JPH0528577Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、例えば車載用のカセツトテープ再生
機における電磁制御装置に関するものである。

（従来の技術） 例えばカセツトテープ再生機においてプレイ、
ストツプ、早送り、巻き戻しの各モードを電磁ソ
レノイドを利用して切換える場合には、プレイ及
びストツプの切換用ソレノイドと早送り及び巻き
戻しのための切換位置を決定するソレノイドとが
それぞれ用いられる。また、これと同時に上記プ
レイ、早送り、巻き戻し等の各モードに応じてカ
セツトテープの走行スピードあるいは走行方向を
上記のソレノイドとは別の操作力によつて切換え
なければならない。

（考案が解決しようとする問題点） 上記構成のカセツトテープ用再生機においてプ
レイ、ストツプ、早送り、巻き戻しの各モードを
得るためには、少なくとも二個のソレノイドとカ
セツトテープの走行スピード及び走行方向を切換
えるためのモータ等を必要とし、その構造が複雑
となる。

（課題を解決するための手段） 前記課題を解決するために、本考案におけるカ
セツトテープ用録音・再生機の電磁制御装置は次
のように構成されている。

すなわちシヤーシに対して所定の後退位置から
スプリング力に抗して前進動作可能に取付けられ
ているとともに、その後退位置、前進位置及びこ
れらのほぼ中間位置においてモード選定に関連す
るヘツドプレートの位置をそれぞれ異なる切換え
位置に規制するアクチユエータと、前記シヤーシ
に対してアクチユエータの進退方向に沿つて直列
に配置され、かつそれぞれ個別にオン・オフ制御
が可能な一対の吸着ソレノイドと、前記アクチユ
エータに対しそれぞれ回動可能に取付けられ、し
かも前記の各吸着ソレノイドと対応して直列に配
置された一対の制御ベルクランクと、これらの各
制御ベルクランクに設けられて前記アクチユエー
タが前進位置にあるときに前記吸着ソレノイドに
個々に接触する磁性体と、前記の各制御ベルクラ
ンクに形成され、それぞれの回動によつて互いが
連動するように係合した係合部と、この係合部の
回動に連動し、その回動方向に応じてモード選定
に関連するギヤの位置を中立位置から二つの切換
え位置に作動させるギヤアームとを備えている。

そして前記の各制御ベルクランクは、そのいず
れか一方の磁性体が吸着ソレノイドに吸着された
状態でアクチユエータが後退することで回動し、
かつそのときの回動量を規制することでアクチユ
エータが前記中間位置に保持されるように設定さ
れている。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に従つて具体的に
説明する。

車載用カセツトテープ再生機に適用された電磁
制御装置を平面で表わした第１図、この第１図の
−線断面を表わした第２図、同じく第１図の
−線断面を表わした第３図において、シヤー
シ１の一側（第１図の上側、第２図の左側）には
パワープレート２がその一部に固定された作動ピ
ン５と、これが係合するシヤーシ１のガイド溝４
（第２図参照）との案内によつて第１図の状態か
ら左方向へ前進動作可能に組付けられている。ま
た、このパワープレート２における前進方向の先
端に形成されている突起２ｂにはリターンスプリ
ング３の一端が引掛けられていて、パワープレー
ト２はこのリターンスプリング３の弾力を受けて
常に第１図で示す後退位置へ引戻される方向の弾
力を受けている。そして、パワープレート２はカ
セツトテープ用再生機の例えばプレイ操作に基づ
き、図示しないモータ等からの動力を受けてリタ
ーンスプリング３の弾力に抗して第１図の状態か
ら左方向への前進動作を開始するのである。

上記シヤーシ１の下面には連動ベルクランク６
が、このシヤーシ１に固定された軸７を回転軸心
として回動自在に組付けられている。この連動ベ
ルクランク６の一端には切欠部６ａが形成されて
おり、かつ他端にはその下面に向つて突出する係
合突起６ｂが一体に形成されている。この切欠部
６ａ内にはパワープレート２の上記作動ピン５
が、このパワープレート２の動作方向に関して僅
かな遊びをもつて緩く係合している。また、連動
ベルクランク６の内側にはコイル状のスプリング
８が上記の軸７の外周に巻装された状態で組付け
られており、このスプリング８の一端は前記パワ
ープレート２の作動ピン５に当接し、かつ他端は
連動ベルクランク６の内周面に当接している。

上記シヤーシ１の下面にはリール支持プレート
９が固定されており、この支持プレート９の上面
にはアクチユエータ１０が第１図の状態から下方
向へスライド可能に組付けられている。このアク
チユエータ１０のスライドは、シヤーシ１に固定
された前記連動ベルクランク６の軸７及びこれと
は別のガイド軸１３をアクチユエータ１０の両端
付近に形成されたガイド孔１２内にそれぞれ係合
させることで案内している。また、アクチユエー
タ１０の一部には第１図及び第３図において左方
向に伸びるアーム部１１が一体に形成されてお
り、このアーム部１１の先端寄りに形成されてい
る孔１１ａには前記連動ベルクランク６の係合突
起６ｂが係合している。

上記アクチユエータ１０と隣接するシヤーシ１
の一部には、このアクチユエータ１０の進退動作
方向（第１図の上下方向）に沿つて直列に配置さ
れた一対の吸着ソレノイド２０，２１がそれぞれ
固定されている。また、アクチユエータ１０の下
面、つまりこのアクチユエータ１０と前記リール
支持プレート９との間には、一対の制御ベルクラ
ンク１５，１６が同じくこのアクチユエータ１０
の進退動作方向に沿つて直列に配置されている。
そして、これら各制御ベルクランク１５，１６に
は軸部１５ａ，１６ａがそれぞれ突出形成されて
いて、これらの軸部１５ａ，１６ａはアクチユエ
ータ１０に対して回動可能に支持されている。

上記の各制御ベルクランク１５，１６の一端に
は、アクチユエータ１０の前進動作によつて前記
の吸着ソレノイド２０，２１に対して個々に接触
しうる磁性体１７が、それぞれ取付軸１８によつ
て一定の回転角で回動し得るように取付けられて
いる。また、上記制御ベルクランク１５，１６と
その関連部品のみを第１図との対応によつて表わ
した第４図から明らかなように、各制御ベルクラ
ンク１５，１６において上記の各磁性体１７を有
する側とは反対側の端部には、互いに連動可能に
係合した係合凸部１５ｂ及び係合凹部１６ｂがそ
れぞれ形成されている。したがつて各制御ベルク
ランク１５，１６の回動は互いにその相手側に回
動力を与えることとなる。

上記シヤーシ１の下面には早送りギヤアーム２
２の基端が軸２３によつて回転可能に取付けられ
ており、かつこの早送りギヤアーム２２の先端に
は早送りギヤ２５が回転可能に支持されている。
また、この早送りギヤアーム２２の基端には一対
の係合爪２４が形成されていて、これら係合爪２
４の間には前記制御ベルクランク１５の上面に固
定された連動ピン１９がアクチユエータ１０の窓
１４を貫通して係合位置している。したがつて、
この制御ベルクランク１５が回動すると、その連
動ピン１９及び上記の係合爪２４を通じて早送り
ギヤアーム２２がその軸２３回りに回動操作され
るのである。

以上のように構成した電磁制御装置において、
カセツトテープ用再生機の所定の操作により、前
記パワープレート２が第１図で示す状態からその
リターンスプリング３の弾力に抗して左方向の前
進を開始すると、こりパワープレート２の作動ピ
ン５によつて前記の連動ベルクランク６がその軸
７回りに反時計回り方向へ回動操作される。この
連動ベルクランク６の回動に伴い、前記のアクチ
ユエータ１０が各制御ベルクランク１５，１６と
共に第１図の状態から図示下方への前進動作を開
始する。そして、アクチユエータ１０がフルスト
ローク前進した状態において各制御ベルクランク
１５，１６の磁性体１７は、それぞれに対応する
吸着ソレノイド２０，２１に対し、第５図で示す
ように接触する。このとき、各吸着ソレノイド２
０，２１が共にオン状態にあるものとすると、各
制御ベルクランク１５，１６の磁性体１７は第５
図で示す状態に吸着保持され、各制御ベルクラン
ク１５，１６はその位置でロツクされたこととな
る。この後、パワープレート２に対する前進方向
の操作力が解除されても、アクチユエータ１０は
第５図で示す位置に保持され、パワープレート２
はその作動ピン５と前記連動ベルクランク６の切
欠部６ａとの隙間の範囲においてリターンスプリ
ング３の力によつて僅かに後退するものの、ほと
んど第５図で示す位置に保持される。

この第５図で示すパワープレート２の作動位置
に基づき、図示しないヘツドプレートの動作位置
が制御され、カセツトテープ用録音・再生機とし
てはプレイ（録音あるいは再生）のモードに保持
される。この後、上記の各吸着ソレノイド２０，
２１が共にオフ状態に切り換えられると、パワー
プレート２に作用している前記リターンスプリン
グ３の弾力により、このパワープレート２は再び
第１図で示す状態に後退し、これに伴う連動ベル
クランク６の回動を通じてアクチユエータ１０も
同じく第１図で示す状態に後退する。

なお、上述したアクチユエータ１０の進退動作
により、一方の制御ベルクランク１５に固定され
ている連動ピン１９も同方向へ移動する。しかし
ながら、このときの連動ピン１９は前記早送りギ
ヤアーム２２の一対の係合爪２４の間を単に移動
するのみであつて、この早送りギヤアーム２２に
対して回動力を与えることはない。

また、パワープレート２が上記のように最も前
進したとき、これの作動ピン５は連動ベルクラン
ク６の内部に組込まれている前記スプリング８の
一端を第５図で示すように図面左方向へ強く押す
こととなる。このため、連動ベルクランク６はこ
のスプリング８の反力を受け、その軸７を回転軸
心とする反時計回り方向の回動力が付与される。
この結果、アクチユエータ１０は各制御ベルクラ
ンク１５，１６の磁性体１７を上述したように吸
着ソレノイド２０，２１に対して充分に押付ける
だけの操作力を受けるのである。

次に上記の各吸着ソレノイド２０，２１のう
ち、一方の吸着ソレノイド２１のみをオンにした
状態で上述したと同様にパワープレート２を前進
動作させると、これに連動してアクチユエータ１
０も両制御ベルクランク１５，１６と共に前進動
作し、もつてオン状態にある吸着ソレノイド２１
に対応する制御ベルクランク１６の磁性体１７の
みが吸着保持される。この状態においてパワープ
レート２に対する操作力が解除されると、このパ
ワープレート２に作用するリターンスプリング３
の弾力によつて上述した場合と同様にアクチユエ
ータ１０も後退する。しかしながら、このときの
アクチユエータ１０の後退量は両吸着ソレノイド
２０，２１を共にオフにした場合の約半分のスト
ロークとなる（第６図参照）。したがつて、上記
パワープレート２も約半ストロークだけ後退した
状態に保持され、このパワープレート２の位置に
よつてカセツトテープ用録音・再生機のヘツドプ
レート（図示しない）は僅かに前進させた例えば
頭出しの状態に切換えられる。

一方、このときのアクチユエータ１０の後退に
伴い、吸着ソレノイド２１によつてその磁性体１
７が吸着保持されている制御ベルクランク１６
は、第６図で示すようにその軸部１６ａを支点と
して半時計回り方向へ回転し、この制御ベルクラ
ンク１６の回動に連動して他方の制御ベルクラン
ク１５もその軸部１５ａを支点として時計回り方
向へ回動する。これに伴う制御ベルクランク１５
の連動ピン１９の動きにより、前記早送りギヤア
ーム２２がその軸２３を支点として第６図で示す
ように回動する。この結果、早送りギヤアーム２
２の先端に取付けられている早送りギヤ２５が切
換えられ、前記ヘツドプレートの切換えとも相ま
つてカセツトテープ用録音・再生機としては例え
ば早送りのモードに切換られることとなる。

また、上記の場合とは逆に吸着ソレノイド２０
のみをオン状態にしたときには、第７図で示すよ
うにこの吸着ソレノイド２０に対応する制御ベル
クランク１５の磁性体１７が吸着保持され、第６
図の場合と同様にアクチユエータ１０及びパワー
プレート２は夫々半ストロークだけ後退する。そ
して、このときのアクチユエータ１０の後退によ
つて各制御ベルクランク１５，１６は第６図の場
合とは逆方向にそれぞれ回動する。これにより、
一方の制御ベルクランク１５の連動ピン１９の動
きに伴つて早送りギヤアーム２２は第６図の場合
とは逆方向に回動し、このときの早送りギヤ２５
はカセツトテープ用録音・再生機を例えば巻き戻
しの状態に切換えるのである。

なお、上記の早送りギヤアーム２２は例えば合
成樹脂で成形されていて、これの各係合爪２４は
適度の弾性を持つている。したがつて、上記の各
制御ベルクランク１５，１６の回動に伴い、一方
の制御ベルクランク１５の連動ピン１９によつて
早送りギヤアーム２２を第６図あるいは第７図の
状態に回動させたとき、各係合爪２４の弾性変形
に伴う反力により、早送りギヤ２５はそれぞれの
切換位置へ適確に回動保持される。

（考案の効果） このように本考案は、一対の吸着ソレノイドが
個別にオン・オフ制御され、各制御ベルクランク
のいずれか一方の磁性体が吸着された状態でアク
チユエータが後退したとき、各制御ベルクランク
が回動してギヤアームを切換え位置に作動させる
とともに、アクチユエータが後退位置と前進位置
との中間位置に保持されてヘツドプレートがその
ときのモードと対応した位置に規制される。すな
わち吸着ソレノイドが個別にオン・オフ制御され
た場合には、制御ベルクランクの回動とアクチユ
エータの後退量とに基づいてモード選定に必要な
二部材の切換えが同時に実行される。このこと
は、吸着ソレノイドを同時にオン・オフ制御した
ときのモード選定との組合せにより、多種類のモ
ードが簡単な操作で選定できることになる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図はカセツ
トテープ用録音・再生機の電磁制御装置を表わし
た平面図、第２図は第１図の−線断面図、第
３図は同じく第１図の−線断面図、第４図は
一対の制御ベルクランクとその関連部品のみを第
１図と対応して表わした平面図、第５図はパワー
プレート及びアクチユエータが前進した状態を第
１図との対応によつて表わした平面図、第６図及
び第７図は電磁制御装置のそれぞれ異なる切換状
態を表わしたそれぞれの平面図である。 １……シヤーシ、３……リターンスプリング、
１０……アクチユエータ、１５，１６……制御ベ
ルクランク、１７……磁性体、２０，２１……吸
着ソレノイド、２２……早送りギヤアーム（切換
部材）。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 シヤーシに対して所定の後退位置からスプリン
   グ力に抗して前進動作可能に取付けられていると
   ともに、その後退位置、前進位置及びこれらのほ
   ぼ中間位置においてモード選定に関連するヘツド
   プレートの位置をそれぞれ異なる切換え位置に規
   制するアクチユエータと、 前記シヤーシに対してアクチユエータの進退方
   向に沿つて直列に配置され、かつそれぞれ個別に
   オン・オフ制御が可能な一対の吸着ソレノイド
   と、 前記アクチユエータに対しそれぞれ回動可能に
   取付けられ、しかも前記の各吸着ソレノイドと対
   応して直列に配置された一対の制御ベルクランク
   と、 これらの各制御ベルクランクに設けられて前記
   アクチユエータが前進位置にあるときに前記吸着
   ソレノイドに個々に接触する磁性体と、 前記の各制御ベルクランクに形成され、それぞ
   れの回動によつて互いが連動するように係合した
   係合部と、 この係合部の回動に連動し、その回動方向に応
   じてモード選定に関連するギヤの位置を中立位置
   から二つの切換え位置に作動させるギヤアームと
   を備え、 前記の各制御ベルクランクは、そのいずれか一
   方の磁性体が吸着ソレノイドに吸着された状態で
   アクチユエータが後退することで回動し、かつそ
   のときの回動量を規制することでアクチユエータ
   が前記中間位置に保持されるように設定されてい
   ることを特徴としたカセツトテープ用録音・再生
   機の電磁制御装置。