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JPH0624183A - Idカード - Google Patents

Idカード

Info

Publication number
JPH0624183A
JPH0624183A JP4182443A JP18244392A JPH0624183A JP H0624183 A JPH0624183 A JP H0624183A JP 4182443 A JP4182443 A JP 4182443A JP 18244392 A JP18244392 A JP 18244392A JP H0624183 A JPH0624183 A JP H0624183A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
image
layer
receiving layer
card
protective layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4182443A
Other languages
English (en)
Inventor
Kunihiro Koshizuka
国博 腰塚
Shigehiro Kitamura
繁寛 北村
Masataka Takimoto
正高 瀧本
Tomonori Kawamura
朋紀 河村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP4182443A priority Critical patent/JPH0624183A/ja
Publication of JPH0624183A publication Critical patent/JPH0624183A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 この発明の目的は、大量生産に好適であると
共に耐久性に優れ、効果的に変造を防止することのでき
るIDカードを提供することにある。 【構成】 前記目的を達成するためのこの発明に係るI
Dカードは、支持体における一方の表面に、必要に応じ
て設ける中間層、熱拡散性色素を受容して画像を形成す
る受像層、必要に応じて設ける透明保護層、及び前記転
写画像を形成した受像層を保護する紫外線硬化保護層を
この順に有し、前記支持体における他方の表面に必要で
ある場合に設ける筆記層を有してなり、前記支持体と中
間層又は受像層との間における接着力が、他の各層間に
おける接着力よりも相対的に小さいことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、IDカードに関し、
更に詳しくは、大量生産に好適であり、耐久性に優れる
と共に、転写画像を形成した受像層とその転写画像の表
面に設けた透明な保護層との界面を剥離して変造を試み
ても、必ず他の層間における界面の少なくとも一部で剥
離が発生することにより、効果的に変造防止をすること
のできるIDカードに関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】現在、自
動車免許証等の免許証類をはじめ、身分証明証、写真付
き会員証、認証識別カード、写真付き名刺等の多くの各
種IDカードが普及している。これらのIDカード、例
えば自動車免許証等は、支持体の表面に、銀塩写真法に
より顔写真が形成されると共に印刷法等により必要な情
報が記載され、更にその表面に保護層が形成されてい
た。この銀塩写真法等による顔写真の形成は、露光、現
像、定着、漂白等の複雑な多段階の工程を有するので、
大量かつ迅速にIDカードを生産しなければならない現
場においては、必ずしも適切ではない。
【0003】近時、このような事情の下、支持体の表面
に、昇華型感熱転写記録方式により階調情報含有画像
等、又は熱溶融型感熱転写記録方式により文字情報含有
画像等の転写画像を形成した受像層を設け、更に前記受
像層における転写画像の全表面に紫外線硬化性樹脂を塗
布し、これに紫外線照射をすることにより紫外線硬化保
護層を形成してなる、大量生産に好適で便利なIDカー
ドが提案されている。
【0004】ところで、カード社会と呼ばれる今日にお
いては、一個人が所持するIDカードの枚数は以前に比
べて比較にならない程多くなった。こうした状況におい
ては、万が一IDカードの紛失等が発生した場合に、I
Dカードが変造され、悪用されることを絶対的に防止し
なければならない。IDカードには、いわゆる身分証明
書としての重要な機能があり、これを変造による悪用か
ら守ることは、IDカードの所持者である個人を保護す
るだけでなく、社会秩序の維持をも図ることになる。
【0005】しかしながら、従来のIDカードは、画像
を形成した受像層及びその画像を保護するための透明な
保護層の間における接着力と、他の層間における接着力
とを比べると相対的にその差が殆ど無かったので、前記
受像層及び保護層の間における界面を選択的に剥離する
ことは比較的容易であり、変造を防止するには効果的で
はなかった。かかる状況下、IDカードの変造を防止す
ることの社会的要請は益々高まっている。
【0006】この発明の目的は、かかる要請に応えると
共に前記問題点を解決し、大量生産に好適であり、耐久
性に優れ、効果的に変造を防止することのできるIDカ
ードを提供することにある。
【0007】
【前記課題を解決するための手段】前記目的を達成する
ためにこの発明者らが鋭意検討した結果、IDカードの
各層間における接着力の中で少なくとも1つが、受像層
における転写画像を形成した面とその表面に形成する透
明な保護層との界面における接着力よりも相対的に小さ
ければ、たとえ受像層における転写画像を形成した面の
界面を選択的に剥離して変造を試みても、より接着力の
小さい他の層間における界面の少なくとも1部で剥離が
生じるので、変造を効果的に防止することができること
を見出し、この発明に到達した。
【0008】即ち、前記請求項1に記載の発明は、支持
体の一方の表面に、色素を受容して転写画像を形成する
受像層と、前記受像層に形成した転写画像を保護する紫
外線硬化保護層とを、この順に有してなり、前記支持体
と受像層との接着力が他の層間の接着力よりも小さいこ
とを特徴とするIDカードであり、請求項2に記載の発
明は、支持体の一方の表面に、中間層と、色素を受容し
て転写画像を形成する受像層と、前記受像層に形成した
転写画像を保護する紫外線硬化保護層とを、この順に有
してなり、前記支持体と中間層との接着力又は中間層と
受像層との接着力が、他の層間の接着力よりも小さいこ
とを特徴とするIDカードであり、請求項3に記載の発
明は、前記受像層と紫外線硬化保護層との間に、前記受
像層に形成した転写画像を保護する透明保護層を更に設
けてなる前記請求項1又は2に記載のIDカードであ
り、請求項4に記載の発明は、前記支持体の他方の表面
に筆記層を設けてなる前記請求項1〜3のいずれかに記
載のIDカードである。
【0009】以下、この発明につき詳細に説明する。こ
の発明に係るIDカードは、支持体、受像層及び紫外線
硬化保護層を必須の層とし、更に必要に応じて中間層、
透明保護層又は筆記層を設けてなる。受像層における転
写画像を形成していない面と支持体との界面、更に前記
受像層と支持体の間に中間層を設けた場合には、受像層
と中間層との界面又は中間層と支持体との界面における
接着力を、他の層間の接着力よりも小さくなるように調
節して形成されることを特長としている。
【0010】《IDカードの構成》 (1)支持体 この発明におけるIDカードの支持体としては、IDカ
ードとしての必要な機械的強度を有していれば特に制限
はなく、例えば、紙、コート紙及び合成紙等のそれ自体
公知の各種紙類、白色の塩化ビニル系樹脂シート若しく
はポリエチレンテレフタレートベースフィルム等の各種
プラスチックフィルムないしシート、各種の金属で形成
されたフィルムないしシート又は各種のセラミックス類
で形成されたフィルムないしシート等を挙げることがで
きる。また、このIDカードの支持体は、前記各種の素
材からなる単独のシートであってもよいし、前記各種の
素材からなるシートを組み合わせた複合積層シートであ
ってもよい。
【0011】これらの中で好ましいのは、白色のポリエ
チレンテレフタレートベースフィルム、ポリエチレンテ
レフタレートシートを有する複合積層シートである。支
持体中には、受像層に形成する転写画像の鮮明性を高め
るために、チタンホワイト、炭酸マグネシウム等の白色
顔料が添加されているのが好ましい。
【0012】これらの中で、自動車免許証等のIDカー
ドとするのであれば、前記白色顔料を含有する塩化ビニ
ル系樹脂組成物からなるシート若しくはフィルム、白色
のポリエチレンテレフタレートベースフィルム若しくは
ポリエチレンテレフタレートシートを有する複合積層シ
ートが一般的である。
【0013】前記支持体の厚みとしては、通常100〜
1,000μm、好ましくは100〜800μmであ
り、更に好ましくは200〜800μmである。前記支
持体には必要に応じてエンボス、サイン、ICメモリ
−、光メモリ−、磁気記録層、他の印刷等を設けもよ
い。
【0014】(2)受像層 この発明のIDカードにおける受像層は、基本的には受
像層用バインダーによって形成される。この受像層は離
型剤を含むことが好ましく、後述する金属イオン含有化
合物、更に必要に応じて各種の添加剤を含んでもよい。
【0015】前記受像層は、前記支持体と受像層との間
の接着力、又は後述の中間層を設ける場合には、その中
間層と受像層との間若しくは前記中間層と前記支持体と
の間における接着力が、IDカードにおける他のどの層
間における接着力よりも相対的に小さくなるように、受
像層を形成する各種成分の種類とその含有量を適宜に調
製して、形成される。
【0016】前記支持体の表面又は後述の中間層を設け
る場合にはその表面に形成される受像層の厚みとして
は、通常0.5〜20μmであり、好ましくは1〜10
μmである。
【0017】〈受像層用バインダー〉受像層用バインダ
−としては、特に制限は無くそれ自体公知の種々の樹脂
を用いることができる。
【0018】前記受像層用バインダーとしては、例え
ば、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニルと他のモノマー
(例えば、イソブチルビニルエーテル、プロピオン酸ビ
ニル等)との共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ
(メタ)アクリル酸エステル、ポリビニルピロリドン、
ポリビニルアセタ−ル系樹脂、ポリビニルアルコ−ル、
ポリカ−ボネート、三酢酸セルロ−ス、ポリスチレン、
スチレンと他のモノマ−(例えば、アクリル酸エステ
ル、アクリロニトリル、塩化エチレン等)との共重合
体、ビニルトルエンアクリレート樹脂、ポリウレタン樹
脂、ポリアミド樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、フェノ
キシ樹脂、ポリカプロラクトン樹脂、ポリアクリロニト
リル樹脂、及びそれらの変性物などを挙げることができ
る。
【0019】これらの中でも、ポリ塩化ビニル樹脂、塩
化ビニルと他のモノマ−との共重合体、ポリエステル樹
脂、ポリビニルアセタ−ル系樹脂、スチレンと他のモノ
マ−との共重合体、エポキシ樹脂が好ましい。これらの
樹脂はその一種を単独で用いることもできるし、二種以
上を組合せて用いることもできる。上記各種の樹脂は種
々の方法により新たに合成して使用してもよいが、市販
品を使用することもできる。なお、前記受像層は、上述
した各種の樹脂はその反応活性点を利用して(反応活性
点が無い場合はそれを樹脂に付与する。)、放射線、
熱、湿気、触媒等により架橋若しくは硬化することによ
り形成することができる。かかる場合には、エポキシ、
アクリルの如き放射線活性モノマーや、イソシアナート
の如き架橋剤を用いることができる。
【0020】〈離型剤〉前記受像層には、後述する画像
形成後のインクシートと受像層との剥離を容易ならしめ
るために、離型剤を添加することが好ましい。また、こ
の離型剤は、その種類と含有量とを適切に選択すること
により、受像層と支持体との接着力、又は受像層層と中
間層との接着力を調整することもできる。
【0021】この離型剤としては、例えば、シリコーン
オイル(シリコーン樹脂と称されるものも含む。)、ポ
リエチレンワックス、アミドワックス、テフロンパウダ
ー等の固型ワックス類、弗素系、燐酸エステル系の界面
活性剤、金属微粉末、シリカゲル、金属酸化物、カーボ
ンブラック、及び樹脂微粉末などのフィラー等を挙げる
ことができる。これらは一種単独でも二種以上を併用す
ることもできる。
【0022】前記記載のシリコーンオイルには、単に添
加するタイプ(単純添加型)と、硬化又は反応させるタ
イプ(硬化反応型)とがある。単純添加型の場合には、
バインダーとの相溶性を向上させるために、変性シリコ
ーンオイル(例えば、ポリエステル変性シリコン樹脂、
ウレタン変性シリコン樹脂、アクリル変性シリコン樹脂
等)を使用するのが好ましい。
【0023】これらの単純添加型のシリコーンオイルの
添加量は、その種類に応じて様々に変化することがある
から一律に決定することができないが、一般的にいう
と、通常、受像層用バインダーに対して0.1〜30重
量%であり、好ましくは0.5〜20重量%である。
【0024】硬化反応型のシリコーンオイルとしては、
反応硬化型(アミノ変性シリコーンオイルとエポキシ変
性シリコーンオイルとを反応硬化させたもの)、光硬化
型、触媒硬化型等を挙げることができる。これら硬化型
シリコーンオイルの添加量は受像層用バインダーの0.
5〜30重量%が好ましい。上記のシリコーンオイル以
外の離型剤の添加量は、受像層に対し通常、1〜40重
量%が好ましい。
【0025】〈金属イオン含有化合物〉前記受像層が金
属イオン含有化合物を含有すると、受像層に感熱転写さ
れる熱拡散性色素がキレート化可能な色素であると、熱
拡散性色素と金属イオン含有化合物とによるキレート色
素が形成されることにより定着性の良好な画像を形成す
ることができる。
【0026】前記金属イオン含有化合物を構成する金属
イオンとしては、周期律表の第I〜第VIII族に属する2
価及び多価の金属が挙げられるが、これらの中でもA
l、Co、Cr、Cu、Fe、Mg、Mn、Mo、N
i、Sn、Ti及びZnが好ましく、更に好ましくはN
i、Cu、Co、Cr及びZnである。
【0027】これらの金属イオンを含有する化合物とし
ては、該金属の無機または有機の塩及び該金属の錯体が
好ましい。具体例を挙げると、Ni2+、Cu2+、C
2+、Cr2+及びZn2+を含有した下記一般式(化1)
で表される錯体を好ましく用いることができる。
【0028】
【化1】
【0029】ただし、式中Mは金属イオンを表し、Q
1 、Q2 、Q3 は各々Mで表される金属イオンと配位結
合可能な配位化合物を表し、これらの配位化合物として
は例えば「キレート化学(5)(南江堂)」に記載され
ている配位化合物から選択することができる。更に好ま
しくは、金属と配位結合する少なくとも一個のアミノ基
を有する配位化合物を挙げることができ、更に具体的に
は、エチレンジアミン及びその誘導体、グリシンアミド
及びその誘導体、ピコリンアミド及びその誘導体を挙げ
ることができる。
【0030】前記式中Lは錯体を形成しうる対アニオン
であり、Cr、SO4 、ClO4 等の無機化合物アニオ
ンやベンゼンスルホン酸誘導体、アルキルスルホン酸誘
導体等の有機化合物アニオンが挙げられるが、特に好ま
しくはテトラフェニルホウ素アニオン及びその誘導体、
並びにアルキルベンゼンスルホン酸アニオン及びその誘
導体である。
【0031】前記式中kは1、2又は3の整数を表し、
mは1、2又は0を表し、nは1又は0を表すが、これ
らは前記一般式で表される錯体が4座配位か、6座配位
かによって決定されるか、あるいはQ1 、Q2 、Q3
配位子の数によって決定される。pは1、2又は3を表
す。
【0032】この種の金属イオン含有化合物としては、
米国特許第4,987,049号明細書に例示されたも
のを挙げることができる。金属イオン含有化合物の添加
量は、受像層に対して、0.5〜20g/m2 が好まし
く、1〜10g/m2 がより好ましい。
【0033】〈添加剤〉前記受像層は、酸化防止剤、U
V吸収剤、光安定剤、フィラー(無機微粒子、有機樹脂
粒子)、顔料を、また、増感剤として可塑剤、熱溶融性
物質等を、添加剤として含有してもよい。これらの添加
剤は受像層と支持体との接着力、あるいは受像層と中間
層との接着力に影響を与える場合には、添加剤の種類と
その添加量とを適切に選択するのが望ましい。
【0034】前記酸化防止剤としては、特開昭59−1
82785号、同60−130735号、特開平1−1
27387号等の公報に記載の酸化防止剤、及び写真そ
の他の画像記録材料における画像耐久性を改善するもの
として公知の化合物を挙げることができる。
【0035】前記UV吸収剤及び光安定剤としては、特
開昭59−158287号、同63−74686号、同
63−145089号、同59−19692号、同62
−229594号、同63−122596号、同61−
283595号、特開平1−204788号等の公報に
記載の化合物、及び写真その他の画像記録材料における
画像耐久性を改善するものとして公知の化合物を挙げる
ことができる。
【0036】前記フィラーとしては、無機微粒子や有機
樹脂粒子を挙げることができ、これらは上述した離型剤
を兼ねてもよい。この無機微粒子としてはシリカゲル、
炭酸カルシウム、酸化チタン、酸性白土、活性白土、ア
ルミナ等を挙げることができ、有機微粒子としてはフッ
素樹脂粒子、グアナミン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、
シリコン樹脂粒子等の樹脂粒子を挙げることができる。
これらの無機・有機樹脂粒子は比重により異なるが、
0.1〜70重量%の添加が好ましい。
【0037】前記顔料としては、代表例としてチタンホ
ワイト、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、シ
リカ、タルク、クレー、カオリン、活性白土、酸性白土
などを挙げることができる。前記可塑剤としては、フタ
ル酸エステル類、トリメリット酸エステル類、アジピン
酸エステル類、その他飽和あるいは不飽和カルボン酸エ
ステル類、クエン酸エステル類、エポキシ化大豆油、エ
ポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸エポキシ類、
正リン酸エステル類、亜燐酸エステル類、グリコールエ
ステル類などを挙げることができる。
【0038】前記熱溶融性物質としては、フェノール等
のアルコール類、アセトアミド等のアミド類、ケイ皮酸
ベンジル等のエステル類、クラウンエーテル等のエーテ
ル類、p−メチルアセトフェノン等のケトン類、ジメト
キシベンズアルデヒド等のアルデヒド類、スチルベン等
の炭化水素類、マルガリン酸等の高級脂肪酸、エイコサ
ノール等の高級アルコール、パルミチン酸セチル等の高
級脂肪酸エステル、ステアリン酸アミド等の高級脂肪酸
アミド、ベヘニルアミン等の高級アミンなどに代表され
る単分子化合物、パラフィンワックスなどのワックス
類、ロジンフェノール樹脂等のロジン誘導体、フェノー
ル樹脂、ケトン樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレー
ト樹脂、テルペン樹脂、脂肪族系炭化水素樹脂、シクロ
ペンタジエン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエチレ
ングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリオ
レフィンオキサイドなどに代表される高分子化合物など
を挙げることができる。
【0039】この発明においては、前記熱溶融性物質
は、融点あるいは軟化点が10〜150℃の化合物が好
ましい。なお、この発明では、上記の添加剤全体の添加
量が、通常、受像層用樹脂に対して0.1〜30重量%
の範囲内において選定するのが好ましい。
【0040】〈受像層の製造〉前記受像層は、受像層を
形成する成分を溶媒に分散あるいは溶解してなる受像層
形成用塗布液を調製し、その受像層形成用塗布液を前記
支持体の表面に塗布・乾燥する塗工法によって製造する
ことができる。また、前記受像層を形成する成分を有す
る混合物を溶融押出しし、前記支持体の表面に貼りつけ
るラミネート法等によっても製造することができる。
【0041】前記塗工法に用いる溶媒としては、水、ア
ルコール、メチルエチルケトン、トルエン、ジオキサ
ン、シクロヘキサノンなど、従来から公知の溶媒を挙げ
ることができる。前記ラミネート法を採用するときに
は、共押出法を採用することもできる。
【0042】受像層は、支持体の一方の表面における全
面に渡って形成されていてもよいし、また一部に形成さ
れていてもよいが、この発明では支持体の一部に形成さ
れているものが好ましい。
【0043】−−転写画像の形成−− 前記受像層には、階調性を有する人物画像等の階調情報
含有画像と、IDカードを所持する個人に関する情報あ
るいはそのIDカードを発行する発行所固有の情報を記
載した文字、図形、記号等を表す文字情報含有画像とが
形成されており、これらは、感熱転写記録用インクシー
トを用いて形成することができる。
【0044】感熱転写記録用インクシートは、基本的に
は、支持体上にインク層を積層することによって形成す
ることができる。感熱転写記録用インクシートには、熱
溶融型感熱転写記録方式に用いる溶融性インク層を有す
るもの(熱溶融型感熱転写記録用インクシート)、ある
いは熱昇華型感熱転写記録方式に用いるところの、熱昇
華性色素含有インク層を有するもの(熱昇華型感熱転写
記録用インクシート)などがある。これらの内、通常、
階調情報含有画像等は熱昇華型感熱転写記録用インクシ
ートにより形成し、文字情報含有画像については熱昇華
型感熱転写記録用インクシートあるいは熱溶融型感熱転
写記録用インクシートにより形成する。これらの感熱転
写記録用インクシートは、それ自体公知のものを使用す
ることができる。
【0045】階調情報含有画像は、例えば、熱昇華型感
熱転写記録用インクシートのインク層とIDカ−ドにお
ける受像層とを重ね合せ、インク層と受像層との界面に
像様に熱エネルギーを与えることにより形成することが
できる。すると、インク層中の熱昇華性色素は、この画
像形成時に加えられた熱エネルギーに応じた量だけ気化
あるいは昇華し、受像層側に移行され受容される結果、
受像層に色素画像(カラー顔写真画像等の諧調性(カラ
ー)画像)が形成される。
【0046】以上の感熱転写記録により、IDカ−ドに
おける受像層に一色の画像を記録することができるが、
下記の方法によると、各色の掛け合せからなるカラー写
真調のカラー画像を得ることもできる。
【0047】例えば、イエロー、マゼンタ、シアン及び
必要に応じて黒色の感熱転写記録用感熱シートを順次取
り換えて、各色に応じた熱転写を行なうと、各色の掛け
合せからなるカラー写真調のカラー画像を得ることもで
きる。上記のようにすれば、受像層に階調性を有する画
像、例えば人物像などを転写形成することができる。
【0048】(3)中間層 この発明のIDカードは、必要に応じて、前記受像層と
支持体との間に中間層を設けることができる。前記中間
層としては、この中間層と前記支持体との間の接着力又
はこの中間層と前記受像層との間の接着力が、他の層間
における接着力よりも相対的に小さくすることができる
と共にIDカードの形態を維持することができれば、特
に制限はなく、IDカードにおける各層間の材質に応じ
て種々の材料及び方法を選択することにより形成するこ
とができる。
【0049】前記中間層の接着力としては、中間層と支
持体との間における接着力及び中間層と受像層との間に
おける接着力が、他の層間における接着力よりも相対的
に小さいことが必要である。この場合、中間層と支持体
との間における接着力と中間層と支持体との間における
接着力とが同等の接着力であってもよいし、接着力が互
いに異なっていてもよいが、中間層と受像層と間におけ
る接着力が中間層と支持体との間における接着力よりも
相対的に小さい方がより好ましい。
【0050】前記中間層の界面における接着力を小さく
するには、例えば、熱融着しやすい類似のポリマーを用
いないようにする、イオン結合を形成するよう極性基を
有する化合物を使用しない、層を形成する際の圧力、温
度、時間等の条件を調節する、接着性を調整するために
シリコーン化合物等の離型剤を添加する、こと等により
達成することができる。
【0051】この中間層は、例えば、軟化点の低い樹
脂、粘着付与剤などと熱溶融性物質及び/又は熱可塑性
物質とを混合した液を前記支持体の表面に塗布すること
により形成することができる。前記中間層に用いられる
軟化点の低い樹脂としては、例えば、エチレン−酢酸ビ
ニル、エチレン−エチルアクリレート等のエチレン系共
重合体、ナイロン、ダイマー酸等のポリアミド系樹脂、
スチレンーブタジエン、スチレンーイソプレン、スチレ
ンーエチレンーブチレン等のポリスチレン系樹脂、ポリ
エステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルエ
ーテル系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、アイ
オノマー樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン系樹
脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹
脂、塩化ビニル系樹脂などを挙げることができる。
【0052】また前記粘着付与剤としては、例えば、ロ
ジン粘着付与剤、水添加ロジン系粘着付与剤、ロジンマ
レイン酸系粘着付与剤、重合ロジン系粘着付与剤及びロ
ジンフェノール系粘着付与剤などの未変性又は変性ロジ
ン系粘着付与剤、石油樹脂系粘着付与剤及びそれらの変
性粘着付与剤、並びにテルペン系粘着付与剤などを挙げ
ることができる。
【0053】前記中間層に含有させることのできる熱溶
融性物質は、前記受像層に含有させることのできる前記
熱溶融性物質と同様である。前記中間層に含有させるこ
とのできる接着性調整のための離型性付与物質は前記受
像層に含有させることのできる離型剤と同様である。
【0054】前記中間層形成方法としては、例えば、溶
媒を用いた塗工法、ホットメルト塗工法などを挙げるこ
とができる。このようにして形成される中間層の厚み
は、通常、0.1〜10μmであり、好ましくは0.3
〜5μmである。
【0055】(4)透明保護層 この発明のIDカードにおいては、感熱転写記録方式に
より形成された画像情報を有する受像層上に後述する紫
外線硬化保護層を形成する際、必要に応じて画像情報を
保護する目的で透明保護層を設けることができる。その
理由としては、後述する紫外線硬化保護層中に存在する
紫外線硬化性のプレポリマーやモノマーの作用によっ
て、転写画像が滲んだり変色したりするなどの支障をき
たし、鮮明な画像が得られないことがあるからである。
【0056】また、紫外線硬化保護層を形成する際にお
いて、紫外線照射による熱昇華性色素の変質(分解や他
の物質との反応を伴うことによる変質と推定される。)
や変色をも効果的に防止する為にも、透明保護層を設け
る必要がある。この透明保護層としては、紫外線硬化保
護層又は受像層とこの透明保護層との間における接着力
が、前記受像層における転写画面を形成していない面に
おける界面の接着力よりも相対的に大きいこと、実質的
に透明であること、紫外線照射時に昇華性色素に対する
紫外線の干渉をできるだけ小さくすることができるこ
と、及びコーティング剤を塗布する際にコーティング剤
が昇華性色素に接触しないようにすることができるこ
と、などの性質が必要とされる。
【0057】この透明保護層が形成される領域として
は、受像層における画像情報が形成された部分のみであ
ってもよいし、また受像層全面に渡ってもよい。この透
明保護層は、例えば、ホットスタンプ又は感熱転写方式
などによって画像記録体上に形成することができる。上
記のような要求を満たす透明保護層としては、例えば、
特開昭63−183881号公報の第9頁左下欄第9行
から第10頁左上欄第15行に記載の熱溶融性化合物
と、同公報の第10頁左上欄第16行から第11頁左下
欄第9行に例示の熱可塑性樹脂とにより形成される層を
挙げることができる。
【0058】また、透明保護層中には紫外線吸収剤を含
有させておくこともできる。紫外線吸収剤は紫外線硬化
性プレポリマー含有のコーティング剤に紫外線を照射し
て、これを硬化する際の紫外線あるいは長期保存時の日
光などから、画像情報を保護するのに有効である。この
紫外線吸収剤は紫外線硬化樹脂層に入れることが困難な
場合があるので(紫外線硬化性樹脂の硬化を阻害する)
透明保護層に添加することが有効となる。紫外線吸収剤
としては、前記受像層の説明において例示された化合物
を挙げることができる。紫外線吸収剤の添加量はその種
類にもよるが、0.6g/m2 以上、より好ましくは1
g/m2 以上が好ましい。透明保護層の厚みとしては、
紫外線硬化保護層の均一な塗布性を考慮して、通常0.
5〜20.0μmであり、好ましくは1.0〜10.0
μmである。
【0059】(5)紫外線硬化保護層 この発明のIDカードにおいては、紫外線硬化保護層必
要に応じて形成することができる。紫外線照射によって
硬化してなる実質的に透明な紫外線硬化保護層を、前記
透明保護層を形成した場合はその表面に、前記受像層を
形成しない場合は、転写画像を形成した受像層の表面に
直接形成する。この発明における紫外線硬化保護層とし
ては、前記受像層又は透明保護層と紫外線硬化保護層と
の間の接着力が、前記受像層と支持体との間における接
着力、中間層を設ける場合には受像層と中間層と間にお
ける接着力又は中間層と支持体との間における接着力に
比べて相対的に大きければよい。例えば、後述の紫外線
硬化保護層用コーティング剤を用いて、種々の方法を採
用することにより形成することができる。
【0060】前記紫外線硬化保護層の界面における接着
力を大きくする方法としては、例えば、熱融着しやすい
類似のポリマーを用いること、イオン結合を形成するよ
う極性基を有する化合物を使用すること、層を形成する
際の圧力、温度、時間等の条件を調節すること、紫外線
照射時に受像層のバインダー樹脂の官能基と反応して共
有結合を形成する構造を持たせることにより達成するこ
とができる。
【0061】紫外線硬化保護層は、例えば、以下に示す
微粒子を含有することもできる。微粒子を含有すると、
微粒子を含有しない場合に比べて、偽造、変造に対して
効果があり、また他のカードとの識別も容易とすること
ができる点で好ましい。前記微粒子の材料としては特に
制約はないが、通常、無機微粒子、有機微粒子を用いる
ことができる。無機微粒子としては、チタンホワイト、
炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、シリカ、
タルク、クレー、真ちゅう及びアルミなどの粉体並びに
箔などを挙げることができる。有機微粒子としては、紫
外線硬化性樹脂モノマーなどに溶解しないものが好まし
い。
【0062】また、この発明においては前記紫外線硬化
保護層に着色剤を含有させることもできる。この着色剤
としては、染料、顔料、蛍光色素、赤外吸収色素などを
挙げることができる。前記紫外線硬化保護層内に着色剤
を含有すると、紫外線硬化保護層が特有の色調を帯びる
という性質を有するようになるので、着色剤を含まない
場合に比べて、変造、偽造される恐れがない点、及び他
のカ−ドとの識別も容易になるという点で好ましい。
【0063】前記着色剤としては、合成樹脂の分野で一
般に知られている顔料や染料、赤外線吸収剤などを挙げ
ることができる。着色剤の添加量としては、転写画像の
記録情報の視認に障害が無ければ特に制限はなく種々使
用量を選択することができる。さらに前記紫外線硬化保
護層は、その表面に一定パターンの凸凹を形成すること
ができる。紫外線硬化護層表面に特定パターンの凹凸、
例えば、ある種のマーク、細紋あるいは地紋などの紋
様、などを表面に形成すると、偽造物、変造物との識別
を可能にすることができる点で好ましい。
【0064】紫外線硬化保護層の表面を凸凹にするに
は、例えば紫外線硬化保護層を、ある特定パターンのグ
ラビヤ目を持つ版によってコーティングする方法、紫外
線硬化性樹脂が半硬化した時点で型押しす方法、などに
より凹凸を形成することができる。紫外線硬化保護層形
成用コーティング剤としては、紫外線硬化性のプレポリ
マー及び/又はモノマーと重合開始剤とを主成分とする
組成物によって形成することができる。
【0065】紫外線硬化性のプレポリマー、モノマーと
しては、ラジカル重合によって高分子化の起こるタイプ
(主にアクリレートタイプ)や、カチオン重合により高
分子化の起こるタイプ(主にエポキシタイプ)があり、
この発明の目的においてはどちらを用いても構わない。
ここではエポキシタイプの紫外線硬化性プレポリマー、
モノマーを記載する。エポキシ系のプレポリマー、モノ
マーとしては1分子内にエポキシ基を2個以上含有する
プレポリマーを挙げることができる。このようなプレポ
リマーとしては、例えば、脂環式ポリエポキシド類、多
塩基酸のポリグリシジルエステル類、多価アルコールの
ポリグリシジルエーテル類、ポリオキシアルキレングリ
コールのポリグリシジルエーテル類、芳香族ポリオール
のポリグリシジルエーテル類、芳香族ポリオールのポリ
グリシジルエーテル類の水素添加化合物類、ウレタンポ
リエポキシ化合物類及びエポキシ化ポリブタジエン類等
を挙げることができる。これらのプレポリマーは、その
一種を単独で使用することもできるし、また、その二種
以上を混合して使用することもできる。
【0066】前記紫外線硬化保護層形成用コーティング
剤中の、エポキシ基を1分子内に2個以上有するプレポ
リマーの含有量は70重量%以上であるのが好ましい。
前記重合開始剤としては、カチオン重合開始剤が好まし
く、具体的には芳香族オニウム塩を挙げることができ
る。
【0067】この芳香族オニウム塩として、周期表第V
a族元素の塩、例えば、ホスホニウム塩(例えば、ヘキ
サフルオロリン酸トリフェニルフェナシルホスホニウム
など)、第VIa族元素の塩、例えば、スルホニウム塩
(例えば、テトラフルオロホウ酸トリフェニルスルホニ
ウム、ヘキサフルオロリン酸トリフェニルスルホニウ
ム、ヘキサフルオロリン酸トリス(4−チオメトキシフ
ェニル)、スルホニウム及びヘキシサフルオロアンチモ
ン酸トリフェニルスルホニウムなど)、及び第VII a族
元素の塩、例えばヨードニウム塩(例えば、塩化ジフェ
ニルヨードニウムなど)を挙げることができる。
【0068】このような芳香族オニウム塩をエポキシ化
合物の重合におけるカチオン重合開始剤として使用する
ことは、米国特許第4,058,401号、同第4,0
69,055号、同第4,101,513号及び同第
4,161,478号公報に詳述されている。好ましい
カチオン重合開始剤としては、第VIa族元素のスルホ
ニウム塩が挙げられる。その中でも、紫外線硬化性と紫
外線硬化性の組成物の貯蔵安定性の観点からすると、ヘ
キサフルオロアンチモン酸トリアリールスホニウムが好
ましい。前記紫外線硬化保護層用コーティング剤中に
は、更に油類(特にシリコーン油)、シリコーン−アル
キレンオキシド共重合体(例えば、ユニオンカーバイド
社から市販されているL−5410)のような界面活性
剤、シリコーン油含有脂肪族エポキシド類、3M社から
市販されているFO−171及び3M社から市販されて
いるFO−430、大日本インキ株式会社から市販され
ているMegafac F−141のようなフルオロカ
ーボン界面活性剤等を含有させてもよい。
【0069】前記紫外線硬化保護層用コーティング剤中
には、更にスチレン、パラメチルスチレン、メタクリル
酸エステル、アクリル酸エステル等のビニル単量体やセ
ルロース系、熱可塑性ポリエステル、フェニルグリシジ
ルエーテル、ケイ素含有モノエポキシド、ブチルグリシ
ジルエーテル等のモノエポキシド等が、この発明の効果
を阻害しない範囲で含有されていてもよい。
【0070】また、この紫外線硬化保護層用コーティン
グ剤中には、不活性性成分として染料、顔料、増粘剤、
可塑剤、安定剤、レベリング剤、カップリング剤、粘着
付与剤、シリコーン基含有活性剤、フルオロカーボン基
含有表面活性剤等の濡れ向上剤、その他の各種添加剤、
更にコーティング剤の塗布中における流動性を改良する
ことを目的として、前記カチオン重合開始剤とほとんど
反応しないアセトン、メチルエチルケトン、メチルクロ
ライド等の少量の溶剤を含有させてもよい。
【0071】紫外線硬化における紫外線とは紫外領域の
光を意味し、また、紫外領域の光を含む光線をも含む意
味である。したがって、紫外線の照射として、太陽光線
の照射、低圧水銀灯の照射、高圧水銀灯の照射、超高圧
水銀灯の照射、カーボンア−ク等の照射、メタルハライ
ドランプによる照射、キセノンランプの照射等を挙げる
ことができる。また場合によって、電子線などの高エネ
ルギー線を用いてもよい。なお、硬化に際しては、紫外
線の照射時または照射の前後において、紫外線硬化保護
層用コーティング剤の塗布膜を加熱すると、硬化時間の
短縮を図ることができる。
【0072】(6)筆記層 筆記層は、IDカードの裏面に筆記をすることができる
ようにした層である。このような筆記層としては、例え
ば特開平1−205155号公報に記載の「書き込み
層」をもって形成することができる。前記筆記層は支持
体における、複数の層が積層されていない方の面に形成
される。
【0073】《IDカードの製造》この発明のIDカー
ドは、次のようにして製造することができる。即ち、上
述のようにIDカードにおける受像層と昇華型感熱転写
記録用インクシートにおけるインク層とを重ね合わせ、
熱源、例えばサーマルヘッド等により像様に加熱するこ
とにより受像層に熱昇華性色素を拡散移動させることに
より階調情報含有画像を形成する。次いで、階調情報含
有画像を形成していない受像層表面に、熱溶融型感熱転
写記録用インクシートを用いて種々の文字情報含有画像
を形成する。このようにして転写画像を形成した受像層
の表面に透明保護層を、塗布法、透明シートを用いるホ
ットスタンプ法又はその他の方法により形成する。その
後、受像層全体に渡って、紫外線硬化性樹脂を塗工し、
紫外線を照射することにより紫外線硬化保護層を形成す
る。
【0074】前記昇華型感熱転写記録用インクシートに
ついては、特に制限がなく従来から公知のものを使用す
ることができる。かくして得られたIDカードは、大量
生産に便利であると共に、その表面に硬質の透明な紫外
線硬化保護層を設けてあるので耐久性に優れ、かつ、I
Dカードにおける受像層の転写画像を形成した面とその
表面に形成した硬質の保護層との界面を剥離することに
よる変造を試みても、必ず剥離の際に、相対的に接着力
のより小さな他の界面で剥離を生じ、受像層における画
像を形成した面とその表面に形成した硬質の保護層との
界面は容易に剥離しないので、効果的に変造を防止する
ことができる。
【0075】
【実施例】以下、この発明の実施例につき具体的に説明
する。なお、以下において「部」は「重量部」を表わ
す。 (実施例1) −支持体の作成− 厚み350μmのポリエチレンテレフタレート樹脂シー
ト(ICI(株)製:メリネックス226)の両面に、
厚みが50μmとなるように低密度ポリエチレン樹脂
(三井石油化学(株)製:ミラソン16P)に酸化チタ
ン15%を混合した組成物を、押し出しコーティング法
により押出すことにより、厚み450μmの幅広な複合
樹脂シートを得た。得られた複合樹脂シートの一方の面
に25W/(m2 ・min)でコロナ放電処理を施すと
共に、このシートを支持体として以下の各層の積層を行
なった。
【0076】−中間層の形成− 下記組成の中間層塗布液を、支持体におけるコロナ放電
処理を行なった方の表面上に塗布し、乾燥することによ
り、厚み0.5μmの中間層を形成した。 〈中間層形成用塗布液〉 ポリビニルブチラール (エスレックBL−1:積水化学工業(株))・・・・・・・・9部 ヘキサメチレンジイソシアネート (コロネートHX:日本ポリウレタン(株))・・・・・・・・1部 メチルエチルケトン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・80部 シクロヘキサノン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10部。
【0077】−受像層の形成− 前記形成された中間層の表面に、下記組成を有する第1
受像層形成用塗布液と第2受像層形成用塗布液とをこの
順に、それぞれ厚み3.0μm、0.5μmになるよう
に積層することにより、受像層Aを形成した。 〈第1受像層形成用塗布液〉 ポリビニルブチラール樹脂 (エスレックBX−1:積水化学工業(株)製)・・・・・・・6部 金属イオン含有化合物 (下記の(化2)で示される化合物MS−1)・・・・・・・・4部 メチルエチルケトン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・80部 シクロヘキサノン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10部。
【0078】 〈第2受像層形成用塗布液〉 ポリエチレンワックスエマルジョン(35%) (東邦化学(株)製:ハイテックE−1000)・・・・・・14部 ウレタン変性エチレンアクリル酸ポリマーエマルジョン(25%) (東邦化学(株)製:ハイテックS−3125)・・・・・・20部 水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・66部。
【0079】
【化2】
【0080】−筆記層の形成− 支持体における受像層とは反対の面に下記組成を有する
筆記層形成用塗布液を塗布し、乾燥することにより、厚
み40μmの筆記層を形成した。 〈筆記層形成用塗布液〉 コロイダルシリカ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2.5部 ゼラチン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7.0部 硬膜剤(下記(化3)で示される化合物)・・・・・・・・・0.2部 水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90.0部。
【0081】
【化3】
【0082】−透明保護層の形成− 厚み25μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィル
ム上に、下記組成を有する透明保護層X形成用塗布液
を、ワイヤーバーコーティング法によりその厚みが1μ
mになるように塗布し、乾燥した後、下記組成を有する
透明保護層接着用塗布液をワイヤーバーコーティング法
によりその厚みが2μmになるように塗布し、乾燥する
ことにより透明保護層Xを作成した。
【0083】 〈透明保護層X形成用塗布液〉 ポリビニルアセタール (積水化学工業(株)製:KS−1)・・・・・・・・・・・4部 エチルセルロース (関東化学(株)製:10cps)・・・・・・・・・・・・4部 酸変性アクリル/ポリスチレングラフトポリマー (東亜合成化学工業(株)製:レゼダGP−400)・・・・2部 イソシアネート (日本ポリウレタン(株)製:コロネートHX)・・・・・・1部 UV吸収剤(2,4−ジヒオドロキシベンゾフェノン)・・・3部 メチルエチルケトン・・・・・・・・・・・・・・・・・・86部。
【0084】 〈透明保護層接着用塗布液〉 無水マレイン酸変性エチレン酢酸ビニル共重合体 (三井デュポンポリケミカル(株)製:VR−103)・・・5部 アクリル樹脂 (三菱レイヨン(株)製:ダイヤナールBR−87)・・2.5部 ポリスチレン/アクリル グラフトポリマー (東亜合成化学工業(株)製:レゼダGP−200)・・2.5部 トルエン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90部。
【0085】−紫外線硬化保護層の形成− 前記透明保護層の表面に、下記組成を有する紫外線硬化
保護層形成用塗布液を10g/m2 の塗布量となるよう
に、特定の地模様を持つグラビヤによって塗布し、下記
の硬化条件にて紫外線硬化保護層形成用塗布液を塗布
し、下記の硬化条件にて紫外線硬化保護層を形成した。
【0086】 〈UV硬化性層形成用塗布液〉 ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル) アジペート(UCC社製:ERL4299)・・・・・・70.0部 ビスフェノールAグリシジルエーテル・・・・・・・・・・10.0部 1,4−ブタンジオールグリシジルエーテル・・・・・・・13.0部 トリアリールスルホニウムフルオロアンチモン・・・・・・・7.0部。
【0087】−転写画像の形成− 支持体に中間層、受像層及び筆記層を設けた前記IDカ
ード用積層体をJIS規格に準じたカードサイズに裁断
し、得られたIDカード用積層体における受像層と、熱
昇華型感熱転写用インクシートにおける熱昇華性色素を
含有するインク層とを重ね合わせ、熱昇華型感熱転写記
録用インクシート側からサーマルヘッドを用いて出力
0.23W/ドット、パルス幅0.3〜4.5mse
c、ドット密度16ドット/mmの条件で加熱すること
により、受像層に諧調性のある人物顔画像を形成した。
【0088】ついで、この人物顔画像の表面に前記透明
保護層が位置するように人物顔画像よりもやや大きめ
に、受像シートの受像層に透明保護層を以下の方法によ
り転写した。透明保護層は、ヒートローラーを用いて1
80℃、1.2秒間熱をかけてから支持体を剥離するこ
とにより容易に受像層に転写された。
【0089】次に、透明保護層の表面と前記透明保護層
以外の表面に、紫外線硬化保護層形成用塗布液を10g
/m2 の塗布量になるようにワイヤーバー法により塗布
し、下記の硬化条件にて紫外線硬化保護層形成用塗料を
硬化させて紫外線硬化保護層を形成した。 硬化条件; 光照射源・・・・・・60W/cm2 の高圧水銀ランプ 照射距離・・・・・・・10cm 照射モード・・・・・・3cm/分で光走査 こうして得られたIDカードにおける各層間の接着力に
ついて、後述の基準で評価し、その結果を表1に示し
た。
【0090】(実施例2)中間層を設けなかった外は、
実施例1と同様にしてIDカードを作成した。このID
カードにつき前記実施例1と同様に評価し、その結果を
表1に示した。
【0091】(実施例3)受像層Aを以下の受像層Bに
代え、透明保護層を設けなかった外は、実施例1と同様
にしてIDカードを作成した。このIDカードにつき前
記実施例1と同様に評価し、その結果を表1に示した。
【0092】−受像層Bの形成− 下記組成を有する受像層B形成用塗布液を、中間層の表
面に厚み5μmになるように積層することにより、受像
層Bを形成した。 〈受像層B形成用塗布液〉 ポリ塩化ビニル樹脂 (信越化学工業(株)製:TK−300)・・・・・・・・・・5部 金属イオン含有化合物 (前記(化2)で示される化合物MS−1)・・・・・・・・・3部 メチルエチルケトン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・80部 シクロヘキサノン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10部。
【0093】(実施例4)受像層Aを前記受像層Bに代
え、中間層及び透明保護層を設けなかった外は、実施例
1と同様にしてIDカードを作成した。このIDカード
につき前記実施例1と同様に評価し、その結果を表1に
示した。
【0094】(実施例5)実施例1の紫外線硬化保護層
を形成する紫外線硬化保護層形成用塗布液中に、蛍光染
料EG−302(三井東圧染料株式会社製)を3部含有
させたことの外は、実施例1と同様にしてIDカードを
作成した。このIDカードにつき前記実施例1と同様に
評価し、その結果を表1に示した。
【0095】(比較例1)透明保護層X形成用塗布液を
下記の透明保護層Y形成用塗布液に代えた外は、実施例
1と同様にしてIDカードを作成した。このIDカード
につき前記実施例1と同様に評価し、その結果を表1に
示した。
【0096】 〈透明保護層Y形成用塗布液〉 無水マレイン酸変性エチレン酢酸ビニル共重合体 (三井デュポンポリケミカル(株)製:VR−103)・・・5部 ポリスチレン/アクリル グラフトポリマー (東亜合成化学工業(株)製:レゼダGP−200)・・・・5部 トルエン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90部。
【0097】(比較例2)透明保護層X形成用塗布液を
下記の透明保護層Z形成用塗布液に代えた外は、実施例
1と同様にしてIDカードを作成した。このIDカード
につき前記実施例1と同様に評価し、その結果を表1に
示した。
【0098】 〈透明保護層Z形成用塗布液〉 無水マレイン酸変性エチレン酢酸ビニル共重合体 (三井デュポンポリケミカル(株)製:VR−103)・・2.5部 アクリル樹脂 (三菱レイヨン(株)製:ダイヤナールBR−87)・・・2.5部 ポリスチレン/アクリル グラフトポリマー (東亜合成化学工業(株)製:レゼダGP−200)・・・・・5部 トルエン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90部。
【0099】(比較例3)透明保護層を用いなかったこ
との外は、実施例1と同様にしてIDカードを作成し
た。このIDカードにつき前記実施例1と同様に評価
し、その結果を表1に示した。
【0100】《評価》 〈接着性〉IDカードにおける各層間の接着性は、以下
のような碁盤目試験を行なって評価した。規定の方法で
作成した試験片の塗膜をフェザー安全剃刀株式会社製フ
ェザー剃刀S片刃で30°の角度で切り込み、素地に達
する1.5mmの碁盤目100個(10×10)を作
り、この時にはがれないで残った塗膜の碁盤目数を測定
した。全体的に接着性が良好な塗膜である場合には、碁
盤目を作った後、その表面にセロハンテープを貼り、テ
ープをはがして碁盤目のはがれた厚み方向の部位とはが
れた数を測定して評価した。
【0101】
【表1】
【0102】
【発明の効果】この発明によると、従来のIDカードで
は十分ではなかった変造防止の機能を効果的に達成し
た、即ち大量生産に好適であると共に耐久性に優れ、か
つ、IDカードにおける受像層の転写画像を形成した面
の界面を剥離することによる変造を試みても、必ずその
際に、相対的に接着力のより小さな他の界面で剥離が生
じ、画像が形成された受像層表面がむきだしになること
がないので画像情報を改竄することができずに効果的に
変造を防止することのできる、IDカードを提供するこ
とができるという技術的効果を奏する。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B41M 5/40 (72)発明者 河村 朋紀 東京都日野市さくら町1番地 コニカ株式 会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体の一方の表面に、色素を受容して
    転写画像を形成する受像層と、前記受像層に形成した転
    写画像を保護する紫外線硬化保護層とを、この順に有し
    てなり、前記支持体と受像層との接着力が他の層間の接
    着力よりも小さいことを特徴とするIDカード。
  2. 【請求項2】 支持体の一方の表面に、中間層と、色素
    を受容して転写画像を形成する受像層と、前記受像層に
    形成した転写画像を保護する紫外線硬化保護層とを、こ
    の順に有してなり、前記支持体と中間層との接着力又は
    中間層と受像層との接着力が、他の層間の接着力よりも
    小さいことを特徴とするIDカード。
  3. 【請求項3】 前記受像層と紫外線硬化保護層との間
    に、前記受像層に形成した転写画像を保護する透明保護
    層を更に設けてなる前記請求項1または2に記載のID
    カード。
  4. 【請求項4】 前記支持体の他方の表面に筆記層を設け
    てなる前記請求項1〜3のいずれかに記載のIDカー
    ド。
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