JPH0526194Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、コンクリート構造物において、そ
の壁内に残留するセパレーターの部分に壁表面か
ら雨水等が浸透するのを防止する装置に係るもの
である。

（従来の技術） 従来のこの種のコンクリート構造物におけるセ
パレーター部の雨水等浸透防止装置には、実公昭
43−27286号公報に記載された考案がある。

（考案が解決しようとする問題点） 上記従来のコンクリート構造物におけるセパレ
ーター部の雨水等浸透防止装置においては、コン
クリート壁表面のセパレーター端子を取除いた跡
の凹所内に栓を接着剤で固定するものであるか
ら、 (1) 接着剤が凹所の内面と栓の間に万遍なく広が
らなくてそれらの間に隙間ができる。

(2) コンクリートと接着剤の硬化時の収縮等によ
り、年月が経つと凹所の内面と接着剤の間に隙
間ができる。

(3) コンクリート壁とセパレーターの間にも隙間
ができる。

(4) コンクリート壁表面とセパレーターの間のか
ぶり厚さが小さい。

従つて、上記の隙間が水道となり、雨水等が壁
表面からコンクリート壁の凹所と栓の間の隙間を
通りコンクリート壁とセパレーターの間の隙間に
浸透してそのセパレーターを錆びさせる。

そのために、 (イ) 構造物の耐久性が低下する。

(ロ) 錆を含んだ水が壁表面に流出して壁表面の
美観を損なう。

等の問題がある。

（問題点を解決するための手段） この考案は、コンクリート構造物の壁表面から
コンクリート壁内のセパレーター部への雨水等の
浸透を防止して上記の問題を解決するために、合
成樹脂製筒体１の孔内の一側部に金属製等の雌ね
じ筒２を埋設し、その筒体１の他側端には外方に
鍔９を、内方に凹所１０をそれぞれ設け、筒体１
の外周に水膨張性止水環３を嵌着して端子４を構
成し、その端子４の雌ネジ筒２の一側部をセパレ
ーター５の端部の雄ねじ６に螺合し、合成樹脂製
栓８の基端に頭部１２を設けて外周に周溝１３を
形成し、その周溝１３内に水膨張性止水環７を嵌
着し、上記の水膨張性止水環７付き栓８の頭部１
２を筒体１の他側部の凹所１０内に嵌合させてそ
の水膨張性止水環７付き栓８を筒体１の孔内の他
側部に固定してコンクリート構造物におけるセパ
レーター部の雨水等浸透防止装置を構成する。

（作用） コンクリート壁Ａと端子４の筒体１との間の隙
間に浸透する水は、水膨張性止水環３で受止めら
れてそれより内側へ浸透するのを防止される。

また、端子４の筒体１と栓８との間の隙間に浸
透する水は、水膨張性止水環７で受止められてそ
れより内側へ浸透するのを防止される。

（実施例） 図面に示すこの考案の一実施例についてその構
造を説明すれば、Ａはコンクリート壁、４はセパ
レーター５の端子で、合成樹脂製筒体１の孔内の
一側部に金属製等の雌ねじ筒２を埋設し、その筒
体１の他側端には外方に鍔９を、内方に外側が拡
開するテーバー凹所１０をそれぞれ設け、外周の
他側端部に水膨張性止水環３を嵌着して端子４を
構成する。５はセパレーターで、両端部に雄ねじ
６を設けると共に、その雄ねじ６の基端にストツ
パー１１を形成する。８は合成樹脂製の栓で、基
端にテーパー頭部１２を設けて外周の基部および
先端部に周溝１３，１４をそれぞれ形成し、その
周溝１３内には水膨張性止水環７を嵌着すると共
に、該止水環７が栓８の外周面よりも若干外方へ
突出するようになし、周溝１４内には必要に応じ
て水膨張性止水材を塗布する。１５はセパレータ
ー５の中間部に嵌着した水膨張性止水環である。

ところで、その水膨張性止水環３，７，１５に
用いられる水膨張性止水材としては、アクリル
系、ビニル系、無機系の水膨張性樹脂を用いても
よいが、好ましいのは水膨張性ポリウレタン樹脂
と天然ゴム、合成ゴム、もしくは再生ゴム等の混
合物からなる水膨張性ポリウレタン含有可撓性物
質である。

このような可撓性物質は、 一般式 Ｒ〔（OR）ｎ〕ｐ （ここで、Ｒは多価アルコール残基：（OR）
はオキシエチレン基と炭素数３−４のアルキレン
基を有するオキシアルキレン基とからなるポリオ
キシアルキレン鎖、ただし、オキシエチレン基の
割合は分子量20−100％を占める。：ｎはオキシア
ルケン基の重合度を示す数で、水酸基当量が200
−2500となるに相当する数：ｐは２−８、好まし
くは２−４の数）で示されるポリエーテルポリオ
ールの一種または二種以上の混合物と、ポリイソ
シアネート基含有ウレタンプレポリマーと、架橋
剤とを上記ゴム類と混練硬化させて得ることがで
きる。

上記多価アルコールとしては、例えば、二価ア
ルコール（エチレングリコール、プロピレングリ
コール等）、三価アルコール（グリセリン、トリ
メチロールプロパン等）、四価アルコール（エリ
トリツト、ペンタエリトリツト等）、五価アルコ
ール（アルビツト、キシリツト等）、六価アルコ
ール（ソルビツト、マンニツト等）等がある。

上記ポリエーテルポリオールは、このような多
価アルコールにアルキレンオキサイドを所望の分
子量となるように付加させて製造できる。このよ
うな付加はランダムでもブロツクでもよい。オキ
シエチレン基の割合が20％以下では膨張性が不十
分となり、止水材としてあまり好ましくない。ポ
リイソシアネートとしては任意のものが使用でき
る。末端に存在するイソシアネート基は１−12
％、より好ましくは２−７％である。

上記架橋剤としては、一分子当たり２−６個の
活性水素を有し、活性水素当たりの平均分子量30
−15000のポリオール、ポリアミン（低分子量ポ
リオール、低分子量ポリオールとアルキレンオキ
サイドとの付加重合物、低分子量ポリアミンとア
ルキレンオキサイドとの付加重合物等）、あるい
は、上記化合物の混合物を用いることができる。

上記可撓性物質においては、ゴム類100部に対
して水膨張性ポリウレタン樹脂20−800部の割合
で配合するのが好ましい。

他の好ましい可撓性物質としては、上記水膨張
性ポリウレタン樹脂とゴム類からなる組成物に、
さらに水硬性物質を配合したものが挙げられる。
使用できる水硬性物質としては、ポルトランドセ
メント、高炉セメント、コロイドセメント、石膏
等があり、好ましくはこれとカルシウムアルミネ
ート系セメント急硬剤を併用する。このような水
硬性物質配合の可撓性物質は、乾燥しても収縮が
小さいというメリツトを有する。水硬性物質の配
合量は、水膨張性ポリウレタン樹脂とゴム類の合
計量100部に対し、水硬性物質20−300部が好まし
い。

また、上記可撓性物質には、適当な吸水性物質
を添加することができる。吸水性物質としては、
カルボキシル基、カルボン酸塩、カルボン酸イミ
ド、カルボン酸アミド、カルボン酸無水物等のカ
ルボキシル基またはカルボキシル基に誘導し得る
基を分子内に一個もしくは２個以上有するα，β
−不飽和化合物を主成分とし、必要に応じてその
他のα，β−不飽和化合物を加え重合させたも
の、あるいは、さらにこれらをイソシアネート類
で変性したものが挙げられる。

このような吸水性樹脂としては、デンプン／ア
クリン酸グラフト共重合体、スチレン−無水マレ
イン酸共重合体の塩、ポリアクリル酸ソーダの架
橋剤、ビニルエステル／エチレン系不飽和カルボ
ン酸またはその誘導体の鹸化合物等の公知の高吸
水性分子を挙げることができる。

さらに、上記の可撓性物質は、イオウ等の架橋
剤を用いて加硫することができる。

または上記可撓性物質は、得られる成形品の水
膨張率が10−350％となるように配合を調節する
のが好ましく、特に、40−250％とするのがさら
に好ましい。

Ｂはコンクリート型枠の堰板で、その適当箇所
に通孔１６を穿設する。１７は継ぎボルトで、両
端部を雄ねじ１８，１９をそれぞれ設ける。２０
は型枠締付杆、２１は型枠締付杆２０の基端のね
じ孔である。

次にその作用を説明する。第６図に示すよう
に、端子４の雌ねじ筒２の一側部をセパレーター
５の雄ねじ６にそのストツパー１１までねじ込ん
で他側部に継ぎボルト１７の雄ネジ１８を螺合す
る。

そこで、両側の継ぎボルト１７を両側の堰板Ｂ
の通孔１６にそれぞれ挿通してその継ぎボルト１
７の雄ねじ１９に型枠締付杆２０のねじ孔２１を
螺合し、堰板Ｂを端子４と型枠締付杆２０により
挟持して両側の堰板Ｂを建込む。その後は、図示
してないが従来と同様に、堰板Ｂの外側に縦横の
ばたを組合わせ、それらを型枠締付杆２０を介し
締付金具により一体に締付け固定して型枠を構成
し、次いで、堰板Ｂの内方空間部にコンクリート
を打設して壁Ａを構築する。

その後、壁Ａのコンクリートが硬化すれば、コ
ンクリート型枠を解体した後、継ぎボルト１７を
螺出する。

次に、第１図に示すように、筒体１の孔内の他
側部に水膨張性止水環７付き栓８を打込むと共
に、該栓８の頭部１２を筒体１の凹所１０内に嵌
合させてその頭部１２により凹所１０内を埋め
る。

なお、上記水膨張性止水環３は、筒体１の外周
上の任意位置に嵌着しても同様に作用する。

（考案の効果） この考案のコンクリート構造物におけるセパレ
ーター部の雨水等浸透防止装置は、下記のような
顕著な効果を有する。

(1) セパレーターの端子が埋込み式であるから、 (イ) 剥離剤の塗布や、端子の取外しの作業が不
要であり、作業性が大幅に改善されてコスト
ダウンが図れる。

(ロ) 端子を取外すときのコンクリート割れが起
きることもない。

(ハ) 端子の仕上げも栓を取付けるだけでよく、
外面も綺麗に仕上る。

(2) 端子の合成樹脂製筒体内の一側部に金属製等
の雌ねじ筒を埋設してその雌ねじ筒の一側部を
セパレーターの雄ねじに螺合するから、壁表面
からコンクリート壁内に埋設されたセパレータ
ー、雌ねじ筒の金属体等までのかぶり厚さが一
定以上に大きく確保できる。従つて、壁表面か
らの雨水等の水の進入によるセパレーター、雌
ねじ筒の金属体等の腐蝕が防止され、コンクリ
ート構造物の老朽化を防ぐことができる。特
に、塩分が多い海浜の構造物においては、その
効果が大である。

(3) 壁表面からコンクリート壁と端子の間の隙間
に浸透する雨水等の水は、その端子外周部の水
膨張性止水環が受止められてそれより内側へ浸
透するのを防止され、また、上記端子とその栓
の間の隙間に浸透する雨水等の水は、該栓外周
部の水膨張性止水環で受止められてそれより内
側へ浸透するのを防止される。

従つて、水が壁表面からコンクリート壁と端
子の間、およびその端子と栓の間の隙間を通つ
てコンクリート壁内のセパレーター部に浸透す
る事がないため、 (イ) セパレーターが錆びるのを防止して構造物
の耐久性を増大する。

(ロ) 錆を含んだ水が壁表面に流出して壁表面の
美観を損なうおそれがない。

(4) 上記水膨張性止水環の使用により、コンクリ
ート壁と端子の間、またはその端子と栓の間の
隙間に浸透した水がそれらの間の水膨張性止水
環に当れば、その止水環が膨張してコンクリー
ト壁と端子、または端子と栓に強力に圧接して
隙間を確実に塞ぎ、セパレーターの端子の上記
両隙間における水のコンクリート壁内への浸透
防止を助長する。

(5) 栓の外周に周溝を形成してその周溝内に水膨
張性止水環を嵌着するから、栓への水膨張性止
水環の取付けは確実竪固で、栓を端子の孔内に
取付けたときその水膨張性止水環は常に所定に
位置する。

(6) 端子の筒体の他側端内方に凹所を、栓の基端
に頭部をそれぞれ設け、その栓の頭部を筒体の
凹所内に嵌合させて栓を筒体の孔内に固定する
から、筒体への栓の取付けを容易迅速に行つて
筒体と栓の他端面を同一面になし得る。

(7) 構造が簡単で容易安価に製作でき、その固定
は堅固である。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例に係るコンクリー
ト構造物の要部の縦断正面図、第２図はその端子
の正面図、第３図は側面図、第４図は水膨張性止
水環付き栓の正面図、第５図は側面図、第６図は
同上端子を用いてコンクリート壁を構築した状態
の要部の正断面図である。 １……合成樹脂製筒体、２……金属製等の雌ね
じ筒、３……水膨張性止水環、４……端子、５…
…セパレーター、６……雄ねじ、７……水膨張性
止水環、８……栓。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 合成樹脂製筒体の孔内の一側部に金属製等の雌
   ねじ筒を埋設し、その筒体の他側端には外方に鍔
   を、内方に凹所をそれぞれ設け、上記筒体の外周
   に水膨張性止水環を嵌着して端子を構成し、その
   端子の雌ねじ筒の一側部をセパレーターの端部の
   雄ねじに螺合し、合成樹脂製栓の基端に頭部を設
   けて外周に周溝を形成し、その周溝内に水膨張性
   止水環を嵌着し、上記水膨張性止水環付き栓の頭
   部を上記筒体の他側端の凹所内に嵌合させてその
   水膨張性止水環付き栓を筒体の孔内の他側部に固
   定してなるコンクリート構造物におけるセパレー
   ター部の雨水等浸透防止装置。