JPH0534649Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は救急絆創膏に関するものである。

〔従来の技術〕

一般に繁用の簡易救急絆創膏は、殺菌消毒剤、
創傷治療剤を含浸させたガーゼを通気孔を有する
粘着性のシートに装着し、使用時に裏面の剥離紙
をはがして前記ガーゼ部を傷口局所に当てて使用
するようにしたものである。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、これらの従来品においては、予
めガーゼに薬剤を含浸させておくため、経時的に
薬剤が蒸散し、また効力の失活をきたすばかりで
なく、局所への当接に際してはガーゼ部が乾燥状
態となつているため、傷口をいためるおそれがあ
り、使用に際しても、痛みを感じさせる等の欠点
があつた。

本考案は上記従来技術における問題点を解決す
るためのものであり、その目的とするところは薬
剤の効力を長期間保持することができ、且つ傷口
へ当接する際に傷口をいためることなく使用でき
る救急絆創膏を提供することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

すなわち本考案の救急絆創膏は、パツドを装着
した粘着シート、薬剤を内包し開口部を薬剤被覆
膜によりシールされたコンテナーを有する剥離シ
ートよりなる救急絆創膏において、該コンテナー
の内壁及び／又は該コンテナーと該パツドの間
に、薬剤被覆膜に平行に密着し突起を有する一端
部をコンテナーの内側方向に突出させた板状体又
は棒状体からなる薬剤被覆膜破壊体を有すること
を特徴とする。

又、本考案の好ましい態様としては以下のもの
が挙げられる。

(i) 薬剤被覆膜破壊体が、コンテナーの内壁に配
置された少なくとも１つの以上の突起を有する
板状体又は棒状体であるもの。

(ii) 薬剤被覆膜破壊体が、コンテナーとパツドの
間に配置された少なくとも１つ以上の突起を有
する板状体又は棒状体であるもの。

(iii) 薬剤被覆膜破壊体が、プラスチツク、セラミ
ツク又は金属製の薄板又は細棒であるもの。

(iv) コンテナーが剥離シートに形成された膨出部
とその開口部をシールする薬剤被覆膜で形成さ
れているもの。

(v) コンテナーが開口部を薬剤被覆膜でシールさ
れたカプセル体であるもの。

本考案の救急絆創膏に用いる薬剤被覆膜破壊体
は、プラスチツク、セラミツク、金属等により形
成し、あまり嵩張らず、実質的に薬剤被覆膜又は
カプセル体を破壊できる板状体又は棒状体であ
り、やや先の鋭利な突起又は薄板、細棒等が好ま
しい。

薬剤被覆膜破壊体はコンテナーの内壁に設けて
もよいし、又はコンテナーとパツドの間に挾んで
配置してもよい。この破壊体のコンテナーの内側
方向に突出させた一端部に少なくとも１つ以上の
突起を設けると薬剤被覆膜を容易に破壊できる。
破壊体の大きさはコンテナー内、又はコンテナー
とパツドの間に収納できるものであればよい。破
壊体の数は１つでもよいし、又は２つ以上設ける
こともできる。

本考案に使用する薬剤については、殺菌消毒剤
としてグルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンザ
ルコニウム、クロルキシレノール、アクリノー
ル、チアントール、塩化デカリニウム、スルフイ
ソミジン、スルフアミン、ニトロフラゾン、ホウ
酸、ホモスルフアミン、トルクロカルバン等があ
り、創傷部収斂治癒促進剤として酸化亜鉛、塩酸
ピリドキシン、酢酸トコフエロール、ジパルミチ
ン酸ピリドキシン等、止血剤として塩酸ナフアゾ
リン、硫酸亜鉛、塩酸エフエドリン等、抗炎症剤
としてはプレドニゾリン、デキサメサゾン、酢酸
コルチゾン等のステロイド剤、グリチルレチン、
塩化リゾチーム等、抗ヒスタミン剤としてマレイ
ン酸クロルフエニラミン、塩酸ジフエンヒドラミ
ン等がある。

又、局麻剤としてはリドカイン、アミン安息香
酸エチル、塩酸プロカイン、塩酸ジプカイン、塩
酸テトラカイン、塩酸パラブチルアミノ安息香酸
ジエチルアミノエチル等がある。

これらの薬剤は目的に合わせ、単味で又は複数
の配合剤とすることができ、又、薬剤の性状は溶
液状の他、軟膏状、グリース状、粉末等流動性の
あるものであれば如何なる性状でもよい。

粘着シートは、通常用いられるものでよく、パ
ツドは、脱脂綿その他各種の綿、不織布等を使用
することができ、適宜その中央部をへこませた形
状とすることできる。又、通常の方法により裏面
を防水処理してもよい。

剥離シートは、塩化ビニール樹脂その他の合成
樹脂、紙、又は合成樹脂と紙の貼り合せ物等の材
質により成型され、中央部に円形、だ円形若しく
は矩形状又はそれらの変形状のコンテナーを設
け、又剥離シートをめくり易くするために端部に
スリツトを設けるのがよい。

コンテナーは剥離シートに膨出部を形成し、又
は熱可塑性樹脂等でカプセル体を形成し、その開
口部を薬剤を使用時までパツドに接触させるのを
防止するための薬剤被覆膜でシールして形成す
る。薬剤被覆膜はアルミ箔、グラシン紙、セロハ
ン等の材質で、前記剥離シートとPTP加工等で
シールされている。該被覆膜は、薬剤を保護しう
る大きさでよいが、粘着シートの下面全面に設け
られていてもさしつかえない。

〔実施例〕 以下の実施例において本考案を更に詳細に説明
する。なお、本考案は下記実施例に限定されるも
のではない。

実施例 １： 第１図に本考案の救急絆創膏の一実施例を示
す。本実施例ではコンテナー６の内壁に突起状の
薬剤被覆膜破壊体８を設けた。図中、他に１は粘
着シート、２はパツド、３は薬剤、４は剥離シー
ト、５は薬剤被覆膜、７はスリツトを示す。

本実施例の救急絆創膏を使用するに際しては、
コンテナー６を指で押圧して薬剤被覆膜破壊体８
により、薬剤被覆膜５を破壊して、薬剤３をパツ
ド２上に流出させる。次いで、スリツト７を折り
曲げ剥離シート４を粘着シート１よりはがす。

実施例 ２： 第２図に本考案の別の実施例を示す。本実施例
ではコンテナー６はポリ塩化ビニルで成形された
カプセル体であり、その開口部が薬剤被覆膜５で
シールされ、剥離シート４に保持されている。
又、薬剤被覆膜破壊体８は実施例１と同様にコン
テナー６の内壁に設けた。

実施例 ３： 第３図は本考案の別の実施例を示す。本実施例
では薬剤被覆膜破壊体８として突起を有する薄板
状のものを使用し、これをコンテナー６とパツド
２の間に上記突起を薬剤被覆膜５を破ることがで
きるようにして挾む。

実施例 ４： 第４図に本考案の別の実施例を示す。本実施例
も薄板状又は細棒状の薬剤被覆膜破壊体８を用い
たものである。又、他の部分は実施例２と同様で
ある。

第５図ａ乃至ｇに本考案の救急絆創膏に用いる
板状又は棒状の薬剤被覆膜破壊体８の各種形状の
例を示す。これらの１種または２種以上を１個又
は２個以上用いることができる。

〔考案の効果〕

上述のように本考案の救急絆創膏は、パツドを
装着した粘着シート、薬剤を内包した開口部を薬
剤被覆膜によりシールされたコンテナーを有する
剥離シートよりなる救急絆創膏において、該コン
テナーの内壁及び／又は該コンテナーと該パツド
の間に、薬剤被覆膜に平行に密着し突起を有する
一端部をコンテナーの内側方向に突出させた板状
体又は棒状体からなる薬剤被覆膜破壊体を有する
ものであるため、使用時、常に新鮮な薬剤の滲出
したパツドの部分を創傷面に当接使用することが
できるので、薬剤の効力を損ねることなく、又、
傷口をいためることなく使用することができる。
さらに、薬剤の効力を長期間保持できるので、殺
菌、消毒、治療の目的達成に有効である。さら
に、本考案の救急絆創膏においては薬剤被覆膜破
壊体の突起が薬剤被覆膜と直行する方向ではなく
平行する方向に向いているため、薬剤被覆膜に直
行する方向や平行する方向に外力が加わつても薬
剤被覆膜は破壊されない。それ故、救急絆創膏の
保管時や輸送時などの使用時以外の時に、薬剤被
覆膜に直行する方向や平行する方向にコンテナー
に不意の外力が加わつた場合においても、コンテ
ナーが簡単に破壊されることはないので、保管時
や輸送時の損傷が防止され、保管や輸送が容易で
ある。又、使用時においてはコンテナーを曲げる
ように（突起を押し上げるか又は押し下げるよう
に）わずかな力を加えるのみで簡単に薬剤被覆膜
を破壊することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の救急絆創膏の一実施例の断面
図、第２図は本考案の別の実施例の断面図、第３
図は本考案の別の実施例の剥離シートを剥した状
態を示す斜視図、第４図は本考案の別の実施例の
断面図、第５図ａ乃至ｇは本考案の救急絆創膏に
使用する板状又は棒状の薬剤被覆膜破壊体の種々
の例を示す平面図である。 図中、１……粘着シート、２……パツド、３…
…薬剤、４……剥離シート、５……薬剤被覆膜、
６……コンテナー、７……スリツト、８……薬剤
被覆膜破壊体。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) パツドを装着した粘着シート、薬剤を内包し
   開口部を薬剤被覆膜によりシールされたコンテ
   ナーを有する剥離シートよりなる救急絆創膏に
   おいて、該コンテナーの内壁及び／又は該コン
   テナーと該パツドの間に、薬剤被覆膜に平行に
   密着し突起を有する一端部をコンテナーの内側
   方向に突出させた板状体又は棒状体からなる薬
   剤被覆膜破壊体を有することを特徴とする救急
   絆創膏。 (2) 薬剤被覆膜破壊体が、コンテナーの内壁に配
   置された少なくとも１つの以上の突起を有する
   板状体又は棒状体であることを特徴とする実用
   新案登録請求の範囲第１項記載の救急絆創膏。 (3) 薬剤被覆膜破壊体が、コンテナーとパツドの
   間に配置された少なくとも１つの以上の突起を
   有する板状体又は棒状体であることを特徴とす
   る実用新案登録請求の範囲第１項記載の救急絆
   創膏。 (4) 薬剤被覆膜破壊体が、プラスチツク、セラミ
   ツク又は金属製の薄板又は細棒であることを特
   徴とする実用新案登録請求の範囲第３項記載の
   救急絆創膏。 (5) コンテナーが剥離シートに形成された膨出部
   とその開口部をシールする薬剤被覆膜で形成さ
   れていることを特徴とする実用新案登録請求の
   範囲第１項ないし第４項のうちのいずれか１項
   記載の救急絆創膏。 (6) コンテナーが開口部を薬剤被覆膜でシールさ
   れたカプセル体であることを特徴とする実用新
   案登録請求の範囲第１項ないし第４項のうちの
   いずれか記載の救急絆創膏。