JPH0542795B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、高周波を利用して食品を加熱調理す
る高周波加熱装置に関するものである。

従来の技術 マグネトロンで発生した高周波を、導波管を用
いて加熱室内へ供給する高周波加熱装置では、第
４図に示すように、マグネトロン１９で発生した
高周波は、導波管２０を介して加熱室２１の壁面
に設けた給電口２２より加熱室２１内へ供給され
る。一方、加熱室２１の内底部には、被加熱物２
２を載置し加熱室２１外に設けたモータ２３によ
つて回転駆動するターンテーブル２４を配設して
いた。また、前記マグネトロン１９や高圧トラン
ス（図示せず）等の電源部品は、加熱室２１の壁
面と装置本体の外装２５ａ，２５ｂとの間に設け
た機械室２６に収容し、冷却フアン２７によつて
冷却する構成となつていた。

発明が解決しようとする問題点 ところが、このような高周波加熱装置では次の
ような問題を有している。

(1) 加熱室２１は略直方体であるため、単一共振
モードが生じ、しかも加熱室２１を構成する壁
面は平面であり、電波の反射も単純なものとな
り易いため、ターンテーブル２４だけの均一加
熱手段では、例えば卵料理（茶わん蒸し等）や
解凍等のきめ細かな加熱を必要とする調理に際
しては、加熱ムラが生じ易かつた。

(2) 装置全体の大きさは、ほぼ加熱室２１と機械
室２６とで決定づけられ、加熱室２１の容積を
変えること無く装置の小型化を画るためには、
機械室２６の容積の縮少が必要である。しか
し、機械室２６側へ導波管２０が突出している
ため冷却風路の障害物となり、結果としてマグ
ネトロン１９等の電源部品の冷却効率も悪くな
り、電源部品ならびに機械室の小型縮小化が難
しかつた。

本発明は、このような従来の問題を解消するも
のであり、簡単な構成で均一加熱性に優れ、しか
も使い勝手の良い高周波加熱装置を提供すること
を目的とするものである。

問題点を解決するための手段 本発明の高周波加熱装置は、加熱室壁面に1/4
λ以上の幅を有する凸部を設け、その凸部の裏面
に対向してマグネトロンアンテナを配設したもの
である。

作 用 本発明の高周波加熱装置は、加熱室壁面に凸部
を設けたことによつて加熱室内の電波の乱反射が
促進され、さらに加熱室内に生ずる共振モードも
歪曲し、ターンテーブル周回後の均一加熱性が向
上する。また、前記凸部裏面にマグネトロンアン
テナの一部を収容することができるため、導波管
の薄型化が画れ、機械室の冷却性能の向上と装置
全体の小型化が達成できる効果を有するものであ
る。

実施例 以下、本発明の一実施例の高周波加熱装置を図
面を参照して説明する。

第１図から第３図に示すように、加熱室１の前
面開口部には開閉自在なドア２が設けられ、加熱
室１内の内底部には被加熱物３を載置しモータ４
で回転するターンテーブル５が配設されている。
加熱室１の壁面６には、加熱室１の内側へ突出し
高周波波長をλとしたとき幅l₁を1/4λ以上とし
た凸部７を設け、この凸部７の裏面に対向してマ
グネトロン８のアンテナ９を配設し、マグネトロ
ン８で発生した高周波は導波管１０を介して給電
口１１より加熱室１内へ供給される。また、マグ
ネトロン８や高圧トランス１２等の電源部品は、
装置の外装１３ａ，１３ｂ，１３ｃと側壁面６と
で囲まれた機械室１４内に収容し、冷却フアン１
５によつて冷却される。

装置本体の前部には操作部１６、給電口１１に
は低誘電体から成る仕切板１７、冷却フアン１５
後部の外装１３ｂには吸気孔１８がそれぞれ配設
されている。

なお、導波管１０は加熱室１の外側の壁面６に
取り付けられ、導波管の一部を構成する加熱室１
の壁面６に設けた凸部７の裏面に対向してマグネ
トロン８のアンテナ９が位置するよう、マグネト
ロン８を導波管１０に取付けている。また、凸部
７は加熱室１の天井面からターンテーブル５の外
周に至る垂線より外側に設けてある。

以上のような構成によれば、凸部７は電界密度
の高い給電口１１に近接して同一の側壁面６に設
けることにより、給電口１１から放射される電波
が凸部７で乱反射され、さらに加熱室１内に発生
する共振モードの電界分布も歪曲し、ターンテー
ブル５の周回後の均一加熱性能が向上する。一
方、マグネトロン８のアンテナ９は凸部７の裏面
に対向して配設しているため、アンテナ９の一部
を凸部７の裏面側に収容することが可能となり、
導波管１０の高さを低くしてもアンテナ８と側壁
面６との距離は近づかないためスパークの危険性
も無く、導波管１０によつて機械室１４内の冷却
風路を狭めることも少なくなり、冷却効率も向上
する。

さらに、導波管１０の高さを低くすることによ
つて機械室１３の幅l₂も小さく出来、装置全体の
小型化や設置占有面積の縮小が画れる。

なお、凸部６はターンテーブル４の外周に下ろ
した垂線より外側に設けており、加熱室１の実質
的な有効容積を減少させないため、使い勝手を損
うことは無い。

発明の効果 以上のように本発明の高周波加熱装置は、加熱
室の壁面に高周波波長の1/4λ以上の幅を有する
凸部を配設し、この凸部の裏面に対向してマグネ
トロンのアンテナを設けたものであり、次のよう
な効果を有するため使い勝手に優れた高周波加熱
装置が提供できる。

(1) 凸部によつて加熱室内の高周波の乱反射が促
進され、さらに加熱室内に生ずる共振モードも
歪曲し、ターンテーブル周回後の均一加熱性が
向上する。

(2) マグネトロンアンテナは、加熱室内に突出す
る凸部に一部を収容できるため導波管の薄形化
が画れ、結果として導波管によつて機械室内の
冷却風路を阻害することが少なくなり冷却効率
が向上するとともに、加熱室の容積をほとんど
犠牲にすること無く装置全体の小型化や設置占
有面積の縮小が画る。

(3) マグネトロンは導波管に取り付けられている
ため、加熱室内に突出する凸部の高さは、アテ
テナ高さに直接関係なく導波管の高さを変える
ことにより任意に選定でき、加熱ムラの状況に
応じて凸部の形状を設定することが可能とな
る。

(4) マグネトロンは導波管に取り付けられている
ため、マグネトロンの作動に伴う自己発熱は導
波管を介して加熱室の壁面に伝わるため、加熱
室壁面の温度上昇を低下させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例における高周波加熱
装置の平面断面図、第２図は同Ａ−A′線におけ
る断面図、第３図は同外観斜視図、第４図は従来
の高周波加熱装置を示す正面断面図である。 １……加熱室、３……被加熱物、５……ターン
テーブル、６……壁面、７……凸部、８……マグ
ネトロン、９……アンテナ、１０……導波管、１
３……外装、１５……冷却フアン。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 被加熱物を収納する加熱室と、その加熱室の
   壁面に設けた給電口と、高周波を発生するマグネ
   トロンや高圧トランス等の電源部品と、その電源
   部品を冷却する冷却フアンと、前記加熱室の外側
   の壁面に取付けられ、前記マグネトロンで発生し
   た高周波を前記給電口に導く導波管と、前記加熱
   室内底部に設けられ被加熱物を載置し回転するタ
   ーンテーブルと、前記加熱室を覆う外装とを備
   え、前記加熱室の壁面に凸部を設け、この凸部は
   高周波波長をλとした時に1/4λ以上の幅を有し、
   その凸部の裏面に対向して前記マグネトロンのア
   ンテナが位置するよう前記マグネトロンを前記導
   波管に取付ける構成とした高周波加熱装置。 ２ 給電口と凸部は加熱室を構成する同一壁面に
   設ける構成とした特許請求の範囲第１項記載の高
   周波加熱装置。 ３ 凸部は、加熱室の天井面からターンテーブル
   の外周に下ろした垂線より外側に設ける構成とし
   た特許請求の範囲第１項記載の高周波加熱装置。