JPH0567023B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、印画紙の写真処理における乾燥工程
に用いられる写真処理装置用乾燥装置に関するも
のである。

〔従来技術及び発明が解決しようとする問題点〕

写真処理における印画紙の乾燥は、水洗処理を
経てローラーやブレード等のスキージーで水滴が
拭われ、搬送されてくる印画紙へ乾燥風（温風）
を吹き付けて行なわれる。印画紙の乳剤面は、未
乾燥の状態で接触されると傷が付き易い。この接
触は、乾燥装置の構造、主として搬送方式と乾燥
風の適用方式の違いによる影響が大きいので、印
画紙が乾燥されるまでは、印画紙の乳剤面が接触
しない構造の搬送方式にしてあること、および印
画紙が乾燥風の煽りでばたつくことを防ぐ構造の
乾燥風適用方式にしてあることが好ましい。

印画紙の部位毎に乾燥進行の遅速が生じると乾
燥むらになるので、印画紙が均一に乾燥される構
造にしてあることが好ましい。印画紙の表と裏と
で乾燥進行のバランスが崩れると、印画紙が樋状
にカールし、カールした部分が部材に接触し、傷
が付いたり搬送に支障を及ぼすので、表裏の乾燥
のバランスを考慮された構造にしてあることが好
ましい。供給された乾燥風は湿つた印画紙に接触
するので、湿気を帯びる。そして、乾燥風の温度
も低下する。

印画紙に接触した湿つた乾燥風が、そのまま再
び印画紙に作用すると乾燥効率が落ちるので、供
給された乾燥風は、印画紙に接した後直ちに退去
する構造にしてあることが好ましい。また、装置
を小型にしたり安価にするには、熱を有効に使う
ことおよび送り手段と乾燥手段が兼ねられる等部
品を省略できる構造にすることが好ましい。

本発明は上記事実を考慮し、印画紙の乳剤面は
勿論、裏面にも傷を付けずに短時間で効率的な乾
燥を行うことができる写真処理装置用乾燥装置を
得ることが目的である。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明に係る写真処理装置用乾燥装置は、周面
に孔を有し印画紙の送り方向へこの印画紙の送り
速度よりも早い速度で回転する回転ドラムと、前
記回転ドラムの周面に対面する湾曲面に吹出孔を
有するダクトと、前記回転ドラムと前記ダクトと
を離間して対向させた間隙に形成した印画紙通路
と、ダクトの吹出孔から回転ドラムへ向けて空気
を吹き出させ印画紙の裏面を回転ドラムへ接触さ
せる送風手段と、を有している。

〔作用〕

本発明によれば、回転ドラムの外周へ送られる
印画紙ダクトの吹出孔から吹き出された空気によ
り裏面が回転ドラムの外周に圧接される。このた
め印画紙の表面は無接触状態で送られ、傷付けが
ない。また、印画紙通路内の空気は、吹出孔から
の吹出しによつて圧力が高くなつた分、回転ドラ
ムの孔へ吸入される。このため、印画紙の表面を
乾燥して湿つた空気は孔から排出され、これによ
つて乾燥の効率は向上されている。

また、回転ドラムの送り速度を印画紙の送り速
度よりも早い周速度で回転させているため、印画
紙の裏面は回転ドラムと相対移動しながら移動す
る。このため、印画紙裏面に対応される孔が、一
定の部位のみに留まることがなく、印画紙裏面に
この孔による圧痕を発生させることがない。さら
に、印画紙の搬送方向に対して抵抗力を付与する
こともない。また、弛みが生ずることによるばた
つきが無く、曲がり、筋及び傷もつくことがな
い。

〔実施例の構成〕

第１図には、本実施例に係る写真処理装置用乾
燥装置１０の斜視図が示されている。

この乾燥装置１０は全体が箱型のケース１２で
覆われ、このケース１２の第１図左側面（Ａ線矢
視）から印画紙１４の現像された直後の未乾燥印
画紙１４Ａが挿入され、乾燥後にケース１２の上
面に設けられた角孔出口１６から乾燥完了印画紙
１４Ｂとして排出されるようになつている。

ケース１２の内方には、引込み側案内部１８と
乾燥装置本体２０と引出し側案内部２２とが内蔵
されている。

引込みローラ２４Ａ，２４Ｂの回転軸３０Ａ，
３０Ｂは、両端部がケース１２に軸支されてい
る。またこの引込みローラ２４Ａ，２４Ｂは、表
面がフエノール樹脂製で互いに同形状のローラで
あり送られている印画紙１４を挟んでガイド板２
６Ａ，２６Ｂ間へ送り込むように配設されてい
る。

このガイド板２６Ａ，２６Ｂは、幅方向端部が
ケース１２に固定されており、印画紙１４の最先
端が通過する場合に、この印画紙１４を確実に駆
動ローラ２８Ａ，２８Ｂ間へ、送り込むようにな
つている。

駆動ローラ２８Ａは、図示しないモータにより
常時回転されており、印画紙１４の送り速度は、
この駆動ローラ２８の回転速度によつて定められ
ている。

この駆動ローラ２８Ａの駆動は、図示しないチ
エーンにより、他のローラにも伝達され連動回転
するようになつているが、駆動ローラ２８Ａ，２
８Ｂは、引込みローラ２４Ａ，２４Ｂよりも早く
回転しており、印画紙１４の先端が駆動ローラ２
８Ａ，２８Ｂに挟持された後に駆動ローラ２８
Ａ，２８Ｂと引込みローラ２４Ａ，２４Ｂとの間
に生じている印画紙１４の弛みをなくすようにな
つている。

この印画紙１４の弛みがなくなると、駆動ロー
ラ２８Ａ，２８Ｂの回転速度が引込みローラ２４
Ａ，２４Ｂの回転速度と等しくして、印画紙１４
と滑りを生じないようにすることができる。

駆動ローラ２８Ａ，２８Ｂの後流には乾燥装置
本体２０が配置され、第３図に示すように回転ド
ラム３６が印画紙の巻掛け用となつている。

第４図に示される如く回転ドラム３６は、印画
紙１４の幅よりも大きな幅寸法を有し、内方が空
洞の円筒形とされていて、前記印画紙１４が第３
図矢印Ｂ方向からこの回転ドラム３６の外周に約
半周に亘つて巻掛けられ、反転した後に矢印Ｃ方
向へ引出されるようになつている。

印画紙１４、この回転ドラム３６の外周と当接
されている間に乾燥されるため、回転ドラム３６
から離れた印画紙１４は乾燥完了印画紙１４Ｂと
なる。

第４図に示すようにこの回転ドラム３６の外周
には、複数の円孔４０が設けられて空気吸入孔と
され、両端面は大きく開口されており内側空洞部
と連通されている。

また、この回転ドラム３６の回転軸４２は、図
示しない連結手段を介して駆動装置に連結されて
いる。この回転ドラム３６は駆動装置により印画
紙１４の送り方向に回転しているが、本実施例で
は印画紙１４の移動速度よりも約10％早く回転す
るようになつている。

これにより、印画紙１４の裏面側における回転
ドラム３６との当接部とは、互いに接触しながら
相対移動して摺動するようになつているため、印
画紙１４の裏面側が回転ドラム３６と同一速度で
回転することによる円孔４０への吸込み圧痕の発
生が防止されている。また、回転ドラム３６と印
画紙１４との回転速度差がが印画紙１４の搬送を
助長することになるため、印画紙１４の搬送時の
抵抗力はない。

第３図に示すように回転ドラム３６の下方に配
置される乾燥風ダクト３８ではダクト本体４４へ
上端面に回転ドラム３６の片側を収容する湾曲面
形状の凹部５０が設けられている。

この凹部５０は、回転ドラム３６の外周に沿つ
た約半周の円弧状となつていて、回転ドラム３６
とは一定の間隙が設けられ、印画紙１４の通路を
形成している。

第５図に示される如く、凹部５０には印画紙１
４の移動方向と垂直の長手方向を備えた複数のス
リツト５２が設けられて空気吹出孔となつてお
り、このスリツト５２からはダクト本体４４の内
部の温風が吹き出すようになつている。

この実施例におけるスリツト５２の長手寸法
は、印画紙１４の幅よりも短く形成されていて、
印画紙１４の乾燥開始時に、印画紙１４の先端の
乳剤面に反り（第５図符号Ｔ部参照）が生じて
も、印画紙１４の先端がスリツト５２に引掛かる
ことなく印画紙１４の進行を妨げないようになつ
ているとともに、印画紙１４の幅方向両端を回転
ドラム３６へ押圧してこの反りを減少させるよう
になつている。

スリツト５２から吹き出す温風は印画紙１４の
表面に当接すると共に印画紙１４を回り込んで回
転ドラム３６の円孔４０から回転ドラム３６内へ
入り込み回転ドラム３６自体も温風によつて加熱
されるので、印画紙１４の表裏面から乾燥するこ
とができる。

ダクト本体４４の内部には上下方向中間部には
ヒータ４６が設置されている。

また、ダクト本体４４の下方には送風機４８が
設置されており、その送風機４８の空気入側部５
４の近傍と、回転ドラム３６の端面近傍とはリタ
ーンダクト５５を介して連通されている。従つて
回転ドラム３６の端面からの排出温風を送風機４
８でヒータ４６へと送り、再び印画紙１４への循
環するようになつている。

第６図に示されるように乾燥完了印画紙１４Ｂ
は、引出し側案内部２２でケース１２の角孔出口
１６を通つて乾燥装置１０から取り出されるよう
になつている。

引出し側案内部２２では、ケース１２へ取りつ
けられる一対のガイド板５８Ａ，５８Ｂの後流側
に一対のローラ６０Ａ，６０Ｂが軸支されてい
る。これらのローラ６０Ａ，６０Ｂはガイド板５
８Ａ，５８Ｂで案内される印画紙を角孔出口１６
方向へ送り込むようになつている。

第７図に示すようにガイド板５８Ｂは断面がコ
字状となつていて、ガイド板５８Ａと共に閉断面
が形成され、この閉断面の内側を印画紙１４が第
７図紙面奥側から表側に向けて、移動するように
なつている。これにより、印画紙１４の幅方向端
部をも案内できるようになつている。

また、ローラ６０Ａ，６０Ｂは、第２図に示す
ローラ２４Ａ，２４Ｂと同様に表面がフエノール
樹脂製で、印画紙１４の表裏面を損傷しないよう
になつている。

また、角孔出口１６の近傍には一対の駆動ロー
ラ６２Ａ，６２Ｂが軸支され、印画紙１４の移動
速度よりも速い周速度で駆動ローラ２８Ａと連動
回転されている。また駆動ローラ６２Ａ，６２Ｂ
は駆動ローラ２８の回転トルクよりも弱くするこ
とが好ましい。

〔実施例の作用〕

第１図に示すように矢印Ａ方向から水洗が完了
した未乾燥状態の印画紙１４Ａが送られる。

この印画紙１４Ａの先端は引込みローラ２４
Ａ，２４Ｂから駆動ローラ２８Ａ，２８Ｂを通つ
て回転ドラム３６へと送られる。

駆動ローラ２８によつて印画紙１４の先端が回
転ドラム３６と凹部５０との隙間に確実に挿入さ
れ、第３図矢印Ｂのように回転ドラム３６の外周
へ印画紙１４の裏面が当接する。

印画紙１４の表面には、温風が吹き付けられて
いるので、印画紙１４は回転ドラム３６へ押圧さ
れながら先端が引出し側案内部２２方向へと送ら
れる。

乾燥風ダクト３８の凹部５０に設けられたスリ
ツト５２から吹き出す温風は、スリツト５２の
個々の開口面積が小さく、かつ複数設けられてい
るため、印画紙１４の広範囲に亘つて強い風速で
一定に吹き付けられ印画紙１４は回転ドラム３６
に加圧密着される。しかもこの温風で予熱されて
いる回転ドラム３６の熱で裏面が乾燥させるの
で、乾燥時間が短く、乾燥ムラがない。このよう
な印画紙の両面からの乾燥は印画紙のカーリング
を少なくする付随的効果を有している。

回転ドラム３６は印画紙が巻付けられていない
残りの半周で再加熱されて、印画紙巻付部へと至
るので、１回転毎に予熱することができる。

また、回転ドラム３６は印画紙１４の送り速度
よりも速く回転しているので、回転ドラム３６は
印画紙１４の裏面側を摺動しながら回転してい
る。これにより、回転ドラム３６の円孔４０が印
画紙１４の一定の位置に停止するのが防止でき、
前記温風で印画紙１４が回転ドラム３６に加圧密
着しても圧痕がつかない。

しかも、回転速度差が約10％と小さいため、摺
動摩擦も小さく、かつ回転ドラム３６の回転が印
画紙１４の搬送を助長することになるため、印画
紙１４の搬送に抵抗力を与えることはない。

ダクト本体４４は、前記凹部５０と送風機４８
の空気入側部５４のみが外方と連通され他は閉止
されているので、送風機４８でさほど高圧の送風
をしなくても、スリツト５２から吹き出す時点の
風速は適度に速められる。

上記の説明のように印画紙１４の乾燥用として
は、基本的には回転ドラム３６とダクト本体４４
とを有するのみでスリツト５２からの温風が印画
紙を乾燥する構成であるため、印画紙の搬送路が
簡単で装置全体がコンパクトになる。

なお上記実施例では、凹部５０のスリツト５２
は単に矩形状の貫通孔としたが、第８図に示され
る如くこのスリツト５２の上流側端部からの後流
側端部へ向かい、かつ回転ドラム３６方向へ向か
う傾斜したフラツプ５２Ａを設ければ、印画紙１
４の案内がより円滑になり、スリツト５２の長手
寸法が印画紙１４の幅寸法よりも短くても先端部
の引掛りはない。このフラツプ５２Ａはドラム本
体４４へスリツト５２を加工する場合に、切り起
し加工で同時に形成してもよい。スリツト以外の
他の形状の吹出孔であつてもよいのは言うまでも
ない。

また上記実施例では回転ドラム３６の円孔４０
は、回転ドラム３６へ直接穿設して形成してある
が、回転ドラム３６を骨組み構造とし、これへ網
材を取りつけたり、小孔を多数備える布材等を張
設してもよい。上記実施例の回転ドラム３６の内
周、外周等へこれらを取りつけても良いことは言
うまでもない。

さらに上記実施例のダクト本体４４に設けられ
た凹部５０は湾曲面であればよく、上記のような
円滑な円弧状でなくても、多角形状等であつても
印画紙１４は接触しないので問題はない。

〔発明の効果〕

以上説明した如く本発明に係る写真処理装置用
乾燥装置は、印画紙の表裏面共損傷せず、短時間
で乾燥できるという優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本実施例に係る写真処理装置用乾燥装
置の斜視図、第２図は乾燥装置の引込側案内部の
正面図、第３図は乾燥装置本体の内部構造図、第
４図は本実施例に係る回転ドラムの斜視図、第５
図は本実施例に係る乾燥風ダクトの斜視図、第６
図は乾燥装置の引出し側案内部の正面図、第７図
は第６図−線断面図、第８図はスリツトにフ
ラツプを設けた場合の断面図である。 １０……乾燥装置、１４……印画紙、３６……
回転ドラム、４０……円孔、５０……凹部、５２
……スリツト。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 周面に孔を有し印画紙の送り方向へこの印画
   紙の送り速度よりも早い速度で回転する回転ドラ
   ムと、前記回転ドラムの周面に対面する湾曲面に
   吹出孔を有するダクトと、前記回転ドラムと前記
   ダクトとを離間して対向させて間隙に形成した印
   画紙通路と、ダクトの吹出孔から回転ドラムへ向
   けて空気を吹き出させ印画紙の裏面を回転ドラム
   へ接触させる送風手段と、を有する写真処理装置
   用乾燥装置。 ２ 前記回転ドラムが周面に布が巻かれたことを
   特徴とする特許請求の範囲第１項記載の写真処理
   装置用乾燥装置。