JPH06136547A - 光利用めっき方法およびめっき膜形成体 - Google Patents
光利用めっき方法およびめっき膜形成体Info
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- JPH06136547A JPH06136547A JP5154193A JP5154193A JPH06136547A JP H06136547 A JPH06136547 A JP H06136547A JP 5154193 A JP5154193 A JP 5154193A JP 5154193 A JP5154193 A JP 5154193A JP H06136547 A JPH06136547 A JP H06136547A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 基板に形成した色素層の光照射部に、密着性
に優れた銅、ニッケル、コバルトおよび錫の少なくとも
1種を含むめっき膜を形成することが可能な光利用めっ
き方法およびめっき膜形成体を提供する。 【構成】 基板表面に色素分子からなる色素層を形成す
る工程と、不可逆的に酸化分解して電子を供給する犠牲
酸化剤を含む銅、ニッケル、コバルトおよび錫イオンの
少なくとも1種を含む無電解めっき液中に、前記色素層
を形成した基板を浸漬する工程と、前記色素層に該色素
の励起エネルギー以上のエネルギーを持つ光を照射する
工程とからなり、色素層の光を照射した部分に銅、ニッ
ケル、コバルトおよび錫の少なくとも1種を含むめっき
膜を形成することを特徴とする光利用めっき方法および
めっき膜形成体。
に優れた銅、ニッケル、コバルトおよび錫の少なくとも
1種を含むめっき膜を形成することが可能な光利用めっ
き方法およびめっき膜形成体を提供する。 【構成】 基板表面に色素分子からなる色素層を形成す
る工程と、不可逆的に酸化分解して電子を供給する犠牲
酸化剤を含む銅、ニッケル、コバルトおよび錫イオンの
少なくとも1種を含む無電解めっき液中に、前記色素層
を形成した基板を浸漬する工程と、前記色素層に該色素
の励起エネルギー以上のエネルギーを持つ光を照射する
工程とからなり、色素層の光を照射した部分に銅、ニッ
ケル、コバルトおよび錫の少なくとも1種を含むめっき
膜を形成することを特徴とする光利用めっき方法および
めっき膜形成体。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、無電解めっき液中で基
板に形成した色素層の光照射部に厚く、密着性に優れた
めっき膜を形成させることができる光利用めっき方法お
よびめっき膜形成体に関するものである。
板に形成した色素層の光照射部に厚く、密着性に優れた
めっき膜を形成させることができる光利用めっき方法お
よびめっき膜形成体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、光の持つ放射エネルギーを利
用し、基板上の光照射部のみに金属を選択的に析出させ
る光利用めっき方法が知られている。この光利用めっき
方法として、光を吸収した半導体の光酸化還元反応を利
用し、半導体を担持した基板の光照射部のみに金属を析
出させる方法(特開平2−205388、特公平2−2
950)があり、めっき液として、アルコールやホルム
アルデヒド等の還元剤を含む各種金属イオン水溶液を用
いている。これらの方法では、金属を析出させる際の反
応として、次のような機構が考えられている。すなわ
ち、TiO2 等の半導体を基板上に担持させ、この基板
を還元剤を含む各種金属イオン水溶液中に浸漬する。こ
の半導体に紫外線を照射して、半導体の伝導帯に生成し
た電子によって金属イオンを還元し、金属を半導体上に
析出させるものである。前記還元剤は、紫外線によって
半導体の価電子帯に生成した正孔に電子を供給し、伝導
帯に生成した電子と正孔との反応を防ぐ働きをなす。し
かしながら、従来のめっき液を使用する方法は、基板表
面の半導体上に金属が数1000Åの厚さに析出する
と、照射した光が半導体に到達できなくなり、前記光照
射による金属の析出が停止し、厚い金属のめっき膜を形
成できないという問題があった。
用し、基板上の光照射部のみに金属を選択的に析出させ
る光利用めっき方法が知られている。この光利用めっき
方法として、光を吸収した半導体の光酸化還元反応を利
用し、半導体を担持した基板の光照射部のみに金属を析
出させる方法(特開平2−205388、特公平2−2
950)があり、めっき液として、アルコールやホルム
アルデヒド等の還元剤を含む各種金属イオン水溶液を用
いている。これらの方法では、金属を析出させる際の反
応として、次のような機構が考えられている。すなわ
ち、TiO2 等の半導体を基板上に担持させ、この基板
を還元剤を含む各種金属イオン水溶液中に浸漬する。こ
の半導体に紫外線を照射して、半導体の伝導帯に生成し
た電子によって金属イオンを還元し、金属を半導体上に
析出させるものである。前記還元剤は、紫外線によって
半導体の価電子帯に生成した正孔に電子を供給し、伝導
帯に生成した電子と正孔との反応を防ぐ働きをなす。し
かしながら、従来のめっき液を使用する方法は、基板表
面の半導体上に金属が数1000Åの厚さに析出する
と、照射した光が半導体に到達できなくなり、前記光照
射による金属の析出が停止し、厚い金属のめっき膜を形
成できないという問題があった。
【0003】また、反応開始点が基板上の粗大な半導体
粒子上に限定されるため、析出形成されためっき膜の密
着力が乏しいという問題点があった。
粒子上に限定されるため、析出形成されためっき膜の密
着力が乏しいという問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、基板
の色素層を形成した部分に厚く、密着性に優れためっき
膜を形成することが可能な光利用めっき方法およびめっ
き膜形成体を提供することにある。
の色素層を形成した部分に厚く、密着性に優れためっき
膜を形成することが可能な光利用めっき方法およびめっ
き膜形成体を提供することにある。
【0005】本発明者等は前記した従来技術の問題に関
し、以下のことに着眼した。従来の如くめっき液が銅、
ニッケル、コバルトおよび錫イオン含有水溶液である
と、析出した銅等のめっき膜の厚さが数1000Åにな
ると光が半導体にまで到達できなくなり、以後はめっき
が不可能であった。しかし、めっき液として無電解銅等
のめっき液を用いれば、半導体上に光照射反応によって
銅等がわずかでも析出すれば、以後は、この析出した銅
等を核として無電解めっき液から銅等を析出させること
ができ、厚い銅等のめっき膜を形成することができると
考えた。さらに、本発明者等は、半導体粒子と同様な光
吸収による光酸化還元反応を発現し得る各種物質につい
て詳細に検討した。その結果、色素が半導体と同様に光
吸収により銅、ニッケル、コバルトおよび錫のみならず
貴金属を析出させることができること、および、基板上
に色素が極めて均一に吸着することを見出した。そこ
で、この均一に吸着した色素を反応開始点として、この
上に銅、ニッケル、コバルトおよび錫のみならず貴金属
を析出させれば、反応開始点が粗大な半導体粒子上に限
定されないため密着性に優れた銅等のめっき膜を形成さ
せることができると考え、本発明をなすに至ったもので
ある。
し、以下のことに着眼した。従来の如くめっき液が銅、
ニッケル、コバルトおよび錫イオン含有水溶液である
と、析出した銅等のめっき膜の厚さが数1000Åにな
ると光が半導体にまで到達できなくなり、以後はめっき
が不可能であった。しかし、めっき液として無電解銅等
のめっき液を用いれば、半導体上に光照射反応によって
銅等がわずかでも析出すれば、以後は、この析出した銅
等を核として無電解めっき液から銅等を析出させること
ができ、厚い銅等のめっき膜を形成することができると
考えた。さらに、本発明者等は、半導体粒子と同様な光
吸収による光酸化還元反応を発現し得る各種物質につい
て詳細に検討した。その結果、色素が半導体と同様に光
吸収により銅、ニッケル、コバルトおよび錫のみならず
貴金属を析出させることができること、および、基板上
に色素が極めて均一に吸着することを見出した。そこ
で、この均一に吸着した色素を反応開始点として、この
上に銅、ニッケル、コバルトおよび錫のみならず貴金属
を析出させれば、反応開始点が粗大な半導体粒子上に限
定されないため密着性に優れた銅等のめっき膜を形成さ
せることができると考え、本発明をなすに至ったもので
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】 (第1発明の構成)本第1発明(請求項1に記載の発
明)の光利用めっき方法の構成は、基板表面に色素分子
からなる色素層を形成する工程と、不可逆的に酸化分解
して電子を供給する犠牲酸化剤と、銅、ニッケル、コバ
ルトおよび錫イオンの少なくとも1種とを含む無電解め
っき液中に、前記色素層を形成した基板を浸漬する工程
と、前記色素層に色素の励起エネルギー以上のエネルギ
ーを持つ光を照射する工程とからなり、色素層の光を照
射した部分に、銅、ニッケル、コバルトおよび錫の少な
くとも1種を含むめっき膜を形成することを特徴とす
る。
明)の光利用めっき方法の構成は、基板表面に色素分子
からなる色素層を形成する工程と、不可逆的に酸化分解
して電子を供給する犠牲酸化剤と、銅、ニッケル、コバ
ルトおよび錫イオンの少なくとも1種とを含む無電解め
っき液中に、前記色素層を形成した基板を浸漬する工程
と、前記色素層に色素の励起エネルギー以上のエネルギ
ーを持つ光を照射する工程とからなり、色素層の光を照
射した部分に、銅、ニッケル、コバルトおよび錫の少な
くとも1種を含むめっき膜を形成することを特徴とす
る。
【0007】本第1発明において、色素層は、基板表面
に吸着した各色素分子が密に基板表面を覆って層状とな
っているものと、色素分子が粗に吸着していてもほぼ層
状であると判断できるものとを含むものであり、以下の
発明においても同様である。
に吸着した各色素分子が密に基板表面を覆って層状とな
っているものと、色素分子が粗に吸着していてもほぼ層
状であると判断できるものとを含むものであり、以下の
発明においても同様である。
【0008】(第2発明の構成)本第2発明(請求項2
に記載の発明)の光利用めっき方法の構成は、基板表面
に色素分子からなる色素層を形成する工程と、不可逆的
に酸化分解して電子を供給する犠牲酸化剤と貴金属イオ
ンを含む溶液中に、前記色素層を形成した基板を浸漬す
る工程と、前記色素層に色素の励起エネルギー以上のエ
ネルギーを持つ光を照射する工程と、銅、ニッケル、コ
バルトおよび錫イオンの少なくとも1種を含む無電解め
っき液中に、前記色素層を形成した基板を浸漬する工程
とからなり、色素層の光を照射した部分に、銅、ニッケ
ル、コバルトおよび錫の少なくとも1種を含むめっき膜
を形成することを特徴とする。
に記載の発明)の光利用めっき方法の構成は、基板表面
に色素分子からなる色素層を形成する工程と、不可逆的
に酸化分解して電子を供給する犠牲酸化剤と貴金属イオ
ンを含む溶液中に、前記色素層を形成した基板を浸漬す
る工程と、前記色素層に色素の励起エネルギー以上のエ
ネルギーを持つ光を照射する工程と、銅、ニッケル、コ
バルトおよび錫イオンの少なくとも1種を含む無電解め
っき液中に、前記色素層を形成した基板を浸漬する工程
とからなり、色素層の光を照射した部分に、銅、ニッケ
ル、コバルトおよび錫の少なくとも1種を含むめっき膜
を形成することを特徴とする。
【0009】(第3発明の構成)本第3発明(請求項3
に記載の発明)のめっき膜形成体の構成は、基板と、こ
の基板上に形成した色素分子からなる色素層と、この色
素層表面の光を照射した部分に、銅、ニッケル、コバル
トおよび錫の少なくとも1種を含むめっき膜を有するこ
とを特徴とする。
に記載の発明)のめっき膜形成体の構成は、基板と、こ
の基板上に形成した色素分子からなる色素層と、この色
素層表面の光を照射した部分に、銅、ニッケル、コバル
トおよび錫の少なくとも1種を含むめっき膜を有するこ
とを特徴とする。
【0010】(第4発明の構成)本第4発明(請求項4
に記載の発明)の光利用めっき方法の構成は、基板表面
に色素分子からなる色素層を形成する工程と、不可逆的
に酸化分解して電子を供給する犠牲酸化剤と、銅、ニッ
ケル、コバルトおよび錫イオンの少なくとも1種とを含
む溶液または不可逆的に酸化分解して電子を供給する犠
牲酸化剤と貴金属イオンを含む溶液を前記色素層上に付
着する工程と、前記色素層に色素の励起エネルギー以上
のエネルギーを持つ光を照射する工程と、銅、ニッケ
ル、コバルトおよび錫イオンの少なくとも1種を含む無
電解めっき液中に、前記色素層を形成した基板を浸漬す
る工程とからなり、色素層の光を照射した部分に、銅、
ニッケル、コバルトおよび錫の少なくとも1種を含むめ
っき膜を形成することを特徴とする。
に記載の発明)の光利用めっき方法の構成は、基板表面
に色素分子からなる色素層を形成する工程と、不可逆的
に酸化分解して電子を供給する犠牲酸化剤と、銅、ニッ
ケル、コバルトおよび錫イオンの少なくとも1種とを含
む溶液または不可逆的に酸化分解して電子を供給する犠
牲酸化剤と貴金属イオンを含む溶液を前記色素層上に付
着する工程と、前記色素層に色素の励起エネルギー以上
のエネルギーを持つ光を照射する工程と、銅、ニッケ
ル、コバルトおよび錫イオンの少なくとも1種を含む無
電解めっき液中に、前記色素層を形成した基板を浸漬す
る工程とからなり、色素層の光を照射した部分に、銅、
ニッケル、コバルトおよび錫の少なくとも1種を含むめ
っき膜を形成することを特徴とする。
【0011】
【作用】 (第1発明の作用)本第1発明の光利用めっき方法によ
れば、厚く、密着性に優れた銅、ニッケル、コバルトお
よび錫の少なくとも1種を含むめっき膜を得ることがで
きる。そのメカニズムは、次のようであると推定され
る。すなわち、基板に吸着された色素に、色素の励起エ
ネルギー以上のエネルギーを持つ光を照射し、色素の最
低空分子軌道に電子を、最高被占分子軌道に空準位を生
成せしめる。この空準位に無電解銅、ニッケル、コバル
トおよび錫のめっき液中に添加した犠牲酸化剤から電子
を供与して該空準位を消滅させる。したがって最低空分
子軌道に生成した電子は、空準位との反応に消耗される
ことなくめっき液中の前記銅等のイオンの還元にのみ用
いることができ、銅等を色素上に析出させ得る。このよ
うに一旦色素上に銅等が析出すると、この基板上に極め
て微細に析出した銅等を核として無電解銅等のめっき液
から連続的に銅等が析出するため、基板上の光照射部
に、密着性良く厚い銅等のめっき膜が形成されるのであ
る。また、本光利用めっき方法は、銅等の析出の初期の
段階では、光照射反応による銅等の析出に加えて、無電
解銅等のめっき液からの銅等の析出が重複するため、短
時間で厚い銅等のめっき膜を形成できる。
れば、厚く、密着性に優れた銅、ニッケル、コバルトお
よび錫の少なくとも1種を含むめっき膜を得ることがで
きる。そのメカニズムは、次のようであると推定され
る。すなわち、基板に吸着された色素に、色素の励起エ
ネルギー以上のエネルギーを持つ光を照射し、色素の最
低空分子軌道に電子を、最高被占分子軌道に空準位を生
成せしめる。この空準位に無電解銅、ニッケル、コバル
トおよび錫のめっき液中に添加した犠牲酸化剤から電子
を供与して該空準位を消滅させる。したがって最低空分
子軌道に生成した電子は、空準位との反応に消耗される
ことなくめっき液中の前記銅等のイオンの還元にのみ用
いることができ、銅等を色素上に析出させ得る。このよ
うに一旦色素上に銅等が析出すると、この基板上に極め
て微細に析出した銅等を核として無電解銅等のめっき液
から連続的に銅等が析出するため、基板上の光照射部
に、密着性良く厚い銅等のめっき膜が形成されるのであ
る。また、本光利用めっき方法は、銅等の析出の初期の
段階では、光照射反応による銅等の析出に加えて、無電
解銅等のめっき液からの銅等の析出が重複するため、短
時間で厚い銅等のめっき膜を形成できる。
【0012】また、色素分子は10Å程度と極めて微細
なため、基板上に極めて均一に吸着し、銅等は、この色
素を反応開始点として微細に析出する。そのため、銅等
のめっき膜の基板に対する密着性は極めて優れている。
なため、基板上に極めて均一に吸着し、銅等は、この色
素を反応開始点として微細に析出する。そのため、銅等
のめっき膜の基板に対する密着性は極めて優れている。
【0013】(第2発明の作用)本第2発明の光利用め
っき方法によれば、第1発明と同様、厚く、密着性に優
れた銅、ニッケル、コバルトおよび錫の少なくとも1種
を含むめっき膜を得ることができる。そのメカニズム
は、第1発明の作用において記載したように、基板に吸
着された色素に、色素の励起エネルギー以上のエネルギ
ーを持つ光を照射し、色素の最低空分子軌道に電子を、
最高被占分子軌道に空準位を生成せしめる。この空準位
に貴金属イオンとともにめっき液中に添加した犠牲酸化
剤から電子を供与して該空準位を消滅させる。その結
果、最低空分子軌道に生成した電子は、空準位との反応
に消耗されることなくめっき液中の貴金属イオンの還元
にのみ用いることができ、貴金属を色素上に析出させ得
る。このように、無電解めっき反応にたいして活性な触
媒作用を示す貴金属が極く微少量析出した段階で該基板
を取り出し、無電解めっき液中に浸漬することにより、
微細に析出した貴金属を核として無電解銅等のめっき液
から連続的に銅等を析出できるため、基板上の色素層の
光を照射した部分に、銅、ニッケル、コバルトおよび錫
の少なくとも1種を含むめっき膜を密着性良く形成する
ことができる。
っき方法によれば、第1発明と同様、厚く、密着性に優
れた銅、ニッケル、コバルトおよび錫の少なくとも1種
を含むめっき膜を得ることができる。そのメカニズム
は、第1発明の作用において記載したように、基板に吸
着された色素に、色素の励起エネルギー以上のエネルギ
ーを持つ光を照射し、色素の最低空分子軌道に電子を、
最高被占分子軌道に空準位を生成せしめる。この空準位
に貴金属イオンとともにめっき液中に添加した犠牲酸化
剤から電子を供与して該空準位を消滅させる。その結
果、最低空分子軌道に生成した電子は、空準位との反応
に消耗されることなくめっき液中の貴金属イオンの還元
にのみ用いることができ、貴金属を色素上に析出させ得
る。このように、無電解めっき反応にたいして活性な触
媒作用を示す貴金属が極く微少量析出した段階で該基板
を取り出し、無電解めっき液中に浸漬することにより、
微細に析出した貴金属を核として無電解銅等のめっき液
から連続的に銅等を析出できるため、基板上の色素層の
光を照射した部分に、銅、ニッケル、コバルトおよび錫
の少なくとも1種を含むめっき膜を密着性良く形成する
ことができる。
【0014】(第3発明の作用)本第3発明のめっき膜
形成体は、第1発明の作用において記載したように、色
素の光吸収による光酸化還元反応によって色素層上の光
を照射した部分に銅等のめっき膜が形成されている。ま
た、銅等のめっき膜は基板表面に均一に、微細に吸着し
た色素上に形成されるので密着性に優れている。
形成体は、第1発明の作用において記載したように、色
素の光吸収による光酸化還元反応によって色素層上の光
を照射した部分に銅等のめっき膜が形成されている。ま
た、銅等のめっき膜は基板表面に均一に、微細に吸着し
た色素上に形成されるので密着性に優れている。
【0015】(第4発明の作用)本第4発明の光利用め
っき方法は、色素層を形成した基板を、不可逆的に酸化
分解して電子を供給する犠牲酸化剤と銅、ニッケル、コ
バルトおよび錫イオンの少なくとも1種とを含む無電解
めっき液または不可逆的に酸化分解して電子を供給する
犠牲酸化剤と貴金属イオンを含む溶液中に浸漬する代わ
りに、不可逆的に酸化分解して電子を供給する犠牲酸化
剤と銅、ニッケル、コバルトおよび錫イオンの少なくと
も1種とを含む溶液または不可逆的に酸化分解して電子
を供給する犠牲酸化剤と貴金属イオンを含む溶液を前記
色素層上に付着し、この溶液等を付着した基板に対し、
溶液等を通して色素層に色素の励起エネルギー以上のエ
ネルギーを持つ光を照射し、銅等を析出させるものであ
る。色素層上に付着した溶液から色素層上に銅等が析出
する反応は、第1発明の作用において記載したと同様で
ある。
っき方法は、色素層を形成した基板を、不可逆的に酸化
分解して電子を供給する犠牲酸化剤と銅、ニッケル、コ
バルトおよび錫イオンの少なくとも1種とを含む無電解
めっき液または不可逆的に酸化分解して電子を供給する
犠牲酸化剤と貴金属イオンを含む溶液中に浸漬する代わ
りに、不可逆的に酸化分解して電子を供給する犠牲酸化
剤と銅、ニッケル、コバルトおよび錫イオンの少なくと
も1種とを含む溶液または不可逆的に酸化分解して電子
を供給する犠牲酸化剤と貴金属イオンを含む溶液を前記
色素層上に付着し、この溶液等を付着した基板に対し、
溶液等を通して色素層に色素の励起エネルギー以上のエ
ネルギーを持つ光を照射し、銅等を析出させるものであ
る。色素層上に付着した溶液から色素層上に銅等が析出
する反応は、第1発明の作用において記載したと同様で
ある。
【0016】
(第1発明の効果)本第1発明の光利用めっき方法によ
れば、めっき液として無電解銅等のめっき液を用いてい
るので、光照射による銅等の析出反応が停止した後でも
無電解銅等のめっき液から銅等を析出させることがで
き、厚い銅等のめっき膜を形成することができる。光照
射に際して、レーザー光等のビームをパターンマスクを
通して、あるいはパターン状に走査することによりパタ
ーン状に厚く銅等を析出させることができる。また、色
素層を基板上にパターン状に吸着形成すれば、このパタ
ーン上に選択的に厚い銅等のめっき膜を形成させること
ができる。またこの方法をプリント回路の製造に利用す
ると、従来のフォトレジストを用いる方法に比し、工程
を簡略化することができるとともに、三次元曲面上にも
プリント回路を形成できる等の大きな特徴を有する。
れば、めっき液として無電解銅等のめっき液を用いてい
るので、光照射による銅等の析出反応が停止した後でも
無電解銅等のめっき液から銅等を析出させることがで
き、厚い銅等のめっき膜を形成することができる。光照
射に際して、レーザー光等のビームをパターンマスクを
通して、あるいはパターン状に走査することによりパタ
ーン状に厚く銅等を析出させることができる。また、色
素層を基板上にパターン状に吸着形成すれば、このパタ
ーン上に選択的に厚い銅等のめっき膜を形成させること
ができる。またこの方法をプリント回路の製造に利用す
ると、従来のフォトレジストを用いる方法に比し、工程
を簡略化することができるとともに、三次元曲面上にも
プリント回路を形成できる等の大きな特徴を有する。
【0017】(第2発明の効果)本第2発明の光利用め
っき方法によれば、前記第1発明の光利用めっき方法と
同様な効果の他、銅等のイオンに比べて、めっき液中に
溶存酸素が存在していても金属に還元されやすい貴金属
イオンを使用しているので、光を吸収した色素によって
効率良く貴金属の析出が生じるという効果を有する。
っき方法によれば、前記第1発明の光利用めっき方法と
同様な効果の他、銅等のイオンに比べて、めっき液中に
溶存酸素が存在していても金属に還元されやすい貴金属
イオンを使用しているので、光を吸収した色素によって
効率良く貴金属の析出が生じるという効果を有する。
【0018】(第3発明の効果)本第3発明のめっき形
成体は色素層の光を照射した部分にのみ銅等のめっき膜
を形成できるので、光照射に際して、レーザー光等のビ
ームをパターンマスクを通して、あるいはパターン状に
走査することによりパターン状に厚く銅等を析出させる
ことができる。また、色素層を基板表面に、パターン状
に吸着形成しておけば、銅等のめっき膜を基板表面にパ
ターン状に形成した銅等のめっき形成体を得ることがで
きる。また、銅等のめっき膜は、密着性に優れているの
で剥離しにくい。
成体は色素層の光を照射した部分にのみ銅等のめっき膜
を形成できるので、光照射に際して、レーザー光等のビ
ームをパターンマスクを通して、あるいはパターン状に
走査することによりパターン状に厚く銅等を析出させる
ことができる。また、色素層を基板表面に、パターン状
に吸着形成しておけば、銅等のめっき膜を基板表面にパ
ターン状に形成した銅等のめっき形成体を得ることがで
きる。また、銅等のめっき膜は、密着性に優れているの
で剥離しにくい。
【0019】(第4発明の効果)本第4発明の光利用め
っき方法では、色素層を形成した基板を、無電解めっき
液等の中に浸漬する代わりに、色素層上に前記溶液等を
付着させるので、色素層上を覆う溶液等の厚さが著しく
薄くなり、溶液等による光の吸収が極めて少なくなるた
め、浸漬する場合に比較して同一強度の光を照射した場
合、短時間に銅、貴金属等のメッキを行うことができ
る。また、基板のセッティングや光照射等を溶液中では
なく大気中で行えるようになり、作業性が向上する。さ
らに、本第4発明では前記第1発明の光利用めっき方法
と同様な効果を得ることができる。
っき方法では、色素層を形成した基板を、無電解めっき
液等の中に浸漬する代わりに、色素層上に前記溶液等を
付着させるので、色素層上を覆う溶液等の厚さが著しく
薄くなり、溶液等による光の吸収が極めて少なくなるた
め、浸漬する場合に比較して同一強度の光を照射した場
合、短時間に銅、貴金属等のメッキを行うことができ
る。また、基板のセッティングや光照射等を溶液中では
なく大気中で行えるようになり、作業性が向上する。さ
らに、本第4発明では前記第1発明の光利用めっき方法
と同様な効果を得ることができる。
【0020】
(第1具体例)本具体例は第1発明および第2発明の光
利用めっき方法を具体的に説明するものである。まず、
基板に色素層を形成する。色素層の形成に先立ち、基板
は、有機溶剤等で脱脂して用いる。また、基板表面に微
細な凹凸があると色素分子が吸着し易く、吸着層の形成
が容易になるため、基板表面は、エッチングされている
ことが望ましい。エッチング液としては、無機系の基板
に対しては、溶融アルカリ、加熱リン酸、フッ酸等を、
有機系の基板に対しては、硫酸−クロム酸混液、過マン
ガン酸カリウム−リン酸混液、リン酸−過塩素酸混液等
を用いることができる。
利用めっき方法を具体的に説明するものである。まず、
基板に色素層を形成する。色素層の形成に先立ち、基板
は、有機溶剤等で脱脂して用いる。また、基板表面に微
細な凹凸があると色素分子が吸着し易く、吸着層の形成
が容易になるため、基板表面は、エッチングされている
ことが望ましい。エッチング液としては、無機系の基板
に対しては、溶融アルカリ、加熱リン酸、フッ酸等を、
有機系の基板に対しては、硫酸−クロム酸混液、過マン
ガン酸カリウム−リン酸混液、リン酸−過塩素酸混液等
を用いることができる。
【0021】色素層の形成方法としては、例えば、イオ
ン交換水やアルコール、アセトン等の有機溶剤に色素を
溶解させ、脱脂、エッチングした基板をこの色素溶液に
浸漬するディップ法、あるいは、脱脂、エッチングした
基板上にこの色素溶液を噴霧するスプレー法等がある。
これらの方法により色素分子が基板上に吸着し、色素層
が形成される。
ン交換水やアルコール、アセトン等の有機溶剤に色素を
溶解させ、脱脂、エッチングした基板をこの色素溶液に
浸漬するディップ法、あるいは、脱脂、エッチングした
基板上にこの色素溶液を噴霧するスプレー法等がある。
これらの方法により色素分子が基板上に吸着し、色素層
が形成される。
【0022】基板に吸着させる色素としては、最低空分
子軌道のエネルギー準位が銅、ニッケル、コバルトおよ
び錫イオンの還元電位よりも卑であるならば、すなわ
ち、光照射に伴い最低空分子軌道に生成する電子が銅等
のイオンを還元できるならば特に限定されるものではな
く、例えばキサンテン系、アジン系、アクリジン系、ア
ントラキノン系、チアジン系、ポルフィリン系、トリフ
ェニルメタン系、シアニン系、オキサジン系、スチリル
系、ポリエン系等がある。これらの色素分子は極めて微
細で、基板に形成された色素層は、微細な色素分子が平
面的に吸着した形態をなしている。また、前記浸漬時
間、噴霧量は、色素の吸着力、色素溶液の液温、基板温
度に応じて適宜選択される。
子軌道のエネルギー準位が銅、ニッケル、コバルトおよ
び錫イオンの還元電位よりも卑であるならば、すなわ
ち、光照射に伴い最低空分子軌道に生成する電子が銅等
のイオンを還元できるならば特に限定されるものではな
く、例えばキサンテン系、アジン系、アクリジン系、ア
ントラキノン系、チアジン系、ポルフィリン系、トリフ
ェニルメタン系、シアニン系、オキサジン系、スチリル
系、ポリエン系等がある。これらの色素分子は極めて微
細で、基板に形成された色素層は、微細な色素分子が平
面的に吸着した形態をなしている。また、前記浸漬時
間、噴霧量は、色素の吸着力、色素溶液の液温、基板温
度に応じて適宜選択される。
【0023】また、本第1発明で用いる無電解銅、ニッ
ケル、コバルトおよび錫のめっき液は、光照射によって
色素層上に析出した銅等を核として銅等を析出させ、銅
等のめっき膜を形成する作用をなすものであれば、その
種類は特に限定されるものではない。
ケル、コバルトおよび錫のめっき液は、光照射によって
色素層上に析出した銅等を核として銅等を析出させ、銅
等のめっき膜を形成する作用をなすものであれば、その
種類は特に限定されるものではない。
【0024】また、無電解銅等のめっき液中に添加され
る犠牲酸化剤は、反応によって不可逆的に酸化分解して
電子を供給することができる、すなわち、光照射された
色素の最高被占分子軌道に生成する空準位に電子を供給
できる性質を持つものであれば特に限定されるものはな
く、例えば、アミン類、イミン類、アルカノールアミン
類、ヒドロキシカルボン酸類、アミノカルボン酸類から
選ばれた1種以上を用いればよい。また、犠牲酸化剤
は、前記の如く色素層に生成する空準位に電子を供給す
る作用をなすとともに、めっき液中に溶存し銅等の析出
を妨害する酸素を還元除去する働きもなすため、犠牲酸
化剤の濃度は、溶存酸素の濃度2〜3×10-4モル/l
より1桁以上高い濃度が望ましい。
る犠牲酸化剤は、反応によって不可逆的に酸化分解して
電子を供給することができる、すなわち、光照射された
色素の最高被占分子軌道に生成する空準位に電子を供給
できる性質を持つものであれば特に限定されるものはな
く、例えば、アミン類、イミン類、アルカノールアミン
類、ヒドロキシカルボン酸類、アミノカルボン酸類から
選ばれた1種以上を用いればよい。また、犠牲酸化剤
は、前記の如く色素層に生成する空準位に電子を供給す
る作用をなすとともに、めっき液中に溶存し銅等の析出
を妨害する酸素を還元除去する働きもなすため、犠牲酸
化剤の濃度は、溶存酸素の濃度2〜3×10-4モル/l
より1桁以上高い濃度が望ましい。
【0025】また、本第2発明で用いる貴金属イオン
は、金属状態に還元された場合に無電解めっき反応に活
性な触媒作用を示すものであれば、特に限定されるもの
ではなく、例えば、金、白金、パラジウム、銀等を用い
る。また、同時に使用される犠牲酸化剤としては、前記
のアミン類、イミン類、アルカノールアミン類、ヒドロ
キシカルボン酸類、アミノカルボン酸類から選ばれた1
種以上を用いる。
は、金属状態に還元された場合に無電解めっき反応に活
性な触媒作用を示すものであれば、特に限定されるもの
ではなく、例えば、金、白金、パラジウム、銀等を用い
る。また、同時に使用される犠牲酸化剤としては、前記
のアミン類、イミン類、アルカノールアミン類、ヒドロ
キシカルボン酸類、アミノカルボン酸類から選ばれた1
種以上を用いる。
【0026】また、基板の材質は特に限定はないが、そ
の表面に回路パターン等を形成しようとする場合は、無
機系のアルミナ基板や有機系のガラス−エポキシ基板等
の非導電性物質を用いる。
の表面に回路パターン等を形成しようとする場合は、無
機系のアルミナ基板や有機系のガラス−エポキシ基板等
の非導電性物質を用いる。
【0027】次に、犠牲酸化剤を含む無電解銅等のめっ
き液の調整を行う。この調整は通常の無電解銅等のめっ
きに使用される組成のめっき液に犠牲酸化剤を混合して
行なう。
き液の調整を行う。この調整は通常の無電解銅等のめっ
きに使用される組成のめっき液に犠牲酸化剤を混合して
行なう。
【0028】このように調整した溶液中に、色素層を形
成した基板を浸漬し、この色素層表面に光を照射する。
照射に用いる光源は、可視〜紫外領域の波長の光を発
し、吸着した色素の励起エネルギー以上のエネルギーを
持つ光を照射可能であればいかなるものでもよい。例え
ば、超高圧水銀、高圧水銀ならびに低圧水銀ランプ、キ
セノンアークランプ、タングステンランプ、各種レーザ
ー等があげられる。照射時間は、形成した色素層に吸収
される光量、液温、犠牲酸化剤の種類等に応じて適宜選
択される。
成した基板を浸漬し、この色素層表面に光を照射する。
照射に用いる光源は、可視〜紫外領域の波長の光を発
し、吸着した色素の励起エネルギー以上のエネルギーを
持つ光を照射可能であればいかなるものでもよい。例え
ば、超高圧水銀、高圧水銀ならびに低圧水銀ランプ、キ
セノンアークランプ、タングステンランプ、各種レーザ
ー等があげられる。照射時間は、形成した色素層に吸収
される光量、液温、犠牲酸化剤の種類等に応じて適宜選
択される。
【0029】(第2具体例)本具体例は、第1または第
2発明の光利用めっき方法において、無電解銅、ニッケ
ル、コバルトおよび錫のめっき液に添加する犠牲酸化剤
としてアミン類、イミン類、アルカノールアミン類、ヒ
ドロキシカルボン酸類、アミノカルボン酸類から選ばれ
た1種以上を用いるものである。
2発明の光利用めっき方法において、無電解銅、ニッケ
ル、コバルトおよび錫のめっき液に添加する犠牲酸化剤
としてアミン類、イミン類、アルカノールアミン類、ヒ
ドロキシカルボン酸類、アミノカルボン酸類から選ばれ
た1種以上を用いるものである。
【0030】無電解銅等のめっき液中の銅等のイオンの
還元は、光照射によって色素の最低空分子軌道に生成し
た電子によって行われる。しかし、前記したように、無
電解銅等のめっき液中には酸素が溶存しており、最低空
分子軌道に生成した電子は、この酸素の還元に消耗され
る。したがって、銅等のイオンの還元は、該溶存酸素を
ほぼ完全に還元するまでは行なわれない。本具体例の犠
牲酸化剤は溶存酸素の還元速度を早めることができ、そ
の結果、最低空分子軌道に生成した電子による銅等のイ
オンの還元の開始時期が早まって、短時間に厚い銅等の
めっき膜を形成させることができる。
還元は、光照射によって色素の最低空分子軌道に生成し
た電子によって行われる。しかし、前記したように、無
電解銅等のめっき液中には酸素が溶存しており、最低空
分子軌道に生成した電子は、この酸素の還元に消耗され
る。したがって、銅等のイオンの還元は、該溶存酸素を
ほぼ完全に還元するまでは行なわれない。本具体例の犠
牲酸化剤は溶存酸素の還元速度を早めることができ、そ
の結果、最低空分子軌道に生成した電子による銅等のイ
オンの還元の開始時期が早まって、短時間に厚い銅等の
めっき膜を形成させることができる。
【0031】図1は、かかる本具体例の犠牲酸化剤の溶
存酸素に対する効果を示したものである。本具体例の犠
牲酸化剤であるアミノカルボン酸に属するエチレンジア
ミン4酢酸−2ナトリウムは、従来の還元剤であるアル
コールに比べ、短時間の光照射で溶存酸素を完全に還元
でき、無電解銅めっきの開始を早めることができること
がわかる。
存酸素に対する効果を示したものである。本具体例の犠
牲酸化剤であるアミノカルボン酸に属するエチレンジア
ミン4酢酸−2ナトリウムは、従来の還元剤であるアル
コールに比べ、短時間の光照射で溶存酸素を完全に還元
でき、無電解銅めっきの開始を早めることができること
がわかる。
【0032】本結果は、以下に示す実験によって求め
た。まず、エチレンジアミン4酢酸−2ナトリウムと、
アジン系色素であるリボフラビンと、銅イオンを供給す
るための塩化銅を夫々0.02モル/l、1×10-5モ
ル/l、0.01モル/l混合した水溶液と、比較のた
めに、従来の還元剤としてメタノールを10vol%混
合した水溶液を作製した。エチレンジアミン4酢酸−2
ナトリウムを用いた場合の水溶液のpHは約12.3で
あり、エタノールを用いた場合の水溶液のpHは該水溶
液が通常用いるpHである3とした。次に、水溶液中の
溶存酸素の濃度を検出するために、これらの水溶液中に
溶存酸素濃度検出用の電極を挿入した。次に、両水溶液
全体に光があたるように可視光線を照射し、照射時間に
対する溶存酸素濃度の変化を求めた。
た。まず、エチレンジアミン4酢酸−2ナトリウムと、
アジン系色素であるリボフラビンと、銅イオンを供給す
るための塩化銅を夫々0.02モル/l、1×10-5モ
ル/l、0.01モル/l混合した水溶液と、比較のた
めに、従来の還元剤としてメタノールを10vol%混
合した水溶液を作製した。エチレンジアミン4酢酸−2
ナトリウムを用いた場合の水溶液のpHは約12.3で
あり、エタノールを用いた場合の水溶液のpHは該水溶
液が通常用いるpHである3とした。次に、水溶液中の
溶存酸素の濃度を検出するために、これらの水溶液中に
溶存酸素濃度検出用の電極を挿入した。次に、両水溶液
全体に光があたるように可視光線を照射し、照射時間に
対する溶存酸素濃度の変化を求めた。
【0033】可視光線を照射後、溶存酸素が完全に還元
された時点から約2分後に、微細な銅が析出し、リボフ
ラビンを含む溶液が銅色を呈するのが確認された。
された時点から約2分後に、微細な銅が析出し、リボフ
ラビンを含む溶液が銅色を呈するのが確認された。
【0034】(第3具体例)本具体例は、第1発明の光
利用めっき方法において、無電解銅、ニッケル、コバル
トおよび錫のめっき液に添加する犠牲酸化剤として、光
照射された色素の最高被占分子軌道に生成する空準位に
電子を供給できる性質を有すると同時に、無電解銅等の
めっき液中において、銅等のイオンを安定化させる性質
を有する、すなわち、錯化剤として使用される物質を用
いる。このような犠牲酸化剤として、トリエタノールア
ミン、エチレンジアミン4酢酸、酒石酸カリウムナトリ
ウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ポ
リエチレンイミン、エチレンジアミン、ジエチレンジア
ミン、ジエチレントリアミン、ジエチレントリアミン5
酢酸、トリエチレンテトラミン、トリアミノトリエチル
アミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘ
キサミン、ニトリロトリ酢酸、グルコン酸、ペンタヒド
ロキシプロピルジエチレントリアミン、N−ヒドロキシ
エチルエチレンジアミントリ酢酸、クアドロール、トリ
イソプロパノールアミン等がある。
利用めっき方法において、無電解銅、ニッケル、コバル
トおよび錫のめっき液に添加する犠牲酸化剤として、光
照射された色素の最高被占分子軌道に生成する空準位に
電子を供給できる性質を有すると同時に、無電解銅等の
めっき液中において、銅等のイオンを安定化させる性質
を有する、すなわち、錯化剤として使用される物質を用
いる。このような犠牲酸化剤として、トリエタノールア
ミン、エチレンジアミン4酢酸、酒石酸カリウムナトリ
ウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ポ
リエチレンイミン、エチレンジアミン、ジエチレンジア
ミン、ジエチレントリアミン、ジエチレントリアミン5
酢酸、トリエチレンテトラミン、トリアミノトリエチル
アミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘ
キサミン、ニトリロトリ酢酸、グルコン酸、ペンタヒド
ロキシプロピルジエチレントリアミン、N−ヒドロキシ
エチルエチレンジアミントリ酢酸、クアドロール、トリ
イソプロパノールアミン等がある。
【0035】本具体例の如く、犠牲酸化剤に錯化剤とし
ての働きを持たせる場合には、その濃度は、前記した如
く、無電解銅等のめっき液中の溶存酸素濃度より1桁以
上高くするとともに、無電解銅等のめっき液に添加され
ている銅等のイオン濃度の2〜25倍がよい。2倍以下
では、無電解銅等のめっき液が不安定となり、25倍以
上では、無電解銅等のめっき液が過度に安定になりすぎ
てめっき速度が低下するため好ましくない。
ての働きを持たせる場合には、その濃度は、前記した如
く、無電解銅等のめっき液中の溶存酸素濃度より1桁以
上高くするとともに、無電解銅等のめっき液に添加され
ている銅等のイオン濃度の2〜25倍がよい。2倍以下
では、無電解銅等のめっき液が不安定となり、25倍以
上では、無電解銅等のめっき液が過度に安定になりすぎ
てめっき速度が低下するため好ましくない。
【0036】このように、溶存酸素の還元に錯化剤でも
ある犠牲酸化剤が多少使われても無電解めっき液中の錯
化剤の濃度は0.2〜0.3モル/lと溶存酸素濃度が
2〜3×10-4モル/lであるのに対し約1000倍高
濃度であって、無電解銅等のめっき液の組成はほとんど
変化しない。
ある犠牲酸化剤が多少使われても無電解めっき液中の錯
化剤の濃度は0.2〜0.3モル/lと溶存酸素濃度が
2〜3×10-4モル/lであるのに対し約1000倍高
濃度であって、無電解銅等のめっき液の組成はほとんど
変化しない。
【0037】無電解銅等のめっき液は、前記したように
通常、銅等のイオンの塩、還元剤と錯化剤から構成され
るが、本具体例の如く犠牲酸化剤が錯化剤としても使え
る物質であれば、無電解銅等のめっき液に錯化剤を別途
添加する必要がなく、めっき液の組成が簡易なものとな
り、かつ、取扱いも容易になる。また、貴金属イオンの
還元は、光照射によって色素の最低空分子軌道に生成し
た電子によって行われ、溶存酸素の還元よりも起き易
い、したがって、使用する犠牲酸化剤の濃度は貴金属イ
オン濃度以上であれば、特に限定されるものではない。
通常、銅等のイオンの塩、還元剤と錯化剤から構成され
るが、本具体例の如く犠牲酸化剤が錯化剤としても使え
る物質であれば、無電解銅等のめっき液に錯化剤を別途
添加する必要がなく、めっき液の組成が簡易なものとな
り、かつ、取扱いも容易になる。また、貴金属イオンの
還元は、光照射によって色素の最低空分子軌道に生成し
た電子によって行われ、溶存酸素の還元よりも起き易
い、したがって、使用する犠牲酸化剤の濃度は貴金属イ
オン濃度以上であれば、特に限定されるものではない。
【0038】(実施例1)まず、純度96%のアルミナ
基板を33枚用意した(No.1〜33)。これらの基
板を試薬特級のアセトン中で3分間超音波洗浄後、1モ
ル/lのHF溶液中で60分間浸漬してエッチングし
た。その後、1モル/lのNaOH水溶液中に60分間
浸漬して中和し、さらに水洗、乾燥した。次に、表1〜
3に示す33種類の色素溶液を使用して、イオン交換
水、エタノールまたはアセトンを溶媒として2×10-4
モル/lの濃度の色素溶液を用意し、No.1〜33の
各アルミナ基板を所定の時間浸漬後、使用した各溶媒で
洗浄して乾燥した。かかる処理を施すことによって、基
板表面に色素が吸着し、色素層が形成された。
基板を33枚用意した(No.1〜33)。これらの基
板を試薬特級のアセトン中で3分間超音波洗浄後、1モ
ル/lのHF溶液中で60分間浸漬してエッチングし
た。その後、1モル/lのNaOH水溶液中に60分間
浸漬して中和し、さらに水洗、乾燥した。次に、表1〜
3に示す33種類の色素溶液を使用して、イオン交換
水、エタノールまたはアセトンを溶媒として2×10-4
モル/lの濃度の色素溶液を用意し、No.1〜33の
各アルミナ基板を所定の時間浸漬後、使用した各溶媒で
洗浄して乾燥した。かかる処理を施すことによって、基
板表面に色素が吸着し、色素層が形成された。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】次に、犠牲酸化剤であるエチレンジアミン
4酢酸(EDTA)が錯化剤を兼ねる無電解銅めっき液
(表4)を用意した。室温に保持された無電解銅めっき
液中に、前記色素層を形成したアルミナ基板を浸漬し、
光照射に伴う銅の析出状況をSEMにより調査した。光
源としては、超高圧水銀ランプ(250W)を使用し、
熱の効果を除くため、光を赤外線カットフィルター透過
させ、透過後の全光をマスクを通して照射した。
4酢酸(EDTA)が錯化剤を兼ねる無電解銅めっき液
(表4)を用意した。室温に保持された無電解銅めっき
液中に、前記色素層を形成したアルミナ基板を浸漬し、
光照射に伴う銅の析出状況をSEMにより調査した。光
源としては、超高圧水銀ランプ(250W)を使用し、
熱の効果を除くため、光を赤外線カットフィルター透過
させ、透過後の全光をマスクを通して照射した。
【0043】
【表4】
【0044】表5〜8に、吸着した色素、無電解銅めっ
き条件、銅の析出状態を示す。5分間光照射後、無電解
銅めっき液から引き上げたアルミナ基板上には、光を照
射した部分に直径数100〜数1000Åの半球状の銅
が島状に析出していた。光照射を停止後、そのままめっ
き液中に60時間放置したアルミナ基板上には、光照射
した部分に10〜60μmの銅の析出層が形成されてい
た。また、この銅の析出層をX線回折により物質同定を
行ったところ、Cu2 O等の銅以外の回折線は観察され
ず、純粋な銅皮膜であることが確認された。また、光を
照射しない部位には銅の析出が認められず、本実施例の
光利用めっき方法によって光照射部に銅を厚く析出でき
ることが確認された。また、銅が島状に析出した場合で
も、析出した銅を核として連続的な厚い銅めっき膜を形
成できることがわかる。また、トリエタノールアミン
(TEA)型、酒石酸カリウムナトリウム(Tart)
型の無電解銅めっき液を使用した場合、基板としてガラ
スーエポキシ基板を使用した場合にも同様の結果が得ら
れた。
き条件、銅の析出状態を示す。5分間光照射後、無電解
銅めっき液から引き上げたアルミナ基板上には、光を照
射した部分に直径数100〜数1000Åの半球状の銅
が島状に析出していた。光照射を停止後、そのままめっ
き液中に60時間放置したアルミナ基板上には、光照射
した部分に10〜60μmの銅の析出層が形成されてい
た。また、この銅の析出層をX線回折により物質同定を
行ったところ、Cu2 O等の銅以外の回折線は観察され
ず、純粋な銅皮膜であることが確認された。また、光を
照射しない部位には銅の析出が認められず、本実施例の
光利用めっき方法によって光照射部に銅を厚く析出でき
ることが確認された。また、銅が島状に析出した場合で
も、析出した銅を核として連続的な厚い銅めっき膜を形
成できることがわかる。また、トリエタノールアミン
(TEA)型、酒石酸カリウムナトリウム(Tart)
型の無電解銅めっき液を使用した場合、基板としてガラ
スーエポキシ基板を使用した場合にも同様の結果が得ら
れた。
【0045】
【表5】
【0046】
【表6】
【0047】
【表7】
【0048】
【表8】
【0049】なお、無電解銅めっき液中に酸素濃度検出
用の電極を挿入し、光照射後のめっき液中の溶存酸素量
の推移を調べたところ、約4分で酸素量が0になった。
その際、各基板表面の状態を観察したところ、溶存酸素
量が0になってから約3分後に銅色になるのが見られ、
本実施例の犠牲酸化剤を用いると溶存酸素を短時間に還
元でき、銅の析出開始時間を早めることができる。
用の電極を挿入し、光照射後のめっき液中の溶存酸素量
の推移を調べたところ、約4分で酸素量が0になった。
その際、各基板表面の状態を観察したところ、溶存酸素
量が0になってから約3分後に銅色になるのが見られ、
本実施例の犠牲酸化剤を用いると溶存酸素を短時間に還
元でき、銅の析出開始時間を早めることができる。
【0050】(実施例2)実施例1に記載したと同様の
方法によって、脱脂、エッチング、水洗、乾燥したアル
ミナ基板を各試料について9枚づつ用意した(No.3
4、35)。No.34のアルミナ基板については、1
g/lのTiO2 ゾル(日産化学工業株式会社製、粒径
100〜200Å、ルチル/アナターゼ混合)溶液に2
秒間浸漬後、10秒間流水中で水洗して乾燥した。乾燥
後、さらに500℃で1時間焼成し、半導体であるTi
O2 を担持したアルミナ基板とした。No.35のアル
ミナ基板については、実施例1に記載したNo.8と同
じ方法によってアルミナ基板上にエオシン Yからなる
色素層を形成した。つぎに、2mm角の窓を設けたマス
クを用意し、このマスクを前記アルミナ基板の色素層に
被せ、実施例1と同じ方法によってアルミナ基板に光照
射を5分間行った後、無電解銅めっき液(EDTA型)
の中に16時間放置して、2mm角の窓の部分に銅の析
出したアルミナ基板を作製した。この基板を市販の無電
解ニッケルめっき液(日本カニゼン株式会社製、S75
4)中で、15分間ニッケルをめっきした後、250℃
の溶融はんだ中に5秒間保持することにより、めっき部
位に、錫めっき銅線をはんだ付けしてピール密着強度の
測定を行った。表9に、測定されたピール密着強度を示
す。このデータは各試料とも9枚の平均である。エオシ
ン Yからなる色素層を形成したアルミナ基板では、T
iO2 を担持したアルミナ基板に比較して、ピール密着
強度は70%増加しており、半導体であるTiO2 を担
持したアルミナ基板よりも、色素層を形成したアルミナ
基板の方が、光照射部に析出した銅の基板に対し密着力
が向上することが確認された。
方法によって、脱脂、エッチング、水洗、乾燥したアル
ミナ基板を各試料について9枚づつ用意した(No.3
4、35)。No.34のアルミナ基板については、1
g/lのTiO2 ゾル(日産化学工業株式会社製、粒径
100〜200Å、ルチル/アナターゼ混合)溶液に2
秒間浸漬後、10秒間流水中で水洗して乾燥した。乾燥
後、さらに500℃で1時間焼成し、半導体であるTi
O2 を担持したアルミナ基板とした。No.35のアル
ミナ基板については、実施例1に記載したNo.8と同
じ方法によってアルミナ基板上にエオシン Yからなる
色素層を形成した。つぎに、2mm角の窓を設けたマス
クを用意し、このマスクを前記アルミナ基板の色素層に
被せ、実施例1と同じ方法によってアルミナ基板に光照
射を5分間行った後、無電解銅めっき液(EDTA型)
の中に16時間放置して、2mm角の窓の部分に銅の析
出したアルミナ基板を作製した。この基板を市販の無電
解ニッケルめっき液(日本カニゼン株式会社製、S75
4)中で、15分間ニッケルをめっきした後、250℃
の溶融はんだ中に5秒間保持することにより、めっき部
位に、錫めっき銅線をはんだ付けしてピール密着強度の
測定を行った。表9に、測定されたピール密着強度を示
す。このデータは各試料とも9枚の平均である。エオシ
ン Yからなる色素層を形成したアルミナ基板では、T
iO2 を担持したアルミナ基板に比較して、ピール密着
強度は70%増加しており、半導体であるTiO2 を担
持したアルミナ基板よりも、色素層を形成したアルミナ
基板の方が、光照射部に析出した銅の基板に対し密着力
が向上することが確認された。
【0051】
【表9】
【0052】(実施例3)実施例1に記載したと同様の
方法によって、脱脂、エッチング、水洗、乾燥したアル
ミナ基板を16枚用意した(No.36〜51)。N
o.36、37、44、45のアルミナ基板について
は、実施例1に記載したNo.6と同じ方法によってア
ルミナ基板上にローズ ベンガルからなる色素層を形成
した。No.38、39、46、47のアルミナ基板に
ついては、実施例1に記載したNo.7と同じ方法によ
ってアルミナ基板上にエリスロシン Bからなる色素層
を形成した。No.40、41、48、49のアルミナ
基板については、実施例1に記載したNo.8と同じ方
法によってアルミナ基板上にエオシン Yからなる色素
層を形成した。No.42、43、50、51のアルミ
ナ基板については、実施例1に記載したNo.10と同
じ方法によってアルミナ基板上にジブロモフルオレッセ
インからなる色素層を形成した。
方法によって、脱脂、エッチング、水洗、乾燥したアル
ミナ基板を16枚用意した(No.36〜51)。N
o.36、37、44、45のアルミナ基板について
は、実施例1に記載したNo.6と同じ方法によってア
ルミナ基板上にローズ ベンガルからなる色素層を形成
した。No.38、39、46、47のアルミナ基板に
ついては、実施例1に記載したNo.7と同じ方法によ
ってアルミナ基板上にエリスロシン Bからなる色素層
を形成した。No.40、41、48、49のアルミナ
基板については、実施例1に記載したNo.8と同じ方
法によってアルミナ基板上にエオシン Yからなる色素
層を形成した。No.42、43、50、51のアルミ
ナ基板については、実施例1に記載したNo.10と同
じ方法によってアルミナ基板上にジブロモフルオレッセ
インからなる色素層を形成した。
【0053】次に、犠牲酸化剤であるトリイソプロパノ
ールアミン(TIPA)が錯化剤を兼ねる無電解ニッケ
ルめっき液(表10)、無電解コバルトめっき液(表1
1)を用意した。各めっき液のpHは10.0または1
1.0とし、沈澱物等が生じた場合には、濾過後、使用
した。また、液温は、60〜65℃とした。該めっき液
中に前記アルミナ基板を浸漬し、各基板に実施例1と同
一光源を用いて光を照射し、光照射に伴うニッケル、コ
バルトの析出状態をSEMにより観察した。表12、1
3に吸着した色素、無電解めっき液の種類、試験条件、
ニッケルおよびコバルトの析出状態を示す。
ールアミン(TIPA)が錯化剤を兼ねる無電解ニッケ
ルめっき液(表10)、無電解コバルトめっき液(表1
1)を用意した。各めっき液のpHは10.0または1
1.0とし、沈澱物等が生じた場合には、濾過後、使用
した。また、液温は、60〜65℃とした。該めっき液
中に前記アルミナ基板を浸漬し、各基板に実施例1と同
一光源を用いて光を照射し、光照射に伴うニッケル、コ
バルトの析出状態をSEMにより観察した。表12、1
3に吸着した色素、無電解めっき液の種類、試験条件、
ニッケルおよびコバルトの析出状態を示す。
【0054】
【表10】
【0055】
【表11】
【0056】
【表12】
【0057】
【表13】
【0058】光照射後、ローズ ベンガル、エリスロシ
ン B、エオシン Y、ジブロモフルオレッセインを吸
着した基板上の光照射部には、ニッケルおよびコバルト
が直径約1000Åの半球状に析出していた(No.3
6、38、40、42、44、46、48、50)。ま
た、光照射を停止し、そのままめっき液中に2時間放置
したアルミナ基板上には、光照射した部分に約10μm
のニッケルまたは約2μmコバルトの析出層が形成され
ていた(No.37、39、41、43、45、47、
49、51)。これらニッケルおよびコバルトの析出層
をX線回折により物質同定を行ったところ、それぞれニ
ッケルおよびコバルトであることが確認された。
ン B、エオシン Y、ジブロモフルオレッセインを吸
着した基板上の光照射部には、ニッケルおよびコバルト
が直径約1000Åの半球状に析出していた(No.3
6、38、40、42、44、46、48、50)。ま
た、光照射を停止し、そのままめっき液中に2時間放置
したアルミナ基板上には、光照射した部分に約10μm
のニッケルまたは約2μmコバルトの析出層が形成され
ていた(No.37、39、41、43、45、47、
49、51)。これらニッケルおよびコバルトの析出層
をX線回折により物質同定を行ったところ、それぞれニ
ッケルおよびコバルトであることが確認された。
【0059】また、光を照射しない部分には、ニッケル
およびコバルトの析出が認められず、本実施例の光利用
めっき方法によって光照射部のみに、ニッケルおよびコ
バルトを厚く析出できることが確認された。
およびコバルトの析出が認められず、本実施例の光利用
めっき方法によって光照射部のみに、ニッケルおよびコ
バルトを厚く析出できることが確認された。
【0060】また、ニッケルおよびコバルトが島状に析
出した場合でも、析出したニッケルおよびコバルトを核
として連続的な厚いニッケルおよびコバルトのめっき膜
を形成できることがわかる。
出した場合でも、析出したニッケルおよびコバルトを核
として連続的な厚いニッケルおよびコバルトのめっき膜
を形成できることがわかる。
【0061】また、クエン酸(Cit)型、トリエタノ
ールアミン(TEA)型の無電解ニッケルめっき液を使
用した場合、ニトリロトリ酢酸(NTA)型の無電解コ
バルトめっき液を使用した場合、基板としてガラス−エ
ポキシ基板を使用した場合にも同様の結果が得られた。
ールアミン(TEA)型の無電解ニッケルめっき液を使
用した場合、ニトリロトリ酢酸(NTA)型の無電解コ
バルトめっき液を使用した場合、基板としてガラス−エ
ポキシ基板を使用した場合にも同様の結果が得られた。
【0062】(実施例4)実施例1に記載したと同様の
方法によって、脱脂、エッチング、水洗、乾燥したアル
ミナ基板を各試料について6枚づつ用意した(No.5
2〜57)。次に、実施例1に記載したNo.8と同じ
方法によってアルミナ基板上にエオシンYからなる色素
層を形成した。
方法によって、脱脂、エッチング、水洗、乾燥したアル
ミナ基板を各試料について6枚づつ用意した(No.5
2〜57)。次に、実施例1に記載したNo.8と同じ
方法によってアルミナ基板上にエオシンYからなる色素
層を形成した。
【0063】次に、犠牲酸化剤であるエチレンジアミン
4酢酸(EDTA)とパラジウムイオンを含む溶液(表
14)を用意した。室温にて、該溶液中に前記アルミナ
基板を浸漬し、各基板に実施例1と同一光源を用いて光
を照射し、充分水洗後、室温条件で無電解銅めっき液
(表4、EDTA型)、無電解ニッケルめっき液(表1
0、Cit型、pH=11.0)、無電解コバルトめっ
き液(表11、Tart型、pH=11.0)中に浸漬
し、光照射に伴う銅、ニッケルおよびコバルトの析出状
態をSEMにより観察した。表15に、無電解めっき液
の種類、試験条件、銅、ニッケルおよびコバルトの析出
状態を示す。
4酢酸(EDTA)とパラジウムイオンを含む溶液(表
14)を用意した。室温にて、該溶液中に前記アルミナ
基板を浸漬し、各基板に実施例1と同一光源を用いて光
を照射し、充分水洗後、室温条件で無電解銅めっき液
(表4、EDTA型)、無電解ニッケルめっき液(表1
0、Cit型、pH=11.0)、無電解コバルトめっ
き液(表11、Tart型、pH=11.0)中に浸漬
し、光照射に伴う銅、ニッケルおよびコバルトの析出状
態をSEMにより観察した。表15に、無電解めっき液
の種類、試験条件、銅、ニッケルおよびコバルトの析出
状態を示す。
【0064】
【表14】
【0065】
【表15】
【0066】光照射後、基板上の光照射部には、直径数
100Åの半球状にパラジウムが析出していた(No.
52、54、56)。また、光照射を停止し、そのまま
めっき液中に2時間放置したアルミナ基板上には、光照
射した部分に約2μmの銅、ニッケルおよびコバルトの
析出層が形成されていた(No.53、55、57)。
これら銅、ニッケルおよびコバルトの析出層をX線回折
により物質同定を行ったところ、それぞれ銅、ニッケル
およびコバルトであることが確認された。
100Åの半球状にパラジウムが析出していた(No.
52、54、56)。また、光照射を停止し、そのまま
めっき液中に2時間放置したアルミナ基板上には、光照
射した部分に約2μmの銅、ニッケルおよびコバルトの
析出層が形成されていた(No.53、55、57)。
これら銅、ニッケルおよびコバルトの析出層をX線回折
により物質同定を行ったところ、それぞれ銅、ニッケル
およびコバルトであることが確認された。
【0067】また、光を照射しない部分には、銅、ニッ
ケルおよびコバルトの析出が認められず、本実施例の光
利用めっき方法によって光照射部のみに、銅、ニッケル
およびコバルトを厚く析出できることが確認された。
ケルおよびコバルトの析出が認められず、本実施例の光
利用めっき方法によって光照射部のみに、銅、ニッケル
およびコバルトを厚く析出できることが確認された。
【0068】(実施例5)実施例1に記載したと同様の
方法によって、脱脂、エッチング、水洗、乾燥したアル
ミナ基板を用意した(No.58、59)。これらのア
ルミナ基板は、実施例1に記載したNo.8と同じ方法
によってアルミナ基板上にエオシン Yからなる色素層
を形成した。次に、犠牲酸化剤であるエチレンジアミン
4酢酸(EDTA)を0.3モル/l、硫酸銅を0.0
4モル/l含むpH=12.5の溶液を用意した。
方法によって、脱脂、エッチング、水洗、乾燥したアル
ミナ基板を用意した(No.58、59)。これらのア
ルミナ基板は、実施例1に記載したNo.8と同じ方法
によってアルミナ基板上にエオシン Yからなる色素層
を形成した。次に、犠牲酸化剤であるエチレンジアミン
4酢酸(EDTA)を0.3モル/l、硫酸銅を0.0
4モル/l含むpH=12.5の溶液を用意した。
【0069】この溶液中に前記色素層を形成した各アル
ミナ基板を浸漬した後、引上げ、実施例1と同一光源を
用いて5分間溶液を介して色素層に光を照射した。その
後、室温条件で無電解銅めっき液(表4、EDTA型)
中に浸漬し、光照射に伴う銅の析出状態をSEMにより
観察した光照射後、No.58の基板上の光照射部に
は、直径数100Åの半球状に銅が析出していた。ま
た、光照射を停止し、そのままめっき液中に60時間放
置したNo.59のアルミナ基板上には、光照射した部
分に約40μmの銅の析出層が形成されていた。この銅
の析出層をX線回折により物質同定を行ったところ、銅
であることが確認された。また、光を照射しない部分に
は、銅の析出は認められず、本実施例の光利用めっき方
法によって光照射部のみに、銅を厚く析出できることが
確認された。
ミナ基板を浸漬した後、引上げ、実施例1と同一光源を
用いて5分間溶液を介して色素層に光を照射した。その
後、室温条件で無電解銅めっき液(表4、EDTA型)
中に浸漬し、光照射に伴う銅の析出状態をSEMにより
観察した光照射後、No.58の基板上の光照射部に
は、直径数100Åの半球状に銅が析出していた。ま
た、光照射を停止し、そのままめっき液中に60時間放
置したNo.59のアルミナ基板上には、光照射した部
分に約40μmの銅の析出層が形成されていた。この銅
の析出層をX線回折により物質同定を行ったところ、銅
であることが確認された。また、光を照射しない部分に
は、銅の析出は認められず、本実施例の光利用めっき方
法によって光照射部のみに、銅を厚く析出できることが
確認された。
【図1】光照射時間と溶存酸素濃度の関係を示す図であ
る。
る。
Claims (4)
- 【請求項1】 基板表面に色素分子からなる色素層を形
成する工程と、不可逆的に酸化分解して電子を供給する
犠牲酸化剤と、銅、ニッケル、コバルトおよび錫イオン
の少なくとも1種とを含む無電解めっき液中に、前記色
素層を形成した基板を浸漬する工程と、前記色素層に色
素の励起エネルギー以上のエネルギーを持つ光を照射す
る工程とからなり、色素層の光を照射した部分に、銅、
ニッケル、コバルトおよび錫の少なくとも1種を含むめ
っき膜を形成することを特徴とする光利用めっき方法。 - 【請求項2】 基板表面に色素分子からなる色素層を形
成する工程と、不可逆的に酸化分解して電子を供給する
犠牲酸化剤と貴金属イオンを含む溶液中に、前記色素層
を形成した基板を浸漬する工程と、前記色素層に色素の
励起エネルギー以上のエネルギーを持つ光を照射する工
程と、銅、ニッケル、コバルトおよび錫イオンの少なく
とも1種を含む無電解めっき液中に、前記色素層を形成
した基板を浸漬する工程とからなり、色素層の光を照射
した部分に、銅、ニッケル、コバルトおよび錫の少なく
とも1種を含むめっき膜を形成することを特徴とする光
利用めっき方法。 - 【請求項3】 基板と、この基板上に形成した色素分子
からなる色素層と、この色素層表面の光を照射した部分
に形成した、銅、ニッケル、コバルトおよび錫の少なく
とも1種を含むめっき膜を有することを特徴とするめっ
き膜形成体。 - 【請求項4】 基板表面に色素分子からなる色素層を形
成する工程と、不可逆的に酸化分解して電子を供給する
犠牲酸化剤と、銅、ニッケル、コバルトおよび錫イオン
の少なくとも1種とを含む溶液または不可逆的に酸化分
解して電子を供給する犠牲酸化剤と貴金属イオンを含む
溶液を前記色素層上に付着する工程と、前記色素層に色
素の励起エネルギー以上のエネルギーを持つ光を照射す
る工程と、銅、ニッケル、コバルトおよび錫イオンの少
なくとも1種を含む無電解めっき液中に、前記色素層を
形成した基板を浸漬する工程とからなり、色素層の光を
照射した部分に、銅、ニッケル、コバルトおよび錫の少
なくとも1種を含むめっき膜を形成することを特徴とす
る光利用めっき方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5154193A JPH06136547A (ja) | 1992-02-17 | 1993-02-16 | 光利用めっき方法およびめっき膜形成体 |
Applications Claiming Priority (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6916592 | 1992-02-17 | ||
JP26951992 | 1992-09-11 | ||
JP4-269519 | 1992-09-11 | ||
JP4-69165 | 1992-09-11 | ||
JP5154193A JPH06136547A (ja) | 1992-02-17 | 1993-02-16 | 光利用めっき方法およびめっき膜形成体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06136547A true JPH06136547A (ja) | 1994-05-17 |
Family
ID=27294351
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5154193A Pending JPH06136547A (ja) | 1992-02-17 | 1993-02-16 | 光利用めっき方法およびめっき膜形成体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06136547A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008163447A (ja) * | 2000-12-15 | 2008-07-17 | Arizona Board Of Regents | 前駆体を含有するナノ粒子を用いた金属のパターニング方法 |
JP2009228097A (ja) * | 2008-03-25 | 2009-10-08 | Institute Of Physical & Chemical Research | 3次元ナノ金属構造体の光還元加工法 |
JP2016176116A (ja) * | 2015-03-20 | 2016-10-06 | 株式会社Adeka | ニッケル膜形成用組成物及びそれを用いたニッケル膜の製造方法 |
-
1993
- 1993-02-16 JP JP5154193A patent/JPH06136547A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008163447A (ja) * | 2000-12-15 | 2008-07-17 | Arizona Board Of Regents | 前駆体を含有するナノ粒子を用いた金属のパターニング方法 |
US8557017B2 (en) | 2000-12-15 | 2013-10-15 | The Arizona Board Of Regents | Method for patterning metal using nanoparticle containing precursors |
US8779030B2 (en) | 2000-12-15 | 2014-07-15 | The Arizona Board of Regents, The University of Arizone | Method for patterning metal using nanoparticle containing precursors |
JP2009228097A (ja) * | 2008-03-25 | 2009-10-08 | Institute Of Physical & Chemical Research | 3次元ナノ金属構造体の光還元加工法 |
JP2016176116A (ja) * | 2015-03-20 | 2016-10-06 | 株式会社Adeka | ニッケル膜形成用組成物及びそれを用いたニッケル膜の製造方法 |
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