JPH06277084A - 新規抗生物質ab4063−aおよび−b、ならびにその製造法およびその用途 - Google Patents
新規抗生物質ab4063−aおよび−b、ならびにその製造法およびその用途Info
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- JPH06277084A JPH06277084A JP5091863A JP9186393A JPH06277084A JP H06277084 A JPH06277084 A JP H06277084A JP 5091863 A JP5091863 A JP 5091863A JP 9186393 A JP9186393 A JP 9186393A JP H06277084 A JPH06277084 A JP H06277084A
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- JP
- Japan
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- substance
- culture
- antibiotic
- formula
- medium
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- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
- Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
- Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Plural Heterocyclic Compounds (AREA)
- Pyrrole Compounds (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 耐性菌にも有効である抗細菌活性をもつ新規
な抗生物質であり、しかも植物病害菌に対して低濃度で
防除活性を示すが植物に薬害を示さない新規な抗生物質
を提供する。 【構成】 ホーマ属に属する微生物であるAB4063株(FE
RM P-13358)の培養により次の一般式 〔式中、RはAB4063-A物質では次式 の基であり、AB4063-B物質では次式 の基である〕で示される新規抗生物質AB4063-Aおよび-B
を製造する。AB4063-Aおよび-B物質はメチシリン耐性菌
を含めて各種細菌に抗菌活性を示し且つ植物病原カビに
対して防除活性を示すので、医薬用および農園芸用殺菌
剤として有用である。
な抗生物質であり、しかも植物病害菌に対して低濃度で
防除活性を示すが植物に薬害を示さない新規な抗生物質
を提供する。 【構成】 ホーマ属に属する微生物であるAB4063株(FE
RM P-13358)の培養により次の一般式 〔式中、RはAB4063-A物質では次式 の基であり、AB4063-B物質では次式 の基である〕で示される新規抗生物質AB4063-Aおよび-B
を製造する。AB4063-Aおよび-B物質はメチシリン耐性菌
を含めて各種細菌に抗菌活性を示し且つ植物病原カビに
対して防除活性を示すので、医薬用および農園芸用殺菌
剤として有用である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は抗菌活性と抗カビ活性を
有する新規な抗生物質AB4063-Aおよび-B(以下、これら
をAB4063物質と総称するが、特に指定があればその限り
でない)、その製造法およびその用途に関するものであ
る。さらに詳しくは、本発明は、ホーマ属に属するAB40
63-Aまたは-B物質生産菌の培養によって生産される新規
な抗生物質AB4063-Aおよび-B物質、およびそれらの製造
法に関し、またAB4063物質の生産菌として有用な新規微
生物に関するものである。本発明のAB4063物質は抗菌活
性と抗カビ活性を有し、細菌感染症に対する化学療法に
有用である医薬用殺菌剤として、また農園芸用殺菌剤と
して期待される。
有する新規な抗生物質AB4063-Aおよび-B(以下、これら
をAB4063物質と総称するが、特に指定があればその限り
でない)、その製造法およびその用途に関するものであ
る。さらに詳しくは、本発明は、ホーマ属に属するAB40
63-Aまたは-B物質生産菌の培養によって生産される新規
な抗生物質AB4063-Aおよび-B物質、およびそれらの製造
法に関し、またAB4063物質の生産菌として有用な新規微
生物に関するものである。本発明のAB4063物質は抗菌活
性と抗カビ活性を有し、細菌感染症に対する化学療法に
有用である医薬用殺菌剤として、また農園芸用殺菌剤と
して期待される。
【0002】
【従来の技術】微生物が生産する医薬用抗菌物質として
は、セファロスポリン、エリスロマイシン等が知られ、
また農園芸用殺菌剤としては、カスガマイシン、バリダ
マイシン等が知られている。また、これまでに本発明の
AB4063物質と化学構造上近似の物質としては、いくつか
の物質が医薬または動物薬として知られている(特開平
4-316578号公報、特開平4-74163 号公報、特開昭63-190
894 号公報参照)。
は、セファロスポリン、エリスロマイシン等が知られ、
また農園芸用殺菌剤としては、カスガマイシン、バリダ
マイシン等が知られている。また、これまでに本発明の
AB4063物質と化学構造上近似の物質としては、いくつか
の物質が医薬または動物薬として知られている(特開平
4-316578号公報、特開平4-74163 号公報、特開昭63-190
894 号公報参照)。
【0003】しかしながら本発明のAB4063物質は、それ
の物理化学的性状および生物活性の対象、その効果など
の諸性質の点で前記の既知物質と一致しない。
の物理化学的性状および生物活性の対象、その効果など
の諸性質の点で前記の既知物質と一致しない。
【0004】
【発明が解決すべき課題】上記の特許出願公開公報に例
示されている化合物は、医薬または動物薬としての用途
があることが開示されているが、農園芸用殺菌剤として
有用であるとする記載はない。本発明の一つの目的は、
新規な化学構造を有し、耐性菌等に対しても抗菌活性を
有する医薬または動物薬として有用な新規な抗菌物質を
提供することであり、第2の目的は、農園芸用殺菌剤分
野において利用できて植物病原菌に対し低濃度で有効で
且つ植物に薬害を示さず、しかも哺乳類に低毒性である
新規な抗生物質を提供することにある。
示されている化合物は、医薬または動物薬としての用途
があることが開示されているが、農園芸用殺菌剤として
有用であるとする記載はない。本発明の一つの目的は、
新規な化学構造を有し、耐性菌等に対しても抗菌活性を
有する医薬または動物薬として有用な新規な抗菌物質を
提供することであり、第2の目的は、農園芸用殺菌剤分
野において利用できて植物病原菌に対し低濃度で有効で
且つ植物に薬害を示さず、しかも哺乳類に低毒性である
新規な抗生物質を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決することを目的として種々の土壌から微生物を分
離し、その微生物が生産する抗生物質について鋭意研究
を重ねた。その結果、ホーマ属に属する新規な菌株の培
養物中に抗細菌活性および抗カビ活性を示す複数の物質
が生産されていることを発見した。そこで、該微生物の
培養物からそれらの活性物質を分離精製して単離したと
ころ、2種の物質が得られて、それらが上記の抗細菌活
性と抗カビ活性を示すことを見いだし、さらにそれらの
物質の化学構造を明らかにすることに成功した。その結
果、該物質が新規抗生物質であって抗菌活性および抗カ
ビ活性を有することを確認し、これをAB4063-A物質とAB
4063-B物質と称することにした。
を解決することを目的として種々の土壌から微生物を分
離し、その微生物が生産する抗生物質について鋭意研究
を重ねた。その結果、ホーマ属に属する新規な菌株の培
養物中に抗細菌活性および抗カビ活性を示す複数の物質
が生産されていることを発見した。そこで、該微生物の
培養物からそれらの活性物質を分離精製して単離したと
ころ、2種の物質が得られて、それらが上記の抗細菌活
性と抗カビ活性を示すことを見いだし、さらにそれらの
物質の化学構造を明らかにすることに成功した。その結
果、該物質が新規抗生物質であって抗菌活性および抗カ
ビ活性を有することを確認し、これをAB4063-A物質とAB
4063-B物質と称することにした。
【0006】すなわち、第1の本発明においては、下記
の一般式(I) 〔式中、RはAB4063-A物質では次式 の基であり、AB4063-B物質では次式 の基である〕で表される新規な抗生物質AB4063-Aおよび
-B、またはそれらの塩を提供するものである。
の一般式(I) 〔式中、RはAB4063-A物質では次式 の基であり、AB4063-B物質では次式 の基である〕で表される新規な抗生物質AB4063-Aおよび
-B、またはそれらの塩を提供するものである。
【0007】本発明のAB4063-Aおよび-B物質、ならびに
それらの塩の例として、第4級アンモニウム塩などの有
機物の塩と、各種金属塩、例えばアルカリ金属塩、特に
ナトリウムまたはカリウム塩、ならびにアルカリ土類金
属塩、特にカルシウム塩がある。
それらの塩の例として、第4級アンモニウム塩などの有
機物の塩と、各種金属塩、例えばアルカリ金属塩、特に
ナトリウムまたはカリウム塩、ならびにアルカリ土類金
属塩、特にカルシウム塩がある。
【0008】第1の発明によるAB4063-A物質は、下記の
構造式(Ia)で示され、また下記の物理化学的性質を
有する。
構造式(Ia)で示され、また下記の物理化学的性質を
有する。
【0009】
【0010】(1)外 観:淡橙色油状物質 (2)分子式:C26H39NO4 (3)分子量:429 (4)比旋光度:[α]D 24+28.6(c=1.0 ,クロロホ
ルム) (5)紫外部吸収スペクトル(メタノール溶液中):添
付図面の図1に示す。 λmax , nm(ε): 酸 性(0.01N HCl-メタノール中): 227(6,700) 292(13,400) 中 性(メタノール中): 228(6,500) 292(13,800) アルカリ性(0.01N NaOH-メタノール中):246(11,200) 290(14,600)
ルム) (5)紫外部吸収スペクトル(メタノール溶液中):添
付図面の図1に示す。 λmax , nm(ε): 酸 性(0.01N HCl-メタノール中): 227(6,700) 292(13,400) 中 性(メタノール中): 228(6,500) 292(13,800) アルカリ性(0.01N NaOH-メタノール中):246(11,200) 290(14,600)
【0011】(6)赤外部吸収スペクトル(KBr錠):添
付図面の図2に示す。 (7) 1H-NMR スペクトル(400MHz、重クロロホルム
中):添付図面の図3に示す。 (8)13C-NMR スペクトル(100MHz、重クロロホルム
中):添付図面の図4に示す。 (9)溶解性:クロロホルム、酢酸エチル、ジメチルス
ルホキシドに可溶、水に不溶である。 (10)薄層クロロマトグラフィー:Rf値=0.26 吸着剤 :メルク社製キーゼルゲル 60F254 展開溶剤:クロロホルム−メタノール−酢酸(98:2:
1) (11)薄層クロマトグラフィー:Rf値=0.21 吸着剤 :メルク社製キーゼルゲル 60F254 展開溶剤:ヘキサン−酢酸エチル−酢酸(50:50:1) (12)呈色反応:バニリン硫酸、塩化第二鉄、ヨウ素反
応で陽性である。 (13)塩基性、酸性、中性の区別:酸性物質。
付図面の図2に示す。 (7) 1H-NMR スペクトル(400MHz、重クロロホルム
中):添付図面の図3に示す。 (8)13C-NMR スペクトル(100MHz、重クロロホルム
中):添付図面の図4に示す。 (9)溶解性:クロロホルム、酢酸エチル、ジメチルス
ルホキシドに可溶、水に不溶である。 (10)薄層クロロマトグラフィー:Rf値=0.26 吸着剤 :メルク社製キーゼルゲル 60F254 展開溶剤:クロロホルム−メタノール−酢酸(98:2:
1) (11)薄層クロマトグラフィー:Rf値=0.21 吸着剤 :メルク社製キーゼルゲル 60F254 展開溶剤:ヘキサン−酢酸エチル−酢酸(50:50:1) (12)呈色反応:バニリン硫酸、塩化第二鉄、ヨウ素反
応で陽性である。 (13)塩基性、酸性、中性の区別:酸性物質。
【0012】第1の発明によるAB4063-B物質は、下記の
構造式(Ib)で示され、また下記の物理化学的性質を
有する。
構造式(Ib)で示され、また下記の物理化学的性質を
有する。
【0013】
【0014】(1)外 観:淡橙色油状物質 (2)分子式:C26H39NO3 (3)分子量:413 (4)比旋光度:[α]D 25+47.7°(c=1.0 ,クロロ
ホルム) (5)紫外部吸収スペクトル: λmax , nm(ε): 酸 性(0.01N HCl-メタノール中): 204(12,600) 226(6,600) 290(11,100) 中 性(メタノール中): 204(18,000) 228(6,200) 290(12,800) アルカリ性(0.01N NaOH-メタノール中):209(9,100) 248(10,300) 290(12,700) (6)赤外部吸収スペクトル(KBr錠):添付図面の図5
に示す。 (7)溶解性:クロロホルム、酢酸エチル、ジメチルス
ルホキシドに可溶、水に不溶である。 (8)薄層クロロマトグラフィー:Rf値=0.41 吸着剤 :メルク社製キーゼルゲル 60F254 展開溶剤:ヘキサン−酢酸エチル(7:3) (9)呈色反応:バニリン硫酸、塩化第二鉄、ヨウ素反
応で陽性である。 (10)塩基性、酸性、中性の区別:酸性物質。
ホルム) (5)紫外部吸収スペクトル: λmax , nm(ε): 酸 性(0.01N HCl-メタノール中): 204(12,600) 226(6,600) 290(11,100) 中 性(メタノール中): 204(18,000) 228(6,200) 290(12,800) アルカリ性(0.01N NaOH-メタノール中):209(9,100) 248(10,300) 290(12,700) (6)赤外部吸収スペクトル(KBr錠):添付図面の図5
に示す。 (7)溶解性:クロロホルム、酢酸エチル、ジメチルス
ルホキシドに可溶、水に不溶である。 (8)薄層クロロマトグラフィー:Rf値=0.41 吸着剤 :メルク社製キーゼルゲル 60F254 展開溶剤:ヘキサン−酢酸エチル(7:3) (9)呈色反応:バニリン硫酸、塩化第二鉄、ヨウ素反
応で陽性である。 (10)塩基性、酸性、中性の区別:酸性物質。
【0015】更に、第2の本発明によると、ホーマ属に
属するAB4063-A物質生産菌を培地に培養し、培養物中に
前記式(Ia)の抗生物質AB4063-Aを生成蓄積せしめ、
次いでその培養物から前記AB4063-A物質を採取すること
を特徴とする、式(Ia)の抗生物質AB4063-Aの製造法
が提供される。
属するAB4063-A物質生産菌を培地に培養し、培養物中に
前記式(Ia)の抗生物質AB4063-Aを生成蓄積せしめ、
次いでその培養物から前記AB4063-A物質を採取すること
を特徴とする、式(Ia)の抗生物質AB4063-Aの製造法
が提供される。
【0016】更に、第3の本発明によると、ホーマ属に
属するAB4063-B物質生産菌を培地に培養し、培養物中に
前記式(Ib)の抗生物質AB4063-Bを生成蓄積せしめ、
次いでその培養物から前記AB4063-B物質を採取すること
を特徴とする、式(Ib)の抗生物質AB4063-Bの製造法
が提供される。
属するAB4063-B物質生産菌を培地に培養し、培養物中に
前記式(Ib)の抗生物質AB4063-Bを生成蓄積せしめ、
次いでその培養物から前記AB4063-B物質を採取すること
を特徴とする、式(Ib)の抗生物質AB4063-Bの製造法
が提供される。
【0017】更に第4の本発明によると、新規な微生物
として、前記の一般式(I)で表わされる抗生物質AB40
63-Aおよび-B物質を生産できる特性を持ち、かつ後記の
菌学的な特徴を有する、ホーマ属の菌株AB4063株が提供
される。
として、前記の一般式(I)で表わされる抗生物質AB40
63-Aおよび-B物質を生産できる特性を持ち、かつ後記の
菌学的な特徴を有する、ホーマ属の菌株AB4063株が提供
される。
【0018】次に、AB4063-Aおよび-B物質の製造法につ
いて説明する。本発明の方法で用いられるAB4063-Aまた
は-B物質の生産菌としては、AB4063-Aまたは-B物質また
はその塩を産生する能力を有するものであればいかなる
微生物でもよい。その具体的な一例としては、本発明者
らが鹿児島県熊毛郡屋久島の土壌より新たに分離した菌
株AB4063がある。この菌株はホーマ属に属し、本発明の
方法に最も有効に用いられるAB4063物質生産菌の一例で
ある。
いて説明する。本発明の方法で用いられるAB4063-Aまた
は-B物質の生産菌としては、AB4063-Aまたは-B物質また
はその塩を産生する能力を有するものであればいかなる
微生物でもよい。その具体的な一例としては、本発明者
らが鹿児島県熊毛郡屋久島の土壌より新たに分離した菌
株AB4063がある。この菌株はホーマ属に属し、本発明の
方法に最も有効に用いられるAB4063物質生産菌の一例で
ある。
【0019】このAB4063株の菌学的性質を以下に記載す
る。 (1)各培地における生育状態 オートミール寒天培地上における本菌株の生育は速やか
であり、25℃、暗黒下の培養では、培養5日目で集落の
直径は46〜48mm、9日目で65〜67mmに達する。集落は綿
毛状を呈し、集落表面は灰味オリーブ緑色、裏面は明る
いオリーブ灰色を呈する。菌糸は隔壁を有し、培地上お
よび培地中に伸長する。菌糸の幅は 1.5〜 6.0μmで、
無色、平滑で分枝する。
る。 (1)各培地における生育状態 オートミール寒天培地上における本菌株の生育は速やか
であり、25℃、暗黒下の培養では、培養5日目で集落の
直径は46〜48mm、9日目で65〜67mmに達する。集落は綿
毛状を呈し、集落表面は灰味オリーブ緑色、裏面は明る
いオリーブ灰色を呈する。菌糸は隔壁を有し、培地上お
よび培地中に伸長する。菌糸の幅は 1.5〜 6.0μmで、
無色、平滑で分枝する。
【0020】麦芽エキス寒天培地上における本菌株の生
育は速やかであり、25℃、暗黒下の培養では、培養5日
目で集落の直径は38〜40mm、7日目で63〜65mmに達す
る。集落は綿毛状で、集落表面は灰味オリーブ緑色を呈
する。集落裏面は暗いオリーブ緑色を呈する。
育は速やかであり、25℃、暗黒下の培養では、培養5日
目で集落の直径は38〜40mm、7日目で63〜65mmに達す
る。集落は綿毛状で、集落表面は灰味オリーブ緑色を呈
する。集落裏面は暗いオリーブ緑色を呈する。
【0021】コーンミール寒天培地上における本菌株の
生育は速やかであり、25℃、暗黒下の培養では、培養5
日目で集落の直径は42〜43mm、9日目で74〜76mmに達す
る。集落は綿毛状で、集落表面は明るいオリーブ色を示
し、集落裏面はにぶ黄色を呈する。
生育は速やかであり、25℃、暗黒下の培養では、培養5
日目で集落の直径は42〜43mm、9日目で74〜76mmに達す
る。集落は綿毛状で、集落表面は明るいオリーブ色を示
し、集落裏面はにぶ黄色を呈する。
【0022】オートミール寒天培地上における培養で
は、アナモルフ(不完全世代の特徴)の形成は、培養2
週間目に分生子殻(Pycnidium)の形成が観察された。分
生子殻は、暗いオリーブ緑色〜オリーブ黒色を呈し、寒
天培地上に表在するか、または培地中に埋生する。分生
子殻は、球形〜亜球形、あるいは洋なし形(pyriform)
〜アンプル形(ampulliform)で、網目状の表面を呈し、
直径は 120〜250 μmで、通常1個の孔口、ときに2〜
3個の孔口を有し、孔口より分生子を押し出す。分生子
は単細胞、無色、平滑で楕円形〜卵形を呈し、大きさが
2.0〜4.0 × 1.5〜2.5 μmである。
は、アナモルフ(不完全世代の特徴)の形成は、培養2
週間目に分生子殻(Pycnidium)の形成が観察された。分
生子殻は、暗いオリーブ緑色〜オリーブ黒色を呈し、寒
天培地上に表在するか、または培地中に埋生する。分生
子殻は、球形〜亜球形、あるいは洋なし形(pyriform)
〜アンプル形(ampulliform)で、網目状の表面を呈し、
直径は 120〜250 μmで、通常1個の孔口、ときに2〜
3個の孔口を有し、孔口より分生子を押し出す。分生子
は単細胞、無色、平滑で楕円形〜卵形を呈し、大きさが
2.0〜4.0 × 1.5〜2.5 μmである。
【0023】(2)生理的性質 生育温度 麦芽エキス寒天培地を用いて、5℃、10℃、15℃、20
℃、25℃、30℃および37℃の各温度で培養した結果、AB
4063株は5℃〜30℃までいずれの温度でも生育したが、
37℃では生育しなかった。生育最適温度は20℃〜25℃で
ある。 生育pH pHを2、3、4、5、6、7、8、9、10および11に調
整した麦芽エキス寒天培地を用いて、25℃で培養した結
果、AB4063株はpH5〜11まで生育した。生育最適pHは、
pH8〜10である。
℃、25℃、30℃および37℃の各温度で培養した結果、AB
4063株は5℃〜30℃までいずれの温度でも生育したが、
37℃では生育しなかった。生育最適温度は20℃〜25℃で
ある。 生育pH pHを2、3、4、5、6、7、8、9、10および11に調
整した麦芽エキス寒天培地を用いて、25℃で培養した結
果、AB4063株はpH5〜11まで生育した。生育最適pHは、
pH8〜10である。
【0024】以上の菌学的性質からAB4063株の分類学上
の位置をジェイ・エイ・フォン・アークス著、ザ・ジェ
ネラ・オブ・ファンジャイ・スポルレイティング・イン
・ピュア・カルチャー、第3版、ジェイ・クレイマー
社、バダッツ、1981年(J. A.von Arx,「The Genera of
Fungi Sporulating in pure Culture 」,3rd ed., J.Cr
amer, Vaduz, 1981 )およびブライアン・シー・サット
ン著、ザ・シーロマイセテス・コモンウエルス・マイコ
ロジカル・インスティテュート、イングランド、1980年
(Brian C. Sutton,「The Coelomycetes, Commonwealth
MycologicalInstitute, England」, 1980)に従って検
索した。その結果、本AB4063株はホーマ属(Phoma)に属
することが認められ、本発明者らは、AB4063株をホーマ
・エスピーAB4063株と称することにした。
の位置をジェイ・エイ・フォン・アークス著、ザ・ジェ
ネラ・オブ・ファンジャイ・スポルレイティング・イン
・ピュア・カルチャー、第3版、ジェイ・クレイマー
社、バダッツ、1981年(J. A.von Arx,「The Genera of
Fungi Sporulating in pure Culture 」,3rd ed., J.Cr
amer, Vaduz, 1981 )およびブライアン・シー・サット
ン著、ザ・シーロマイセテス・コモンウエルス・マイコ
ロジカル・インスティテュート、イングランド、1980年
(Brian C. Sutton,「The Coelomycetes, Commonwealth
MycologicalInstitute, England」, 1980)に従って検
索した。その結果、本AB4063株はホーマ属(Phoma)に属
することが認められ、本発明者らは、AB4063株をホーマ
・エスピーAB4063株と称することにした。
【0025】なお、AB4063株は工業技術院微生物工業技
術研究所(現、工業技術院生命工学工業技術研究所)に
寄託申請され、平成4年12月25日、FERM P-13358として
受託されている。
術研究所(現、工業技術院生命工学工業技術研究所)に
寄託申請され、平成4年12月25日、FERM P-13358として
受託されている。
【0026】以上、AB4063物質生産菌の一例であるAB40
63株について説明したが、一般的には糸状菌類の菌学的
性質は極めて変化しやすく、自然界において、あるいは
通常行われている紫外線照射、X線照射、変異誘発剤
(例えば、N-メチル−N-ニトロ−N-ニトロソグアニジン
および2-アミノプリン等)または遺伝子組替えを用いる
人為的変異手段により変異することは周知の事実であ
る。このように自然変異株ならびに人工変異株も含め
て、ホーマ属に属し、AB4063物質を生産する能力を有す
る菌株はすべて本発明の方法に使用できる。
63株について説明したが、一般的には糸状菌類の菌学的
性質は極めて変化しやすく、自然界において、あるいは
通常行われている紫外線照射、X線照射、変異誘発剤
(例えば、N-メチル−N-ニトロ−N-ニトロソグアニジン
および2-アミノプリン等)または遺伝子組替えを用いる
人為的変異手段により変異することは周知の事実であ
る。このように自然変異株ならびに人工変異株も含め
て、ホーマ属に属し、AB4063物質を生産する能力を有す
る菌株はすべて本発明の方法に使用できる。
【0027】本発明の方法では、抗生物質AB4063の製造
には、ホーマ属に属するAB4063物質生産菌を、通常の微
生物が利用しうる栄養物を含有する培地において培養す
る。AB4063物質生産菌の培養においては、微生物の培養
に用いられる通常の培養方法が適用される。栄養源とし
ては、微生物が資化しうる炭素源、窒素源および無機塩
などを程よく含有する培地であれば天然培地、合成培地
のいずれでも利用できる。
には、ホーマ属に属するAB4063物質生産菌を、通常の微
生物が利用しうる栄養物を含有する培地において培養す
る。AB4063物質生産菌の培養においては、微生物の培養
に用いられる通常の培養方法が適用される。栄養源とし
ては、微生物が資化しうる炭素源、窒素源および無機塩
などを程よく含有する培地であれば天然培地、合成培地
のいずれでも利用できる。
【0028】資化しうる炭素源としては、グルコース、
シュクロース、ガラクトース、デキストリン、グリセロ
ール、澱粉、水飴、糖蜜、動・植物油等を利用できる。
また、窒素源としては、大豆粉、小麦胚芽、コーンステ
ィープリカー、綿実かす、肉エキス、ペプトン、酵母エ
キス、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、硝酸ナト
リウム、尿素などを使用できる。そのほか必要に応じ、
ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、コ
バルト、塩素、燐酸、硫酸およびその他のイオンを生成
することができる無機塩類を添加することは有効であ
る。また、菌株の発育を助け、AB4063物質の生産を促進
するような無機および有機物を適当に添加することがで
きる。なお、培地中に金属塩が存在すると、それに対応
する金属カチオンとの塩の形でAB4063物質が得られるこ
とがある。
シュクロース、ガラクトース、デキストリン、グリセロ
ール、澱粉、水飴、糖蜜、動・植物油等を利用できる。
また、窒素源としては、大豆粉、小麦胚芽、コーンステ
ィープリカー、綿実かす、肉エキス、ペプトン、酵母エ
キス、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、硝酸ナト
リウム、尿素などを使用できる。そのほか必要に応じ、
ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、コ
バルト、塩素、燐酸、硫酸およびその他のイオンを生成
することができる無機塩類を添加することは有効であ
る。また、菌株の発育を助け、AB4063物質の生産を促進
するような無機および有機物を適当に添加することがで
きる。なお、培地中に金属塩が存在すると、それに対応
する金属カチオンとの塩の形でAB4063物質が得られるこ
とがある。
【0029】培養方法としては、好気的条件下での培養
法、特に深部液体培養法が最も適している。適当な培養
温度は、15〜30℃であるが、多くの場合24〜30℃で培養
する。AB4063物質の生産は培地や培養条件によって異な
るが、振とう培養、タンク培養とも3〜10日の間でその
蓄積が最高に達する。
法、特に深部液体培養法が最も適している。適当な培養
温度は、15〜30℃であるが、多くの場合24〜30℃で培養
する。AB4063物質の生産は培地や培養条件によって異な
るが、振とう培養、タンク培養とも3〜10日の間でその
蓄積が最高に達する。
【0030】培養物中のAB4063物質の蓄積量が最高に達
した時点で培養を停止するのが好ましい。次いで、培養
物から発酵生産物を採取する一般的な方法に準じて、AB
4063物質生産菌の培養物からAB4063-Aまたは-B物質、あ
るいは両物質の採取と単離を行うのがよい。前記の培地
の組成、培地の液性、培養温度、攪拌速度および通気量
等の培養条件は、使用する菌株の種類および外部条件等
に応じて、好ましい結果が得られるように適宜調節ある
いは選択する。液体培養において発泡がある場合はシリ
コン油、植物油および界面活性剤等の消泡剤を適宜使用
する。
した時点で培養を停止するのが好ましい。次いで、培養
物から発酵生産物を採取する一般的な方法に準じて、AB
4063物質生産菌の培養物からAB4063-Aまたは-B物質、あ
るいは両物質の採取と単離を行うのがよい。前記の培地
の組成、培地の液性、培養温度、攪拌速度および通気量
等の培養条件は、使用する菌株の種類および外部条件等
に応じて、好ましい結果が得られるように適宜調節ある
いは選択する。液体培養において発泡がある場合はシリ
コン油、植物油および界面活性剤等の消泡剤を適宜使用
する。
【0031】このようにして得られる培養物中に蓄積さ
れたAB4063-Aまたは-B物質は、前述した物理化学的性質
を有するので、その性質に従い培養物から分離精製する
ことが可能である。特に、以下の方法により効率的に分
離精製することが好ましい。
れたAB4063-Aまたは-B物質は、前述した物理化学的性質
を有するので、その性質に従い培養物から分離精製する
ことが可能である。特に、以下の方法により効率的に分
離精製することが好ましい。
【0032】蓄積したAB4063-Aまたは-B物質を培養物中
から単離採取するに際しては、通常の生理活性物質を培
養液中から採取する方法が適用される。すなわち、培養
物から酢酸エチル、クロロホルム等の有機溶剤による抽
出、水または二種類以上の有機溶媒系を用いる交流分
配、イオン交換樹脂、吸着樹脂、シリカゲル、シラナイ
ズドシリカゲル、アルミナ、セルロース、珪藻土、ゲル
濾過剤等を用いるカラムクロマトグラフィーもしくは薄
層クロマトグラフィーによる活性物質の吸脱着処理、あ
るいは逆層カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー
などによってAB4063物質を単離することができる。な
お、本発明のAB4063-Aおよび-B物質の製造例を後記の実
施例1〜3に示す。
から単離採取するに際しては、通常の生理活性物質を培
養液中から採取する方法が適用される。すなわち、培養
物から酢酸エチル、クロロホルム等の有機溶剤による抽
出、水または二種類以上の有機溶媒系を用いる交流分
配、イオン交換樹脂、吸着樹脂、シリカゲル、シラナイ
ズドシリカゲル、アルミナ、セルロース、珪藻土、ゲル
濾過剤等を用いるカラムクロマトグラフィーもしくは薄
層クロマトグラフィーによる活性物質の吸脱着処理、あ
るいは逆層カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー
などによってAB4063物質を単離することができる。な
お、本発明のAB4063-Aおよび-B物質の製造例を後記の実
施例1〜3に示す。
【0033】更に、本発明による抗生物質AB4063は後記
のごとく、抗細菌活性と植物病原カビ菌生育阻止活性を
有する。次に、本発明のAB4063物質が抗細菌活性と抗カ
ビ活性を有して有用であることを後記の試験例によって
説明する。
のごとく、抗細菌活性と植物病原カビ菌生育阻止活性を
有する。次に、本発明のAB4063物質が抗細菌活性と抗カ
ビ活性を有して有用であることを後記の試験例によって
説明する。
【0034】試験例1 AB4063物質の細菌に対する効果 AB4063物質の各種細菌に対する最小生育阻止濃度(MIC)
(μg/ml)をミューラー・ヒントン寒天培地(Difco 社
製)を用い寒天平板希釈法にて測定した。その結果を次
の表1に示した。
(μg/ml)をミューラー・ヒントン寒天培地(Difco 社
製)を用い寒天平板希釈法にて測定した。その結果を次
の表1に示した。
【0035】
【0036】試験例2 AB4063物質の植物病原菌に対す
る効果 AB4063物質の各植物病原菌に対する最小生育阻止濃度(M
IC)(μg/ml)をポテト・スクロース寒天培地を用い、寒
天平板希釈法にて測定した。その結果を次の表2に示し
た。
る効果 AB4063物質の各植物病原菌に対する最小生育阻止濃度(M
IC)(μg/ml)をポテト・スクロース寒天培地を用い、寒
天平板希釈法にて測定した。その結果を次の表2に示し
た。
【0037】
【0038】従って、第5の本発明によると、前記の式
(I)で表わされる抗生物質AB4063-Aまたは-B、あるい
はこれら両者を有効成分として含有することを特徴とす
る医薬用殺菌剤または農園芸用殺菌剤が提供される。
(I)で表わされる抗生物質AB4063-Aまたは-B、あるい
はこれら両者を有効成分として含有することを特徴とす
る医薬用殺菌剤または農園芸用殺菌剤が提供される。
【0039】本発明のAB4063物質を医薬用殺菌剤として
使用する場合には、単独あるいは賦形剤と混合して軟膏
剤、注射剤、経口剤、坐剤等として投与する。賦形剤は
薬剤学的に許容されるものであればいずれでもよく、そ
の種類および組成は投与経路や投与方法によって適宜選
択する。AB4063物質の投与量は、年齢、体重等によって
異なるが、通常は成人に対して1−1,000mg 程度を経口
的あるいは非経口的(例えば静脈に注射)に投与する。
使用する場合には、単独あるいは賦形剤と混合して軟膏
剤、注射剤、経口剤、坐剤等として投与する。賦形剤は
薬剤学的に許容されるものであればいずれでもよく、そ
の種類および組成は投与経路や投与方法によって適宜選
択する。AB4063物質の投与量は、年齢、体重等によって
異なるが、通常は成人に対して1−1,000mg 程度を経口
的あるいは非経口的(例えば静脈に注射)に投与する。
【0040】本発明のAB4063物質を農園芸用殺菌剤とし
て用いる場合には、その使用目的に応じて単独でも用い
得るが、常用される固体又は液体状の担体と混和して用
いることができる。例えば、生物効果を助長、あるいは
安定化するために、後記の実施例4〜6に示したよう
に、適当な担体および補助剤と混和して製剤し、その製
剤組成物を直接に使用するか、あるいは必要に応じて水
で希釈して用いる。
て用いる場合には、その使用目的に応じて単独でも用い
得るが、常用される固体又は液体状の担体と混和して用
いることができる。例えば、生物効果を助長、あるいは
安定化するために、後記の実施例4〜6に示したよう
に、適当な担体および補助剤と混和して製剤し、その製
剤組成物を直接に使用するか、あるいは必要に応じて水
で希釈して用いる。
【0041】
【実施例】次に、本発明の抗生物質AB4063の醗酵的製造
を例示する実施例1〜3を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、これは単なる一例であって、これによって
本発明が限定されるものではない。また、ここに例示し
なかった多くの変法あるいは修飾手段を用いるようなこ
とはいうまでもなく可能なことであり、有効な手段とな
り得る。なお、実施例中に部とあるのは重量部を示して
いる。
を例示する実施例1〜3を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、これは単なる一例であって、これによって
本発明が限定されるものではない。また、ここに例示し
なかった多くの変法あるいは修飾手段を用いるようなこ
とはいうまでもなく可能なことであり、有効な手段とな
り得る。なお、実施例中に部とあるのは重量部を示して
いる。
【0042】実施例1 AB4063-A物質の製造 生産培地として、ブドウ糖 1.0%、溶性デンプン 3.0
%、ポリペプトン 0.5%、酵母エキス 0.2%、マルトエ
キス 0.5%、炭酸カルシウム 0.5%の組成からなる培地
(pH 6.5)を用いた。
%、ポリペプトン 0.5%、酵母エキス 0.2%、マルトエ
キス 0.5%、炭酸カルシウム 0.5%の組成からなる培地
(pH 6.5)を用いた。
【0043】前記の培地 110mlを分注した 500ml容量バ
ッフル付き三角フラスコ46本(培地5 liter分)を 121
℃で20分間滅菌し、これにホーマ属・エスピーAB4063株
(FERM P-13358)の斜面寒天培養物の1〜2白金耳を植
菌した。その後、ロータリーシェーカー(180rpm)を用
い、25℃で5日間回転振とう培養した。培養終了後、培
養液をろ過することにより、培養ろ液5 literと菌体と
を得た。
ッフル付き三角フラスコ46本(培地5 liter分)を 121
℃で20分間滅菌し、これにホーマ属・エスピーAB4063株
(FERM P-13358)の斜面寒天培養物の1〜2白金耳を植
菌した。その後、ロータリーシェーカー(180rpm)を用
い、25℃で5日間回転振とう培養した。培養終了後、培
養液をろ過することにより、培養ろ液5 literと菌体と
を得た。
【0044】上記の菌体にアセトン1.5 liter を加え、
50〜60℃で30分間抽出し、ろ過して菌体を除いた菌体抽
出液とした。この操作を2回行い、得られた菌体抽出液
3 literを減圧濃縮しアセトンを除いた後、2倍量の酢
酸エチルを加え、抽出した後分液した。この酢酸エチル
層を無水芒硝で乾燥した後、減圧下で濃縮し、活性成分
を含有する褐色油状物1.08gを得た。この褐色油状物
を、シリカゲル(メルク社製)を充填させたカラム(内
径22mm×長さ200mm)に吸着させ、クロロホルム、次いで
クロロホルム−メタノール(80:1)の組成からなる混
合溶媒、次いでクロロホルム−メタノール(40:1)の
組成からなる混合溶媒で展開溶出するカラムクロマトグ
ラフィーを行った。活性画分を集め、減圧下で濃縮乾固
し、活性成分を含有する油状物 319mgを得た。
50〜60℃で30分間抽出し、ろ過して菌体を除いた菌体抽
出液とした。この操作を2回行い、得られた菌体抽出液
3 literを減圧濃縮しアセトンを除いた後、2倍量の酢
酸エチルを加え、抽出した後分液した。この酢酸エチル
層を無水芒硝で乾燥した後、減圧下で濃縮し、活性成分
を含有する褐色油状物1.08gを得た。この褐色油状物
を、シリカゲル(メルク社製)を充填させたカラム(内
径22mm×長さ200mm)に吸着させ、クロロホルム、次いで
クロロホルム−メタノール(80:1)の組成からなる混
合溶媒、次いでクロロホルム−メタノール(40:1)の
組成からなる混合溶媒で展開溶出するカラムクロマトグ
ラフィーを行った。活性画分を集め、減圧下で濃縮乾固
し、活性成分を含有する油状物 319mgを得た。
【0045】ついでこの活性成分を含有する油状物を、
メタノールにてセファデックスLH20(ファルマシア社
製)を充填させたカラム(内径10mm×長さ450mm)にの
せ、メタノールで展開するカラムクロマトグラフィーを
行った。活性画分を集め、減圧下で濃縮乾固することに
より橙色油状のAB4063-A物質を 146mg得た。得られたAB
4063-A物質を50ml酢酸エチルに溶解し、その溶液を活性
炭にて脱色した後、等量の0.01Nの塩酸で洗浄、ついで
水洗し、無水硫酸ナトリウムで脱水後、減圧下で濃縮乾
固することにより淡橙色油状のAB4063-A物質を109 mg得
た。
メタノールにてセファデックスLH20(ファルマシア社
製)を充填させたカラム(内径10mm×長さ450mm)にの
せ、メタノールで展開するカラムクロマトグラフィーを
行った。活性画分を集め、減圧下で濃縮乾固することに
より橙色油状のAB4063-A物質を 146mg得た。得られたAB
4063-A物質を50ml酢酸エチルに溶解し、その溶液を活性
炭にて脱色した後、等量の0.01Nの塩酸で洗浄、ついで
水洗し、無水硫酸ナトリウムで脱水後、減圧下で濃縮乾
固することにより淡橙色油状のAB4063-A物質を109 mg得
た。
【0046】実施例2 AB4063-A物質の製造 生産培地として、ブドウ糖 1.0%、溶性デンプン 3.0
%、ポリペプトン 0.5%、酵母エキス 0.2%、マルトエ
キス 0.5%、炭酸カルシウム 0.5%の組成からなる培地
(pH 6.5)を用いた。
%、ポリペプトン 0.5%、酵母エキス 0.2%、マルトエ
キス 0.5%、炭酸カルシウム 0.5%の組成からなる培地
(pH 6.5)を用いた。
【0047】前記の培地 110mlを分注した 500ml容量バ
ッフル付き三角フラスコ46本(培地5 liter)分を 121
℃で20分間滅菌し、これにホーマ属・エスピーのAB4063
株(FERM P-13358)の斜面寒天培養の1〜2白金耳を植
菌した。その後、ロータリーシェーカー(180rpm)を用
い、25℃で5日間回転振とう培養した。培養終了後、培
養液をろ過することにより、培養ろ液5 literと菌体と
を得た。
ッフル付き三角フラスコ46本(培地5 liter)分を 121
℃で20分間滅菌し、これにホーマ属・エスピーのAB4063
株(FERM P-13358)の斜面寒天培養の1〜2白金耳を植
菌した。その後、ロータリーシェーカー(180rpm)を用
い、25℃で5日間回転振とう培養した。培養終了後、培
養液をろ過することにより、培養ろ液5 literと菌体と
を得た。
【0048】上記の培養ろ液に、2倍量の酢酸エチルを
加え抽出した後分液し、酢酸エチル層を無水芒硝で乾燥
した後、減圧下で濃縮し、活性成分を含有する褐色油状
物0.53gを得た。この褐色油状物を、シリカゲル(メル
ク社製)を充填させたカラム(内径18mm×長さ200mm)に
吸着させ、クロロホルム、次いでクロロホルム−メタノ
ール(80:1)の組成からなる混合溶媒、次いでクロロ
ホルム−メタノール(40:1)の組成からなる混合溶媒
で展開溶出するカラムトクロマトグラフィーを行った。
活性画分(No.54 〜64)を集め、減圧下で濃縮乾固し、
活性成分を含有する油状物 127mgを得た。
加え抽出した後分液し、酢酸エチル層を無水芒硝で乾燥
した後、減圧下で濃縮し、活性成分を含有する褐色油状
物0.53gを得た。この褐色油状物を、シリカゲル(メル
ク社製)を充填させたカラム(内径18mm×長さ200mm)に
吸着させ、クロロホルム、次いでクロロホルム−メタノ
ール(80:1)の組成からなる混合溶媒、次いでクロロ
ホルム−メタノール(40:1)の組成からなる混合溶媒
で展開溶出するカラムトクロマトグラフィーを行った。
活性画分(No.54 〜64)を集め、減圧下で濃縮乾固し、
活性成分を含有する油状物 127mgを得た。
【0049】ついでこの活性成分を含有する油状物を、
メタノールにてセファデックスLH20(ファルマシア社
製)を充填させたカラム(内径10mm×長さ450mm)にの
せ、メタノールで展開するカラムクロマトグラフィーを
行った。活性画分を集め、減圧下で濃縮乾固することに
より橙色油状のAB4063-A物質を40mg得た。得られたAB40
63-A物質を50ml酢酸エチルに溶解し、等量の 0.01Nの塩
酸で洗浄、次いで水洗し、無水硫酸ナトリウムで脱水
後、減圧下で濃縮乾固することにより淡橙色油状のAB40
63物質を37.5mg得た。
メタノールにてセファデックスLH20(ファルマシア社
製)を充填させたカラム(内径10mm×長さ450mm)にの
せ、メタノールで展開するカラムクロマトグラフィーを
行った。活性画分を集め、減圧下で濃縮乾固することに
より橙色油状のAB4063-A物質を40mg得た。得られたAB40
63-A物質を50ml酢酸エチルに溶解し、等量の 0.01Nの塩
酸で洗浄、次いで水洗し、無水硫酸ナトリウムで脱水
後、減圧下で濃縮乾固することにより淡橙色油状のAB40
63物質を37.5mg得た。
【0050】実施例3 AB4063-Aおよび-B物質の製造 生産培地として、ブドウ糖 1.0%、溶性デンプン 3.0
%、ポリペプトン 0.5%、酵母エキス 0.2%、マルトエ
キス 0.5%、炭酸カルシウム 0.5%の組成からなる培地
(pH 6.5)を用いた。
%、ポリペプトン 0.5%、酵母エキス 0.2%、マルトエ
キス 0.5%、炭酸カルシウム 0.5%の組成からなる培地
(pH 6.5)を用いた。
【0051】前記の培地110 mlを分注した500 ml容量バ
ッフル付き三角フラスコ18本(培地2liter 分)を 121
℃で20分間滅菌し、これにホーマ・エスピーAB4063株
(FERMP-13358) の斜面寒天培養の1〜2白金耳を植菌
した。その後、ロータリーシェーカー(180rpm)を用
い、25℃で2日間回転振とう培養し種菌とした。上記組
成からなる培地45 literを含む65 liter容ファーメンタ
ー2基に、先に調製した種菌900 mlをそれぞれ移植し、
毎分45 liter通気、毎分300 回転の攪拌をしながら25℃
で5日間培養した。培養終了後、培養液をろ過すること
により、培養菌体を得た。
ッフル付き三角フラスコ18本(培地2liter 分)を 121
℃で20分間滅菌し、これにホーマ・エスピーAB4063株
(FERMP-13358) の斜面寒天培養の1〜2白金耳を植菌
した。その後、ロータリーシェーカー(180rpm)を用
い、25℃で2日間回転振とう培養し種菌とした。上記組
成からなる培地45 literを含む65 liter容ファーメンタ
ー2基に、先に調製した種菌900 mlをそれぞれ移植し、
毎分45 liter通気、毎分300 回転の攪拌をしながら25℃
で5日間培養した。培養終了後、培養液をろ過すること
により、培養菌体を得た。
【0052】上記の菌体を、アセトン36 literで抽出
し、菌体を除き菌体抽出液とした。この操作を2回行い
菌体抽出液72 literを得た。得られた菌体抽出液は3 l
iterまで減圧濃縮し、アセトンを除いた後、2倍量の酢
酸エチルを加え振とう抽出した後分液した。この酢酸エ
チル層を無水芒硝で乾燥した後、減圧下で濃縮し、活性
成分AB4063-Aおよび-Bを含有する褐色油状物を得た。
し、菌体を除き菌体抽出液とした。この操作を2回行い
菌体抽出液72 literを得た。得られた菌体抽出液は3 l
iterまで減圧濃縮し、アセトンを除いた後、2倍量の酢
酸エチルを加え振とう抽出した後分液した。この酢酸エ
チル層を無水芒硝で乾燥した後、減圧下で濃縮し、活性
成分AB4063-Aおよび-Bを含有する褐色油状物を得た。
【0053】この褐色油状物を、シリカゲル(メルク社
製)を充填させたカラム(内径45mm×長さ300mm)に吸着
させ、各種展開溶媒で溶出し、溶出液を9gずつ分画し
た。画分No.1から50は、ヘキサン−酢酸エチル(2:
1)、画分No.51 から100 は、ヘキサン−酢酸エチル−
蟻酸(400:200:3)の組成からなる混合溶媒、画分No.101
から150 は、ヘキサン−酢酸エチル−蟻酸(100:100:1)
の組成からなる混合溶媒で展開溶出し、クロマトグラフ
ィーを行った。AB4063-A物質のみを含む活性画分(No.1
15〜133)を集め、減圧下で濃縮乾固し、2.19gの油状物
Iを得た。
製)を充填させたカラム(内径45mm×長さ300mm)に吸着
させ、各種展開溶媒で溶出し、溶出液を9gずつ分画し
た。画分No.1から50は、ヘキサン−酢酸エチル(2:
1)、画分No.51 から100 は、ヘキサン−酢酸エチル−
蟻酸(400:200:3)の組成からなる混合溶媒、画分No.101
から150 は、ヘキサン−酢酸エチル−蟻酸(100:100:1)
の組成からなる混合溶媒で展開溶出し、クロマトグラフ
ィーを行った。AB4063-A物質のみを含む活性画分(No.1
15〜133)を集め、減圧下で濃縮乾固し、2.19gの油状物
Iを得た。
【0054】また、活性成分AB4063-Aおよび-B物質を含
む画分(No.103〜114)を集め、減圧下で濃縮乾固し、2.
01gの油状物IIを得た。次に活性成分AB4063-A物質のみ
を含有する油状物Iを、クロロホルム−メタノール
(1:1)にてセファデックスLH20(ファルマシア社
製)を充填させたカラム(内径28mm×長さ450mm)にの
せ、メタノールで展開し、クロマトグラフィーを行っ
た。活性画分を集め、減圧下で濃縮乾固することにより
淡橙色油状のAB4063-A物質を0.96g得た。
む画分(No.103〜114)を集め、減圧下で濃縮乾固し、2.
01gの油状物IIを得た。次に活性成分AB4063-A物質のみ
を含有する油状物Iを、クロロホルム−メタノール
(1:1)にてセファデックスLH20(ファルマシア社
製)を充填させたカラム(内径28mm×長さ450mm)にの
せ、メタノールで展開し、クロマトグラフィーを行っ
た。活性画分を集め、減圧下で濃縮乾固することにより
淡橙色油状のAB4063-A物質を0.96g得た。
【0055】また、活性成分AB4063-Aおよび-B物質を含
有する油状物IIも同様に、クロロホルム−メタノール
(1:1)にてセファデックスLH20(ファルマシア社
製)を充填させたカラム(内径28mm×長さ450mm)にの
せ、メタノールで展開しクロマトグラフィーを行った。
活性成分AB4063-Aおよび-Bを含む画分を集め、減圧下で
濃縮乾固することにより淡橙色油状の活性画分1.32gを
得た。
有する油状物IIも同様に、クロロホルム−メタノール
(1:1)にてセファデックスLH20(ファルマシア社
製)を充填させたカラム(内径28mm×長さ450mm)にの
せ、メタノールで展開しクロマトグラフィーを行った。
活性成分AB4063-Aおよび-Bを含む画分を集め、減圧下で
濃縮乾固することにより淡橙色油状の活性画分1.32gを
得た。
【0056】活性成分AB4063-Aと-B物質との分離は、薄
層クロマトグラフィーで行った。すなわち活性画分を薄
層クロマトグラフィー(メルク社製ギーゼルゲル 60F
254 、20cm×20cm×0.5cm 、クロロホルム−メタノール
=40:1)にて展開し、Rf=0.66のUV吸収帯をかき取
り、クロロホルム−メタノール(1:1)から成る混合
溶媒で溶出後濃縮し、淡黄色油状のAB4063-A物質を 0.7
g得た。また、Rf=0.86のUV吸収帯をかき取り、クロ
ロホルム−メタノール(1:1)から成る混合溶媒で溶
出後濃縮し、淡橙色油状のAB4063-B物質を56mg得た。
層クロマトグラフィーで行った。すなわち活性画分を薄
層クロマトグラフィー(メルク社製ギーゼルゲル 60F
254 、20cm×20cm×0.5cm 、クロロホルム−メタノール
=40:1)にて展開し、Rf=0.66のUV吸収帯をかき取
り、クロロホルム−メタノール(1:1)から成る混合
溶媒で溶出後濃縮し、淡黄色油状のAB4063-A物質を 0.7
g得た。また、Rf=0.86のUV吸収帯をかき取り、クロ
ロホルム−メタノール(1:1)から成る混合溶媒で溶
出後濃縮し、淡橙色油状のAB4063-B物質を56mg得た。
【0057】次に、第5の本発明による殺菌剤の組成例
を例示する実施例4〜6によって、本発明を具体的に説
明する。
を例示する実施例4〜6によって、本発明を具体的に説
明する。
【0058】実施例4(水和剤) AB4063-Aまたは-B物質20部、アルキルベンゼンスルホン
酸カリウム3部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエ
ーテル5部、および白土72部を均一に混合し、粉砕し
て、活性成分を20%含有する水和剤を得た。
酸カリウム3部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエ
ーテル5部、および白土72部を均一に混合し、粉砕し
て、活性成分を20%含有する水和剤を得た。
【0059】実施例5(粉剤) AB4063-Aまたは-B物質2部、PAP(物理性改良剤)1
部およびクレー97部を均一に混合し、粉砕して、活性成
分を2%含有する粉剤を得た。
部およびクレー97部を均一に混合し、粉砕して、活性成
分を2%含有する粉剤を得た。
【0060】実施例6(乳剤) AB4063-Aまたは-B物質30部、メチルエチルケトン40部お
よびポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル30部を
混合し、溶解して、活性成分を30%含有する乳剤を得
た。
よびポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル30部を
混合し、溶解して、活性成分を30%含有する乳剤を得
た。
【0061】更に、第5の本発明による農園芸用殺菌剤
に用いるAB4063物質の植物病原菌に対する防除効果を試
験例3〜5によって例証する。
に用いるAB4063物質の植物病原菌に対する防除効果を試
験例3〜5によって例証する。
【0062】試験例3(キュウリべと病防除効果試験) 温室内において直径9cmの大きさの素焼鉢で土耕栽培し
た第2葉期のキュウリ苗(品種:相模半白)に、前記の
実施例4に準じて調製したAB4063-A物質の水和剤の所定
濃度希釈液を1鉢当り20ml散布した。一方、湿らせた筆
でキュウリベと病菌(Pseudoperonospora cubensis:シ
ュードペロノスポラ クベンシス)の罹病葉より胞子を
かき取り、展着剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル)の50ppm水溶液に懸濁させた後、胞子濃度を5×10
6 胞子数(個/ml)に調整し、胞子懸濁液を調製した。
た第2葉期のキュウリ苗(品種:相模半白)に、前記の
実施例4に準じて調製したAB4063-A物質の水和剤の所定
濃度希釈液を1鉢当り20ml散布した。一方、湿らせた筆
でキュウリベと病菌(Pseudoperonospora cubensis:シ
ュードペロノスポラ クベンシス)の罹病葉より胞子を
かき取り、展着剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル)の50ppm水溶液に懸濁させた後、胞子濃度を5×10
6 胞子数(個/ml)に調整し、胞子懸濁液を調製した。
【0063】このキュウリベと病菌の胞子懸濁液を薬剤
散布1日後のキュウリ苗に噴霧接種した。そして、キュ
ウリ苗を20℃、湿度 100%の湿室内に2日間静置し、そ
の後、発病室に移し、キュウリベと病を発病させた。接
種6日後に1葉当りのキュウリベと病病斑面積歩合
(%)を調査し、平均病斑面積歩合を求め、下記の計算
式により防除価(%)を算出した。その試験結果を下記
の表3に示す。
散布1日後のキュウリ苗に噴霧接種した。そして、キュ
ウリ苗を20℃、湿度 100%の湿室内に2日間静置し、そ
の後、発病室に移し、キュウリベと病を発病させた。接
種6日後に1葉当りのキュウリベと病病斑面積歩合
(%)を調査し、平均病斑面積歩合を求め、下記の計算
式により防除価(%)を算出した。その試験結果を下記
の表3に示す。
【0064】
【0065】試験例4(コムギ赤銹病防除効果試験) 温室内で直径9cmの大きさの素焼鉢で土耕栽培した第1
本葉期のコムギ幼苗(品種:農林61号)に、前記実施例
4に準じて調製したAB4063-A物質の水和剤の所定濃度希
釈液を3鉢当り20mlを散布した。1日後、あらかじめコ
ムギ葉上で形成させたコムギ赤銹病菌(Puccinia recon
dita:プクシニア レコンジタ)の夏胞子を 150倍の顕
微鏡で1視野当りの胞子濃度が約50個になるようにツイ
ーン20[花王株式会社製のポリオキシエチレンソルビタ
ンモノラウレートの商品名]50ppm を添加した滅菌水に
懸濁させて胞子懸濁液を調製した。そして、その胞子懸
濁液を処理すべき葉に噴霧接種した。その後、コムギ幼
苗を20℃、湿度 100%の温室内に移して発病を促した。
接種10日後にとり出し、1葉当りに発病した夏胞子堆数
を調査し、次の計算式により防除価を算出した。本試験
は1試験当たり3鉢制で行い、その平均防除価(%)を
求めた。その試験結果を下記表4に示す。
本葉期のコムギ幼苗(品種:農林61号)に、前記実施例
4に準じて調製したAB4063-A物質の水和剤の所定濃度希
釈液を3鉢当り20mlを散布した。1日後、あらかじめコ
ムギ葉上で形成させたコムギ赤銹病菌(Puccinia recon
dita:プクシニア レコンジタ)の夏胞子を 150倍の顕
微鏡で1視野当りの胞子濃度が約50個になるようにツイ
ーン20[花王株式会社製のポリオキシエチレンソルビタ
ンモノラウレートの商品名]50ppm を添加した滅菌水に
懸濁させて胞子懸濁液を調製した。そして、その胞子懸
濁液を処理すべき葉に噴霧接種した。その後、コムギ幼
苗を20℃、湿度 100%の温室内に移して発病を促した。
接種10日後にとり出し、1葉当りに発病した夏胞子堆数
を調査し、次の計算式により防除価を算出した。本試験
は1試験当たり3鉢制で行い、その平均防除価(%)を
求めた。その試験結果を下記表4に示す。
【0066】
【0067】試験例5(ナシ黒斑病防除効果試験) ナシ樹(品種:二十世紀)の新展開葉4〜5枚を含む新
梢を切り採り、300 ml容量のコルベンに水さしして試験
に供した。実施例4に準じて調製したAB4063-A物質の水
和剤の所定濃度希釈液20mlを前記新梢に散布した。接種
用ナシ黒斑病菌(Alternaria kikuchiana :アルタナリ
ア キクチアナ)はアンズ煎汁寒天培地の平板上で24℃
において10日間培養した。そして、その平板に形成され
た分生胞子をかきとり、ツイーン20[花王株式会社製の
商品名]の50 ppm溶液に分散させた。胞子濃度を顕微鏡
(150倍)一視野あたり約20個に調整して胞子懸濁液を作
った。
梢を切り採り、300 ml容量のコルベンに水さしして試験
に供した。実施例4に準じて調製したAB4063-A物質の水
和剤の所定濃度希釈液20mlを前記新梢に散布した。接種
用ナシ黒斑病菌(Alternaria kikuchiana :アルタナリ
ア キクチアナ)はアンズ煎汁寒天培地の平板上で24℃
において10日間培養した。そして、その平板に形成され
た分生胞子をかきとり、ツイーン20[花王株式会社製の
商品名]の50 ppm溶液に分散させた。胞子濃度を顕微鏡
(150倍)一視野あたり約20個に調整して胞子懸濁液を作
った。
【0068】そして、その懸濁液をスプレーガンを用い
て薬剤散布1日後に接種した。接種後のナシ新梢(300ml
容コルベンに水さし)は24℃の湿室に24時間保ち、その
後は24〜26℃および湿度85〜95%のグロースキャビネッ
ト内で管理した。病菌接種5日後に1葉当たりの病斑面
積歩合(%)を調査し、次の計算式により防除価(%)を
算出した。なお、試験は1区3枝制で実施し、平均防除
価(%)を求めた。その試験結果を下記の表5に示す。
て薬剤散布1日後に接種した。接種後のナシ新梢(300ml
容コルベンに水さし)は24℃の湿室に24時間保ち、その
後は24〜26℃および湿度85〜95%のグロースキャビネッ
ト内で管理した。病菌接種5日後に1葉当たりの病斑面
積歩合(%)を調査し、次の計算式により防除価(%)を
算出した。なお、試験は1区3枝制で実施し、平均防除
価(%)を求めた。その試験結果を下記の表5に示す。
【0069】
【0070】
【発明の効果】本発明の新規な抗生物質AB4063-Aおよび
-B物質は以上に述べたように、抗菌活性、および植物病
原菌に強い防除活性を有することから、新規な医薬用抗
菌剤、および農園芸用殺菌剤として有用である。
-B物質は以上に述べたように、抗菌活性、および植物病
原菌に強い防除活性を有することから、新規な医薬用抗
菌剤、および農園芸用殺菌剤として有用である。
【図1】AB4063-A物質のメタノール中での紫外部吸収ス
ペクトル図である。
ペクトル図である。
【図2】AB4063-A物質の臭化カリウム錠剤中での赤外部
吸収スペクトル図である。
吸収スペクトル図である。
【図3】AB4063-A物質の重クロロホルム中での 1H核磁
気共鳴スペクトル図である。
気共鳴スペクトル図である。
【図4】AB4063-A物質の重クロロホルム中での13C核磁
気共鳴スペクトル図である。
気共鳴スペクトル図である。
【図5】AB4063-B物質の臭化カリウム錠剤中での赤外部
吸収スペクトル図である。
吸収スペクトル図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07D 405/08 207 7602−4C C12P 17/16 7432−4B //(C12P 17/10 C12R 1:01) (C12P 17/16 C12R 1:01) (72)発明者 高橋 篤 神奈川県川崎市多摩区西生田4丁目25番18 号 (72)発明者 手塚 保行 神奈川県厚木市森の里2丁目24番7号 (72)発明者 佐藤 聖 神奈川県秦野市東田原200番地96 (72)発明者 竹内 富雄 東京都品川区東五反田5丁目1番11号 ニ ューフジマンション701 (72)発明者 濱田 雅 東京都新宿区内藤町1番地26 秀和レジデ ンス405号 (72)発明者 長縄 博 東京都大田区田園調布本町3番17号
Claims (5)
- 【請求項1】 下記の一般式(I) 〔式中、RはAB4063-A物質では次式 の基であり、AB4063-B物質では次式 の基である〕で表される新規な抗生物質AB4063-Aおよび
-B、またはそれらの塩。 - 【請求項2】 ホーマ属に属する抗生物質AB4063-A生
産菌を培地中で培養し、その培養物中に抗生物質AB4063
-Aを生成蓄積せしめ、次いで培養物から該抗生物質を採
取することを特徴とする、請求項1に記載の抗生物質AB
4063-Aの製造法。 - 【請求項3】 ホーマ属に属する抗生物質AB4063-B生
産菌を培地中で培養し、その培養物中に抗生物質AB4063
-Bを生成蓄積せしめ、次いで培養物から該抗生物質を採
取することを特徴とする、請求項1に記載の抗生物質AB
4063-Bの製造法。 - 【請求項4】 請求項1に記載の一般式(I)で表わさ
れる抗生物質AB4063-Aおよび-Bを生産できる特性を持
ち、かつ後記の菌学的特徴を有するホーマ属の菌、AB40
63株。 - 【請求項5】 請求項1に記載の抗生物質AB4063-Aまた
は-B、あるいはこれら両者を有効成分とする医薬用殺菌
剤または農園芸用殺菌剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5091863A JPH06277084A (ja) | 1993-03-29 | 1993-03-29 | 新規抗生物質ab4063−aおよび−b、ならびにその製造法およびその用途 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5091863A JPH06277084A (ja) | 1993-03-29 | 1993-03-29 | 新規抗生物質ab4063−aおよび−b、ならびにその製造法およびその用途 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06277084A true JPH06277084A (ja) | 1994-10-04 |
Family
ID=14038399
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5091863A Pending JPH06277084A (ja) | 1993-03-29 | 1993-03-29 | 新規抗生物質ab4063−aおよび−b、ならびにその製造法およびその用途 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06277084A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0677513A1 (en) * | 1994-04-15 | 1995-10-18 | Takeda Chemical Industries, Ltd. | Octahydro-2-naphthalenecarboxylic acid derivative, its production and use |
JP2010222292A (ja) * | 2009-03-23 | 2010-10-07 | Microbial Chem Res Found | 植物病害防除剤 |
-
1993
- 1993-03-29 JP JP5091863A patent/JPH06277084A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0677513A1 (en) * | 1994-04-15 | 1995-10-18 | Takeda Chemical Industries, Ltd. | Octahydro-2-naphthalenecarboxylic acid derivative, its production and use |
US5498627A (en) * | 1994-04-15 | 1996-03-12 | Takeda Chemical Industries, Ltd. | Octahydro-2-naphthalenecarboxylic acid derivative, its production and use |
JP2010222292A (ja) * | 2009-03-23 | 2010-10-07 | Microbial Chem Res Found | 植物病害防除剤 |
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