JPH0617706U

JPH0617706U - 血液吸出し具

Info

Publication number: JPH0617706U
Application number: JP050443U
Authority: JP
Inventors: 吉彦鈴木
Original assignee: 吉彦鈴木
Priority date: 1992-06-26
Filing date: 1992-06-26
Publication date: 1994-03-08
Also published as: EP0575952A1

Abstract

(57)【要約】【目的】指尖よりも血管及び痛点密度が低い部位での
ランセットによる穿刺後に、皮膚上に小滴状態を壊さな
いで素早く採血し得る血液吸出し具を提供する。【構成】血液を皮膚上に小滴として採血するために、
ランセットで刺した部位にセットする血液吸出し具が、
採血すべき血液小滴の外径よりも大きな内径の透明管１
に、吸引装置を付属させると共に、外気を透明管１内に
吸気するための吸気穴３を設けて構成される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、血液を皮膚上に小滴として採血するために、ランセットで刺した部位にセットする血液吸出し具に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

血糖値を簡易に測定するために、チップ状電極を手持ち可能な小型の装置本体に形成された電極挿入口に差し込んで、皮膚上にランセットにより採血した小滴へ浸漬し、毛細管現象により装置本体内に血液を吸引して、装置本体表面の表示部に測定結果を表示させるようになった簡易測定器が周知となっている。このような採血は、指尖で行うのが最も簡単で、かつ必要な血液量が容易に得られるが、他の部位に比べて痛みが大きいと云うだけでなく、採血を繰り返す場合に面積が狭く、また指尖では静脈血より酸素濃度が高いことの影響を受け易いと云う欠点もある。このため、上腕部、腹部、大腿部等にランセットを刺し、必要な小滴を得るのに周囲を揉んで血液を絞出す方法もあるが、採血に手間取ることになり、また十分な血液量が得られないことも少なくない。また、ランセットの針圧を大きめにしても同様に絞出しを必要とし、また痛みはその分増加する。

【０００３】そこで、特開昭６２−３８１４０により、管内にスライド可能に支持され、かつ周囲にガスケットを設けられたランセット支持体を皮膚に向けて往動させて穿刺した後に、ばね力で復動させる際に管内に負圧を発生させることにより、穿刺部位から血液を吸引するようになった血液サンプリング装置が提案されている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

この装置は、ランセットに、従来から周知の吸引力により穿刺部位から血液を吸出す原理を単に適用したものであり、実用上は改善の余地が残されている。つまり、皮膚が負圧により引張られた状態での採血後に、吸引力に抗して管の先端縁を皮膚から引離すと、引張られた皮膚の急激な復帰及び急激な外気突入により、血液小滴が周囲に飛散することになる。したがって、必要量よりも余分の血液量の採血を余儀なくされ、また管内が汚れることにもなる。

【０００５】よって、本考案は、指尖よりも血管及び痛点密度が低い部位でのランセットによる穿刺後に、皮膚上に小滴状態を壊さないで素早く、十分な量の血液吸出しを行なえる血液吸出し具を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は、血液を皮膚上に小滴として採血するために、ランセットで刺した部位にセットする血液吸出し具であって、前述の目的を達成するために、請求項１により、採血すべき血液小滴の外径よりも大きな内径の透明管に、吸引装置を付属させると共に、外気を透明管内に吸気するための吸気穴を備えたことを特徴とする。このような血液吸出し具の動作中に、吸気穴を指で塞ぐ必要を無くすには、請求項２により、吸気穴に、手動操作で開放される弁を設ける。

【０００７】

【作用】

ランセットを指尖以外の部位に刺した直後に、穿刺部位が透明管のほぼ中心部を占めるように、透明管の先端縁を皮膚上に接触させ、次いで吸気穴を塞いだ状態で吸引装置で吸引することにより、穿刺部位から血液を吸出して血液の小滴を皮膚上に生成させる。透明管を通して観察し、小滴が必要な大きさになった時点で吸気穴を開放することにより管内へ外気を供給して、血液の吸出しを停止し、引張られた皮膚を通常位置へ戻し、また透明管先端縁の皮膚吸着を解除する。

【０００８】

【実施例】

図１は、本考案の第１の実施例による血液吸出し具を示す。１は合成樹脂性の透明管であり、内径が必要な採血小滴よりも充分大きな例えば２０ｍｍ程度であり、先端縁は曲面状のフランジ１ａとして形成されている。管壁には、例えば直径２ｍｍ程度の吸気穴３が形成されている。透明管１の上端部には、圧縮状態から弾性で球形に復帰し得る吸引装置としてのゴム球２が固定されている。

【０００９】このように構成された血液吸出し具４を使用する際には、ランセットを例えば大腿部に刺し、その直後にゴム球２を指で圧縮させ、かつ吸気穴３を指で塞いだ状態で穿刺部位が透明管１のほぼ中心部を占めるようにフランジ１ａを周囲の皮膚上にセットし、次いで吸気穴３を塞いだ状態でゴム球２を解放する。これにより、ゴム球２の球形状への弾性による復帰により、フランジ１ａは皮膚に吸着し、透明管１内には負圧が生じ、図２に示すように、穿刺部位５からの吸出しで徐々に血液の小滴が生じる。透明管１を通して観察し、前述の簡易血糖測定器に必要な大きさ例えば体積２．５〜５μｌ程度の小滴５ａが採血された時点で吸気穴３を開放する。

【００１０】これにより、管内へ外気が吸気穴３からその絞り作用を伴って流入し、引張られた皮膚は穏やかに通常位置へ戻り、フランジ１ａの皮膚への吸着が解除される。これにより、血液吸出し具４を外す際に小滴５ａを壊す力は全く生じず、したがって引張られた皮膚に吸着したフランジ１ａが吸引力に抗して無理に引離される際に生じる小滴５ａの飛散が回避される。

【００１１】尚、前述の吸気穴は、場合によってはゴム球２に形成することも可能である。また、吸気穴３には、ゴム球２の吸引時に指で塞いでおく必要をなくすために、図３に示すように弁６を設けることも考えられる。即ち、この弁は、透明管１の管壁に板ばね７の基端を固定し、中間部分に吸気穴３を閉鎖する弾性体８を貼着し、先端に指操作されるように曲げられた操作部７ａを形成する。これにより、ゴム球２の吸引時には、吸気穴３は弾性体８が板ばね７の曲げ弾性により押圧されて閉鎖され、小滴５ａが得られた時点で操作部７ａを管壁から離反方向へ曲げて外気を管内へ供給する。

【００１２】図４は第２の実施例による血液吸出し具を示すもので、透明管１１に、吸引装置として気密状態でスライド可能な中空状のプランジャ１２と、このプランジャを上方の原位置へ復帰させるばね１３とが収納されている。このばねの下端は、管内の座部１１ａに係止されると共に、上端はプランジャ１２の下端に係止されている。また、プランジャ１２の上下壁には、透明管１１内を外気に連通させるための吸気穴１２ａ、１２ｂが形成されている。上側の吸気穴１２ａには、図３に示すような弁１６が付属している。尚、吸気穴１２ａには、別構造の弁を設けても良く、また弁自体を廃止して吸引時に指で塞ぐようにしても良い。

【００１３】図５は本考案の第３の実施例を示す。先端にフランジ２１ａを備えた透明管２１の後端部に、電源で作動する真空ポンプ（図示せず）がチューブ２２を介して接続している。管壁には、吸気穴が形成されると共に、図６に詳述する弁２６が設けられている。即ち、この弁は、吸気穴２３の周囲に取付けられた圧縮ばね２７と、そのディスク状ばね座２８と、このばね座に突設されて平坦状で、かつ両側面が吸気穴２３の内径に対応した円弧状の案内棒２８ａの先端部に取付けられた球状弾性体２９とより構成されている。通常状態では、ばね力により、弾性体２９が吸気穴２３を閉鎖しており、指先で管壁に沿って弾性体２９を圧縮ばね２７に抗して摘み上げて開放する。

【００１４】図７は第４の実施例を示す。中空のゴム球３２が先端部に取付けられている透明管３１の上方部分にゴムリング３５が装着されている。このリングと、吸気穴３３を閉鎖するように管面に対応した曲面状の基部３６ａ及びその先端側の操作部３６ｂを有するレバー３６とより弁が構成されている。基部３６ａは、表面をゴムリング３５に貼着されて、通常状態では吸気穴３３を閉鎖している。操作部３６ｂをゴムリング３５の弾性に抗して管面から離反させると、吸気穴３３から外気が吸気される。尚、吸引装置、弁及び吸気穴の形状・位置等については本考案の範囲内で種々の変形例が考えられるはずである。

【００１５】

【考案の効果】以上、本考案によれば指尖以外の部位にランセットを刺した後、穿刺部位の周囲にセットして血液を吸出すことにより、痛みが少なく、かつ血管集中度の低い部位からでも安定した小滴採血が可能となる。透明管を通して採血状態が監視可能となる。また、監視しつつ必要量の小滴が採血された時点で吸気穴を開放させることができ、したがって小滴の生成状態にばらつきのある個々の患者に応じて無駄のない量の採血を確実に行うことができる。吸引された皮膚が無理なく通常位置に戻って吸着が解除され、したがって吸引状態で吸引力に抗して管を引離す際の血液飛散が回避される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１の実施例による血液吸出し具の正
面図である。

【図２】同血液吸出し具の動作を説明する断面図であ
る。

【図３】同血液吸出し具の弁を示す断面図である。

【図４】第２の実施例による血液吸出し具の正面図であ
る。

【図５】第３の実施例による血液吸出し具の正面図であ
る。

【図６】図５による血液吸出し具の弁を示す断面図であ
る。

【図７】第４の実施例による血液吸出し具の斜視図であ
る。

【符号の説明】

１、１１、２１、３１透明管２、３２ゴム球３、１２ａ、１２ｂ、２３、３３吸気穴５ａ小滴６、１６、２６弁

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】血液を皮膚上に小滴として採血するため
に、ランセットで刺した部位にセットする血液吸出し具
であって、採血すべき血液小滴の外径よりも大きな内径の透明管
に、吸引装置を付属させると共に、外気を前記透明管内
に吸気する吸気穴を備えたことを特徴とする血液吸出し
具。
【請求項２】吸気穴に、手動操作で開放される弁を設
けたことを特徴とする請求項１の血液吸出し具。
【請求項３】吸引装置が、透明管の上端に取付けら
れ、かつこの透明管に連通するゴム球であることを特徴
とする請求項１の血液吸出し具。
【請求項４】吸引装置が、透明管に挿入されたプラン
ジャと、下方へ押されたこのプランジャを上方へ復帰さ
せるばねとより構成されていることを特徴とする請求項
１の血液吸出し具。
【請求項５】吸引装置が、透明管にチューブを介して
接続する真空ポンプであることを特徴とする請求項１の
血液吸出し具。