mmの表面が略球面状である第3層15が設けられて
いる。第3層15は、第1層11と同様に、複合体12
中にβ−TCP顆粒13が分散されている。第3層15
中の複合体12の体積占有率は20%である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薬物徐放製剤に関す
る。
【0002】
【従来の技術】薬物および担体を含有し、生体内におい
て徐々に担体が分解して薬物を放出する薬物徐放製剤
は、医療分野においては広く利用されている。例えば、
癌のような様々な疾患に対して、薬物徐放製剤を患部付
近に埋入する。薬物徐放製剤中、担体が徐々に分解され
て薬物が徐放される。この結果、局所的に有効な薬物濃
度が持続されるので、薬物の全身投与による治療方法に
比べて、副作用を極めて減少させることができる。
【0003】上述のような薬物徐放製剤に使用される担
体としては、例えば、ポリ乳酸のような生分解性有機物
質が用いられている。生分解性有機物質は、生体内で除
々に分解され、最終的には生体に吸収されて消滅してし
まう性質を有する。
【0004】従来の薬物徐放製剤は、このような生分解
性有機物質と所望の薬剤とを混合して、所望の形状に成
形することにより製造されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ような生分解性有機物質を担体とする薬物徐放製剤は、
その薬物の放出特性は担体の分解性に依存する。すなわ
ち、担体の分解は、生体組織と接触している薬物徐放製
剤の表面で起こるため、埋入初期の薬物徐放製剤の表面
積が大きなときには、担体の分解量が多く、薬物も多く
放出されるが、埋入後長期間経過すると、薬物徐放製剤
が分解されてその表面積が減少するので、担体の分解が
埋入初期に比べて減少し、薬物の放出量も少なくなる。
【0006】このように、従来の単に生分解性有機物質
と薬剤を複合させた薬物徐放製剤は、生分解性有機物質
の分解特性と相関して、埋入初期から消滅に至るまでの
薬物の放出量が不均一である。このため、薬物を副作用
を起こし難い適当な量で一定に放出させることは不可能
である。
【0007】本発明は、かかる点に鑑みてなされたもの
であり、一定量の薬物を長期間にわたって放出させるこ
とができる薬物徐放製剤を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、薬物と生分解
性有機物質との複合体およびセラミックスを包含する複
数の層を有し、前記複数の層の最外層を除く全ての層が
当該層の一つ外側の層に被覆されている薬物徐放製剤で
あって、前記複数の層の各層における前記複合体のセラ
ミックスに対する割合が内側の層よりも外側の層の方が
小さくなっていることを特徴とする薬物徐放製剤を提供
する。
【0009】以下、本発明を更に詳細に説明する。
【0010】本発明の薬物徐放製剤に使用する生分解性
有機物質は、例えば、乳酸、グリコール酸、ラクトンの
ポリマーまたはこれらのコポリマー若しくはコラーゲン
である。
【0011】また、薬物は特に限定されないが、ゲンタ
マイシンのような抗生物質等が使用できる。このような
薬物は、上述の生分解性有機物質と複合されて、複合体
となっている。
【0012】また、もう一つの構成成分であるセラミッ
クスは、例えば、リン酸カルシウム系化合物(例えば、
水酸化アパタイト、β−リン酸三カルシウム)、CaO
・P2 5 系ガラス、アルミナ、ジルコニア等の生体親
和性のよいものが望ましい。
【0013】本発明の薬物徐放製剤の各層は、上述の薬
物と生分解性有機物質の複合体およびセラミックスを包
含する。より具体的には、複合体からなる層中にセラミ
ックスの粉末または顆粒が分散しているものであって
も、セラミックスからなる層中に粉末状または顆粒状の
複合体が分散しているものであってもよい。
【0014】本発明の薬物徐放製剤は、上述の構成から
なる層が積層されている。そして、最外層を除く全ての
層の周面は、その一つ外側の層に被覆されている。
【0015】本発明の薬物徐放製剤の層数は、少なくと
も2層以上、好ましくは、3層以上である。
【0016】本発明の薬物徐放製剤の各層における上述
の複合体のセラミックスに対する割合(以下、単に占有
率ともいう)は内側の層よりも外側の層の方が小さい。
好ましくは、各層における複合体の占有率は、本発明の
薬物徐放製剤を生体内に埋入した場合に、当該層が生体
組織と接触する面積がいかなる値であっても生分解性有
機物質の分解が各層間で略一定になるように設定され
る。
【0017】より具体的には、本発明の薬物徐放製剤
を、球形等の比較的単純な形状に成形した場合、生分解
性有機物質の生体内での分解率と時間の関係は放物線状
に変化する。これは、分解率が、薬物徐放製剤の表面積
の変化に依存していることを示している。半径Rの球形
の薬物徐放製剤であって、中心部〜第n層で構成されて
いる場合、nが十分大きな数値のとき、任意な第m層
(1<m≦n)での生分解性有機物質の体積占有率v
と、中心から第m層までの距離rの間に下記式(1)に
示す関係が成り立つようにすると、薬物徐放製剤の分解
が進行して薬物徐放製剤の表面積が減少しても複合体と
生体組織との接触面積(その時点での表面積×v)に変
化がないので生分解性有機物質の分解が略一定に保たれ
る。
【0018】1/v ∝ r2 ・・・・ (1) 従って、生分解性有機物質の分解速度、すなわち、薬物
の放出量をより正確に一定に維持するには、全層数nを
大きくし、かつ、上記式(1)の関係を満たす薬剤徐放
製剤を作製すればよい。
【0019】また、本発明の薬物徐放製剤の形状および
サイズは特に限定されないが、例えば、直径3〜15mm
の略球形状である。特に、上述のように薬物の放出量を
一定にする観点からは球形であることが好ましい。
【0020】このように本発明の薬物徐放製剤によれ
ば、各層における複合体の占有率を変更することによっ
て、各層が生体組織に接触する際の薬物放出量を容易に
制御できる。
【0021】次に、上述の本発明の薬物徐放製剤の製造
方法について説明する。第1の方法は、まず、薬物およ
び生分解性有機物質の複合体を調製する。例えば、生分
解性有機物質としてポリ乳酸を使用する場合、ポリ乳酸
を加熱溶融し、これに薬物を添加して溶解または分散さ
せることにより溶融複合体を得ることができる。また、
乳酸−グリコール酸コポリマーの粉末と薬物の粉末とを
所定の割合で混合して粉状複合体とすることができる。
後者は、薬物または生分解性有機物質が熱的安定性が低
い場合に有効である。
【0022】次に、このような複合体を粉状または粒状
のセラミックス(以下、単にセラミックスという)と所
定の割合で混合した後に所望の形状に成形して内層部を
得る。すなわち、上述の溶融複合体の場合には、この溶
融複合体にセラミックス粒子を混合した後、得られた混
合物を鋳込成形することにより内層部を得ることができ
る。一方、上述の粉状複合体の場合には、この粉状複合
体をセラミックス粒子と混合した後、得られた混合物を
圧縮成形することにより内層部を得ることができる。
【0023】この後、複合体のセラミックスに対する割
合が少なくなるように複合体およびセラミックスを混合
した混合物を調製し、この混合物を内層部の周囲を被覆
するように、上述と同様にして成形して外層部を得る。
この工程を複数回繰り返すことにより、多層構造でかつ
各層における上述の複合体のセラミックスに対する割合
が内側の層よりも外側の層の方が小さい本発明の薬物徐
放製剤を得ることができる。
【0024】また、本発明の薬物徐放製剤の第2の製造
方法は、まず、多層構造であって各層の気孔率が異なる
セラミックス多孔体を作製する。すなわち、セラミック
ス原料を成形して所定の気孔率を有する内層部を得る。
この後、この内層部の周面を被覆するようにセラミック
ス原料を成形し、内層部よりも低い気孔率を有する外層
部を得る。同様の操作を繰り返して最外層部に近い層ほ
ど気孔率が低くなっている多層状のセラミックス多孔体
を得る。
【0025】ここで、各層の成形は、例えば、セラミッ
クス粉末に、水、発泡剤および気泡安定剤を添加してス
ラリーを調製し、このスラリーを所定の型に鋳込んだ後
乾燥させて焼成するか、または、互いに連通する気孔を
有するウレタンフォームを用意し、このウレタンフォー
ムにセラミックス粉末のスラリーを浸み込ませた後、乾
燥および焼成してウレタンフォームを焼失させることに
より行なうことができる。しかし、これらの方法に限定
されず、通常のセラミックス多孔体の製造方法を適用す
ることが可能である。
【0026】上述のようにして得られたセラミックス多
孔体に薬物および生分解性有機物質の複合体を含浸させ
る。例えば、上述の薬物とポリ乳酸との溶融複合体中に
セラミックス多孔体を浸漬させた後減圧条件下に放置
し、溶融複合体をセラミックス多孔体の気孔中に浸み込
ませ、冷却することにより、多層構造でかつ各層におけ
る上述の複合体のセラミックスに対する割合が内側の層
よりも外側の層の方が小さい本発明の薬物徐放製剤を得
ることができる。
【0027】
【作用】本発明の薬物徐放製剤は、各層は、薬物と生分
解性有機物質との複合体およびセラミックスが組み合わ
されている。従って、薬物徐放製剤は、生体内に埋入し
た場合に最外層から中心に向かって徐々に生分解性有機
物質が分解されていくが、各層が生体組織と接触した場
合に、複合体と生体組織の接触面積が複合体単独の場合
に比べて少なくなるため、生分解性有機物質の分解が起
こり難い。
【0028】また、外側の層は複合体のセラミックスに
対する割合が小さいので、層全体の生体組織との接触面
積は大きいにもかかわらず、生分解性有機物質の分解が
ゆっくりと起こる。これに対して内側の層が生体組織と
接触する際には、外側の層に比べて複合体のセラミック
スに対する割合が大きいので、この層全体の生体組織と
の接触面積は小さくなっているが外側の層に比べて生分
解性物質の分解が起こりやすい。このような結果、薬物
徐放製剤の各層における薬物の放出量が略一定となる。
【0029】
【実施例】本発明を、図面を参照して詳細に説明する。
【0030】実施例1 図1は、本発明の薬物徐放製剤の一例を示す断面図であ
る。図中11は、直径5mmの略球形状の第1層である。
第1層11は、抗生物質の1種であるゲンタマイシンと
ポリDL乳酸の複合体12中にβ−リン酸三カルシウム
(以下、β−TCPという)顆粒13が分散してなる。
第1層11中の複合体の体積占有率は80%である。複
合体12中のゲンタマイシンとポリ乳酸の混合比は1:
1である。また、β−TCP顆粒13の粒子径は100
〜500μmである。
【0031】この第1層11の周面には、表面が略球面
状で厚さ3mmの第2層14が設けられている。第2層1
4は、第1層11と同様に、複合体12中にβ−TCP
顆粒13が分散されてなり、この複合体12の体積占有
率は40%である。
【0032】さらに、第2層14の周面には、厚さ2mm
の表面が略球面状である第3層15が設けられている。
第3層15は、第1層11と同様に、複合体12中にβ
−TCP顆粒13が分散されている。第3層15中の複
合体12の体積占有率は20%である。
【0033】以上のような構成からなる薬物徐放製剤1
0は、最も内側の第1層11から最外層の第3層15に
おける複合体12の体積占有率が、夫々80、40、2
0%となっている。このため、生体内に埋入した当初に
は、最外層の第3層15が生体組織と接触するが、第3
層15における複合体12の体積占有率が小さいので、
第3層全体の生体組織との接触面積は大きいが、第3層
15中の複合体12が生体組織と接触する面積は比較的
小さい。このため、ポリDL乳酸がゆっくりと分解する
ので、ゲンタマイシンも少量づつ放出される。
【0034】薬物徐放製剤10を生体内に埋入した後時
間が経過するに連れて、内側の第2層14が生体組織に
接触するが、内側の層ほど表面積が小さくなるため、第
2層14全体と生体組織との接触面積は小さくなる。し
かし、第2層14は第3層15よりも複合体12の体積
占有率が大きいので複合体12が生体組織と接触する面
積は第3層15の場合に比べて大きくなり、ポリDL乳
酸の分解が起こりやすくなる。この結果、第2層14に
おけるゲンタマイシンの放出量は第3層15と略等しく
なる。
【0035】第1層11においても、上述の第2層14
と同様に、複合体12の体積占有率が第2層14および
第3層15よりも大きくなっているので、ポリDL乳酸
の分解がより一層起こりやすくなり、結果として、ゲン
タマイシンの放出量が第2層14および第3層15と略
等しくなる。
【0036】このようにして、最外層の第3層15から
第2層14を経て第1層11に至るまでの長期間にわた
ってゲンタマイシンの放出量が略一定に保たれる。
【0037】また、上述のようにDLポリ乳酸が分解し
て消滅した後に残されたβ−TCP顆粒13は、生体親
和性に優れているので生体に悪影響を与えるおそれが少
なく、最終的には生体組織に吸収される。
【0038】次に、上述の薬物徐放製剤10は次のよう
にして製造した。まず、ゲンタマイシンを、120℃に
加熱溶解したポリDL乳酸に重量比で1:1の割合で混
合して溶融複合体を得た。
【0039】次に、この溶融複合体に対してβ−TCP
顆粒(100〜500μm)を20vol%となるよう
に添加し、120℃でよく混合した。得られた混合物
を、内部に内径5mmの球形状のキャビティが形成された
テフロン製の二つ割鋳型に鋳込んだ。溶融複合体を冷却
して固化させることにより、略球形状の第1層11を作
製した。
【0040】次に、溶融複合体に対してβ−TCP顆粒
を60vol%となるように添加し、120℃でよく混
合して混合物を得た。図2に示すように、二つ割鋳型2
1,22の突合せ面に夫々形成された直径8mmの半球形
のキャビティ21a,22aに夫々少過剰量の混合物2
3,24を充填した。次いで、図3に示すように、混合
物31の略中央に第1層11が位置するように、二つ割
鋳型21,22を突合せた。この後、冷却固化させ、過
剰量の混合物31aを除去して、第2層15が第1層1
1の周面上に成形した。
【0041】さらに、溶融複合体に対してβ−TCP顆
粒を80vol%となるように添加し、120℃でよく
混合して、混合物を得た。この混合物を、第2層と同様
にして、内部に直径10mmの球形状のキャビティが形成
された二つ割鋳型を用いて、第2層15の周面上に鋳込
成形して、第2層15の周面を被覆するように第3層1
6が設けられた。
【0042】上述のような薬物徐放製剤10の製造方法
によれば、加熱溶解したポリDL乳酸に所定量のゲンタ
マイシンを添加しているので、ゲンタマイシンをポリD
L乳酸中に均一に分散させることができる。
【0043】実施例2 図4は、本発明の薬剤徐放製剤の第2の実施例を示す断
面図である。
【0044】図中40は、直径15mmの略球形状であっ
て多層構造からなる薬剤徐放製剤である。最内層の第1
層41から、外側に向かって、第2層42、第3層43
および最外層である第4層44が順次積層されている。
これらの第1層41から第4層44の各層は、ゲンタマ
イシンおよびL乳酸−グルコール酸コポリマーを含有す
る複合体45とβ−TCP顆粒46からなる。各層にお
ける複合体45の体積占有率は、第1層が80%、第2
層が50%、第3層が30%、第4層が20%である。
【0045】このような構成からなる4層構造の薬剤徐
放製剤40は、実施例1の薬剤徐放製剤10と同様の効
果を奏する。特に、本実施例の場合には、4層構造で構
成されているため、実施例1の3層構造の場合に比べて
薬物の放出量をより正確に一定にすることができる。
【0046】上述の薬物徐放製剤40は以下のように製
造した。まず、ジベカシン粉末を、L乳酸−グリコール
酸コポリマーの粉末に重量比1:1の割合で混合して粉
状複合体を得た。この粉状複合体に、β−TCP顆粒
(100〜300μm)を粉状複合体に対して20vo
l%になるように添加し、さらによく混合した。
【0047】このようにして得られた混合物を、内部に
内径8mmの球形のキャビティが形成された耐熱性ゴム型
の内部に充填し、このゴム型に1000kg/cm2 の等
方加圧を加えながら80℃の加温を施して圧縮成形し、
冷却した後にゴム型からとり出して第1層41を得た。
【0048】次に、上述の粉状複合体に、β−TCP顆
粒を50vol%になるように添加してよく混合した。
この混合物を、内部に内径11mmの球形状のキャビティ
が形成された耐熱性ゴム型に内部に、その中央に第1層
41を配置して充填した。この後、このゴム型に100
0kg/cm2 の等方加圧を加えながら80℃の加温を施
して圧縮形成し、第1層41の周面上に厚さ3mmの第2
層42を設けた。
【0049】以下、第2層42と同様の手順に従って、
上述の粉状複合体にβ−TCP顆粒を夫々70vol%
および80vol%になるように添加した混合物を、各
々内部に内径13mm,15mmの球形のキャビティが形成
された耐熱ゴム型を用いて、第2層42の上に順次圧縮
成形して、上述の4層構造からなる薬物徐放製剤40を
得た。
【0050】本実施例の製造方法によれば生分解性有機
物質を加熱融解する必要がなく、圧縮成形も比較的低温
条件下で行われているので、薬物が加熱による劣下を受
ける恐れが少なく、また、融点が高い生分解性有機物質
も使用できる。
【0051】実施例3 図5は、本発明の薬物徐放製剤の第3の実施例を示す断
面図である。図中50は、直径14mmの略球形状であって
多層構造からなる薬剤徐放製剤である。最内層の第1層
51から外側に向かって第2層52および第3層53が
順次積層されている。各層51〜53は水酸化アパタイ
ト(以下、HAPという)多孔体54中に、ゲンタマイ
シンおよびポリ乳酸を含有する複合体55が含浸されて
いる。各層における複合体54の体積占有率は、第1層
51が80%、第2層52が50%、第3層53が30
%である。これらの第1層51〜第3層53は一体構造
になっている。
【0052】このような構成からなる薬物徐放製剤50
は、実施例1の薬剤徐放製剤10と同様の効果を奏す
る。特に、本実施例の場合には、多層構造のHAP多孔
体が一体になっているので、第1層51のポリ乳酸まで
分解した後も、HAP多孔体は、一体となって生体組織
中に残っているので、特に、本実施例の薬物徐放製剤5
0を骨組織中に埋入して使用した場合には、薬物を放出
した後にHAPが自家骨化して埋入箇所において良好に
骨成形が得られる点で優れている。
【0053】上述の薬物徐放製剤50を以下のようにし
て製造した。まず、HAP粉末30gに水15ml、発泡剤
(ポリオキシエチルノニルフェノール系)3ml、気泡安
定剤(ポリアクリル酸アンモニウム系)15mlを加えて混
合して発泡させて、第1発泡スラリーを調製した。この
第1発泡スラリーを、内部に内径7mmの球形状のキャビ
ティが形成されたシリコンゴム製の二つ割鋳型に鋳込ん
だ後乾燥させて二つ割鋳型から取り出し、第1層51に
相当する第1の予備成形体を得た。
【0054】次に、HAP粉末30gに、水10ml、発泡
剤2ml、気泡安定剤10mlを加えて混合して発泡させて第
2発泡スラリーを調製した。図6に示すように、二つ割
鋳型61,62の突合せ面に夫々形成された直径11mm
の半球形のキャビティ61a,62aに夫々第2発泡ス
ラリー23,24を充填した。次いで、図7に示すよう
に、第2発泡スラリー71の略中央に第1の予備成形体
72が位置するように、二つ割鋳型61,62を突合せ
た。乾燥させた後過剰量の第2発泡スラリーの乾燥物7
1aを除去して、第2層52に相当する部分を第1の予
備成形体72の周面上に成形して、第2の予備成形体を
得た。
【0055】さらに、HAP粉末30gに、水6ml、発
泡剤1ml、気泡安定剤6mlを加えて混合して発泡させて
第3発泡スラリーを調製した。この第3発泡スラリー
を、二つ割鋳型の突合せ面に夫々形成された直径14mm
の半球形のキャビティに夫々第3発泡スラリーを充填し
た。次いで、第3発泡スラリーの略中央に先の工程で得
られた第2の予備成形体を配置して二つ割鋳型を突合せ
た。乾燥させた後過剰量の第3発泡スラリーの乾燥物を
除去して、第3層53に相当する部分を第2の予備成形
体72の周面上に成形して、第3の予備成形体を得た。
【0056】得られた第3の予備成形体を1200℃で
1時間焼成し、HAPを焼結させると共に発泡剤および
気泡安定剤成分を消滅させて3層構造のHAP多孔体を
得た。このようにして作製したHAP多孔体の各層の気
孔率が、第1層が80%、第2層が50%、第3層が3
0%であった。
【0057】次に、ゲンタマイシンを120℃に加熱し
て溶解されたポリ乳酸に重量比1:1の割合で混合し
て、溶融複合体を得た。この溶融複合体に上述のHAP
多孔体を浸漬し、これらを収容する容器を密閉容器内に
収容し、密閉容器内部を減圧条件にしてHAP多孔体の
気孔中に溶融複合体を含浸させた。この後、冷却して溶
融複合体を固化させて上述の薬物徐放製剤50を得た。
【0058】実施例4 実施例3の薬物徐放製剤の製造方法におけるHAP多孔
体の作製方法を変更した場合について説明する。
【0059】まず、互いに連通する気孔を有し、夫々の
気孔率が80%、60%、40%である3種類のウレタ
ンフォームを用意した。これらのウレタンフォームを加
工して、図8に示すような直径14mmの3層構造からな
るウレタンフォーム加工体81を作製した。加工体81
は、ウレタンフォーム気孔率80%の第1層81、気孔
率60%の第2層82および気孔率40%の第3層83
で構成されている。
【0060】次に、HAP粉末に10重量%解膠剤を添加
した後水を加えて混合し、濃度20重量%のスラリーを
調製した。このスラリーを、ウレタンフォーム加工体8
0に吸収させた。これにより、スラリーがウレタンフォ
ームの互いに連通する気孔84の内部に浸透した。乾燥
後、1200℃で1時間焼成し、HAPを焼結させると
共にウレタンフォームを消滅させて、3層構造のHAP
多孔体を得た。このHAP多孔体の各層の気孔率は、最
内層部の第1層が80%、第2層が60%、最外層部の
第3層が40%であった。
【0061】得られたHAP多孔体に、実施例3と同様
に調製した溶融複合体を、同様の手順に従って含浸させ
た後冷却して固化することにより、3層構造の薬物徐放
製剤を得た。得られた薬物徐放製剤において、複合体の
体積占有率は、第1層が80%、第2層が60%、最外
層部の第3層が40%であった。
【0062】このようにして得られた薬物徐放製剤は、
実施例4と同様の効果を奏する。
【0063】
【発明の効果】本発明の薬剤徐放製剤は、各層における
薬物および生分解性有機物質を含む複合体のセラミック
スに対する割合が内層部よりも外層部の方が小さくなっ
ているので、生体内に埋入した際に、外層部および内層
部における生体組織と薬剤徐放製剤との接触面積が異な
っていても生分解性有機物質の分解が略一定に起こるの
で、埋入当初から全ての薬物が放出されるまでの薬物の
放出量を一定に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薬物徐放製剤の第1の実施例を示す断
面図。
【図2】同実施例の薬物徐放製剤の製造方法の一工程を
示す説明図。
【図3】同実施例の薬物徐放製剤の製造方法の一工程を
示す説明図。
【図4】本発明の薬物徐放製剤の第2の実施例を示す断
面図。
【図5】本発明の薬物徐放製剤の第3の実施例を示す断
面図。
【図6】同実施例の薬物徐放製剤の製造方法の一工程を
示す説明図。
【図7】同実施例の薬物徐放製剤の製造方法の一工程を
示す説明図。
【図8】本発明の薬物徐放製剤の製造方法の他の実施例
において使用するウレタンフォーム加工体を示す断面
図。
【符号の説明】
10…薬物徐放製剤、11…第1層、12…複合体、1
3…β−TCP顆粒、14…第2層、15…第3層、2
1,22…二つ割鋳型、23,24…混合物。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薬物と生分解性有機物質との複合体およ
    びセラミックスを包含する複数の層を有し、前記複数の
    層の最外層を除く全ての層が当該層の一つ外側の層に被
    覆されている薬物徐放製剤であって、前記複数の層の各
    層における前記複合体のセラミックスに対する割合が内
    側の層よりも外側の層の方が小さくなっていることを特
    徴とする薬物徐放製剤。
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