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JPH0589536A - 光磁気記録媒体 - Google Patents

光磁気記録媒体

Info

Publication number
JPH0589536A
JPH0589536A JP25068391A JP25068391A JPH0589536A JP H0589536 A JPH0589536 A JP H0589536A JP 25068391 A JP25068391 A JP 25068391A JP 25068391 A JP25068391 A JP 25068391A JP H0589536 A JPH0589536 A JP H0589536A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
recording
layer
reproducing
magneto
recording layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP25068391A
Other languages
English (en)
Inventor
Satoru Kikitsu
哲 喜々津
Toshiya Inami
俊哉 稲見
Katsutaro Ichihara
勝太郎 市原
Sumio Ashida
純生 芦田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP25068391A priority Critical patent/JPH0589536A/ja
Publication of JPH0589536A publication Critical patent/JPH0589536A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【目的】初期化磁石を必要とせずに、簡単な媒体構造
で、光磁気記録媒体の高密度化を行なうことができる光
磁気記録媒体を提供することを目的とする。 【構成】再生層と記録層とを積層した光磁気媒体に記録
ビームを照射して記録層中に磁区を形成し記録後の冷却
過程もしくは再生層初期化後の再生ビーム照射時に記録
磁区を再生層に縮小転写して再生を行なう。この場合
に、再生層は(a)温度が上昇するにしたがって反強磁
性から強磁性に相転移する材料、(b)磁気異方性が基
板面に対して面内方向から垂直方向に変化するスピン再
配列材料、(c)温度が上昇するにしたがって強磁性か
ら反強磁性に相転移する材料、及び(d)磁気異方性が
基板面に対して垂直方向から面内方向に変化するスピン
再配列材料のうちいずれか1種で形成されており、その
相転移温度又は再配列温度が、記録層のキュリー点より
も低く再生時に記録媒体が達する温度よりも高い。

Description

【発明の詳細な説明】
[発明の目的]
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、情報の記録・再生・消
去が可能な書き替え型の光磁気記録媒体に関し、特に高
密度記録が可能な光磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】垂直磁気異方性を持つ磁性体薄膜にレー
ザを照射し、情報の記録・再生・消去を行なう光磁気記
録技術は、光記録技術の有する高記録密度性や媒体の可
換性といった特徴と、磁気記録技術の有するデータの書
換え性とを併せ持つメモリ技術として実用化されてい
る。
【0003】光磁気記録では、レンズによって絞りこん
だレーザビームスポットによって記録・消去・再生を行
なっているため、記録密度はレーザ光の波長と焦点レン
ズの開口数によって制限されており、前者はレーザ出
力,レーザ寿命等の要求から後者はディスクのスキュー
許容度等の要求から各々決定される。
【0004】現在よく使われている830〜780nm
の波長の半導体レーザを用いて、十分なC/Nで記録・
再生ができるのは、トラックピッチで1.6μm程度で
あり、記録密度で107 〜108 bit/cm2 である。
そして、現行のレーザ、記録媒体、記録方法を用いる限
りこれ以上の記録密度を求めることはできない。
【0005】一方で計算機の演算速度の向上,情報量の
増加が進む中でメモリの記録容量増加に対する要求は止
まる所を知らず、さらなる記録密度の向上が強く求めら
れている。このような要求を満たすために、レーザの波
長を短くしてビームスポット径を小さくする方法が検討
されてきた。しかし、短波長の領域では光磁気ディスク
ドライブに搭載でき、十分に光磁気記録のできる出力パ
ワーを持つ半導体レーザはまだ実用化されていない。ま
た、現行の半導体レーザにSHG(Second Ha
rmonic Generation)素子を用いて、
波長を半分にする方法も検討されているが、高パワーが
出ない、高速変調が困難である、といった問題点があ
る。
【0006】現行の半導体レーザの波長をそのまま用い
て高密度記録を行なう方法として、MSR(Magnetic S
uper Resolution)技術が提案されている(nikkei elect
ronics 1991.3.4 No.521 p92 、及びohta et. al. :MO
RIS ’91 Technical Digestp.91)。この技術はRAD
(Rear Aperture Detection)法とFAD(Front Apertur
e Detection)の二つの方法に分類される。RAD法は、
記録層と再生層を交換結合積層した媒体に対し、記録パ
ワーレベルの光ビームを照射して記録層中に反転磁区を
形成し、再生層を初期化した後に、再生パワーレベルの
光ビームを照射して加熱し、この加熱部の再生層の保磁
力を記録層から再生層へ印加する交換力よりも低下させ
て、記録磁区よりも小さな磁区を再生層に転写させて再
生する技術である。また、FAD法は記録層と再生層を
低キューリー点の中間磁性層を介して積層した媒体に対
し、記録パワーレベルの光ビームを照射して記録層及び
再生層中に反転磁区を形成し、再生パワーレベルの光ビ
ームを照射して加熱し、中間磁性層をそのキューリー点
以上とすることによって記録層から再生層へ印加する交
換力を無くし、この交換力が無くなった部分の再生層の
保磁力を再生時の外部磁界以下としこの部分の再生層中
の反転磁区を消去して、この消去部以外の再生ビーム照
射部分の磁区を再生する技術である。RAD法,FAD
法共に、再生ビーム照射時の加熱によって再生層の保磁
力を再生時に再生層に印加する実効磁界以下に低下せし
めることが主旨である。これらの方法は、従来隣接トラ
ックからのクロストークのため制限されていた距離1.
6μmよりもトラック幅を詰めて記録することができる
ので、高記録密度を得ることができる。また、FAD法
はトラック方向にも詰めて記録することができる。
【0007】しかし、RAD法では通常の記録磁石の他
に初期化磁石が必要である。通常の光磁気記録材料であ
る希土類−遷移金属磁性体薄膜同士の交換力は数KOe
になるため、それに打ち勝って再生層を磁化反転させる
初期化磁石は大きなものとなり、装置の小型化が困難で
ある。また、再生した直後は再生トラック上に再生層に
転写された磁区が残っているため、高密度化はディスク
の半径方向しかできない。
【0008】これに対して、FAD法は、レーザ照射後
の冷却過程において、記録層の記録ビットが再生層に転
写されるため、RAD法のような初期化磁石は不用であ
る。しかし、媒体構造が複雑であり、また再生時に磁界
を印加しなければならないという欠点がある。また、中
間層において信号がでないキューリー点以上の部分がレ
ーザスポットの中心付近にあるため、十分な大きさの再
生信号が得られないという問題もある欠点もを有してい
る。
【0009】また、上述のMSR技術においては、記録
層,再生層間の交換力を膜温度に対して厳密に制御する
必要があるために媒体が作りにくい。また、再生パワー
レベルのビーム照射程度の加熱によって、再生層の保磁
力を、記録層からの交換力未満(RAD法)、又は再生
時印加磁界未満(FAD法)とする必要があるため、垂
直磁気異方性の大きな膜材料を再生層として使うことが
困難で再生磁区形状が乱れやすいという欠点がある。
【0010】さらに、再生パワーは記録パワーよりも低
く設定されるので、十分な記録感度を得る上で再生パワ
ーはそれ程高く設定出来ない。このことに起因して再生
時に再生層の保磁力が実効磁界以下に低下する膜温度
は、メモリ動作温度にかなり近い温度に設定されなけれ
ばならない。従って、従来提案されたMSR技術におい
ては、安定したMSR動作の得られるメモリ動作温度範
囲が狭く実用上十分なマージンを確保するのが困難であ
るという欠点を有している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、かかる事
情に鑑みてなされたものであって、その目的は、第1
に、初期化磁石を必要とせずに、簡単な媒体構造で、光
磁気記録媒体の高密度化を行なうことができる光磁気記
録媒体を提供することにある。また、第2に、製造が容
易で、かつ安定した再生磁区形状を得ることができる光
磁気記録媒体を提供することにある。第3に、再生時に
再生層の保磁力が実効磁界以下になる膜温度を低く設定
した場合においても広い動作温度マージンで安定した再
生が可能な光磁気媒体を提供することにある。 [発明の構成]
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、第1に、光磁
気情報が記録される記録層と、記録層の光磁気情報を再
生するための再生層とを有し、記録パワ−レベルの光ビ
−ムを照射して記録層中に記録磁区を形成し、再生パワ
−レベルの光ビ−ムを照射して前記記録磁区よりも小さ
い磁区を再生層中に転写するか、又は記録パワ−レベル
の光ビ−ムを照射して記録層及び再生層中に記録磁区を
形成し、再生パワ−レベルの光ビ−ムを照射して再生層
中の記録磁区の一部を消去する光磁気記録媒体であっ
て、前記再生層が、(a)温度が上昇するにしたがって
反強磁性から強磁性に相転移する材料、(b)磁気異方
性が基板面に対して面内方向から垂直方向に変化するス
ピン再配列材料、(c)温度が上昇するにしたがって強
磁性から反強磁性に相転移する材料、及び(d)磁気異
方性が基板面に対して垂直方向から面内方向に変化する
スピン再配列材料のうちいずれか1種で形成されてお
り、その相転移温度又は再配列温度が、記録層のキュリ
ー点よりも低く再生時に記録媒体が達する温度よりも高
いことを特徴とする光磁気記録媒体を提供する。
【0013】第2に、光磁気情報が記録される記録層
と、記録層の光磁気情報が転写される再生層とを有する
光磁気記録媒体であって、前記記録層が、記録パワーレ
ベルの光ビームを照射されることによりその中に記録磁
区列が形成されかつ再生パワーレベルの光ビームが照射
されることにより再生層に漏洩磁界を供給し、前記再生
層が、前記記録層の漏洩磁界によって記録磁区が転写さ
れることを特徴とする光磁気記録媒体を提供する。
【0014】第3に、光磁気情報が記録される記録層
と、記録層の光磁気情報を再生するための再生層とを有
し、記録パワ−レベルの光ビ−ムを照射して記録層中に
記録磁区を形成し、再生パワ−レベルの光ビ−ムを照射
して前記記録磁区よりも小さい磁区を再生層中に転写す
るか、又は記録パワ−レベルの光ビ−ムを照射して記録
層及び再生層中に記録磁区を形成し、再生パワ−レベル
の光ビ−ムを照射して再生層中の記録磁区の一部を消去
する光磁気記録媒体であって、
【0015】前記再生層がメモリ動作温度以上に補償点
を有しており、かつこの補償点以上の温度で再生層の保
磁力が記録層から再生層に印加される磁界よりも小さく
設定されていることを特徴とする光磁気記録媒体を提供
する。以下、この発明について詳細に説明する。
【0016】まず、第1の態様について説明する。図1
は本発明の第1の態様に係る光磁気記録媒体の典型的な
断面構成を示す図である。図1において、1は記録層、
2は再生層、3は基板である。
【0017】ここで、記録層1は、一般的な光磁気記録
媒体の記録層と同じ機能を有しており、この記録層1に
外部から磁界を印加しながら、記録レベルのレーザ光を
パルス照射することによって、反転磁区が形成される。
【0018】再生層2は、上述したように、(a)温度
が上昇するにしたがって反強磁性から強磁性に相転移す
る材料、(b)磁気異方性が基板面に対して面内方向か
ら垂直方向に変化するスピン再配列材料、(c)温度が
上昇するにしたがって強磁性から反強磁性に相転移する
材料、及び(d)磁気異方性が基板面に対して垂直方向
から面内方向に変化するスピン再配列材料のいずれかで
形成されている。再生層が(a)又は(b)の材料で形
成されている場合には、再生層には常温では反転磁区は
存在しない。これに、再生層の温度が、相転移温度ある
いはスピン再配列温度以上に昇温するようなレーザパワ
ーで再生を行なうと、昇温している部分だけ、交換相互
作用あるいは記録層からの漏洩磁界によって、再生層に
記録層の磁化の向きが転写され、記録層に記録された信
号が読み取られる。この場合には、再生層の反転磁区を
記録層のものよりも小さく、レーザスポットよりも小さ
くすることができ、ディスクの半径方向にも周方向にも
高密度で記録することが可能となり、記録密度を著しく
高めることができる。
【0019】また、再生層が(c)又は(d)材料で形
成されている場合には、再生層には交換相互作用あるい
は記録層からの漏洩磁界によって、記録層の磁化の向き
が転写されている。このような再生層に、そのスポット
中心部の温度が再生層の温度が相転移温度あるいはスピ
ン再配列温度以上でかつ記録層のキュリ−点よりも低い
温度に昇温するようなパワーの光を照射すると、その温
度に昇温している部分だけ転写された磁化が消去され
る。信号の再生は、このような光ビ−ムが照射されてい
て、転写された磁化が残っている領域で行なわれる。こ
の場合には、反転磁区間隔を従来よりも詰めても信号間
干渉が生じ難いので、ディスクの周方向の信号密度を従
来よりも高めることができる。従って、この場合にも記
録密度を高めることができる。
【0020】次に、第2の態様について説明する。この
態様における記録層から再生層への磁区の転写は基本的
に記録層から発生する漏洩磁界を利用してなされるもの
であるので、記録層と再生層とは交換力を介して積層さ
れている必要が無くたとえ交換力を介して積層されてい
てもこの交換力を膜温度に対して制御する必要がない。
転写時の漏洩磁界の向きは記録層に補償点が有る場合で
も無い場合でも記録層の初期磁化の向きとは逆向きであ
る。
【0021】再生層には補償点が有っても無くても構わ
ないが、再生層のキューリー点は好ましくは記録層の補
償点もしくはキューリー点よりも低く設定され、再生時
に再生層の保磁力が記録層の漏洩磁界と必要に応じて印
加される再生磁界の和よりも小さくなる部分を形成す
る。
【0022】この態様においては、記録用の光ビ−ムを
媒体に照射した後に、媒体に対して初期化磁界を印加し
てから再生することが好ましい。このように初期化磁界
を印加する場合には記録時に再生層中に反転磁区が形成
されても構わない。初期化磁界を印加しない場合には、
再生層中に転写磁区よりも大きな磁区が形成されないよ
うにする必要があり、そのために記録層として補償点を
有する材料を用い、記録層の反転磁化方向と再生層の初
期磁化方向とが一致するように磁化方向を選ぶ。
【0023】光磁気ドライブ内で特に消去動作を必要と
しない場合にはドライブに初期化磁界印加源を設置する
必要は無くドライブの小形化上有利となる。この場合で
もドライブ外で初期化することは可能であり広義の書き
替え動作は可能である。初期化磁界の大きさは常温もし
くは動作温度における記録層の保磁力よりも小さくかつ
再生層の保磁力よりも大きく設定される。
【0024】初期化時の各層の反転磁界は記録層,再生
層が交換力を介さずに積層されていれば各層の保磁力の
みで決まるので、初期化磁界の設定が容易であると共に
再生層の保磁力も比較的大きく設定することができ、ひ
いては再生層として垂直磁気異方性の大きな膜材料を用
いることができるので転写磁区の形状も優れている。
【0025】この態様の光磁気記録媒体によれば、現行
のレーザ波長のままで実質的に高密度記録ができ、従来
の技術に比較して媒体の成膜が容易で再生層として垂直
磁気異方性の大きな膜材料を用いることができるので、
低価格で高い再生信号品質の高密度光磁気記録媒体の提
供が可能である。
【0026】次に、第3の態様について説明する。この
態様では上述したように再生層がメモリ動作温度以上に
補償点を有している。また、この補償点以上の温度で再
生層の保磁力が記録層から再生層に印加される転写磁界
又は消去磁界よりも小さく設定される。従って、再生層
の補償点をメモリ動作温度の要求値に合わせて設定すれ
ば良い。
【0027】このような構成の媒体によれば、RAD
法,FAD法いずれの場合においても、メモリ動作温度
以上に補償点を有する再生層を用いることで要求される
動作温度マージンを得ることができ、安定したMSR再
生動作特性を得ることが出来る。また、この態様では交
換力を利用して磁区の縮小転写を行なう従来のMSR技
術に限定されず、交換力を利用せず記録層から発生して
再生層に印加する漏洩磁界を利用して磁区の縮小転写を
行なう場合に対しても適用が可能でその場合にも同様の
作用・効果を有する。なお、再生層の補償点を上述した
メモリ動作温度の要求値の上限以上の温度に設定するの
が安定した動作温度特性を得る上で好ましい。
【0028】
【実施例】以下、添付図面を参照してこの発明の実施例
について説明する。
【0029】図2は、この発明の第1の態様に係る光磁
気記録媒体の一例を示す断面図である。1は記録層、2
は再生層、3は基板、4は保護層、5は干渉層、6はレ
ーザ光である。
【0030】記録層1としては、Gd、Tb、Dyを代
表とする重希土類元素(HRE)もしくはHREにN
d、Pd等の軽希土類(LRE)を一部置換した希土類
元素(RE)とFe、Coを代表とする遷移金属元素
(TM)からなる非晶質膜、 Bi置換ガーネット膜、
ホイッスラー合金膜等の従来より光磁気記録媒体の記録
層として用いられるものを利用することができる。
【0031】再生層2としては反強磁性−強磁性相転移
を示す材料もしくはスピン再配列を示す材料が用いられ
る。前者の場合、相転移温度は記録層のキュリー点より
も低く再生時に記録媒体が達する温度よりも高く設定さ
れる。相転移は温度を上げていくにしたがって、反強磁
性から強磁性に転移するものでも強磁性から反強磁性に
転移するものでもかまわない。具体的な材料としては、
例えば相転移温度が80〜200℃にあるFeRhある
いはFeRhにIr、Coを添加したもの、MnSbあ
るいはMnSbにBi、Crを添加したもの、HfTa
Fe等がある。
【0032】また、再生層としてスピン再配列材料を用
いる場合には、スピン再配列温度が記録層のキュリー点
よりも低く再生時に記録媒体が達する温度よりも高く設
定される。スピン再配列による異方性の変化は、温度を
上げていくにしたがって膜面に対して、面内から垂直に
なるものでも垂直から面内になるものでもどちらでもか
まわない。具体的な材料としては、希土類金属をREと
記すと、スピン再配列温度が室温以上にある、RECo
B、RE(FeCo)B、REFeCoなどがある。再
生層と記録層を合わせた厚さは記録レベルのレーザを照
射したときに記録層で十分に磁化反転が起こる程度に薄
いほうが好ましい。
【0033】保護層1、干渉層4は、通常の光磁気記録
媒体で用いるSi−N、Si−O、Zr−O、Al−
O、Al−N、Zn−S、Ti−O等の金属化合物材料
や、保護機能を高めるなど本発明とは別の目的で金属元
素等を添加した金属化合物材料、プラズマ重合膜等の有
機物材料などの非磁性体で形成され、用いるレーザの波
長に対して記録・再生動作の際に必要な透光性を有して
いればどのような材料を用いてもかまわない。また、保
護層4は透光性を有していなくてもかまわない。また、
記録層1、再生層2は各々本発明の趣旨を逸脱しない範
囲で、それ自体単層であっても多層であってもかまわな
い。また、本発明に最低限必要なのは記録層2、再生層
3であって、保護層1と干渉層4はなくてもかまわな
い。基板5としては、ガラス、ポリカーボネイト、ポリ
メチルメタクリレート、ポリオレフィン等従来より光デ
ィスク基板として用いられている材料等の中から幅広く
選択が可能である。レーザビーム6の波長、スポット径
は本発明の主旨からしてミクロンサイズまたはサブミク
ロンサイズが好ましい。上記の光磁気記録媒体を再生す
る際には外部磁界Hexを印加してもよい。Hexの印
加手段は電磁石であっても永久磁石であってもかまわな
い。
【0034】この態様の媒体においては、再生時のレー
ザ照射によって、再生層の温度が相転移温度を超えて磁
化が発生し、所望の記録情報に従ってすでに記録してあ
る記録層の反転磁区が再生層に転写されることによって
再生され、再生終了後、媒体が冷却され再生層の温度が
相転移温度より下がると、再生層上の磁区が消滅するこ
とを利用して、高密度の光磁気記録・再生を行なう。記
録・再生過程を以下に詳しく説明する。
【0035】図3に本発明の記録媒体の典型的な記録
層、再生層の磁化の温度依存性を示し、MSWは記録層の
磁化、MSRは再生層の磁化について示す。なお、Taは
室温、TCRは再生層の相転移温度、TCSは記録層のキュ
リー点を表わす。再生層がこのような特性を示すのは、
温度が上昇するにしたがって、反強磁性から強磁性に相
転移する材料、あるいは、磁気異方性が基板面に対し面
内方向から垂直方向に変化するスピン再配列材料の場合
である。
【0036】この媒体の記録過程は、従来の光磁気記録
媒体と同様に行われる。例えば、高パワーのレーザ照射
で、記録層のキュリー点以上の温度あるいは記録層の保
磁力が十分に小さくなる温度まで加熱して、他層からの
漏洩磁界や反磁界を含んだ外部からの印加磁界によって
反転磁区を形成する。反転磁区の形成後、常温に冷却さ
れたときには、再生層は反強磁性または基板面に対して
面内方向の磁化を持っているため、再生層上には反転磁
区は存在しない。
【0037】次に、このような媒体の再生過程について
説明する。図4は再生レーザスポットと記録ビットとの
関係を模式的に示したものである。11は記録層の反転
磁区、12はレーザスポット、13は再生層に転写され
た反転磁区を表わす。レーザ光が照射されている部分で
等TCR線より内側では、図3に示すように磁化が発生す
るため、交換結合相互作用によって、記録層の磁化状態
が再生層に転写される。媒体層構造やTCRや再生パワー
などを適当に選ぶことによって、図4(b)に示すよう
に、再生層の反転磁区を記録層のものよりも小さく、レ
ーザスポットよりも小さくすることができる。従来の再
生方法では、反転磁区間を詰めて記録した場合、図4
(a)に示すように、二つの記録ビットを再生してしま
い、信号間干渉が出てしまうが、この態様の媒体では、
図4(b)に示すように、信号間干渉はでない。また、
隣接トラック上には反転磁区が転写されていないため、
従来の再生方法では隣接トラックの信号も再生してクロ
ストークが発生するようなトラックピッチでの記録を行
なった場合でも、この態様の媒体ではクロストークは発
生しない。従って、この態様の媒体ではディスクの半径
方向にも周方向にも高密度の記録・再生が可能となり、
従来のMSR技術よりも一層高密度化を図ることができ
る。
【0038】次に、再生層2として、温度が上昇するに
したがって強磁性から反強磁性に相転移する材料、ある
いは、磁気異方性が基板面に対し垂直方向から面内方向
に変化するスピン再配列材料を用いた場合について詳細
に説明する。図5はこのような再生層材料の典型的な磁
気特性を示す。図3と同様に、その転移温度をTCRで示
してある。
【0039】このような再生層を用いた記録媒体の場合
においても、記録過程は従来の光磁気記録媒体と同様に
行なわれる。例えば、高パワーのレーザ照射で、記録層
のキュリー点以上の温度あるいは記録層の保磁力が充分
に小さくなる温度まで加熱して、他層からの漏洩磁界や
反磁界を含んだ外部からの印加磁界によって反転磁区を
記録層に形成する。反転磁区の形成後、常温に冷却され
ていくと、TCRを境に再生層は強磁性になるか、又は基
板面に対して垂直方向の磁化を持つようになるため、再
生層と記録層との交換結合相互作用によって、再生層上
にも反転磁区が形成される。
【0040】次に、このような媒体の再生過程について
説明する。図6は再生ビームスポットと等TCR線、記録
層の記録ビットとの関係の模式図を示す。21は記録層
の反転磁区、22はレーザスポット、23は等TCR線で
ある。再生層内では有限の速度での熱拡散があるため
に、厳密には、再生層の等TCR線はレーザビームに比べ
て、位相が図に示すようにdだけ遅れる。等TCR線の内
側(図で斜線で示した部分)は反強磁性あるいは基板面
に対して面内方向の磁気異方性を持っているため、この
領域では記録層から転写された信号に寄与する磁化がな
くなってしまう。そして、信号の検出はレーザビーム内
の斜線でない部分の磁化の向きで行なわれる。このよう
な媒体によれば、媒体層構造やTCRや再生パワーなどを
適当に選ぶことによって、再生ビームスポットと等TCR
線、記録層の記録ビットの関係が図6のようになってい
るとき、記録層の反転磁区間隔を距離dまで詰めても信
号間干渉はおこらない。間隔dの反転磁区を従来方法で
再生すると、レーザスポットは2つの反転磁区にかかっ
てしまい、信号間干渉が発生する。従って、このような
媒体においても信号間干渉が少なく、ディスクの周方向
に高密度の記録・再生が可能となる。ただし、再生層の
隣接トラック上には転写された反転磁区があるため、デ
ィスク半径方向の反転磁区間隔は従来のものよりも詰め
ることはできない。
【0041】外部磁界Hexは本質的には不用であるが、
記録時の記録磁区生成のために、記録時に印加してもよ
い。記録層の磁区を再生層に転写する作用は、交換結合
作用でなくてもよく、たとえば、記録層から発生する漏
洩磁界によってもよい。
【0042】次に、第2の態様に対応する実施例につい
て説明する。図7は第2の態様に係る光磁気記録媒体の
一例を示す概略構成図であり、32はディスク基板であ
り、この基板32上に多層膜31が形成される。33は
焦点レンズ、34は記録再生用レーザビーム、35は記
録再生用印加磁界供給源、36は初期化磁界供給源、3
7はディスク回転用のスピンドルモータを示す。
【0043】多層膜31は、再生層41、及び記録層4
2を光ビーム照射側からその順に積層した構成となって
いる。再生層と記録層との間には、その間の交換力を遮
断するための中間層43が設けられている。中間層43
は非磁性であれば何でも構わず膜厚は記録層,再生層間
に交換力が作用しない程度の厚さであれば良い。中間層
43は必須なものではなく、これを設けなくても十分に
大きな漏洩磁界が得られる場合には設ける必要がない。
なお、この他の膜として例えば基板と再生層間に干渉層
が、記録層上に保護膜もしくは反射膜が設けられていて
も構わない。
【0044】図8はこの実施例における記録層及び再生
層の熱磁気特性の一例を示す図である。横軸は膜温度
(T)を示し、Taはディスク動作環境温度,TCRは再
生層のキューリー点、TcompW は記録層の補償点,TCW
は記録層のキューリー点を表し、 Hini は初期化磁
界、HCRは再生層の保磁力,HCWは記録層の保磁力,M
SWは記録層の磁化を表している。図8の特性は非晶質・
重希土類−遷移金属合金(RE−TM)膜材料で実現可
能であり例えば記録層としてはGdTbCo膜,TbF
eCo膜等を用いることができ、再生層としてはDyF
eCo膜,GdDyFeCo膜等を用いることができ
る。
【0045】記録層42の膜厚は充分な記録感度が得ら
れる程度に薄くかつ充分な漏洩磁界が発生できる程度に
厚いことが好ましく50〜300nm程度が良い。再生
層41の膜厚は再生時に記録層の磁区が透けて見えない
程度に厚くかつ記録時にレーザの熱が充分に記録層に投
入される程度に薄いことが好ましく25〜100nm程
度が良い。これらの層41〜43は、通常用いられてい
る薄膜形成技術を用いて形成することができ、例えばマ
グネトロンスパッタ法を用いることができる。
【0046】次に、このような構成の媒体の初期化及び
記録・再生動作について説明する。各層を形成後、記録
層及び再生層の初期磁化方向を例えば図7の矢印の向き
(図7では記録層,再生層共に上向き)に整える。次い
で、スピンドルモータ37を駆動してディスクを回転さ
せレーザビーム34を焦点レンズ33を介して再生レベ
ル(PR )で照射しフォーカス及びトラックをとる。こ
の時は記録層中には反転磁区が形成されていないので記
録層から漏洩磁界は発生しない。
【0047】この状態で、磁界印加源35に通電して図
7の上向きに記録磁界(HW )を供給する。このHW
向きは記録層に記録磁区を形成する方向であり、再生層
に対して記録磁区を形成しない方向である。このHW
印加しながら、情報信号で変調された記録レベル
(PW )のレーザビームをパルス状に照射すると、記録
層42、再生層41共に膜温度はTCW近傍に昇温し、記
録層の保磁力(HCW) がHW未満に低下する。そして、
CW<HW を満たす記録層42中の加熱領域に記録磁区
が形成される。
【0048】記録層42中の磁化が空間的に変化した場
合、記録層42からは漏洩磁界が発生するが、この時再
生層41がそのキューリー点(TCR)に至っている位置
は記録層42の磁化反転部の外側にあるのでTCRの位置
においては再生層は記録層からの漏洩磁界を殆ど感じな
い。記録層42中に磁化反転部が形成された後、記録パ
ルスがオフされるか又は媒体がレーザスポットから離れ
るかして媒体は冷却されるが、この冷却過程において再
生層41がそのキューリー点(TCR)近傍に至った時
に、記録層の磁区が縮小された状態で再生層中に転写さ
れる。
【0049】図9はこの転写過程を模式的に示した図で
あり、(a)が記録層の磁化(MSW)の空間的分布、
(b)が(a)に起因して記録層から発生する漏洩磁界
(Hl)の分布、(c)が再生層の保磁力(HCR)の分
布である。図9の上部に示した矢印はレーザスポットの
概略位置を示している。記録レーザ照射後の冷却過程に
おいて記録層がTcompW 未満に至った時、記録層内の磁
化分布は、記録部(−MSW)及び非記録部(+MSW) で
は、(a)で示すようになる。この磁化分布に基づくH
l 分布は、トラックと垂直な方向では+MSWの領域の面
積が−MSWの領域の面積に比べて大きいことを考慮すれ
ば、(b)に示すように−MSWとなっている位置付近で
のみ大きい分布となる。一方でHCRはTCR近傍に加熱さ
れている位置においてHl よりも小さい。HCRがHl
exのベクトル和よりも低下している部分に磁化が転写
され(転写領域は例えば図3(c)中の矢印で示され
る)、この転写磁区の大きさは記録層42中の記録磁区
の大きさに比べて小さい。即ち実質的に記録密度の高い
磁区を再生層41に転写することができたことになる。
【0050】実際に高密度記録する為には記録層42に
記録をする際に信号間干渉やクロストークが大きくなる
ように記録すれば良い。再生層41に転写された磁区は
記録層に形成された磁区よりも小さいので再生時には信
号間干渉やクロストークは低減化される。
【0051】再生層41に転写された磁区は初期化しな
くてもそのまま再生が可能であるが初期化することで以
下のメリットが期待出来る。転写された磁区列は初期化
磁界供給源36を媒体が通過することで消失する(記録
層内の磁区はそのまま保存される)が、再び再生レベル
のビームが照射されると照射部の分布が図9の様になっ
て再生層に磁区が転写されて高密度再生が出来る。一度
初期化磁界36を通過すれば再生時に隣接トラックの磁
区は消失したままなのでクロストークの問題は全くなく
なる。また、消去動作をする際はHexの向きは記録時と
は逆向き、すなわち再生層41の反転方向であるので、
消去時には再生層41中にトラックに沿った磁化反転部
ができ、これを初期化しなければ再度記録転写を行なう
ことは出来ない。従って、初期化磁界供給源36は設け
られていた方が好ましい。ただし消去動作を必要としな
い場合には初期化磁界が無くても高密度記録情報を再生
することができる。そして、このような場合にドライブ
の小形化上有利であり、補償点を有する記録層を用いた
場合に、このようなことが可能となる。一方で初期化磁
界を用いた場合には記録層に補償点は無くても構わな
い。なぜなら図9(a),(b)の分布は補償点の無い
記録層を用いても実現出来るからである。ただしこの場
合は記録層の反転方向と再生層の反転方向は一致するの
で転写は記録後の冷却過程では起こらず初期化後の再生
過程のみとなる。すなわち補償点がない記録層を用いた
場合には高密度再生をする上で初期化磁界の存在は必須
である。初期化磁界を用いるいずれの場合にも初期化磁
界の大きさはメモリ動作環境温度における記録層の保磁
力(HCW) よりも小さくかつ再生層の保磁力(HCR)よ
りも大きく設定すれば良く、交換力を考慮して設定する
必要がないので簡単であると同時に、HCRをHini 近く
に設定することができるので、HCRを比較的大きく設定
することができる。すなわち、垂直磁気異方性の大きな
再生層を用いることができるので再生層に転写された磁
区の形状が良好で高い再生信号品質を得ることができ
る。
【0052】次に、第3の態様に対応する実施例につい
て説明する。図10は第3の態様に係る光磁気記録媒体
の一例を示す概略構成図であり、52はディスク基板で
あり、この基板52上に多層膜51が形成される。53
は焦点レンズ、54は記録再生用レーザビーム、55は
記録再生用印加磁界(Hex)供給源、56は初期化磁界
(Hini )供給源、57はディスク回転用のスピンドル
モータを示す。
【0053】多層膜51は、再生層61、及び記録層6
2を光ビーム照射側からその順に積層した構成となって
いる。図10には記載していないが基板52と再生層6
1との間には干渉層が設けられていることがより高い再
生信号強度を得る上で好ましく、記録層62の上には保
護層が設けられていることが媒体寿命を向上する上で好
ましい。
【0054】膜材料としては記録層62、再生層61共
にGd,Tb,Dyなどの希土類とFe,Coなどの遷
移金属からなる非晶質・希土類(RE)−遷移金属(T
M)合金膜を用いることができ、成膜には通常用いられ
ている薄膜形成技術、例えばマグネトロンスパッタリン
グ法を用いることができる。
【0055】図11はこの実施例に用いられる記録層及
び再生層の熱磁気特性の一例を示す図である。図11の
横軸は膜温度であり、Taはメモリ動作温度、TcompR
は再生層の補償点、Tcopyは再生時に磁界を印加しない
場合の磁化転写温度、TCWは記録層のキュリ−点、TCR
は再生層のキュリ−点である。TcompR は要求されるT
aに対するマ−ジンに合わせて設定され、例えば50℃
に設定される。
【0056】HCRは再生層の保磁力であり、TcompR
発散し、それ以上の温度領域でTCRに向けて急激に低下
する特性となっている。HCWは記録層の保磁力、Hexg
は記録層から再生層に印加される交換力である。Hexg
とHCRとが等しくなる温度がTcopyであり、Tcopy未満
ではHCRはHexg よりも大きく設定される。Tcopy以上
でTCR及びTCWのうち低い温度以下の温度領域ではHCR
がHexg よりも小さくなり、記録層の磁化が再生層に転
写される。Hini は再生層の初期磁化の向きと同じ向き
に印加され、その大きさはTaにおいて次に示す条件を
満足するように選ばれる。 HCR+Hexg ≦Hini ≦HCW−Hexg' ここで、Hexg'は再生層から記録層に印加される交換力
である。この例では記録層62としてTa以上に補償点
を有しない組成を選んだが、補償点がある組成の膜を記
録層として用いてもかまわない。
【0057】記録層62として補償点がないTMリッチ
組成の材料を用いた場合、媒体の初期磁化の向きは、図
1に示したように、記録層62と再生層63とで逆向き
とし、記録層の初期磁化の向きを記録磁界の向きと逆向
きとする。
【0058】記録層62として補償点がないREリッチ
組成の材料を用いた場合、媒体の初期磁化の向きは、記
録層62と再生層61とで同じ向きとし、記録層62の
初期磁化の向きを記録磁界の向きと逆向きとする。この
場合、記録磁界の向きは再生層の磁化反転を妨げる向き
となるが、記録磁界が適当な大きさであれば、記録ビ−
ム照射後の冷却過程で交換力により再生層の磁化を反転
させることができる。反転が生じないような記録磁界を
印加した場合でも記録磁界と再生時の印加磁界とを異な
らせれば再生時の磁区転写を達成することができるの
で、MSR再生を実施する上では問題ない。
【0059】記録層62として補償点がある材料を用い
る場合には、媒体の初期磁化の向きは、記録層62と再
生層61とで同じ向きで、記録層の磁化の向きと記録磁
界の向きとは同じ向きである。
【0060】図11ではTCWをTCRよりも低く設定した
例を示したが、これらの大小関係には特に制約はなく、
記録ビ−ム照射時に記録層が感度良く磁化反転する程度
にTCWを設定し、再生ビ−ム照射時に再生層の保磁力が
十分低下するようにTCRを設定すればよい。
【0061】次に、このような構成の媒体の初期化及び
記録・再生動作について説明する。各層を形成後、記録
層及び再生層の初期磁化方向を例えば図10の矢印の向
き(図10では記録層が上向きで再生層が下向き)に整
える。次いで、スピンドルモータ37を駆動してディス
クを回転させ、Hexにより記録磁界を図10の下向きに
印加する。焦点レンズ53を介してレ−ザビ−ム54を
ディスクに照射し、フォ−カシング及びトラッキングな
どのサ−ボをとった後、情報信号で変調された記録パワ
−レベル(PW )のビ−ムをパルス状に照射する。媒体
のPW 光照射部は温度がTCW近傍に上昇し、HCWが記録
磁界以下に低下した部分の記録層62中に反転磁区が形
成される。この磁区の形成は上述したMSR技術の原理
に基づき、そのまま通常の光磁気記録媒体と同様に再生
したのでは信号間干渉やクロスト−クが大きくなり過ぎ
るような高い密度で行う。記録磁界によって再生層も反
転するかどうかは、TCW近傍のHCRと記録磁界の大小関
係に依存するが、それはどちらでも構わず、記録層に反
転磁区が形成された部分には記録層62と再生層61の
界面に磁壁が形成されて再生層61にHexg が作用し、
CRがHexg と記録磁界のベクトル和以下になっている
部分の再生層中に反転磁区が形成される。この時点で再
生層中に形成された磁区の大きさは記録層中の磁区に比
べて大きくても小さくても構わない。記録パルスが切れ
るか、媒体がレーザスポットから遠ざかるかして媒体が
冷却されると、HCR,HCW共に立ち上がり、形成された
磁区は固定される。
【0062】次に媒体はHini を通過し、記録層62中
の磁区はそのまま保存され再生層61中の磁区は消去さ
れて再生層の磁化状態のみが初期磁化状態に復帰して、
記録層に反転磁区が存在する部分における記録層62と
再生層61との界面には界面磁壁が形成され、磁区が無
い部分には界面磁壁は形成されない。界面磁壁が形成さ
れた部分の再生層にはHexg が作用するがTaではHCR
がHexg よりも大きく設定されているので、再生層61
はその磁化状態を保存する。次にMSR再生動作を行な
うが、再生用の光ヘッドは記録用の光ヘッドと同じでも
違っても構わない。ここでは同じヘッドを用いる場合に
ついて説明する。
【0063】Hini を通過した媒体は再びビーム54の
下を走行し再生パワーレベル(PR)の光ビームが照射
される。PR の光強度はスポット中心近傍の再生層61
の温度がTcopy付近以上に昇温するように設定される。
ここで、Tcopy付近以上という意味は、Hexを用いて再
生時に磁界を印加した場合にはHCRがHexg と再生時磁
界とのベクトル和以下となった部分で磁化が転写される
ため、必ずしも図11に示したTcopyに再生層の温度が
達せずとも磁区の転写は起るということである。
【0064】HCRがHexg と再生磁界の和以下に低下し
ている部分の再生層中に記録層の磁化が転写され、この
転写された部分の情報信号のみが再生信号として検出さ
れ結果として実質的に高密度記録再生ができる。
【0065】次にこの態様の効果を明らかとする目的で
上記した図11の特性の媒体と比較用に作成したTa以
上にTcompR を持たない再生層を有する媒体を用いてT
aを変えて再生動作特性の比較を行なった。比較用の媒
体の記録層は図11と同じ特性の膜とし、再生層をT
compR がないREリッチ膜とし、Tcopyを一致させた。
【0066】各々の媒体に対して予め記録条件を吟味し
記録層中に同じ大きさで同じパターンの記録磁区を形成
し、再生層を初期化した後に、Taを変えて再生動作を
行ない、再生信号CN比とPR との関係を調べた。記録
層中へ形成した磁区パターンは符号間干渉の大きいパタ
ーンとしてそのまま再生した場合には再生CN比は25
dB程度となる。これを再生層中に縮小転写して再生し
た場合Taが0℃の時に本発明の媒体、比較用の媒体共
に40dB以上のCN比となった。
【0067】次に、Taを変えて再生CN比が各Taに
対して最大となるPR を調べた。図12はこの際のPR
とTaとの関係を示す図である。図12において(A)
がこの態様の光磁気媒体を用いて得られた結果を示し、
(B)が比較用の媒体を用いて得られた結果を示す。×
印は最大CN比が30dBに達しなかったことを意味す
る。図12から明らかなように、この態様の光磁気媒体
を用いればPR を大きく設定出来ること、Taマージン
が比較用の媒体に比べて格段に広いことがわかる。ま
た、Taが0℃以上の領域で得られる最大CN比は
(A)の方が(B)よりも大きいことが確認された。T
copyが同じでも再生層にTcompR が有る(A)の方がT
compR の無い(B)に比べて再生特性が優れているの
は、TcompR の有る再生層においてはTa以上にTcopy
以下の温度領域で、HCRがHexg と再生磁界よりも大き
いという条件を確実に満足するためにPR や再生磁界の
変動に対して安定した転写特性を持つためであり、T
compR の無い再生層においてはPR や再生磁界が変動す
るとHCRがHexg と再生磁界の和と釣り合う温度が大幅
に変動するためである。
【0068】上記した実施例では、MSR技術のうちR
AD法を採用した場合について述べたが、FAD法を採
用した場合においても本発明は同様の効果を持つ。FA
D法の場合には図10に示した媒体の代わりに、図13
に示すように、再生層61と記録層62との間に、低キ
ューリー点の磁性中間層63を設けた媒体を用い、記録
層62、再生層61中に記録磁区を形成した後に初期化
せずに再生ビームを照射して磁性中間層63をそのキュ
ーリー点以上に加熱し、この加熱部の再生層61の磁化
を再生磁界によって初期化して初期化部以外の再生層6
1中の磁区を再生するという動作を行なえば良く、その
ような場合にも再生層にTcompR をTa以上に有する膜
を用いることによって安定したMSR再生動作を行なう
ことができる。
【0069】また、記録層と再生層との間の交換力を利
用して磁区の転写及びその再生を行なうMSR技術以外
にも、例えば記録層から発生した再生層に印加する漏洩
磁界を利用して磁区の縮小転写をする技術においても本
発明にしたがって再生層としてTcompR をTa以上に有
する膜を用いれば動作温度マージンの確実な再生動作を
することができる。
【0070】以上の実施例では記録層、再生層としてR
E−TM膜を用いた例を述べたが、本発明は材料には特
に限定されずに実施可能であり、RE−TM膜の他、例
えばPt/Co多層膜,ガーネット膜等も、本発明の主
旨を逸脱しない範囲において用いることができる。
【0071】
【発明の効果】この発明によれば、初期化磁石を必要と
せずに、簡単な媒体構造で、光磁気記録媒体の高密度化
を行なうことができる光磁気記録媒体が提供される。ま
た、製造が容易で、かつ安定した再生磁区形状を得るこ
とができる光磁気記録媒体が提供される。さらに、再生
時に再生層の保磁力が実効磁界以下になる膜温度を低く
設定した場合においても広い動作温度マージンで安定し
た再生が可能な光磁気媒体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1態様に係る光磁気記録媒体の典型
的な構成を示す断面図。
【図2】本発明の第1態様に係る光磁気記録媒体の一実
施例を示す断面図。
【図3】再生層として、温度を上昇するにしたがって反
強磁性から強磁性に相転移する材料、又は、磁気異方性
が基板面に対し面内方向から垂直方向に変化するスピン
再配列材料の場合の記録層及び再生層の磁化の温度依存
性を示す図。
【図4】再生層として図3に示す特性の材料を用いた場
合の記録層の反転磁区とレーザビームスポット、等TCR
線との関係を示す図。
【図5】再生層として温度を上昇するにしたがって強磁
性から反強磁性に相転移する材料、あるいは、磁気異方
性が基板面に対し垂直方向から面内方向に変化するスピ
ン再配列材料を用いた場合の再生層の磁化の温度依存性
を示す図。
【図6】再生層として図5に示す特性の材料を用いた場
合の記録層の反転磁区とレーザビームスポット、等TCR
線との関係を示す図。
【図7】本発明の第2の態様に係る光磁気記録媒体の一
実施例を示す概略構成図。
【図8】本発明の第2の態様に用いられる光磁気媒体の
熱磁気特性の一実施例を示す図。
【図9】本発明の第2の態様の原理を説明するための
図。
【図10】本発明の第3の態様に係る光磁気記録媒体の
一実施例を示す概略構成図。
【図11】本発明の第3の態様に用いられる光磁気媒体
の熱磁気特性の一実施例を示す図。
【図12】本発明の第3の態様の効果を説明するための
図。
【図13】本発明の第3の態様の他の実施例に係る光記
録媒体を示す断面図。
【符号の説明】
1,42,62…記録層、2,41,61…再生層、
3,32,52…基板、4…保護層、5…干渉層、6,
34,54…レーザビーム、43,63…中間層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 芦田 純生 神奈川県川崎市幸区柳町70番地 株式会社 東芝柳町工場内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光磁気情報が記録される記録層と、記録
    層の光磁気情報を再生するための再生層とを有し、記録
    パワ−レベルの光ビ−ムを照射して記録層中に記録磁区
    を形成し、再生パワ−レベルの光ビ−ムを照射して前記
    記録磁区よりも小さい磁区を再生層中に転写するか、又
    は記録パワ−レベルの光ビ−ムを照射して記録層及び再
    生層中に記録磁区を形成し、再生パワ−レベルの光ビ−
    ムを照射して再生層中の記録磁区の一部を消去する光磁
    気記録媒体であって、 前記再生層が、(a)温度が上昇するにしたがって反強
    磁性から強磁性に相転移する材料、(b)磁気異方性が
    基板面に対して面内方向から垂直方向に変化するスピン
    再配列材料、(c)温度が上昇するにしたがって強磁性
    から反強磁性に相転移する材料、及び(d)磁気異方性
    が基板面に対して垂直方向から面内方向に変化するスピ
    ン再配列材料のうちいずれか1種で形成されており、そ
    の相転移温度又は再配列温度が、記録層のキュリー点よ
    りも低く再生時に記録媒体が達する温度よりも高いこと
    を特徴とする光磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 光磁気情報が記録される記録層と、記録
    層の光磁気情報が転写される再生層とを有する光磁気記
    録媒体であって、 前記記録層が、記録パワーレベルの光ビームを照射され
    ることによりその中に記録磁区列が形成されかつ再生パ
    ワーレベルの光ビームが照射されることにより再生層に
    漏洩磁界を供給し、前記再生層が、前記記録層の漏洩磁
    界によって記録磁区が転写されることを特徴とする光磁
    気記録媒体。
  3. 【請求項3】 光磁気情報が記録される記録層と、記録
    層の光磁気情報を再生するための再生層とを有し、記録
    パワ−レベルの光ビ−ムを照射して記録層中に記録磁区
    を形成し、再生パワ−レベルの光ビ−ムを照射して前記
    記録磁区よりも小さい磁区を再生層中に転写するか、又
    は記録パワ−レベルの光ビ−ムを照射して記録層及び再
    生層中に記録磁区を形成し、再生パワ−レベルの光ビ−
    ムを照射して再生層中の記録磁区の一部を消去する光磁
    気記録媒体であって、 前記再生層がメモリ動作温度以上に補償点を有してお
    り、かつこの補償点以上の温度で再生層の保磁力が記録
    層から再生層に印加される磁界よりも小さく設定されて
    いることを特徴とする光磁気記録媒体。
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