JPH05967A - 組織プラスミノーゲンアクチベーター含有製剤組成物 - Google Patents
組織プラスミノーゲンアクチベーター含有製剤組成物Info
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- JPH05967A JPH05967A JP3174451A JP17445191A JPH05967A JP H05967 A JPH05967 A JP H05967A JP 3174451 A JP3174451 A JP 3174451A JP 17445191 A JP17445191 A JP 17445191A JP H05967 A JPH05967 A JP H05967A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 組織プラスミノーゲンアクチベーター(t−
PA)又は改変型t−PAと,一般式(I) [X(CH2)l]mNHn (I)(式中,X=N
H2又はOH,l=1〜4,m=1〜3,n=0,1又
は2で3−mの数。但しX=NH2のときm=2,n=
1を表わす)で示されるアミン又はその塩と,非還元糖
とを含有してなる製剤組成物。 【効果】 t−PA又は改変型t−PAの中性pH領域
における溶解性が向上し,優れた安定性を示す。
PA)又は改変型t−PAと,一般式(I) [X(CH2)l]mNHn (I)(式中,X=N
H2又はOH,l=1〜4,m=1〜3,n=0,1又
は2で3−mの数。但しX=NH2のときm=2,n=
1を表わす)で示されるアミン又はその塩と,非還元糖
とを含有してなる製剤組成物。 【効果】 t−PA又は改変型t−PAの中性pH領域
における溶解性が向上し,優れた安定性を示す。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,組織プラスミノーゲン
アクチベーター(以下t−PAという)又はその改変体
(以下改変型t−PAという)と,特定アミン又はその
塩と,非還元糖とを含有してなるt−PAや改変型t−
PAの製剤組成物に関する。
アクチベーター(以下t−PAという)又はその改変体
(以下改変型t−PAという)と,特定アミン又はその
塩と,非還元糖とを含有してなるt−PAや改変型t−
PAの製剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】t−PAは,血栓溶解作用を有するもの
としてすでに知られているストレプトキナーゼやウロキ
ナーゼと異なり,フィブリンに対する親和性を有してお
り,血栓部位に集中しフィブリンに結合したプラスミノ
ーゲンを活性化してプラスミンを生成させ,血栓を効率
的に溶解するので,出血傾向などの副作用の少ない血栓
溶解剤として注目されている。また,最近では,天然型
t−PAがもつ難点,例えばin vitroにおける血中半減
期が短かいことなどを改善したり,あるいはその生物学
的活性を増強することなどを目的としてt−PAの構造
を改変した改変型t−PAの開発研究も盛んである。
としてすでに知られているストレプトキナーゼやウロキ
ナーゼと異なり,フィブリンに対する親和性を有してお
り,血栓部位に集中しフィブリンに結合したプラスミノ
ーゲンを活性化してプラスミンを生成させ,血栓を効率
的に溶解するので,出血傾向などの副作用の少ない血栓
溶解剤として注目されている。また,最近では,天然型
t−PAがもつ難点,例えばin vitroにおける血中半減
期が短かいことなどを改善したり,あるいはその生物学
的活性を増強することなどを目的としてt−PAの構造
を改変した改変型t−PAの開発研究も盛んである。
【0003】天然型t−PA,遺伝子工学的手法によつ
て生産されたt−PA及びこれを改変したt−PAは糖
タンパク質であり,経口投与には適さず,専ら注射剤と
しての製剤化検討が進められている。しかし,t−PA
や改変型t−PAは水に難溶で不安定であり,水に溶解
して投与する剤形の製剤化を困難なものにしている。従
って,t−PAや改変型t−PAの臨床的使用に当た
り,これらの物質の溶解性及び安定性を改善した製剤の
開発が要望されている。
て生産されたt−PA及びこれを改変したt−PAは糖
タンパク質であり,経口投与には適さず,専ら注射剤と
しての製剤化検討が進められている。しかし,t−PA
や改変型t−PAは水に難溶で不安定であり,水に溶解
して投与する剤形の製剤化を困難なものにしている。従
って,t−PAや改変型t−PAの臨床的使用に当た
り,これらの物質の溶解性及び安定性を改善した製剤の
開発が要望されている。
【0004】従来,t−PAの水に対する溶解性を改善
する方法としては,溶液の液性をpH3〜5に調整して
溶解する方法が知られている(特開昭62−26233
号公報及び同62−36332号公報参照)。また,ア
ルギニン塩酸塩などのアミノ酸又はその塩を添加して,
修飾型t−PAを可溶安定化する技術も知られている
(特開昭64−42442号)。
する方法としては,溶液の液性をpH3〜5に調整して
溶解する方法が知られている(特開昭62−26233
号公報及び同62−36332号公報参照)。また,ア
ルギニン塩酸塩などのアミノ酸又はその塩を添加して,
修飾型t−PAを可溶安定化する技術も知られている
(特開昭64−42442号)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし,溶液の液性を
低くして溶解する方法はその溶液状態においてt−PA
が速やかに分解され,失活してしまい,臨床的に用いる
ことは困難であつた。これに対し,本発明はt−PAや
改変型t−PAの臨床的使用に当り,アミノ酸やその塩
を用いることなく,これらの物質が比較的安定に保たれ
る中性のpH領域で,その溶解性を高めると共に,安定
な製剤組成物の提供を目的とするものである。
低くして溶解する方法はその溶液状態においてt−PA
が速やかに分解され,失活してしまい,臨床的に用いる
ことは困難であつた。これに対し,本発明はt−PAや
改変型t−PAの臨床的使用に当り,アミノ酸やその塩
を用いることなく,これらの物質が比較的安定に保たれ
る中性のpH領域で,その溶解性を高めると共に,安定
な製剤組成物の提供を目的とするものである。
【0006】そこで,本発明者らは,先ずt−PAや改
変型t−PAの可溶化について鋭意検討した結果,トリ
ス(ヒドロキシエチル)アミノメタンなどでは臨床的に
使用できるような溶解度を示さなかったが,下記一般式
(I)で示されるアミン又はその塩が意外にも臨床的使
用に適した溶解性を示すことを見い出した。 [X(CH2)l)]mNHn (I) (式中の記号は以下の意味を表わす。 X:水酸基又はアミノ基。 l:1乃至4の整数。 m:1乃至3の整数。 n:0,1又は2であって,3−mの関係を有する数。 但し,Xがアミノ基のとき,mは2,nは1を表わす)
変型t−PAの可溶化について鋭意検討した結果,トリ
ス(ヒドロキシエチル)アミノメタンなどでは臨床的に
使用できるような溶解度を示さなかったが,下記一般式
(I)で示されるアミン又はその塩が意外にも臨床的使
用に適した溶解性を示すことを見い出した。 [X(CH2)l)]mNHn (I) (式中の記号は以下の意味を表わす。 X:水酸基又はアミノ基。 l:1乃至4の整数。 m:1乃至3の整数。 n:0,1又は2であって,3−mの関係を有する数。 但し,Xがアミノ基のとき,mは2,nは1を表わす)
【0007】本発明者らは,さらに安定化につき検討
し,一般にt−PAの如き糖タンパク質の製剤化におい
て安定化剤として汎用されている乳糖に代表されるよう
な糖類を,t−PA又は改変型t−PAと,上記一般式
(I)で示されるアミン又はその塩との組成物に添加し
たところ,経時的に褐変又は黒変し,かつ主剤であるt
−PAや改変型t−PAの力価もその着色と共に著しく
低下する難点のあることが判明した。そこで,本発明者
らはかかる難点のないt−PAや改変型t−PAの製剤
組成物の開発を目的として更に研究した結果,同じ糖類
でもショ糖に代表される非還元糖を添加すると乳糖など
の還元糖に認められるような着色及び力価の低下がなく
安定性が著しく改善されたt−PAや改変型t−PA可
溶化製剤の提供を可能にするものであることを知り,本
発明を完成させるに至った。
し,一般にt−PAの如き糖タンパク質の製剤化におい
て安定化剤として汎用されている乳糖に代表されるよう
な糖類を,t−PA又は改変型t−PAと,上記一般式
(I)で示されるアミン又はその塩との組成物に添加し
たところ,経時的に褐変又は黒変し,かつ主剤であるt
−PAや改変型t−PAの力価もその着色と共に著しく
低下する難点のあることが判明した。そこで,本発明者
らはかかる難点のないt−PAや改変型t−PAの製剤
組成物の開発を目的として更に研究した結果,同じ糖類
でもショ糖に代表される非還元糖を添加すると乳糖など
の還元糖に認められるような着色及び力価の低下がなく
安定性が著しく改善されたt−PAや改変型t−PA可
溶化製剤の提供を可能にするものであることを知り,本
発明を完成させるに至った。
【0008】すなわち,本発明は,t−PA又は改変型
t−PAと,上記一般式(I)で示されるアミン又はそ
の塩と,非還元糖とを含有してなるt−PA又は改変型
t−PAの製剤組成物を発明の構成とするものである。
以下に,本発明の製剤組成物につき詳述する。本発明に
おいてt−PAとは,ヒト由来の天然型t−PAの他,
遺伝子工学的手法により得られたt−PAをも含む。ま
た,本発明において改変型t−PAは,t−PAの難点
を改善しあるいはt−PAの有する生物学的活性などを
高めたものであって,本発明の可溶化安定化の目的を達
成するものであればいずれの改変型t−PAであっても
よい。このような改変型t−PAとしては,本出願人の
出願に係る特願昭63−272020号,特願平1−3
19438号などに示された改変型t−PAなどが挙げ
られるが,これらに限定されるものではない。すなわ
ち,本発明の改変型t−PAには天然型t−PAのF領
域及びG領域が欠落し,183位のGly,186位の
SerがそれぞれSer及びThrに置換された変異t
−PA,天然型t−PAのF領域及びG領域が欠落し,
119位のSerがMetに置換された変異t−PA,
天然型t−PAのF領域及びG領域及びK2領域が欠落
し,119位のSerがMetに置換された変異t−P
Aや,天然型t−PAの84位のCysがSerに置換
された変異t−PAなども包含される。
t−PAと,上記一般式(I)で示されるアミン又はそ
の塩と,非還元糖とを含有してなるt−PA又は改変型
t−PAの製剤組成物を発明の構成とするものである。
以下に,本発明の製剤組成物につき詳述する。本発明に
おいてt−PAとは,ヒト由来の天然型t−PAの他,
遺伝子工学的手法により得られたt−PAをも含む。ま
た,本発明において改変型t−PAは,t−PAの難点
を改善しあるいはt−PAの有する生物学的活性などを
高めたものであって,本発明の可溶化安定化の目的を達
成するものであればいずれの改変型t−PAであっても
よい。このような改変型t−PAとしては,本出願人の
出願に係る特願昭63−272020号,特願平1−3
19438号などに示された改変型t−PAなどが挙げ
られるが,これらに限定されるものではない。すなわ
ち,本発明の改変型t−PAには天然型t−PAのF領
域及びG領域が欠落し,183位のGly,186位の
SerがそれぞれSer及びThrに置換された変異t
−PA,天然型t−PAのF領域及びG領域が欠落し,
119位のSerがMetに置換された変異t−PA,
天然型t−PAのF領域及びG領域及びK2領域が欠落
し,119位のSerがMetに置換された変異t−P
Aや,天然型t−PAの84位のCysがSerに置換
された変異t−PAなども包含される。
【0009】また,本発明で用いられる特定アミンは,
一般式(I)で示されるアミンであれば,いずれも中性
pHにおけるt−PAや改変型t−PAの水に対する溶
解性を高めることができるが,中でもモノエタノールア
ミン,ジエタノールアミンやトリエタノールアミン(以
下エタノールアミン類という)が好ましい。この特定ア
ミンの塩としては,塩酸,臭化水素酸,リン酸,硫酸,
硝酸などの鉱酸,ギ酸,酢酸,プロピオン酸,シュウ
酸,マロン酸,コハク酸,フマール酸,マレイン酸,乳
酸,リンゴ酸,クエン酸,酒石酸,炭酸,ピクリン酸,
メタンスルホン酸,エタンスルホン酸などの有機酸との
酸付加塩やグルタミン酸,アスパラギン酸などのアミノ
酸との塩やアンモニウム塩が挙げられる。
一般式(I)で示されるアミンであれば,いずれも中性
pHにおけるt−PAや改変型t−PAの水に対する溶
解性を高めることができるが,中でもモノエタノールア
ミン,ジエタノールアミンやトリエタノールアミン(以
下エタノールアミン類という)が好ましい。この特定ア
ミンの塩としては,塩酸,臭化水素酸,リン酸,硫酸,
硝酸などの鉱酸,ギ酸,酢酸,プロピオン酸,シュウ
酸,マロン酸,コハク酸,フマール酸,マレイン酸,乳
酸,リンゴ酸,クエン酸,酒石酸,炭酸,ピクリン酸,
メタンスルホン酸,エタンスルホン酸などの有機酸との
酸付加塩やグルタミン酸,アスパラギン酸などのアミノ
酸との塩やアンモニウム塩が挙げられる。
【0010】本発明に用いられる非還元糖は還元性末端
すなわち遊離した還元基をもたず,還元性を示さない糖
であればいずれでもよく,ショ糖,トレハロースなど単
糖の還元性末端同志が結合して還元性を失つた二糖以上
の少糖類,ソルビット,キシリット,マンニットなどの
糖アルコールや還元性末端をもたない多糖類が挙げられ
るが,中でもショ糖などが安定性の点で最も好適であ
る。
すなわち遊離した還元基をもたず,還元性を示さない糖
であればいずれでもよく,ショ糖,トレハロースなど単
糖の還元性末端同志が結合して還元性を失つた二糖以上
の少糖類,ソルビット,キシリット,マンニットなどの
糖アルコールや還元性末端をもたない多糖類が挙げられ
るが,中でもショ糖などが安定性の点で最も好適であ
る。
【0011】t−PAや改変型t−PAの濃度は,少な
くとも約0.1mg/ml以上,好ましくは0.3mg
/ml〜3mg/mlであり,特定アミンやその塩類の
濃度は0.01〜1.0M好ましくは0.1〜0.5M
であり,非還元糖の濃度は約1〜40%,好ましくは3
〜10%でそれぞれ使用される。
くとも約0.1mg/ml以上,好ましくは0.3mg
/ml〜3mg/mlであり,特定アミンやその塩類の
濃度は0.01〜1.0M好ましくは0.1〜0.5M
であり,非還元糖の濃度は約1〜40%,好ましくは3
〜10%でそれぞれ使用される。
【0012】本発明の製剤組成物を調製するには,通常
滅菌下t−PA又は改変型t−PAと,アミン又はその
塩と,非還元糖と,必要によりその他の製剤用基剤を配
合し,これを水(精製水)に溶解して液剤とするか,あ
るいはこの液体を凍結乾燥などの乾燥手段を適用し,乾
燥し,用時溶解型の製剤とすることにより行われる。
滅菌下t−PA又は改変型t−PAと,アミン又はその
塩と,非還元糖と,必要によりその他の製剤用基剤を配
合し,これを水(精製水)に溶解して液剤とするか,あ
るいはこの液体を凍結乾燥などの乾燥手段を適用し,乾
燥し,用時溶解型の製剤とすることにより行われる。
【0013】ここに必要に加えられる製剤基剤として
は,トリス塩酸緩衝液,リン酸,炭酸,ホウ酸,クエン
酸,バルビツール酸やアミノ酸などの緩衝液としうる緩
衝化剤,塩化ナトリウム,塩化カリウム,リン酸一水素
ナトリウム,リン酸二水素ナトリウムなどの無機塩類の
電解質等の等張化剤,ポリオキシエチレンソルビタンモ
ノステアレートやポリオキシエチレンソルビタンモノパ
ルミテート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル,ソ
ルビタンモノステアレート,ソルビタンセスキオレート
等のソルビタン脂肪酸エステル,ポリオキシエチレン硬
化ヒマシ油,ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン
縮合物などの界面活性剤,セルロース,メチルセルロー
ス,エチルセルロース,ヒドロキシメチルセルロース,
ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセル
ロース,ヒドロキシメチルエチルセルロースなどの賦形
剤などが挙げられる。なお,前記ショ糖などの非還元糖
は賦形剤としても使用できる。これらの添加剤は,適宜
選択され,同種のものが2種以上あつてもよい。なお,
用時溶解型の製剤とするときは,溶解液に可溶化剤を加
えたり,溶解液を緩衝液とすることもできる。
は,トリス塩酸緩衝液,リン酸,炭酸,ホウ酸,クエン
酸,バルビツール酸やアミノ酸などの緩衝液としうる緩
衝化剤,塩化ナトリウム,塩化カリウム,リン酸一水素
ナトリウム,リン酸二水素ナトリウムなどの無機塩類の
電解質等の等張化剤,ポリオキシエチレンソルビタンモ
ノステアレートやポリオキシエチレンソルビタンモノパ
ルミテート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル,ソ
ルビタンモノステアレート,ソルビタンセスキオレート
等のソルビタン脂肪酸エステル,ポリオキシエチレン硬
化ヒマシ油,ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン
縮合物などの界面活性剤,セルロース,メチルセルロー
ス,エチルセルロース,ヒドロキシメチルセルロース,
ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセル
ロース,ヒドロキシメチルエチルセルロースなどの賦形
剤などが挙げられる。なお,前記ショ糖などの非還元糖
は賦形剤としても使用できる。これらの添加剤は,適宜
選択され,同種のものが2種以上あつてもよい。なお,
用時溶解型の製剤とするときは,溶解液に可溶化剤を加
えたり,溶解液を緩衝液とすることもできる。
【0014】本発明組成物はt−PAや改変型t−PA
を比較的安定にする中性pH領域においてその溶解性を
高め,優れた安定性を示すので,臨床的に使用しうるt
−PAや改変型t−PAの製剤組成物として有用であ
る。本発明組成物によるt−PAや改変型t−PAや改
変型t−PAの溶解性の向上や安定性の改善は以下の実
験法によって確認されたものである。
を比較的安定にする中性pH領域においてその溶解性を
高め,優れた安定性を示すので,臨床的に使用しうるt
−PAや改変型t−PAの製剤組成物として有用であ
る。本発明組成物によるt−PAや改変型t−PAや改
変型t−PAの溶解性の向上や安定性の改善は以下の実
験法によって確認されたものである。
【0015】実験例1(溶解性試験)
天然型t−PAの凍結乾燥品を秤量し,0.01%のツ
イーン80(商品名,花王アトラス社製,ポリオキシエ
チレン高級脂肪酸エステル,以下 Tween80と称
する)を含むpH7.0の50mMリン酸緩衝液を加え
てよく振り混ぜた。これを遠心分離し,上清を採取して
たん白質濃度を測定した。こうして求められた天然型t
−PAの溶解度は0.06mg/mlであつた。pHを
7.0に保ったままリン酸の濃度を100mM,500
mMとした場合にもそれぞれの溶液中の天然型t−PA
の溶解度は0.13mg/ml,0.25mg/mlと
低いものであつた。次に,トリス(ヒドロキシエチル)
アミノメタン,エチレンジアミン,モノエタノールアミ
ンをそれぞれ含み,リン酸でpHを7.0とした0.0
1%,Tween 80含有緩衝液を用い,天然型t−
PAについて同様の実験を行った。その結果を図1に示
す。図1より,本発明に記すアミン類およびその塩が天
然型tPAの溶解度を高める効果を有することは明らか
である。一方改変型t−PA(国際公開第89/038
74号の改良型TPA[VI]を精製したもの。以下TP
Aという)のpH7.0の50mMリン酸緩衝液中の溶
解度は0.24mg/mlであつたが0.2Mのモノエ
タノールを含むリン酸緩衝中では4.0mg/ml以上
の濃度で析出を起こすことなく安定に保たれた。
イーン80(商品名,花王アトラス社製,ポリオキシエ
チレン高級脂肪酸エステル,以下 Tween80と称
する)を含むpH7.0の50mMリン酸緩衝液を加え
てよく振り混ぜた。これを遠心分離し,上清を採取して
たん白質濃度を測定した。こうして求められた天然型t
−PAの溶解度は0.06mg/mlであつた。pHを
7.0に保ったままリン酸の濃度を100mM,500
mMとした場合にもそれぞれの溶液中の天然型t−PA
の溶解度は0.13mg/ml,0.25mg/mlと
低いものであつた。次に,トリス(ヒドロキシエチル)
アミノメタン,エチレンジアミン,モノエタノールアミ
ンをそれぞれ含み,リン酸でpHを7.0とした0.0
1%,Tween 80含有緩衝液を用い,天然型t−
PAについて同様の実験を行った。その結果を図1に示
す。図1より,本発明に記すアミン類およびその塩が天
然型tPAの溶解度を高める効果を有することは明らか
である。一方改変型t−PA(国際公開第89/038
74号の改良型TPA[VI]を精製したもの。以下TP
Aという)のpH7.0の50mMリン酸緩衝液中の溶
解度は0.24mg/mlであつたが0.2Mのモノエ
タノールを含むリン酸緩衝中では4.0mg/ml以上
の濃度で析出を起こすことなく安定に保たれた。
【0016】実験例2(溶解性試験)
天然型t−PAを用い,実験例1に同様の実験を,ジエ
タノールアミン,トリエタノールアミンを用いて行っ
た。実験結果を図2に示す。図2に示されるとおりエタ
ノールアミン類による天然型t−PAの可溶化効果はモ
ノ−,ジ−,トリ−の3種のエタノールアミンで同等で
あった。このことは改変型t−PAでも同様であり,
0.2M以上のモノ−,あるいはジエタノールアミンを
含むリン酸緩衝液中では2.0mg/ml以上の濃度で
澄明な液として保たれた。
タノールアミン,トリエタノールアミンを用いて行っ
た。実験結果を図2に示す。図2に示されるとおりエタ
ノールアミン類による天然型t−PAの可溶化効果はモ
ノ−,ジ−,トリ−の3種のエタノールアミンで同等で
あった。このことは改変型t−PAでも同様であり,
0.2M以上のモノ−,あるいはジエタノールアミンを
含むリン酸緩衝液中では2.0mg/ml以上の濃度で
澄明な液として保たれた。
【0017】実験例3(製造試験)
実験例1及び2より得られた知見にもとづき,以下の組
成による凍結乾燥品の製造を行った。なおTPAの表示
は実施例1の改変型tPAを示す。 処 方 1 TPA 2mg/ml リン酸 0.1M トリエタノールアミン 0.2M マンニトール 10% Tween 80 0.01% 処 方 2 TPA 5mg/ml リン酸 0.3M トリエタノールアミン 0.5M ヒドロキシエチルセルロース 10% Tween 80 0.01% これらの凍結乾燥品を注射用水で再溶解したところ溶液
中のTPA濃度は2〜5mg/mlであるが澄明な液と
なった。この例により使用時高濃度t−PAを与える凍
結乾燥品を製造可能なことが明らかとなつた。
成による凍結乾燥品の製造を行った。なおTPAの表示
は実施例1の改変型tPAを示す。 処 方 1 TPA 2mg/ml リン酸 0.1M トリエタノールアミン 0.2M マンニトール 10% Tween 80 0.01% 処 方 2 TPA 5mg/ml リン酸 0.3M トリエタノールアミン 0.5M ヒドロキシエチルセルロース 10% Tween 80 0.01% これらの凍結乾燥品を注射用水で再溶解したところ溶液
中のTPA濃度は2〜5mg/mlであるが澄明な液と
なった。この例により使用時高濃度t−PAを与える凍
結乾燥品を製造可能なことが明らかとなつた。
【0018】実験例4(安定性試験)
実施例及び下記比較例の凍結乾燥について種々の温度条
件に放置し,安定性を調べた。 比較例1 5%ショ糖の代りに,5%乳糖を含む溶液とした他は実
施例1と同様にしてジエタノールアミン−乳糖添加系の
凍結乾燥品を得た。 比較例2 5%ショ糖の代りに,5%乳糖を用いた他は実施例2と
同様にしてトリエタノールアミン−乳糖添加系の凍結乾
燥品を得た。 (1)ジエタノールアミン−ショ糖の安定化効果 実施例1の凍結乾燥品と,比較例1の凍結乾燥品とを種
々の温度条件に放置し,安定性を調べた結果を表1に示
す。 (2)トリエタノールアミン−ショ糖の安定化効果実施
例2の凍結乾燥品と,比較例2の凍結乾燥品とを種々の
温度条件に放置し,その安定性を調べた結果を表2に示
す。なお,表中Wは週を,Mは月を,Initialは
初期条件をそれぞれ意味する。
件に放置し,安定性を調べた。 比較例1 5%ショ糖の代りに,5%乳糖を含む溶液とした他は実
施例1と同様にしてジエタノールアミン−乳糖添加系の
凍結乾燥品を得た。 比較例2 5%ショ糖の代りに,5%乳糖を用いた他は実施例2と
同様にしてトリエタノールアミン−乳糖添加系の凍結乾
燥品を得た。 (1)ジエタノールアミン−ショ糖の安定化効果 実施例1の凍結乾燥品と,比較例1の凍結乾燥品とを種
々の温度条件に放置し,安定性を調べた結果を表1に示
す。 (2)トリエタノールアミン−ショ糖の安定化効果実施
例2の凍結乾燥品と,比較例2の凍結乾燥品とを種々の
温度条件に放置し,その安定性を調べた結果を表2に示
す。なお,表中Wは週を,Mは月を,Initialは
初期条件をそれぞれ意味する。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】実験例4より,改変型t−PAの可溶化剤
としてジエタノールアミンまたはトリエタノールアミン
を用いた製剤に於ても,非還元糖であるショ糖を添加し
た場合には還元糖である乳糖を添加した場合に比べ飛躍
的に安定化されていることは明らかである。
としてジエタノールアミンまたはトリエタノールアミン
を用いた製剤に於ても,非還元糖であるショ糖を添加し
た場合には還元糖である乳糖を添加した場合に比べ飛躍
的に安定化されていることは明らかである。
【0022】実験例5(着色原因の認識試験)
0.2Mジエタノールアミン及び0.01%Tween 80を
含有する0.11Mリン酸緩衝液pH7.2)に,乳
糖,ショ糖及びデキストラン40をそれぞれ5%の濃度
となるように溶解した溶液を無菌濾過後,ガラス製アン
プルに分注,熔閉した。また対照液として糖類を含まな
い溶液の充填品も作成した。それぞれの試料について窒
素置換した群と置換しない群を作製したアンプル充填品
を25℃,40℃,50℃の各温度に放置し,外観,p
H,浸透圧比,410nmにおける吸光度を測定した結
果を表3及び4に示す。なお,表中M,WInitia
lは前記と同様の意味を表わす。
含有する0.11Mリン酸緩衝液pH7.2)に,乳
糖,ショ糖及びデキストラン40をそれぞれ5%の濃度
となるように溶解した溶液を無菌濾過後,ガラス製アン
プルに分注,熔閉した。また対照液として糖類を含まな
い溶液の充填品も作成した。それぞれの試料について窒
素置換した群と置換しない群を作製したアンプル充填品
を25℃,40℃,50℃の各温度に放置し,外観,p
H,浸透圧比,410nmにおける吸光度を測定した結
果を表3及び4に示す。なお,表中M,WInitia
lは前記と同様の意味を表わす。
【0023】
【表3】
【0024】
【表4】
【0025】実験例5の結果より明らかなように乳糖と
デキストラン40を含有する溶液は経時的に着色を起こ
し,410nmにおける吸光度値が上昇した。また,そ
れに平行してpHは低下した。それに対してショ糖を含
有する溶液は変化を示さなかった。いずれの試料につい
ても,窒素置換した群と置換しない群の間に違いは見ら
れなかった。従って,着色反応がアミノ酸またはアミン
と糖類との反応であること,空気中の酸素による酸化反
応ではないこと,また糖として非還元糖であるショ糖を
添加した場合にはアミノ酸またはアミンとの反応は起こ
らないことが明らかとなった。
デキストラン40を含有する溶液は経時的に着色を起こ
し,410nmにおける吸光度値が上昇した。また,そ
れに平行してpHは低下した。それに対してショ糖を含
有する溶液は変化を示さなかった。いずれの試料につい
ても,窒素置換した群と置換しない群の間に違いは見ら
れなかった。従って,着色反応がアミノ酸またはアミン
と糖類との反応であること,空気中の酸素による酸化反
応ではないこと,また糖として非還元糖であるショ糖を
添加した場合にはアミノ酸またはアミンとの反応は起こ
らないことが明らかとなった。
【0026】
【実施例】以下に実施例を掲記し,本発明を更に詳細に
説明する。なお,本発明は実施例の記載のみに限定され
るものではない。
説明する。なお,本発明は実施例の記載のみに限定され
るものではない。
【0027】実施例1
TPAを0.5mg/mlの濃度で含む0.2Mジエタ
ノールアミン,5%ショ糖,5%塩化ナトリウム及び
0.01% Tween 80 含有0.11Mリン酸緩衝液
(pH7.0)を調製し,この液をガラス製バイアルに
2mlずつ分注後,共和真空技術(株)製の凍結乾燥機
で凍結乾燥し,用時溶解型の凍結乾燥製剤を得た。
ノールアミン,5%ショ糖,5%塩化ナトリウム及び
0.01% Tween 80 含有0.11Mリン酸緩衝液
(pH7.0)を調製し,この液をガラス製バイアルに
2mlずつ分注後,共和真空技術(株)製の凍結乾燥機
で凍結乾燥し,用時溶解型の凍結乾燥製剤を得た。
【0028】実施例2
TPAを0.5mg/mlの濃度で含む0.2Mトリエ
タノールアミン,5%ショ糖,5%塩化ナトリウム及び
0.01%Tween 80 含有0.1Mリン酸緩衝液(pH
7.2)を調製し,実施例1と同様にして用時溶解型の
凍結乾燥製剤を得た。
タノールアミン,5%ショ糖,5%塩化ナトリウム及び
0.01%Tween 80 含有0.1Mリン酸緩衝液(pH
7.2)を調製し,実施例1と同様にして用時溶解型の
凍結乾燥製剤を得た。
第1図は天然型t−PAに対する特定アミンの可溶化効
果の実験結果を,第2図は天然型t−PAに対するエタ
ノールアミン類の可溶化効果の実験結果をそれぞれ示
す。
果の実験結果を,第2図は天然型t−PAに対するエタ
ノールアミン類の可溶化効果の実験結果をそれぞれ示
す。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所
A61K 47/26 G 7329−4C
J 7329−4C
(72)発明者 中村 勝利
静岡県焼津市三ケ名368−2 山之内製薬
株式会社するが寮
(72)発明者 石川 黎明
静岡県静岡市大岩2−30−4
(72)発明者 関野 順
静岡県焼津市三ケ名1506−6 山之内製薬
株式会社焼津荘
Claims (3)
- 【請求項1】 組織プラスミノーゲンアクチベーター又
は改変型組織プラスミノーゲンアクチベーターと,一般
式(I) [X(CH2)l)]mNHn (I) (式中の記号は以下の意味を表わす。 X:水酸基又はアミノ基。 l:1乃至4の整数。 m:1乃至3の整数。 n:0,1又は2であって,3−mの関係を有する数。 但し,Xがアミノ基のとき,mは2,nは1を表わす) で示されるアミン又はその塩と,非還元糖とを含有して
なる組織プラスミノーゲンアクチベーター又は改変型組
織プラスミノーゲンアクチベーターの製剤組成物。 - 【請求項2】 アミン又はその塩がモノエタノールアミ
ン,ジエタノールアミンもしくはトリエタノールアミ
ン,又はこれらの塩である請求項1記載の製剤組成物。 - 【請求項3】 非還元糖がショ糖である請求項1又は2
記載の製剤組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3174451A JPH05967A (ja) | 1991-06-19 | 1991-06-19 | 組織プラスミノーゲンアクチベーター含有製剤組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3174451A JPH05967A (ja) | 1991-06-19 | 1991-06-19 | 組織プラスミノーゲンアクチベーター含有製剤組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05967A true JPH05967A (ja) | 1993-01-08 |
Family
ID=15978727
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3174451A Pending JPH05967A (ja) | 1991-06-19 | 1991-06-19 | 組織プラスミノーゲンアクチベーター含有製剤組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05967A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011500505A (ja) * | 2006-09-15 | 2011-01-06 | 第一三共株式会社 | オルメサルタンメドキソミル及びアムロジピンの固形製剤 |
-
1991
- 1991-06-19 JP JP3174451A patent/JPH05967A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011500505A (ja) * | 2006-09-15 | 2011-01-06 | 第一三共株式会社 | オルメサルタンメドキソミル及びアムロジピンの固形製剤 |
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