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JPH06103988A - 固体電解質型燃料電池 - Google Patents

固体電解質型燃料電池

Info

Publication number
JPH06103988A
JPH06103988A JP4247965A JP24796592A JPH06103988A JP H06103988 A JPH06103988 A JP H06103988A JP 4247965 A JP4247965 A JP 4247965A JP 24796592 A JP24796592 A JP 24796592A JP H06103988 A JPH06103988 A JP H06103988A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
solid electrolyte
air electrode
electrolyte portion
fuel cell
metal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP4247965A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinji Kawasaki
真司 川崎
Shigenori Ito
重則 伊藤
Katsumi Yoshioka
克己 吉岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NGK Insulators Ltd
Original Assignee
NGK Insulators Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NGK Insulators Ltd filed Critical NGK Insulators Ltd
Priority to JP4247965A priority Critical patent/JPH06103988A/ja
Priority to US08/119,690 priority patent/US5527633A/en
Priority to DE69317970T priority patent/DE69317970T2/de
Priority to EP93307308A priority patent/EP0588632B1/en
Publication of JPH06103988A publication Critical patent/JPH06103988A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
  • Conductive Materials (AREA)
  • Fuel Cell (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 固体電解質型燃料電池(SOFC)の固体電
解質部分の気密性を向上させ、これを薄くしても燃料漏
れが生じないようにし、SOFCの単電池当りの出力を
向上させることである。 【構成】 固体電解質部分をイオン伝導体として備えた
固体電解質型燃料電池を提供する。マンガン、鉄、コバ
ルト、ニッケル、銅及び亜鉛からなる群より選ばれた一
種以上の金属原子が、固体電解質部分内の全金属原子に
対して平均で1atm %以上、15 atm%以下の含有率で前
記固体電解質部分内に含有されていることを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、固体電解質型燃料電池
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】固体電解質型燃料電池(SOFC)は、
1000℃の高温で作動するため電極反応が極めて活発で、
高価な白金などの貴金属触媒を全く必要とせず、分極が
小さく、出力電圧も比較的高いため、エネルギー変換効
率が他の燃料電池にくらべ著しく高い。更に、構造材は
全て固体から構成されるため、安定且つ長寿命である。
現在、SOFCの固体電解質膜の構成材料としては安定
化ジルコニアが、空気電極の構成材料としてはランタン
系ペロブスカイト型複合酸化物が、それぞれ最も有望か
つ一般的である(エネルギー総合工学 13 −2, 1990
年) 。
【0003】一般に固体電解質膜及び空気電極の形成法
は、乾式法と湿式法とに分けられる。乾式法としてはE
VD法、溶射法が代表的であり、湿式法としてはテープ
キャスティング法、スリップキャスティング法、押し出
し成形法等がある(エネルギー総合工学 13 −2, 1990
年) 。化学蒸着法(CVD法)や電気化学的蒸着法(E
VD法)等のいわゆる気相法によると、装置が大型化
し、処理面積、処理速度が小さすぎる。また、塩化ジル
コニウム等を使用したり、水蒸気を酸素と混合して使用
したりするので、ランニングコストが嵩む。
【0004】プラズマ溶射によって固体電解質膜を形成
すれば、成膜速度を大きくでき、装置等の取り扱いも簡
単であり、かつ薄膜を比較的緻密に成膜できる。このた
め、プラズマ溶射法は従来から使用されている(サンシ
ャイン 1981, Vo1. 2, No.1: エネルギー総合工学 13
−2, 1990 年) 。
【0005】しかし、プラズマ溶射により形成した固体
電解質膜の気孔率は一般に5%を越え、10%にも及ぶの
で、SOFC用の固体電解質膜としては緻密性が不充分
であり、プラズマ溶射の段階でこの膜内にクラックや層
状をなした欠陥が発生する。このため、SOFCの動作
時に、固体電解質膜を水素、一酸化炭素等が透過する燃
料漏れが発生し、SOFC単セル当りの起電力が通常よ
りも小さくなり、出力が低下し、燃料の電力への変換率
が悪くなった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、固体
電解質型燃料電池の固体電解質部分の気密性を向上さ
せ、これを薄くしても燃料漏れが生じないようにし、S
OFCの単電池当りの出力を向上させることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、固体電解質部
分をイオン伝導体として備えた固体電解質型燃料電池で
あって、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜
鉛からなる群より選ばれた一種以上の金属原子が、前記
固体電解質部分内の全金属原子に対して平均で1atom%
以上、15atom%以下の含有率で前記固体電解質部分内に
含有されていることを特徴とする、固体電解質型燃料電
池に係るものである。
【0008】
【作用】本発明者は、マンガン、鉄、コバルト、ニッケ
ル、銅及び亜鉛からなる群より選ばれた一種以上の金属
原子を固体電解質部分に含有させると、従来よりも遥か
に気密性の高い固体電解質部分を形成できることを発見
し、本発明を完成した。この結果、固体電解質部分を薄
くしても、燃料漏れが生じない程度の気密性を達成でき
る。固体電解質部分を薄くすることにより、単電池の内
部抵抗を小さくし、単電池当りの出力を上昇させること
ができる。
【0009】本発明者が更に突き止めたところでは、上
記金属原子(総計)の含有率が固体電解質中で平均して
1atom%未満であると、固体電解質部分を気密化する効
果が顕著ではない。また、固体電解質部分の製造工程に
おいて加わる温度及び金属原子の種類によって固溶範囲
は異なるが、特に上記含有率が平均で15atom%を超えた
場合は、固体電解質部分における電気抵抗が著しく増加
した。この結果、薄膜化による電気抵抗の低減よりも、
固体電解質の比抵抗の増加の方が大きくなった。これ
は、固溶範囲を超えた金属原子の粒界析出が著しく、こ
のため固体電解質の比抵抗が上昇したものと考えられ
る。こうした金属原子の粒界析出を抑えるためには、固
体電解質部分の加熱温度を上昇させることが有効だが、
この加熱温度を上げすぎると、多孔質の電極の焼結が進
む。
【0010】上記金属原子の含有率は、固体電解質中で
平均して3〜12atom%とすることが、固体電解質部分の
気密化を一層促進し、その比抵抗を低く抑える上で、好
ましい。更に好ましくは5〜10atom%である。
【0011】上記金属原子の含有率は、固体電解質部分
における全ての金属原子の量を 100atom%としたときの
値である。また、上記金属原子が複数種類含有されてい
るときには、複数種の金属原子の含有率の総計を1〜15
atom%にする。
【0012】
【実施例】固体電解質部分を安定化又は部分安定化ジル
コニアで形成した場合には、上記した金属原子のうち、
マンガン、コバルトが特に固溶し易いので、好ましい。
特に、マンガンは、SOFC用の固体電解質として最も
一般的な安定化ジルコニアに対して、1500℃の熱処理で
15atom%程度まで固溶するので、本発明の効果が顕著で
あった。
【0013】また、空気電極の材料として、ランタンを
含有するペロブスカイト複合酸化物を用い、固体電解質
部分を安定化又は部分安定化ジルコニアで形成すると、
1250℃程度以上の温度で熱処理を行うと、固体電解質部
分と空気電極との界面に、電気絶縁物であるランタンジ
ルコネート (La2Zr2O7) からなる高抵抗層が生成する。
この場合、上記金属としてマンガン又はコバルトを選択
すると、ランタンジルコネート層の生成が著しく抑制さ
れ、ほとんど見られなくなることが判明した。この結
果、単電池の出力を一層向上させることができた。
【0014】固体電解質部分は、一般には、膜状ないし
は板状であり、固体電解質膜又は固体電解質板の一方の
側に空気電極が設けられ、他方の側に燃料電極が設けら
れている。こうした空気電極、燃料電極は、基体の表面
に形成された膜であるか、又は自己支持型の基体であ
る。本発明のSOFCには、いわゆる平板型、円筒型、
モノリシック型などの各種形状のSOFCが含まれる。
また、円筒型SOFCには、円筒状の単電池の両端が開
口しているものと、一方の端面が開口し、他方の端面が
閉塞しているものが含まれる。
【0015】本発明における前記の金属原子は、固体電
解質部分内の全金属原子に対して、平均で1〜15atom%
含まれている。固体電解質部分内において上記金属原子
の含有量に勾配が設けられている場合には、その平均値
を1〜15atom%とする。この金属原子の含有量は、EP
MAによって測定することができる。
【0016】本発明の一態様においては、固体電解質部
分が一対の電極の間に挟まれており、この固体電解質部
分内において、一方の電極との界面から他方の電極との
界面に向って前記金属原子の含有率に勾配が設けられて
いる。こうした単電池の製造方法について述べる。ただ
し、下記の例では、固体電解質部分が膜状である場合に
ついて説明する。
【0017】まず、図1(a) に示すように、所定形状、
例えば平板状の空気電極材料1を準備する。次いで、図
1(b) に示すように、空気電極材料1の表面に中間層2
を形成する。中間層2は、マンガン、鉄、コバルト、ニ
ッケル、銅及び亜鉛からなる群より選ばれた一種以上の
金属の化合物からなる。中間層2の形成法は、生産性の
点から、プラズマ溶射法とするのが好ましい。次いで、
図1(c) に示すように、中間層2の表面に、固体電解質
材料からなる膜3Aを形成する。この形成法も、プラズ
マ溶射法が好ましい。
【0018】こうして得た積層体を熱処理すると、後述
する機構によって中間層2が消滅する。これと共に、空
気電極材料1の表面から中間層2が消えて、図1(d) に
示すように、空気電極基体11の表面に、気密質の固体電
解質膜13Aが形成される。この後、図1(e) に示すよう
に、固体電解質膜13Aの表面に燃料電極4を設ける。
【0019】また、図2(a) 〜(c) に示すような手順に
よることもできる。即ち、まず図2(a) に示すように、
空気電極材料1を準備する。次いで、図2(b) に示すよ
うに、空気電極材料1の表面に、上記金属の化合物を含
む被膜5を湿式法によって形成する。具体的には、ディ
ッピング法、スリップキャスティング法、押し出し法等
がある。次いで、この被膜5を熱処理して溶媒等を飛散
させ、上記金属の化合物からなる中間層2を形成する
(図2(c) の状態) 。後は、上記と同様にして、図1
(c),(d),(e) に示した手順に従ってSOFC素子を作製
する。
【0020】そして、本実施例においては、図1(c) に
示すように、空気電極材料1と膜3Aとの間に中間層2
が設けられている。この状態で積層体に熱処理を施す
と、中間層2の方から膜3Aの方へと上記金属が移動、
拡散する。この結果、固体電解質膜13Aのうち、少なく
とも空気電極基体11との界面付近に上記金属が含有され
る。本発明者の研究によれば、この拡散した金属が膜3
Aの緻密化を促進する働きがあった。また、後述するよ
うにEPMAで固体電解質膜13Aを分析すると、空気電
極基体11との界面近傍では上記金属原子の含有率が高
く、緻密化が進んでおり、燃料電極膜4との界面近傍で
は上記金属原子の含有率が低くなっていた。
【0021】空気電極材料1をランタン含有ペロブスカ
イト複合酸化物で形成し、固体電解質材料を安定化又は
部分安定化ジルコニアとした場合には、前述したよう
に、前記の金属の拡散により、熱処理時にランタンジル
コネート層の生成を防止する作用がある。この作用は、
コバルト又はマンガンを選択した場合に、最も顕著であ
る。ランタン含有ペロブスカイト複合酸化物において
は、ランタンのあるAサイトの一部をストロンチウム、
カルシウムで置換することが好ましい。ジルコニア固体
電解質材料としては、アルカリ土類金属または希土類元
素の化合物(特に酸化物)とジルコニアとの、混合物又
は固溶物とする。
【0022】図1、図2に示した製造方法において、空
気電極と燃料電極とを入れ換えることもできる。この場
合は、燃料電極基体の表面に、中間層2、膜3Aを順次
形成し、この積層体を熱処理し、緻密質の固体電解質膜
を形成する。この固体電解質膜においては、燃料電極基
体との界面近傍で前記金属の含有率が高く、空気電極膜
との界面近傍で前記金属の含有率が低い。
【0023】また、以下の製造方法も適用できる。即
ち、燃料電極基体の表面に、固体電解質材料からなる膜
を形成し、この膜の表面に、マンガン、鉄、コバルト、
ニッケル、銅及び亜鉛からなる群より選ばれた一種以上
の化合物からなる表面層を形成し、この積層体を熱処理
する。この熱処理により表面層中の金属原子が固体電解
質中に拡散し、これを気密化するのと共に表面層が消滅
する。次いで、気密質の固体電解質膜の表面に空気電極
膜を形成する。
【0024】この製造方法において、空気電極と燃料電
極とを入れ換えることもできる。即ち、空気電極基体の
表面に、固体電解質材料からなる膜を形成し、この膜の
表面に、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜
鉛からなる群より選ばれた一種以上の化合物からなる表
面層を形成し、この積層体を熱処理する。この熱処理に
より表面層中の金属原子が固体電解質中に拡散し、これ
を気密化するのと共に表面層が消滅する。次いで、気密
質の固体電解質膜の表面に燃料電極膜を形成する。
【0025】次に、中間層2を形成しない、製造方法に
ついて述べる。空気電極材料1を、(La1-y y )1-XCo
O3又は (La1-y y )1-XMnO3で形成する。ここで、A
は、アルカリ土類金属から選ばれた一種以上の元素を表
す。x,yは、O≦y≦ 0.4,0<×≦0.2 である。こ
の場合には、空気電極材料1の表面に膜3Aを直接形成
し、この積層体を加熱処理する。この空気電極材料1は
ランタン部位の欠損組成であり、加熱処理時に、マンガ
ン又はコバルトが、空気電極材料1から固体電解質中へ
と拡散する。この結果、固体電解質膜の緻密化がマンガ
ン又はコバルトによって促進されると共に、ランタンジ
ルコネート層の生成も抑制される。
【0026】本発明の他の態様においては、固体電解質
部分が空気電極と燃料電極との間に挟まれており、この
固体電解質部分において、空気電極との界面近傍及び燃
料電極との界面近傍における金属原子の含有率が、固体
電解質部分の中央部における金属原子の含有率よりも大
きい。こうしたSOFCを製造するには、固体電解質部
分の上記した2つの界面から、上記金属原子をそれぞれ
拡散させる必要がある。固体電解質部分が膜状である実
施例については、以下説明する。
【0027】まず、図3(a) に示すように、所定形状、
例えば平板状の空気電極材料1を準備する。次いで、図
3(b) に示すように、空気電極材料1の表面に Mn, Fe,
Co, Ni,Cu, Znから選ばれた1種以上の金属の化合物か
らなる中間層2を形成する。この形成法は、プラズマ溶
射法が好ましい。次いで、図3(c) に示すように、中間
層2の表面に、固体電解質材料からなる膜3Aを形成す
る。この形成法も、プラズマ溶射法が好ましい。
【0028】次いで、図4(a) に示すように、膜3Aの
表面に Mn, Fe, Co, Ni, Cu, Zn から選ばれた1種以上
の金属の化合物からなる表面層12を設ける。こうして得
た積層体を熱処理すると、前述した機構によって中間層
2、表面層12が消滅する。これと共に、空気電極材料1
の表面から中間層2が消えて、図4(b) に示すように、
空気電極基体11の表面に、気密質固体電解質膜13Bが形
成される。この後、図4(c) に示すように、固体電解質
膜13Bの表面に燃料電極膜4を設ける。
【0029】また、表面層12を湿式法で形成する場合の
手順を説明する。図4(a) に示すように、固体電解質材
料からなる膜3Aを形成する。次いで、膜3Aの表面
に、上記金属の化合物を含む化合物膜を湿式法によって
形成する。具体的には、ディッピング法、スプレーコー
ティング、スクリーン印刷法等がある。次に、この化合
物膜を乾燥し、図4(a) に示す表面層12を形成する。
【0030】こうした製造方法によると、図4(c) に示
す固体電解質膜13Bにおいて、空気電極基体11との界面
近傍及び燃料電極膜4との界面近傍における上記金属原
子の含有率が、固体電解質膜13Bの中央部における上記
金属原子の含有率よりも大きくなる。上記金属原子の拡
散は、固体電解質膜13Bの2つの界面の近傍で最大とな
るからである。好ましくは、空気電極基体11との界面近
傍及び燃料電極膜4との界面近傍における上記金属原子
の含有率のうち小さい方を、固体電解質膜13Bの中央部
における上記金属原子の含有率で除した値が 1.3以上で
ある。
【0031】上記の製造方法において、空気電極と燃料
電極を入れ換えても良い。この場合には、燃料電極基体
の表面に中間層2を形成し、この表面に膜3Aを形成
し、膜3Aの表面に表面層12を形成し、熱処理する。
【0032】本発明の更に他の態様においては、固体電
解質部分において、上記金属原子が実質的に無勾配で含
有されている。ここで言う「実質的に無勾配」とは、固
体電解質部分内において、金属原子の含有率について傾
斜組成ではないことを意味する。むろん、固体電解質部
分内では、実際の製造プロセスでは、上記含有率に局所
的な大小、バラツキや欠陥が生ずることは不可避である
が、この場合も、特に傾斜組成をとっていない以上は、
本発明でいう「実質的に無勾配」に包含される。
【0033】こうした単電池を製造するには、本発明者
の研究によると、三つの方法がある。以下、固体電解質
膜を形成する場合について、説明する。第一の方法で
は、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛か
らなる群より選ばれた一種以上の金属を固体電解質材料
中に含有させる。即ち、固体電解質材料の粉末に、上記
金属の化合物の粉末を添加し、混合し、混合粉末を仮焼
して上記金属成分を固体電解質材料中に固溶させる。次
いで、上記金属成分の固溶した固体電解質材料の膜を形
成する。例えば、図5を参照して説明すると、図5(a)
に示す空気電極基体11の表面に上記の固体電解質材料を
溶射し、図5(b) に示すように膜3Bを形成する。次い
で、この膜3Bを熱処理し、図5(c) に示す気密質の固
体電解質膜13Cを形成する。固体電解質膜13Cの表面
に、燃料電極膜4を設ける。
【0034】第二の方法では、固体電解質材料を空気電
極基体11の上に溶射し、上記金属を含む化合物の溶液を
少なくとも膜3Bに含浸させ、この膜を乾燥し、熱処理
する。上記溶液を膜3Bのみに含浸させてもよいが、こ
れと同時に基体11にも含浸させてもよい。少なくとも膜
3Bに上記溶液を含浸させるには、膜3B及び必要に応
じて基体11を、上記溶液中に浸漬することが好ましい。
【0035】第三の方法では、マンガン、鉄、コバル
ト、ニッケル、銅及び亜鉛からなる群より選ばれた一種
以上の金属を含む化合物の粉末と固体電解質材料とを、
溶射ガン部で溶融させる。即ち、上記の化合物粉末と固
体電解質材料とを、それぞれ別個の粉末供給装置を通し
て溶射ガン部へと供給する。そして、溶射ガン部内の溶
融物を、空気電極基体11の表面に溶射する。上記の各方
法において、空気電極と燃料電極とを入れ換えることも
できる。
【0036】図1〜図5を参照しつつ説明してきた各製
造方法において、固体電解質材料を熱処理する際の温度
は、1300℃〜1500℃とするのが好ましい。これは、熱処
理温度が1300℃未満であると、固体電解質膜の気密性に
及ぼす効果が顕著ではなく、充分な効果を得るには長時
間の熱処理を必要とするためであり、またこれが 1500
℃を超えると、多孔質基体の変形防止が困難となり、ま
た多大のエネルギー、時間を必要とする為、製造コスト
が非常に高くなる。
【0037】また、上記の各製造方法において、各金属
の化合物としては、酸化物、炭酸塩又は金属粉が好まし
い。
【0038】空気電極は、ドーピングされたか、又はド
ーピングされていない LaMnO3, CaMnO3, LaNiO3, LaCoO
3, LaCrO3 等で製造でき、ストロンチウムやカルシウム
をドーピングした LaMnO3 が好ましい。また、ドーピン
グされたか又はドーピングされていない LaMnO3, CaMnO
3, LaNiO3, LaCoO3, LaCrO3 において、定比組成のもの
に限らず、La欠損組成や Ca 欠損組成などの不定比組成
のものも使用できる。こうした不定比組成のものは、La
2Zr2O7の生成を抑制する効果を有する。燃料電極は、一
般にはニッケル−ジルコニアサーメット又はコバルト−
ジルコニアサーメットが好ましい。燃料ガスとしては、
水素、改質水素、一酸化炭素、炭化水素等の燃料を含む
ガスを用いる。酸化ガスとしては、酸素を含むガスを用
いる。
【0039】以下、更に具体的な実験結果について述べ
る。 実験1 ランタンマンガンナイト(La0.9Sr0.1MnO3) 粉末を成形
圧200Kgf/cm2でプレス成形し、直径50mm、厚さ3mmの円
板状成形体を得た。これを1500℃で5時間焼成し、焼成
体を直径30mm、厚さ1.5mm の円板状に加工し、気孔率25
%の空気電極基体を作製した。溶射用原料として、市販
の8モルY2O3安定化ジルコニア (8YSZ)粉末と、表1に
示す各金属酸化物粉末とを用意した。この8YSZ 粉末と
各金属酸化物粉末とを、別個の粉末供給装置を通してそ
れぞれ溶射ガン部まで運び、溶射ガン部で溶融させ、空
気電極基体の表面に常圧プラズマ溶射し、厚さ約 300μ
mの溶射膜を得た。その後、表1に示す温度条件で積層
体を熱処理した。次いで、固体電解質膜の表面を研磨
し、固体電解質膜の厚さを 200μm にした。
【0040】その後、固体電解質膜の表面の中央部に、
市販の白金ペーストをスクリーン印刷法により成膜し、
対極(燃料極)とし、また空気極をメタライズする為、
空気極の表面の中央部にも同様に白金ペーストをスクリ
ーン印刷し、1000℃にて白金ペーストを焼き付けた。以
上の方法によって作製した試験セルを用いて、セル内部
抵抗、気密性、熱処理温度と添加金属化合物との関係を
検討した。
【0041】ここで、セルの内部抵抗は、1000℃、大気
中において、交流インピーダンス法によってオーミック
抵抗を測定した。また気密性は、実際に空気電極側に酸
素を導入し、室温でバブリングすることにより加湿した
水素を燃料電極側に導入し、その起電力により評価し
た。また、EPMAを用いて、固体電解質膜中の各金属
原子の含有量を約10μm 間隔で測定し、この測定値の平
均値を表1に示した。
【0042】
【表1】
【0043】以上の実施例から解る様に、金属化合物を
含まない場合には 1600 ℃の熱処理を行って得ていたの
と同等の起電力を、100 〜200 ℃低い温度による熱処理
で達成している。従って、本発明は、固体電解質膜の気
密化に大きな効果がある。また、比較例1においては、
空気電極との界面に La2Zr2O7からなる絶縁層が生成し
ており、内部抵抗の低減が困難であったが、固体電解質
膜中に Mn , Co を含有させた場合にはこれが生成せ
ず、内部抵抗の低減にも著しい効果があった。さらに、
それ以外の金属が含有されている場合も、熱処理工程が
低温化されたことによって、La2Zr2O7の生成量が結果的
に減り、比較例1と同等の起電力を、より一層低い内部
抵抗において実現できた。従って、SOFCセルの発電
特性向上に効果があると考えられる。
【0044】また Mn に着目すると、実施例1〜6及び
比較例2〜5より解るように、Mnの含有量が1 atom %
を超えると起電力が1Vを超え、気密化の効果が顕著と
なっている。これが15atom%を超えると、抵抗が増加し
ている。さらに、3〜12atom%の範囲では、気密性も十
分であり、かつ抵抗も最低となった。
【0045】次に、実施例4の空気電極基体及び固体電
解質膜について、EPMAの解折例を、図6に示す。こ
のとき定量分析した20ポイントにおけるマンガン含有率
の平均値は5.5 atom%であり、分散は±0.8 atom%であ
った。固体電解質膜についての20ポイントの測定箇所の
うち、10ポイントを図6に示す(この点は、図7〜図10
についても同様である) 。図6の結果からみて、固体電
解質膜内においては、各金属は実質的に無勾配で分散し
ている。
【0046】実験2 実験1と同様にして空気電極基体を製造した。二酸化マ
ンガン(MnO2) を、この空気電極基体の表面に常圧プラ
ズマ溶射し、厚さ5〜10μm の中間層を形成した。更
に、8YSZ を中間層の表面に常圧プラズマ溶射し、厚さ
約 300μm のジルコニア固体電解質膜を形成した。その
後、大気中 1400 ℃にて3時間の熱処理を行った。次い
で固体電解質膜の厚さが約 200μm になる様に、固体電
解質膜の表面を研磨し、その表面の中央部に市販の白金
ペーストをスクリーン印刷して成膜し、対極 (燃料極)
とした。また、空気電極をメタライズする為、空気電極
基体の表面の中央部にも同様に白金ペーストをスクリー
ン印刷し、1000℃にて焼き付けた。
【0047】以上の方法によって作製した試験セルを用
いて、実験1と同様の測定を行った。この結果、起電力
は 1.12V、抵抗は 0.2Ωcm2 であり、SOFCセルとし
て十分な気密性と低抵抗を実現できた。このときの固体
電解質膜中のマンガン含有量を、積層体の厚さ方向に沿
ってEPMAで定量分析した結果を、図7に示す。これ
から、マンガンの含有率は、空気電極基体との界面近傍
で13atom%であり、空気電極基体から離れるにつれて減
少していくことが解った。また、固体電解質膜内の20箇
所でのマンガンの含有率の測定値を平均すると、6.2 at
om%であった。
【0048】実験3 実験1と同じ空気電極基体を準備した。また、ニッケル
−ジルコニア−サーメットからなる燃料電極基体を準備
した。空気電極基体の表面に(実施例12) または燃料電
極基体の表面に (実施例13) 、8YSZ 粉末を常圧プラズ
マ溶射し、厚さ約 300μm の溶射膜を形成した。次い
で、溶射膜の厚さが約 200μm になる様に、溶射膜の表
面を研磨した。その後、この表面に MnO2 を常圧プラズ
マ溶射し、厚さ5〜10μm の表面層を形成した。この積
層体を大気中 1400 ℃にて3時間熱処理し、表面層を消
滅させた。そして、実験1と同様に、白金ペーストを用
いて、対極の形成及び各電極基体のメタライズを行っ
た。以上の方法によって作製したこの試験セルを用い
て、実験1と同様の測定を行ったところ、表2に示す結
果を得た。
【0049】
【表2】
【0050】表2から解るように、実施例12, 13共に、
SOFCセルとして十分な気密性と低抵抗が実現されて
いる。但し実施例12は実施例13に比べて抵抗が大きくな
った。これは熱処理工程において、空気電極基体と固体
電解質膜との界面近傍に、若干 La2Zr2O7 が生成した為
と考えられる。
【0051】実施例12, 13の各積層体について、EPM
Aによるマンガン含有量の定量分析結果を図8又は図9
に示す。これから、実施例12については(図8)、燃料
電極側の界面近傍で14atom%のマンガンを含有し、空気
電極側に向かってマンガンの含有量は概ね減少してい
る。但し、空気電極基体の界面近傍において再び微小ピ
ークが見られる。これは空気電極基体からのマンガンの
拡散に起因すると考えられる。また、実施例13において
は(図9)、空気電極膜側の界面近傍で14atom%のマン
ガンを含有し、燃料電極基体側に向かってマンガンの含
有量は減少している。
【0052】実験4 実験1で作製した空気電極基体の表面に、二酸化マンガ
ンを常圧プラズマ溶射し、厚さ5〜10μm の中間層を形
成した。この上に、8YSZ を常圧プラズマ溶射し、厚さ
約 200μm のジルコニア溶射膜を形成した。更に、溶射
膜の上に二酸化マンガンを厚さ5〜10μm で常圧プラズ
マ溶射し、表面層を形成した。その後、この積層体につ
いて、大気中 1400 ℃にて3時間の熱処理を行った。次
いで、実験1と同様に、対極(燃料電極)及び空気電極
基体のメタライズを、白金ペーストにより行った。以上
の方法によって作製した試験セルを用いて、実験1と同
様の測定を行った。
【0053】この結果、単電池の起電力は 1.11V、抵抗
は 0.2Ωcm2 であった。また、この試料のEPMAによ
るMn含有率の定量分析結果を、図10に示す。これか
ら、固体電解質膜の電極界面近傍でのマンガンの含有率
は12〜15atom%であり、固体電解質膜の中央部では2at
om%であることがわかる。
【0054】
【発明の効果】以上述べてきたように、本発明によれ
ば、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛か
らなる群より選ばれた一種以上の金属原子を、固体電解
質部分内の全金属原子に対して平均で1atom%以上の含
有率で固体電解質部分内に含有させている。これによ
り、固体電解質部分の緻密化を促進し、従来よりも遥か
に気密性の高い固体電解質部分を形成できる。この結
果、固体電解質部分を薄くしても、燃料漏れが生じない
程度の気密性を達成できる。固体電解質部分を薄くする
ことにより、単電池の内部抵抗を小さくし、単電池当り
の出力を上昇させることができる。また、上記含有率を
15atom%以下とすることにより、固体電解質部分におけ
る上記金属の粒界析出を抑制し、固体電解質部分の比抵
抗の上昇を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a),(b),(c),(d) 及び(e) は、空気電極基体1
1、固体電解質膜13A及び燃料電極膜4の積層体の製造
プロセスを概略的に示す断面図である。
【図2】(a) は、空気電極材料1を示す断面図、(b)
は、被膜5を湿式法により設けた状態を示す断面図、
(c) は中間層2を設けた状態を示す断面図である。
【図3】(a) は、空気電極材料1を示す断面図、(b)
は、中間層2を設けた状態を示す断面図、(c) は、固体
電解質材料からなる膜3Aを設けた状態を示す断面図で
ある。
【図4】(a) は、更に表面層12を形成した状態を示す断
面図、(b) は、図4(a) の積層体を熱処理した後の状態
を示す断面図、(c) は、更に燃料電極膜4を設けた状態
を示す断面図である。
【図5】(a) は、空気電極基体11を示す断面図、(b)
は、更に固体電解質材料からなる膜3Bを設けた状態を
示す断面図、(c) は、図5(b) の積層体を熱処理し、か
つ燃料電極膜4を設けた後の状態を示す断面図である。
【図6】試験した単電池の厚み方向に沿ってマンガンの
含有量をEPMAで測定した結果を示すグラフである。
【図7】試験した単電池の厚み方向に沿ってマンガンの
含有量をEPMAで測定した結果を示すグラフである。
【図8】試験した単電池の厚み方向に沿ってマンガンの
含有量をEPMAで測定した結果を示すグラフである。
【図9】試験した単電池の厚み方向に沿ってマンガンの
含有量をEPMAで測定した結果を示すグラフである。
【図10】試験した単電池の厚み方向に沿ってマンガン
の含有量をEPMAで測定した結果を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
1 空気電極基体 2 中間層 3A , 3B 固体電解質材料からなる膜 4 燃料電極膜 11 空気電極基体 12 表面層 13A, 13B, 13C 気密質の固体電解質膜

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固体電解質部分をイオン伝導体として備
    えた固体電解質型燃料電池であって、マンガン、鉄、コ
    バルト、ニッケル、銅及び亜鉛からなる群より選ばれた
    一種以上の金属原子が、前記固体電解質部分内の全金属
    原子に対して平均で1atom%以上、15atom%以下の含有
    率で前記固体電解質部分内に含有されていることを特徴
    とする、固体電解質型燃料電池。
  2. 【請求項2】 前記固体電解質部分が、実質的に安定化
    又は部分安定化ジルコニアからなる、請求項1記載の固
    体電解質型燃料電池。
  3. 【請求項3】 前記の固体電解質部分が一対の電極の間
    に挟まれており、この固体電解質部分内において、一方
    の電極との界面から他方の電極との界面に向って前記金
    属原子の含有率に勾配が設けられている、請求項1記載
    の固体電解質型燃料電池。
  4. 【請求項4】 前記固体電解質部分が空気電極と燃料電
    極との間に挟まれており、この固体電解質部分内におい
    て、前記空気電極との界面近傍及び前記燃料電極との界
    面近傍における前記金属原子の含有率が、前記固体電解
    質部分の中央部における前記金属原子の含有率よりも大
    きいことを特徴とする、請求項1記載の固体電解質型燃
    料電池。
  5. 【請求項5】 前記空気電極との界面近傍及び前記燃料
    電極との界面近傍における前記金属原子の含有率のうち
    小さい方を、前記固体電解質部分の中央部における前記
    金属原子の含有率で除した値が 1.3以上である、請求項
    4記載の固体電解質型燃料電池。
  6. 【請求項6】 前記固体電解質部分内において、前記金
    属原子が実質的に無勾配で含有されている、請求項1記
    載の固体電解質型燃料電池。
JP4247965A 1992-09-17 1992-09-17 固体電解質型燃料電池 Withdrawn JPH06103988A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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WO2016056672A1 (ja) * 2014-10-09 2016-04-14 株式会社日本触媒 固体電解質膜、該固体電解質膜を含む固体酸化物型燃料電池用単セル及びメタルサポートセル、並びにそれらの製造方法

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