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JPH06190996A - ヒートシール性ポリエステルフイルムおよびその製造方法 - Google Patents

ヒートシール性ポリエステルフイルムおよびその製造方法

Info

Publication number
JPH06190996A
JPH06190996A JP4612593A JP4612593A JPH06190996A JP H06190996 A JPH06190996 A JP H06190996A JP 4612593 A JP4612593 A JP 4612593A JP 4612593 A JP4612593 A JP 4612593A JP H06190996 A JPH06190996 A JP H06190996A
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JP
Japan
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heat
polyester
polyester film
film
sealable
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Application number
JP4612593A
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Inventor
Masahiro Kimura
将弘 木村
Kozo Takahashi
弘造 高橋
Kenji Tsunashima
研二 綱島
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ヤング率が10〜250kg/mm2 の2軸
配向ポリエステルフイルムの少なくとも片面にヒートシ
ール樹脂を積層してなるヒートシール性ポリエステルフ
イルム。 【効果】 柔軟性に優れた2軸配向ポリエステルフイル
ムの少なくとも片面に、熱接着開始温度が特定の温度範
囲のヒートシール樹脂を積層したので、柔軟性、ヒート
シール性に優れたフイルムとすることができ、とくに、
シール力、保香性が要求される包装材料用途に好適なフ
イルムが得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薄膜を積層したヒート
シール性ポリエステルフイルムに関し、とくに、柔軟性
ポリエステルフイルムにヒートシール樹脂を積層した、
柔軟性、シール力、保香性などに優れたヒートシール性
ポリエステルフイルムに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルフイルムの代表例であるポ
リエチレンテレフタレート(PET)2軸延伸フイルム
は、良好な機械強度、熱的特性、湿度特性、その他の多
くの優れた特性から、工業材料、磁気記録材料、包装材
料など広い分野において使用されている。
【0003】一方、通常のPETフイルムは、柔軟性に
乏しく、ヒートシール層を設けてもベース層のへき開が
生じ易く、シール力に乏しい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述のよう
な本来PETフイルムに無い柔軟性を有するとともに、
とくに、良好なヒートシール性も兼備した柔軟性ポリエ
ステルをベースとしたヒートシール性ポリエステルフイ
ルムおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この目的に沿う本発明の
ヒートシール性ポリエステルフイルムは、ヤング率が1
0〜250kg/mm2 の2軸配向ポリエステルフイル
ムの少なくとも片面にヒートシール樹脂を積層してなる
ことを特徴とする。
【0006】本発明のヒートシール性ポリエステルフイ
ルムを構成する柔軟性ポリエステルフイルムにおいて、
ヤング率は10〜250kg/mm2 、好ましくは50
〜200kg/mm2 であり、ヤング率が低過ぎる場合
は、袋にした時に腰がないため取り扱い性が悪く好まし
くない。さらに、本発明では、ヤング率の経時変化、使
用温度範囲、生産性の点で2軸配向されていることが必
要である。また、長手方向、幅方向、厚み方向の屈折率
(Nx,Ny,Nz)から得られる面配向係数Fn=
(Nx+Ny)/2−Nzの値が0.005以上、好ま
しくは0.01以上、特に好ましくは0.02〜0.1
4であるとフイルムの加工性が良好となり望ましい。
【0007】本発明のヒートシール性ポリエステルフイ
ルムを主として構成する柔軟性ポリエステルAについ
て、ポリエステルを構成するジカルボン酸成分として
は、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、脂肪族
ジカルボン酸、多官能酸などが挙げられる。芳香族ジカ
ルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタ
ル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、およびそ
れらの誘導体などがあり、脂環族ジカルボン酸として
は、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸およびその誘
導体などがあり、脂肪族ジカルボン酸としては、アジピ
ン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、エイコ酸、ダイ
マー酸およびそれらの誘導体などがあり、多官能酸とし
てはトリメリット酸、ピロメリット酸およびその誘導体
などが代表的なものである。アルコール成分としては、
エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6
−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチ
レングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シ
クロヘキサンジメタノール、ビスフェノールおよびそれ
らの誘導体などが代表的なものである。さらに本発明に
用いる柔軟性ポリエステルAは、ポリエチレングリコー
ル、ポリテトラメチレングリコールのようなポリエーテ
ルを共重合したポリエステルエーテルや、ポリアミドを
共重合したポリエステルアミド、ポリカプロラクトンの
ような脂肪族ポリエステルとのブロック共重合体なども
含むものである。
【0008】これらのポリエステルの中で、2軸延伸特
性などの製膜性、湿度特性、耐熱性、耐薬品性、低コス
ト性その他の観点からは、ポリエチレンテレフタレート
(PET)を主体とした、好ましくはポリエステルの酸
成分およびアルコール成分おのおのの50モル%以上が
テレフタル酸、エチレングリコールおよびそれらの誘導
体であるポリエステルが本発明の柔軟性ポリエステルフ
イルムに好ましく用いられる。また、ガラス転移温度
(Tg)が50℃以下であると柔軟性、突刺強度が向上
するので好ましい。
【0009】さらに、フイルムに柔軟性を付与するため
には、たとえばPETを主体とするポリエステルに脂肪
族ジカルボン酸、ポリエーテル、脂肪族ポリエステルな
どを共重合することが効果的であるが、炭素数10以
上、好ましくは20以上のアルキレン基を有する長鎖脂
肪族ジカルボン酸を共重合することが、柔軟性、品質安
定性の点で好ましい。長鎖脂肪族ジカルボン酸としては
ドデカンジオン酸、エイコ酸、ダイマー酸およびそれら
の誘導体などがあるが、特に本発明ではこれらの中でも
分岐状構造を有している分岐脂肪族ジカルボン酸である
ことが、耐衝撃性を向上させる面で好ましく、その中で
もダイマー酸を用いることが耐熱性、透明性を良好にす
る上で好ましい。
【0010】ここでダイマー酸とはオレイン酸メチル等
の不飽和脂肪族ジカルボン酸を2量化・水素添加反応に
よって得られる鎖状分岐構造体と環状分岐構造体との混
合物の総称であり、メチレン鎖の炭素数が20〜80、
好ましくは30〜60のものである。また、通常不飽和
結合が残留しているが、ASTM−D−1159で測定
した臭素価を0.05〜10(g/100g)、好まし
くは0.1〜5(g/100g)としたものが耐熱性、
柔軟性に優れるため好ましい。ダイマー酸の共重合量は
酸成分について1〜40モル%、好ましくは5〜20モ
ル%である。
【0011】本発明の柔軟性ポリエステルフイルムを主
として構成する柔軟性ポリエスルAが、例えばPETを
主成分とし柔軟性を付与するための脂肪族ジカルボン酸
等との共重合ポリエステルである場合、融点、ガラス転
移点、結晶性が低下し、2軸延伸フィルム製造プロセス
において、押出キャスト時の冷却ドラムへの粘着、延伸
ロールへの粘着、テンター内のクリップへの粘着が生じ
易くなり生産性が低下することになる場合がある。さら
に共重合が多くなるとポリエステルA単体での2軸延伸
特性が悪くなり、延伸と応力の関係において両者に1対
1の対応がなくなり、いわゆるネッキング延伸となっ
て、厚み斑の悪化を招くことになる。この2軸延伸特性
の悪さは、特にポリブチレンテレフタレート(PBT)
を主成分とする柔軟性ポリエステルにおいては特に顕著
であり、例えばダイマー酸を15モル%共重合した共重
合PBTでは平滑な2軸延伸フイルムを得ることが非常
に困難である。
【0012】このような点から、柔軟性ポリエステルA
の少なくとも片面にガラス転移点が45℃以上、好まし
くは55℃以上であるようなポリエステルBを積層する
ことが、ポリエステルAの好ましい延伸温度と照らし合
わせて、ロールやクリップへの粘着を防止する上で好ま
しい。
【0013】ポリエスルBについては、PETに代表さ
れる結晶性のポリエステルが粘着防止の点で好ましい。
また、融点およびガラス転移点がポリエステルAより高
ければ、フイルム全体としての熱的寸法安定性が向上す
るため好ましい。さらに、2軸延伸後にポリエステルA
より破断強度、ヤング率が大きいポリエステルを選択す
れば、フイルムの腰(スティフネス)は柔らかく保った
ままで破断強度等を向上させることが可能となるため好
ましい。したがって、ポリエステルBの積層は、単に製
膜性の向上以上に、柔軟性ポリエステルAの短所であ
る、熱的安定性、引っ張り方向の強度などを補う効果だ
けでなく滑り性を良好とし巻姿を良好にする効果を持た
せることができる。
【0014】ポリエステルBを構成するジカルボン酸成
分、アルコール成分、ポリエーテルやポリアミドや脂肪
族ポリエスルなどの共重合成分はポリエステルAと同様
であるが、ガラス転移点のほかに、さらにポリエステル
Bとしては、2軸延伸性の悪い柔軟性ポリエステルAの
延伸特性を補助するために延伸特性の良好なポリエスル
であることが好ましい。具体的には、PETを主成分と
するポリエステル、1,4−シクロヘキサンジメタノー
ルとテレフタル酸からなるポリマを主成分とするポリエ
ステルなどが好ましく、PET、イソフタル酸との共重
合PET、アジピン酸、セバシン酸などの炭素数4〜8
のアルキレン基を有する脂肪族ジカルボン酸との共重合
PETなどが挙げられ、共重合体の場合、共重合成分量
は1〜40モル%、好ましくは5〜20モル%である。
【0015】ポリエステルBとしてポリエチレンテレフ
タレート、イソフタル酸共重合PET、アジピン酸、セ
バシン酸などの炭素数4〜8のアルキレン基を有する脂
肪族ジカルボン酸との共重合PETなどは製膜等で生じ
る屑の原料回収性の点から好ましい。また、ポリエステ
ルB層を薄膜化することでポリエステルAとして長鎖脂
肪族ジカルボン酸を共重合したポリエステルに対しB層
の原料回収性を可能にすることができる。また、ポリエ
ステルAまたはBは、2種以上のポリエステルをブレン
ドしたポリマを用いてもよい。
【0016】ポリエステルBは柔軟性ポリエステルAの
少なくとも片面に積層されるが、その厚さ比は、ポリエ
ステルAからなる層の厚さの合計とポリエステルBから
なる層の厚さの合計の比で1:1〜50:1、好ましく
は2:1〜25:1(A層合計:B層合計)である。B
層の割合が小さくなり過ぎると2軸延伸性の改良効果が
低減されるために好ましくなく、B層の割合が大きい場
合にはフイルムの柔軟性、突刺特性などが損なわれるた
めに好ましくない。
【0017】なお、柔軟性ポリエステルAの両面にポリ
エステルBを積層する場合ポリエステルBが本発明の範
囲内において、互いの面で、組成等が多少異なっていて
もよい。また、積層フイルムにおいて層間の接着性を良
好にするために、例えば柔軟性ポリエステルAとして2
種のポリマA1、A2、及びポリエステルBを用いてB
/A1/A2/A1/Bのように5層積層しても良い
し、2種のポリマA1、A2を混合してB/(A1+A
2)/Bのようにしてもよい。また、以下に定義される
突刺強度が10kg/mm以上、好ましくは15kg/
mm以上、さらに好ましくは20kg/mm以上である
と、例えばフイルムをヒートシールし袋とした際に、袋
の耐久性が向上するので望ましい。ここで、突刺強度と
は、直径40mmのリングにフイルムをゆるみのないよ
うに張り、先端角度60度、先端R0.1mmのサファ
イア製針を使い、円の中央を50mm/分の速度で突刺
し、針が貫通する時の力をフイルム厚さ1mmに換算し
て求めたものである。なお、先端Rの大きさを0.5m
mとした時の突刺強度が50kg/mm以上であると、
固形物を袋詰めした後の他の接触物に対する耐久性に優
れるので好ましい。
【0018】本発明においてポリエステルBからなるB
層に不活性粒子を添加することは、滑り性を向上させる
上で有効である。ここで不活性粒子としては、酸化珪
素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシ
ウム、炭酸マグネシウムなどの無機化合物、あるいは架
橋ポリスチレン、架橋ジビニルベンゼン、ベンゾグアナ
ミン、シリコーン等の不溶融性有機化合物が挙げられ
る。特にコロイダルシリカ、粉砕シリカ、架橋ポリスチ
レン、シリコーンなどが透明性の点で好ましい。フイル
ムの滑り性を良好にするために好ましい粒子径として
は、平均粒子径が0.01〜10μm、好ましくは0.
1〜8μmである。添加量としては0.001〜10重
量%、好ましくは0.01〜5重量%である。なお、ポ
リエステルAおよび/またはヒートシール性ポリエステ
ルについてもポリエステルBに添加する前述した粒子種
を含有していてもよい。
【0019】本発明の柔軟性ポリエステルフイルムに
は、帯電防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、結晶核剤、耐
候剤、紫外線吸収剤、顔料、染料などの添加剤を本発明
の目的を損なわない程度において用いることができる。
また、エンボス加工、サンドマット加工などの表面凹凸
加工、あるいはコロナ放電処理、プラズマ処理、アルカ
リ処理などの表面処理を必要に応じて施してもよい。さ
らに、本発明の柔軟性ポリエステルフイルムに易接着処
理剤、帯電防止剤、水蒸気・ガスバリア剤(ポリ塩化ビ
ニリデンなど)、離型剤、粘着剤、接着剤、難燃剤、紫
外線吸収剤、マット化剤、顔料、染料などのコーティン
グや印刷を行なってもよく、アルミニウム、酸化アルミ
ニウム、酸化珪素、パラジウムなどの金属やその化合物
を遮光、水蒸気・ガスバリア、表面導電性、赤外線反射
などの目的で真空蒸着してもよく、その目的、方法につ
いては上記に限定されない。
【0020】本発明のヒートシール性ポリエステルフイ
ルムの厚さは特に限定はないが、1〜1000μm、好
ましくは5〜500μmで有効に使用される。
【0021】本発明のヒートシール性ポリエステルフイ
ルムは、上記のような柔軟性ポリエステルフイルムの少
なくとも片面に、ヒートシール樹脂を積層したものであ
る。ヒートシール樹脂は、好ましくは熱接着開始温度が
80℃以上180℃以下であることが望ましい。このヒ
ートシール樹脂の融点と柔軟性ポリエステルフイルム
(2軸配向ポリエステルフイルム)の融点との関係は、
2軸配向ポリエステルフイルムの融点と前記ヒートシー
ル樹脂の融点の差が20℃以上であることが好ましい
(2軸配向ポリエステルフイルムの方が高い)。また、
このヒートシール樹脂の融点は200℃以下であること
が好ましい。好ましいヒートシール樹脂としては例えば
ポリブチレンテレフタレートにイソフタル酸成分を共重
合したものや、ポリエチレンテレフタレートにイソフタ
ル酸成分を共重合したものなどのような共重合ポリエス
テルが挙げられるが、ヒートシール樹脂同士の熱接着性
が良好である樹脂であれば特に限定されない。ヒートシ
ール樹脂の積層方法はラミネート法、コーティング法、
共押出法など公知の方法を用いることができる。
【0022】この積層樹脂層は、たとえば、ポリエステ
ル樹脂とヒートシール樹脂を共押出法により積層し、2
軸延伸後、熱処理を行なうことのより形成される。そし
て、熱処理温度をヒートシール樹脂の融点以上ポリエス
テル樹脂の融点以下とすることにより、上記のような特
性のヒートシール樹脂層が形成される。ヒートシール樹
脂層の厚みは、0.01〜20μm、好ましくは0.1
〜10μmである。
【0023】本発明では2軸配向ポリエステルフイルム
の芯層が柔軟性ポリエステルフイルムであるためシール
力が向上し、通常のPETフイルムのへき開によるシー
ル力不足が解消される。
【0024】さらに、上記ヒートシール性ポリエステル
フイルムにおいて、その2軸配向ポリエステルフイルム
の100℃でのヤング率を20kg/mm2 以上、熱収
縮率が5%以下とすれば、クーリングキャン上でのしわ
の発生を効果的に防止できるので好ましい。
【0025】また、2軸配向ポリエステルフィルムの常
温でのヤング率を50kg/mm2以上とすれば、落袋
強度、耐揉み性を一層向上でき、さらに、キャン上での
熱負けの防止も達成できる。
【0026】次に本発明のヒートシール性ポリエステル
フイルムの製造方法について述べるがこれに限定される
ものではない。ポリエステルA、ポリエステルBおよび
ヒートシール性樹脂(以下ポリマCと呼ぶことがある)
を別々の押出機によって溶融押出し、フィードブロック
あるいはマニホールド複合口金を用いて2種または3種
以上のポリマを、例えばC/A/C、B/A/C、B/
A/B/Cなどの構成でシート状に複合押出し、急冷キ
ャストする。得られたキャストシートは縦延伸、横延
伸、更に熱処理を行なう通常の逐次2軸延伸製膜プロセ
スによって製造される。なお、この他に同時2軸延伸プ
ロセス、チューブラープロセスなどを採用することもで
きる。また、ポリエステルAとポリエステルBの積層フ
イルムにおいて層間の接着性を良好にするために、例え
ば柔軟性ポリエステルAとして2種のポリマA1、A
2、及びポリエステルBを用いてB/A1/A2/A1
/Bのように5層積層しても良いし、2種のポリマA
1、A2を混合してB/(A1+A2)/Bのようにし
てもよい。
【0027】上記の逐次2軸延伸プロセス、同時2軸延
伸プロセスなどにおいて、本発明の柔軟性ポリエステル
フイルムの物性値を達成するには、延伸温度、および熱
処理温度が重要である。実験を重ねた結果、ポリエステ
ルAのTgが50℃より低い場合、特に延伸温度がポリ
エステルAのTg+10℃以上130℃以下、好ましく
はTg+20℃以上120℃以下、より好ましくはTg
+30℃以上110℃以下であると製膜性、柔軟性が良
好となり突刺強度が向上する。熱処理温度は170〜2
35℃であることが柔軟性、寸法安定性に優れ、突刺強
度が向上する。本発明の熱処理温度とは、示差走査型熱
量計を用いて観測される、ポリエステルの熱処理時の熱
履歴として残存している熱結晶化に伴うメタクリスタル
の融解ピークの温度を意味し、必ずしも製膜中の熱処理
ロールあるいはオーブン中の雰囲気温度に一致するもの
ではない。
【0028】上記のようにして得られた2軸配向柔軟性
ポリエステルフイルムの少なくとも片面に、熱接着開始
温度が80℃以上180℃以下のヒートシール樹脂が積
層される。積層法としてはとくに限定されず、公知の方
法が採用できるが、ポリエステル樹脂とヒートシール樹
脂を共押出法により積層することが好ましい。
【0029】本発明の薄膜積層柔軟性ポリエステルフイ
ルムは、従来柔軟性を有する包装用途に好適に使用さ
れ、特にヒートシール性が要求される用途に最適であ
る。とくに包装材料用途に適用されると、加工性、特に
ヒートシール性に優れたものが得られ、通常のPETフ
ィルムでは得られない優れた特性が得られる。
【0030】〔物性、特性の測定、評価方法〕以下に、
本発明の説明、あるいは後述の実施例の説明に用いた各
物性、特性の測定、評価方法について説明する。 (1)融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg) 示差走査型熱量計DSC(パーキンエルマー社製)を用
いて測定した。サンプ10mgを窒素気流下で280
℃、5分間溶融保持し、ついで液体窒素で急冷した。得
られたサンプルを10℃/分の速度で昇温する過程でガ
ラス状態からゴム状態への転移に基づく比熱変化を読取
りこの温度をガラス転移温度(Tg)とし、結晶融解に
基づく吸熱ピーク温度を融点(Tm)とした。
【0031】(2)機械特性 引っ張りヤング率、破断強度、破断伸度についてはAS
TM−D−882−81(A法)に準じて測定した。な
お、100℃のヤング率は動的粘弾性測定装置(レオバ
イブロンII型)で測定した。
【0032】(3)熱収縮率 試長200mm、幅10mmのフィルムサンプルを荷重
をかけない状態で、熱風オーブン内で熱処理して収縮量
を測定し、試長に対する割合として求めた。
【0033】(4)突刺強度 直径40mmのリングにフィルムを弛みのないように張
り、ヒートシール層の逆面から先端角度60度、先端R
0.1mmのサファイア製針を使い、円の中央を50m
m/分の速度で突刺し、針が貫通する時の力をフィルム
厚さ1mmに換算して突刺強度とした。さらに、先端R
の大きさを0.5mmとした時の突刺強度についても測
定し、表中( )内の値として示した。
【0034】(5)ヒートシール強度 インパルスシーラー(Fuji impulse sealer 130 型)で
ヒートシールし、1cm幅あたりの接着強度(kg/c
m)を求めた。
【0035】
【実施例】以下に実施例によって本発明を説明する。 実施例1 ジカルボン酸成分としてテレフタル酸85モル%と炭素
数36の水添ダイマー酸15モル%、ジオール成分とし
てエチレングリコール100モル%を用いて公知の方法
で極限粘度0.75の共重合ポリエステルA(Tm22
2℃、Tg17℃)を得た。一方、ジカルボン酸成分と
してテレフタル酸90モル%とセバシン酸10モル%、
ジオール成分としてエチレングリコール100モル%を
用いて公知の方法で極限粘度0.80の共重合ポリエス
テルB(Tm233℃、Tg55℃)を得た。また、ヒ
ートシール樹脂としてイソフタル酸成分として35モル
%共重合したポリブチレンテレフタレート(PBT/
I、Tm165℃)を準備した。なお、共重合ポリエス
テルBには平均粒径2μmの酸化珪素が0.1重量%、
ヒートシール樹脂には平均粒径3μmのカオリンが0.
05重量%となるように二軸押出機により粒子を添加し
た。
【0036】これら3種類の共重合ポリエステルを公知
の真空乾燥機で乾燥後、ポリエステルAは90mmφの
押出機に、ポリエステルBは40mmφの押出機に、共
重合PBTは40mmφの押出機に供給し、ポリエステ
ルAは260℃、ポリエステルBは270℃、PBT/
Iは200℃で溶融押出し、ポリエステルB/ポリエス
テルA/(PBT/I)(積層厚み比1:20:3)と
なるよう3層に積層後、口金内で巾方向に拡大、1.0
mmのスリットからシート状に吐出した。該シートに正
電荷を印加しながら25℃に保ったキャスティングドラ
ム上に密着冷却固化させ、ついで延伸ロールで70℃で
3.3倍の縦延伸、テンター内で80℃で3.3倍の横
延伸、210℃で5秒間の熱処理(熱処理温度198
℃)を行ない、2軸延伸された厚さ15μmの柔軟性ポ
リエステルフイルムを得た。得られたフイルムは滑り
性、巻姿が良好であった。
【0037】得られたフイルムのヒートシール樹脂面同
士を重ね合わせ、インパルスシーラーで熱シールを行な
ったところ、シール強度は2.3(kg/cm)と非常
に大きな値が得られた。
【0038】実施例2 ポリエステルAのダイマー酸共重合量を10モル%(テ
レフタル酸90モル%)(Tm234℃、Tg33℃)
として平均粒径2μmの酸化珪素粒子を0.05重量%
添加し、ヒートシール樹脂として平均粒径2μmの酸化
珪素粒子を0.05重量%含有するPBT/I(イソフ
タル酸成分35モル%)を用いて、積層厚み比を1:1
とし、A/Cの積層をする以外は実施例1と同様にして
厚さ20μmの柔軟性ポリエステルフイルムを得た。得
られたフイルムのインパルスシーラーでのシール強度は
2.1(kg/cm)と良好な値を示した。
【0039】実施例3 ポリエステルAのダイマー酸共重合量を10モル%(テ
レフタル酸90モル%)(Tm234℃、Tg33℃)
として平均粒径2μmの酸化珪素粒子を0.1重量%添
加し、ヒートシール樹脂として平均粒径2μmの酸化珪
素粒子を0.05重量%含有するイソフタル酸共重合P
ET(イソフタル酸成分25モル%、Tm195℃)を
用いて、積層厚み比を1:1(積層構成C/A/C)と
する以外は実施例1と同様にして厚さ20μmの柔軟性
ポリエステルフイルムを得た。得られたフイルムについ
てインパルス・シーラーによってシール強度をテストし
たところ、シール強度は1.8(kg/cm)と良好な
値を示した。
【0040】比較例1 ポリエステルAとしてPET(Tm255℃、Tg70
℃)を用いた以外は、実施例2と同様の条件で製膜を行
ない20μmのヒートシール性フイルムを得た。得られ
たフイルムのインパルスシーラーでのシール強度は0.
6(kg/cm)と小さく、これは実施例2の場合と比
較すると、ベース層であるPETの面配向が進んだため
に、PET層とPBT/I層界面近くでの劈開が生じた
ためと考えられる。
【0041】比較例2 ポリエステルAとしてPET(Tm255℃、Tg70
℃)を用いた以外は、実施例3と同様の条件で製膜を行
ない20μmのヒートシール性フイルムをえた。得られ
たフイルムのインパルス・シーラーでのシール強度は
1.0(kg/cm)と小さい値であった。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のヒートシ
ール性ポリエステルフイルムによるときは、ヤング率が
10〜250kg/mm2 の柔軟性に優れた2軸配向ポ
リエステルフイルムの少なくとも片面に、ヒートシール
樹脂を積層したので、柔軟性、ヒートシール性に優れた
フイルムとすることができ、とくに、シール力、保香性
が要求される包装材料用途に好適なフイルムが得られ
る。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヤング率が10〜250kg/mm2
    ある2軸配向ポリエステルフイルムの少なくとも片面に
    ヒートシール樹脂を積層してなることを特徴とするヒー
    トシール性ポリエステルフイルム。
  2. 【請求項2】 前記2軸配向ポリエステルフイルムの融
    点と前記ヒートシール樹脂の融点の差が20℃以上であ
    る請求項1のヒートシール性ポリエステルフイルム。
  3. 【請求項3】 前記ヒートシール樹脂の融点が200℃
    以下である請求項1または2のヒートシール性ポリエス
    テルフイルム。
  4. 【請求項4】 前記2軸配向ポリエステルフイルムがポ
    リエチレンテレフタレートを主成分とする柔軟性ポリエ
    ステルAからなる請求項1ないし3のいずれかに記載の
    ヒートシール性ポリエステルフイルム。
  5. 【請求項5】 前記柔軟性ポリエステルAが炭素数10
    以上のアルキレン基を有する長鎖脂肪族ジカルボン酸を
    1〜40モル%含有する請求項4のヒートシール性ポリ
    エステルフイルム。
  6. 【請求項6】 前記2軸配向ポリエステルフイルムが、
    柔軟性ポリエステルAの少なくとも片面に、ガラス転移
    点が45℃以上のポリエステルBを積層してなる請求項
    1ないし5のいずれかに記載のヒートシール性ポリエス
    テルフイルム。
  7. 【請求項7】 前記ポリエステルBがポリエチレンテレ
    フタレートを主成分とする請求項6のヒートシール性ポ
    リエステルフイルム。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし3のヒートシール性ポリ
    エステルフイルムを、ポリエステル樹脂とヒートシール
    樹脂を共押出法により積層し、2軸延伸後、熱処理を行
    なうことにより製造する方法において、熱処理温度をヒ
    ートシール樹脂の融点以上ポリエステル樹脂の融点以下
    とすることを特徴とするヒートシール性ポリエステルフ
    イルムの製造方法。
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