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JPH05269593A - ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents

ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ

Info

Publication number
JPH05269593A
JPH05269593A JP6760092A JP6760092A JPH05269593A JP H05269593 A JPH05269593 A JP H05269593A JP 6760092 A JP6760092 A JP 6760092A JP 6760092 A JP6760092 A JP 6760092A JP H05269593 A JPH05269593 A JP H05269593A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
toughness
sio
amount
wire
weld metal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6760092A
Other languages
English (en)
Inventor
Kiyoshi Kato
清 加藤
Tsukasa Yoshimura
司 吉村
Hiroyuki Kyo
広之 京
Hirotoshi Ishide
博俊 石出
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Welding and Engineering Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel Welding and Engineering Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Welding and Engineering Co Ltd filed Critical Nippon Steel Welding and Engineering Co Ltd
Priority to JP6760092A priority Critical patent/JPH05269593A/ja
Publication of JPH05269593A publication Critical patent/JPH05269593A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、溶接作業性が良好で、かつ優れた低
温靱性を有する溶接金属を得るガスシールドアーク溶接
用フラックス入りワイヤを提供する。 【構成】鋼製外皮中にワイヤ全重量に対して、Ti
2 :4.0〜6.5%、SiO2 :0.1〜0.5
%、Si:0.4〜1.0%、Mn:1.5〜3.0
%、Al:0.07〜0.20%、Mg:0.4〜0.
7%、B:0.002〜0.015%を含有し、必要に
応じてNi:0.4〜2.5%、Mo:0.1〜0.3
%、Ti:0.04〜0.15%、Zr:0.04〜
0.15%の1種または2種以上を含有し、Al、Si
2 とTiO2 をΔAl=Al−(0.01×SiO2
+0.02×TiO2 )、0≦ΔAl≦0.10の範囲
で添加したことを特徴とするガスシールドアーク溶接用
フラックス入りワイヤ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶接作業性が良好で、
かつ優れた低温靱性を得るガスシールドアーク溶接用フ
ラックス入りワイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ルチール系フラックス入りワイヤは、ビ
ード外観が良好であり、溶接作業性、溶接能率が優れる
ことから、軟鋼から高張力鋼の溶接に幅広く使用されて
いる。このルチール系フラックス入りワイヤは、上述し
たように溶接作業性という面では優れた性質を持つが、
一方溶接金属の材質面からは靱性確保が難しく、特に−
20℃以下の低温域において靱性を確保するのは困難と
されていた。
【0003】この理由としては、TiO2 が酸化性酸化
物であるため溶接金属中の酸素量が700〜900ppm
と著しく高くなること、およびこの高酸素溶接金属では
ミクロ組織微細化による靱性改善が達成できなかったこ
とに起因する。この様な問題を解決する方法の一例とし
て、特公昭59−44159号公報においてフラックス
中にMgを添加し、さらに金属Ti或はFe−Tiなど
の状態でTiを添加し、溶接金属の酸素量を低減させる
ことによって低温靱性の改善を図るという発明が開示さ
れている。しかし、単にMg及びTiを添加するだけで
は、溶接金属の酸素量は若干は減少するものの、ミクロ
組織を微細化させることはできず、従って比較的大入熱
で使用する場合において低温靱性を確保するには不十分
であった。
【0004】また、特公昭56−6840号公報では、
Ti及びTiO2 量とB及びB2 3 量を制限すること
により、大入熱溶接を行った場合でも良好な低温靱性を
得るガス被包アーク溶接用複合ワイヤが開示されてい
る。しかし、該発明においてもミクロ組織の微細化が不
十分であるため、溶接金属の靱性は何等の改善もなされ
ていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記諸問題
を解決し、溶接作業性が良好で、かつ優れた靱性を有す
る溶接金属を得るガスシールドアーク溶接用フラックス
入りワイヤを提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは下記のとおりである。 (1) 鋼製外皮中にワイヤ全重量に対して、Ti
2 :4.0〜6.5%、SiO2 :0.1〜0.5
%、Si:0.4〜1.0%、Mn:1.5〜3.0
%、Al:0.07〜0.20%、Mg:0.4〜0.
7%、B:0.002〜0.015%を含有し、Al、
SiO2 とTiO2 をΔAl=Al−(0.01×Si
2 +0.02×TiO2 )、0≦ΔAl≦0.10の
範囲で添加したことを特徴とするガスシールドアーク溶
接用フラックス入りワイヤ。
【0007】(2) 鋼製外皮中にワイヤ全重量に対し
て、TiO2 :4.0〜6.5%、SiO2 :0.1〜
0.5%、Si:0.4〜1.0%、Mn:1.5〜
3.0%、Al:0.07〜0.20%、Mg:0.4
〜0.7%、B:0.002〜0.015%を含有し、
かつNi:0.4〜2.5%、Mo:0.1〜0.3%
の1種または2種以上を含有する他、Al、SiO2
TiO2 をΔAl=Al−(0.01×SiO2 +0.
02×TiO2 )、0≦ΔAl≦0.10の範囲で添加
したことを特徴とするガスシールドアーク溶接用フラッ
クス入りワイヤ。
【0008】
【作用】上述した如く、ルチール系フラックス入りワイ
ヤは溶接作業性が優れている点にその最大の特長がある
が、従来のワイヤ組成に単にミクロ組織微細化に有効で
あるとされているTi、Bを複合添加しても、溶接金属
のミクロ組織は微細化されず、低温靱性は何等の改善も
みられなかった。この原因について本発明者らは種々検
討した結果、 粒内フェライトの核生成サイトとなるのはTi2 3
などのTi酸化物であること、 またこのTi酸化物は、アーク溶接時にワイヤ先端が
溶融して溶融プールを形成し、凝固する過程において、
ルチール系フラックス入りワイヤの主たるスラグ形成剤
であるTiO2 の還元によりもたらされるものである
が、一方このTiO2 自体およびその他のスラグ形成剤
であるSiO2 などは溶接金属中に過剰な酸素を供給す
る源であり、脱酸方法が適切でないとTiO2 の還元が
不十分となり粒内フェライトの核となるTi酸化物が不
足すること、 さらには、上記問題を解決するため、例えば脱酸剤で
あるSi、Mn、Alなどを多量に添加すると、大型の
酸化物が急激に増加し、これが逆にTi酸化物との複合
酸化物を形成するため、Ti酸化物が粒内フェライトの
核となる働きを減じ、その結果ミクロ組織の微細化が不
十分となること、 上記の理由からBが酸化消耗するため、γ粒界に偏
析し初析フェライトの生成を抑制するフリーBが十分確
保できず、ミクロ組織の微細化が十分に達成されないこ
とが複合され、靱性が改善されないこと、 を見出した。
【0009】そこで、低温靱性を改善するため、ミクロ
組織微細化に有効なTi酸化物をどのようにして確保す
るかに着目して検討を行った結果、 1)充填フラックス中のスラグ剤の主たる酸素源である
TiO2 、SiO2 添加量に対し、Si、MnおよびA
l、Mgなどの脱酸剤添加量を適切に選択することによ
り、スラグ剤中のTiO2 、SiO2 から供給される酸
素量に対し十分な脱酸効果を確保でき、TiO2 の還元
を促進させることができ、 2)さらに上記1)の効果に加えて、Alなどの窒化物
形成元素が酸化消耗せず、窒化物を形成するに必要な量
を確保することにより、γ粒界に偏析し初析フェライト
の生成を抑制するフリーBが確保でき、これらが複合し
て初めてミクロ組織の微細化が可能であることを見出し
たものである。
【0010】以下に、本発明における成分組成限定理由
について述べる。 TiO2 :4.0〜6.5% TiO2 は、ルチール系フラックス入りワイヤの主要成
分であり、溶接ビードに対するスラグ形成剤およびアー
ク安定剤としての性質を示す。また溶接過程において一
部が還元されTiとして溶接金属中に歩留るとされてい
る。しかし、本発明者らが種々検討を行った結果、Ti
2 から還元されたTiは、溶接凝固過程で再度酸化さ
れ、粒内フェライトの核となるTi酸化物となることを
見出した。このTi酸化物が適量存在して初めて粒内フ
ェライトは微細なアシキュラーフェライトとなり、ミク
ロ組織が微細化されるが、ワイヤ全重量に対して4.0
%未満ではミクロ組織微細化に有効なTi酸化物が確保
できず靱性が不足する。また6.5%を超えると溶接金
属中に酸素量が増加し靱性が低下すること、およびスラ
グインが発生し易くなり、溶接部の健全性が著しく損な
われるのでTiO2は4.0〜6.5%とした。
【0011】SiO2 :0.1〜0.5% SiO2 は、スラグ剤中の主たる酸素源であり、また少
量の添加で大型の非金属介在物を形成し、粒内フェライ
ト生成に有効なTi酸化物との複合介在物を形成し、ミ
クロ組織の微細化を阻害するので上限を0.5%とし
た。しかし、0.1%未満ではスラグの被包性が急激に
低下し、ビードが凸型となるアンダーカットが発生する
ため、SiO2 は0.1〜0.5%とした。
【0012】Si:0.4〜1.0% Siは脱酸剤として使用し、溶接金属の酸素量を低減さ
せる上で効果がある。しかし、0.4%未満では脱酸力
が不足しブローホールが発生し、また1.0%を超える
とフェライトを固溶硬化させ、靱性を低下させるので上
限を1.0%とした。
【0013】Mn:1.5〜3.0% Mnは脱酸を補助し、溶融金属の流動性を改善する上で
効果があり、また強度、靱性を改善する上でも効果があ
る。しかし、1.5%未満では脱酸不足となり溶接欠陥
が発生し易く、また3.0%を超えると溶接金属が脱酸
過剰となりピットやブローホールが発生し易くなるので
1.5〜3.0%とした。
【0014】Al:0.07〜0.20% Alは強脱酸剤であり、溶着金属の酸化を妨げ、TiO
2 の還元を促進し、ミクロ組織を微細化し、靱性を改善
する上で効果がある。さらには、Bの酸化消耗を抑制
し、γ粒界に偏析するフリーBを確保する上で必須の成
分である。しかし、0.07%未満では靱性改善効果は
得られず、また0.20%を超えるとAl酸化物が急激
に増加し、これがTi酸化物と結合して大型の複合介在
物となり、粒内フェライトの核生成サイトとなるTi酸
化物が不足するため、靱性が低下するので、Al量は
0.07〜0.20%とした。
【0015】Mg:0.4〜0.7% Mgは、高温のアーク中において酸素と反応し、ワイヤ
先端の溶滴の段階で脱酸反応が行われる。その結果、脱
酸生成物が溶融池内に残留しないこと、さらには溶融池
内で反応するSi、Mnの脱酸反応を助け、溶接金属の
酸素量を減少させる上で効果がある。しかし、0.4%
未満では上記効果が不足し、また0.7%を超えるとア
ーク長が過大となり、立向溶接において溶融金属が垂れ
下がり、ビード形成が不可能となるのでMgは0.4〜
0.7%とした。
【0016】B:0.002〜0.015% Bは、γ粒界に偏析して初析フェライトの生成を抑制
し、溶接金属のミクロ組織を微細化することにより靱性
改善に効果がある。しかし、0.002%未満ではミク
ロ組織微細化による靱性改善効果が得られず、また0.
015%を超えると炭化物を形成して著しく靱性を損な
うので0.002〜0.015%とした。
【0017】ΔAl=Al−(0.01×SiO2
0.02×TiO2 )、 0≦ΔAl≦0.10 TiO2 は、溶接過程において一部が還元され、Tiと
して溶接金属中に歩留る。この還元されたTiは、凝固
過程において再度酸化されてTi酸化物となり、これが
粒内フェライトの核生成サイトとなる。また、γ粒界か
ら生成する初析フェライトの生成を抑制させるには、フ
リーBが必要である。Bは凝固過程で一部が酸化消耗
し、溶接金属中に歩留るが、溶接凝固過程においてB以
外の有効な窒化物形成元素が不足すると、B窒化物とな
りフリーBが不足することになり、ミクロ組織が微細化
されない。
【0018】粒内フェライトの核生成サイトとなるTi
酸化物を確保し、かつBの酸化を防ぐには、Al量をス
ラグ形成剤であるTiO2 、SiO2 から供給される酸
素量に対し十分な量を添加することにより、溶接時に還
元され、溶接金属中に歩留るTiを確保し、かつ一部が
Al窒化物を生成してB窒化物が生成することを妨げ、
フリーBを確保することにより初めて実現できる。
【0019】表2に示す軟鋼外皮を使用して作製した表
1に示すワイヤについて表3、図2の溶接条件、開先形
状による検討例を図1に示す。同図から明らかな如く、
AlとSiO2 、TiO2 の比ΔAl{Al−(0.0
1×SiO2 +0.02×TiO2 )}が増加するに比
例して、溶接金属中のTi量が増加する。このTi量増
加に比例して溶接金属のvTrsは改善される。この効
果は、SiO2 量が0.3%であるAシリーズでは、Δ
Alが0を以上で顕著となり、ΔAlが0.10を超え
ると逆に靱性は急激に低下する。これは、Ti酸化物に
よる粒内フェライトの細粒化と、フリーBによる初析フ
ェライト生成抑制効果が複合して初めて得られるもので
ある。
【0020】一方、SiO2 量が0.7%であるBシリ
ーズは、ΔAl増加により溶接金属のTi量は増加する
が、靱性改善効果は小さい。この原因は、SiO2 があ
る限界量を超えると、Ti酸化物と共に大型の複合酸化
物を形成し、その結果粒内フェライトの核生成サイトと
なる酸化物が不足してミクロ組織が微細化されないため
に生じるものである。
【0021】本発明は以上の成分と残部は実質的に鉄か
らなるワイヤであるが、さらにこれに下記のようにN
i、Mo、Ti、Zrの1種または2種以上を含有した
本発明ワイヤはさらに靱性の向上が期待できる。 Ni:0.4〜2.5% Niは強度、低温靱性を確保するために添加するが、
0.4%未満では十分な靱性改善効果が得られず、また
2.5%を超えると高温割れが発生しやすくなるので
0.4〜2.5%とした。
【0022】Mo:0.1〜0.3% Moは、溶接金属の焼き戻し軟化抵抗を高め、大入熱溶
接におけるミクロ組織粗大化による強度の低下を防ぐた
め使用する。しかし、0.1%未満では上記効果が不足
し、また0.3%を超えるとMo炭化物を析出し、溶接
金属を著しく硬化させ靱性を低下させるので0.1〜
0.3%とした。
【0023】Ti:0.04〜0.15% Tiは強脱酸剤であり、溶着金属の酸化を妨げ、Bの酸
化消耗を抑制する。また、溶接凝固過程の高温域でTi
Nを形成してNを固定するため、冷却過程でBがBNと
なることを妨げ、γ粒界に偏析するフリーBを確保する
上で必須の成分である。しかし、0.04%未満では金
属Tiのほとんどが酸化消耗し、溶接金属にTiNを形
成する上で十分なTiが歩留らないため、上記効果が十
分得られず、ミクロ組織の微細化が不十分となり、靱性
改善効果が得られないので下限を0.04%とした。ま
た、0.15%を超えると炭化物を形成し、溶接金属が
過度に硬化する結果、著しく靱性が低下するので上限を
0.15%とした。
【0024】Zr:0.04〜0.15% Zrは強脱酸剤であり溶着金属の酸化を妨げ、かつ溶接
金属のミクロ組織を微細化し、靱性改善に効果がある。
しかし、0.04%未満ではミクロ組織微細化による靱
性改善効果が得られず、また0.15%を超えると炭化
物を形成し、著しく靱性を損なうので0.04〜0.2
0%とした。
【0025】以下実施例により本発明を説明する。
【0026】
【実施例1】表2に示す軟鋼外皮を使用して作製した表
4に示すワイヤを用いて、表5及び図3に示す溶接条
件、開先形状により低温用Alキルド鋼溶接継手を作製
した。この溶接継手から引張試験片及びシャルピー衝撃
試験片を採取し、機械試験を行った結果を表6に示し
た。また、−60℃の吸収エネルギーが47J以上あれ
ば良好な低温靱性を有するとした。
【0027】表4においてC1〜C4が本発明ワイヤで
あり、D1〜D4が本発明の限定外にある比較ワイヤで
ある。フラックス組成を本発明の限定内としたC1〜C
4のワイヤによる溶接継手は、いずれも母材強度に適し
た強度を得ており、かつ良好な低温靱性を有する。一
方、Mg量が本発明の範囲未満で、またAl量が本発明
の範囲未満で、かつΔAlが本発明の範囲未満である比
較ワイヤD1は、Mg量が不足するため溶接金属の酸素
量が高くなり、さらにミクロ組織微細化に有効な溶接金
属中のTi量が十分確保できないため靱性改善が不足す
る。
【0028】Si、Mn量が本発明の範囲未満である比
較ワイヤD2による溶接継手は、脱酸が不十分であるこ
とからAl添加効果が不十分となり、溶接金属のミクロ
組織微細化に有効なTi酸化物が不足するため著しく靱
性が低下している。また、脱酸が不足するためピットが
発生している。Si、Al量が本発明の範囲を超え、T
iO2 、SiO2 が本発明の範囲未満であるD3による
溶接継手は、Si量が過剰であるためマトリックスの靱
性が低下することと、TiO2 、SiO2 量に対しAl
量が過多であるためΔAlが過剰となり、溶接金属中の
Ti量が著しく増加するため逆にTi炭化物が多く生成
して溶接金属が硬化する結果靱性が低い。さらにSiO
2 が不足するため、スラグの流動性が悪くなり、ビード
が不揃いとなる。
【0029】Mn、Mg量が本発明の範囲を超え、Si
2 量が本発明の範囲を超える比較ワイヤD4による溶
接継手は、Mn量が過剰であるため溶接金属が過度に硬
化したこと、さらにSiO2 量が過剰であるためミクロ
組織の微細化が不十分であることが相乗して著しく靱性
が低い。また、Mg量が過剰であるためビード形状が悪
化している。
【0030】即ち、本発明により、ルチール系フラック
ス入りワイヤの特長である良好な溶接作業性を確保し、
かつ溶接金属のミクロ組織を微細化することにより、ば
らつきが少なく良好な低温靱性を得ることができ、さら
に母材強度とバランスの取れた溶接金属強度を確保でき
ることが明かである。
【0031】
【実施例2】実施例1と同様に、表2に示す軟鋼外皮を
使用して作製した表7に示すワイヤを用いて、表8及び
図4に示す溶接条件、開先形状により60キロ級高張力
鋼溶接継手を作製した。この溶接継手から引張試験片及
びシャルピー衝撃試験片を採取し、機械試験を行った結
果を表9に示した。また、−60℃の吸収エネルギーが
47J以上あれば良好な低温靱性を有するとした。
【0032】表7においてE1〜E6が本発明ワイヤで
あり、F1〜F4が本発明の限定外にある比較ワイヤで
ある。フラックス組成を本発明の限定内としたE1〜E
6のワイヤによる溶接継手は、表9に示す比較的大入熱
で使用された場合においても、母材強度に適した強度と
良好な低温靱性を得ている。
【0033】一方、Si量が本発明の範囲未満で、Ni
量が本発明の範囲を超える比較ワイヤF1の場合は、S
i量が脱酸が不足し、微小なブローホール、ピットが多
発することおよびNi量が過剰であるため溶接金属が硬
化することとが相乗して溶接継手の靱性が低い。Ti、
B量が本発明の範囲を超える比較ワイヤF2の場合は、
Ti炭化物量が過剰に生成し、かつB量が過剰であるた
め溶接金属が著しく硬化するので、溶接継手の靱性が低
い。
【0034】Mg、Mo、Zr量が本発明の範囲を超え
る比較ワイヤF3による溶接継手は、Mg量が過剰であ
るため溶接過程でのアーク長が著しく長くなり、そのた
めビードが不揃いとなっている。また、Mo、Zrが過
剰であるため溶接金属が硬化し、靱性が低下している。
B量が本発明の範囲を超え、SiO2 量が本発明の範囲
を超える比較ワイヤF4による溶接継手は、B量が過剰
であるため溶接金属が硬化することおよびSiO2 が過
剰であるためミクロ組織が微細化されないことが相乗し
て靱性が低い。
【0035】即ち、本発明によれば、ルチール系フラッ
クス入りワイヤの特長である良好な溶接作業性を確保す
ることができ、かつ溶接入熱が大きくミクロ組織が粗大
化しやすい使用条件下においても、ミクロ組織微細化が
達成されるため、良好な低温靱性および母材強度とバラ
ンスの取れた溶接金属強度を得ることができる。以上が
本発明の主要構成であるが、アーク安定化や、少量のス
ラグの物性調整によるビード形状良好化を図るため、N
2 O、K2 O、MnO、MgO、Al 2 3 、ZrO
2 、FeO、Fe2 3 などの酸化物を、その総量が7
%を超えない範囲で添加することができる。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】
【表6】
【0042】
【表7】
【0043】
【表8】
【0044】
【表9】
【0045】
【発明の効果 】以上に示したように、本発明ワイヤに
より初めてルチール系フラックス入りワイヤの特長であ
る優れた作業性を確保し、かつ清浄な溶着鋼を得ること
により低温での靱性を改善でき、また母材強度とバラン
スの取れた溶接継手強度を確保でき、さらには溶接能率
をも著しく改善できる。
【0046】従って、本発明によれば、低温靱性が要求
される高張力鋼を使用する構造物の溶接加工において溶
接部の品質向上、溶接能率の改善が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶接金属の靱性、Ti量に及ぼすAlとSiO
2 、TiO2 の比の影響を示す図である。
【図2】図1の検討例の一つである開先形状を示す図で
ある。
【図3】実施例1における溶接継手を製作した開先形状
を示す図である。
【図4】実施例2における溶接継手を製作した開先形状
を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石出 博俊 東京都中央区築地三丁目5番4号 日鐵溶 接工業株式会社研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼製外皮中にワイヤ全重量に対して、 TiO2 :4.0〜6.5%、 SiO2 :0.1〜0.5%、 Si:0.4〜1.0%、 Mn:1.5〜3.0%、 Al:0.07〜0.20%、 Mg:0.4〜0.7%、 B:0.002〜0.015% を含有し、 Al、SiO2 とTiO2 を ΔAl=Al−(0.01×SiO2 +0.02×Ti
    2 )、 0≦ΔAl≦0.10 の範囲で添加したことを特徴とするガスシールドアーク
    溶接用フラックス入りワイヤ。
  2. 【請求項2】 鋼製外皮中にワイヤ全重量に対して、 TiO2 :4.0〜6.5%、 SiO2 :0.1〜0.5%、 Si:0.4〜1.0%、 Mn:1.5〜3.0%、 Al:0.07〜0.20%、 Mg:0.4〜0.7%、 B:0.002〜0.015% を含有し、かつ Ni:0.4〜2.5%、 Mo:0.1〜0.3%、 Ti:0.04〜0.15%、 Zr:0.04〜0.15% の1種または2種以上を含有する他、 Al、SiO2 とTiO2 を ΔAl=Al−(0.01×SiO2 +0.02×Ti
    2 )、 0≦ΔAl≦0.10 の範囲で添加したことを特徴とするガスシールドアーク
    溶接用フラックス入りワイヤ。
JP6760092A 1992-03-25 1992-03-25 ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ Pending JPH05269593A (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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CN103391829A (zh) * 2010-12-27 2013-11-13 Posco公司 为焊接接头提供优异低温韧性和焊接性的药芯电弧焊丝以及使用其的焊接接头

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