JPH06183776A - フッ化物光ファイバの製造方法 - Google Patents
フッ化物光ファイバの製造方法Info
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- JPH06183776A JPH06183776A JP4337184A JP33718492A JPH06183776A JP H06183776 A JPH06183776 A JP H06183776A JP 4337184 A JP4337184 A JP 4337184A JP 33718492 A JP33718492 A JP 33718492A JP H06183776 A JPH06183776 A JP H06183776A
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- fiber
- optical fiber
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-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C03—GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
- C03C—CHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
- C03C3/00—Glass compositions
- C03C3/32—Non-oxide glass compositions, e.g. binary or ternary halides, sulfides or nitrides of germanium, selenium or tellurium
- C03C3/325—Fluoride glasses
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C03—GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
- C03C—CHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
- C03C13/00—Fibre or filament compositions
- C03C13/04—Fibre optics, e.g. core and clad fibre compositions
- C03C13/041—Non-oxide glass compositions
- C03C13/042—Fluoride glass compositions
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 損失の低いフッ化物光ファイバを提供する。
【構成】 加熱・延伸により光ファイバ母材を得た後、
ファイバに線引きする前に、母材をそのガラス転移温度
以下で加熱処理する。
ファイバに線引きする前に、母材をそのガラス転移温度
以下で加熱処理する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光通信あるいはセンサ
用の低損失伝送媒体、光アンプまたはレーザ用の増幅媒
体または医療用に用いられる高エネルギ伝送媒体として
用いられるフッ化物光ファイバに関し、特に損失の低い
フッ化物光ファイバの製造方法に関するものである。
用の低損失伝送媒体、光アンプまたはレーザ用の増幅媒
体または医療用に用いられる高エネルギ伝送媒体として
用いられるフッ化物光ファイバに関し、特に損失の低い
フッ化物光ファイバの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知のように、ZrF4 を主成分とする
フッ化物光ファイバは、赤外線波長領域で優れた透過特
性を有するため、センサあるいは赤外域の高出力レーザ
用の伝送媒体として注目されている。
フッ化物光ファイバは、赤外線波長領域で優れた透過特
性を有するため、センサあるいは赤外域の高出力レーザ
用の伝送媒体として注目されている。
【0003】さらに、フッ化物光ファイバは、石英系を
凌ぐ10-2dB/km以下の伝送損失が期待されてお
り、長距離無中継が可能な伝送媒体として有望視されて
いる。これまで、フッ化物光ファイバ用の母材の作製方
法としては、ビルドインキャスティング法,サクション
法,二層融液法,ローティショナルキャスティング法で
あった。
凌ぐ10-2dB/km以下の伝送損失が期待されてお
り、長距離無中継が可能な伝送媒体として有望視されて
いる。これまで、フッ化物光ファイバ用の母材の作製方
法としては、ビルドインキャスティング法,サクション
法,二層融液法,ローティショナルキャスティング法で
あった。
【0004】ビルドインキャスティング法(特許第13
45722号)は、円筒上の鋳型にクラッド組成のガラ
ス融液をキャスティングし、中央部が固化しない状態で
中央部の融液を流しだし、その中央部へコア融液をキャ
スティングすることによって母材を作製する方法であ
る。
45722号)は、円筒上の鋳型にクラッド組成のガラ
ス融液をキャスティングし、中央部が固化しない状態で
中央部の融液を流しだし、その中央部へコア融液をキャ
スティングすることによって母材を作製する方法であ
る。
【0005】サクション法(特開昭63−11535
号)は、円筒状鋳型にまずクラッド融液をキャスティン
グし、さらに連続してコア融液をキャスティングし、ク
ラッド融液が固化する際の体積収縮を利用して中央部に
コア融液を導入し、母材を作製する方法である。
号)は、円筒状鋳型にまずクラッド融液をキャスティン
グし、さらに連続してコア融液をキャスティングし、ク
ラッド融液が固化する際の体積収縮を利用して中央部に
コア融液を導入し、母材を作製する方法である。
【0006】二層融液法(特許第1438419号)
は、円筒状鋳型にまずクラッド融液をキャスティング
し、さらに連続してコア融液をキャスティングし、クラ
ッド融液が固化する前に底を抜いてクラッド融液を流出
させ、同時にコアガラスを中心部に導入する方法であ
る。
は、円筒状鋳型にまずクラッド融液をキャスティング
し、さらに連続してコア融液をキャスティングし、クラ
ッド融液が固化する前に底を抜いてクラッド融液を流出
させ、同時にコアガラスを中心部に導入する方法であ
る。
【0007】一方、コア/クラッド径比が長手方向に均
一な母材の作製方法として、ローティショナルキャステ
ィング法(D.C.Tranet al.,Ellec
tron.Lett.vol 18,p.59(198
2))が提案されている。この方法は、円筒状鋳型を回
転しつつクラッドガラス融液を鋳型内部へ流し込み、遠
心力により中空円筒状のクラッドガラスパイプを作製
し、その後、中央部へコアガラス融液を流し込むことに
よって母材を作製する方法である。
一な母材の作製方法として、ローティショナルキャステ
ィング法(D.C.Tranet al.,Ellec
tron.Lett.vol 18,p.59(198
2))が提案されている。この方法は、円筒状鋳型を回
転しつつクラッドガラス融液を鋳型内部へ流し込み、遠
心力により中空円筒状のクラッドガラスパイプを作製
し、その後、中央部へコアガラス融液を流し込むことに
よって母材を作製する方法である。
【0008】これらの方法では、いずれもコアクラッド
径比の精密な制御が困難であり、かつ単一モードファイ
バの作製に必要なコアクラッド径比が得られないという
問題があった。この問題の解決法として、前述のローテ
ィショナルキャスティング法により作製したフッ化物ガ
ラスのパイプに前記手法で作製した母材を挿入し、コア
クラッド径比をパイプの厚みで制御し、延伸することに
よって母材を作製する方法が提案された。この方法で
は、母材の長手方向に渡りコア径が変化している母材に
対しても、外径を変化させつつ延伸することでコア径の
一定な母材を作製できる(特願平2−134018
号)。しかし、延伸を用いる母材の作製法では、熱変形
温度での熱処理が繰り返し行われるため、ガラスの結晶
化が生じ、結果として損失の低いファイバを作製するこ
とができなかった。さらに、結晶化を押さえるために、
低温で高張力で延伸した場合、結合の断列が生じ高エン
タルピー部分が生成するため、線引きにおける再加熱に
よって核生成頻度が増加し、結果として結晶化が促進さ
れ、低損失なファイバが作製できないという欠点があっ
た。
径比の精密な制御が困難であり、かつ単一モードファイ
バの作製に必要なコアクラッド径比が得られないという
問題があった。この問題の解決法として、前述のローテ
ィショナルキャスティング法により作製したフッ化物ガ
ラスのパイプに前記手法で作製した母材を挿入し、コア
クラッド径比をパイプの厚みで制御し、延伸することに
よって母材を作製する方法が提案された。この方法で
は、母材の長手方向に渡りコア径が変化している母材に
対しても、外径を変化させつつ延伸することでコア径の
一定な母材を作製できる(特願平2−134018
号)。しかし、延伸を用いる母材の作製法では、熱変形
温度での熱処理が繰り返し行われるため、ガラスの結晶
化が生じ、結果として損失の低いファイバを作製するこ
とができなかった。さらに、結晶化を押さえるために、
低温で高張力で延伸した場合、結合の断列が生じ高エン
タルピー部分が生成するため、線引きにおける再加熱に
よって核生成頻度が増加し、結果として結晶化が促進さ
れ、低損失なファイバが作製できないという欠点があっ
た。
【0009】ZrF4 系フッ化物ガラス中の核生成速度
(I),結晶成長速度(K)および結晶の体積分率
(W)は、H.W.Schneiderらによって以下
の式が報告されている(H.W.Schneider
and A.Staudt,Proc.Int.Sym
p.Halide Glasses,Claustha
l−Zellerfeld,Germany,Octo
ber 1989,p.57)。
(I),結晶成長速度(K)および結晶の体積分率
(W)は、H.W.Schneiderらによって以下
の式が報告されている(H.W.Schneider
and A.Staudt,Proc.Int.Sym
p.Halide Glasses,Claustha
l−Zellerfeld,Germany,Octo
ber 1989,p.57)。
【0010】
【数1】 I =2.2 ×1055 exp〔−1317 /(T−483.2)〕 ×exp{−3569×1010 /〔 T(T−1307)2〕} …(1)
【0011】
【数2】 K =40.08 (720−Texp〔−847.9/(T−530)〕 …(2)
【0012】
【数3】 W = 1−exp 〔−(4/3) πK3I(1/4)t4〕 …(3) 以上の速度式から計算される核生成速度および結晶成長
速度を温度に対してプロットした結果を図1に示す。こ
の図から明らかなように、核生成速度は、305℃付近
で極大値を持ち、その低温側では急激に速度の低下が生
じる。一方、結晶成長速度は、300℃付近から高温側
で急激に増加し、360℃以上で飽和する傾向にある。
これらの速度と結晶の体積分率の関係から判断すると、
加熱時間に比べ加熱温度が結晶化に与える影響が大き
く、従ってできるだけ低温での延伸を行えば結晶核の生
成が抑えられ、結果として線引き時に成長する結晶の体
積分率を低く抑えることができる。この式に従えば、低
温で延伸した母材を用いて作製したファイバの損失は、
高温で延伸した母材を用いて作製したファイバの損失に
比べて低いものが得られるはずである。
速度を温度に対してプロットした結果を図1に示す。こ
の図から明らかなように、核生成速度は、305℃付近
で極大値を持ち、その低温側では急激に速度の低下が生
じる。一方、結晶成長速度は、300℃付近から高温側
で急激に増加し、360℃以上で飽和する傾向にある。
これらの速度と結晶の体積分率の関係から判断すると、
加熱時間に比べ加熱温度が結晶化に与える影響が大き
く、従ってできるだけ低温での延伸を行えば結晶核の生
成が抑えられ、結果として線引き時に成長する結晶の体
積分率を低く抑えることができる。この式に従えば、低
温で延伸した母材を用いて作製したファイバの損失は、
高温で延伸した母材を用いて作製したファイバの損失に
比べて低いものが得られるはずである。
【0013】しかし、実際には低温で延伸した後に線引
きしたファイバは、損失が増加する傾向がある。これ
は、線引き条件を統一しても延伸条件で損失が決定され
ていることから、延伸過程で生じた何等かの要因が結晶
化を促進しているためであると考えられる(一般に、線
引き時の張力によってファイバの損失が変化する現象が
知られているが、これは張力によってガラスの屈折率が
変化するためである。ここで説明している現象は、同一
線引き条件でも生じるため、単に屈折率変化によるもの
ではない)。
きしたファイバは、損失が増加する傾向がある。これ
は、線引き条件を統一しても延伸条件で損失が決定され
ていることから、延伸過程で生じた何等かの要因が結晶
化を促進しているためであると考えられる(一般に、線
引き時の張力によってファイバの損失が変化する現象が
知られているが、これは張力によってガラスの屈折率が
変化するためである。ここで説明している現象は、同一
線引き条件でも生じるため、単に屈折率変化によるもの
ではない)。
【0014】ここで、損失増の原因として考えられるの
は、低温かつ高張力で線引くことによるガラス中の欠陥
の生成である。例えば、結合の断列による未結合手の生
成、イオンの位置の平均点からの移動などが考えられ
る。これらの欠陥は、マトリックスに比べ高いエンタル
ピーを持ち、このため、加熱することにより結晶核の生
成原因となる。このため、低温,高張力条件下での延伸
は、その後の高温における線引き過程の結晶化を誘発
し、結果的にファイバの損失を増加させる。
は、低温かつ高張力で線引くことによるガラス中の欠陥
の生成である。例えば、結合の断列による未結合手の生
成、イオンの位置の平均点からの移動などが考えられ
る。これらの欠陥は、マトリックスに比べ高いエンタル
ピーを持ち、このため、加熱することにより結晶核の生
成原因となる。このため、低温,高張力条件下での延伸
は、その後の高温における線引き過程の結晶化を誘発
し、結果的にファイバの損失を増加させる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、延伸
による結晶化を最低限に抑えることによる損失の低いフ
ッ化物光ファイバの作製法を提供することにある。
による結晶化を最低限に抑えることによる損失の低いフ
ッ化物光ファイバの作製法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明では、従来の延伸
温度に比べ低い温度で母材作製のための延伸を行い、得
られた母材をガラス転移温度以下で加熱することによ
り、ガラス中に生じた高エンタルピー部を消失させ、結
果として結晶の少ない母材を作製することを特徴として
いる。
温度に比べ低い温度で母材作製のための延伸を行い、得
られた母材をガラス転移温度以下で加熱することによ
り、ガラス中に生じた高エンタルピー部を消失させ、結
果として結晶の少ない母材を作製することを特徴として
いる。
【0017】
【作用】本発明は、低温で、高張力で延伸した母材をガ
ラス転移点以下の温度で熱処理することにより、延伸に
よる欠陥をガラスの構造緩和によって消失させることを
特徴とする。前記結晶化に関する速度式(1〜3)にお
いて明らかなように、加熱する時間よりも、温度のほう
が結晶化の速度に大きく影響する。このため、プロセス
全体の熱加工時間が長くなっても、低温で処理を行う方
が結晶化による過剰損失の増加が小さい。従って、低温
プロセスの問題である歪みの影響を低温での熱処理を緩
和することによって、最終的に作製したファイバの損失
を低減できる。
ラス転移点以下の温度で熱処理することにより、延伸に
よる欠陥をガラスの構造緩和によって消失させることを
特徴とする。前記結晶化に関する速度式(1〜3)にお
いて明らかなように、加熱する時間よりも、温度のほう
が結晶化の速度に大きく影響する。このため、プロセス
全体の熱加工時間が長くなっても、低温で処理を行う方
が結晶化による過剰損失の増加が小さい。従って、低温
プロセスの問題である歪みの影響を低温での熱処理を緩
和することによって、最終的に作製したファイバの損失
を低減できる。
【0018】
【実施例】以下、実施例によって本発明を詳細に説明す
るが、本発明は実施例によって何ら制限されるものでは
ない。
るが、本発明は実施例によって何ら制限されるものでは
ない。
【0019】(実施例1)本実施例のファイバに使用し
たガラス系は、コア組成が、49ZrF4 −25BaF
2 −3.5LaF3 −2YF3 −2.5ALF3 −18
LiF(モル%)であり、クラッド組成が、47.5Z
rF4 −23.5BaF2 −2.5LaF3 −2YF3
−4.5AlF3 −20NaF(モル%)である。母材
(ガラスロッド)の作製にはサクション法を用い、ジャ
ケット管の作製にはローティショナルキャスティング法
を用いた。サクション法で作製した母材(ガラスロッ
ド)は、表面を耐水研磨紙4000番で研磨し、その後
ZrOCl2 の塩酸溶液でエッチングした。ジャケット
管表面も同様の処理を行った。このようにして作製した
母材(ガラスロッド)の外径は6mmであり、ジャケッ
ト管の外径は15mmで内径が6.5mmである。前述
のガラス系で得られる比屈折率差は0.62%である。
母材のコア径が0.54mmであるので、ジャケット管
に母材を挿入し、延伸した後、線引きすることによって
得られるファイバは、外径125μmとして、カットオ
フ波長1μmの単一モードファイバとなる。本実施例に
おける延伸温度は285℃であり、引張は約400gで
あった。作製した母材5本を160℃,200℃,22
0℃,240℃,280℃で各1時間それぞれ熱処理し
た後、徐冷し、線引きすることによりファイバを作製し
た。線引き条件は310℃,張力40gとした。
たガラス系は、コア組成が、49ZrF4 −25BaF
2 −3.5LaF3 −2YF3 −2.5ALF3 −18
LiF(モル%)であり、クラッド組成が、47.5Z
rF4 −23.5BaF2 −2.5LaF3 −2YF3
−4.5AlF3 −20NaF(モル%)である。母材
(ガラスロッド)の作製にはサクション法を用い、ジャ
ケット管の作製にはローティショナルキャスティング法
を用いた。サクション法で作製した母材(ガラスロッ
ド)は、表面を耐水研磨紙4000番で研磨し、その後
ZrOCl2 の塩酸溶液でエッチングした。ジャケット
管表面も同様の処理を行った。このようにして作製した
母材(ガラスロッド)の外径は6mmであり、ジャケッ
ト管の外径は15mmで内径が6.5mmである。前述
のガラス系で得られる比屈折率差は0.62%である。
母材のコア径が0.54mmであるので、ジャケット管
に母材を挿入し、延伸した後、線引きすることによって
得られるファイバは、外径125μmとして、カットオ
フ波長1μmの単一モードファイバとなる。本実施例に
おける延伸温度は285℃であり、引張は約400gで
あった。作製した母材5本を160℃,200℃,22
0℃,240℃,280℃で各1時間それぞれ熱処理し
た後、徐冷し、線引きすることによりファイバを作製し
た。線引き条件は310℃,張力40gとした。
【0020】得られたファイバの損失測定結果の熱処理
温度依存性を図2に示す。この図より明らかなように、
1時間の熱処理によりファイバの損失は大幅に低減して
おり、低温,高張力下での延伸による損失増加原因が熱
処理により低減できることが明らかになった。比較のた
めに、延伸温度を変えて作製したファイバによって(熱
処理を用いない従来の方法)得られた損失値は、305
℃の延伸によるもので125dB/kmであった。した
がって、図2から明らかなように、低温,高張力延伸と
熱処理の組み合せにより、従来の作製法に比べ低損失な
ファイバが作製できることが明らかになった。
温度依存性を図2に示す。この図より明らかなように、
1時間の熱処理によりファイバの損失は大幅に低減して
おり、低温,高張力下での延伸による損失増加原因が熱
処理により低減できることが明らかになった。比較のた
めに、延伸温度を変えて作製したファイバによって(熱
処理を用いない従来の方法)得られた損失値は、305
℃の延伸によるもので125dB/kmであった。した
がって、図2から明らかなように、低温,高張力延伸と
熱処理の組み合せにより、従来の作製法に比べ低損失な
ファイバが作製できることが明らかになった。
【0021】さらに、図2に見るように、1時間の熱処
理に対しては220℃での熱処理によって最も低い損失
値が得られた。これは、損失値が、結晶核の発生速度と
緩和速度によって決まり、220℃以下の低温での熱処
理では、さらに1時間以上の長時間熱処理を行うことに
よって、さらに損失の低下が可能であった。
理に対しては220℃での熱処理によって最も低い損失
値が得られた。これは、損失値が、結晶核の発生速度と
緩和速度によって決まり、220℃以下の低温での熱処
理では、さらに1時間以上の長時間熱処理を行うことに
よって、さらに損失の低下が可能であった。
【0022】また、ガラス転移点以上の加熱では結晶化
の進行による損失の増加が確認された。この結果から、
熱処理温度はガラス転移温度(ガラスの粘性1×1013
poise)以上では結晶化が進行し、低温過ぎると緩
和速度が遅く、実質的な効果が得られない。粘性との相
関から、ガラスの粘性が1×1017poise以下とな
る温度以上であることが望ましい。
の進行による損失の増加が確認された。この結果から、
熱処理温度はガラス転移温度(ガラスの粘性1×1013
poise)以上では結晶化が進行し、低温過ぎると緩
和速度が遅く、実質的な効果が得られない。粘性との相
関から、ガラスの粘性が1×1017poise以下とな
る温度以上であることが望ましい。
【0023】ガラスの粘性は、温度によって変化し、温
度係数はガラスの組成によって異なる。前述のように、
ガラスの構造緩和が顕著になる条件および結晶化が顕著
になる条件は、ガラスの構造変化が生じるか否か、ある
いはその速度によって決まる。その構造変化はガラスの
粘性で評価することができ、一定の粘性を与える温度が
そのガラスの徐歪点、ガラス転移点として一般に知られ
ている。一般に、ガラス転移点程度の構造変化速度で
は、結晶核の発生速度が大きく、結晶成長速度も増加を
始める。このため、結晶化を抑制するには、ガラス転移
点でガラスが有する粘性よりも低い状態が必要であり、
かつ適度の緩和速度が得られる粘性が必要とされる。こ
の粘性範囲は、1×1017poiseから1×1013p
oiseであるため、この粘性を与える温度範囲で熱処
理することが望ましい。
度係数はガラスの組成によって異なる。前述のように、
ガラスの構造緩和が顕著になる条件および結晶化が顕著
になる条件は、ガラスの構造変化が生じるか否か、ある
いはその速度によって決まる。その構造変化はガラスの
粘性で評価することができ、一定の粘性を与える温度が
そのガラスの徐歪点、ガラス転移点として一般に知られ
ている。一般に、ガラス転移点程度の構造変化速度で
は、結晶核の発生速度が大きく、結晶成長速度も増加を
始める。このため、結晶化を抑制するには、ガラス転移
点でガラスが有する粘性よりも低い状態が必要であり、
かつ適度の緩和速度が得られる粘性が必要とされる。こ
の粘性範囲は、1×1017poiseから1×1013p
oiseであるため、この粘性を与える温度範囲で熱処
理することが望ましい。
【0024】以上の結果、低温,高張力下での延伸によ
って作製した母材を熱処理することによって低損失なフ
ァイバが作製できることを明らかにした。
って作製した母材を熱処理することによって低損失なフ
ァイバが作製できることを明らかにした。
【0025】(実施例2)延伸温度を変えた以外は実施
例1と同様の方法でフッ化物光ファイバを作製した。延
伸後の熱処理温度は220℃、2時間と一定にし、延伸
温度を280℃〜320℃まで変化させた。実施例1と
同様の条件で線引きして得たファイバの損失と延伸温度
の関係を図3に示す。280℃の延伸では張力が600
gに達し、それ以下の温度では安定な延伸が困難であっ
た。この図から明らかなように、ファイバの損失は低温
で延伸するほど低くなっている。図3において破線は延
伸後に熱処理を施さずに線引きしたファイバの損失を示
している。この図から、熱処理によって損失が低下する
こと、高温で延伸したもの(熱処理を施さないもの)よ
りも低温で延伸し熱処理したものの方が損失が低いこと
がわかる。この図から明らかなように、延伸温度は30
0℃以下であることが望ましい。これは、前述したよう
に結晶核の生成速度が温度に敏感であるからである。
例1と同様の方法でフッ化物光ファイバを作製した。延
伸後の熱処理温度は220℃、2時間と一定にし、延伸
温度を280℃〜320℃まで変化させた。実施例1と
同様の条件で線引きして得たファイバの損失と延伸温度
の関係を図3に示す。280℃の延伸では張力が600
gに達し、それ以下の温度では安定な延伸が困難であっ
た。この図から明らかなように、ファイバの損失は低温
で延伸するほど低くなっている。図3において破線は延
伸後に熱処理を施さずに線引きしたファイバの損失を示
している。この図から、熱処理によって損失が低下する
こと、高温で延伸したもの(熱処理を施さないもの)よ
りも低温で延伸し熱処理したものの方が損失が低いこと
がわかる。この図から明らかなように、延伸温度は30
0℃以下であることが望ましい。これは、前述したよう
に結晶核の生成速度が温度に敏感であるからである。
【0026】(実施例3)熱処理時間を変えた以外は実
施例2と同様の方法で、フッ化物光ファイバを作製し
た。図4に、220℃の熱処理においてその処理時間と
ファイバの損失の関係を示す。図5は、図4において処
理時間が3時間までの部分を拡大して示したものであ
る。220℃では30分以上の熱処理で損失が低下し始
め、2時間で損失はほぼ一定になり、50時間以上の加
熱で損失のわずかな増加が確認できる。これは熱処理温
度がガラス転移温度に比べ約40℃低い温度であるため
緩和速度が遅く、歪みを緩和するのに2時間以上の熱処
理を必要とすることを表している。また、50時間の熱
処理でも損失の増加が顕著でないことから、この付近の
温度では核生成速度が十分に小さく、損失に影響を与え
るほど結晶化が生じないためである。この結果、低温で
の熱処理が損失の低下に効果があり、かつ結晶化による
損失増を低く抑えることが可能であり、結果として低損
失ファイバの作製が可能であることを示している。
施例2と同様の方法で、フッ化物光ファイバを作製し
た。図4に、220℃の熱処理においてその処理時間と
ファイバの損失の関係を示す。図5は、図4において処
理時間が3時間までの部分を拡大して示したものであ
る。220℃では30分以上の熱処理で損失が低下し始
め、2時間で損失はほぼ一定になり、50時間以上の加
熱で損失のわずかな増加が確認できる。これは熱処理温
度がガラス転移温度に比べ約40℃低い温度であるため
緩和速度が遅く、歪みを緩和するのに2時間以上の熱処
理を必要とすることを表している。また、50時間の熱
処理でも損失の増加が顕著でないことから、この付近の
温度では核生成速度が十分に小さく、損失に影響を与え
るほど結晶化が生じないためである。この結果、低温で
の熱処理が損失の低下に効果があり、かつ結晶化による
損失増を低く抑えることが可能であり、結果として低損
失ファイバの作製が可能であることを示している。
【0027】(実施例4)ファイバの作製に使用したガ
ラスが、コア組成として54ZrF4 −13BaF2 −
4.5AlF3 −3.5LaF3 −10LiF−13P
bF2 (モル%)であり、クラッド組成が51ZrF4
−18.5BaF2 −4.5AlF3 −7LaF3 −2
0NaF(モル%)であり、かつコア組成のガラスロッ
ド(導波構造を有していない)をクラッド組成のジャケ
ット管に挿入して延伸を2回行うこと以外は、実施例1
と同様の方法でファイバを作製した。この組成での比屈
折率差は3.55%であり、2回の延伸で作製したファ
イバのコア径は1.3μmであった。このため、このフ
ァイバはカットオフ0.66μmの単一モードファイバ
である。この際、延伸は285℃で行い、熱処理は22
0℃で2時間行った。2回の延伸とも同様の条件で行っ
た。得られたファイバの損失は1.3μmで15dB/
kmであり、熱処理を行わず、延伸温度を最適化するこ
とによって得たファイバの損失65dB/kmよりも低
い値を得た。この結果、明らかなように、多段の延伸で
も熱処理によって損失増を低いレベルに抑え、結果とし
て低損失ファイバ作製が可能である。
ラスが、コア組成として54ZrF4 −13BaF2 −
4.5AlF3 −3.5LaF3 −10LiF−13P
bF2 (モル%)であり、クラッド組成が51ZrF4
−18.5BaF2 −4.5AlF3 −7LaF3 −2
0NaF(モル%)であり、かつコア組成のガラスロッ
ド(導波構造を有していない)をクラッド組成のジャケ
ット管に挿入して延伸を2回行うこと以外は、実施例1
と同様の方法でファイバを作製した。この組成での比屈
折率差は3.55%であり、2回の延伸で作製したファ
イバのコア径は1.3μmであった。このため、このフ
ァイバはカットオフ0.66μmの単一モードファイバ
である。この際、延伸は285℃で行い、熱処理は22
0℃で2時間行った。2回の延伸とも同様の条件で行っ
た。得られたファイバの損失は1.3μmで15dB/
kmであり、熱処理を行わず、延伸温度を最適化するこ
とによって得たファイバの損失65dB/kmよりも低
い値を得た。この結果、明らかなように、多段の延伸で
も熱処理によって損失増を低いレベルに抑え、結果とし
て低損失ファイバ作製が可能である。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の方法を用
いることにより、低損失なフッ化物光ファイバが作製で
きる。さらに、本発明の方法は、延伸工程を有するファ
イバの製造方法において、熱処理工程を加えることによ
り低損失ファイバが作製できるため、この方法を用いる
ことにより導波構造を精密に制御したファイバ、例えば
単一モードファイバの作製が可能になる。
いることにより、低損失なフッ化物光ファイバが作製で
きる。さらに、本発明の方法は、延伸工程を有するファ
イバの製造方法において、熱処理工程を加えることによ
り低損失ファイバが作製できるため、この方法を用いる
ことにより導波構造を精密に制御したファイバ、例えば
単一モードファイバの作製が可能になる。
【図1】ZrF4 系フッ化物ガラスの核生成速度および
結晶成長速度の温度依存性を示すグラフである。
結晶成長速度の温度依存性を示すグラフである。
【図2】実施例1で作製したファイバの伝送損失の熱処
理温度依存性を示すグラフである。
理温度依存性を示すグラフである。
【図3】実施例2で作製したファイバの伝送損失の延伸
温度依存性を示すグラフである。
温度依存性を示すグラフである。
【図4】実施例3で作製したファイバの伝送損失の熱処
理温度依存性を示すグラフである。
理温度依存性を示すグラフである。
【図5】図4の一部を拡大して示したグラフである。
フロントページの続き (72)発明者 照沼 幸雄 東京都千代田区内幸町1丁目1番6号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 西田 好毅 東京都千代田区内幸町1丁目1番6号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 森 淳 東京都千代田区内幸町1丁目1番6号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 須藤 昭一 東京都千代田区内幸町1丁目1番6号 日 本電信電話株式会社内
Claims (2)
- 【請求項1】 コア・クラッド構造を有するフッ化物光
ファイバ用のガラスロッドあるいはコア組成のみのガラ
スロッドのいずれかを、クラッド組成のガラス管内に挿
入し、加熱・延伸することにより光ファイバ母材を作製
する工程を有するフッ化物光ファイバの製造方法におい
て、 前記延伸によって作製した母材を、線引きする工程以前
に、該母材を構成するフッ化物ガラスの結晶化温度以下
で熱処理する工程を有することを特徴とするフッ化物光
ファイバの製造方法。 - 【請求項2】 前記熱処理を前記フッ化物ガラスの粘度
が4×1017poise以上、1×1013poise以
下となる温度範囲で行うことを特徴とする請求項1に記
載のフッ化物光ファイバの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4337184A JPH06183776A (ja) | 1992-12-17 | 1992-12-17 | フッ化物光ファイバの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4337184A JPH06183776A (ja) | 1992-12-17 | 1992-12-17 | フッ化物光ファイバの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06183776A true JPH06183776A (ja) | 1994-07-05 |
Family
ID=18306245
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4337184A Pending JPH06183776A (ja) | 1992-12-17 | 1992-12-17 | フッ化物光ファイバの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06183776A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20190027161A (ko) * | 2017-09-06 | 2019-03-14 | 국민대학교산학협력단 | 측면 발광 광섬유 및 이의 제조방법 |
-
1992
- 1992-12-17 JP JP4337184A patent/JPH06183776A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20190027161A (ko) * | 2017-09-06 | 2019-03-14 | 국민대학교산학협력단 | 측면 발광 광섬유 및 이의 제조방법 |
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