JPH06270572A - 感熱記録型平版印刷原版 - Google Patents
感熱記録型平版印刷原版Info
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- JPH06270572A JPH06270572A JP8401593A JP8401593A JPH06270572A JP H06270572 A JPH06270572 A JP H06270572A JP 8401593 A JP8401593 A JP 8401593A JP 8401593 A JP8401593 A JP 8401593A JP H06270572 A JPH06270572 A JP H06270572A
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- Japan
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 画像部分のインク着肉性が良好で印刷物に画
像ムラや地汚れ等がなく、鮮明な印刷画像を与える感熱
記録型平版印刷原版を提供すること。 【構成】 耐水性支持体上に、無機顔料、熱可塑性樹
脂、シリコン油及び熱溶融性物質を主成分とする感熱記
録層を設けた感熱記録型平版印刷原版において、該熱可
塑性樹脂の少なくとも一部に加水分解によりカルボキシ
ル基を生成可能な官能基を持つ重合体を用いることを特
徴とする感熱記録型平版印刷原版。
像ムラや地汚れ等がなく、鮮明な印刷画像を与える感熱
記録型平版印刷原版を提供すること。 【構成】 耐水性支持体上に、無機顔料、熱可塑性樹
脂、シリコン油及び熱溶融性物質を主成分とする感熱記
録層を設けた感熱記録型平版印刷原版において、該熱可
塑性樹脂の少なくとも一部に加水分解によりカルボキシ
ル基を生成可能な官能基を持つ重合体を用いることを特
徴とする感熱記録型平版印刷原版。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光源や現像・定着等の
煩雑な処理を必要とせず、熱印加装置による熱印加だけ
で容易に印刷刷版の形成が可能なデジタル型感熱平版印
刷原版に関するものである。
煩雑な処理を必要とせず、熱印加装置による熱印加だけ
で容易に印刷刷版の形成が可能なデジタル型感熱平版印
刷原版に関するものである。
【0002】
【従来技術及びその問題点】平版印刷刷版の作成方法と
しては、(1)親水性表面を持つ支持体上にインクジェ
ットで画像を形成させる方法(特開昭51−84303
号、特開昭56−6215号及び特開昭56−1134
56号公報)、(2)親水性表面を持つ支持体を用い、
ワイヤードット式や熱転写により製版する方法(特開昭
58−193154号及び特開昭59−76260号公
報)、(3)有機光導電体を使用する方法(特開昭60
−239762号公報)、(4)フタロシアニンと酸化
亜鉛の分散系を使用する方法(特開昭60−24010
60号公報)、(5)放電破壊により製版する方法(特
開昭54−6602号、特開昭50−59113号及び
特開昭60−194467号公報)、(6)レーザー光
で親水層や疎水層を除去する方法(特開昭50−113
307号公報)、(7)ヒートモードで製版する方法
(特開昭50−158405号公報)、(8)サーマル
ヘッド等の熱印字装置を用いる方法(特開昭58−19
9153号、特開昭59−174395号、特開昭63
−64747号及び特開平1−295894号公報)、
(9)レーザー光や熱ヘッド等で表面記録層を画像状に
硬化させてから未硬化部分を洗浄・除去する方法(特開
昭62−164049号及び特開昭62−164596
号公報)等が知られている。
しては、(1)親水性表面を持つ支持体上にインクジェ
ットで画像を形成させる方法(特開昭51−84303
号、特開昭56−6215号及び特開昭56−1134
56号公報)、(2)親水性表面を持つ支持体を用い、
ワイヤードット式や熱転写により製版する方法(特開昭
58−193154号及び特開昭59−76260号公
報)、(3)有機光導電体を使用する方法(特開昭60
−239762号公報)、(4)フタロシアニンと酸化
亜鉛の分散系を使用する方法(特開昭60−24010
60号公報)、(5)放電破壊により製版する方法(特
開昭54−6602号、特開昭50−59113号及び
特開昭60−194467号公報)、(6)レーザー光
で親水層や疎水層を除去する方法(特開昭50−113
307号公報)、(7)ヒートモードで製版する方法
(特開昭50−158405号公報)、(8)サーマル
ヘッド等の熱印字装置を用いる方法(特開昭58−19
9153号、特開昭59−174395号、特開昭63
−64747号及び特開平1−295894号公報)、
(9)レーザー光や熱ヘッド等で表面記録層を画像状に
硬化させてから未硬化部分を洗浄・除去する方法(特開
昭62−164049号及び特開昭62−164596
号公報)等が知られている。
【0003】しかしながら、これらの方法はいずれも種
々の問題を包含し工業的に満足すべき方法ではない。例
えば、(1)及び(2)の方法は特殊なインクや転写リ
ボンを用いなければならず、(3)及び(4)の方法は
親水化するために洗浄工程を必要とする上、電子写真プ
ロセスを利用するためトナーによる現像工程も必要なの
で製版コストが高く感度も低い。また、(5)の方法は
電極針の摩耗が著しいから工業的に有利な方法といえ
ず、(6)及び(7)の方法は装置が大型化するため事
務用印刷には不向きである。更に、(8)の方法はポリ
ビニルアセテートのような親水性樹脂を記録層に含有す
るため熱印加部分の親油性が充分でなく、そのため該刷
版で印刷した印刷物は鮮明度が低下するような欠点があ
り、(9)の方法は(4)の方法と同様な洗浄工程を必
要とする点等に問題がある。
々の問題を包含し工業的に満足すべき方法ではない。例
えば、(1)及び(2)の方法は特殊なインクや転写リ
ボンを用いなければならず、(3)及び(4)の方法は
親水化するために洗浄工程を必要とする上、電子写真プ
ロセスを利用するためトナーによる現像工程も必要なの
で製版コストが高く感度も低い。また、(5)の方法は
電極針の摩耗が著しいから工業的に有利な方法といえ
ず、(6)及び(7)の方法は装置が大型化するため事
務用印刷には不向きである。更に、(8)の方法はポリ
ビニルアセテートのような親水性樹脂を記録層に含有す
るため熱印加部分の親油性が充分でなく、そのため該刷
版で印刷した印刷物は鮮明度が低下するような欠点があ
り、(9)の方法は(4)の方法と同様な洗浄工程を必
要とする点等に問題がある。
【0004】本出願人は、先に親油性の高い記録層を持
つ感熱記録型平版印刷原版を出願した(特開昭63−2
65686号公報)。該原版は、熱可塑性樹脂と無機顔
料と炭素数12〜19の直鎖飽和脂肪酸を記録層に含有
し、従来の感熱記録型平版印刷原版使用時より大幅に印
刷物の地汚れやスティッキング性が改善された印刷刷版
が得られる原版である。しかし、該原版について出願後
も研究を継続したところ、該原版の熱印加部に形成され
る画像部分の親油性は充分でなく、そのため細かいパタ
ーンを形成させるような場合に熱印加部分のインクの着
肉不足が生起する場合もあり、印刷物に画像カスレが生
じるような問題があった。本発明者らは、前記の親油性
不足問題を解決するために鋭意研究を重ね、シリコン油
の添加で親油性が大幅に向上することを見出した。しか
しながら、シリコン油を感熱記録層に添加した印刷原版
に形成される印刷刷版では、親水性不足のために印刷物
に地汚れが発生する場合もあるから、インクの着肉性が
良好で且つ印刷物に画像ムラや地汚れ等を起さない印刷
刷版を与える感熱記録型平版印刷原版を得るためには、
更に工夫が必要である。
つ感熱記録型平版印刷原版を出願した(特開昭63−2
65686号公報)。該原版は、熱可塑性樹脂と無機顔
料と炭素数12〜19の直鎖飽和脂肪酸を記録層に含有
し、従来の感熱記録型平版印刷原版使用時より大幅に印
刷物の地汚れやスティッキング性が改善された印刷刷版
が得られる原版である。しかし、該原版について出願後
も研究を継続したところ、該原版の熱印加部に形成され
る画像部分の親油性は充分でなく、そのため細かいパタ
ーンを形成させるような場合に熱印加部分のインクの着
肉不足が生起する場合もあり、印刷物に画像カスレが生
じるような問題があった。本発明者らは、前記の親油性
不足問題を解決するために鋭意研究を重ね、シリコン油
の添加で親油性が大幅に向上することを見出した。しか
しながら、シリコン油を感熱記録層に添加した印刷原版
に形成される印刷刷版では、親水性不足のために印刷物
に地汚れが発生する場合もあるから、インクの着肉性が
良好で且つ印刷物に画像ムラや地汚れ等を起さない印刷
刷版を与える感熱記録型平版印刷原版を得るためには、
更に工夫が必要である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、画像部分の
インク着肉性が良好で印刷物に画像ムラや地汚れ等がな
く、鮮明な印刷画像を与える感熱記録型平版印刷原版を
提供することをその課題とする。
インク着肉性が良好で印刷物に画像ムラや地汚れ等がな
く、鮮明な印刷画像を与える感熱記録型平版印刷原版を
提供することをその課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに
至った。すなわち、本発明によれば、耐水性支持体上
に、無機顔料、熱可塑性樹脂、シリコン油及び熱溶融性
物質を主成分とする感熱記録層を設けた感熱記録型平版
印刷原版において、該熱可塑性樹脂の少なくとも一部
に、加水分解によりカルボキシル基が生成可能な官能基
を持つ重合体を用いることを特徴とする感熱記録型平版
印刷原版が提供される。また、本発明によれば、前記感
熱記録型平版印刷原版において、記録層の表面平滑度
が、ベック平滑度で2000秒/cm3以上であること
を特徴とする感熱記録型平版印刷原版が提供される。更
に、本発明によれば、前記感熱記録型平版印刷原版にお
いて、密度が0.9g/cm3以下であることを特徴と
する感熱記録型平版印刷原版が提供される。
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに
至った。すなわち、本発明によれば、耐水性支持体上
に、無機顔料、熱可塑性樹脂、シリコン油及び熱溶融性
物質を主成分とする感熱記録層を設けた感熱記録型平版
印刷原版において、該熱可塑性樹脂の少なくとも一部
に、加水分解によりカルボキシル基が生成可能な官能基
を持つ重合体を用いることを特徴とする感熱記録型平版
印刷原版が提供される。また、本発明によれば、前記感
熱記録型平版印刷原版において、記録層の表面平滑度
が、ベック平滑度で2000秒/cm3以上であること
を特徴とする感熱記録型平版印刷原版が提供される。更
に、本発明によれば、前記感熱記録型平版印刷原版にお
いて、密度が0.9g/cm3以下であることを特徴と
する感熱記録型平版印刷原版が提供される。
【0007】本発明の感熱記録型平版印刷原版は、感熱
記録層に無機顔料と熱可塑性樹脂とシリコン油と熱溶融
性物質を含有しており、該層に熱を印加すると熱印加部
分の熱溶融性物質と熱可塑性樹脂が溶融し、そのため熱
印加部分に存在する無機顔料が前記親油性物質(主に熱
溶融性物質)で充分に被覆され、該部分に親油性が高く
表面の平滑な画像が形成される。一方、熱印加されない
部分は加水分解によってカルボキシル基が生成可能な重
合体が表面に存在するために、熱印加後に不感脂化液処
理した際に、重合体表面には親水性のカルボキシル基が
生成されて親水性が著しく高められ、地汚れが少なく鮮
明な印刷画像を与える平版印刷刷版が提供される。ここ
で不感脂化液処理とは、いわゆるエッチ液処理であり、
リン酸塩やフェロシアン化合物等を含む水溶液による処
理である。この処理により、非熱印加部分の親水性が高
められると共に、重合体に結合する官能基が加水分解を
受けてカルボキシル基が生成するために、非熱印加部分
の親水性は更に向上する。
記録層に無機顔料と熱可塑性樹脂とシリコン油と熱溶融
性物質を含有しており、該層に熱を印加すると熱印加部
分の熱溶融性物質と熱可塑性樹脂が溶融し、そのため熱
印加部分に存在する無機顔料が前記親油性物質(主に熱
溶融性物質)で充分に被覆され、該部分に親油性が高く
表面の平滑な画像が形成される。一方、熱印加されない
部分は加水分解によってカルボキシル基が生成可能な重
合体が表面に存在するために、熱印加後に不感脂化液処
理した際に、重合体表面には親水性のカルボキシル基が
生成されて親水性が著しく高められ、地汚れが少なく鮮
明な印刷画像を与える平版印刷刷版が提供される。ここ
で不感脂化液処理とは、いわゆるエッチ液処理であり、
リン酸塩やフェロシアン化合物等を含む水溶液による処
理である。この処理により、非熱印加部分の親水性が高
められると共に、重合体に結合する官能基が加水分解を
受けてカルボキシル基が生成するために、非熱印加部分
の親水性は更に向上する。
【0008】本発明の感熱記録型平版印刷原版におい
て、記録層に使用される熱可塑性樹脂は、少なくともそ
の一部に加水分解によってカルボキシル基を生成可能な
官能基を持つ重合体を含むものである。該重合体として
はホモポリマーでも共重合体でも使用可能であるが、該
重合体は共重合法で製造するのが容易なので、前記した
特定官能基を持つ重合体として共重合体の使用が好まし
い。すなわち、炭素数1〜18個で重合可能な炭素・炭
素二重結合を持つと共に、一塩基酸エステル、無水酸構
造を持つ官能基、多塩基酸エステル型官能基、ラクトン
環、酸アミド基、置換酸アミド基、カルボン酸塩型官能
基などの官能基を1個以上持つ単量体を必須成分とする
単量体混合物から得られる共重合体樹脂が好ましく使用
される。
て、記録層に使用される熱可塑性樹脂は、少なくともそ
の一部に加水分解によってカルボキシル基を生成可能な
官能基を持つ重合体を含むものである。該重合体として
はホモポリマーでも共重合体でも使用可能であるが、該
重合体は共重合法で製造するのが容易なので、前記した
特定官能基を持つ重合体として共重合体の使用が好まし
い。すなわち、炭素数1〜18個で重合可能な炭素・炭
素二重結合を持つと共に、一塩基酸エステル、無水酸構
造を持つ官能基、多塩基酸エステル型官能基、ラクトン
環、酸アミド基、置換酸アミド基、カルボン酸塩型官能
基などの官能基を1個以上持つ単量体を必須成分とする
単量体混合物から得られる共重合体樹脂が好ましく使用
される。
【0009】本発明において、熱可塑性樹脂に含まれる
好ましい官能基は下に示す一般式(1)で示され、一般
式(1)のL1は下の式(a)〜(g)のいずれかを表
している。 [−COO−L1] (1)
好ましい官能基は下に示す一般式(1)で示され、一般
式(1)のL1は下の式(a)〜(g)のいずれかを表
している。 [−COO−L1] (1)
【化1】
【0010】式(a)において、R1とR2は同一であっ
ても異なっていても良いが、これらは水素原子又は脂肪
族基を表している。また、Xは芳香族基を表し、Zは水
素原子、ハロゲン原子、トリハロメチル基、アルキル
基、シアノ基、ニトロ基、−SO2R1′(R1′は炭化
水素基を示す)、−COOR2′(R2′炭化素基を示
す)又はアルコキシ基を表し、n及びmは0〜2の整数
を表している。式(b)のR3とR4とR5は同一でも異
なっていても良く、これらは炭化水素基又はアルコキシ
基を表している。また、Mはケイ素原子又はスズ原子又
はチタン原子を表している。式(c)のQ1及び式
(d)のQ2は炭化水素基である。式(f)のY1は酸素
原子又はイオウ原子を表し、R6とR7とR8は同一でも
異なっていても良いが、これらはいずれも水素原子又は
脂肪族基を表している。pは3又は4の整数を表してい
るから、式(f)は5員環或いは6員環化合物である。
また、式(g)のY2は環状イミド基を形成する有機残
基を表している。
ても異なっていても良いが、これらは水素原子又は脂肪
族基を表している。また、Xは芳香族基を表し、Zは水
素原子、ハロゲン原子、トリハロメチル基、アルキル
基、シアノ基、ニトロ基、−SO2R1′(R1′は炭化
水素基を示す)、−COOR2′(R2′炭化素基を示
す)又はアルコキシ基を表し、n及びmは0〜2の整数
を表している。式(b)のR3とR4とR5は同一でも異
なっていても良く、これらは炭化水素基又はアルコキシ
基を表している。また、Mはケイ素原子又はスズ原子又
はチタン原子を表している。式(c)のQ1及び式
(d)のQ2は炭化水素基である。式(f)のY1は酸素
原子又はイオウ原子を表し、R6とR7とR8は同一でも
異なっていても良いが、これらはいずれも水素原子又は
脂肪族基を表している。pは3又は4の整数を表してい
るから、式(f)は5員環或いは6員環化合物である。
また、式(g)のY2は環状イミド基を形成する有機残
基を表している。
【0011】前記した一般式(1)で示される官能基を
持つ単量体と共重合させる共単量体としては、酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、酢酸アリル、プ
ロピオン酸アリル等の脂肪族カルボン酸ビニル或いはア
リルエステル類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン
酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸等の不飽和カ
ルボン酸のエステル又はその酸アミド類;スチレン、ビ
ニルトルエン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導
体;α−オレフィン類;アクリロニトリルやメタクリロ
ニトリルのような不飽和ニトリル;N−ビニルピロリド
ンのようなビニル基等の低級脂肪族不飽和基を持つヘテ
ロ環化合物等が挙げられる。一般式(1)で示される官
能基を持つ共重合体において、該官能基を持つ単量体成
分と共単量体成分とのモル比は、1:0.1〜3、好ま
しくは1:0.5〜2とするのが良い。この範囲より前
記官能基を持つ単量体成分が過少では印刷地汚れのよう
な問題があり、過大の場合はインク着肉不良のような問
題がある。
持つ単量体と共重合させる共単量体としては、酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、酢酸アリル、プ
ロピオン酸アリル等の脂肪族カルボン酸ビニル或いはア
リルエステル類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン
酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸等の不飽和カ
ルボン酸のエステル又はその酸アミド類;スチレン、ビ
ニルトルエン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導
体;α−オレフィン類;アクリロニトリルやメタクリロ
ニトリルのような不飽和ニトリル;N−ビニルピロリド
ンのようなビニル基等の低級脂肪族不飽和基を持つヘテ
ロ環化合物等が挙げられる。一般式(1)で示される官
能基を持つ共重合体において、該官能基を持つ単量体成
分と共単量体成分とのモル比は、1:0.1〜3、好ま
しくは1:0.5〜2とするのが良い。この範囲より前
記官能基を持つ単量体成分が過少では印刷地汚れのよう
な問題があり、過大の場合はインク着肉不良のような問
題がある。
【0012】一般式(1)で表される官能基を表1〜4
に具体的に例示する。また、このような官能基を持つ重
合可能な単量体を表5に具体的に例示する。なお、表1
には酸素又はイオウを環に持つ官能基を、表2には環を
持たない官能基を、表3には芳香族環を持つ官能基を、
表4には窒素を環に持つ官能基を例示しているが、本発
明は表1〜4の官能基及び表5の化合物に限定されるも
のではない。
に具体的に例示する。また、このような官能基を持つ重
合可能な単量体を表5に具体的に例示する。なお、表1
には酸素又はイオウを環に持つ官能基を、表2には環を
持たない官能基を、表3には芳香族環を持つ官能基を、
表4には窒素を環に持つ官能基を例示しているが、本発
明は表1〜4の官能基及び表5の化合物に限定されるも
のではない。
【表1】
【0013】
【表2】
【0014】
【表3】
【0015】
【表4】
【0016】
【表5】
【0017】本発明の感熱記録型平版印刷原版におい
て、感熱記録層に使用する熱可塑性樹脂に含まれる前記
特定構造の重合体は、数平均分子量2万〜10万、好ま
しくは3万〜7万であり、ガラス転移点は−10〜40
℃、好ましくは0〜20℃のものである。また、前記の
ように該熱可塑性樹脂は単一品でなくても良いが、混合
使用時に前記特定構造の重合体と混合して使用される熱
可塑性樹脂には、酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステル
樹脂、マレイン酸エステル樹脂、低融点ポリアミド樹
脂、ポリスチレンやスチレン−アクリル酸エステル共重
合体等のスチレン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重
合体、塩化ビニリデン樹脂、ブチラール樹脂、アセター
ル樹脂、ポリエステル樹脂等が好ましい。しかし、この
場合の熱可塑性樹脂は前記樹脂に限定されず、数平均分
子量2万〜10万、好ましくは3万〜7万でガラス転移
点−10〜40℃、好ましくは0〜20℃の熱可塑性樹
脂はいずれも使用できる。また、前記特定構造の重合体
100重量部当りの前記熱可塑性樹脂の添加量は0〜7
0重量部、好ましくは0〜50重量部である。以上のよ
うにして形成される感熱記録層の熱可塑性樹脂は、単独
の重合体使用時であっても重合体混合物を使用する場合
でも、ガラス転移点−10〜40℃、好ましくは0〜2
0℃とするのが良い。
て、感熱記録層に使用する熱可塑性樹脂に含まれる前記
特定構造の重合体は、数平均分子量2万〜10万、好ま
しくは3万〜7万であり、ガラス転移点は−10〜40
℃、好ましくは0〜20℃のものである。また、前記の
ように該熱可塑性樹脂は単一品でなくても良いが、混合
使用時に前記特定構造の重合体と混合して使用される熱
可塑性樹脂には、酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステル
樹脂、マレイン酸エステル樹脂、低融点ポリアミド樹
脂、ポリスチレンやスチレン−アクリル酸エステル共重
合体等のスチレン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重
合体、塩化ビニリデン樹脂、ブチラール樹脂、アセター
ル樹脂、ポリエステル樹脂等が好ましい。しかし、この
場合の熱可塑性樹脂は前記樹脂に限定されず、数平均分
子量2万〜10万、好ましくは3万〜7万でガラス転移
点−10〜40℃、好ましくは0〜20℃の熱可塑性樹
脂はいずれも使用できる。また、前記特定構造の重合体
100重量部当りの前記熱可塑性樹脂の添加量は0〜7
0重量部、好ましくは0〜50重量部である。以上のよ
うにして形成される感熱記録層の熱可塑性樹脂は、単独
の重合体使用時であっても重合体混合物を使用する場合
でも、ガラス転移点−10〜40℃、好ましくは0〜2
0℃とするのが良い。
【0018】本発明において感熱記録層に添加される無
機顔料は、クレー、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸
化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸
バリウム等であるが、特に酸化亜鉛が好ましい。また、
該無機顔料の粒径は0.1〜0.5μm、好ましくは
0.1〜0.25μmにするのが良い。無機顔料の添加
量は、重量比で熱可塑性樹脂量の0.5〜10倍、好ま
しくは1〜5倍である。添加量過少では親水性不足のた
め印刷物の地肌が汚れ易く、過大の場合は熱印加部分の
親油性不足のため印刷物の画像濃度低下や画像ムラが発
生する。なお、無機顔料は混合使用することも可能であ
るが、一般的には単独使用が良く、特別な場合を除いて
酸化亜鉛の単独使用が特に望ましい。
機顔料は、クレー、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸
化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸
バリウム等であるが、特に酸化亜鉛が好ましい。また、
該無機顔料の粒径は0.1〜0.5μm、好ましくは
0.1〜0.25μmにするのが良い。無機顔料の添加
量は、重量比で熱可塑性樹脂量の0.5〜10倍、好ま
しくは1〜5倍である。添加量過少では親水性不足のた
め印刷物の地肌が汚れ易く、過大の場合は熱印加部分の
親油性不足のため印刷物の画像濃度低下や画像ムラが発
生する。なお、無機顔料は混合使用することも可能であ
るが、一般的には単独使用が良く、特別な場合を除いて
酸化亜鉛の単独使用が特に望ましい。
【0019】本発明で感熱記録層に添加されるシリコン
油は、市販されている通常のシリコン油で良いが、特に
ジメチルポリシロキサン骨格やジフェニルポリシロキサ
ン骨格を持つシリコン油が良く、前記骨格のシリコン油
をアルコール変性やカルボキシ変性した変性シリコン油
も好ましく使用される。また、シリコン油の添加量は無
機顔量と熱可塑性樹脂の合計量の0.1〜10重量%、
好ましくは1.0〜3.0重量%にするのが良い。添加
量過少では、効力不足のために親油性が低下すると共に
サーマルヘッドで熱印加する際にスティッキングが発生
し、添加量過大では該印刷刷版表面に滲み出してくるた
めに印刷物が汚染される。
油は、市販されている通常のシリコン油で良いが、特に
ジメチルポリシロキサン骨格やジフェニルポリシロキサ
ン骨格を持つシリコン油が良く、前記骨格のシリコン油
をアルコール変性やカルボキシ変性した変性シリコン油
も好ましく使用される。また、シリコン油の添加量は無
機顔量と熱可塑性樹脂の合計量の0.1〜10重量%、
好ましくは1.0〜3.0重量%にするのが良い。添加
量過少では、効力不足のために親油性が低下すると共に
サーマルヘッドで熱印加する際にスティッキングが発生
し、添加量過大では該印刷刷版表面に滲み出してくるた
めに印刷物が汚染される。
【0020】本発明で感熱記録層に添加される熱溶融性
物質は50〜200℃、好ましくは100〜150℃で
溶融するものが良く、カルナウバワックス、マイクロク
リスタリンワックス、パラフィンワックス、キャンデリ
ラワックス、ポリエチレンワックス等のワックス類;ラ
ウリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸等の
高級脂肪酸やそのエステル;或いはその酸アミド類を単
独又は2種以上混合して使用すれば良い。また、熱溶融
性物質の添加量は無機顔料と熱可塑性樹脂の合計量の
0.1〜10重量%、好ましくは1.0〜3.0重量%
である。添加量過少では熱印加時の無機顔料被覆能低下
のため画像形成部分の親油性が低下して印刷物の印刷濃
度が低下し、過大では印刷刷版表面に存在して印刷物を
汚染する。本発明で使用される耐水性支持体としては、
メラミン−ホルムアルデヒド樹脂や尿素−ホルムアルデ
ヒド樹脂で湿潤時の強度を向上させた紙、ポリエチレン
テレフタレートのような合成樹脂のフィルム、アルミニ
ウム等を蒸着した金属蒸着紙、無機顔料を内添した合成
紙等が使用される。
物質は50〜200℃、好ましくは100〜150℃で
溶融するものが良く、カルナウバワックス、マイクロク
リスタリンワックス、パラフィンワックス、キャンデリ
ラワックス、ポリエチレンワックス等のワックス類;ラ
ウリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸等の
高級脂肪酸やそのエステル;或いはその酸アミド類を単
独又は2種以上混合して使用すれば良い。また、熱溶融
性物質の添加量は無機顔料と熱可塑性樹脂の合計量の
0.1〜10重量%、好ましくは1.0〜3.0重量%
である。添加量過少では熱印加時の無機顔料被覆能低下
のため画像形成部分の親油性が低下して印刷物の印刷濃
度が低下し、過大では印刷刷版表面に存在して印刷物を
汚染する。本発明で使用される耐水性支持体としては、
メラミン−ホルムアルデヒド樹脂や尿素−ホルムアルデ
ヒド樹脂で湿潤時の強度を向上させた紙、ポリエチレン
テレフタレートのような合成樹脂のフィルム、アルミニ
ウム等を蒸着した金属蒸着紙、無機顔料を内添した合成
紙等が使用される。
【0021】本発明の感熱記録型平版印刷原版は、上記
の耐水性支持体上に記録層形成用塗布液を公知の方法で
塗布・乾燥してから、必要に応じてカレンダー処理する
等の公知の方法で容易に形成することができる。なお、
前記塗布液の塗布量は特に限定されないが、一般的には
乾燥重量で3〜30g/m2、好ましくは10〜20g/
m2である。また、前記塗布液には前記必須成分のほか
必要に応じて分散助剤等を添加しても良く、分散助剤と
してはナフテン酸金属塩、脂肪酸及びその金属塩、各種
界面活性剤等を塗布液中の固形分の10重量%以下添加
すれば良い。記録層用塗布液は、無機顔料と熱可塑性樹
脂との混合物を公知の分散機で良く分散・混合し、これ
に熱溶融性物質とシリコン油を溶剤に溶解した液を添加
・混合するか、或いは無機顔料と熱可塑性樹脂と熱溶融
性物質とシリコン油とを別々に溶解又は分散した液を作
製し、これを混合することで製造することができる。な
お、言うまでもないことであるが、本発明の感熱記録型
平版印刷原版は、耐水性支持体上に所定組成の感熱記録
層を積層したものであれば良く、その製造方法は前記に
限定されるものではない。
の耐水性支持体上に記録層形成用塗布液を公知の方法で
塗布・乾燥してから、必要に応じてカレンダー処理する
等の公知の方法で容易に形成することができる。なお、
前記塗布液の塗布量は特に限定されないが、一般的には
乾燥重量で3〜30g/m2、好ましくは10〜20g/
m2である。また、前記塗布液には前記必須成分のほか
必要に応じて分散助剤等を添加しても良く、分散助剤と
してはナフテン酸金属塩、脂肪酸及びその金属塩、各種
界面活性剤等を塗布液中の固形分の10重量%以下添加
すれば良い。記録層用塗布液は、無機顔料と熱可塑性樹
脂との混合物を公知の分散機で良く分散・混合し、これ
に熱溶融性物質とシリコン油を溶剤に溶解した液を添加
・混合するか、或いは無機顔料と熱可塑性樹脂と熱溶融
性物質とシリコン油とを別々に溶解又は分散した液を作
製し、これを混合することで製造することができる。な
お、言うまでもないことであるが、本発明の感熱記録型
平版印刷原版は、耐水性支持体上に所定組成の感熱記録
層を積層したものであれば良く、その製造方法は前記に
限定されるものではない。
【0022】本発明の感熱記録型平版印刷原版は、感熱
記録層表面のベック平滑度を2000秒/cm3以上にす
ることで、熱印加時の性能を更に向上させることができ
る。すなわち、表面のベック平滑度が2000秒/cm
3未満ではサーマルヘッドと感熱記録層との密着性が悪
く、そのために鮮明な画像を得るのが困難なうえエネル
ギーの必要量も多くなり、サーマルヘッド寿命も低下す
ることが認められる。それゆえ、表面平滑度を上げるた
めのスーパーカレンダー処理等が推奨されるが、本発明
の平版印刷原版の記録層に添加される前記特定構造の重
合体は、スーパーカレンダー処理等による平滑度向上処
理時にも有効に作用している。本発明の感熱記録型平版
印刷原版は、密度が0.9g/cm3を越えると比熱増加
のために熱効率が低下するから、熱印加時の溶融不充分
のために画像形成部の親油性・平滑性が低下して充分に
鮮明な印刷物が得られ難くなると共に、サーマルヘッド
の必要エネルギー量増加やサーマルヘッド寿命の低下も
生起する。それゆえ、該原版に使用する耐水性支持体の
種類や記録層の塗工量等を調整し、密度0.9g/cm3
以下の印刷原版を作製するのが望ましい。
記録層表面のベック平滑度を2000秒/cm3以上にす
ることで、熱印加時の性能を更に向上させることができ
る。すなわち、表面のベック平滑度が2000秒/cm
3未満ではサーマルヘッドと感熱記録層との密着性が悪
く、そのために鮮明な画像を得るのが困難なうえエネル
ギーの必要量も多くなり、サーマルヘッド寿命も低下す
ることが認められる。それゆえ、表面平滑度を上げるた
めのスーパーカレンダー処理等が推奨されるが、本発明
の平版印刷原版の記録層に添加される前記特定構造の重
合体は、スーパーカレンダー処理等による平滑度向上処
理時にも有効に作用している。本発明の感熱記録型平版
印刷原版は、密度が0.9g/cm3を越えると比熱増加
のために熱効率が低下するから、熱印加時の溶融不充分
のために画像形成部の親油性・平滑性が低下して充分に
鮮明な印刷物が得られ難くなると共に、サーマルヘッド
の必要エネルギー量増加やサーマルヘッド寿命の低下も
生起する。それゆえ、該原版に使用する耐水性支持体の
種類や記録層の塗工量等を調整し、密度0.9g/cm3
以下の印刷原版を作製するのが望ましい。
【0023】
【実施例】次に、本発明を実施例によって更に具体的に
説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるも
のではない。なお、以下の実施例及び比較例における感
熱記録型平版印刷原版の評価では、いずれも16ドット
/mmのライン型サーマルヘッドで熱印加を行い、製版
された印刷刷版の印刷テストは(株)リコー製オフセッ
ト印刷機AP−3700で行った。
説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるも
のではない。なお、以下の実施例及び比較例における感
熱記録型平版印刷原版の評価では、いずれも16ドット
/mmのライン型サーマルヘッドで熱印加を行い、製版
された印刷刷版の印刷テストは(株)リコー製オフセッ
ト印刷機AP−3700で行った。
【0024】実施例1 n−ブチルメタクリレート60g、2−ヒドロキシエチ
ルメタクリレート10g、表5に示した化合物A40g
及びトルエン200gを良く混合して窒素ガス下70℃
に加温後、これにアゾビスイソブチロニトリル(AIB
N)2.0gを加えて10時間反応させ、共重合体
(P)を得た。該共重合体の重量平均分子量は4000
0でガラス転移点は5℃であった。 トルエン 150重量部 ステアリン酸 3重量部 シリコン油(信越シリコーン社製:KF−96) 2重量部 共重合体(P)(トルエン溶液中固形分40%) 50重量部 酸化亜鉛(白水化学社製:亜鉛華1号) 100重量部
ルメタクリレート10g、表5に示した化合物A40g
及びトルエン200gを良く混合して窒素ガス下70℃
に加温後、これにアゾビスイソブチロニトリル(AIB
N)2.0gを加えて10時間反応させ、共重合体
(P)を得た。該共重合体の重量平均分子量は4000
0でガラス転移点は5℃であった。 トルエン 150重量部 ステアリン酸 3重量部 シリコン油(信越シリコーン社製:KF−96) 2重量部 共重合体(P)(トルエン溶液中固形分40%) 50重量部 酸化亜鉛(白水化学社製:亜鉛華1号) 100重量部
【0025】以上の混合液を、ボールミルで3時間混合
・分散して感熱記録層形成用塗布液を作製した。この塗
布液を、厚さ90μmのポリエチレンテレフタレートフ
ィルムの片面に乾燥付着量20g/m2に塗布・乾燥し、
本発明の感熱記録型平版印刷原版を得た。この原版の感
熱記録層表面のベック平滑度は1500秒/cm3であっ
た。また、該原版の密度は0.95g/cm3であった。
以上のようにして作製した原版に、印加エネルギー0.
16mJ/ドットで熱印字したところ、スティッキング
もなく良好な印字品質の印刷刷版が得られた。この刷版
を使って通常の印刷用紙に5000枚の印刷を試みたと
ころ、地汚れのない鮮明な印刷物が得られた。
・分散して感熱記録層形成用塗布液を作製した。この塗
布液を、厚さ90μmのポリエチレンテレフタレートフ
ィルムの片面に乾燥付着量20g/m2に塗布・乾燥し、
本発明の感熱記録型平版印刷原版を得た。この原版の感
熱記録層表面のベック平滑度は1500秒/cm3であっ
た。また、該原版の密度は0.95g/cm3であった。
以上のようにして作製した原版に、印加エネルギー0.
16mJ/ドットで熱印字したところ、スティッキング
もなく良好な印字品質の印刷刷版が得られた。この刷版
を使って通常の印刷用紙に5000枚の印刷を試みたと
ころ、地汚れのない鮮明な印刷物が得られた。
【0026】実施例2 n−ブチルメタクリレート60g、アクリル酸10g、
表5に示した化合物B40g及びトルエン200gを良
く混合して窒素ガス下80℃に加温後、これにAIBN
1.0gを添加して6時間反応させ、共重合体(Q)を
得た。該共重合体の重量平均分子量は30000でガラ
ス転移点は5℃であった。以上の様にして得られた共重
合体(Q)を、固形分40%のトルエン溶液にして実施
例1の共重合体(P)の代りに使用し、その他の点では
実施例1と全く同様にして乾燥付着量18g/m2の記録
層を持つ印刷原版を作製し、これにスーパーカレンダー
処理して本実施例の感熱記録型平版印刷原版を得た。該
原版の感熱記録層表面のベック平滑度は3000秒/c
m3で、原版の密度は0.96g/cm3であった。以上
のようにして作製した原版に、印加エネルギー0.15
mJ/ドットで熱印字したところ、スティッキングもな
く良好な印字品質の印刷刷版が得られた。また、実施例
1と同一の印刷テストを行い、実施例1と同様な結果を
得た。
表5に示した化合物B40g及びトルエン200gを良
く混合して窒素ガス下80℃に加温後、これにAIBN
1.0gを添加して6時間反応させ、共重合体(Q)を
得た。該共重合体の重量平均分子量は30000でガラ
ス転移点は5℃であった。以上の様にして得られた共重
合体(Q)を、固形分40%のトルエン溶液にして実施
例1の共重合体(P)の代りに使用し、その他の点では
実施例1と全く同様にして乾燥付着量18g/m2の記録
層を持つ印刷原版を作製し、これにスーパーカレンダー
処理して本実施例の感熱記録型平版印刷原版を得た。該
原版の感熱記録層表面のベック平滑度は3000秒/c
m3で、原版の密度は0.96g/cm3であった。以上
のようにして作製した原版に、印加エネルギー0.15
mJ/ドットで熱印字したところ、スティッキングもな
く良好な印字品質の印刷刷版が得られた。また、実施例
1と同一の印刷テストを行い、実施例1と同様な結果を
得た。
【0027】実施例3 エチルアクリレート60g、アクリル酸10g、化合物
A40g及びトルエン200gを実施例1と同様に処理
して共重合体(R)を得た。該共重合体の重量平均分子
量は35000でガラス転移点は10℃であった。以上
の様にして得られた共重合体(R)を、固形分40%の
トルエン溶液にして実施例1の共重合体(P)の代りに
使用し、その他は実施例1と同様にして感熱記録層形成
用塗布液を作製し、これを合成紙(王子油化社製:ユポ
FPG−150)の片面に乾燥付着量20g/m2となる
ように塗布・乾燥後、スーパーカレンダー処理して本実
施例の感熱記録型平版印刷原版を得た。該原版の感熱記
録層表面のベック平滑度は5000秒/cm3、密度は
0.85g/cm3であった。以上のようにして作製した
原版に、印加エネルギー0.13mJ/ドットで熱印字
したところ、実施例1と同様に高品質の印刷刷版が得ら
れ、印刷テストの結果も実施例1と同一であった。
A40g及びトルエン200gを実施例1と同様に処理
して共重合体(R)を得た。該共重合体の重量平均分子
量は35000でガラス転移点は10℃であった。以上
の様にして得られた共重合体(R)を、固形分40%の
トルエン溶液にして実施例1の共重合体(P)の代りに
使用し、その他は実施例1と同様にして感熱記録層形成
用塗布液を作製し、これを合成紙(王子油化社製:ユポ
FPG−150)の片面に乾燥付着量20g/m2となる
ように塗布・乾燥後、スーパーカレンダー処理して本実
施例の感熱記録型平版印刷原版を得た。該原版の感熱記
録層表面のベック平滑度は5000秒/cm3、密度は
0.85g/cm3であった。以上のようにして作製した
原版に、印加エネルギー0.13mJ/ドットで熱印字
したところ、実施例1と同様に高品質の印刷刷版が得ら
れ、印刷テストの結果も実施例1と同一であった。
【0028】実施例4 n−ブチルメタクリレート60g、アクリル酸10g、
表5に示した化合物C40g及びトルエン200gを良
く混合して窒素ガス下70℃に加温後、これにAIBN
2.0gを加えて10時間反応させ、共重合体(S)を
得た。該共重合体の重量平均分子量は45000でガラ
ス転移点は10℃であった。次に、共重合体(R)を共
重合体(S)に替えた以外は実施例3と全く同一の方法
によって、本実施例の感熱記録型平版印刷原版を得た。
該原版の感熱記録層表面のベック平滑度は7000秒/
cm3で、密度は0.87g/cm3であった。以上のよ
うにして作製した原版に、実施例3と全く同一の評価試
験を試みたところ、実施例3と同様な結果が得られた。
表5に示した化合物C40g及びトルエン200gを良
く混合して窒素ガス下70℃に加温後、これにAIBN
2.0gを加えて10時間反応させ、共重合体(S)を
得た。該共重合体の重量平均分子量は45000でガラ
ス転移点は10℃であった。次に、共重合体(R)を共
重合体(S)に替えた以外は実施例3と全く同一の方法
によって、本実施例の感熱記録型平版印刷原版を得た。
該原版の感熱記録層表面のベック平滑度は7000秒/
cm3で、密度は0.87g/cm3であった。以上のよ
うにして作製した原版に、実施例3と全く同一の評価試
験を試みたところ、実施例3と同様な結果が得られた。
【0029】比較例1 n−ブチルメタクリレート60g、アクリル酸10g、
エチルアクリレート40g及びトルエン200gを使用
し、実施例1と同一の方法で共重合体(T)を製造し
た。この共重合体を共重合体(P)の代りに使用し、そ
の他は実施例1と同一の方法で原版を作製して、本比較
例の感熱記録型平版印刷原版を得た。該原版の感熱記録
層表面のベック平滑度は1500秒/cm3で、密度は
0.95g/cm3であった。以上のようにして作製した
原版に、0.16mJ/ドットの印加エネルギーで熱印
字すると、良好な印字品質の印刷刷版が得られたが、該
刷版による印刷テストでは印刷枚数500枚位から地肌
部に印刷地汚れが発生し、500枚以降は良好な印刷物
が得られなかった。なお、印刷条件は実施例の場合と同
一である。
エチルアクリレート40g及びトルエン200gを使用
し、実施例1と同一の方法で共重合体(T)を製造し
た。この共重合体を共重合体(P)の代りに使用し、そ
の他は実施例1と同一の方法で原版を作製して、本比較
例の感熱記録型平版印刷原版を得た。該原版の感熱記録
層表面のベック平滑度は1500秒/cm3で、密度は
0.95g/cm3であった。以上のようにして作製した
原版に、0.16mJ/ドットの印加エネルギーで熱印
字すると、良好な印字品質の印刷刷版が得られたが、該
刷版による印刷テストでは印刷枚数500枚位から地肌
部に印刷地汚れが発生し、500枚以降は良好な印刷物
が得られなかった。なお、印刷条件は実施例の場合と同
一である。
【0030】
【発明の効果】本発明の感熱記録型平版印刷原版は、感
熱記録層内に加水分解してカルボキシル基を生成するこ
とが可能な熱可塑性樹脂を含有させたことにより、不感
脂化液処理時の地肌部分の親水性が向上すると共に画像
部分の親油性も向上し、その結果、本発明の原版から形
成される印刷刷版では画像ムラや地汚れのない良質の印
刷物を長期間得ることができる。また、本発明の印刷原
版には前記の熱可塑性樹脂のほかにシリコン油も記録層
に含まれているため、これらの添加効果によって熱印加
時のサーマルヘッドとのマッチング性が向上し、そのた
めスティッキングの発生が大幅に減少する。本発明の感
熱記録型平版印刷原版では、感熱記録層表面のベック平
滑度を2000秒/cm3以上にしたため、熱印加時のサ
ーマルヘッドと原版の密着性が向上し、そのため更に鮮
明な画像を供給することが可能になると共に、熱印加に
必要なエネルギー量の低下やサーマルヘッド寿命の増加
も可能になる。更に、本発明の感熱記録型平版印刷原版
では、その密度を0.9g/cm3以下にすることによっ
て比熱を低下させ、そのため熱印加時の必要エネルギー
量をより大幅に低下させることができるから、サーマル
ヘッド寿命も更に増加する。
熱記録層内に加水分解してカルボキシル基を生成するこ
とが可能な熱可塑性樹脂を含有させたことにより、不感
脂化液処理時の地肌部分の親水性が向上すると共に画像
部分の親油性も向上し、その結果、本発明の原版から形
成される印刷刷版では画像ムラや地汚れのない良質の印
刷物を長期間得ることができる。また、本発明の印刷原
版には前記の熱可塑性樹脂のほかにシリコン油も記録層
に含まれているため、これらの添加効果によって熱印加
時のサーマルヘッドとのマッチング性が向上し、そのた
めスティッキングの発生が大幅に減少する。本発明の感
熱記録型平版印刷原版では、感熱記録層表面のベック平
滑度を2000秒/cm3以上にしたため、熱印加時のサ
ーマルヘッドと原版の密着性が向上し、そのため更に鮮
明な画像を供給することが可能になると共に、熱印加に
必要なエネルギー量の低下やサーマルヘッド寿命の増加
も可能になる。更に、本発明の感熱記録型平版印刷原版
では、その密度を0.9g/cm3以下にすることによっ
て比熱を低下させ、そのため熱印加時の必要エネルギー
量をより大幅に低下させることができるから、サーマル
ヘッド寿命も更に増加する。
Claims (3)
- 【請求項1】 耐水性支持体上に、無機顔料、熱可塑性
樹脂、シリコン油及び熱溶融性物質を主成分とする感熱
記録層を設けた感熱記録型平版印刷原版において、該熱
可塑性樹脂の少なくとも一部に加水分解によりカルボキ
シル基を生成可能な官能基を持つ重合体を用いることを
特徴とする感熱記録型平版印刷原版。 - 【請求項2】 感熱記録層の表面平滑度が、ベック平滑
度で2000秒/cm3以上であることを特徴とする請
求項1の感熱記録型平版印刷原版。 - 【請求項3】 密度が0.9g/cm3以下であること
を特徴とする請求項1又は2の感熱記録型平版印刷原
版。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8401593A JPH06270572A (ja) | 1993-03-17 | 1993-03-17 | 感熱記録型平版印刷原版 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8401593A JPH06270572A (ja) | 1993-03-17 | 1993-03-17 | 感熱記録型平版印刷原版 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06270572A true JPH06270572A (ja) | 1994-09-27 |
Family
ID=13818753
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8401593A Pending JPH06270572A (ja) | 1993-03-17 | 1993-03-17 | 感熱記録型平版印刷原版 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06270572A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE112008003386T5 (de) | 2007-12-14 | 2010-10-07 | Mitsubishi Paper Mills Ltd. | Wärmeempfindliche Lithographische Druckplatten |
-
1993
- 1993-03-17 JP JP8401593A patent/JPH06270572A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE112008003386T5 (de) | 2007-12-14 | 2010-10-07 | Mitsubishi Paper Mills Ltd. | Wärmeempfindliche Lithographische Druckplatten |
US8978553B2 (en) | 2007-12-14 | 2015-03-17 | Mitsubishi Paper Mills Limited | Heat-sensitive lithographic printing plates |
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