JPH0614631U - パッキン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 内径寸法のバラツキが大きいハウジングでも
良好にシールすることができるパッキンを提供する。 【構成】 ハウジング８に軸６が挿通される。軸６のパ
ッキン装着溝７に、ゴム状弾性体よりなる環状のパッキ
ン１を装着する。パッキン１は、その一方の端面に固定
リップ５とシールリップ４とが環状に形成される。シー
ルリップ４は、互いに径の異なる第１リップ部２と第２
リップ部３とを有する。ハウジング８の内周面がａ上に
位置する場合、第１リップ部２がハウジング８に当接し
てシールする。ハウジング８の内周面がｂ上に位置する
場合、第１リップ部２にはうねりが生じるが、第２リッ
プ部３がハウジング８に好適に当接するため、シール性
が確保される。従って、ハウジング８の内径寸法のバラ
ツキが大きい場合でも、このパッキン１が１つあれば対
応することができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案はパッキンに関し、特に、相対移動が可能な２部材間に設けることに より、両部材間をシールするパッキンに関する。

【０００２】

【従来の技術およびその問題点】

従来、この種のものとして、例えば図３に示すように、相対移動が可能な軸２ ６とハウジング２８との間に設けることにより、両部材間をシールするパッキン が既に知られている。

【０００３】 すなわち、図３に示してあるパッキン２１は、所謂Ｕリングであって、環状を なすゴム状弾性体の一方の端面に、軸２６に当接可能な固定リップ２５と、ハウ ジング２８に当接可能なシールリップ２４とがそれぞれ環状に形成されているも ので、このパッキン２１を軸２６のパッキン装着溝２７に装着することにより、 パッキン２１が、軸２６とハウジング２８との間に介在して、両部材間をシール するようになっている。

【０００４】 図３において、ハウジング２８は、その内部に軸２６がわずかに離間した状態 で挿通されて、この軸２６を回転・往復動自在な状態で支持するものである。

【０００５】 このハウジング２８に挿通される軸２６には、その外周面に開口する環状のパ ッキン装着溝２７が形成され、このパッキン装着溝２７の内部にパッキン２１が 装着されるようになっている。

【０００６】 このパッキン２１は所謂Ｕリングであって、シール性の良好なゴム状弾性体よ りなり、全体として環状に形成されるもので、その一方の端面の内周側には固定 リップ２５が、また外周側にはシールリップ２４がそれぞれ環状に形成されてい る。

【０００７】 そして、このパッキン２１を軸２６のパッキン装着溝２７に装着し、さらに、 このパッキン２１を装着した軸２６をハウジング２８に挿通することによって、 パッキン２１の外周部がハウジング２８の内周面に、またパッキン２１の内周面 が軸２６の外周面にそれぞれ当接するようにパッキン２１を配置する。

【０００８】 このパッキン２１は、上記の構成のように、軸２６に形成されたパッキン装着 溝２７に装着することにより、パッキン２１が軸２６とハウジング２８との間に 介在することとなり、これによって、相対移動可能な状態で軸２６とハウジング ２８との間がパッキン２１でシールされるようになっている。

【０００９】 まず、パッキン２１を軸２６のパッキン装着溝２７に装着すると、パッキン２ １の固定リップ２５は、その弾性力で軸２６を締め付けることにより、パッキン ２１をパッキン装着溝２７内に固定するとともに、その軸２６に対する当接面に シール性が得られるようになる。

【００１０】 この他方では、パッキン２１のシールリップ２４が、その弾性力でハウジング ２８の内周面に摺動可能な状態で当接することにより、その当接面にシール性が 得られるようになるため、この結果、両部材間がパッキン２１でシールされるよ うになっている。

【００１１】 ここで、軸２６とハウジング２８と間に形成される環状の隙間からパッキン装 着溝２７に圧力が導入されると、この圧力は、パッキン２１の固定リップ２５と シールリップ２４との間に形成される空所に導かれて、固定リップ２５およびシ ールリップ２４をそれぞれ相手部材側へ拡げるように作用するようになる。

【００１２】 すると、パッキン２１の固定リップ２５は、軸２６に形成されたパッキン装着 溝２７の底面を押圧し、また、パッキン２１のシールリップ２４はハウジング２ ８の内周面を押圧するようになるため、このときの押圧力によって、固定リップ ２５およびシールリップ２４の相手部材に対する当接面にシール性が確保される ようになっている。

【００１３】 しかしながら、上記のような従来のパッキンにあっては、シールリップ２４に 所謂うねりが発生する恐れがあった。

【００１４】 すなわち、上記のような所謂リップタイプのパッキン２１にあっては、相手部 材に対する押圧力を得るために、径方向に最大約３０％程度のつぶし代を設定す ることにより、相手部材に対して所定の弾性力が得られるようにしてあるのが一 般的であるが、パッキン２１を両部材間に配設した際に、パッキン２１のつぶし 量が約４０％を超えるようになると、図４に示してあるように、シールリップ２ ４の先端部がうねるようにして変形するようになる。

【００１５】 そして、このようにシールリップ２４にうねりが発生すると、このうねりのた めに、シールリップ２４とハウジング２８との間に隙間が生じるようになるため 、シール性が著しく低下してしまうことになる。

【００１６】 特に、ハウジング２８の内径寸法のバラツキが大きい場合にあっては、内径が 小さく形成されたハウジング２８を使用した際に、ハウジング２８の内周面と、 軸２６に形成されたパッキン装着溝２７の底面との対向面間の距離が非常に小さ くなることがあり、この結果、パッキン２１のつぶし量が４０％を超えることが ある。

【００１７】 従って、従来のものでは、ハウジング２８の内周面とパッキン装着溝２７の底 面との対向面間の距離を所定の寸法にするために、ハウジング２８の内径寸法の 許容公差を小さく設定する必要があるという問題点があった。

【００１８】 この考案は上記のような問題点を解消し、内径寸法のバラツキが大きいハウジ ングを使用した場合でも、良好にシールすることができるパッキンを提供するこ とを目的とする。

【００１９】

【問題点を解決するための手段】

この考案は上記の問題点を解決するために、ハウジング内に相対移動可能に設 けられる軸に形成された環状のパッキン装着溝に装着されて、両部材間をシール する環状のゴム状弾性体よりなるパッキンであって、前記ハウジングに当接可能 な環状のシールリップを形成し、このシールリップに、径の異なる複数のリップ 部を有しているという構成を有しているものである。

【００２０】

【作用】

この考案は上記の手段を採用したことにより、個々の内径寸法のバラツキが大 きいハウジングを使用しても、これに柔軟に対応して良好にシールすることがで きるようになっている。

【００２１】 すなわち、このパッキンのシールリップには、互いに径の異なる複数のリップ 部を有しているため、内径寸法が大きく形成されたハウジングをシールする場合 には、比較的径の大きいリップ部がハウジングの内周面に当接してこの当接面を シールし、また、内径寸法が小さく形成されたハウジングをシールする場合には 、比較的径の小さいリップ部がハウジングの内周面に当接してこの当接面をシー ルするようになっている。

【００２２】 このとき、従来では、シールリップが１つのリップ部で形成されていたために 、内径の小さいハウジングをシールする場合には、パッキンのつぶし量が大きく なって、シールリップの先端部にうねりが生じてシール性の低下を招いていたが 、この考案にあっては、径の異なるリップ部が複数段に亘って形成されているた め、径の大きいリップ部にうねりが生じても、これよりも径の小さいリップ部が ハウジングの内周面に好適に当接して、良好にシールするようになっている。

【００２３】 そして、これに伴って、異径サイズの複数のハウジングをシールする場合でも 、そのハウジングの内径に応じた径のリップ部を複数形成してシールリップを形 成すれば、このシールリップが、それぞれのハウジングの内径に応じて柔軟に対 応することができるため、１つのパッキンで複数種の内径サイズのハウジングに 共用することができるようになっている。

【００２４】

【実施例】

以下、図面に示すこの考案の実施例を説明する。

【００２５】 図１は、この考案によるパッキンの一実施例を示す図である。 すなわち、図１に示すパッキン１は、環状のゴム状弾性体よりなり、軸６のパ ッキン装着溝７に装着することにより、軸６とハウジング８との間に介在して両 部材間をシールするもので、このパッキン１の一方の端面には、軸６に当接可能 な固定リップ５と、ハウジング８に当接可能なシールリップ４とがそれぞれ環状 に形成されていて、さらに、シールリップ４には、外方に突出する第１リップ部 ２と、第１リップ部２よりも内側の部位から外方に突出し、かつ先端部が第１リ ップ部２の先端部よりも内方に位置する第２リップ部３とを有しているものであ る。

【００２６】 そして、このパッキン１は、ハウジング８の内径が大きい場合には第１リップ 部２でシールし、また、ハウジング８の内径が小さい場合には第２リップ部３で シールするようになっている。

【００２７】 図１において、軸６は、ハウジング８の内部にわずかに離間した状態で挿通さ れ、このハウジング８に回転・往復動自在な状態で支持されているものである。

【００２８】 そして、ハウジング８に挿通される軸６には、その外周面に開口する環状のパ ッキン装着溝７が形成され、このパッキン装着溝７の内部にパッキン１が装着さ れるようになっている。

【００２９】 このパッキン１は、シール性の良好なゴム状弾性体よりなり、全体として断面 が略Ｕ字状をなす環状に形成されるもので、その一方の端面の内周側にはパッキ ン装着溝７の底面に当接可能な固定リップ５が環状に形成され、また外周側には ハウジング８の内周面に当接可能なシールリップ４が環状に形成される。

【００３０】 このシールリップ４には、互いに径の異なる環状の２つのリップ部、すなわち 第１リップ部２と第２リップ部３とを有する。このリップ部のうちの一方の第１ リップ部２は、パッキン１の一方の端面の外周側から外方へ向かって突出するよ うにして形成される。

【００３１】 また、リップ部のうちの他方の第２リップ部３は、第１リップ部２の根元部か ら外方に向かって突出するようにして形成される。このとき、第２リップ部３の 先端部は、第１リップ部２の先端部よりも内方に位置させておくようにし、これ によって、第２リップ部３の外径が第１リップ部２の外径よりも小さくなるよう にしておく。

【００３２】 そして、このパッキン１を軸６のパッキン装着溝７に装着し、さらに、このパ ッキン１を装着した軸６をハウジング８に挿通することによって、パッキン１の 外周部がハウジング８の内周面に、またパッキン１の内周面が軸６の外周面にそ れぞれ当接するようにパッキン１を配置する。

【００３３】 次に、上記のものの作用を説明する。

【００３４】 このパッキン１は、上記の構成のように、軸６に形成されたパッキン装着溝７ に装着することにより、パッキン１が軸６とハウジング８との間に介在すること となり、これによって、相対移動可能な状態で軸６とハウジング８との間がパッ キン１でシールされるようになっている。

【００３５】 まず、パッキン１を軸６のパッキン装着溝７に装着すると、パッキン１の固定 リップ５は、その弾性力で軸６を締め付けることにより、パッキン１をパッキン 装着溝７内に固定するとともに、その軸６に対する当接面にシール性が得られる ようになる。

【００３６】 この他方では、パッキン１のシールリップ４が、その弾性力でハウジング８の 内周面に摺動可能な状態で当接することにより、その当接面にシール性が得られ るようになるため、この結果、両部材が相対移動可能な状態で、両部材間がパッ キン１でシールされるようになっている。

【００３７】 ここで、軸６をハウジング８と間に形成された環状の隙間からパッキン装着溝 ７に圧力が導入されると、この圧力は、パッキン１の固定リップ５とシールリッ プ４との間に形成される空所に導かれて、固定リップ５およびシールリップ４を それぞれ相手部材側へ拡げるように作用するようになる。

【００３８】 すると、パッキン１の固定リップ５は、軸６に形成されたパッキン装着溝７の 底面を押圧し、また、パッキン１のシールリップ４はハウジング８の内周面を押 圧するようになるため、このときの押圧力によって、固定リップ５およびシール リップ４の相手部材に対する当接面にシール性が確保されるようになっている。

【００３９】 そして、上記のパッキン１にあっては、ハウジング８の個々の内径寸法に大き なバラツキがあるような場合でも対応することができるようになっている。

【００４０】 すなわち、このパッキン１のシールリップ４には、比較的外径の大きい第１リ ップ部２と、この第１リップ部２よりも小径な第２リップ部３とを有しているた め、内径が許容寸法内で比較的大きく形成されたハウジング８をシールする場合 には、第１リップ部２がハウジング８の内周面に当接してシールし、また、内径 が許容寸法内で比較的小さく形成されたハウジング８をシールする場合には、第 ２リップ部３がハウジング８の内周面に好適に当接してシールするようになって いる。

【００４１】 まず、図１に示してあるように、ハウジング８の内径が許容公差の最大値で形 成されて、例えばハウジング８の内周面が２点鎖線ａ上に位置する場合、シール リップ４の第１リップ部２が、つぶし代約３０％の範囲内でやや圧縮された状態 でハウジング８の内周面に当接するようになり、これによって、好適なシール状 態が得られることとなる。

【００４２】 そして、ハウジング８の内径が許容公差の最小値で形成されて、例えばハウジ ング８の内周面が２点鎖線ｂ上に位置する場合、シールリップ４の第１リップ部 ２は、そのつぶし量が４０％を超えてしまうために、先端部にうねりが生じてハ ウジング８の内周面との間に隙間が生じてしまうが、このとき、シールリップ４ の第２リップ部３が、つぶし代約３０％の範囲内でやや圧縮された状態でハウジ ング８の内周面に好適に当接するようになるため、これによって、良好なシール 状態が確保されることとなる。

【００４３】 従って、従来では、シールリップのリップ部は１つしかなかったために、ハウ ジングの内径寸法は、リップ部の先端部からつぶし量が３０％になるまでの範囲 内でしか許容することができなかったが、上記のパッキン１にあっては、シール リップ４のリップ部が２ヵ所に形成されているために、ハウジング８の内径寸法 は、シールリップ４の第１リップ部２の先端部から第２リップ部３のつぶし量が 約３０％になるまでの範囲内で許容することができるようになっている。

【００４４】 つまり、このパッキン１は、ハウジング８の個々の内径寸法のバラツキが大き くても、ハウジング８の内周面とパッキン装着溝７の底面との対向面間の距離が 図１中のｍからｎの範囲内であれば、好適にシールすることができるものである 。

【００４５】 また、上記のパッキン１にあっては、内径の異なる２種類のハウジング１８ａ 、１８ｂに対して共用することができるようになっている。

【００４６】 すなわち、内径が比較的大きく形成されたハウジング１８ａを使用する場合に は、シールリップ４の第１リップ部２がハウジング１８ａの内周面に当接してシ ールし、また、内径がハウジング１８ａよりも小さく形成されたハウジング１８ ｂを使用する場合には、シールリップ４の第２リップ部３がハウジング１８ｂの 内周面に当接してシールするようになっている。

【００４７】 まず、図２に示してあるように、ハウジング１８ａの内径の許容公差が図中の ｃからｄの間に設定されて、例えばハウジング１８ａの内周面が２点鎖線Ａ上に 位置するような場合には、シールリップ４の第１リップ部２が、そのつぶし量約 ３０％の範囲内でやや圧縮された状態でハウジング１８ａの内周面に当接するよ うになり、これによって、好適なシール状態が得られることとなる。

【００４８】 そして、ハウジング１８ａよりも小さな内径を有するハウジング１８ｂの内径 の許容公差が図中のｅからｆの間に設定され、例えばハウジング１８ｂの内周面 が２点鎖線Ｂ上に位置するような場合には、シールリップ４の第１リップ部２は 、そのつぶし量が４０％を超えてしまうために、先端部にうねりが生じてハウジ ング１８ｂの内周面との間に隙間が生じてしまうが、このとき、シールリップ４ の第２リップ部３が、つぶし量約３０％の範囲内でやや圧縮された状態でハウジ ング１８ｂの内周面に当接するようになるため、これによって、良好なシール状 態が確保されることとなる。

【００４９】 従って、従来では、シールリップのリップ部は１つしかなかったために、内径 の異なる複数種のハウジングをシールするには、そのハウジングの内径に応じて シールリップの外径を設定したパッキンを複数種類用意しなければならなかった が、上記のパッキン１にあっては、シールリップ４のリップ部が２ヵ所に形成さ れているために、内径の異なる２種類のハウジング１８ａ、１８ｂに対して共用 することができるようになっている。

【００５０】 なお、上記実施例において、シールリップ４のリップ部は、第１リップ部２と 第２リップ部３との２個所に形成したが、これに限定されるものではない。つま り、シールリップ４は、互いに径の異なる複数のリップ部を有するものであれば 良いものである。

【００５１】

【考案の効果】

以上のように、従来のパッキンでは、ハウジングの内周面をシールするシール リップは単一のリップ部のみを有していたために、ハウジングの内径寸法が小さ く形成された場合には、シールリップにうねりが生じてシール性が低下してしま い、個々のハウジングの内径寸法に大きなバラツキがあるときには対応させるこ とができないことがあったが、この考案にあっては、シールリップに径の異なる 複数のリップ部を有してあるので、ハウジングの個々の内径寸法にバラツキがあ るような場合にパッキンを使用したときに、径の大きなリップ部にうねりが生じ ても、これよりも径の小さいリップ部で好適に対応することができ、この結果、 シール性を向上させることができる。

【００５２】 また、これに伴って、従来では、シールリップに１つのリップ部のみを有して いたために、異径サイズのハウジングに対しては、そのサイズ毎に異なる大きさ のパッキンを使用しなければならなかったが、この考案にあっては、シールリッ プに径の異なる複数のリップ部を有してあるので、１つのパッキンで種々の異径 サイズのハウジングに共用することができるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案によるパッキンの一実施例を示す図で
ある。

【図２】この考案によるパッキンの作用を説明する図で
ある。

【図３】従来例を示す図である。

【図４】図３におけるＣ−Ｃ線断面図を示す図である。

【符号の説明】

１、２１……パッキン ２……第１リップ部 ３……第２リップ部 ４、２４……シールリップ ５、２５……固定リップ ６、２６……軸 ７、２７……パッキン装着溝 ８、１８ａ、１８ｂ、２８……ハウジング

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ハウジング（８）内に相対移動可能に設
   けられる軸（６）に形成された環状のパッキン装着溝
   （７）に装着されて、両部材（６）（８）間をシールす
   る環状のゴム状弾性体よりなるパッキンであって、前記
   ハウジング（８）に当接可能な環状のシールリップ
   （４）を形成し、このシールリップ（４）に、径の異な
   る複数のリップ部（２、３）を有していることを特徴と
   するパッキン。