JPH06227263A - 着脱式ルーフを有する自動車のウエザストリップ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】着脱式ルーフの取付時における外観低下を抑制
し、シール性の向上を図り、しかも、製造に際しての簡
素化及び形状の設定の簡素化を図る。 【構成】車両本体２の天井部３には、開口部４が形成さ
れ、該開口部４には着脱式ルーフ５が設けられている。
開口部４周縁には本体側ウエザストリップ６が、着脱式
ルーフ５の両側部にはルーフ側ウエザストリップ７が設
けられている。両ウエザストリップ６，７には、相互に
オーバーラップするシール部１２，１３が形成され、着
脱式ルーフ５の取外し時においては、本体側ウエザスト
リップ６のシール部１２の開口部４側の端部が天井部３
の上面よりも上方へ傾いて突出した状態となっている。
着脱式ルーフ５の取付けに際して、摩擦力によって、本
体側ウエザストリップ６のシール部１２の開口部４側の
端部が下方に傾き、本体側ウエザストリップ６のシール
部１２の上面とルーフ側ウエザストリップ７のシール部
１３の上面とがほぼ面一となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は着脱式ルーフを有する自
動車のウエザストリップに係り、詳しくは、車両本体の
天井部の開口部に対し上下方向に着脱が可能なルーフに
おいて、その一部がオーバーラップするシール部を備え
たウエザストリップに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、車両本体の天井部に形成された開
口部に対して、取付け・取外しの可能な着脱式ルーフを
有する自動車が市販されている。すなわち、図８に示す
ように、車両本体の天井部３１には開口部３２が形成さ
れ、該開口部３２の周縁には車両本体側ウエザストリッ
プ（以下、本体側ウエザストリップという）３３が設け
られている。一方、着脱式ルーフ３７の両側部にもルー
フ側ウエザストリップ３４が設けられている。両ウエザ
ストリップ３３，３４においては、着脱式ルーフ３７の
取付けに際し、各端縁に形成されたシール部３５，３６
が相互にオーバーラップするように配設されている。そ
して、着脱式ルーフ３７の取付け後には、そのオーバー
ラップ部分が相互に弾性圧接されることにより、天井部
３１と着脱式ルーフ３７との間がシールされるようにな
っている。

【０００３】しかしながら、上記技術では、両ウエザス
トリップ３３，３４のシール部３５，３６が相互にオー
バーラップするように配設されている。このため、着脱
式ルーフ３７の取付に際して、図９に示すように、上方
から下方へ加わる摩擦力により、本体側ウエザストリッ
プ３３のシール部３５の端部が下方へ傾いて突出してし
まうおそれがあった。そのため、本体側ウエザストリッ
プ３３のシール部３５の上面と、着脱式ルーフ３７側の
ウエザストリップ３４のシール部３６の上面とが面一と
はならず、両者間に段差の生じるおそれがあった。その
結果、外観が悪化したり、シール性が損なわれてしまう
おそれがあった。

【０００４】また、図示しないドアガラスの閉時におい
ては、前記両ウエザストリップ３３，３４の一部の下面
には、該ドアガラスの上端が当接する。このとき、前述
のようにシール部３５の端部が下方へ傾いて突出してし
まった場合には、ドアガラスと両ウエザストリップ３
３，３４とのシール性が損なわれてしまうおそれがあっ
た。

【０００５】そこで、上記の不具合を解消するための関
連技術として、例えば特公平４−５９１６７号公報に開
示された技術が挙げられる。この技術では、ルーフサイ
ドウエザストリップの後端末部を断面ウエッジ状に形成
する一方、ボディサイドウエザストリップにはＶ字状の
段状部を形成し、前記後端末部を段状部に嵌合させるよ
うにしている。そして、ボディサイドウエザストリップ
に一体形成されたシールリップの姿勢を、ドアガラスの
非弾接時においては予め車室外側に傾けて形成するよう
にしている。そして、上記技術によれば、ハッチルーフ
装着時における段状部側へのシールリップの巻き込みが
防止される。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
技術では、ルーフサイドウエザストリップの後端末部を
断面ウエッジ状に形成し、ボディサイドウエザストリッ
プにはＶ字状の段状部を形成し、後端末部を段状部に嵌
合させるように両ウエザストリップを形成しなければな
らなかった。このため、段状部及び後端末部を形成する
ための型構造が複雑で、成形に支障を来すおそれがあっ
た。しかも、両者の嵌合状態を確実なものとするため
に、より精度の高い成形が必要となっていた。

【０００７】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであって、その目的は着脱式ルーフの取付時に
おける外観低下を抑制し、車両本体の天井部と着脱式ル
ーフとの間及び自身とドアガラスとの間のシール性の向
上を図ることが可能で、しかも、製造に際しての簡素化
及び形状の設定の簡素化を図ることの可能な着脱式ルー
フを有する自動車のウエザストリップを提供することに
ある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、車両本体の天井部に形成された開口部に
対し、該開口部の上方から下方へ向けて力を加えること
により取付けが可能な着脱式ルーフを有する自動車のウ
エザストリップであって、前記開口部周縁に設けられ、
前記着脱式ルーフと前記車両本体の天井部との間をシー
ルするために一部が前記着脱式ルーフとオーバーラップ
するシール部を備えたウエザストリップにおいて、前記
着脱式ルーフを取付けた際に前記シール部の上面と前記
着脱式ルーフ側のウエザストリップのシール部の上面と
がほぼ面一となるよう、前記着脱式ルーフを取外した状
態においては、前記シール部の開口部側の端部を上方へ
傾いて突出させたことをその要旨としている。

【０００９】

【作用】上記の構成によれば、車両本体の天井部に形成
された開口部に対し、該開口部の上方から下方へ向けて
力を加えることにより着脱式ルーフが取付けられる。ま
た、下方から上方へ向けて力を加えることにより着脱式
ルーフが取外される。そして、開口部周縁に設けられた
ウエザストリップにより、着脱式ルーフと車両本体の天
井部との間がシールされる。このとき、ウエザストリッ
プには、その一部が着脱式ルーフとオーバーラップする
シール部が備えられているので、シール部によるシール
性が確保される。一方で、着脱式ルーフの取付けに際し
て、そのオーバーラップに起因する摩擦力によって、ウ
エザストリップのシール部の開口部側の端部が下方に傾
く。

【００１０】しかし、本発明によれば、着脱式ルーフを
取外した状態においては、シール部の開口部側の端部が
天井部の上面よりも上方へ傾いて突出されているので、
前記着脱式ルーフを取付けた際には、上記の下方への傾
動によってシール部の上面と着脱式ルーフ側のウエザス
トリップのシール部の上面とがほぼ面一となる。従っ
て、着脱式ルーフの取付に伴って、両者間に段差の生じ
ることはない。

【００１１】また、上記の作用を生じさせるための構成
としては、シール部の開口部側の端部を天井部の上面よ
りも上方へ傾いて突出させるだけでよいので、型構造が
複雑になることはなく、形状の設定に極めて高い精度が
要求されることもない。

【００１２】

【実施例】以下、本発明を具体化した一実施例を図面に
基づいて詳細に説明する。図２に示すように、本実施例
においては、自動車１の車両本体２の天井部３には、開
口部４が形成され、該開口部４には着脱式ルーフ５が設
けられている。この着脱式ルーフ５は、開口部４の上方
から下方へ向けて力を加えることにより取付けが可能
で、下方から上方へ向けて力を加えることにより取外し
が可能となっている。前記天井部３の開口部４周縁には
車両本体側ウエザストリップ（以下、本体側ウエザスト
リップという）６が配設され、着脱式ルーフ５の両側部
にはルーフ側ウエザストリップ７が設けられている。

【００１３】前記本体側ウエザストリップ６は、その直
線状部分に該当し、いずれの部分においても同一の断面
形状を有する押出成形部８，９と、コーナー部に該当
し、前記押出成形部８，９の一端面に対し連続的に型成
形により形成された型成形部１０とを備えている。前記
押出成形部８は図示しない断面略Ｕ字状のトリム部を有
しており、該トリム部が車両本体２の直線状の部分に形
成された図示しないフランジに挿入されることにより取
付けられている。また、前記押出成形部９は図示しない
リテーナに嵌合されることにより取付けられている。

【００１４】一方、図１に示すように、型成形部１０内
には、金属板よりなるインサート１１が埋設され、該イ
ンサート１１からは下方に向かってスタッドボルト（図
示せず）が突設されている。そして、スタッドボルトが
前記天井部３のプレート部分に形成された透孔に嵌め込
まれ、プレート部分の裏側からナットが締付けられるこ
とにより、型成形部１０が取付けられているのである。

【００１５】また、前記本体側ウエザストリップ６及び
ルーフ側ウエザストリップ７には、相互に中空状のシー
ル部１２，１３が形成されており、これらシール部１
２，１３は相互にオーバーラップするように設定されて
いる。さらに、図３に示すように、着脱式ルーフ５の取
外し時においては、前記本体側ウエザストリップ６のシ
ール部１２の開口部４側（図の右側）の端部が前記天井
部３の上面よりも上方へ傾いて突出した状態となってい
る。そして、その突出の程度としては、着脱式ルーフ５
を取付けた際に本体側ウエザストリップ６のシール部１
２の上面と着脱式ルーフ５側のウエザストリップ７のシ
ール部１３の上面とがほぼ面一となるように予め設定さ
れている。

【００１６】なお、上記したように、前記型成形部１０
は前記コーナー部に該当する。このため、図示しないド
アガラスの閉時には、型成形部１０及びルーフ側ウエザ
ストリップ７の一部にドアガラスの上端が当接するよう
になっている。

【００１７】次に、上記のように、本体側ウエザストリ
ップ６のシール部１２の開口部４側（図の右側）の端部
が前記天井部３の上面よりも上方へ傾いて突出させるた
めの一手段について説明する。すなわち、まず、図４に
示すように、本体側ウエザストリップ６のインサート１
１の開口部４側端部及びシール部１２の下面が共に下方
へ折れ曲がった状態となるように、予め型成形にて前記
型成形部１０を形成しておく。そして、前述したよう
に、スタッドボルトを前記天井部３のプレート部分に形
成された透孔に嵌め込み、プレート部分の裏側からナッ
トを締付ける。すると、図３に示すように、シール部１
２の開口部４側の端部が天井部３の上面よりも上方へ傾
いて突出した状態となるのである。

【００１８】続いて、本実施例の作用について説明す
る。上記の開口部４に対し、該開口部４の上方から下方
へ向けて着脱式ルーフ５に力が加えられることにより、
着脱式ルーフ５が取付けられる。また、下方から上方へ
向けて着脱式ルーフ５に力が加えられることにより、着
脱式ルーフ５が取外される。着脱式ルーフ５が取付けら
れた場合、本体側ウエザストリップ６及びルーフ側ウエ
ザストリップ７の各シール部１２，１３のオーバーラッ
プに基づく相互の弾性圧接により、着脱式ルーフ５と車
両本体２の天井部３との間がシールされる。

【００１９】ここで、着脱式ルーフ５の取付けに際し
て、上記オーバーラップに起因する摩擦力によって、本
体側ウエザストリップ６のシール部１２の開口部４側の
端部が下方に傾く。しかし、本実施例によれば、着脱式
ルーフ５を取外した状態においては、シール部１２の開
口部４側の端部が天井部３の上面よりも上方へ傾いて突
出されている。そのため、図５に示すように、前記着脱
式ルーフ５を取付けた際には、上記の下方への傾動によ
って本体側ウエザストリップ６のシール部１２の上面と
ルーフ側ウエザストリップ７のシール部１３の上面とが
ほぼ面一となる。従って、着脱式ルーフ５の取付に伴っ
て、両者間に段差の生じることはない。その結果、外観
が悪化したりせず、シール性も低下するようなことはな
い。

【００２０】また、着脱式ルーフ５の取付けに伴ってシ
ール部１２の端部が下方へ傾いて突出することがない。
従って、ドアガラスの閉時において、前記両ウエザスト
リップ６，７のシール部１２，１３下面に取付けに起因
しての段差が生じない。その結果、ドアガラスの上端が
当接した際に、ドアガラスと両ウエザストリップ６，７
との間のシール性の向上を図ることができる。

【００２１】さらに、本実施例によれば、上記の作用を
生じさせるための構成としては、シール部１２の開口部
４側の端部を天井部３の上面よりも上方へ傾いて突出さ
せるだけでよいので、型構造が複雑になることはなく、
形状の設定に極めて高い精度が要求されることもない。
そのため、製造に際しての簡素化及び形状の設定の簡素
化を図ることができる。

【００２２】なお、本発明は前記実施例に限定されるも
のではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で構成の一部
を適宜に変更して次のように実施することもできる。 （１）前記実施例では、本体側ウエザストリップ６のイ
ンサート１１の開口部４側端部が下方へ折れ曲がったイ
ンサート１１を設けたが、同インサート１１を設ける代
わりに、図６に示すような段差Ｄを有するようなインサ
ート１４や、図７に示すような、開口部側端部が肉厚と
なったインサート１５を設ける構成としてもよい。

【００２３】（２）前記実施例では、インサート１１の
開口部４側端部及びシール部１２の下面が共に下方へ折
れ曲がった状態となるように、予め型成形にて前記型成
形部１０を形成しておいた。そして、ナットの締付けに
よって、シール部１２の開口部４側の端部を天井部３の
上面よりも上方へ傾いて突出させるようにした。しか
し、着脱式ルーフ５の取外し時において、シール部１２
の開口部４側の端部を天井部３の上面よりも上方へ傾い
て突出した状態となっていれば、当初からそのように型
成形しておいても何ら差し支えない。

【００２４】（３）前記実施例におけるインサート１
１、スタッドボルト等を採用しない構成としてもよい。

【００２５】

【発明の効果】以上詳述したように、本発明の着脱式ル
ーフを有する自動車のウエザストリップによれば、着脱
式ルーフの取付時における外観低下を抑制し、車両本体
の天井部と着脱式ルーフとの間及び自身とドアガラスと
の間のシール性の向上を図ることが可能で、しかも、製
造に際しての簡素化及び形状の設定の簡素化を図ること
ができるという優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を具体化した一実施例において着脱式ル
ーフを取付ける際の本体側及びルーフ側ウエザストリッ
プの状態を概略的に示す断面図である。

【図２】一実施例における自動車等を概略的に示す斜視
図である。

【図３】一実施例において自動車等を着脱式ルーフを取
外した際の本体側ウエザストリップの状態を概略的に示
す断面図である。

【図４】一実施例において天井部に本体側ウエザストリ
ップを装着する際の一手段を説明する概略断面図であ
る。

【図５】一実施例において着脱式ルーフを取付けた際の
本体側及びルーフ側ウエザストリップの状態を概略的に
示す断面図である。

【図６】別の実施例におけるインサートを示す断面図で
ある。

【図７】別の実施例におけるインサートを示す断面図で
ある。

【図８】従来技術において着脱式ルーフを取付ける直前
の本体側ウエザストリップ等の状態を概略的に示す断面
図である。

【図９】従来技術において着脱式ルーフを取付けた際の
本体側ウエザストリップ等の状態を概略的に示す断面図
である。

【符号の説明】

２…車両本体、３…天井部、４…開口部、５…着脱式ル
ーフ、６…本体側ウエザストリップ、７…ルーフ側ウエ
ザストリップ、１２…シール部。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡田 直樹 愛知県豊田市トヨタ町１番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 山本 良一 愛知県豊田市トヨタ町１番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両本体（２）の天井部（３）に形成さ
   れた開口部（４）に対し、該開口部（４）の上方から下
   方へ向けて力を加えることにより取付けが可能な着脱式
   ルーフ（５）を有する自動車（１）のウエザストリップ
   であって、前記開口部（４）周縁に設けられ、前記着脱
   式ルーフ（５）と前記車両本体（２）の天井部（３）と
   の間をシールするために一部が前記着脱式ルーフ（５）
   とオーバーラップするシール部（１２）を備えたウエザ
   ストリップにおいて、 前記着脱式ルーフ（５）を取付けた際に前記シール部
   （１２）の上面と前記着脱式ルーフ（５）側のウエザス
   トリップ（７）のシール部（１３）の上面とがほぼ面一
   となるよう、前記着脱式ルーフ（５）を取外した状態に
   おいては、前記シール部（１２）の開口部（４）側の端
   部が上方へ傾いて突出していることを特徴とする着脱式
   ルーフを有する自動車のウエザストリップ。