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JPH0624970A - 代謝調節型l−グルタミン酸受容体アゴニスト - Google Patents

代謝調節型l−グルタミン酸受容体アゴニスト

Info

Publication number
JPH0624970A
JPH0624970A JP28015792A JP28015792A JPH0624970A JP H0624970 A JPH0624970 A JP H0624970A JP 28015792 A JP28015792 A JP 28015792A JP 28015792 A JP28015792 A JP 28015792A JP H0624970 A JPH0624970 A JP H0624970A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
glutamic acid
dcg
glycine
cells
receptor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP28015792A
Other languages
English (en)
Inventor
Shigetada Nakanishi
重忠 中西
Yasunori Hayashi
康紀 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Suntory Ltd
Original Assignee
Suntory Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Suntory Ltd filed Critical Suntory Ltd
Priority to JP28015792A priority Critical patent/JPH0624970A/ja
Publication of JPH0624970A publication Critical patent/JPH0624970A/ja
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  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 L−グルタミン酸の代謝調節型受容体(mG
luR)のアゴニストとして、脳・神経機能研究に有用
な生化学試薬を与え、種々の神経変異症の治療薬の開発
に寄与する。 【構成】 (2S,1'R,2'R,3'R)−2−(2 ,3
−ジカルボキシシクロプロピル)グリシン(DCG−
I)(式1)および(2S,1'S,2'S,3'S)−2−
(2 ,3−ジカルボキシシクロプロピル)グリシン(D
CG−II)(式2)を有効成分とする代謝調節型L−グ
ルタミン酸受容体アゴニスト。 【化1】 【効果】 DCG−IおよびDCG−IIは、mGluR
2に特異的なアゴニストであるので、生化学試薬とし
て、記憶や学習などの高次神経機能の研究に有用である
と共に、L−グルタミン酸受容体の遮断薬の開発を通じ
て、種々の神経変異症の治療薬の開発に結びつくもので
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、L−グルタミン酸受容
体アゴニストである2−(2 ,3−ジカルボキシシクロ
プロピル)グリシンの新しい用途に関するものである。
さらに詳細には、L−グルタミン酸受容体の研究に大き
な役割を果たす、代謝調節型L−グルタミン酸受容体ア
ゴニストに関する。
【0002】代謝調節型L−グルタミン酸受容体アゴニ
ストの開発は、L−グルタミン酸受容体の生理機能、特
に記憶や学習の形成の分子機構の解明や、遮断薬の開発
への糸口を提供するものであり、てんかん、ハンチンソ
ン氏病、パーキンソン氏病等の神経障害、神経変異症等
の治療への展開が期待できる。
【0003】
【従来の技術】L−グルタミン酸は哺乳動物の中枢神経
系のおける興奮性神経刺激の伝達物質として、また、神
経細胞を破壊し種々の脳・神経疾患を惹起する神経興奮
毒として、さらに記憶や学習の形成に重要に関わる物質
として注目を集めている。
【0004】L−グルタミン酸受容体は、このような多
様な生理機能と連結しており、外因性のアゴニスト群の
導入により、次の3種類のサブタイプ、すなわち、 (a)NMDA(N−メチル−D−アスパラギン酸)タ
イプ (b)KA(カイニン酸)タイプ (c)AMPA(アンパ)タイプ の3種類のサブタイプに分類されている。ここでAMP
Aとはαーアミノー3−ヒドロキシー5−メチルー4−
イソオキサゾールプロピオン酸である。また、KA(カ
イニン酸)タイプとAMPA(アンパ)タイプをまとめ
て非NMDAタイプと称することもある。
【0005】従来、NMDAタイプ受容体は神経興奮毒
の中心と考えられており、受容体の過度の活性化により
神経細胞が破壊され、ひいては様々な神経疾患を惹起す
る引き金となる部位と推定されている。
【0006】このNMDAタイプ受容体については、大
船らによって、(2S,1'R,2'S)−2−(2−カル
ボキシシクロプロピル)グリシンが、NMDAを凌ぐ強
力なNMDAタイプのアゴニストであり、グルタミン酸
のfolded型の立体配座がNMDA受容体を活性化
することが開示されている(特開平1−09356
3)。
【0007】また、非NMDAタイプ受容体について
も、大船らによって、(2S,1'R,2'R,3'R)−2
−(2−カルボキシ−3−メトキシメチルシクロプロピ
ル)グリシンおよび(2S,1'R,2'R,3'R)−2−
(2−カルボキシ−3−ベンジルオキシメチルシクロプ
ロピル)グリシンが非NMDAタイプのアゴニストであ
ることが開示されている(Tetrahedron L
etters 31巻4049−4052頁 1990
年; Brain Res.,550巻152−156
頁 1991年)。
【0008】これらのNMDAおよび非NMDAタイプ
の受容体は、いずれも受容体とこれによって調節される
イオンチャンネルが、受容体−チャンネル複合体として
存在し、伝達物質がその受容体に結合することによりイ
オンチャンネルが直接開閉される、「イオンチャンネル
型受容体」と分類される種類のものである(代謝 26
巻 6号 535−542頁 1989年)。
【0009】これに対して杉山らは、L−グルタミン酸
受容体の中に、受容体とこれによって調節を受ける効果
器とが別個の分子種として存在し、伝達物質が受容体に
結合するとある種のG蛋白質を活性化し、効果器はこの
G蛋白質によって活性化されたセカンドメッセンジャー
系を介して調節を受けて受容反応が引き起こされる、
「代謝調節型受容体」と分類される種類の受容体が存在
することを見出している(Nature 325巻 5
31頁 1987年)。
【0010】さらに本発明者の一人である中西は、分子
生物学の手法により、この代謝調節型L−グルタミン酸
受容体(以下mGluRと略記する)の単離およびその
構造解析に成功し(Nature 349巻 760頁
1991年)、また、その同族体の検索から、さらに
3種のmGluRの単離を行い、各々1〜4型と分類し
た(以下各々mGluR1〜4と略記する)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】この内、mGluR1
はイノシトール三リン酸の代謝回転を促進し、小脳のプ
ルキンエ細胞、海馬の歯状回・CA2−3野、視床等に
多い。またmGluR2はアデニル酸シクラーゼの活性
化を抑え、小脳のゴルジ細胞、海馬の歯状回、大脳皮質
等に存在する。これらのmGluRの生体内での役割を
明らかにするには、それぞれを特異的に活性化する薬物
が必要であるが、今日までに知られている化合物にはこ
の用途に適したものは存在しなかった。
【0012】
【課題を解決するための手段】中川ら、石田らは、カル
ボキシシクロプロピルグリシンのうち、extende
d型のグルタミン酸のコンフォメーションを固定した
(2S,1'S,2'S)−2−(2−カルボキシシクロプ
ロピル)グリシンが、mGluRを著しく活性化するア
ゴニストであることを、電気生理学的にも生化学的にも
確認した(中川ら:European J. Phar
macol.,84巻 205頁 1990年.石田
ら:Brain Research 537巻 311
頁 1990年)。
【0013】さらに本発明者らは、mGluRのアゴニ
ストについて鋭意研究を行い、extended型とf
olded型の立体配座を固定した構造を同一分子中に
併せ持つカルボキシシクロプロピルグリシン誘導体とし
て、式(1)で表される(2S,1'R,2'R,3'R)−
2−(2 ,3−ジカルボキシシクロプロピル)グリシン
(以下DCG−Iと略記)
【化3】 および式(2)で表される(2S,1'S,2'S,3'S)
−2−(2 ,3-ジカルボキシシクロプロピル)グリシ
ン(以下DCG−IIと略記)
【化4】 の化合物のmGluR1および2に対する活性を検討し
た。
【0014】すなわち、中西ら(Nature 349
巻 760頁 1991年)の方法により、クローン化
したそれぞれの受容体遺伝子を哺乳動物細胞に恒常的に
発現させて、mGluR1の活性はイノシトール三リン
酸代謝回転を、mGluR2の活性はホスホコリン刺激
による細胞内サイクリックアデノシン3',5'−一リン
酸(以下cAMPと略記)濃度の上昇の抑制を、それぞ
れ指標として測定した。その結果、DCG−IおよびD
CG−IIは、mGluR2の特異的なアゴニストである
ことを見出し、本発明を完成した。
【0015】本発明の化合物の一つであるDCG−I
は、例えば、下記スキームIのようにして合成できる。
【化5】 (式中TBSはt−ブチルジメチルシリル基を示し、B
ocはt−ブトキシカルボニル基を示す。)
【0016】上記スキーム中、先ず式(3)で示される
(1R,7S,8R,9R)−3−アザ−9−t−ブチル
ジメチルシリルオキシメチル−4,4−ジメチル−5−
オキサトリシクロ〔6.1.0.03 ' 7 〕ノナン−2
−オン(Tetrahedron Letters 3
1巻 4049〜4052頁 1990年に記載)を既
知の方法で脱t−TBS化して式(4)で示されるアル
コール体とする。
【0017】得られたアルコール体は精製することな
く、水およびエタノールに溶解して、3当量の水酸化バ
リウム等でアルカリ加水分解し、硫酸で中和後不溶物を
濾去し、濾液をトリエチルアミンでpH9に調節し、ジ
−t−ブチルジカルボナート処理によりBoc化して、
式(5)で示される(2S,1'R,2'R,3'R)−N−
tert−ブトキシカルボニル−2−(2−カルボキシ−3
−ヒドロキシメチルシクロプロピル)グリシノールとす
る。
【0018】次いで、ジアゾメタン処理により式(6)
で示されるメチルエステル体、(2S,1'R,2'R,3'
R)−N−tert−ブトキシカルボニル−2−(2−メト
キシカルボニル−3−ヒドロキシメチルシクロプロピ
ル)グリシノールとし、さらにジョーンズ試薬処理の後
にジアゾメタン処理することにより式(7)で示される
トリメチルエステル体、(2S,1'R,2'R,3'R)−
N−tert−ブトキシカルボニル−2−(2 ,3−ジメト
キシカルボニルシクロプロピル)グリシンメチルエステ
ルとして、これを加水分解して式(1)の化合物を得る
ことができる。
【0019】本発明の化合物の一つであるDCG−II
は、例えば、上述のDCG−Iと同様に下記スキームIIの
ようにして合成できる。
【化6】 (式中TBSはt−ブチルジメチルシリル基を示し、B
ocはt−ブトキシカルボニル基を示す。)上記スキー
ムIIにおいては、式(8)で示される(1S,7S,8S,
9S)−3−アザ−9−t−ブチルジメチルシリルオキ
シメチル−4,4−ジメチル−5−オキサトリシクロ
〔6.1.0.03 ' 7 〕ノナン−2−オン(Tetr
ahedron Letters 31巻 4049〜
4052頁 1990年に記載)を出発原料とする。
【作用】
【0020】本発明の化合物の一つであるDCG−I
は、Chinese HamsterOvary 細胞
(以下CHO細胞と略記)に発現したmGluR1にお
けるイノシトール燐酸代謝回転アッセイではmGluR
1にアゴニスト活性を示さずに、CHO細胞に発現した
mGluR2におけるcAMPの生成を抑制するmGl
uR2の特異的なアゴニストであることが判明した。
【0021】また、DCG−IIはmGluR1にアゴニ
スト活性を示さないが、mGluR2にはL−グルタミ
ン酸と同程度の活性を示す特異的なアゴニストであるこ
とが判明した。
【0022】
【実施例】次に実施例によって本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明の範囲はこれらのみに限定されるもの
ではない。
【0023】参考例1.(2S,1'R,2'R,3'R)−
2−(2 ,3−ジカルボキシシクロプロピル)グリシン
(DCG−I)(1)の合成 DCG−Iの合成は、上記スキームIに従って実施し
た。
【0024】ステップ1.(2S,1'R,2'R,3'R)
−N−tert−ブトキシカルボニル−2−(2−メトキシ
カルボニル−3−ヒドロキシメチルシクロプロピル)グ
リシノールの(6)の合成 (1R,7S,8R,9R)−3−アザ−9−t−ブチル
ジメチルシリルオキシメチル−4,4−ジメチル−5−
オキサトリシクロ〔6.1.0.03 ' 7 〕ノナン−2
−オン(3)200mg(0.64mmol)をテトラ
ヒドロフラン(以下THFと略記)2mlに溶解し、氷
冷下にテトラ−n−ブチルアンモニウムフロリド(1M
/THF溶液)1mlを加えて10分間攪拌してアルコ
ール体(4)を得た。
【0025】得られたアルコール体(4)は精製するこ
となく水2ml,エタノール2mlに溶解し、水酸化バ
リウム606mg(1.92mmol)を加えて80℃
で3時間攪拌した。希硫酸で中和後不溶物を濾去し、濾
液をトリエチルアミンでpH9に調整した。
【0026】これにジ−t−ブチルジカルボナート14
6μl(0.64mmol)とジオキサン2mlを加え
て室温で16時間攪拌した。反応液をエーテルで洗浄
後、水層を1N塩酸でpH1に調整し、酢酸エチルで抽
出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウ
ムで乾燥後、溶媒を減圧留去してアモルファス状の
(5)を得た。これにジアゾメタンのエーテル溶液を加
えてメチルエステルとし、定量的に標記化合物(6)を
得た。
【0027】得られた化合物(6)の物性値を下に示
す。
【表1】
【0028】ステップ2.(2S,1'R,2'R,3'R)
−N−tert−ブトキシカルボニル−2−(2,3−ジメ
トキシカルボニルシクロプロピル)グリシンメチルエス
テル(7)の合成 得られたメチルエステル(6)70mg(0.24mm
ol)をアセトン2mlに溶解し、氷冷下でJones
試薬を加え、氷冷下で1時間、室温でさらに3時間攪拌
した。氷冷下でイソプロピルアルコールを加えて過剰の
試薬を分解し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食
塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧
留去して得られた残渣にジアゾメタンのエーテル溶液を
加えてメチルエステル化を行い、シリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(メタノール/クロロホルム=3/9
7)で精製して、標記化合物(7)を75mg得た(収
率90%)。
【0029】得られた化合物(7)の物性値を下に示
す。
【表2】
【0030】ステップ3.(2S,1'R,2'R,3'R)
−2−(2 ,3−ジカルボキシシクロプロピル)グリシ
ン(DCG−I)(1)の合成 トリメチルエステル体(7)58mg(0.17mmo
l)をTHF1mlに溶解し、1M水酸化ナトリウム水
溶液1mlを加えて氷冷下で5時間、室温でさらに24
時間攪拌した。これに2N塩酸1mlを加え室温で18
時間攪拌した。減圧濃縮後の残渣を水で希釈して、ダウ
エックス50W×4のカラムクロマトグラフィーに付
し、水で洗浄後1Nアンモニア水で溶出した。アンモニ
ア水を減圧留去後1N塩酸でpH2に調整し、水−エタ
ノールから結晶化させて22mgの標題化合物を得た
(収率65%)。
【0031】得られた化合物(1)の物性値を下に示
す。
【表3】
【0032】参考例2.(2S,1'S,2'S,3'S)−
2−(2 ,3−ジカルボキシシクロプロピル)グリシン
(DCG−II)(2)の合成 DCG−IIの合成は、上記スキームIIに従って参考例1
と同様の方法で実施した。
【0033】(1S,7S,8S,9S)−3−アザ−9
−t−ブチルジメチルシリルオキシメチル−4,4−ジ
メチル−5−オキサトリシクロ〔6.1.0.03 '
7 〕ノナン−2−オン(8)300mg(0.96mm
ol)を出発原料に、実施例1と同様の方法でトリメチ
ルエステル体(12)82mgを得た(収率25%)。
得られたトリメチルエステル体(12)65mg(0.
19mmol)から同様に標題化合物10mgを得た
(収率26%)。
【0034】得られた化合物(2)の物性値を下に示
す。
【表4】
【0035】合成中間体である(2S,1'S,2'S,3'
S)−N−tert−ブトキシカルボニル−2−(2−メト
キシカルボニル−3−ヒドロキシメチルシクロプロピ
ル)グリシノール(11)の物性値を下に示す。
【表5】
【0036】中間体(12)である(2S,1'S,2'
S,3'S)−N−tert−ブトキシカルボニル−2−(2
,3−ジメトキシカルボニルシクロプロピル)グリシン
メチルエステルの物性値を以下に示す
【表6】
【0037】実施例1.代謝調節型L−グルタミン酸受
容体アゴニスト活性の測定 ステップ1.CHO−mGluR1細胞およびCHO−
mGluR2細胞の作成 アッセイに用いるCHO−mGluR1細胞およびCH
O−mGluR2細胞は、中西ら(Recent Pr
ogress in Hormon Research
46巻 59〜84頁 1990年)の方法で作成し
た。すなわち、クローン化したmGluR1またはmG
luR2の遺伝子を、それぞれ哺乳動物細胞発現ベクタ
ーであるpdKCRに組み込み、デヒドロ葉酸還元酵素
を欠損したCHO細胞に燐酸カルシウム法により導入
し、CHO−mGluR1細胞およびCHO−mGlu
R2細胞を作成した。これらの細胞は、10%透析牛胎
仔血清、1%プロリン、2mMグルタミンを含むダルベ
ッコの改変イーグル培地(以下DMEM培地と略記)に
ペニシリン、ストレプトマイシンを添加して継代した。
培養は37℃、5%CO2 下で行った。なお、以下のア
ッセイに使用する細胞は、CHO−mGluR1細胞お
よびCHO−mGluR2細胞に限定されず、公知の方
法で細胞表面にこれらの受容体を発現させた細胞を用い
ることが出来る。
【0041】ステップ2.mGluR1のアッセイ DCG−IおよびDCG−IIのmGluR1に対する活
性は、中西ら(Nature 344巻 760頁 1
991年)の方法で測定した。すなわち、先ず、細胞を
次のように処理する。 1)1日目:6穴プレートに3×105 個/穴のCHO
−mGluR1細胞を播種して、上記中西らの方法で培
養。 2)2日目: 3H−イノシトールを含むDMEM培地に
交換して同様に培養。 3)3日目:a)燐酸緩衝生理食塩水(Phospha
te bufferedsaline,以下PBSと略
記)に交換後、20分培養。 b)LiCl/PBSに交換後、20分培養。 c)被検化合物を含むLiCl/PBSに交換後、20
分培養。 d)トリクロロ酢酸で反応を停止させて、遊離した 3
−イノシトール燐酸を抽出。 次いで、得られた抽出物よりイオン交換樹脂を用いて 3
H−イノシトール燐酸を分離し、液体シンチレーション
カウンターで放射活性を測定してmGluR1に対する
アゴニスト活性をアッセイする。
【0042】その結果、DCG−IおよびDCG−II
は、mGluR1に対するアゴニスト活性を持たないこ
とが判明した。
【0043】ステップ3.mGluR2のアッセイ DCG−IおよびDCG−IIのmGluR2に対する活
性は、スガマら(Biochem.Biophys.A
cta 1011巻 75頁 1989年)のcAMP
濃度測定法を応用して測定した。すなわち、先ず、細胞
を次のように処理する。 1)1日目:12穴プレートに2×105 個/穴のCH
O−mGluR2細胞を播種して、ステップ2の1日目
と同様の方法で培養。 2)3日目:a)1mMのイソブチルメチルキサンチン
(以下IBMXと略記)を含むPBS(IBMX/PB
S)に交換後、20分培養。 b)10μMのホスホコリンと、被検化合物を含むIB
MX/PBSに交換後、10分培養。 d)トリクロロ酢酸で反応を停止させ、遊離したcAM
Pを溶出。 次いで、溶出したcAMPをアマーシャム社のcAMP
測定キットを用いて定量する。
【0044】その結果、DCG−Iは3×10-7M、D
CG−IIは8×10-6Mの濃度で最大抑制の50%の抑
制が認められた。これをグルタミン酸自体と比較する
と、DCG−Iは約30倍、DCG−IIはグルタミン酸
とほぼ同等の活性を示した。
【0045】これらの結果から、DCG−IおよびDC
G−IIはmGluR2に特異的なアゴニストであること
が判明した。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、L−グルタミン酸の代
謝調節型受容体の一つであるmGluR2に特異的なア
ゴニストとして、(2S,1'R,2'R,3'R)−2−
(2 ,3−ジカルボキシシクロプロピル)グリシン(D
CG−I)(1)および(2S,1'S,2'S,3'S)−
2−(2 ,3−ジカルボキシシクロプロピル)グリシン
(DCG−II)(2)が提供される。
【0047】このDCG−IおよびDCG−IIは、mG
luR2に特異的なアゴニストであるので、生化学試薬
として、記憶や学習などの高次神経機能の研究に有用な
プローブであると共に、L−グルタミン酸受容体の遮断
薬の開発を通じて、種々の神経変異症の治療薬の開発に
結びつくものである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1) 【化1】 で示される(2S,1'R,2'R,3'R)−2−(2 ,3
    −ジカルボキシシクロプロピル)グリシンまたは、 式(2) 【化2】 で示される(2S,1'S,2'S,3'S)−2−(2 ,3
    −ジカルボキシシクロプロピル)グリシンを有効成分と
    する、代謝調節型L−グルタミン酸受容体アゴニスト。
JP28015792A 1992-10-19 1992-10-19 代謝調節型l−グルタミン酸受容体アゴニスト Pending JPH0624970A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998000391A1 (fr) * 1996-06-28 1998-01-08 Nippon Chemiphar Co., Ltd. Derives de cyclopropylglycine et agoniste du recepteur du l-glutamate du type a regulation metabolique
US6245919B1 (en) * 1996-06-28 2001-06-12 Haruhiko Shinozaki Cyclopropylglycine derivatives and agonists for metabotronic L-glutamate receptors

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