JPH06211009A

JPH06211009A - 空気入りラジアルタイヤ

Info

Publication number: JPH06211009A
Application number: JP50A
Authority: JP
Inventors: Takeshi Uesugi; 武上杉
Original assignee: Bridgestone Corp
Current assignee: Bridgestone Corp
Priority date: 1993-01-20
Filing date: 1993-01-20
Publication date: 1994-08-02
Anticipated expiration: 2017-10-21
Also published as: JP3337509B2

Abstract

(57)【要約】（修正有）【目的】ワイヤの被覆している真鍮メッキとそのメッ
キした部分と接着するゴムとの接着性を確保するととも
に、メッキしたワイヤーの型付を調整することによって
タイヤ走行中の入力に対するビードの耐久性の向上を図
る。【構成】環状の内部コア１とコア１の周りにコイル状
に巻き付けられた金属レイヤー２₁，２₂で形成された
ビードワイヤー３において、外側のコイル状金属レイヤ
ーが真鍮メッキされた炭素鋼からなり、またコアはレイ
ヤーと同等もしくはそれ以下の炭素含有量の炭素鋼から
構成されており、そのビードワイヤーを使用して製造し
た新品タイヤから該ビードワイヤーを取り出し、巻き付
けられている金属レイヤーをほぐしたときのコイル状金
属レイヤーの円の内径をｂ、タイヤに埋設されていたと
きのビード内径をａとしたとき、型付率ｂ／ａ＞０．９
０であるように構成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、タイヤのビード部の補
強用としてケーブルビートワイヤーを備えた空気入りラ
ジアルタイヤに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、タイヤのビード部の補強に用いら
れるケーブルビードワイヤーに真鍮メッキを施し、メッ
キ組成、厚さ、被覆ゴムの最適化を図ることによってビ
ードワイヤーとゴム間の湿熱劣化性を良好なものとし、
高い接着力及び接着安定性を確保し、ワイルドワイヤー
等の防止を図り、耐久性を向上させるようにしたものは
存在していた（特開平２−２５６５０３号公報参照）。
また、ビードコアをレイヤーより低い弾性係数の材料か
ら構成することによってタイヤの装架作動中にビードコ
アが変形することが可能な程度に柔軟性があるので、あ
る程度の耐久性があるものも存在していた（特開昭５０
−５２７０３号公報参照）。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例のものはメッキ表面を真鍮に変えることで接着性は
向上するもののレイヤーの型付率は最適化されているわ
けではなかった。即ち、高負荷をかけたとき、現状のレ
イヤーの型付率（０．７４〜０．８０）では中間層レイ
ヤーが破砕する場合があり、その破砕したワイヤーがタ
イヤ転動に伴いタイヤのカーカスを貫通してプライ間セ
パレーションに繋がることがあった。本発明はワイヤー
の被覆している真鍮メッキとそのメッキした部分と接着
するゴムとの接着性を確保するとともに、その真鍮メッ
キをしたワイヤーの型付けを調整する、即ちそのワイヤ
ーの締め付け度合を軽減することによってタイヤ走行中
の入力に対するビードの耐久性の向上を図ることを目的
としている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の空気入りラジアルタイヤにおいては、環状
の内部コアとそのコアの周りにコイル状に巻き付けられ
た金属レイヤーで形成された層構造が、１＋Ａ＋Ｂ＋Ｃ
＋Ｄ＋Ｅ（但し、Ａ〜Ｅは各層でのレイヤーの数であ
り、Ａ＝６〜１２、Ｂ＝０または１２〜２０、Ｃ＝０ま
たは２０〜２８、Ｄ＝０または２６〜３４、Ｅ＝０また
は３０〜３８）であるビードワイヤーにおいて、外側の
コイル状金属ワイヤーが真鍮メッキされた炭素鋼からな
り、またコアは前記コイル状金属レイヤーと同等もしく
はそれ以下の炭素含有量の炭素鋼から構成されており、
そのビードワイヤーを使用して製造した新品タイヤから
該ビードワイヤーを取り出し、巻き付けられている金属
レイヤーをほぐした時のその金属レイヤーの円の内径を
ｂ、タイヤに埋設されていたときのビード内径をａとし
たとき、ｂ／ａを型付率とし、ｂ／ａ＞０．９０であることを特徴とするものが提供される。また上記に
おけるビードのメッキ組成は銅と亜鉛の含有比Ｃｕ／Ｚ
ｎ＝４５／５５〜８０／２０であることが接着性の上か
ら好ましく、さらに外側のコイル状金属レイヤーの炭素
含有量としては０．５〜０．９重量％であるのが好適で
ある。

【０００５】

【作用】上記のように構成された本発明の作用効果を説
明すると、本発明の環状内部コアとコアの周りにコイル
状に巻き付けられた金属レイヤーで形成された層構造
が、１＋Ａ＋Ｂ＋Ｃ＋Ｄ＋Ｅ（但し、Ａ〜Ｅは各層での
レイヤーの数で、Ａ＝６〜１２、Ｂ＝０または１２〜２
０、Ｃ＝０または２０〜２８、Ｄ＝０または２６〜３
４、Ｅ＝０または３０〜３８）であるビードワイヤーの
外側のコイル状金属ワイヤが真鍮メッキされた炭素鋼か
らなり、コアがそのコイル状の金属レイヤーと同等もし
くはそれ以下の炭素含有量の炭素鋼から構成されたもの
を使用して製造した新品タイヤからケーブルビードワイ
ヤーを取り出し、製品状態から外部レイヤーの撚りをほ
ぐした場合、コイル状の円環になるが、その径をｂ、内
部コア径をａとしたとき、型付率ｂ／ａ＞０．９０とす
る一方、内部コアの炭素含有量を金属レイヤーの炭素含
有量より少なくすることによって金属レイヤー間の締付
けを強くもなく弱くもない程良い程度になり、ワイヤ間
の拘束力が適正なものとなってフレッティングが生ずる
ことがなく、またタイヤ走行中にワイヤーが受ける張力
分担を均一にすることができる結果、中間層レイヤーが
破砕するようなこともなくなり、ビードの耐久性を向上
させることができる。型付率ｂ／ａが０．９０未満であ
ると金属レイヤー間の締付けが強くワイヤ間の拘束力を
増すことになり、その結果、走行中におけるフレッティ
ング現象が起こる。その場合にコアの炭素含有量が金属
レイヤーの炭素含有量より多いとレイヤーの伸び率がコ
アの伸び率に比べて小さいのでどうしてもレイヤー間の
締付けが強くなり、全体としてビードの耐久性が低下す
ることになる。

【０００６】また、実際の製作に際してのビードのメッ
キ組成については、銅と亜鉛の含有率比Ｃｕ／Ｚｎで、
Ｚｎが５５％を越えると、タイヤにおけるワイヤとゴム
の接着における短時間での接着性が劣り、一方、Ｚｎが
２０％未満では表面Ｃｕの含有率が非常に大きくなり、
湿熱劣化性が低下し、何れも接着不良によるビード−プ
ライ間にセパレーションが発生する。さらに、外側コイ
ル状金属レイヤーの炭素含有量が０．５０重量％未満で
あると、走行中にビードが受ける応力に耐えがたく、ま
た逆に０．９０重量％より大きくなった場合、型付け時
に曲げにくいことや、タイヤ走行中に働く応力に耐えら
れるビードに必要最小限の伸びを確保できないため、ビ
ードの材質としては不適である。また、コアの炭素含有
量の値をレイヤーの炭素含有量の値より小さくするのは
タイヤ走行中にワイヤーが受ける張力分担を均一にする
ためである。（レイヤーは撚られているために、伸び性
が高く、コアにレイヤー同等の伸び性を出すにはレイヤ
ーの鋼材より柔らかくする必要がある。）

【０００７】

【実施例】以下実施例について図面を参照して説明す
る。本発明の実施例におけるビードワイヤーは図２
（ａ）に示すようなビードの環状の内部コア１とそのコ
ア１の周りに図１に示すようにレイヤー数Ａ＝６〜１２
のビードワイヤーが密になるまで順次巻き付けられて第
１層２₁が形成され、その後、レイヤー数Ｂ＝０または
１２〜２０の第２層２₂、レイヤー数Ｃ＝０または２０
〜２８の第３層２₃、レイヤー数Ｄ＝０または２６〜３
４の第４層２₄及びレイヤー数０又は３０〜３８の第５
層２₅が順次形成されている金属レイヤー２からなるビ
ードワイヤー３が新品の空気入りラジアルタイヤのビー
ド部に埋設されている。そのビードワイヤー３を空気入
りラジアルタイヤから取り出し、巻き付けられている金
属レイヤー２をほぐすと図１に示された金属レイヤー２
は図２（ｂ）に示すようなコイル状の形状になる。

【０００８】そして、その時の金属レイヤーの円の内径
ｂ、タイヤに埋設されていたときのビード内径をａと
し、ｂ／ａを型付率とすると、ｂ／ａ＞０．９０の関係をみたすようにケーブルビードワイヤー３はなっ
ているものである。またその場合の外側コイル状金属レ
イヤー２は真鍮メッキされた炭素鋼よりなり、コア１は
その外側コイル状金属レイヤー２と同等もしくはそれ以
下の炭素含有量の炭素鋼から構成されている。その実施
例によるケーブルビードワイヤー３の断面構造の１例は
図３に示すとおりのものである。

【０００９】ここで、上記のような条件をみたす実施例
の構造が１×３．０＋（７＋１２）×２．２及び１×
３．０＋（８＋１４＋２０）×１．８で、コアは金属レ
イヤーと同等もしくはそれ以下の炭素含有量の炭素鋼か
らなるケーブルビードワイヤーを加熱加硫後の５０％モ
ジュラスが２０〜８０ｋｇ／ｃｍ²であるゴムを被覆し
たタイヤをそれぞれ製造し、以下の試験方法によって実
験を行い、その試験結果を示した。Ｉ．試験方法１．トラックバス用ラジアルタイヤ（ＴＢＲ）の試験条
件構造が１×３．０＋（７＋１２）×２．２であり、メッ
キ組成が好ましくはＣｕ／Ｚｎ＝６０／４０であるケー
ブルビードワイヤーを加熱加硫後の５０％モジュラスが
２０〜８０ｋｇ／ｃｍ²であるゴムを被覆したタイヤを
製造し、そのタイヤを充填内圧９．００ｋｇ／ｃｍ²、
試験荷重５，５００ｋｇの条件下で連続ドラム走行をさ
せ、ケーブルビードワイヤーの金属レイヤー部を破砕さ
せてビード部とカーカスプライ間にセパレーション
（注）が発生するまでの走行距離で評価した（表１参
照）。（注）セパレーション状態のチェックは、１，０００ｋ
ｍ走行した時点毎にドラムよりタイヤを外してホログラ
フィ試験を用いて行った。

【００１０】２．航空機用空気入りラジアルタイヤ（Ａ
ＰＲ）の試験条件構造が１×３．０＋（８＋１４＋２０）×１．８であ
り、メッキ組成が好ましくはＣｕ／Ｚｎ＝６０／４０で
あるケーブルビードを加熱加硫後の５０％モジュラスが
２０〜８０ｋｇ／ｃｍ²であるゴムを被覆してタイヤを
製造し、そのタイヤの充填内圧２３０ｐｓｉ、試験荷重
２ｔｏｎの条件下で速度４０mile／ｈで１０分間走行さ
せた後５０分間止め、それを１サイクルとして繰返した
ときビード部コーティングゴムがセパレーションするま
での回数を評価した（表２参照）。表１及び表２におい
て、新品ラジアルタイヤからビードワイヤーを取り出
し、巻き付けられている外側金属レイヤーの撚りをほぐ
したときのコア内径ａに対する外側金属レイヤーの型付
径ｂの比率ｂ／ａ（型付率）を変え、またコアを外側金
属レイヤーの炭素含有率を変えたものについて、被覆ゴ
ムとケーブルビードワイヤーとのゴム複合体を作製し、
各複合体でビード部を補強したトラックバス用ラジアル
タイヤ（ＴＢＲ）及び航空機用ラジアルタイヤ（ＡＰ
Ｒ）を製作し、上記試験条件で走行させ、実施例、比較
例を示すと、以下のとおりである。

【００１１】ここで、タイヤ製品から取り出したときの
型付径は、経験からして製造時の型付径にほぼ比例する
ことが分かっているので、所望の型付けを得るために
は、巻き付けるときのローラ同志の角度、距離を調整す
ればよい。その際、外側金属レイヤーは環状の内部コア
に撚り巻き付ける前に、直線状のワイヤーを水平角度に
対してある角度を付けてワイヤーをローラを通してタイ
ヤ径に適合したビード径で型を付けるが、タイヤ製品か
ら取り出したときの型付率０．７０、０．８５、０．９
４、１．０６を得るには製造段階での型付率をそれぞれ
０．５０〜０．６０、０．６５〜０．７５、０．８０〜
０．９０、０．８５〜０．９５の間の数値に調整するの
である。また、型付率∞の金属レイヤーを得るには、
機械を使ってリールからのワイヤーを型付けしないで直
接コアに巻き付ければよい。

【００１２】ＩＩ．試験結果

【表１】

【表１の続き】

【表２】

【表２の続き】

【００１３】以上の試験結果から、トラックバス用ラジ
アルタイヤでは、実施例１〜３、比較例１〜４から分か
るように同じ１×３．０＋（７＋１２）×２．２のビー
ド構造のもので型付率（ｂ／ａ）が０．９０以下であれ
ば、コアと金属レイヤーの炭素含有量の重量％の大小に
かかわらず、セパレーションを生ずることが分かった。
また、航空機用ラジアルタイヤについても実施例１〜
３、比較例１〜４から分かるように、型付率（ｂ／ａ）
が０．９０以下であれば、上記条件下でのビード部コー
ティングゴムにセパレーションを発生するまでのドラム
走行回転数が極度に低く、それが発生し易いことが確認
された。

【００１４】

【発明の効果】以上詳述したように本発明は構成されて
いるので、ワイヤの被覆された真鍮メッキとそのメッキ
した部分と接着するゴムの部分との接着性が従来のもの
に比べて十分に確保でき、また外側コイル状金属レイヤ
ーを真鍮メッキした炭素鋼で構成する一方、コアを外側
コイル状金属レイヤーと炭素含有量が同等或いはそれ以
下とした炭素鋼から構成してあるので、フレッティング
が生じ難く、ゴム層が破砕されることがなく、さらには
真鍮メッキしたワイヤーの型付を調整することによっ
て、タイヤ走行中の入力に対するビードの耐久性を向上
させることができる等の効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】内部コアの周りにコイル状金属レイヤーを巻き
付けたビードワイヤーの斜視図である。

【図２】（ａ）はビードの環状の内部コアを示した図で
ある。（ｂ）は新品タイヤからビードワイヤーを取り出
し、コアに巻き付けられている金属レイヤーをほぐした
状態を示した図である。

【図３】本発明の実施例のビードワイヤーの断面図であ
る。

【符号の説明】

１内部コア２金属レイヤー３ビードワイヤー

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】環状の内部コアとそのコアの周りにコイ
ル状に巻き付けられた金属レイヤーで形成された層構造
が、１＋Ａ＋Ｂ＋Ｃ＋Ｄ＋Ｅ（但し、Ａ〜Ｅは各層での
レイヤーの数であり、Ａ＝６〜１２、Ｂ＝０または１２
〜２０、Ｃ＝０または２０〜２８、Ｄ＝０または２６〜
３４、Ｅ＝０または３０〜３８）であるビードワイヤー
において、外側のコイル状金属レイヤーが真鍮メッキさ
れた炭素鋼からなり、またコアは前記コイル状金属レイ
ヤーと同等もしくはそれ以下の炭素含有量の炭素鋼から
構成されており、そのビードワイヤーを使用して製造し
た新品タイヤから該ビードワイヤーを取り出し、コイル
状に巻き付けられている金属レイヤーをほぐした時のそ
の金属レイヤーの円の内径をｂ、タイヤに埋設されてい
たときのビード内径をａとしたとき、ｂ／ａを型付率と
し、ｂ／ａ＞０．９０であることを特徴とするケーブルビードワイヤーを備え
た空気入りラジアルタイヤ。